説明

回路基板などの保護フィルムストリップ装置

【課題】回路基板などの保護フィルムの確実に作動するストリップ機構。
【解決手段】動力部21とフィルムストリップ部22からなり、動力部は、フィルムストリップ部と連結する第1駆動部材211と第2駆動部材212を具え、第1駆動部材と第2駆動部材は、フィルムストリップ部に第1軸方向と第2軸方向の駆動力を提供する。
フィルムストリップ部は、フィルムストリップ台221とフィルムストリップ台上に回転可能にピン接合されフィルムストリップヘッド222を具え、一対のゴムローラー231に掛け渡されたゴムベルト232をフィルムストリップヘッドに掛け渡し、真空吸盤24上に固定された基板11に対して、第1駆動部材の第1軸方向伸縮動作によりストリップヘッド上のゴムベルトを基板面に押圧し、第2駆動部材の第2軸方向伸縮動作によりストリップヘッドを回転させつつ動作させて効果的に保護フィルムを剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板や液晶偏光板などの製造の際に基板面の保護のために形成された保護用フィルムを剥離するフィルムストリップ機構に関し、特に、基板上のフィルム膜体を迅速確実に剥離して、後続作業に有利である回路基板などの保護フィルムストリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造設備が構成する生産ラインは、安定し且つ効率的で工程順に従い製品の各ステップの生産プロセスを完了することが求められる。そのうち、一部の製品は、その生産過程において、膜体で表面を覆って保護する必要があり、例えば、回路基板または液晶標示装置の偏光板等に良く見られ、いずれも膜体による保護層を形成して微細な塵が付着したり、表面が傷ついたりすることから保護し、一時的に使用した膜体は、後続の加工において剥離し、その他の製造工程作業を継続進行する。
【0003】
膜体を剥離しようとする場合、フィルムストリッパーを用いてフィルムストリップステップを完成する必要があり、中華民国専利出願第94214014号において、「フィルムストリップ装置」は、ゴムベルト機セットを有するゴムタイヤを利用し、サーボモータに連動し、フィルムストリップしたい基板または偏光板等の被加工部材上で、該膜体を粘着させ、再び垂直移動させて該膜体を被加工部材から引き剥がし、フィルムストリップのステップを行うものである。
【0004】
しかしながら、この種のフィルムストリップ方式は膜体を被加工部材から引き剥がす力が、ゴムベルト粘着性が膜体と被加工部材との間の付着力に対して確実に上回っている必要があるが、膜体は、被加工部材を保護することに用いるので、膜体と被加工部材の付着力は一定の程度を有し、簡単に剥れるようにすることができず、上記従来の方法から分かるようにフィルムストリップの成功率は制限を受け、必然的に迅速且つ効率的なフィルムストリップ動作を行うことができない。
【0005】
上記に鑑みて、フィルムストリップ方式は、フィルムストリップ力維持に不足があり、業者は、回転式フィルムストリップ機構を研究開発し、フィルムストリップ機構上に圧力回転ヘッドを設け、該圧力回転ヘッドは、膜体と被加工部材の表面を押圧し、このように圧力回転ヘッドの押圧力の作用下で効率的に膜体を剥離できるが、被加工部材の表面に対して、回転圧力を及ぼした跡が残り、該被加工部材の表面の完全性を破壊し、十分なフィルムストリップ力を有しているが、被加工部材の完全性を犠牲にしているので、良好なフィルムストリップ方式ではない。
【0006】
従来の被加工部材の片面膜体を剥離する時、被加工部材に対する支持力が不足するので、ゴムベルトは被加工部材に緊密に粘着することができず、フィルムストリップ力が不足し、製造工程の歩留りが低下するが、これは従来の案のもう1つの欠陥である。更に、従来のフィルムストリップ被加工部材が、特殊なシート型被加工部材である時、シート型被加工部材が薄く且つ軽い場合、被加工部材は、剥離される膜体と一緒に引き揚げられ、被加工部材が湾曲して裂ける等の損壊状況が生じ、このように、材料の浪費だけでなく、製造工程の歩留りを低下させる。
【0007】
上記から分かるように、従来のフィルムストリッパーは効率的且つ確実な構造ではなく、または被加工部材を破壊する恐れがあるので、全体的に、実用性を具備しておらず、改良の必要がある。
【特許文献1】特開平10−338838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術のフィルムストリッパーのフィルムストリップ力が不足し、効率的で確実にフィルムストリップすることができず、または被加工部材表面を破壊する等の欠陥を改善できる製造肯定設備フィルムストリップ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記本発明の目的を達成するため、本発明のフィルムストリップ機構は、動力部とフィルムストリップ部からなり、該動力部は、第1駆動部材と第2駆動部材を具え、該第1駆動部材と第2駆動部材は、フィルムストリップ部と連接し、且つ該第1駆動部材は、該フィルムストリップ部に第1軸向の駆動力を供給し、該第2駆動部材は、フィルムストリップ部の第2軸向の駆動力を供給する。
【0010】
該フィルムストリップ部は、フィルムストリップヘッドおよびフィルムストリップヘッドを組み込むフィルムストリップ台を有し、該フィルムストリップヘッドは、フィルムストリップ台上にピン接合され、適度に回動することができ、且つ該フィルムストリップヘッドは、フィルムストリップ台を介して第1駆動部材の連動し、直接第2駆動部材と連動し、第1軸向および第2軸向の駆動力を得ることができ、第1軸向と第2軸向の駆動力を組み合せることにより、フィルムストリップヘッドを駆使してローラーフィルムストリップ作用を達成する。
【0011】
本発明は、フィルムストリップ時、該動力部の第2駆動部材がフィルムストリップ第2軸向の駆動力を提供でき、第1駆動部材を組み合わせて正方向の圧力の提供を持続し、該フィルムストリップヘッドを正方向ではない側面方向のローラーフィルムストリップ力を発生し、このフィルムストリップ力が膜体と被加工部材の間の接触面方向に従うので、膜体と被加工部材を分離し易く、比較的大きな有効フィルムストリップ力を発生でき、好適なフィルムストリップ効果を提供できる。該動力部の第1駆動部材がフィルムストリップ部の第1軸向に提供する駆動力を持続し、該フィルムストリップ部を被加工部材から離れさせ、確実に該膜体と被加工部材とを分離させ、後続の膜体除去の作業に有利にする。
【0012】
本発明は、フィルムストリップ時、該フィルムストリップ部は、真空吸盤によって十分な支持力を提供でき、第1駆動部材が提供する正方向の圧力を完全にフィルムストリップヘッド上のゴムベルト上の膜体に施し、その間に緊密な粘着力を発生させ、膜体の貼り付け動作を円滑に達成する。
【0013】
続いて、本発明がシート型被加工部材のような特殊被加工部材を使用する時、該シート型被加工部材は、真空吸盤が提供する十分な吸引力によってベルトに対抗する粘着力とし、シート型被加工部材を膜体と一緒に引き離されないようにし、被加工部材が湾曲し裂ける等の損壊の状況を回避し、フィルムストリップの動作を円滑に完成する。
【0014】
ローラーフィルムストリップの方式によって、効率的にフィルムストリップ力を運用し、フィルムストリップの成功率を増加させ、且つ被加工部材を損壊させることなく、被加工部材表面の完全性を犠牲にする必要が無いので、本発明は、実用性および進歩性を有する発明であり、産業界への推奨、大衆に公開に値するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術のフィルムストリッパーのフィルムストリップ力の不足、効率的で確実にフィルムストリップすることができず、または被加工部材表面を破壊してフィルムストリップ力を向上させる必要がある等の欠陥を改善できる製造肯定設備フィルムストリップ機構を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、製造工程設備フィルムストリップ機構に関し、図1から図3に示すように、これらの製造工程設備機構は、製造工程用の設備台10上のフィルムストリップ機構20を含む。
【0017】
該設備台10は、フィルムストリップ待ちの被加工部材11を作業領域12に配置し、該フィルムストリップ機構20は該作業領域12の一方に設置され、該フィルムストリップ機構20のフィルムストリップ動作方向に対して該設備台10の作業領域12の側辺が斜め方向に配置された形態は、該フィルムストリッパーが被加工部材11の対角線に沿って片面をフィルムストリップさせることができる。図3に示すように、複数のフィルムストリップ機構20を設備台10上下に設置し、同時に上下両方面にフィルムストリップを行い、フィルムストリップの効率を増進させる。
【0018】
該フィルムストリップ機構20は、動力部21、フィルムストリップ部22、ゴムタイヤ部23および真空吸盤24を含む。
【0019】
該動力部21は、第1駆動部材211および第2駆動部材212を具え、該第1駆動部材211と第2駆動部材はシリンダーであり、且つ該第1駆動部材211と第2駆動部材212の前端は、それぞれ接続ロッド213,214を設け、接続ロッド213,214を介してフィルムストリップ部22と接続し、該フィルムストリップ部を連動する。
該第1駆動部材211の接続ロッド213は、伸縮動作の方向が第1軸向であり、該第2駆動部材212の接続ロッドの伸縮方向は、これと異なる第2軸方向であり、該第1駆動部材211と第2駆動部材212は、接続ロッド213,214を介してフィルムストリップ部22に第1軸向および第2軸向の駆動力を提供し、第1軸向、第2軸向の駆動力を合わせることによって、ローラーフィルムストリップの作用を発生する。該第1軸方向と第2軸方向は、70度から110度の挟み角を最適とする。
【0020】
該フィルムストリップ部22は、フィルムストリップ台221とフィルムストリップヘッド222からなり、該フィルムストリップ台221は、直接第1駆動部材211と連結され、第1駆動部材211の第1軸向の駆動力を受けて作動し、フィルムストリップ部22およびフィルムストリップヘッド222は第1軸向に沿って上・下方向に移動する。該フィルムストリップヘッド222は、フィルムストリップ台221上にピン接合し、フィルムストリップヘッド222は、弧形状のローラー面223を有し、該フィルムストリップヘッド222は第2駆動部材212と連結されて第2駆動部材212の第2軸向駆動力を受けて駆動し、該フィルムストリップヘッド222を適度に回転させてローラー面223によってローラーフィルムストリップの動作を行う。
【0021】
該ゴムタイヤ部23は、2つのタイヤ231を有し、該タイヤ231は、ゴムベルト232を掛け渡して、該ゴムベルト232はそのうち1つのタイヤ上に巻き付けられてフィルムストリップ部22のフィルムストリップヘッド222に接して、更にもう1つのタイヤ231に巻き付けられる。該タイヤ231の回転動作は該ゴムベルト232に連動し、フィルムストリップヘッド222上のフィルムストリップ用のゴムベルト232の剥離動作させる。
【0022】
図4〜図8は、本発明のフィルムストリップ部22フィルムストリップヘッド222のローラーフィルムストリップ連続動作説明図である。
【0023】
図4に示すように、被加工部材11と設備台10の板配置、板調整、フィルムストリップ位置照準等の動作を経て、位置決めした後、該真空吸盤24は、該被加工部材11を吸引定位し、該被加工部材11を所定の位置に固定させ、この時、フィルムストリップ部22のフィルムストリップヘッド222は、被加工部材11がフィルムストリップを行いたい箇所の上方に位置し、被加工部材とは接触しない。
【0024】
図5に示すように、動力部21の第1駆動部材211は接続ロッド213の伸縮を通してフィルムストリップ部22の第1軸向の駆動力を提供し、該フィルムストリップ部22を被加工部材11に近づけ、正方向に圧力を施し、フィルムストリップヘッド222および該フィルムストリップヘッド222上のゴムベルト232を被加工部材11上の膜体111に付着させる。
【0025】
図6に示すように、動力部21は、フィルムストリップ時、該第2駆動部材212はまず接続ロッド214を後退させ、フィルムストリップヘッドを時計回り方向に回転させる力を発生させ、フィルムストリップヘッド222をローラー面223に合わせて被加工部材11上の膜体に対して非正方向の側方向のローラーフィルムストリップ力を発生させ、このフィルムストリップ力は膜体111と被加工部材11との間の接触面方向に沿って、第1駆動部材211が施すフィルムストリップヘッドの第1軸向の圧力を合わせて、膜体111を被加工部材11と分離し易くし、比較的大きな効率的フィルムストリップ力を発生でき、好適なフィルムストリップ効果を提供する。図7は、図6の局部拡大図であり、図7から分かるように、第2駆動部材212はフィルムストリップヘッド222を連動しローラーフィルムストリップを行う時、該膜体111はフィルムストリップヘッド222のローラー面223に沿って被加工部材11と少し分離している。
【0026】
図8に示すように、動力部21の第1駆動部材211は、再度接続ロッド213の後退によってフィルムストリップ部22に第1軸向の駆動力を提供し、該フィルムストリップ部22を被加工部材11から離し、分離された膜体111を被加工部材11から離し、確実に該膜体と被加工部材11とを分離し、後続の膜体の除去の作業に有利である(これら後続する工程中、後続の膜体除去の作業は、真空排出方式を採用するが、従来技術に属し、且つ本発明の保護を要求するターゲットではないので、ここに詳細を記載しない)。
【0027】
なお、本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない均等の範囲内で各種の変動や潤色を加えることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の製造工程設備のフィルムストリップ機構の外観立体説明図である。
【図2】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構フィルムストリップ部と動力部のもう1つの角度からの説明図である。
【図3】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構全体の概略図である。
【図4】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構のローラーフィルムストリップの連続動作におけるセット状態図である。
【図5】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構のローラーフィルムストリップの連続動作におけるフィルムストリップヘッド押圧状態図である。
【図6】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構のローラーフィルムストリップの連続動作におけるフィルムストリップヘッド傾動図である。
【図7】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構のローラーフィルムストリップの連続動作におけるフィルムストリップヘッド拡大図である。
【図8】本発明の製造工程設備フィルムストリップ機構のローラーフィルムストリップの連続動作における保護膜剥離状態図である。
【符号の説明】
【0029】
10 設備台
11 被加工部材
111 膜体
12 作業領域
20 フィルムストリップ機構
21 動力部
211 第1駆動部材
212 第2駆動部材
213 連接ロッド
214 連接ロッド
22 フィルムストリップ部
221 フィルムストリップ台
222 フィルムストリップヘッド
223 ローラー面
23 ゴムタイヤ部
231 タイヤ
232 ゴムベルト
24 真空吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力部と隔離する保護フィルムにゴムベルトを押圧して剥離動作するフィルムストリップ部からなり、
該動力部は、駆動部材と第2駆動部を具え、該第1駆動部材と第2駆動部材をフィルムストリップ部と接続し、
且つ該第1駆動部材は該フィルムストリップ部に第1軸方向に動作させ、該第2駆動部材はフィルムストリップ部にこれと異なる第2軸方向に動作させ、
該フィルムストリップ部は、フィルムストリップヘッドを備え、該フィルムストリップヘッドはその外周面上のゴムベルトを第1駆動部材と第2駆動部材の第1軸方向及び第2軸方向動作を合成して押圧と剥離する動作を行うことを特徴とする、
回路基板などの保護フィルムストリップ装置。
【請求項2】
前記駆動部がフィルムストリップ時、第2駆動部材が先に動作してローラーフィルムストリップの作用を強化したことを特徴とする請求項1記載の回路基板などの保護フィルムストリップ装置。
【請求項3】
前記フィルムストリップ部がフィルムストリップ台と該フィルムストリップ台に回動可能に連結されたフィルムストリップヘッドからなり、上記第1駆動部材と第2駆動部材の第1軸方向及び第2軸方向動作を合成した動作を行なうようにしたことを特徴とする請求項1記載の回路基板などの保護フィルムストリップ装置。
【請求項4】
前記保護フィルムストリップ装置が設備台上に設置され、且つ該保護フィルムストリップ装置がフィルムストリップ動作する方向が該設備台の設置方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3記載の回路基板などの保護フィルムストリップ装置。
【請求項5】
前記フィルムストリップヘッドが円弧状のローラー面を有することを特徴とする請求項1乃至3記載の回路基板などの保護フィルムストリップ装置。
【請求項6】
前記フ回路基板などの保護フィルムストリップ装置が真空吸盤を具え、該真空吸盤が被加工部材を固定する作用を行なうことを特徴とする請求項1乃至3記載の回路基板などの保護フィルムストリップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−16731(P2009−16731A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179623(P2007−179623)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(507198565)志聖工業股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】