回復性睡眠を促進する方法及び装置
睡眠の回復性と関連があると考えられる徐波活動を促進又は誘発するために脳刺激が用いられる。好ましい実施形態では、経頭蓋磁気刺激(14、16)が自然な徐波活動に近い周波数の神経刺激を与えるために用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回復性睡眠(restorative sleep)を促進又は誘発する装置及び、特に安眠のために必要不可欠と考えられる脳内の徐波活動(slow-wave activity)を促進する非薬理学的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の、十分な安眠の重要性は周知であるが、しかしながら、多くの人が、必要とされている量又は質の睡眠を得ることが難しいと感じている。一般的には、安眠促進のための技術は睡眠の効率を向上させず、いまだ24時間毎に約8時間の睡眠をとることを個人に必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の睡眠薬は、睡眠状態の誘発を促すことはできるものの、睡眠による十分な利益を受けるために必要であると考えられる睡眠の安眠段階の促進に対しては、一般的に効果がない。全ての種類の睡眠薬には、睡眠薬を服用している人が突然覚醒する必要ができた際に、例えば緊急救援関係者又は呼び出し待機中の医師又は軍関係者による服用の際に、その効果を無効化することが難しいという不利点がある。
【0004】
カフェインなどの興奮誘発剤は睡眠の必要を遅らせることができるが、睡眠の損失を増やすために結局は睡眠をとる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、徐波活動を促す外部からの繰り返しの刺激を用いて、睡眠の回復性の面と結びつきがあると考えられる、安静状態の人の脳内の徐波活動(SWA)を促進又は誘発する方法を提供する。ここで用いられる徐波活動には、徐波及び「睡眠紡錘波(sleep spindles)」などの関連現象が含まれる。本発明は、睡眠障害がある人、及び/又は必要な睡眠の量を他人により削られている人の安眠を促進することができると思われる。刺激手段は、脳が徐波睡眠に対して影響を受けやすくなっている時に適用することができ、そしていつでも止めることができ、それにより、自然な「睡眠慣性(sleep inertia)」以上のフラフラな状態にさせずして、その人を必要に応じて眠りから目覚めさせることができる。
【0006】
詳細には、本発明は、徐波活動を促進するために、脳に周波数約5Hz以下の周期的刺激を与える脳刺激手段(brain stimulator)を提供することで、回復性睡眠の促進のための装置を提供する。
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、上記より、最も安らかな種類の睡眠を促進又は誘発し得る非薬理学的睡眠補助の提供である。
【0008】
本発明はさらに、安静状態の人をモニタリングして脳活動を検出する睡眠モニター(sleep monitor)を含み、この睡眠モニターにより前記脳刺激手段が制御される。
【0009】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、睡眠段階又は除波活動の可能段階のいずれかの自然な脳活動を伴う脳刺激手段(brain stimulation)を調整することにより、脳刺激の効果を改善することである。
【0010】
前記睡眠モニターは、除波活動のあらかじめ決められた量のオンセットから脳刺激手段を作動させる。
【0011】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、脳刺激を適用する実効時間(effective time)を検出する簡単な方法を提供することである。
【0012】
前記脳刺激手段は、経頭蓋磁気刺激デバイス(transcranial magnetic stimulation device)であり得る。
【0013】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、安眠を直接促進することができるような脳への刺激を与える非侵襲的(non-invasive)手段を提供することである。
【0014】
前記経頭蓋磁気刺激デバイスの周波数は5Hz以下である。
【0015】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、ポータブルのTMS型デバイスの利用を促進する低電力の経頭蓋磁気刺激デバイスの使用を可能にすることである。
【0016】
前記睡眠モニターは、安静状態にある人に配置される電極を提供するEEGデバイスである。
【0017】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、刺激の正確な時間測定を提供すること、さらに、処置の有効性を数値化することのできるEEG信号のログ(logging)を可能にすることである。
【0018】
前記装置は、経頭蓋磁気刺激デバイスの刺激用コイル(stimulation coils)及びEEG電極を保持すると共に安静状態の人の頭部に配置されるヘルメット又は同様なデバイスを提供する。
【0019】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、TMSデバイスを正確に配置するとともに脳機能のモニターに使われるセンサを保持する、簡単且つ快適な装置を提供することである。
【0020】
前記装置は、スケジューリングユニット(scheduling unit)をさらに含み、決められた時間間隔後に決められた時間間隔だけ脳刺激手段を停止させ、その後、催眠モニターにより、脳除波刺激手段は更新された睡眠レベルのオンセットから再作動される。
【0021】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、普通の睡眠状態の人が経験する深い睡眠と浅い睡眠の自然なパターンを模倣又は促進する装置を提供することである。
【0022】
前記脳刺激手段は、一実施形態の中で、短調(short tones)などの音声トーン信号であり得る。
【0023】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、安眠を促進するための非常に簡単且つ低コストであるシステムを提供することである。
【0024】
前記脳刺激手段は、一実施形態の中で、嗅覚神経を周期的に刺激する鼻部アプライアンス(nasal appliance)であり得る。他の実施形態の中では、神経刺激手段(neuron stimulator)として、安静状態の人の皮膚に直接適用される電極を用いてその間に電流を流すことができる。
【0025】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における他の目的は、他形態での神経刺激においても柔軟に適用可能なシステムを提供することである。
【0026】
経頭蓋磁気刺激は、安静状態の人の脳の正中線(mid-line)近傍にある感覚運動(sensory-motor)又は頭頂葉皮質(parietal cortex)に適用することができる。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施形態における他の目的は、経験的に決められた位置で刺激を与え、除波活動を増大させることを目的とする。
【0028】
これらの具体的な目的及び利点は特許請求の範囲に記載のあるいくつかの実施形態でのみ適用可能であるものの、これらは発明の範囲を定義するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】TMS刺激手段を用いた 本発明の好ましい実施形態の概略図であり、安静状態の人の頭部の上部に配置されたTMSコイルと、TMS刺激の適当なタイミングを特定するためのEGG信号を受信するコントロールユニットとを示す。
【図2】図1の患者の頭部の横断面の断面図であり、TMS刺激を与える際の好ましい位置を示す。
【図3】バタフライTMSコイルの斜視図であり、安静状態の患者の脳内を貫通する流れの線を示す。
【図4】概略的な除波のEGG波形と、他の神経細胞と結合して除波を生成する個々の神経細胞発火(neuron firing)のモデルである。
【図5】図1に示されるコントローラーにより実行される、TMS刺激手段を制御するプログラムのフローチャートである。
【図6】本発明によるTMS励起の周期中のEEG信号を示すプロット図のセットであり、除波活動の増加を示す。図6はさらにEEG信号の拡大部分を示し、TMSパルスのタイミングと、自発的なEEG信号の上に位置している結果として生じる除波が示されている。
【図7】図1と同様の図であり、TMS刺激の代わりに直流刺激(DC Stimulation)を用いる代替的な実施形態を示す。
【図8】図8(a)及び図8(b)は図1及び図7と同様の図であり、それぞれ嗅覚器官刺激(olfactory stimulation)及び前庭刺激(vestibular stimulation)を示すシステムである。
【図9】図7及び図8と同様の図であり、TMS刺激又は嗅覚器官刺激の代わりに音声トーン(audio tones)を用いる代替的な実施形態を示す。
【図10】周期的音声トーンの適用中に発生する徐波活動を示すプロット図である。
【図11】3つの脳の平面マップのセットであり、音声トーンを適用しない時の徐波活動の強度を示す。
【図12】徐波の周波数帯域の脳波活動のラスタ・データに変換された時間プロット図(rasterized time plot)であり、影は信号振幅を表し、徐波はノンレム段階2の睡眠状態でTMS刺激により誘起されているが、覚醒状態の期間には誘起されないことを示している。
【図13】TMS刺激の期間で整列した異なる睡眠段階における複数のEEG信号のプロット図であり、誘起される徐波の異なる振幅を睡眠段階の関数として示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、本発明の装置10の第一の実施形態は、電源ユニット(power unit)14及びコイル16を有する経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイス12が用いられる。作動中、電源ユニット14内のコンデンサ(capacitors)又は他のエネルギーストレージデバイスのセットが充電され、その後直ぐにリード線(leads)22を介してコイル16に接続され、安静状態の患者18の頭部上部に配置されたコイル16内に電流の単相パルス又は2相パルスを生じさせる。
【0031】
図1を参照すると、電流のパルスは、患者18の脳内に、急速に変化する磁束20(magnetic flux)を誘起する。この変化する磁場は次に、神経細胞活動を刺激する脳組織内に電流を生じさせる。コイル16は、図3に描写されるように、八の字状に屈曲した部分を有し、磁束20を狭い領域に集束させるため、隣接したループに反対磁場を与えるような「バタフライコイル(butterfly coil)」であってもよい。また、単一ループコイルなどの他のコイルを用いることもできる。
【0032】
TMSデバイス12は市販されており、例えば、イギリスの西南ウェールズ地方、ウィットランドにあるマグスティム社より購入できる。
【0033】
図1を再び参照すると、TMSデバイス12は次にコントローラー24により制御され、例えば患者の頭皮部分に配置された電極26からEEG信号を受信する。わずか2個の電極が用いられているが、複数の電極の使用も考えられる。
【0034】
コントローラー24は標準EEG処理回路(standard EEG processing circuitry)を含み、この回路に、増幅器、ゲート回路(gating circuitry)及びフィルターを設けることで、TMSデバイス12により生成されるパルスによる途絶を受けずに連続したEEG信号が提供されるが、このような特徴は本発明において必ずしも必要なものではない。本発明での使用に適したEEG回路は、フィンランドのヘルシンキにあるネクスティム社より入手可能であり、「Eximia」という商品名で販売している。ネクスティム社のデバイスはサンプルのために提供され、またTMS刺激中のEEGのモニタリングに使用するために開発された増幅器が設けられている。
【0035】
EEG信号は、後の説明でわかるように、徐波活動を自動コンピュータ分析するために、時間又は周波数領域でデジタル化され、さらに、後述するログ動作中の記録のためにデジタル化される。このようにして、安静状態の患者18のEEGはモニターされて、後述のようにTMSデバイス12を制御するために用いられる。
【0036】
コントローラー24をEEG電極26に接続する電極リード線(electrode leads)28及び/又は、電極26自身の各部分及び、TMSデバイス12のコイル16は、キャップ30に取り付けられて安静状態の患者18の頭部位置に保持される。キャップ30は、鼻を覆うようなイヤプラグ又はイヤホン(図示せず)であってもよい。
【0037】
図2を参照すると、これまでの好ましい実施形態では、コイル16は、その中心軸32(通常は磁束の突出部の中心に沿ってコイルから頭部へ伸びている)が、脳の正中線近傍の感覚運動又は頭頂葉皮質にある安静状態の患者18の頭部上部(上位側)の位置に入るように配置される。前頭前野は過度の瞬きを促すので回避するが、しかしながら、コイルの新しい設計又は方法により、これらの場所にも同様に配置することが可能となる。理想的な配置場所は個人により異なると予想され、後述のように、TMSデバイス12により生成されるパルスによる、EEG信号が短期間又は長期間で終わるような徐波帯域幅の出力増加への影響をモニターしながら決定することができる。
【0038】
図4を参照すると、コントローラー24から受信されるEEG信号34は、通常、一又は複数の徐波38により中断される背景神経活動(background neural activity)36を示す。徐波は、0.5から5.0Hzの範囲を中心とした低周波数成分により特徴付けられる。個々の神経細胞40の電位に関する研究によると、ほぼ同期して生じる個々の神経細胞の短期間の過分極(hyperpolarization)/脱分(depolarization)42は、EEG信号により検出される徐波38を生成する。シナプスのホメオスタシスを前提として、これらの過分極/脱分極42の期間は脳の神経細胞のシナプスの重量の縮小を起因する。これに関しては、Tononi, Giulio, Cirelli, Chiara著「睡眠機能とシナプスのホメオスタシス」(2006年)Sleep Medicine Reviews10巻49−62ページを参考されたい。
【0039】
覚醒状態では、平均的なシナプスは学習の効能によりその結合が強くなる傾向がある。これにより学習が可能となるが、エネルギー消費量の増大、空間の要求、神経細胞及びシナプスへの生化学的供給の必要性が代償として支払われることとなる。睡眠中、脳内の神経細胞の過分極/脱分極は、広範囲に渡る結合の弱化を生じさせる。この広範囲に渡る結合の弱化は、多くの神経細胞において、前シナプス(pre-synaptic)神経細胞及び後シナプス(post-synaptic)神経細胞間のシナプス強度を、現存の強度に比例して縮小させる。
【0040】
全神経結合のほぼ同割合での弱化は、弱いシナプス結合を切断する傾向があり、それにより神経構造の飽和が減少する。この縮小はさらに、強く結合された神経細胞のエネルギー消費量を低減させ、複数神経細胞結合による空間消費を減少させ、神経信号の信号ノイズ比を全体的に向上させる。
【0041】
神経の縮小が回復性睡眠の主な要素であれば、そして徐波38が神経縮小のメカニズムを描写するのであれば、徐波38の促進が回復性睡眠の効率を改善し得る。
【0042】
図5を参照すると、本発明の第一実施形態におけるコントローラー24は、EEG電極26を介して安静状態の患者18の様々な睡眠段階の進行をモニターする処理ブロック47を実行する内蔵プログラム(stored program)44を実行する。特に、コントローラー24は、4つのノンレム(急速な目の動き)睡眠段階をモニターし、この睡眠段階は浅い眠りから深い眠りへの進行を伴い、また下記のように要約される。
【0043】
段階1は、徐波活動(SWA)を生成させるような化学変化が発生するような非常に浅い眠りの移行期間である。段階1ではノンレム睡眠の約5パーセントが出現する。
【0044】
段階2は、徐波活動の始まりである。段階2ではノンレム睡眠の約45パーセントが出現する。この段階は睡眠紡錘波(spindles)及びK複合波(K-complexes)と呼ばれる波形により特徴付けられ、後者は後の段階においてみられる最大徐波と基本的に同じものであると考えられる。睡眠紡錘波は約12から15Hzの間の周波数成分を有する波であり、記載されるように、K複合波又は徐波は約0.5から5.0Hzの間の周波数成分を有する波である。
【0045】
段階3では睡眠前進(sleep advances)へ移行し、眠りが深くなると共に徐波活動の増加がみられる。
【0046】
最終段階として、段階4は非常に深い眠りであることを特徴とする。ノンレム睡眠のおよそ13パーセントがこの段階で出現する。段階3及び4の間に、K複合波は、徐波と、又は、K複合波とは異りその反応が末梢刺激(peripheral stimuli)により誘発されず自発的に一秒間に1、2回に渡って生じるような周期的振動と、置換される。
【0047】
図5を再び参照すると、処理ブロック47において、プログラム44は、帯域幅0.5から4.0Hzの範囲に集中したEEG信号の出力スペクトルを測定し、その出力を一以上の経験的にあらかじめ決められた閾値と比較することで、安静状態の人の睡眠の段階を推定する。
【0048】
通常、段階2以前では、脳は、脳内の前駆化学物質(antecedent chemical preparation)の欠如により、誘発されるSWAの影響を受けにくいと考えられている。従って、決定ブロック48では、あらかじめ決められた閾段階(threshold stage)、これは段階2以降が好ましい、の発生が検出される。望ましい閾段階へ到達した場合のみ、プログラムは処理ブロック50へと進行し、TMSのスケジュールが入力される。その他の場合は、プログラムは処理ブロック47のモニタリングへ戻る。
【0049】
望ましい閾段階へと到達すると、処理ブロック50のあらかじめ決められたTMSスケジュールが、TMSデバイスの周期的パルス発生に適用され、TMSデバイスが供給するこの周期的パルスは、好ましい実施形態においては0.5から1.0Hzの周波数のパルスであり、又は一般的には、徐波38の帯域幅の上限である5.0Hz以下の周波数であり、そして、刺激による望ましくない影響が生じ得る周波数である。
【0050】
図5及び図6を参照すると、コントローラー24のパルススケジュールに従って、TMS適用間隔(TMS application intervals)56及び56’中にTMSが適用され、それぞれが休止間隔(rest intervals)58の後に選択的に適用され、そしてこのサイクルは、その全てが経験的に決定される段階持続期間(stage duration)61に渡って繰り返される。TMS適用間隔56、56’中、TMSパルス60を適用することで、脳内で増加した徐波活動の関与又は同期化の改善のいずれかの結果として起こる後続の徐波38を生成させる。この促進された徐波活動は、EEGトレース(EEG trace)62よりも小さな振幅と低い周波数を有する自発的な徐波活動と対比される。暫定的な結果によると、徐波38の帯域幅内の出力が、刺激を与えた部位近傍だけでなく頭皮全体に渡って80パーセントから500パーセント増加したことが示される。
【0051】
段階持続期間61が終了すると、閾段階(決定ブロック48で検出される)から低い段階への移行が起こるまで刺激は止まり、プログラムはモニタリングと処理ブロック47及び決定ブロック48での段階の検出とに戻る。刺激は、低い段階から閾段階へ移行するまで休止状態となり、この時間は上記の過程が繰り返される。
【0052】
このようにして、患者は浅い睡眠段階と深い睡眠段階を自然に繰り返し、これに伴う睡眠サイクル2、3及び/又は4はTMSデバイスを用いて増強され、徐波活動のより大きな量が促進される。代替的な実施形態では、刺激を連続的に与えることができる。
【0053】
代替的な実施形態においては、TMS刺激は段階1又は2で開始することができ、これにより眠りの深さを単純に強めるだけでなく、睡眠段階1又は2から深い睡眠段階4への転換の誘発を容易にすることができる。このようにして、総睡眠時間の減少が可能性として起こり、「パワーナップ(power nap)」が作り出される。代替的な実施形態においては、TMS刺激は、睡眠の誘発を促すために覚醒状態から開始することができる。
【0054】
再び図5を参照すると、処理ブロック52で示されるように、処理ブロック47−50中、TMS刺激の有効性の測定のためEEG信号54がログされる。このログ処理はEEG信号54を記録し、さらに徐波帯域幅から出力スペクトルを抽出して、処置パラメーターの改善に使用し得る、処置セッション中に生成される総徐波活動の統計量を与える。処理ブロック52のログ処理はさらにテストモードでも用いることができ、テストモードでは、TMS刺激が生成されて、その個人に適するコイル16の適用位置の決定のために、出力スペクトルが分析される。
【0055】
図7を参照すると、代替的な実施形態では、TMSデバイス12を、脳にいくらかの刺激を与えるような直流を電極67に与える、DC出力源(DC power source)66で置き換えることが可能である。このアプローチでは、TMSパルスは、皮膚を通っておそらく神経系組織にまで伝導して同様な神経細胞の刺激を与えるような短DCパルス(short DC pulse)又はACパルスと置き換えられる。その他の全ての点においては、図7のデバイスは上記と類似の方法で作動する。
【0056】
図8(a)で示されるように、TMSデバイス12は代替的に、嗅覚器官刺激手段68と置き換えることが可能であり、これにより、マスク70を通して患者の鼻孔に周期的に向けられる空気ジェット(air jets)を用いて、嗅覚神経経路又は鼻の触覚神経(tactile nerves of the nose)経路を通して脳に刺激が与えられる。嗅覚神経の刺激は音声又は光による刺激よりも優れており、その理由は、嗅覚神経は睡眠サイクル中に刺激を遮断するような視床により中継されないためである。同様に、図8(b)に示されるように、身体の前庭神経系(vestibular nervous system)は、0.4から0.5Hzの周期性を与えるような、緩やかに促進する睡眠プラットフォーム(sleep platform)71を用いる刺激パス(stimulation path)において使用される。睡眠プラットフォーム71には、望ましい周期で駆動される電磁アクチュエータ(electromagnetic actuators)を、この分野で周知の技法に従い使用することができる。前述と同じく、刺激作用は連続的でもよく、又は、特定の睡眠段階に合わせてもよい。
【0057】
図9を参照すると、代替的な実施形態において、コントローラー24は音声トーン発生器(audio tone generator)80を始動させることができ、例えば、0.4から0.5Hzの頻度で1/4秒程度の短い1キロヘルツのトーンを生成する。音声トーン発生器80はさらに、患者の外耳道又はヘッドホン又は上記のキャップに固定された小型イヤホン82を通して音声信号を与えることができる。音声トーンは、休止間隔58により分離される多数の適用間隔56に渡って繰り返したり、上記の睡眠段階又はEEGデータに合わせたりすることができる。
【0058】
さらに図10を参照すると、徐波の周波数帯域の出力を与えるプロットは、縦線で表わされる音声刺激86中に、徐波活動が増大していることを強く示唆している。ここで示されている刺激のパターンは、異なる実験データを収集するためにわずかに変化されている。
【0059】
図11に示されるように、脳内の徐波活動(濃い影はより多くの徐波活動を表す)は、マップ(map)87における音声トーンが「オン」の時、及び、マップ8における音声トーンが「オフ」の時の両方で生じるが、このような徐波活動は、脳マップ87及び88間の差異を表す脳マップ90により示されるように、音声トーンがオンの時に実質的に増加する。現時点では音声トーンは徐波活動を増加させると考えられるが、結果として現れる徐波活動は、TMS刺激より得られる脳の刺激とは密接な位相関係(phase relationship)は示していない。
【0060】
図12及び図13を参照すると、EEG信号54の期間92中(後続のTMS刺激は時間94で発生する)、TMS刺激のタイミングに関連した重要な徐波活動の発生があり、これは期間92の徐波の最初の上方向の立ち上がりピークにより顕在化する。図11及び図12の両方から明らかなように、この誘起される反応はノンレム睡眠中のみに生じ、覚醒状態では生じない。
【0061】
図12を参照すると、誘起される徐波活動の量は、ノンレム睡眠段階1からノンレム睡眠段階3−4へと進行すると共に増加し、覚醒状態では極端に低いか又は存在しない。
【0062】
この密接した段階、又は、TMS刺激と結果として生じる徐波の振幅との間の時間関係は、本発明が人の意識状態の検出及び数値化のためにも使用することができる可能性を高める。この点で、本発明は麻酔学の分野で応用され得る。その様な応用においては、医療労働者は図1に関して記載された発明を使用することができ、例えば、手術室で、コントローラー24が、TMSデバイス12による一つ一つの刺激の後の脳波を分析することで個人の意識状態を評価する。その様なデバイスでは、コントローラー24を用いて、TMS刺激直後に、決められた時間窓(window of time)、例えば0.5秒間、徐波の周波数範囲内の出力を評価し、さらにその窓内の徐波の出力又は振幅を用いて、意識状態の数値的測定を提供する。
【0063】
付加的な分析及び開示は、「経頭蓋磁気刺激による睡眠徐波の開始」(2007年5月15日、PNAS、104巻No.20,8496−8501ページ)に含まれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明は明細書に含まれる実施形態又は図に限定されず、実施形態の一部分及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むような次の特許請求の範囲内の実施形態の修正を含む。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回復性睡眠(restorative sleep)を促進又は誘発する装置及び、特に安眠のために必要不可欠と考えられる脳内の徐波活動(slow-wave activity)を促進する非薬理学的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の、十分な安眠の重要性は周知であるが、しかしながら、多くの人が、必要とされている量又は質の睡眠を得ることが難しいと感じている。一般的には、安眠促進のための技術は睡眠の効率を向上させず、いまだ24時間毎に約8時間の睡眠をとることを個人に必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の睡眠薬は、睡眠状態の誘発を促すことはできるものの、睡眠による十分な利益を受けるために必要であると考えられる睡眠の安眠段階の促進に対しては、一般的に効果がない。全ての種類の睡眠薬には、睡眠薬を服用している人が突然覚醒する必要ができた際に、例えば緊急救援関係者又は呼び出し待機中の医師又は軍関係者による服用の際に、その効果を無効化することが難しいという不利点がある。
【0004】
カフェインなどの興奮誘発剤は睡眠の必要を遅らせることができるが、睡眠の損失を増やすために結局は睡眠をとる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、徐波活動を促す外部からの繰り返しの刺激を用いて、睡眠の回復性の面と結びつきがあると考えられる、安静状態の人の脳内の徐波活動(SWA)を促進又は誘発する方法を提供する。ここで用いられる徐波活動には、徐波及び「睡眠紡錘波(sleep spindles)」などの関連現象が含まれる。本発明は、睡眠障害がある人、及び/又は必要な睡眠の量を他人により削られている人の安眠を促進することができると思われる。刺激手段は、脳が徐波睡眠に対して影響を受けやすくなっている時に適用することができ、そしていつでも止めることができ、それにより、自然な「睡眠慣性(sleep inertia)」以上のフラフラな状態にさせずして、その人を必要に応じて眠りから目覚めさせることができる。
【0006】
詳細には、本発明は、徐波活動を促進するために、脳に周波数約5Hz以下の周期的刺激を与える脳刺激手段(brain stimulator)を提供することで、回復性睡眠の促進のための装置を提供する。
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、上記より、最も安らかな種類の睡眠を促進又は誘発し得る非薬理学的睡眠補助の提供である。
【0008】
本発明はさらに、安静状態の人をモニタリングして脳活動を検出する睡眠モニター(sleep monitor)を含み、この睡眠モニターにより前記脳刺激手段が制御される。
【0009】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、睡眠段階又は除波活動の可能段階のいずれかの自然な脳活動を伴う脳刺激手段(brain stimulation)を調整することにより、脳刺激の効果を改善することである。
【0010】
前記睡眠モニターは、除波活動のあらかじめ決められた量のオンセットから脳刺激手段を作動させる。
【0011】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、脳刺激を適用する実効時間(effective time)を検出する簡単な方法を提供することである。
【0012】
前記脳刺激手段は、経頭蓋磁気刺激デバイス(transcranial magnetic stimulation device)であり得る。
【0013】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、安眠を直接促進することができるような脳への刺激を与える非侵襲的(non-invasive)手段を提供することである。
【0014】
前記経頭蓋磁気刺激デバイスの周波数は5Hz以下である。
【0015】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、ポータブルのTMS型デバイスの利用を促進する低電力の経頭蓋磁気刺激デバイスの使用を可能にすることである。
【0016】
前記睡眠モニターは、安静状態にある人に配置される電極を提供するEEGデバイスである。
【0017】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、刺激の正確な時間測定を提供すること、さらに、処置の有効性を数値化することのできるEEG信号のログ(logging)を可能にすることである。
【0018】
前記装置は、経頭蓋磁気刺激デバイスの刺激用コイル(stimulation coils)及びEEG電極を保持すると共に安静状態の人の頭部に配置されるヘルメット又は同様なデバイスを提供する。
【0019】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、TMSデバイスを正確に配置するとともに脳機能のモニターに使われるセンサを保持する、簡単且つ快適な装置を提供することである。
【0020】
前記装置は、スケジューリングユニット(scheduling unit)をさらに含み、決められた時間間隔後に決められた時間間隔だけ脳刺激手段を停止させ、その後、催眠モニターにより、脳除波刺激手段は更新された睡眠レベルのオンセットから再作動される。
【0021】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、普通の睡眠状態の人が経験する深い睡眠と浅い睡眠の自然なパターンを模倣又は促進する装置を提供することである。
【0022】
前記脳刺激手段は、一実施形態の中で、短調(short tones)などの音声トーン信号であり得る。
【0023】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における目的は、安眠を促進するための非常に簡単且つ低コストであるシステムを提供することである。
【0024】
前記脳刺激手段は、一実施形態の中で、嗅覚神経を周期的に刺激する鼻部アプライアンス(nasal appliance)であり得る。他の実施形態の中では、神経刺激手段(neuron stimulator)として、安静状態の人の皮膚に直接適用される電極を用いてその間に電流を流すことができる。
【0025】
したがって、本発明の少なくとも一つの実施形態における他の目的は、他形態での神経刺激においても柔軟に適用可能なシステムを提供することである。
【0026】
経頭蓋磁気刺激は、安静状態の人の脳の正中線(mid-line)近傍にある感覚運動(sensory-motor)又は頭頂葉皮質(parietal cortex)に適用することができる。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施形態における他の目的は、経験的に決められた位置で刺激を与え、除波活動を増大させることを目的とする。
【0028】
これらの具体的な目的及び利点は特許請求の範囲に記載のあるいくつかの実施形態でのみ適用可能であるものの、これらは発明の範囲を定義するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】TMS刺激手段を用いた 本発明の好ましい実施形態の概略図であり、安静状態の人の頭部の上部に配置されたTMSコイルと、TMS刺激の適当なタイミングを特定するためのEGG信号を受信するコントロールユニットとを示す。
【図2】図1の患者の頭部の横断面の断面図であり、TMS刺激を与える際の好ましい位置を示す。
【図3】バタフライTMSコイルの斜視図であり、安静状態の患者の脳内を貫通する流れの線を示す。
【図4】概略的な除波のEGG波形と、他の神経細胞と結合して除波を生成する個々の神経細胞発火(neuron firing)のモデルである。
【図5】図1に示されるコントローラーにより実行される、TMS刺激手段を制御するプログラムのフローチャートである。
【図6】本発明によるTMS励起の周期中のEEG信号を示すプロット図のセットであり、除波活動の増加を示す。図6はさらにEEG信号の拡大部分を示し、TMSパルスのタイミングと、自発的なEEG信号の上に位置している結果として生じる除波が示されている。
【図7】図1と同様の図であり、TMS刺激の代わりに直流刺激(DC Stimulation)を用いる代替的な実施形態を示す。
【図8】図8(a)及び図8(b)は図1及び図7と同様の図であり、それぞれ嗅覚器官刺激(olfactory stimulation)及び前庭刺激(vestibular stimulation)を示すシステムである。
【図9】図7及び図8と同様の図であり、TMS刺激又は嗅覚器官刺激の代わりに音声トーン(audio tones)を用いる代替的な実施形態を示す。
【図10】周期的音声トーンの適用中に発生する徐波活動を示すプロット図である。
【図11】3つの脳の平面マップのセットであり、音声トーンを適用しない時の徐波活動の強度を示す。
【図12】徐波の周波数帯域の脳波活動のラスタ・データに変換された時間プロット図(rasterized time plot)であり、影は信号振幅を表し、徐波はノンレム段階2の睡眠状態でTMS刺激により誘起されているが、覚醒状態の期間には誘起されないことを示している。
【図13】TMS刺激の期間で整列した異なる睡眠段階における複数のEEG信号のプロット図であり、誘起される徐波の異なる振幅を睡眠段階の関数として示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、本発明の装置10の第一の実施形態は、電源ユニット(power unit)14及びコイル16を有する経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイス12が用いられる。作動中、電源ユニット14内のコンデンサ(capacitors)又は他のエネルギーストレージデバイスのセットが充電され、その後直ぐにリード線(leads)22を介してコイル16に接続され、安静状態の患者18の頭部上部に配置されたコイル16内に電流の単相パルス又は2相パルスを生じさせる。
【0031】
図1を参照すると、電流のパルスは、患者18の脳内に、急速に変化する磁束20(magnetic flux)を誘起する。この変化する磁場は次に、神経細胞活動を刺激する脳組織内に電流を生じさせる。コイル16は、図3に描写されるように、八の字状に屈曲した部分を有し、磁束20を狭い領域に集束させるため、隣接したループに反対磁場を与えるような「バタフライコイル(butterfly coil)」であってもよい。また、単一ループコイルなどの他のコイルを用いることもできる。
【0032】
TMSデバイス12は市販されており、例えば、イギリスの西南ウェールズ地方、ウィットランドにあるマグスティム社より購入できる。
【0033】
図1を再び参照すると、TMSデバイス12は次にコントローラー24により制御され、例えば患者の頭皮部分に配置された電極26からEEG信号を受信する。わずか2個の電極が用いられているが、複数の電極の使用も考えられる。
【0034】
コントローラー24は標準EEG処理回路(standard EEG processing circuitry)を含み、この回路に、増幅器、ゲート回路(gating circuitry)及びフィルターを設けることで、TMSデバイス12により生成されるパルスによる途絶を受けずに連続したEEG信号が提供されるが、このような特徴は本発明において必ずしも必要なものではない。本発明での使用に適したEEG回路は、フィンランドのヘルシンキにあるネクスティム社より入手可能であり、「Eximia」という商品名で販売している。ネクスティム社のデバイスはサンプルのために提供され、またTMS刺激中のEEGのモニタリングに使用するために開発された増幅器が設けられている。
【0035】
EEG信号は、後の説明でわかるように、徐波活動を自動コンピュータ分析するために、時間又は周波数領域でデジタル化され、さらに、後述するログ動作中の記録のためにデジタル化される。このようにして、安静状態の患者18のEEGはモニターされて、後述のようにTMSデバイス12を制御するために用いられる。
【0036】
コントローラー24をEEG電極26に接続する電極リード線(electrode leads)28及び/又は、電極26自身の各部分及び、TMSデバイス12のコイル16は、キャップ30に取り付けられて安静状態の患者18の頭部位置に保持される。キャップ30は、鼻を覆うようなイヤプラグ又はイヤホン(図示せず)であってもよい。
【0037】
図2を参照すると、これまでの好ましい実施形態では、コイル16は、その中心軸32(通常は磁束の突出部の中心に沿ってコイルから頭部へ伸びている)が、脳の正中線近傍の感覚運動又は頭頂葉皮質にある安静状態の患者18の頭部上部(上位側)の位置に入るように配置される。前頭前野は過度の瞬きを促すので回避するが、しかしながら、コイルの新しい設計又は方法により、これらの場所にも同様に配置することが可能となる。理想的な配置場所は個人により異なると予想され、後述のように、TMSデバイス12により生成されるパルスによる、EEG信号が短期間又は長期間で終わるような徐波帯域幅の出力増加への影響をモニターしながら決定することができる。
【0038】
図4を参照すると、コントローラー24から受信されるEEG信号34は、通常、一又は複数の徐波38により中断される背景神経活動(background neural activity)36を示す。徐波は、0.5から5.0Hzの範囲を中心とした低周波数成分により特徴付けられる。個々の神経細胞40の電位に関する研究によると、ほぼ同期して生じる個々の神経細胞の短期間の過分極(hyperpolarization)/脱分(depolarization)42は、EEG信号により検出される徐波38を生成する。シナプスのホメオスタシスを前提として、これらの過分極/脱分極42の期間は脳の神経細胞のシナプスの重量の縮小を起因する。これに関しては、Tononi, Giulio, Cirelli, Chiara著「睡眠機能とシナプスのホメオスタシス」(2006年)Sleep Medicine Reviews10巻49−62ページを参考されたい。
【0039】
覚醒状態では、平均的なシナプスは学習の効能によりその結合が強くなる傾向がある。これにより学習が可能となるが、エネルギー消費量の増大、空間の要求、神経細胞及びシナプスへの生化学的供給の必要性が代償として支払われることとなる。睡眠中、脳内の神経細胞の過分極/脱分極は、広範囲に渡る結合の弱化を生じさせる。この広範囲に渡る結合の弱化は、多くの神経細胞において、前シナプス(pre-synaptic)神経細胞及び後シナプス(post-synaptic)神経細胞間のシナプス強度を、現存の強度に比例して縮小させる。
【0040】
全神経結合のほぼ同割合での弱化は、弱いシナプス結合を切断する傾向があり、それにより神経構造の飽和が減少する。この縮小はさらに、強く結合された神経細胞のエネルギー消費量を低減させ、複数神経細胞結合による空間消費を減少させ、神経信号の信号ノイズ比を全体的に向上させる。
【0041】
神経の縮小が回復性睡眠の主な要素であれば、そして徐波38が神経縮小のメカニズムを描写するのであれば、徐波38の促進が回復性睡眠の効率を改善し得る。
【0042】
図5を参照すると、本発明の第一実施形態におけるコントローラー24は、EEG電極26を介して安静状態の患者18の様々な睡眠段階の進行をモニターする処理ブロック47を実行する内蔵プログラム(stored program)44を実行する。特に、コントローラー24は、4つのノンレム(急速な目の動き)睡眠段階をモニターし、この睡眠段階は浅い眠りから深い眠りへの進行を伴い、また下記のように要約される。
【0043】
段階1は、徐波活動(SWA)を生成させるような化学変化が発生するような非常に浅い眠りの移行期間である。段階1ではノンレム睡眠の約5パーセントが出現する。
【0044】
段階2は、徐波活動の始まりである。段階2ではノンレム睡眠の約45パーセントが出現する。この段階は睡眠紡錘波(spindles)及びK複合波(K-complexes)と呼ばれる波形により特徴付けられ、後者は後の段階においてみられる最大徐波と基本的に同じものであると考えられる。睡眠紡錘波は約12から15Hzの間の周波数成分を有する波であり、記載されるように、K複合波又は徐波は約0.5から5.0Hzの間の周波数成分を有する波である。
【0045】
段階3では睡眠前進(sleep advances)へ移行し、眠りが深くなると共に徐波活動の増加がみられる。
【0046】
最終段階として、段階4は非常に深い眠りであることを特徴とする。ノンレム睡眠のおよそ13パーセントがこの段階で出現する。段階3及び4の間に、K複合波は、徐波と、又は、K複合波とは異りその反応が末梢刺激(peripheral stimuli)により誘発されず自発的に一秒間に1、2回に渡って生じるような周期的振動と、置換される。
【0047】
図5を再び参照すると、処理ブロック47において、プログラム44は、帯域幅0.5から4.0Hzの範囲に集中したEEG信号の出力スペクトルを測定し、その出力を一以上の経験的にあらかじめ決められた閾値と比較することで、安静状態の人の睡眠の段階を推定する。
【0048】
通常、段階2以前では、脳は、脳内の前駆化学物質(antecedent chemical preparation)の欠如により、誘発されるSWAの影響を受けにくいと考えられている。従って、決定ブロック48では、あらかじめ決められた閾段階(threshold stage)、これは段階2以降が好ましい、の発生が検出される。望ましい閾段階へ到達した場合のみ、プログラムは処理ブロック50へと進行し、TMSのスケジュールが入力される。その他の場合は、プログラムは処理ブロック47のモニタリングへ戻る。
【0049】
望ましい閾段階へと到達すると、処理ブロック50のあらかじめ決められたTMSスケジュールが、TMSデバイスの周期的パルス発生に適用され、TMSデバイスが供給するこの周期的パルスは、好ましい実施形態においては0.5から1.0Hzの周波数のパルスであり、又は一般的には、徐波38の帯域幅の上限である5.0Hz以下の周波数であり、そして、刺激による望ましくない影響が生じ得る周波数である。
【0050】
図5及び図6を参照すると、コントローラー24のパルススケジュールに従って、TMS適用間隔(TMS application intervals)56及び56’中にTMSが適用され、それぞれが休止間隔(rest intervals)58の後に選択的に適用され、そしてこのサイクルは、その全てが経験的に決定される段階持続期間(stage duration)61に渡って繰り返される。TMS適用間隔56、56’中、TMSパルス60を適用することで、脳内で増加した徐波活動の関与又は同期化の改善のいずれかの結果として起こる後続の徐波38を生成させる。この促進された徐波活動は、EEGトレース(EEG trace)62よりも小さな振幅と低い周波数を有する自発的な徐波活動と対比される。暫定的な結果によると、徐波38の帯域幅内の出力が、刺激を与えた部位近傍だけでなく頭皮全体に渡って80パーセントから500パーセント増加したことが示される。
【0051】
段階持続期間61が終了すると、閾段階(決定ブロック48で検出される)から低い段階への移行が起こるまで刺激は止まり、プログラムはモニタリングと処理ブロック47及び決定ブロック48での段階の検出とに戻る。刺激は、低い段階から閾段階へ移行するまで休止状態となり、この時間は上記の過程が繰り返される。
【0052】
このようにして、患者は浅い睡眠段階と深い睡眠段階を自然に繰り返し、これに伴う睡眠サイクル2、3及び/又は4はTMSデバイスを用いて増強され、徐波活動のより大きな量が促進される。代替的な実施形態では、刺激を連続的に与えることができる。
【0053】
代替的な実施形態においては、TMS刺激は段階1又は2で開始することができ、これにより眠りの深さを単純に強めるだけでなく、睡眠段階1又は2から深い睡眠段階4への転換の誘発を容易にすることができる。このようにして、総睡眠時間の減少が可能性として起こり、「パワーナップ(power nap)」が作り出される。代替的な実施形態においては、TMS刺激は、睡眠の誘発を促すために覚醒状態から開始することができる。
【0054】
再び図5を参照すると、処理ブロック52で示されるように、処理ブロック47−50中、TMS刺激の有効性の測定のためEEG信号54がログされる。このログ処理はEEG信号54を記録し、さらに徐波帯域幅から出力スペクトルを抽出して、処置パラメーターの改善に使用し得る、処置セッション中に生成される総徐波活動の統計量を与える。処理ブロック52のログ処理はさらにテストモードでも用いることができ、テストモードでは、TMS刺激が生成されて、その個人に適するコイル16の適用位置の決定のために、出力スペクトルが分析される。
【0055】
図7を参照すると、代替的な実施形態では、TMSデバイス12を、脳にいくらかの刺激を与えるような直流を電極67に与える、DC出力源(DC power source)66で置き換えることが可能である。このアプローチでは、TMSパルスは、皮膚を通っておそらく神経系組織にまで伝導して同様な神経細胞の刺激を与えるような短DCパルス(short DC pulse)又はACパルスと置き換えられる。その他の全ての点においては、図7のデバイスは上記と類似の方法で作動する。
【0056】
図8(a)で示されるように、TMSデバイス12は代替的に、嗅覚器官刺激手段68と置き換えることが可能であり、これにより、マスク70を通して患者の鼻孔に周期的に向けられる空気ジェット(air jets)を用いて、嗅覚神経経路又は鼻の触覚神経(tactile nerves of the nose)経路を通して脳に刺激が与えられる。嗅覚神経の刺激は音声又は光による刺激よりも優れており、その理由は、嗅覚神経は睡眠サイクル中に刺激を遮断するような視床により中継されないためである。同様に、図8(b)に示されるように、身体の前庭神経系(vestibular nervous system)は、0.4から0.5Hzの周期性を与えるような、緩やかに促進する睡眠プラットフォーム(sleep platform)71を用いる刺激パス(stimulation path)において使用される。睡眠プラットフォーム71には、望ましい周期で駆動される電磁アクチュエータ(electromagnetic actuators)を、この分野で周知の技法に従い使用することができる。前述と同じく、刺激作用は連続的でもよく、又は、特定の睡眠段階に合わせてもよい。
【0057】
図9を参照すると、代替的な実施形態において、コントローラー24は音声トーン発生器(audio tone generator)80を始動させることができ、例えば、0.4から0.5Hzの頻度で1/4秒程度の短い1キロヘルツのトーンを生成する。音声トーン発生器80はさらに、患者の外耳道又はヘッドホン又は上記のキャップに固定された小型イヤホン82を通して音声信号を与えることができる。音声トーンは、休止間隔58により分離される多数の適用間隔56に渡って繰り返したり、上記の睡眠段階又はEEGデータに合わせたりすることができる。
【0058】
さらに図10を参照すると、徐波の周波数帯域の出力を与えるプロットは、縦線で表わされる音声刺激86中に、徐波活動が増大していることを強く示唆している。ここで示されている刺激のパターンは、異なる実験データを収集するためにわずかに変化されている。
【0059】
図11に示されるように、脳内の徐波活動(濃い影はより多くの徐波活動を表す)は、マップ(map)87における音声トーンが「オン」の時、及び、マップ8における音声トーンが「オフ」の時の両方で生じるが、このような徐波活動は、脳マップ87及び88間の差異を表す脳マップ90により示されるように、音声トーンがオンの時に実質的に増加する。現時点では音声トーンは徐波活動を増加させると考えられるが、結果として現れる徐波活動は、TMS刺激より得られる脳の刺激とは密接な位相関係(phase relationship)は示していない。
【0060】
図12及び図13を参照すると、EEG信号54の期間92中(後続のTMS刺激は時間94で発生する)、TMS刺激のタイミングに関連した重要な徐波活動の発生があり、これは期間92の徐波の最初の上方向の立ち上がりピークにより顕在化する。図11及び図12の両方から明らかなように、この誘起される反応はノンレム睡眠中のみに生じ、覚醒状態では生じない。
【0061】
図12を参照すると、誘起される徐波活動の量は、ノンレム睡眠段階1からノンレム睡眠段階3−4へと進行すると共に増加し、覚醒状態では極端に低いか又は存在しない。
【0062】
この密接した段階、又は、TMS刺激と結果として生じる徐波の振幅との間の時間関係は、本発明が人の意識状態の検出及び数値化のためにも使用することができる可能性を高める。この点で、本発明は麻酔学の分野で応用され得る。その様な応用においては、医療労働者は図1に関して記載された発明を使用することができ、例えば、手術室で、コントローラー24が、TMSデバイス12による一つ一つの刺激の後の脳波を分析することで個人の意識状態を評価する。その様なデバイスでは、コントローラー24を用いて、TMS刺激直後に、決められた時間窓(window of time)、例えば0.5秒間、徐波の周波数範囲内の出力を評価し、さらにその窓内の徐波の出力又は振幅を用いて、意識状態の数値的測定を提供する。
【0063】
付加的な分析及び開示は、「経頭蓋磁気刺激による睡眠徐波の開始」(2007年5月15日、PNAS、104巻No.20,8496−8501ページ)に含まれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明は明細書に含まれる実施形態又は図に限定されず、実施形態の一部分及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むような次の特許請求の範囲内の実施形態の修正を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回復性睡眠を促進する装置(10)であって、徐波活動を促進させるために、5Hz以下の周波数での周期的な脳の刺激のための脳刺激手段((14、16)、(68、70)、(68、71)、(66、67)、(80、82))を備える装置。
【請求項2】
前記装置は、脳活動を検出するために安静状態の人をモニタリングする睡眠モニター(24、26)をさらに備え、前記脳刺激手段は、前記睡眠モニターによって制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記睡眠モニターは、徐波活動(38)の決められた量のオンセットで前記脳刺激手段を活性化させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記脳刺激手段((80、82)、(68、71))は、音声刺激及び前庭刺激で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記脳刺激手段は、経頭蓋磁気刺激デバイス(14、16)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記経頭蓋磁気刺激デバイスのコイルを、安静状態の人の脳の正中線近傍にある感覚運動/頭頂葉皮質に配置する、位置決め器具(positioner)(30)を含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記経頭蓋磁気刺激デバイスは、1Hz以下の周波数で脳を刺激することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記睡眠モニターは、安静状態の人に配置されるとともに睡眠/覚醒活動の決められたレベルを検出する電極を設けるEEGデバイス(24、26)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、EEGの記録及び前記脳刺激手段による脳の周期的な刺激の時間の表示を行う電子データログ(52)を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電子データログは、5Hz以下の周波数の出力の測定を提供することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、安静状態の頭部に配置された前記経頭蓋磁気刺激デバイスの刺激コイル(16)と、EEG電極(26)を保持する頭部アプライアンス(head appliance)(30)とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、決められた間隔後に前記脳刺激手段の作動を停止させるための配列ユニット(sequencing unit)をさらに含み、前記睡眠モニターがその後、更新された睡眠レベルのオンセットで前記脳刺激手段を再作動させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、決められた間隔後に前記脳刺激手段の作動を停止させるための配列装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記脳刺激手段は、音声パルスを供給する音声発生器(80、82)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記脳刺激手段は、鼻に周期的な刺激を与える鼻部アプライアンス(nasal appliance)(68、70)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記鼻部アプライアンスは、周期的な空気の突発波を与えることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記脳刺激手段は、少なくとも2つの電極(66、67)を設け、そのうちの少なくとも1つは安静状態の人の皮膚に適用されて、2つの間に電流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
回復性睡眠を促進する方法であって、5Hz以下の周波数の経頭蓋磁気刺激を安静状態の人に周期的に適用して、安静状態の人の脳内にEEG徐波活動を促進させる段階を備える方法。
【請求項19】
前記方法は、決められた睡眠レベルで周期的に適用される前記経頭蓋磁気刺激を開始する段階をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、決められた間隔後に前記経頭蓋磁気刺激を停止させる段階をさらに含み、これにより睡眠レベルの更新後のオンセットで前記経頭蓋磁気刺激の更新がされることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記経頭蓋磁気刺激を周期的に停止させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記睡眠レベルは、徐波活動の決められた量のオンセットにより特徴付けられることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記経頭蓋磁気刺激は、安静状態の人の脳の正中線近傍にある感覚運動/頭頂葉皮質に適用されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
意識状態を評価する装置であって、
徐波活動を誘起する脳の周期的経頭蓋磁気刺激のための脳刺激手段と、
前記周期的刺激後に徐波活動をモニタリングして、そのような徐波活動の関数として意識状態を測定するEEGモニターとを備える装置。
【請求項1】
回復性睡眠を促進する装置(10)であって、徐波活動を促進させるために、5Hz以下の周波数での周期的な脳の刺激のための脳刺激手段((14、16)、(68、70)、(68、71)、(66、67)、(80、82))を備える装置。
【請求項2】
前記装置は、脳活動を検出するために安静状態の人をモニタリングする睡眠モニター(24、26)をさらに備え、前記脳刺激手段は、前記睡眠モニターによって制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記睡眠モニターは、徐波活動(38)の決められた量のオンセットで前記脳刺激手段を活性化させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記脳刺激手段((80、82)、(68、71))は、音声刺激及び前庭刺激で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記脳刺激手段は、経頭蓋磁気刺激デバイス(14、16)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記経頭蓋磁気刺激デバイスのコイルを、安静状態の人の脳の正中線近傍にある感覚運動/頭頂葉皮質に配置する、位置決め器具(positioner)(30)を含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記経頭蓋磁気刺激デバイスは、1Hz以下の周波数で脳を刺激することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記睡眠モニターは、安静状態の人に配置されるとともに睡眠/覚醒活動の決められたレベルを検出する電極を設けるEEGデバイス(24、26)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、EEGの記録及び前記脳刺激手段による脳の周期的な刺激の時間の表示を行う電子データログ(52)を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電子データログは、5Hz以下の周波数の出力の測定を提供することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、安静状態の頭部に配置された前記経頭蓋磁気刺激デバイスの刺激コイル(16)と、EEG電極(26)を保持する頭部アプライアンス(head appliance)(30)とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、決められた間隔後に前記脳刺激手段の作動を停止させるための配列ユニット(sequencing unit)をさらに含み、前記睡眠モニターがその後、更新された睡眠レベルのオンセットで前記脳刺激手段を再作動させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、決められた間隔後に前記脳刺激手段の作動を停止させるための配列装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記脳刺激手段は、音声パルスを供給する音声発生器(80、82)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記脳刺激手段は、鼻に周期的な刺激を与える鼻部アプライアンス(nasal appliance)(68、70)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記鼻部アプライアンスは、周期的な空気の突発波を与えることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記脳刺激手段は、少なくとも2つの電極(66、67)を設け、そのうちの少なくとも1つは安静状態の人の皮膚に適用されて、2つの間に電流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
回復性睡眠を促進する方法であって、5Hz以下の周波数の経頭蓋磁気刺激を安静状態の人に周期的に適用して、安静状態の人の脳内にEEG徐波活動を促進させる段階を備える方法。
【請求項19】
前記方法は、決められた睡眠レベルで周期的に適用される前記経頭蓋磁気刺激を開始する段階をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、決められた間隔後に前記経頭蓋磁気刺激を停止させる段階をさらに含み、これにより睡眠レベルの更新後のオンセットで前記経頭蓋磁気刺激の更新がされることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記経頭蓋磁気刺激を周期的に停止させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記睡眠レベルは、徐波活動の決められた量のオンセットにより特徴付けられることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記経頭蓋磁気刺激は、安静状態の人の脳の正中線近傍にある感覚運動/頭頂葉皮質に適用されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
意識状態を評価する装置であって、
徐波活動を誘起する脳の周期的経頭蓋磁気刺激のための脳刺激手段と、
前記周期的刺激後に徐波活動をモニタリングして、そのような徐波活動の関数として意識状態を測定するEEGモニターとを備える装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−504843(P2010−504843A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530603(P2009−530603)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/079747
【国際公開番号】WO2008/039930
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390023641)ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フオンデーシヨン (61)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/079747
【国際公開番号】WO2008/039930
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390023641)ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フオンデーシヨン (61)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】
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