説明

回線交換装置、着信制御方法

【課題】MSC/VLRに保持されているプロファイルが消失している状態において着信があった場合、LTE通信中の移動通信端末に対する着信処理が失敗してしまうという問題を回避する。
【解決手段】MSC/VLR1において、配下の基地局制御装置に対応する3G網エリアに対する着信要求があった場合に、LTE網エリアの交換機であるMME3のアドレスを取得するためのアドレス取得要求をHLR6へ送信する。その応答によりMME3のアドレスを取得した場合、その取得したアドレスを用いて、LTE網エリアに対する着信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回線交換装置、着信制御方法に関し、特に移動通信端末に対する着信処理を行う回線交換装置、着信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速なデータトラフィックの増大及びコンテンツ大容量化に対応するため、高速化、低遅延、周波数効率向上を目的にLTE(Long Term Evolution)の導入が進められている。このLTEにおいて、音声(Voice over Internet Protocol;VoIP)サービスの提供についてはIMS(IP Multimedia Subsystem)の導入が必須であるなどの理由により、早期の導入は困難である。そこで、音声発着信時にCS−FB(CS-Fallback)動作を行う方式の導入が進められている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0003】
CS−FBは、音声発着信時に、LTE網による通信サービスの利用から3G(3rd Generation)網による通信サービスの利用に切替えることで、3G−CS(Circuit Switching:回線交換)ドメインを用いて音声サービスを提供するための仕組みである。このCS−FBについて、図10を参照して説明する。
図10を参照すると、本システムは、3G網における回線交換機(Mobile Switching Center;MSC)の機能および加入者プロファイルを一時的に保持するレジスタ(Visitor Location Register;VLR)の機能を有するMSC/VLR1と、このMSC/VLR1に対応して設けられた基地局制御装置(Radio Network Controller;以下、RNCと略称する)2と、LTE網における交換機として機能するMME(Mobility Management Entity)3と、MME3に対応して設けられたeNodeB4とを備えている。本システムによる通信サービスを利用できるのは、例えば携帯電話機などの移動通信端末5である。
【0004】
MSC/VLR1は、図示せぬ発信元からの呼すなわち着信呼があった場合、着信処理を行う。また、MSC/VLR1は、図示せぬHLR(Home Location Register )に記憶されている加入者プロファイルのうち、自装置の配下の基地局制御装置に対応する3G網エリアに在圏している移動通信端末についての加入者プロファイルを保持する。この加入者プロファイルを確認することにより、移動通信端末が3G網に在圏しているかLTE網に在圏しているかについて、判断することができる。
【0005】
RNC2は、図示せぬ無線基地局を制御することによって、3G網における3G網エリアを実現する機能を有している。eNodeB4は、LTE網におけるLTE網エリアを実現する機能を有している。
移動通信端末5は、LTE網エリアに在圏している場合にLTEを利用する通信を行うことができ、3G網エリアに在圏している場合に3G網を利用する通信を行うことができる。
【0006】
図10の通信システムにおいて、移動通信端末5がLTE網エリアに在圏してデータ通信を利用している時、図示せぬ他の通信端末から移動通信端末5に対する音声着信が発生すると(S101)、MSC/VLR1からMME3を経由してLTE網エリアに在圏中の移動通信端末5に対する呼出が行われる(S102、S103)。呼出を受けた移動通信端末5は、CSによる音声サービス着信であることを識別し、MME3に応答を返す(S104)。その後、LTE網から3G網に無線を切り替えるため(LTE網から3G網へのHandOver)、MME3からeNodeB4に対して無線切替指示を送信する(S105)。
【0007】
このようにLTE網から3G網への無線切替が行われた後、呼出に対する移動通信端末5からの応答がMSC/VLR1に送信される(S106)。その後の処理は全てMSC/VLR1において行われる。
以上の動作について、更に図11を参照して説明する。図11は、上述した図10の通信システムにおける着信時の処理を示すシーケンス図である。図11において、移動通信端末(Mobile Terminal;MT)5がLTE網エリアに在圏してデータ通信を利用している時、他の通信端末から移動通信端末5に対する音声着信が発生すると(S101)、MSC/VLR1、MME3、eNodeB4を経由してLTE網エリアに在圏中の移動通信端末5に対する呼出が行われる(S102、S103a、S103b)。呼出を受けた移動通信端末5は、eNodeB4を経由して、MME3に応答を返す(S104a、S104b)。その後、MME3からeNodeB4に対して無線切替指示を送信する(S105)。
【0008】
LTE網から3G網への無線切替が行われた後、移動通信端末5からの応答がRNC2を経由してMSC/VLR1に送信される(S106a、S106b)。その後は既存の処理になり、図示せぬ発信元の通信端末とMT5との間で音声通話が行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】田中 威津馬 他 「LTEと3G回線交換サービスの連携を実現するCS Fallback機能」NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル VOL.17 NO.3、[online]、平成21年10月、NTT DOCOMO、[平成23年2月17日検索]、インターネット<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol17_3/vol17_3_015jp.pdf>
【非特許文献2】3GPP TS 23.272 Circuit Switched fallback in Evolved Packet System ; Stage 2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
CS−FBを採用した場合、MSC/VLR1に、加入者プロファイルが保持されていれば、上述した動作が行われ、LTE網による通信中であっても音声呼の着信を受けることができる。
ところで、MSC/VLR1の故障や保守作業などによって加入者プロファイルが消失し、加入者プロファイルがMSC/VLR1に保持されていない状態が生じることがある。このような状態が生じても、その後の位置登録の際に加入者プロファイルが復旧される。すなわち、移動通信端末の位置登録は定期的に行われるため、その位置登録の際に加入者プロファイルがMSC/VLR1に保持される。
【0011】
しかしながら、MSC/VLR1の故障や保守作業などによって加入者プロファイルが保持されていない状態が生じてから、次の位置登録のタイミングまではMSC/VLR1に、加入者プロファイルが保持されていない状態が継続することになる。この状態の継続中に着信があった場合、その着信呼を救済することはできないという問題がある。
本発明は上述した背景技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的はCS−FBが採用されている通信システムにおいて、故障や保守作業などによってMSC/VLRに加入者プロファイルが保持されていない状態においても、着信呼を正常に処理することのできる回線交換装置、着信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による回線交換装置は、自装置の配下の基地局制御装置に対応する3G網エリアに対する着信要求があった場合に、LTE網エリアの交換機であるMMEのアドレスを取得するためのアドレス取得要求を送信するアドレス取得要求送信部と、前記アドレス取得要求に対する応答により前記MMEのアドレスを取得した場合に、その取得したアドレスを用いて、LTE網エリアに対する着信処理を行う着信制御部と、を含むことを特徴とする。この構成によれば、故障や保守作業などによってMSC/VLRに加入者プロファイルが保持されていない状態においても、着信呼を正常に処理することができる。
【0013】
また、前記着信制御部は、前記LTE網エリアに対する着信処理を行う際、前記3G網エリアに対する着信処理も行うようにしてもよい。このようにすれば、どちらの網に在圏している場合であっても着信処理を継続させることができる。
【0014】
本発明による着信制御方法は、3G網エリアに対する着信要求があった場合に、着信処理を行うために用いる、LTE網エリアの交換機であるMMEのアドレスが保持されているか判断する第1のステップ(例えば、図8中のステップS2に対応)と、前記第1のステップによる判断の結果、前記MMEのアドレスが保持されていない場合に、HLRに問い合わせを行う第2のステップ(例えば、図8中のステップS4に対応)と、前記第2のステップによって取得された前記MMEのアドレスを用いてLTE網エリアに対する着信処理を行う第3のステップ(例えば、図8中のステップS5およびS7に対応)とを含むことを特徴とする。この方法によれば、故障や保守作業などによってMSC/VLRに加入者プロファイルが保持されていない状態においても、着信呼を正常に処理することができる。
【0015】
また、前記第3のステップにおいて、前記LTE網エリアに対する着信処理を行う際、前記3G網エリアに対する着信処理も並行して行うようにしてもよい(例えば、図8中のステップS7’に対応)。このようにすれば、どちらの網に在圏している場合であっても着信処理を継続させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、MSC/VLRに保持されているプロファイルが消失している状態において着信があった場合、在圏MME情報をHLRに問い合わせ、取得した情報を元に呼出を実施することにより、着信呼を救済することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による回線交換装置を含む通信システムの構成および3G網に呼出を行う場合を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による回線交換装置を含む通信システムの構成およびLTE網に呼出を行う場合を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による回線交換装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図4】図1の通信システムにおいて3G網に呼出を行う場合の動作を示すシーケンス図である。
【図5】図2の通信システムにおいてLTE網に呼出を行う場合の動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の他の実施形態による回線交換装置を含む通信システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】図1および図2の通信システムの処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】図6の通信システムの処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】CS−FBにおける着信機能の概要を説明する図である。
【図11】CS−FB処理の概要を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(実施の形態)
本発明の実施形態による回線交換装置では、CS−FBが導入されている場合において、着信があった時、MSC/VLRに、加入者プロファイルが保持されているか確認が行われる。この確認の結果、加入者プロファイルが保持されていれば、その加入者プロファイルの内容に従って呼出(ページング)が行われる。
しかしながら、着信があった時、MSC/VLRに、加入者プロファイルが保持されていないと判断された場合、MSC/VLRによる加入者プロファイルのリストア(restore)処理が行われる。このリストア処理は、HLRへ、加入者プロファイルの問合せを行い、取得した加入者プロファイルをMSC/VLRに、保持させる処理である。
【0019】
(通信システム)
上記回線交換装置であるMSC/VLRを用いた通信システムの動作について、図1および図2を参照して説明する。図1において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、加入者プロファイルが保持されていないと判断された場合にリストア処理が起動され、MSC/VLR1からHLR6へ、加入者プロファイルの問合せが行われる(S101a)。具体的には、着信対象の移動通信端末の加入者番号に対応するMMEアドレスの問合せが行われる。この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが無い(記憶されていない)ことが確認できた場合、MSC/VLR1から3G網エリアに対して呼出が行われる(S107)。すなわち、RNC2経由で3G網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出が行われる。この呼出自体は既存処理である。呼出に対し、移動通信端末5から応答が送信されると(S108)、MSC/VLR1は応答を受信して移動通信端末5についての認証を行う。以後は既存処理により、移動通信端末5は音声通信を行うことができる。
【0020】
また、図2において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、加入者プロファイルが保持されていないと判断された場合にリストア処理が起動され、MSC/VLR1からHLR6へ、図1の場合と同様に加入者プロファイルの問合せが行われる(S101a)。この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが有る(記憶されている)ことが確認できた場合、その取得したMMEアドレスを用いてMME3に対する呼出要求(Paging Req)が送信される(S102)。これにより、eNodeB4経由でLTE網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出が行われる(S103)。この呼出に対し、移動通信端末5から応答が送信されると、RNC3経由でMSC/VLR1が応答を受信する(S106)。その後、移動通信端末5は音声通信を行うことができる。
【0021】
(MSC/VLR)
ここで、図3を参照して、MSC/VLR1の機能構成例について説明する。図1を参照して説明した処理を実現するため、MSC/VLR1は、図3に示されているように、各種の情報を記憶する記憶部11と、MMEのアドレスを取得するためにHLRに対して加入者プロファイルの取得要求を送信するアドレス取得要求送信部12と、HLRから取得したアドレスを用いて、LTE網エリアに対する着信処理を行う着信制御部13と、他の装置との通信処理を制御する通信制御部14とを備えている。このMSC/VLR1は、回線交換を行うMSCの機能とHLRに保持されている情報の一部がテンポラリとして保持されるVLRの機能とを備えている。
【0022】
記憶部11の記憶領域には、移動通信端末の加入者についてのプロファイル情報である加入者プロファイルを保持するための加入者プロファイル保持部11aが存在している。この加入者プロファイル保持部11aにMMEアドレスが保持されていれば、その移動通信端末はLTE網エリアに在圏している、と判断することができる。一方、加入者プロファイル保持部11aにMMEアドレスが保持されていなければ、その移動通信端末はLTE網エリアに在圏していない、と判断することができる。
【0023】
(通信システムの動作)
ここで、図4および図5を参照して、本実施形態による通信システムの動作について説明する。
図4は、本実施形態による通信システムの図1の場合の動作を示すシーケンス図である。図4において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、MSC/VLR1はHLR6へ、加入者プロファイルの問合せを行う(S101a)。具体的には、MMEアドレスの問合せを行う。この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが無いことが確認できた場合、MSC/VLR1はRNC2経由で3G網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出を行う(S107a、S107b)。この呼出に対し、移動通信端末5からRNC2経由でMSC/VLR1へ応答が送信されると(S108a、S108b)、MSC/VLR1は移動通信端末5について認証を行い、以後は既存処理となる。以上の処理により、移動通信端末5は音声通信を行うことができる。
【0024】
図5は、本実施形態による通信システムの図2の場合の動作を示すシーケンス図である。図5において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、MSC/VLR1はHLR6へ、加入者プロファイルの問合せを行う(S101a)。具体的には、MMEアドレスの問合せを行う。この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが有ることが確認できた場合、MSC/VLR1はMMEアドレスを用いてMME3に呼出要求(Paging Req)を送信する(S102)。
【0025】
その後、MME3はeNodeB4経由でLTE網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出を行う(S103a、S103b)。この呼出に対し、移動通信端末5がMME3に応答を返すとMME3からeNodeB4に対して無線切替指示が送信され、LTEから3Gへの無線切替が行われる(図示せず)。その後、移動通信端末5から応答が送信されると、RNC3経由でMSC/VLR1が受信する(S106a、S106b)。以後は既存処理となり、移動通信端末5は音声通信を行うことができる。
【0026】
以上のように、MSC/VLRに保持されているプロファイルが消失している状態において着信があった場合、在圏MME情報(MMEアドレス)をHLRに問い合わせ、取得した情報を元に呼出を実施することにより、着信呼を救済できる。
(他の実施形態)
ところで、図2および図5を参照して説明したLTE網エリアに対する着信処理を行う際、3G網エリアに対する着信処理も並行して行うようにしてもよい。その場合の動作について、図6を参照して説明する。
【0027】
図6において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、加入者プロファイルが保持されていないと判断された場合にリストア処理が起動され、MSC/VLR1からHLR6へ、加入者プロファイルの問合せが行われる(S101a)。具体的には、着信対象の移動通信端末の加入者番号に対応するMMEアドレスの問合せが行われる。
【0028】
この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが有る(記憶されている)ことが確認できた場合、MSC/VLR1はその取得したMMEアドレスを用いてMME3に対する呼出要求(Paging Req)を送信する(S102)。これにより、eNodeB4経由でLTE網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出が行われる(S103)。また、MME3に対する呼出要求の送信と並行して、MSC/VLR1はRNC2経由で3G網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出を行う(S107)。
【0029】
このように、LTE網エリアに対する着信処理を行う際、3G網エリアに対する着信処理も並行して行えば、MSC/VLR1は移動通信端末5から応答を受信することができる(S106)。また、移動通信端末5からMME3に応答を返し(S104)、LTEから3Gへの無線切替が行われた後、MSC/VLR1は移動通信端末5から応答を受信することができる(S108)。つまり、移動通信端末5が3G網、LTE網のどちらのエリアに在圏していても、移動通信端末5はMSC/VLR1からの呼出を受信し(S103、S107)、音声通信を行うことができる。
【0030】
なお、以上の処理を実現するには、図3を参照して説明したMSC/VLR1内の着信制御部13が、LTE網エリアおよび3G網エリアに対して並行して着信処理を行うようにすればよい。
さらに、シーケンス図を参照して説明する。図7は、本実施形態による通信システムの図6の場合の動作を示すシーケンス図である。
【0031】
図7において、図示せぬ他のMSCを経由して着信があった時(S101)、MSC/VLR1はHLR6へ、加入者プロファイルの問合せを行う(S101a)。具体的には、MMEアドレスの問合せを行う。
この問合せに対する応答(S101b)により、HLR6にMMEアドレスが有る(記憶されている)ことが確認できた場合、MSC/VLR1はその取得したMMEアドレスを用いてMME3に対する呼出要求(Paging Req)を送信する(S102)。これにより、MSC/VLR1はeNodeB4経由でLTE網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出を行う(S103a、S103b)。また、MME3に対する呼出要求の送信と並行して、MSC/VLR1はRNC2経由で3G網エリアに在圏している移動通信端末5に対して呼出を行う(S107a、S107b)。
【0032】
これらの呼出に対し、移動通信端末5は、LTE網エリアに在圏している場合の処理A、または、3G網エリアに在圏している場合の処理Bを行う。
LTE網エリアに在圏している場合の処理Aにおいては、MME3からの呼出に対し、移動通信端末5は、eNodeB4を経由して、MME3に応答を返す(S104a、S104b)。その後、MME3からeNodeB4に対して無線切替指示を送信する(S105)。
【0033】
LTEから3Gへの無線切替が行われた後、移動通信端末5からの応答がRNC2を経由してMSC/VLR1に送信される(S106a、S106b)。その後は既存の処理になり、図示せぬ発信元の通信端末とMT5との間で音声通話が行われる。
一方、3G網エリアに在圏している場合の処理Bにおいては、MSC/VLR1からの呼出に対し、移動通信端末5は、RNC2を経由して、MSC/VLR1に応答を返す(S108a、S108b)。その後は既存の処理になり、図示せぬ発信元の通信端末とMT5との間で音声通話が行われる。
【0034】
(変形例)
上述した通信システムにおいては、MSCの機能とVLRの機能とを同じ装置で実現する場合について説明したが、これらの機能が別々の装置で実現されていてもよい。
上述した通信システムにおいては、MSC/VLRとRNCとが一対一に対応している場合について説明したが、MSC/VLRに対して複数のRNCが対応していてもよい。
上述した通信システムにおいては、MMEとeNodeBとが一対一に対応している場合について説明したが、MMEに対して複数のeNodeBが対応していてもよい。
【0035】
(着信制御方法)
図1〜図5を参照して説明した通信システムのMSC/VLRにおいては、以下のような着信制御方法が採用されている。すなわち、図8のように、着信があるか判断が行われ(ステップS1)、着信があった場合は加入者プロファイルが保持されているか判断される(ステップS2)。加入者プロファイルが保持されている場合は、CS−FB処理が行われる(ステップS3)。一方、加入者プロファイルが保持されていない場合は、HLRへの問合せが行われ(ステップS4)、MMEアドレスが無ければ(取得されなければ)、3G網へ呼出が行われる(ステップS5→S6)。一方、HLRへの問合せによってMMEアドレスが取得されれば、LTE網へ呼出が行われる(ステップS5→S7)。
【0036】
以上のように、呼出を行う前にHLRからMMEアドレスを取得し、MME経由で着信処理を行うことにより、移動通信端末がLTE網のエリアに在圏している場合でも、着信呼による処理を継続させることができる。
また、図6および図7を参照して説明した通信システムのMSC/VLRにおいては、以下のような着信制御方法が採用されている。すなわち、図9のように、着信があるか判断が行われ(ステップS1)、着信があった場合は加入者プロファイルが保持されているか判断される(ステップS2)。加入者プロファイルが保持されている場合は、CS−FB処理が行われる(ステップS3)。一方、加入者プロファイルが保持されていない場合は、HLRへの問合せが行われ(ステップS4)、MMEアドレスが無ければ(取得されなければ)、3G網へ呼出が行われる(ステップS5→S6)。一方、HLRへの問合せによってMMEアドレスが取得されれば、LTE網および3G網へ呼出が行われる(ステップS5→S7’)。
以上のように、LTE網および3G網の両方に対する呼出を行うことにより、移動通信端末がどちらのエリアに在圏している場合でも、着信呼による処理を継続させることができる。
【0037】
(まとめ)
故障や保守作業などによりMSC/VLRに保持されている加入者プロファイルが消失した場合、LTE通信中の移動機に対する音声着信が救済できない課題を解決するため、呼出を行う前にHLRへの問合せを行い、取得したMMEアドレスに従って呼出を行うことにより、着信呼による処理を継続させることができる。
【0038】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、移動通信端末に対する着信処理を行う回線交換装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 MSC/VLR
2 RNC
3 MME
4 eNodeB
5 移動通信端末
6 HLR
11 記憶部
11a 加入者プロファイル保持部
12 アドレス取得要求送信部
13 着信制御部
14 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の配下の基地局制御装置に対応する3G網エリアに対する着信要求があった場合に、LTE網エリアの交換機であるMMEのアドレスを取得するためのアドレス取得要求を送信するアドレス取得要求送信部と、前記アドレス取得要求に対する応答により前記MMEのアドレスを取得した場合に、その取得したアドレスを用いて、LTE網エリアに対する着信処理を行う着信制御部と、を含むことを特徴とする回線交換装置。
【請求項2】
前記着信制御部は、前記LTE網エリアに対する着信処理を行う際、前記3G網エリアに対する着信処理も並行して行うことを特徴とする請求項1に記載の回線交換装置。
【請求項3】
3G網エリアに対する着信要求があった場合に、着信処理を行うために用いる、LTE網エリアの交換機であるMMEのアドレスが保持されているか判断する第1のステップと、前記第1のステップによる判断の結果、前記MMEのアドレスが保持されていない場合に、HLRに問い合わせを行う第2のステップと、前記第2のステップによって取得された前記MMEのアドレスを用いてLTE網エリアに対する着信処理を行う第3のステップとを含むことを特徴とする着信制御方法。
【請求項4】
前記第3のステップにおいて、前記LTE網エリアに対する着信処理を行う際、前記3G網エリアに対する着信処理も並行して行うことを特徴とする請求項3に記載の着信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−175577(P2012−175577A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37611(P2011−37611)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】