説明

回折格子を使用するセキュリティ印刷

【課題】文書、クレジットカード及びパッケージにおける、セキュリティ目的の超顕微鏡的、ホログラフィック及び他の形態の回折格子を含む回折格子パターン及びsイメージを使用する処理システムを提供する。
【解決手段】セキュリティ製品を形成する方法であって、上下の面を有し、セキュリティ製品の構成要素である基材のシートを用意する。基材の上面の少なくとも一部に回折格子を形成し、金属インク6がホログラフィック格子上に印刷され、ホログラフィック回折格子を光反射性にし、回折格子はフィルム状支持体の両側で見える。続いて、さらなる色8を、従来のやり方で、通常の印刷処理速度でインライン印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷装置及びそれらから得られる製品に関する。特に、本発明は、支持体に適用される、ホログラムのような回折格子に関する。より具体的には、本発明は、超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子に関する。
【0002】
特に文書、クレジットカード及びパッケージにおける、セキュリティ目的の超顕微鏡的、ホログラフィック及び他の形態の回折格子を含む回折格子パターン及びsイメージの使用が一般的になった。しかし、そのような一般的な使用にもかかわらず、パターン及びイメージの使用は高価であり、一つの処理でパターン又はイメージの製造を伴い、第二の別々の処理で、そのパターン又はイメージを所期の基材、書類又は物品、たとえば銀行券、小切手、商品券、クレジット/デビットカード、セキュリティブランド保護及び無保護ラベルシステム及びパッケージ品に転写、接着又は積層する。
【0003】
ホログラムのような三次元光回折パターンは、感光性媒体上で二つのコヒーレント光線が互いに有限角で干渉する結果である。一方の光線が参照光線であり、他方の光線が、そのイメージが記録される物体と相互作用する。得られるホログラムは、ホログラフィー媒体の表面変化として記録されたイメージ情報を有する。その後、より硬い転写マスタープレートを作ってレプリカホログラフィーイメージを形成する。
【0004】
手作業又はコンピュータで相関させた、コヒーレント光に露光したフォトレジストコーティングしたフロートガラスプレートに基づいて超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子を顕微鏡的縞模様の形態で生じさせる多くの方法がある。これは、元の超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子生成をコピーすることによって製造される。超顕微鏡的構造を保持する転写プレートを使用して、ニッケルから金属マスターコピーを製造する。そして、電鋳法によってプレート又はシムの後続の生成を成長させることができる。
【0005】
米国特許第4,913,858号は、ホログラフィック回折パターンイメージをプラスチックフィルム中又は基材のプラスチックコーティング上にエンボス加工する一つの方法を開示している。基材には、熱可塑性の特性を有する感熱性材料のコーティングを供給し、加熱シリンダを単独で又は赤外線ヒータと組み合わせて使用して加熱してコーティングを軟化させたのち、エンボス加工して回折格子を形成する。次いで、金属のコーティングを回折格子に付着させることにより、コーティング面を金属化する。このような方法から得られる回折パターンは、格子を形成するためのエンボス加工ローラに加えられる過剰な圧による格子のゆがみのせいで、欠陥があるものになるおそれがあり、あるいは、感熱性材料が加熱を受けすぎると、コーティングの一部がエンボス加工ローラに接着する。ホログラフィック回折格子の場合には明らかに、格子のゆがみはホログラムイメージの質に悪影響を及ぼす。
【0006】
米国特許第4,728,377号は、支持層、支持層を覆う剥離コート、剥離コートよりも感熱性が低い、剥離コートにかぶさる熱可塑性材料の一つ以上の層及び熱可塑性層の表面に接着された金属箔の層を有する積層シート材料を開示している。回折格子を形成するためには、ダイを箔に型押する。次いで、箔を接着剤で覆い、積層シートを裏返し、加熱した加圧プレートを使用して、回折格子が付着される物品に押し当てると、シート材のうち加圧プレートの下の区域だけが物品に接着し、剥離コートの溶融によって支持層から分離する。支持層を基材から剥がすと、箔及び熱可塑性層が加圧プレートの縁に沿って破断する。
【0007】
米国特許第5,087,510号は、レリーフ模様のポリマー基材に無電解めっきされたレリーフ模様の金属面を有するホログラムを開示している。
【0008】
これらの文献はすべて、金属層を形成して鏡のような光沢を提供し、加熱エンボス加工部材を使用して表面のレリーフ模様がエンボス加工され、イメージの可視性を改善することを記載している。不連続な金属化パターンが望まれるならば、表面全体を金属化したのち、酸のような適当なエッチング剤を使用して不要な金属をエッチング除去する。その後、別々の作業で、ホログラムを所期の書類又は物品に接着又は積層する。
【0009】
本明細書で上述した方法は、光沢効果を得るためにかなりの金属付着を要し、また、付着された金属層のせいで、イメージは、基材の非金属化面からしか見ることができない。
【0010】
米国特許第5,549,774号は、シートを加熱ニッケルエンボス加工シムと高圧で押し合わせることによって形成される、エンボス加工パターンを有する透明又は半透明なフィルム状シートの片面に金属インクを付着させたのち、別々の作業で、視覚情報を有する裏地シートをエンボス加工シートに接着することを開示している。
【0011】
上記のように、高圧及び熱の適用は回折格子の完全性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0012】
裏地シート、すなわちホログラムが適用される基材をエンボス加工フィルム状シートに接着する別々の作業が製造速度を低下させ、エンボス加工材料の不正確な配置を防ぐためにはエンボス加工フィルム状シートと裏地シートとを注意深く整合させなければならないため、さらなる難題を生じさせることがある。
【0013】
さらには、米国特許第5,549,774号に記載されているような、フィルム状シートをエンボス加工するための高圧及び熱の適用は製造速度を著しく低下させる。製造業者は、従来技術に伴う問題を解決することを長らく求めてきたが、ほとんど又は全く成功していない。
【0014】
有利なことに、本発明は、従来技術に伴う問題の一つ以上を解決又は軽減する。
【0015】
本発明の第一の態様にしたがって、セキュリティ製品を形成する方法であって、
a)上下の面を有し、セキュリティ製品の構成要素である基材のシートを用意する工程、
b)基材の上面の少なくとも一部に回折格子を形成する工程、及び
c)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程
を含む方法が提供される。
【0016】
有利なことに、本発明は、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子を支持体表面に直接転写又は金属化し、かつ高い生産性及び低いコストでそれを実施する製造方法を提供する。
【0017】
本発明のさらなる態様にしたがって、セキュリティ製品を形成する方法であって、
a)上下の面を有する基材のシートを用意する工程、
b)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程、及び
c)金属インクの少なくとも一部に回折格子を形成する工程、
を含む方法が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様にしたがって、支持体上にホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)支持体の少なくとも一部に硬化性化合物を塗布する工程、
b)硬化性化合物の少なくとも一部を回折格子形成手段と接触させる工程、
c)硬化性化合物を硬化させる工程、及び
d)硬化した化合物の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程
を含む方法が提供される。
【0019】
本発明のさらなる態様にしたがって、従来の印刷装置を回折格子形成手段とともに使用して支持体に印刷するインライン法であって、
a)支持体の不連続な部分に回折格子を形成する工程、及び
b)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程
を含む方法が提供される。
【0020】
さらには、回折格子を、ホログラフィーイメージが適用される支持体に直接見当合わせして形成することが有利であろう。
【0021】
本発明のさらなる態様にしたがって、セキュリティ製品を形成するための、印刷機及び回折格子形成手段を含む装置が提供される。
【0022】
印刷機は、
a)フィードシステム、
b)印刷されるイメージを運ぶための手段、
c)インクを塗布するための手段、
d)インクを乾燥又は硬化させるための手段、
e)印刷されたセキュリティ製品を運ぶための手段
の一つ以上を含むことができる。
【0023】
フィードシステムは、シート又はウェブフィードシステムであってもよい。
【0024】
イメージを運ぶための手段は、シリンダのセット又はプレートを含むことができる。グラビア印刷を使用する一つの実施態様では、イメージを運ぶための手段は、使用されるカラーインクごとに彫刻イメージをそれぞれが運ぶ複数のシリンダを含む。色を付着/塗布するための各シリンダ又はプレートが印刷ユニットと呼ばれる。いかなる数の印刷ユニットがあってもよい。しかし、好ましくは1〜10個である。
【0025】
印刷されたセキュリティ製品を運ぶための手段は、シートを積み重ねる又は完成したリールを保持するための送出しシステムを含むことができる。
【0026】
上記方法はすべて、後で基材又は支持体を着色インクで印刷することを含むことができる。あるいはまた、方法はすべて、基材又は支持体を着色インクで印刷する前工程を含むことができる。
【0027】
一つの実施態様では、基材又は支持体は紙である。
【0028】
本発明のさらなる態様にしたがって、支持体上にホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)金属インクを硬化性化合物と混合した組成物を支持体の少なくとも一部に付着させる工程、
b)組成物の少なくとも一部に回折格子を形成する工程
を含む方法が提供される。
【0029】
本発明のさらなる態様にしたがって、ホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)基材のシートを用意する工程、
b)基材の少なくとも一部に剥離コーティングを付着させる工程、
c)コーティングした基材の少なくとも一部に硬化性化合物を付着させる工程、
d)硬化性化合物の少なくとも一部に回折格子を形成する工程、
e)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程、及び
f)金属インクの少なくとも一部に接着剤を付着させる工程
を含む方法が提供される。
【0030】
本発明は、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子を転写し、インクを印刷することにより、支持体又は基材の少なくとも一方の面から見ると、形成した超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージを呈する複合シートを形成する方法を提供する。
【0031】
完成したパターン又はイメージは、金属インクで完全に印刷されることもできるし、イメージ又はパターンの部分的金属化効果を可能にする程度のインク密度を有することもでき、それにより、セキュリティ製品、たとえば身分証明書類、たとえばパスポート、IDカード、運転免許証又は他の証明書類、製薬用衣服、ソフトウェア、コンパクトディスク、タバコ及び偽造もしくは模造されやすい他の製品での使用のために、フィルム状又は紙支持体に適用された場合、印刷又は文字をイメージ越しに容易に見て、それらの製品を不正な転換、転用、すなわち、ある市場で売られるべき製品を入手し、それを別の市場で売ること又は模造から保護することができる。
【0032】
超顕微鏡的イメージ、ホログラフィック又は他の回折格子は、支持体の表面に対し、特定に見当合わせして又は後で追加の印刷ユニットをさらに見当合わせするためにランダムに転写することができる。
【0033】
ひとたび金属インクの重ね刷りによってイメージ/パターンが見えるようになると、そのイメージ/パターンは、はじめに剥離コートを付着させたのち回折格子及び従来の方法で箔押されたフィルム状又は紙ベースの支持体を形成することによる以外、別の表面に再び転写することはできない。
【0034】
金属インクは、支持体に対して反射性バックグラウンドを提供する。好ましくは、反射性バックグラウンドを提供するのに十分なインクは、従来の狭い又は幅広いウェブ印刷機で1回のパスで付着させる。印刷機は、好ましくは、超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子を転写するための装置をインラインで含む。
【0035】
本明細書で、インラインとは、留め合わされた同じ機械で一つの作業を実施し、直後に次の作業を実施する1パスでの印刷と定義される。オフラインは、別の設備で実施される全く別々の工程と定義される。
【0036】
一つの実施態様では、支持体は前印刷される。支持体の前印刷は、他の専用印刷設備で別々にオフラインで実施することもできるし、本発明の装置でインラインで実施することもできる。
【0037】
本発明の方法及び装置における使用に適した金属インクの例が、Wolstenholme International社によって出願された同時係属出願に開示されている。
【0038】
好ましくは、支持体に付着される場合の金属インクの厚さは、光を透過させるのに十分な薄さである。したがって、金属インクは、支持体に対し、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターンもしくはイメージの上に、その回折格子パターン又はイメージを支持体の上下の面越しに見ることができるように印刷することができる。
【0039】
好ましくは、その後、金属化イメージ又はパターンを担持する支持体を、印刷された画像及び/又は文字の上に重ねるか、支持体を画像及び/又は文字で前印刷し、金属化イメージ又はパターンをその上に付着させると、それらの印刷された特徴を、支持体及び/又は金属インクでコーティングされた回折格子又はイメージ越しに見ることができる。
【0040】
好ましくは、金属化イメージ又は回折格子の厚さは、光の透過範囲の光学濃度を提供するような厚さである。金属インクの層の光学濃度は、以下の表に示すマクベス濃度計によって計測することができる。
【0041】
【表1】

【0042】
好ましくは、光透過率は少なくとも30%である。より好ましくは、光透過率は少なくとも50%であり、もっとも好ましくは80%である。
【0043】
装置は、支持体を絶えず動かすための手段、たとえば支持体フィーダを含むことができる。支持体は、任意のシート材料を含むことができる。支持体は、実質的に透明、半透明又は不透明であることができる。支持体は、紙、フィルム状材料又は金属、たとえばアルミニウムを含むことができる。支持体は、一つ以上のシートの形態又はウェブの形態にあることができる。
【0044】
支持体は、注型、圧延、吹込み成形、押出し及び/又は二軸押出しすることができる。
【0045】
支持体はポリマー化合物を含むことができる。支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンプロパフィルム、ポリ塩化ビニル、硬質PVC、セルロース、トリアセテート、アセテートポリスチレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリル及びポリエーテルイミド板を含む群から選択される一つ以上を含むことができる。ポリエチレンテレフタレート支持体は、Melenexタイプフィルム延伸ポリプロピレン(DuPont Films、米デラウェア州Willimingtonから入手可能、製品ID Melinex HS-2)であってもよい。
【0046】
支持体は、木材パルプ又は綿又は合成上質繊維から製造された紙を含むことができる。紙は、コーティング、圧延又は機械つや出しされていてもよい。
【0047】
支持体上への回折格子の形成は、支持体の少なくとも一部に硬化性化合物を付着させることを含むことができる。グラビア又はフレキソ印刷によってラッカーを付着させてもよい。硬化性ラッカーは、紫外線(UV)又は電子ビームによって硬化させることができる。好ましくは、ラッカーはUV硬化させる。UV硬化ラッカーは、Kingfisher Ink社(製品紫外線タイプUFV-203)又は類似のものから得ることができる。
【0048】
UV光源はランプを含むことができる。ランプは、200〜450ワットの範囲の出力を有することができる。
【0049】
好ましくは、UVランプは、回折格子形成手段の上又は中に配置される。
【0050】
一つの実施態様では、印刷されたラッカーの表面への超顕微鏡的ホログラフィック回折格子イメージ又はパターンの転写の速度は、硬化用ランプの出力にしたがって変化する。好ましくは、転写速度は、毎時10メートル〜20,000メートルの範囲内、より好ましくは毎時18,000メートルである。ラッカーと接触している間に、支持体の上面に配置された紫外線硬化性ラッカーの表面に超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子が形成する。
【0051】
金属インクは、従来の印刷機、たとえばグラビア、輪転グラビア、フレキソ、リトグラフ、オフセット、凸版及び/又はスクリーン法もしくは他の印刷法によって支持体に塗布することができる。そして、支持体を、後段での後続のオフライン印刷のために巻き戻してもよいし、あるいはまた、インラインもしくはオフラインで前印刷する、又は後でインラインで印刷してもよい。
【0052】
金属系インクは、金属顔料粒子及びバインダを含むことができる。
【0053】
金属顔料粒子は適当な金属を含むことができる。粒子は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニクロム、金、銀、白金及び銅を含む群から選択される一つ以上を含むことができる。好ましくは、粒子は金属フレークを含む。
【0054】
金属インクは、当業者に公知の手段によって調製することができる。好ましくは、厚さ12ミクロンの透明な担体フィルム、たとえば米デラウェア州WillimingtonのDuPont Filmsから入手可能な幅2メートルのポリエチレンテレフタレート(製品ID Melinex HS-2)を、DuPontから得られるアクリル樹脂イソブチルメタクリレート(製品ID Elvacite 2045)でグラビアコーティングし、熱風によって乾燥させる。第二の作業で、アクリル樹脂コーティングしたフィルムをロール間真空チャンバによってアルミニウムめっきコーティングする。印刷されたアクリル樹脂コーティング上に蒸着されるアルミニウム層の付着速度及び厚さは、製造中、光学濃度の連続的なモニタリングによって正確に制御される。真空蒸着の作業範囲は、厚さ100〜500オングストロームの範囲であることができ、好ましい厚さは、厚さ190〜210オングストロームの範囲である。
【0055】
光学濃度は、マクベス濃度計で計測して0.2〜0.8の範囲であることができる。好ましくは、範囲は0.5〜0.8である。より好ましくは、光学濃度は、マクベス濃度計で計測して0.7である。
【0056】
金属層は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニクロム、金、銀、白金又は真空蒸着によって蒸着又はスパッタリングもしくは電子ビーム付着によって適用することができる他の金属を含むことができる。好ましくは、金属層はアルミニウムを含む。
【0057】
アルミニウム層は、酢酸エチルを含有する槽にアクリル樹脂支持層を溶解させることによって担体フィルムから剥離させることによって除去することができる。そして、樹脂溶液中に粗いフレークの形態で得られるアルミニウムを多段遠心分離処理で洗浄してアクリル樹脂を除去することができる。粗いアルミニウムフレークを酢酸エチルと混合し、高剪断混合処理によって分解して、制御された粒度分布を得る。平均粒径は、Coulter LS130レーザー回折粒度計による計測で、8〜15ミクロンの範囲であることができ、好ましい範囲は9〜10ミクロンである。
【0058】
超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージが透明なフィルム状支持体の第一及び第二の両面ならびに紙支持体の第一の面ではっきりと見えるようにするために、好ましくは、アルミニウム又は他のフレークは、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージの表面波長の輪郭と整合して、フレークが回折格子の輪郭と適合し、それをたどるような方法で印刷される。
【0059】
回折格子波長の輪郭、すなわち超顕微鏡的輪郭の山と山又は谷と谷の間の距離へのフレークの整合を達成するために、特殊な配合の金属インクは、好ましくは、非常に低いバインダ含量、高い顔料:バインダ比及び、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージへの表面の良好なインクの接着を維持することと矛盾しない、好ましくは9〜10ミクロンの範囲の、非常に薄いアルミニウムフレークを有する。
【0060】
バインダは、ニトロセルロース、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体、ビニル、アクリル、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、テルペンフェノール、ポリオレフィン、シリコーン、セルロース、ポリアミド、ロジンエステル樹脂を含む群から選択される一つ以上を含むことができる。好ましいバインダは、50%ニトロセルロース(Nobel Industriesによって供給されるIDニトロセルロースDHL120/170及びニトロセルロースDLX30/50)50%ポリウレタン(Aveciaによって供給されるID Neorez U335)である。溶媒は、エステル/アルコールブレンド、好ましくは、20:1〜30:1の酢酸n−プロピル及びエタノールであることができる。
【0061】
好ましい顔料:バインダ比は、重量比で、1.5:1〜3.0:1、好ましくは2.5:1である。インクの金属顔料含有率は、2重量%〜4重量%の範囲、好ましくは3重量%であることができる。
【0062】
回折格子形成手段は、シム又はシームレスローラを含むことができる。シム又はローラは、適当な材料、たとえばニッケル又はポリエステルから製造することができる。
【0063】
好ましくは、ニッケルシムは、ニッケルスルファメート電気めっき法によって製造される。超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子を保持するフォトレジストガラスプレートの表面は、高純度の銀で真空金属化又は吹付けすることができる。そして、プレートをニッケルスルファメート溶液に入れ、一定の期間、ニッケル分子を銀コーティングしたフォトレジストの表面に付着させてマスタコピーを得る。後続のコピーは、複写のためのイメージの転写、紫外線ポリエステルシムへの転写又はシームレスローラの製造に使用することができる。
【0064】
ポリエステルシムは、ポリエステルを紫外線硬化性ラッカーでコーティングし、マスタイメージをコンタクトコピーし、転写したイメージを紫外線によって硬化させることによって製造することができる。
【0065】
シームレスシリンダは、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージを上に有する金属化転写フィルムを使用し、それを、接着剤をコーティングされたシリンダに固定し、転写することによって製造することができる。金属化転写フィルムは、ニップを介してローラに接着することができる。そして、接着剤を、好ましくは熱によって硬化させることができる。ひとたび硬化すると、転写フィルムを除去して、超顕微鏡的又はホログラフィック回折パターン又はイメージをシリンダ、すなわちローラの表面に有する金属化層を残す。シリンダが完全に覆われるまでこれを繰り返す。そして、このシリンダを注型管に入れ、シリコーンで注型して型を作ることができる。超顕微鏡的イメージは、イメージと接するシリコーンの内面に成形することができる。
【0066】
ひとたびシリコーンが硬化すると、型を取り出し、第二の注型管に入れることができる。そして、注型ローラを型に入れ、硬質樹脂を注型し、好ましくは熱で硬化させる。ひとたび硬化すると、シリコーンの内面のイメージが樹脂シリンダの外面に転写しているローラを型から取り出すことができ、このローラは、シリンダの表面の超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージを支持体の第一の面に印刷された紫外線硬化性ラッカーの表面に転写するために使用することができ、その後、金属インクで印刷される。
【0067】
もう一つの実施態様では、シリンダを、紫外線硬化性樹脂により、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージを有する透明な転写フィルムを紫外線樹脂の表面にニップを介して配置した状態でコーティングし、そのコーティングを紫外線で硬化させる。そして、シリンダを上記のように注型し、使用して、超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子パターン又はイメージを支持体の第一の表面に印刷された紫外線硬化ラッカーの表面に直接転写することができる。あるいはまた、その後、従来の印刷器具上オフラインで、支持体を金属インクで印刷してもよい。
【0068】
支持体の上面は、不連続に見当合わせした状態、すなわち、文書などの上にすでにある他の印刷と見当合わせした状態で、又は文書などの上の位置で金属インクで印刷して、他の後続の印刷がイメージ/パターンとして非見当合わせ位置で、又は不連続な見当合わせ及び/又は非見当合わせ位置でストライプとして、又は支持体表面全体で起こるようにしてもよい。そして、支持体をニップローラに通し、超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子パターン又はイメージをシリンダの表面に固定したニッケル又はポリエステルシムの形態で有するシリンダまで通過させることができる。好ましい実施態様では、イメージ又はパターンをシームレスシリンダ上に保持して、超顕微鏡的パターン又はイメージを上に有するシリンダによって転写の精度を改善することができるようにする。そして、シム又はシームレスローラの表面を紫外線ラッカー露出面に接触させることにより、超顕微鏡的回折又はホログラフィック格子をシム又はシームレスローラから紫外線ラッカー露出面に転写することができる。紫外線光源は、フィルム状支持体の上面から露光することができ、紫外線への露光によって即座にラッカーを硬化させる。紫外線光源は、シリンダの中に配置された200ワット〜450ワットの範囲のランプであることができ、印刷された紫外線ラッカーを通して硬化させ、転写された超顕微鏡的又はホログラフィック回折格子を固定する。
【0069】
次に、実施例及び図面を参照しながら本発明の具体的な実施態様を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】金属インクを重ね刷りされた直接紫外線硬化性ラッカーを使用して本発明の超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子を製造する方法の略図である。
【図2】図1の方法を逆にした方法の略図である。
【図3】紫外線硬化性金属インクを使用して本発明の超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子を製造する方法の略図である。
【図4】図3の方法を逆にした方法の略図である。
【図5】インラインで追加されたエンボス加工部を有する従来の印刷法の略図である。
【図6】インラインで追加されたエンボス加工部を有する従来の印刷法の略図である。
【図7】図3、4及び6に示す略図の斜視図である。
【図8】超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子を本発明の支持体に見当合わせして製造する方法の略図の斜視図である。
【図9】非エンボス加工性支持体を使用して超顕微鏡的、ホログラフィック又は他の回折格子を形成する方法の略図の斜視図である。
【図10】回折格子を非エンボス加工性支持体に見当合わせして製造する方法の略図の斜視図である。
【図11】回折格子を見当合わせせずに形成する方法の略図の斜視図である。
【図12】本発明の一つの実施態様の略断面図である。
【図13】本発明の一つの実施態様の略断面図である。
【0071】
実施例1 特殊な配合の金属インク(フィルム)で重ね刷りされる直接紫外線硬化性ホログラフィー印刷
図1を参照すると、フィルム状支持体、たとえばOPP又はPET(1)が、その上面を紫外線硬化性ラッカー(2)で印刷される。ホログラフィック格子を上に有するニッケルシム(4)により、ホログラフィック回折格子がラッカー(2)の表面に注型される(3)。通常の処理速度で、回折格子の形態のホログラフィーイメージがラッカーに付与され、シム(4)に配置されたUVランプによって即座に硬化させられる。ホログラフィーイメージは格子の複写である。金属インク(6)がホログラフィック格子上に印刷され(7)、ホログラフィック回折格子を光反射性にし、回折格子はフィルム状支持体の両側で見える。続いて、さらなる色(8)を、従来のやり方で、通常の印刷処理速度でインライン印刷することができる。
【0072】
代替態様では、フィルム状支持体(1)に代えて紙/板支持体を用いる。このような材料は実質的に不透明であり、したがって、ホログラフィーイメージは、上面から見た場合にしか見えない。
【0073】
実施例2 上記実施例1の逆(フィルム)
図2に示すように、フィルム状支持体(1)が、従来のやり方で、多数のカラーインクで印刷される。次に、たとえばCerutti R950プリンタ(Cerrutti、英国オックスフォードシャー州Long Hanboroughから市販)(8)を使用して、支持体(i)は、フィルム状支持体(1)の表面を紫外線硬化性ラッカー(2)で印刷される。ホログラフィック格子を上に有するニッケルシム(4)により、ホログラフィック回折格子がラッカー(2)の表面に注型され(3)、ホログラフィーイメージがラッカーに付与され、UVランプ(図示せず)によって即座に硬化させられて(5)、シムに配置された格子の複写になる。金属インク(6)がホログラフィック格子上に印刷され(7)、ホログラフィック回折格子を光反射性にし、回折格子はフィルム状支持体の両側で見える。
【0074】
代替態様では、フィルム状支持体(1)に代えて紙/板支持体を用いる。このような材料は実質的に不透明であり、したがって、イメージは、上面から見た場合にしか見えない。
【0075】
もう一つの実施態様では、UV硬化性ラッカーに代えて電子ビーム硬化性ラッカーを用い、UVランプに代えて電子ビーム放射装置を用いる。
【0076】
実施例3 直接UV(紫外線硬化性インク)
図3を参照すると、適合性支持体表面への輪転グラビア/フレキソ法をはじめとする標準の印刷及びコーティング設備を使用して、金属インクのUV硬化性種が見当合わせ状態及び/又は非見当合わせ状態で支持体(1)に印刷される。エンボス加工シム、ダイ又はシリンダが金属化インク(2)と直接接触させられる。インクは、液状であるうちに、UV光源(3)を使用して、エンボス加工シム、ダイ又はシリンダが金属インクと直接接触しているうちに、UVタイプエンボス加工機を使用して支持体を介して実質的に瞬時にフラッシュ硬化させられる。エンボス加工シム、ダイ又はシリンダの表面張力よりも大きい支持体の表面張力がインクをエンボス加工シムではなく支持体に接着させ、硬化状態で、今や支持体表面に組み込まれた金属化インク内で表面レリーフ特性、完全性、ホログラフィック、回折又は他の超顕微鏡的構造もしくはマイクロテクスチャの性質及び効果を複製し、保持する。
【0077】
実施例4 上記実施例3の逆
図4は、金属インクのUV硬化性種の使用を示す。UVタイプエンボス加工エンジンが使用される。インクは、輪転グラビア/フレキソ法をはじめとする標準の印刷及びコーティング設備を使用して、見当合わせ状態又は非見当合わせ状態で、適合性支持体表面に印刷される(1)。エンボス加工シム、ダイ又はシリンダが金属化インク(2)と直接接触させられる。インクは、液状であるうちに、UV光源(3)を使用して、エンボス加工シム、ダイ又はシリンダが金属化インクと直接接触しているうちに、支持体を介してフラッシュ(実質的に瞬時に)硬化させられる。エンボス加工シム、ダイ又はシリンダの表面張力よりも大きい支持体の表面張力がインクをエンボス加工シムではなく支持体に接着させ、硬化状態で、今や支持体の表面に組み込まれた金属化インク内で表面レリーフ特性、結着性、ホログラフィック、回折又は他の超顕微鏡的構造もしくはマイクロテクスチャの性質及び効果を複製し、保持する。
【0078】
実施例5 インライン印刷
図5は、従来の印刷機輪転グラビア、フレキソ又は類似の印刷機が、追加されたさらなる作業部を有することができることを示す。この作業部は、予備金属化材料が鋼シリンダと強靱ではあるが弾性なローラとの間でエンボス加工される場合にはハードな、材料が鋼シリンダと軟らかく弾性なローラとの間でエンボス加工されたのち、金属化され、UV又は電子ビーム硬化させられる場合にはソフトなエンボス加工部(1)である。天然/未加工フィルム/支持体のいずれかのエンボス加工可能なフィルム(2)、たとえば同時押出しBOPP、ポリオレフィン、ポリエステル及びセルロース又は予備コーティング/ラッカー塗装されたものを使用する。まず、支持体をエンボス加工し(第一の作業部)(1)、次に、特殊な配合の金属インクを使用して印刷して(第二の作業部)(3)金属化効果を生じさせる。同じ印刷機で従来の印刷(4)を実施することもできる。インクは通常のインクのような配合であるため、従来の印刷法を使用することができる。金属インクの印刷は、ライン上のどこかで実施すればよい。エンボス加工の直後である必要はない。たとえばシート又はウェブをマークして、そのマークを印刷オペレータ(5)が認識することができるようにするインデクシングマシンのためのエンコーダがエンボス加工区域に配置され、エンボス加工ヘッドが指定領域のイメージを有するならば、刷版の見当合わせを達成することができる。金属インクの印刷は、ソリッド、半透明などであることができ、得られる効果は、印刷機の1回のパスで、見当合わせ状態又は非見当合わせ状態で金属化、半金属化、脱金属化及び通常のカラー印刷を達成することができることである。特殊な配合の金属インクは、フィルムのいずれの側にも印刷することができるが、一般には、ホログラフィーエンボス加工イメージ/パターンを封じ込めて、何らかの充填剤、たとえば液体、グリース、溶媒、ラッカー、インク又は他の表面汚染物もしくは何らかの異物と接触した場合でもそれが完全なままであるように、エンボス加工側に対して印刷される。
【0079】
実施例6 デュアルインライン印刷
従来の印刷機輪転グラビア、UVフレキソなどは、追加されたさらなる作業部を有することができ、これは、ハード、ソフト電子ビーム又はUVのいずれかであるエンボス加工部である。既存の印刷部(2)を利用する、又はさらなる印刷部(2)を追加して、ホログラフィーエンボス加工可能な実質的に透明なコーティングを、支持体の全面に、部分的又は見当合わせ状態(後続のエンボス加工及び/又は印刷/コーティング部によって後で再び見当合わせするため)で印刷、コーティング、被着させることができる(このコーティング/ラッカーは一般に、ニトロセルロース系であり、溶媒蒸発性である)。すると、この区域は、エンボス加工を受ける用意ができ、予備コーティング/ラッカー塗装されたフィルム/支持体の必要性がなくなる。
【0080】
図6は、はじめにコーティング/ラッカー塗装され(第一の作業部)(2)、次にエンボス加工されたのち(第二の作業部)(1)、第三の従来の(3)グラビア/フレキソ印刷部を使用して特殊な配合の金属化インクを印刷されて反射性の銀金属化効果を生じさせる支持体が、支持体/フィルムのエンボス加工側に印刷されることを示す。そして、他のインクの印刷を通常どおり実施することができる(4)。特殊な配合の金属インクは、フィルムのいずれの側にも印刷することができるが、一般には、ホログラフィーエンボス加工イメージ/パターンを封じ込めて、何らかの充填剤、たとえば液体、グリース、溶媒、ラッカー、インク又は他の表面汚染物、たとえば液体、グリース、溶媒、ラッカー、インクもしくは他の表面汚染物又は何らかの異物と接触した場合でもそれが完全なままであるように、エンボス加工側に対して印刷される。
【0081】
実施例7 転写
図7は、インラインで塗布/コーティングされるか、意図的であろうとなかろうとフィルム/支持体の設計/構造の一部である剥離コートを有するフィルムがエンボス加工され(図5/6/8のように)、次いで見当合わせ状態又は非見当合わせ状態で金属インクで印刷され(1)、次いで接着剤(2)が再び全面又はエンボス加工イメージと見当合わせ状態で塗布され、次いで種々の支持体(紙、板、フィルム)に積層される(3)。ひとたび接着剤がイン/オンライン又はオフラインで硬化すると、フィルムを剥がし(4)、支持体(5)上にエンボス加工された金属区域を残すことができ、その後、この転写区域を重ね刷りして、適合性インクが使用されるか、印刷受容コーティングが塗布されてインクキーを支援して、再びこれをイン、オン又はオフラインで製造することができる。
【0082】
実施例8 オフライン(見当合わせ)印刷
図8は、ハード、ソフト電子ビーム又はUVエンボス加工機のいずれかを使用して支持体をエンボス加工する方法の概略である。これは、支持体(1)をエンボス加工しシリンダ(2)及びニップローラ(3)に通すことによって実施され、エンボス加工シリンダ(2)は、金属又はプラスチックでできたエンボス加工シムを有するか、シリンダ(4)上に直接、ホログラフィー/回折又は彫刻イメージ(5)を有し、熱及び圧又はUV硬化エンボスイメージ(6)を種々の支持体中に有している。見当合わせマーク(7)がエンボス加工シリンダ上にあるならば、これもまた、支持体(8)上にエンボス加工する。そして、支持体は、従来の印刷機上、特殊な配合の金属インクを使用して印刷される。特殊な配合の金属インクは、固形物として印刷して完全な金属化効果を得ることもできるし、異なるコート重量で印刷して異なるタイプの効果、すなわち半金属化(HRI効果)などを得ることもできる。支持体は、全面に印刷することもできるし、見当合わせマーク(8)が支持体上にエンボス加工されているため、特殊な配合の金属インクを、エンボス加工イメージ及び通常印刷イメージと見当合わせした状態で、指定区域に印刷することもできる。転写支持体がエンボス加工されるならば、配合金属インクの印刷ののち、支持体を、紙、板、フィルム及び金属箔に対する「転写金属化」に使用することができる。
【0083】
実施例9 見当合わせエンボス加工
ホログラフィー/回折エンボス加工区域/イメージを印刷及び/又はラッカー塗装区域に見当合わせする又はその逆を行うことは、二つの方法を使用して実施することができる。
【0084】
1.標準天然エンボス加工可能フィルム/支持体の使用
フィルムは、エンボス加工シリンダを後続の印刷シリンダに電子的に見当合わせし、調節する又はその逆を行うことにより、あるいは、エンボス加工シム/シリンダに組み込まれたホログラフィー的、化学的にエッチング又は彫刻された見当合わせマークにより、見当合わせ状態でエンボス加工したのち、印刷/重ね刷りすることもできるし、前印刷したのち、印刷区域とで見当合わせしてインライン、オンライン又はオフラインでエンボス加工することもでき、その後、これは、フィルムにエンボス加工されたとき白/グレーの見当合わせマークを造り出す。したがって、反射性又は伝達性の電子制御フォトセルによるその後の見当合わせ及び指定区域への印刷によってエンボス加工部を機械システム構造のどこにでも配置することを可能にするために、金属インク印刷の前に、これは、ホログラフィー/回折エンボス加工区域への反射性バックグラウンドとして使用される。
【0085】
2.非エンボス加工可能フィルム/支持体に対するラッカー/コーティングの使用
I.後続のエンボス加工及び印刷のために通常は非エンボス加工可能なフィルム/支持体に対する明澄/透明なエンボス加工可能なコーティング/ラッカーの使用を容易にする。後続のエンボス加工及び/又は印刷のために、明澄/透明なエンボス加工可能なコーティング/ラッカーをフィルム/支持体の全面に印刷する。(図9を参照)。
【0086】
II.(図10)後続のエンボス加工及び印刷のために通常は非エンボス加工可能なフィルム/支持体に対する明澄/透明なエンボス加工可能なコーティング/ラッカーの使用を可能にする。見当合わせについて、インクジェットプリンタ/エンコーダの使用は、エンボス加工可能なコーティング/ラッカーの印刷に使用される印刷部(1)に組み込まれ、ひとたびエンボス加工可能なコーティング/ラッカー区域が印刷されると(2)、インクジェットプリンタ/エンコーダが、印刷シリンダ/スリーブ/プレート(4)に組み込まれた見当合わせマーク(3)、ノッチ、スペースなどに見当合わせし、ひとたび見当合わせマークを検出する電子フォトセルによって起動されると、インクジェットプリンタ(5)が、エンボス加工可能なラッカー/コーティング区域(2)への後の見当合わせ及びエンボス加工(7)のため、ならびにさらに先のさらなる印刷部(8)による後続の見当合わせのために、電子/コンピュータ制御されて見当合わせマーク(6)をフィルム/支持体に印刷する。
【0087】
実施例10 オフライン(非見当合わせ状態)印刷
図11は、ソフト、ハード又はUVエンボス加工機を使用して支持体にエンボス加工する方法の略図である。これは、支持体(1)をエンボス加工シリンダ(2)及びニップローラ(3)に通すことによって実施され、エンボス加工シリンダ(2)は、金属又はプラスチックでできたエンボス加工シムを有するか、シリンダ(4)上に直接、ホログラフィー/回折又は彫刻イメージ(5)を有し、熱及び圧又はUV硬化エンボスイメージ(6)を種々の支持体中に有している。そして、支持体は、従来の印刷機上、特殊な配合の金属インクを使用して印刷される。インクは、固形物として印刷して完全な金属化効果を得ることもできるし、異なるコート重量で印刷して異なるタイプの効果、すなわち半金属化(HRI効果)などを得ることもできる。支持体は、全面に印刷することもできるし、見当合わせマーク(8)が支持体上にエンボス加工されているため、特殊な配合の金属インクを、エンボス加工イメージ及び通常印刷イメージと見当合わせした状態で、指定区域に印刷することもできる。転写支持体がエンボス加工されるならば、配合金属インクの印刷ののち、支持体を、紙、板、フィルム及び金属箔に対する「転写金属化」に使用することができる。
【0088】
図12を参照すると、フィルム支持体100、UV硬化性ラッカー102及び金属インク106を上に印刷されたホログラフィック又は他の超顕微鏡的回折格子104ならびに第一の面108及び第二の面110を見ることができる。
【0089】
図13を参照すると、紙支持体120、UV硬化性ラッカー122及び金属インク126を上に印刷されたホログラフィック又は他の超顕微鏡的回折格子124があり、イメージは、第一の面128を通してのみ見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティ製品を形成するための、印刷機及び回折格子形成手段を含む装置。
【請求項2】
印刷機が、
a)フィードシステム、
b)印刷されるイメージを運ぶための手段、
c)インクを塗布するための手段、
d)インクを乾燥又は硬化させるための手段、及び
e)印刷されたセキュリティ製品を運ぶための手段
のいずれか一つ以上を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
フィードシステムがシート又はウェブフィードシステムを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
イメージを運ぶための手段が少なくとも一つのシリンダ又はプレートを含む、請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
イメージを運ぶための手段が複数のシリンダを含む、請求項4記載の装置。
【請求項6】
各シリンダが彫刻イメージを運ぶ、請求項5記載の装置。
【請求項7】
複数の印刷ユニットを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
印刷されたセキュリティ製品を運ぶための手段が、シートを積み重ねる又は完成したリールを保持するための送出しシステムを含むことができる、請求項2〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
印刷機が、回折格子を支持体に転写するための装置をインラインで含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
セキュリティ製品を形成する方法であって、
b)上下の面を有する基材のシートを用意する工程、
c)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程、及び
d)金属インクの少なくとも一部に回折格子を形成する工程
を含む方法。
【請求項11】
支持体上にホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)支持体の少なくとも一部に硬化性化合物を塗布する工程、
b)硬化性化合物の少なくとも一部を回折格子形成手段と接触させる工程、
c)硬化性化合物を硬化させる工程、及び
d)硬化した化合物の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程
を含む方法。
【請求項12】
従来の印刷装置を回折格子形成手段とともに使用して支持体に印刷するインライン法であって、
a)支持体の不連続な部分に回折格子を形成する工程、及び
b)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程
を含む方法。
【請求項13】
支持体上にホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)金属インクを硬化性化合物と混合した組成物を支持体の少なくとも一部に付着させる工程、
b)組成物の少なくとも一部に回折格子を形成する工程
を含む方法。
【請求項14】
ホログラフィック回折格子を形成する方法であって、
a)基材のシートを用意する工程、
b)基材の少なくとも一部に剥離コーティングを付着させる工程、
c)コーティングした基材の少なくとも一部に硬化性化合物を付着させる工程、
d)硬化性化合物の少なくとも一部に回折格子を形成する工程、
e)回折格子の少なくとも一部に金属インクを付着させる工程、及び
f)金属インクの少なくとも一部に接着剤を付着させる工程
を含む方法。
【請求項15】
回折格子がホログラフィーイメージの構成要素である、請求項10〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
回折格子を支持体に付着させる、請求項10〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
支持体が、パスポート、IDカード、運転免許証、コンパクトディスク又はパッケージを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
回折格子を、支持体の表面に対し、特定に見当合わせして又は後で追加の印刷ユニットをさらに見当合わせするためにランダムに転写する、請求項15、16又は17記載の方法。
【請求項19】
支持体に付着される場合の金属インクの厚さが、光を透過させるのに十分な薄さである、請求項10〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
光透過率が少なくとも30%である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
光透過率が少なくとも50%である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
光透過率が少なくとも80%である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
付着される場合の金属インクの光学濃度が光透過範囲である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
光学濃度が、マクベス濃度計によって計測して0.2〜0.8の範囲である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
光学濃度が0.5〜0.8の範囲である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
光学濃度が0.7である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
支持体がシート材料を含む、請求項16又は17記載の方法。
【請求項28】
支持体が実質的に透明、半透明又は不透明である、請求項16、17又は27記載の方法。
【請求項29】
支持体が紙、フィルム状材料又は金属を含む、請求項16、17、27又は28記載の方法。
【請求項30】
支持体を注型、圧延、吹込み成形、押出し及び/又は二軸押出しする、請求項16、17、27〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
支持体が少なくとも一つのポリマー化合物を含む、請求項16、17、27〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
支持体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンプロパフィルム、ポリ塩化ビニル、硬質PVC、セルロース、トリアセテート、アセテートポリスチレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリル及びポリエーテルイミド板を含む群から選択される一つ以上を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
支持体が、木材パルプ、綿又は合成上質繊維から製造された紙を含む、請求項16、17、27〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
紙がコーティング、圧延又は機械つや出しされている、請求項33記載の方法。
【請求項35】
支持体上に回折格子を形成する工程が、支持体の少なくとも一部に硬化性組成物を付着させることを含むことができる、請求項16、17、27〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
硬化性組成物がラッカーである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
硬化性組成物をグラビア又はフレキソ印刷によって付着させる、請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
硬化性ラッカーが紫外線(UV)又は電子ビームによって硬化可能である、請求項35、36又は37記載の方法。
【請求項39】
転写速度が毎時10メートル〜20,000メートルの範囲である、請求項10〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
転写速度が毎時18,000メートルである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
硬化性組成物が支持体に配置されるとき回折格子が硬化性組成物の表面に形成される、請求項35〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
金属インクを従来の印刷機によって支持体に塗布する、請求項10〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
支持体をインラインで前印刷する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
支持体をオフラインで前印刷する、請求項42記載の方法。
【請求項45】
支持体を後でインライン印刷する、請求項42記載の方法。
【請求項46】
金属インクが金属顔料粒子及びバインダを含む、請求項10〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
顔料粒子が、アルミニウム、ステンレス鋼、ニクロム、金、銀、白金及び銅を含む群から選択される一つ以上を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
顔料粒子の厚さが100〜500オングストロームの範囲である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
顔料粒子の厚さが190〜210オングストロームの範囲である、請求項48記載の方法。
【請求項50】
金属インクが、非常に低いバインダ含有量及び高い顔料:バインダ比を有する、請求項46〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
回折格子を形成するための手段がシム又はシームレスローラを含む、請求項10〜50のいずれか1項記載の方法。
【請求項52】
請求項10〜51のいずれか1項記載の方法を使用して得ることができるホログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−201312(P2011−201312A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−128850(P2011−128850)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【分割の表示】特願2006−538947(P2006−538947)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(506163766)プリンテック・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PRINTETCH LIMITED
【Fターム(参考)】