説明

回線電力供給型(linePowered)ネットワーク要素内の電流検知回路

アクセスネットワーク内のネットワーク要素の回線電力の管理に関するものである。一実施例においては、回線電力供給型ネットワーク内の電流検知システムが開示される。この電流検知システムは、電源装置、スプリッタ、及び検知回路を含んでいる。電源装置は、出力電流をツイストペア回線に供給するべく適合されている。スプリッタは、ツイストペア回線上において通信信号と出力電流を合成するべく適合されている。検知回路は、電源装置とスプリッタの間において、電源装置の出力電流をサンプリングするべく接続されている。検知回路は、更に、出力電流を表す検知信号を出力するべく適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2002年4月29日付けで出願された「MANAGING POWER IN A LINE POWERED NETWORK ELEMENT」という名称の同時係属出願第10/134,323号に関連するものである(以下、これを「’323出願」と呼ぶ)。本引用により、’323出願は本明細書に包含される。
又、本出願は、本出願と同日付けで出願された以下の出願にも関係している。
・「FUNCTION FOR CONTROLLING LINE POWERED NETWORK ELEMENT」という名称の特許出願第10/449,910号(代理人ドケット番号第100.358US01号(以下、これを「’358出願」と呼ぶ))
・「LINE POWERED NETWORK ELEMENT」という名称の特許出願第10/449,259号(代理人ドケット番号第100.359US01号(以下、これを「’359出願」と呼ぶ))
・「ELEMENT MANAGEMENT SYSTEM FOR MANAGING LINE−POWERED NETWORK ELEMENTS」という名称の特許出願第10/449,682号(代理人ドケット番号第100.360US01号(以下、これを「’360出願」と呼ぶ))
・「INPUT VOLTAGE SENSE CIRCUIT IN A LINEPOWERED NETWORK ELEMENT」という名称の特許出願第10/449,496号(代理人ドケット番号第100.590US01号(以下、これを「’590出願」と呼ぶ))
・「LIGHTNING PROTECTION FOR A NETWORK ELEMENT」という名称の特許出願第10/448,884号(代理人ドケット番号第100.591US01号(以下、これを「’591出願」と呼ぶ))
・「SPLITTER」という名称の特許出願第10/449,546号(代理人ドケット番号第100.592US01号(以下、これを「’592出願」と呼ぶ))
・「POWER RAMP−UP IN A LINE−POWERED NETWORK ELEMENT SYSTEM」という名称の特許出願第10/449,547号(代理人ドケット番号第100.593US01号(以下、これを「’593出願」と呼ぶ))
本引用により、’358、’359、’360、’590、’591、’592、及び’593出願は本明細書に包含される。
【0002】
本発明は、一般に、通信の分野に関するものであり、更に詳しくは、アクセスネットワーク内のネットワーク要素の回線電力の管理に関するものである。
【背景技術】
【0003】
通信ネットワークは、様々な場所に位置するユーザー装置間において信号を転送する。通信ネットワークは、いくつかのコンポーネントを含んでいる。例えば、通信ネットワークは、通常、ネットワーク要素間における信号の選択的なルーティングを提供するいくつかのスイッチング要素を含んでいる。又、通信ネットワークは、例えば、ツイストペア、光ファイバケーブル、同軸ケーブル等の、スイッチ間において信号を転送する通信媒体を含んでいる。更には、ある通信ネットワークはアクセスネットワークを含む。
【0004】
本明細書においては、「アクセスネットワーク」という用語は、加入者機器又は装置をコアネットワークに接続できるようにするための、通信ネットワークの一部分を意味している(例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)などである)。例えば、アクセスネットワークは、サービスエリア内の加入者に対して、サービスインターフェイスを直接提供する(通常は、局舎又は外部のプラントキャビネット内に配置されている)ケーブルプラント及び装置である。アクセスネットワークは、加入者サービスのエンドポイントと、所与のサービスを提供する通信ネットワーク間とに、インターフェイスを提供する。アクセスネットワークは、通常、いくつかのネットワーク要素を含んでいる。ネットワーク要素は、提供される通信サービスのサービスインターフェイスを提供する、アクセスネットワーク内の設備又は装置である。ネットワーク要素は、スタンドアロン型の装置であってもよく、或いは、いくつかの装置間に分散させることも可能である。
【0005】
従来のアクセスネットワークには、いくつかの形態が存在している。例えば、デジタルループキャリアは、アクセスネットワークの初期の形態である。従来のデジタルループキャリアは、2つのネットワーク要素を使用することにより、加入者装置との間で信号を転送していた。コアネットワーク側には、局舎端末が提供されている。局舎端末は、例えば、いくつかのT1ラインやその他の好適な高速デジタル搬送媒体などの高速デジタルリンクによってリモート端末に接続されている。デジタルループキャリアのリモート端末は、通常、従来のツイストペア回線によって加入者に接続している。
【0006】
デジタルループキャリアのリモート端末は、しばしば、顧客サービスエリア内の奥深くに配備されている。リモート端末は、通常、正常に動作するために電力を必要とする、ラインカードやその他の電子回路を具備している。いくつかのアプリケーションにおいては、リモート端末は、ローカルに電力が供給される。あるネットワークでは、リモート端末は、局舎から回線を介して電力供給されている。これは、回線供給(line feeding)又は回線電力供給(line powering)と呼ばれており、AC又はDC電源を使用して実現可能である。従って、リモート端末は、通常、回線を介して、電池バックアップを有する電源を使用して電力供給されているため、ローカル電源に障害が発生した場合にも機能することになる。この結果、停電の際にも、リモート端末は、ライフラインである音声通話のみ可能な旧来の電話サービス(Plain Old−fashioned Telephone Service:POTS)などの重要な機能を提供可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
時間の経過に伴い、通信ネットワーク上において提供されるサービスの種類が変化している。元々、通信ネットワークは、狭帯域の音声トラフィックを搬送するべく設計されていたが、最近では、ネットワークは、広帯域サービスを提供するように変更されている。これらの広帯域サービスには、DSL(Digital Subscriber Line)サービスなどのサービスが含まれる。尚、DSL(又は、xDSL)は、ADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)、HDSL(High Bit Rate Digital Subscriber Line)、及びG.SHDSLなどのデジタル回線群の総称である。ツイストペア回線にxDSL、POTS、及び回線電力を収容するための回路が既に設計されている。回線電力供給方式を使用するネットワーク内においては、所望の量の電流が印加されていることを保証するべく、ツイストペア回線内の回線電力を監視及び調節しなければならない。ツイストペア回線内の電流を監視する通常の方法は、ツイストペア回線の線路内に検知抵抗器を接続することによるものである。次いで、検知抵抗器の両端にオペアンプを接続し、ツイストペア回線内の電流を表す信号を供給する。オペアンプに電力を供給するために追加の電源を提供しなければならない。この構成に伴う問題点は、回路内において短絡(出力短絡)が発生した場合に、抵抗器に障害が発生する(焼損する)ことである。短絡から保護するために、保護回路を追加して検知抵抗器を保護する。検知回路、オペアンプ用の追加電源、及び保護回路のコストと複雑性は、手が出ないほどに高価であり解決困難である。更には、従来の検知システムは、通常、ネットワークシステム内のDCポイントに接続しなければならず、この結果、システムの柔軟性が制限されることになる。以上の欠点を伴うことなしに、ツイストペア回線を通じて流れる電流を検知する改善された方法が、当技術分野において求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例によれば、前述のアクセスネットワーク内のネットワーク要素に対する電力供給に伴う問題点と、当技術分野において既知のその他の問題が解決される。具体的には、本発明の実施例は、回線電力供給型要素用に対して、改善された電流検知回路を提供する。
【0009】
一実施例においては、回線電力供給型ネットワーク要素内の電流検知回路が開示される。電流検知回路は、入力ノード、伝達ノード、電流/電圧変換回路、整流回路、低域通過フィルタ回路、及び信号ノードを含んでいる。入力ノードは、電源装置から出力電流を受領するべく接続されている。伝達ノードは、信号合成回路に出力電流を伝達するべく接続されている。電流/電圧変換回路は、出力電流に比例した計測可能信号を供給するべく、入力ノードに接続されている。整流回路が変換回路に接続されている。低域通過フィルタ回路は、整流回路に接続されており、信号ノードは、低域通過フィルタ回路に接続されており、出力電流を表す検知信号が信号ノードに接続されている。
【0010】
別の実施例においては、回線電力供給型ネットワーク内の電流検知システムが開示される。電流検知システムは、電源装置、スプリッタ、及び検知回路を含んでいる。電源装置は、ツイストペア回線に出力電流を供給するべく適合されている。スプリッタは、ツイストペア回線上において、通信信号と出力電流を合成するべく適合されている。検知回路は、電源装置とスプリッタ間において、電源装置の出力電流をサンプリングするべく接続されている。検知回路は、更に、出力電流を表す検知信号を出力するべく適合されている。
【0011】
更に別の実施例においては、回線電力供給型ネットワーク内のツイストペア回線内の電流を検知する方法が開示される。この方法は、電源装置の出力電流を検知回路に接続する段階と、出力電流を計測可能信号に変換する段階と、出力電流を低域通過フィルタによってフィルタリングする段階と、電源装置の出力電流を表す検知信号を出力する段階と、出力電流を信号合成回路に伝達する段階と、を有している。
【0012】
更に別の実施例においては、回線電力供給型ネットワークのツイストペア回線内の電流を制御する方法が開示される。この方法は、ネットワーク要素内の電源装置から出力電流を生成する段階と、ダウンストリーム通信リンク内のツイストペア回線に対して出力電流と通信信号を合成するべく適合されたスプリッタに出力電流を接続する段階と、電源装置とスプリッタ間において出力電流をサンプリングする段階と、サンプリングした出力電流から出力電流を表す検知信号を生成する段階と、を有している。
【0013】
以下の好適な実施例に関する説明と添付の図面を参照することにより、本発明について容易に理解することが可能であり、更には、その利点と使用法が容易に明らかとなろう。
【0014】
説明対象の様々な特徴は、一般的な慣習に従い、正確には描かれてはおらず、本発明に関連する特定の特徴を強調するべく描かれている。又、添付の図面及び本明細書においては、類似の参照符号によって類似の要素を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の詳細な説明においては、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照しているが、これらの図面は、本発明を実施可能な特定の例示用の実施例を一例として示している。当業者が本発明を実行できるように、これらの実施例について十分詳細に説明するが、本発明の精神と範囲を逸脱することなしに、その他の実施例も利用可能であり、且つ、論理的、機械的、及び電気的な変更を加えることも可能であることを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、制限を意図するものと解釈してはならない。
【0016】
本発明の実施例は、ツイストペア回線内の電流を検知する、改善された回路を提供する。図1を参照すれば、本発明の一実施例が示されている。図1は、ネットワーク要素100を示しており、一実施例においては、ネットワーク要素100は、リモート端末であり、別の実施例においては、ネットワーク要素100は、局舎である。ネットワーク要素100には、コントローラ106、電源装置102、検知回路、及びスプリッタ108が含まれている。一実施例においては、コントローラ106は、検知回路104からの信号に基づいて、電源装置102から供給される電流の量を制御する。即ち、コントローラ106は、1つ又は複数のコントローラ出力信号を電源装置102に対して送信することにより、電源装置102を制御している。図示のように、検知回路104は、電源装置102とスプリッタ108間を接続する電源装置ライン114内に接続されている。スプリッタ108は、電源装置102から供給される電流とライン110からのxDSL信号をダウンストリーム通信リンク内のツイストペア回線112内に合成する。スプリッタ108は、一般に、ダウンストリーム方向においては、信号合成回路108と呼ぶことが可能である。その他の実施例においては、ネットワーク要素100内のスプリッタ108は、xDSLと電源装置102からの電流をツイストペア回線内に合成している。図1の実施例には、比較器回路105を具備するコントローラ106も示されている。この実施例の比較器回路105は、検知回路104からの検知信号を1つ又は複数の基準信号と比較する。
【0017】
図2を参照すれば、本発明の検知回路104の一実施例が示されている。図示のように、検知回路は、ノード201において電源装置から出力電流を受領し、この出力電流をノード203に伝達している。ノード201及び203の間には、トランス208の一次コイルが接続されている。一実施例においては、電流検知トランス208の一次コイルの巻回数は1である。電流検知トランス208は、抵抗器212及び216の両端に出力電圧を供給し、これは、電源装置の出力内の整流された電流に比例している。この電流検知トランス208と抵抗器212及び216は、電流/電圧変換器回路と総称可能である。この電流は三角波形であり、これをフィルタリングすることにより、電源装置のDC出力に比例したDC信号をコンデンサ220に供給する。波形は、低域通過フィルタによってフィルタリングされている。低域通過フィルタは、図2に示されているように、抵抗器218とコンデンサ220を含んでいる。コンデンサ220は、DCフィルタコンデンサ220と呼ぶことが可能である。更には、電源装置102からの出力電流をスプリッタ108に伝達できるように、ノード203がスプリッタ108に接続されている。検知回路104は、後述する整流ダイオード214を更に含んでいる。従って、この実施例に図示されているように、電源装置102の出力は、検知回路104によって検知され、検知回路104が、この検知信号をコントローラに供給し、コントローラが、電源装置102の出力電流に比例したDC計測値を具備することになる。
【0018】
図2には、検知回路104とスプリッタ108に対して出力信号を供給する、本発明の一実施例の電源回路241も示されている。図示のように、この実施例においては、電源装置コントローラ221は、スイッチ223とトランス229の一次コイルに接続されている。−入力とスイッチ223間に接続されている抵抗器225も示されている。更には、+入力と−入力の間に、コンデンサ227が接続されている。トランス229の二次コイルは、それぞれダイオード231とダイオード270に接続されている。図2には、更に、コンデンサ233及び239と誘導子235及び237が示されている。
【0019】
ノード201において電源装置102から受領された出力電流230の一例が、図2Aに示されている。図2Aには、平均電流値232も示されている。これが、電流検知トランス208の一次コイルに印加される出力電流信号230である。図2Bは、電流検知トランス208の二次コイルからの、対応する信号240を示している。図示のように、信号240は、電流波形に比例した電圧パルス242を含んでいる。更には、信号240は、パルス間における電流検知トランス208の消磁の結果である、コアリセットパルス244をも含んでいる。コアリセットパルス208は、ダイオード214によって信号から除去される。具体的には、図2Cは、電圧パルス252とダイオード214によって除去されたコアリセットパルスとを具備する、信号250を示している(即ち、ダイオード214によって信号240が整流されている)。次いで、信号250が低域通過フィルタ(抵抗器218とコンデンサ220)を通過することにより、検知信号260が生成される。検知信号260は、出力電流に比例したDC計測値である。
【0020】
再度図1を参照すれば、前述のように、コントローラ106は、電源装置102からの電流出力を表す検知回路からの検知信号を受信する。一実施例においては、コントローラ106は、受信した信号を基準信号と比較し、この比較結果に基づいて状態信号を供給する。別の実施例においては、コントローラ106は、受信した信号を2つの異なる基準信号と比較し、受信した信号が2つの基準信号内に又は基準信号外に属しているかどうかに基づいて状態信号を供給するべく、適合されている。更に、一実施例においては、受信した信号が、コントローラ106内の2つの基準信号によって設定されたレンジ外にあると判定された場合には、コントローラは、1つ又は複数のコントローラ出力信号の中の1つによってアラーム116を作動させる。これが図1に示されている。アラーム116は、ツイストペア回線内の電流レベルが所望の電流レベルを下回っている又は上回っているという警報を技術者に対して発する。これは、回線内の短絡などの状態を修復する必要があるという旨の通知を技術者に対して付与する。
【0021】
本発明の一実施例を稼働させる一方法を示すフローチャートが、図3に示されている。図示のように、電源が出力電流を出力する(302)。電源の出力電流を検知回路に接続する(304)。検知回路が出力電流を計測可能信号に変換し(306)、出力電流を整流した後に(308)、出力電流を低域通過フィルタに通すことにより(309)、検知信号を生成する(ここで、DC計測値は、電源装置の出力電流に比例している)。次いで、検知信号が検知回路から出力される(310)。次いで、コントローラが検知信号を受信し、これを基準信号と比較する(312)。検知信号が第1選択下限基準信号を下回っている場合には(314)、アラームを作動させることにより(315)、問題が存在していることを技術者に対して通知する。一実施例においては、コントローラは、出力電流を停止するように電源装置に対して通知する(322)。検知信号が、第2選択上限基準信号を上回っている場合には(316)、アラームを作動させることにより(318)、問題が存在していることを技術者に対して通知する。一実施例においては、コントローラは、出力電流を停止するように電源装置に対して通知する(324)。検知信号が、第1選択下限基準信号と第2選択上限基準信号の間に位置している場合には、検知信号は、許容可能なレンジに属している(320)。この検知信号は、電源からの出力電流を表しているため、関連しているツイストペア回線内の電流は、望ましいレンジに属することになる。前述の実施例においては、検知信号が望ましいレンジ外にあると検出された場合には、アラームがトリガされているが、別の実施例においては、検知信号がレンジ外にあると検出された場合には、所望の出力電流が実現するまで電源を調節するべく、コントローラが適合されている。更に別の実施例においては、アラーム及び電源の調節の両方が実装されている。
【0022】
本発明に関する理解を深めるために、局舎端末400の一実施例のブロックダイアグラムが図4に示されている。局舎端末400の実施例は、1つ又は複数のツイストペア電話回線(又は、その他の通信媒体)を介して、1つ又は複数のリモート端末(又は、その他のネットワーク要素)に対して電力を供給するのに適している。図4に示されている局舎端末400の実施例は、通信インターフェイス402と電力インターフェイス404を含んでいる。通信インターフェイス402は、局舎端末400によって提供される様々な通信サービスを提供するための、適切なコンポーネントを含んでいる。例えば、図4に示されている実施例においては、通信インターフェイス402は、局舎端末400を(後述のスプリッタ403を介して)少なくとも1つのアップストリームG.SHDSL通信リンクと少なくとも1つのダウンストリームG.SHDSL通信リンクに接続している。ダウンストリームG.SHDSL通信リンクは、少なくとも1つのツイストペア電話回線406上において提供されている。一実施例においては、ツイストペア電話回線406は、局舎端末400によって電力供給されている、1つ又は複数のリモート端末(図2には、示されていない)に接続されている。
【0023】
電力インターフェイス404は、電源410に接続された電源装置408を含んでいる。一般に、電源装置408は、ツイストペア電話回線406に接続されているリモート端末に電力を供給するべく、電源410から電力を受領して調節し、この電力をツイストペア電話回線406を介して供給する。このような一実施例においては、電源装置408は、フライバック電源装置として実装される。局舎端末400は、スプリッタ430を含んでおり、これは、通信インターフェイス402からの出力通信信号と、電力インターフェイス404からの出力電力信号を合成し、この合成された出力信号をツイストペア電話回線406に印加する。又、スプリッタ430は、ツイストペア電話回線406から入力信号を受信し、受信した信号の中からダウンストリーム通信リンクを提供するために使用する部分を分離し、これを適切に処理するべく通信インターフェイス402に供給する。スプリッタ430の一実施例は、「SPLITTER」という名称の同時係属出願(代理人ドケット番号第100.592US01号)に記載されている。
【0024】
電力インターフェイス404は、電源装置408の動作を制御するコントローラ412をも含んでいる。このような一実施例においては、コントローラ412は、ハードウェア(例えば、アナログ及び/又はデジタル回路を使用したもの)及び/又はソフトウェア(例えば、本明細書において説明している様々な制御機能を実行する適切な命令によって、プログラム可能プロセッサをプログラムすることによるもの)によって実装される。その他の実施例においては、コントローラ412は、その他の方法によって実装される。尚、コントローラ412は、図4では、電力インターフェイス404の一部として示されているが、その他の実施例においては、コントローラ412は、一般的なコントローラ又は局舎端末400用の制御回路の一部である。その他の実施例においては、コントローラ412によって実行される機能は、電源装置408の制御回路内に直接内蔵されている。
【0025】
図4に示されている実施例においては、コントローラ412と電源装置408の間に電圧信号414が供給されている。コントローラ412は、この電圧信号414を使用することにより、公称電圧を設定し、電源装置408は、ツイストペア電話回線406に接続されているリモート端末に対して電力を供給するべく、ツイストペア電話回線406を介して、この公称電圧において電力を供給する。コントローラ412と電源装置408間には、極限電力信号416も供給されている。コントローラ412は、この極限電力信号416を使用し、電源装置408用の極限電力を設定する。この極限電力は、電源装置208がツイストペア電話回線406を介して供給する最大電力である。検知回路425は、電源装置の出力電流を計測し、ツイストペア回線406(ツイストペア電話回線406)内の電流を表す検知信号をコントローラ412に供給する。コントローラ412は、この検知信号を処理し、これに適切に対応する。尚、図4の検知回路は、図4の実施例の電力インターフェイス404内に位置するものとして示されているが、その他の実施例においては、検知回路は、電力インターフェイス404外に配置されている。更なる実施例においては、検知回路は、コントローラ412内に配置されている。
【0026】
図5は、無線ネットワーク500の一実施例のブロックダイアグラムである。図5に示されている無線ネットワーク500の実施例は、電源504に接続された局舎電源プラグ502を含んでいる。一実施例においては、局舎電源プラグ502は、前述の局舎端末500の実施例を使用して実装されている。アップストリームG.SHDSL通信リンク506が、アップストリーム通信媒体(例えば、ツイストペア電話回線)によって局舎電源プラグ502に提供されている。アップストリームG.SHDSL通信リンク506は、局舎電源プラグ502をG.SHDSLラインインターフェイスユニット508に接続している。G.SHDSLラインインターフェイスユニット508は、インターネットなどのアップストリームネットワーク(図示されてはいない)に接続されている。このような一実施例においては、S.SHDSLラインインターフェイスユニット508をアップストリームネットワークに接続するべく、G.SHDSLラインインターフェイスユニット508が加入者アクセスマルチプレクサ(図示されてはいない)内に挿入されている。
【0027】
無線ネットワーク500は、リモートネットワーク要素510をも含んでいる。リモートネットワーク要素510は、局舎電源プラグ502とリモートネットワーク要素510間を接続している、ツイストペア電話回線512を介して電力供給されている。ツイストペア電話回線512により、ダウンストリームG.SHDSL通信リンク514が提供されている。局舎電源プラグ502は、図4との関連で前述したものと同一の方式で、ツイストペア電話回線512を介してリモートネットワーク要素510に電力を供給している。リモートネットワーク要素510は、ツイストペア電話回線512に接続された電源装置518を含んでいる。電源装置518は、局舎電源プラグ502からツイストペア電話回線512を介して供給される電力を抽出する。この抽出した電力を使用してリモートネットワーク要素510の様々なコンポーネントに電力供給する。
【0028】
リモートネットワーク要素510は、ツイストペア電話回線512によって搬送されるG.SHDSL信号を変調及び復調するG.SHDSLモデム520をも含んでいる。モデム520は、Ethernet(登録商標)接続524によって、無線アクセスポイント522に接続されている。無線アクセスポイント522は、無線リンク526により、様々な無線装置(図示されてはいない)との間で、トラフィックを送受信する。無線装置の例は、無線トランシーバを具備するコンピュータやパーソナルデジタルアシスタントを含んでいる。一実施例においては、無線アクセスポイント522は、IEEE(Institute for Electrical and Electronic Engineers)802.11b規格(これは、「WI−FI」とも呼ぶ)をサポートする無線アクセスポイントである。
【0029】
無線ネットワーク500は、無線ネットワーク500上において提供される無線サービスを管理する、無線サービスマネージャ528をも含んでいる。例えば、一実施例においては、無線サービスマネージャ528は、RADIUS(Remote Authentication Dial−in User Service)プロトコルを使用し、認証及びその他の加入者及びサービス関連情報を管理している。一実施例においては、無線サービスマネージャ528は、ローカルエリアネットワーク接続(例えば、Ethernet(登録商標)接続)を使用し、G.SHDSLラインインターフェイスユニット508に接続されている。
【0030】
動作の際には、無線アクセスポイント522において、様々な無線装置から無線トラフィックを受信する。この無線トラフィックは、G.SHDSLモデム520により、ツイストペア電話回線512を介して局舎電源プラグ502に伝送される。スプリッタ(図5には示されていない)が、この信号の中からG.SHDSL通信リンクを提供するべく使用する部分を分離し、適切に処理するべく、これを局舎電源プラグ502の通信インターフェイス(図5には示されていない)に供給する。通信インターフェイスは、このトラフィックをG.SHDSLラインインターフェイスユニット508にアップストリームG.SHDSL通信リンク506介して伝送し、ここで、このトラフィックが処理され、ラインインターフェイスユニット508を介してアップストリームネットワークに転送される。ダウンストリーム方向の場合には、トラフィックがアップストリームネットワークからG.SHDSLラインインターフェイスユニット508によって受信される。このトラフィックは、アップストリーム通信リンク506を介して局舎電源プラグ502に伝送される。このトラフィックは、スプリッタによって局舎電源プラグ502の電源装置(図5には示されていない)からの電力と合成され、合成された信号が、ツイストペア電話回線512を介して伝送される。この信号がG.SHDSLモデム520によって受信され、このモデムが、無線装置に伝送するべく、このトラフィックを無線アクセスポイント522に転送する。
【0031】
以上、添付の請求項によって定義される本発明のいくつかの実施例について説明したが、特許請求の対象である本発明の範囲を逸脱することなしに、前述の実施例に対して様々な変更を加えることが可能であることを理解されたい。従って、その他の実施例も添付の請求の範囲に属している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例のブロックダイアグラムである。
【図2】本発明による検知回路の一実施例の概略図である。
【図2A】本発明の一実施例の電源装置からの出力信号のプロットである。
【図2B】本発明の一実施例の電流検知トランスの2次コイルからの信号のプロットである。
【図2C】本発明の一実施例の整流済みの信号のプロットである。
【図2D】本発明の一実施例の検知信号のプロットである。
【図3】本発明の一実施例の一方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例の局舎のブロックダイアグラムである。
【図5】本発明の一実施例の無線ネットワークのブロックダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線電力供給型ネットワーク要素内の電流検知回路において、
電源装置から出力電流を受領するべく接続されている入力ノードと、
前記出力電流を信号合成回路に伝達するべく接続されている伝達ノードと、
前記出力電流に比例した計測可能信号を供給するべく前記入力ノードに接続されている電流/電圧変換回路と、
前記変換回路に接続されている整流回路と、
前記整流回路に接続されている低域通過フィルタ回路と、
前記低域通過フィルタ回路に接続されている信号ノードであって、前記出力電流を表す検知信号が前記信号ノードに接続されている、信号ノードと、
を有する電流検知回路。
【請求項2】
前記電流/電圧変換回路は、1つ又は複数のトランスを更に有する請求項1記載の電流検知回路。
【請求項3】
1つ又は複数のトランスのそれぞれは、巻回数が1である一次側巻線を具備している請求項2記載の電流検知回路。
【請求項4】
前記検知信号は、前記電源装置によって供給される前記出力電流を表すアナログ出力信号である請求項1記載の電流検知回路。
【請求項5】
回線電力供給型ネットワーク内の電流検知システムにおいて、
出力電流をツイストペア回線に供給するべく適合されている電源装置と、
ツイストペア回線上において通信信号を前記出力電流と合成するべく適合されているスプリッタと、
前記電源装置と前記スプリッタの間において、前記電源装置の前記出力電流をサンプリングするべく接続されている検知回路であって、前記出力電流を表す検知信号を出力するべく適合されている検知回路と、
を有する電流検知システム。
【請求項6】
前記検知回路からの前記検知信号は、前記出力電流に比例するDC値を供給する請求項5記載の電流検知システム。
【請求項7】
前記検知回路は、前記出力電流を計測可能信号に変換するべく適合されている請求項5記載の電流検知システム。
【請求項8】
前記検知回路からの前記検知電流に応答して、1つ又は複数のコントローラ出力信号を選択的に出力するべく適合されているコントローラを更に有する請求項5記載の電流検知システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のコントローラ信号は、前記電源装置を調節する請求項8記載の電流検知システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記検知信号を1つ又は複数の基準信号と比較するべく適合された比較器回路を更に有する請求項8記載の電流検知回路。
【請求項11】
前記1つ又は複数のコントローラ出力の中の1つは、前記出力電流の生成を停止するように前記電源装置に対して指示する請求項8記載の電流検知回路。
【請求項12】
前記コントローラに接続されたアラームを更に有しており、前記1つ又は複数のコントローラ出力信号の中の1つは、選択された状態が前記検知信号内において計測された際に、前記アラームを作動させる請求項8記載の電流検知システム。
【請求項13】
前記選択された状態は、前記検知電流が、選択された電流値レンジ外にある状態である請求項12記載の電流検知システム。
【請求項14】
回線電力供給型ネットワークのツイストペア回線内の電流を検知する方法において、
電源装置の出力電流を検知回路に接続する段階と、
前記出力電流を計測可能信号に変換する段階と、
前記出力電流を低域通過フィルタによってフィルタリングする段階と、
前記電源装置の前記出力電流を表す検知信号を出力する段階と、
前記出力電流を信号合成回路に伝達する段階と、
を有する方法。
【請求項15】
検知信号をACアナログ信号からDC信号に変換する段階と、
前記検知信号を1つ又は複数の基準信号と比較する段階と、
を更に有する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記検知信号が前記1つ又は複数の基準信号のレンジ外にある場合に、アラームを作動させる段階を更に有する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記検知信号が前記1つ又は複数の基準信号のレンジ外にある場合に、前記出力電流を調節する段階を更に有する請求項15記載の方法。
【請求項18】
回線電力供給型ネットワークのツイストペア回線内の電流を制御する方法において、
ネットワーク要素内の電源装置から出力電流を生成する段階と、
前記出力電流と通信信号をダウンストリーム通信リンク内のツイストペア回線に対して合成するべく適合されたスプリッタに対して前記出力電流を接続する段階と、
前記電源装置と前記スプリッタの間において、前記出力電流をサンプリングする段階と、
前記サンプリングされた出力電流から前記出力電流を表す検知信号を生成する段階と、
を有する方法。
【請求項19】
前記検知信号を使用し、前記ツイストペア回線に印加されている前記出力電流を判定する段階を更に有する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ダウンストリーム通信リンクは、G.SHDSL通信リンクである請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記検知信号を生成する段階は、
前記出力電流を計測可能信号に変換する段階と、
前記出力信号を低域通過フィルタによってフィルタリングする段階と、
を更に有する請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記検知信号をAC信号からDC信号に変換する段階と、
前記検知信号を1つ又は複数の基準信号と比較する段階と、
を更に有する請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記検知信号が前記1つ又は複数の基準信号のレンジ外にある場合に、アラームを作動させる段階を更に有する請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記検知信号が前記1つ又は複数の基準信号のレンジ外にある場合に、前記出力電流を調節する段階を更に有する請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記検知信号が前記1つ又は複数の基準信号のレンジ外にある場合に、前記出力電流を停止する段階を更に有する請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526956(P2006−526956A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514963(P2006−514963)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016507
【国際公開番号】WO2004/110031
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505222794)エーディーシー ディーエスエル システムズ,インコーポレイティド (8)
【Fターム(参考)】