説明

回路基板

【課題】入力端子から各高周波処理回路までの距離を等距離でない場合にも、各高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルを均一化する。
【解決手段】入力端子には、高周波信号が入力される。高周波増幅器12は、入力端子に入力された高周波信号を増幅する。分配器13は、高周波増幅器12によって増幅された高周波信号を分配する。複数の高周波処理回路15は、分配器13で分配された各高周波信号がその信号入力部に入力されるまでの伝送経路長がそれぞれに異なる。複数の減衰器14は、複数の各高周波処理回路15の前段に設けられる。そして、伝送経路長が短いほど大きな減衰量が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は回路基板に関し、特に、複数の高周波処理回路が搭載された回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高周波信号を受信する受信装置において、受信した高周波信号を処理する高周波処理回路を、複数個設けることが行われている。例えば、テレビジョン受像機では、高周波処理回路としてのチューナ部を複数個設けることにより、同じ放送形式あるいは異なる放送形式による複数の放送波を、同時に視聴あるいは同時に録画できるようになる。
【0003】
このように、高周波処理回路を複数設ける場合には、高周波信号の入力端子からの距離が各高周波処理回路で異なると、各高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルに差が生じてしまう。入力される高周波信号の信号レベルに差があると、各高周波処理回路でのノイズの受けやすさ(受けにくさ)にも差が生じてしまう。これにより、同じ回路基板上に配置された高周波処理回路であっても、高周波信号を受信できるものとそうでないものが出てくる等の問題が発生する。
【0004】
各高周波処理回路と高周波信号の入力端子との距離を等距離にすれば、このような問題も発生しない。例えば、特許文献1には、2つのチューナ部を備えた受信装置において、それぞれのチューナ部を、入力端子からの距離がほぼ等距離となる位置に配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−152611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、高周波処理回路を搭載した装置に対する薄型化や小型化の要求が高まってきており、チューナ部が搭載されるチューナモジュールに対しても、薄型化や小型化が求められている。ところが、チューナモジュールを薄型化または小型化すると、殆どのケースにおいて、チューナ部の配置位置にも制約が生じてしまう。つまり、複数のチューナ部のそれぞれを、入力端子からの距離がほぼ等しくなる位置に配置することが、難しくなる。
【0007】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、入力端子から各高周波処理回路までの距離を等距離でない場合にも、各高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルを均一化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の回路基板は、入力端子と、少なくとも1つの分配器と、複数の高周波処理回路と、複数の減衰器とを備える構成とし、各部の構成及び機能を次のようにする。入力端子には、高周波信号が入力される。分配器は、入力端子に入力された高周波信号を分配する。複数の高周波処理回路は、分配器で分配された各高周波信号がその信号入力部に入力されるまでの伝送経路長がそれぞれに異なる。複数の減衰器は、複数の各高周波処理回路の前段に設けられる。そして、前記伝送経路長が短いほど大きな減衰量が設定される。
【0009】
このように構成することで、入力端子からの距離が近い高周波処理回路に対しては、減衰器で大きく減衰された高周波信号が入力され、入力端子からの距離が遠い高周波処理回路に対しては、あまり減衰されていない、もしくは減衰されていない高周波信号が入力される。これにより、各高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルが、入力端子から一番遠い位置に配置された、伝送損失の一番大きい高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルと等しくなる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の回路基板によれば、入力端子から各高周波処理回路までの距離を等距離でない場合にも、各高周波処理回路に入力される高周波信号の信号レベルを均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施の形態による、3つの高周波処理回路が回路基板の長辺に沿って横方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図2】N個のアンプを直列接続した例を示す説明図である。
【図3】本開示の一実施の形態による、2つの高周波処理回路が回路基板の長辺に沿って横方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図4】本開示の一実施の形態による、3つの高周波処理回路が回路基板の短辺に沿って縦方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図5】本開示の一実施の形態による、3つの高周波処理回路が、アンテナ入力端子および出力端子を備えた回路基板の長辺に沿って、横方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図6】本開示の一実施の形態による、N個の高周波処理回路を、アンテナ入力端子を備えた回路基板の長辺に沿って横方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図7】本開示の一実施の形態による、N個の高周波処理回路を、アンテナ入力端子および出力端子を備えた回路基板の長辺に沿って、横方向に並べて配置される場合の回路基板の構成例を示す構成図である。
【図8】本開示の一実施の形態による、地上波デジタルテレビジョン放送の放送波を受信する3つの高周波処理回路と、衛星放送の放送波を受信する3つの高周波処理回路とを同一の回路基板上に配置した場合の構成例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の一実施形態に係る回路基板の一例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。
1.高周波処理回路としてのチューナ部が搭載された回路基板の構成例
2.各種変形例
【0013】
<1.高周波処理回路としてのチューナ部が搭載された回路基板の構成例>
まず、本開示の一実施形態に係る回路基板について、図1を参照して説明する。図1は、高周波処理回路としてのチューナ部が搭載された回路基板の構成例を示す実装図である。図1に示す回路基板10は、図示せぬ受信装置に搭載される。受信装置は、地上波デジタルテレビジョン放送の放送波(以下、「高周波信号」とも称する)を受信し、高周波信号に含まれる映像や音声に関する符号化データを復号する。そして、復号したデータを図示せぬ表示装置に送信したり、図示せぬ記録媒体に記録する。
【0014】
図1には、受信装置を構成する様々な回路のうち、一般に「RFフロントエンド」と称される高周波回路部のみを図示してある。なお、図1では受信装置が地上波デジタルテレビジョン放送の放送波を受信する場合を例にあげたが、衛星放送やケーブルテレビ放送等、他の放送波を受信可能に構成してもよい。
【0015】
回路基板10は、図示せぬアンテナ入力端子を構成するコネクタ部品の中心導体接続部がはめ込まれるスルーホール11aと、ローノイズアンプ(以下、LNAと称する)12とを含む。また、分配器13−1〜分配器13−2と、減衰器としてのアッテネータ14−1〜アッテネータ14−3と、チューナ部15−1〜チューナ部15−3とを含む。
【0016】
なお、図1では、PLL回路やバラン等の、高周波回路部を構成する本開示の本質部分ではない他の回路については、図示を省略してある。また、以降の説明では、分配器13−1〜分配器13−2をそれぞれ区別する必要がない場合には、単に「分配器13」と記載し、アッテネータ14−1〜アッテネータ14−3をそれぞれ区別する必要がない場合には、単に「アッテネータ14」と記載する。また、チューナ部15−1〜チューナ部15−3をそれぞれ区別する必要がない場合には、単に「チューナ部15」と記載する。また、信号入力部15a−1〜信号入力部15a−3をそれぞれ区別する必要がない場合には、単に「信号入力部15a」と記載する。
【0017】
スルーホール11aに接続されるアンテナ入力端子には、図示せぬアンテナが受信した地上波デジタルテレビジョン放送の放送波が入力される。LNA12は、アンテナ入力端子から入力された放送波(高周波信号)を増幅して後段に送り出す。LNA12のゲインは、次段以降の分配器13による分配損失や、アッテネータ14による減衰、伝送損失分を補える値に設定される。そして、その値(ゲイン)は、図示せぬAGC(Automatic Gain Control)のしくみによって自動的に調整される。
【0018】
分配器13−1は、LNA12から出力された高周波信号を2つに分配して出力する。つまり、チューナ部15−1に入力させる信号と、チューナ部15−2およびチューナ部15−3に入力させる信号とに、高周波信号を2分配する。分配器13−2は、分配器13−1から出力された高周波信号を、チューナ部15−2に入力させる信号と、チューナ部15−3に入力させる信号とに2分配する。
【0019】
アッテネータ14−1は、分配器13−1とチューナ部15−1の間に配置され、チューナ部15−1に入力する高周波信号を所定のレベルまで減衰させる。各アッテネータ14としては、π型アッテネータやT型アッテネータを使用することができる。各アッテネータ14の減衰量は、アッテネータ14を構成する図示せぬ抵抗素子R1と抵抗素子R2の比率を変化させることにより調整する。
【0020】
アッテネータ14−2は、分配器13−2とチューナ部15−2の間に配置され、チューナ部15−2に入力する高周波信号を所定のレベルまで減衰させる。アッテネータ14−3は、分配器13−2とチューナ部15−3の間に配置され、チューナ部15−3に入力される高周波信号を所定のレベルまで減衰させる。各アッテネータ14に設定される減衰量は、各チューナ部15の信号入力部15aに入力される高周波信号の信号レベルがすべて等しくなるように設定される。
【0021】
チューナ部15−1〜チューナ部15−3は、図示せぬBPF(Band Pass Filter)やAGC(Automatic Gain Control)、局部発振器、周波数変換器等を備え、入力された高周波信号を増幅して、受信チャンネルと同じ周波数の信号を選択して出力する。本実施の形態では、各チューナ部15をIC(Integrated Circuit)チップとして構成している。
【0022】
各チューナ部15に入力される高周波信号の信号レベルは、回路基板10上でのスルーホール11a(アンテナ入力端子接続位置)からの距離が遠くなる程に大きく減衰する。つまり、アンテナ入力端子接続位置に一番近いところに配置されたチューナ部15−1の信号入力部15a−1に入力される高周波信号のレベルよりも、一番遠いところに配置されたチューナ部15−3の信号入力部15a−3に入力される高周波信号のレベルの方が低くなる。例えば、チューナ部15−3は、アンテナ入力端子接続位置から遠い位置に配置されているため、LNA12で増幅された信号が伝送される伝送路の経路長も一番長くなる。これにより、伝送路を通過することにより生じる伝送損失も大きくなる。
【0023】
このような信号レベルの差をなくすため、本開示の回路基板10では、各チューナ部15に入力させる高周波信号の信号レベルを、アンテナ入力端子接続位置から一番遠くに配置されたチューナ部15−3に入力される信号レベルと同レベルに統一することを行う。
【0024】
具体的には、アンテナ入力端子接続位置の一番近くに配置されたチューナ部15−1の前段に配置されたアッテネータ14−1には、大きな値の減衰量を設定する。また、アンテナ入力端子接続位置からの距離がチューナ部15−1の次に近いチューナ部15−2の前段に配置されたアッテネータ14−2には、中程度の減衰量を設定する。アンテナ入力端子接続位置から一番遠い位置にあるチューナ部15−3への入力信号を減衰するアッテネータ14−3においては、減衰量はゼロとする。
【0025】
減衰量をゼロとする手法としては、アッテネータ14−3を構成する抵抗(図示略)をショートさせる手法等がある。あるいは、アンテナ入力端子接続位置から一番遠い位置にあるチューナ部15−3には、アッテネータを設けずに直接信号を入力させるように構成してもよい。
【0026】
このように、各アッテネータ14の減衰量を調整することにより、各チューナ部15の信号入力部15aに入力される高周波信号の信号レベルが、一番弱いレベルに統一される。すなわち、各チューナ部15の信号入力部15aに入力される高周波信号の信号レベルを、すべて等しくすることができる。
【0027】
各チューナ部15に入力される信号のレベルは、各アッテネータ14を通過することにより低くなる。しかし、分配器13−1の前段にLNA12を配置していることで、図1に示した高周波回路部全体のノイズフィギュア(以下、「NF」と称する)の悪化度合いを低く抑えることができる。より詳しくは、各チューナ部15単体におけるNFよりも、高周波回路部全体のノイズフィギュアを良い値とすることができる。
【0028】
高周波回路部全体のNFは、LNA12のゲインと、各分配器13による分配損失と、各アッテネータ14による減衰量と、伝送経路を通過することにより生ずる伝送損失に基づいて算出することができる。各分配器13や各アッテネータ14をマイナスゲインのアンプとみなすと、図1に示す高周波回路部は、LNA12と、各分配器13と、各アッテネータ14と、各チューナ部15による4段のアンプとみなすことができる。
【0029】
図2は、N段のアンプの各段のゲインとNFを示した図である。G1,G2,G3,GNはゲインを示し、F1,F2,F3,FNはNFを示す。N段のアンプのトータルのNFの真値Fは、下記の式1で表される。
F=F1+(F2−1)/G1+(F3−1)/G1*G2+…+(FN−1)/G1*G2*…*GN−1 …(式1)
また、N段のアンプの全体におけるNFは、下記の式2のように[dB]で示される。
NF=10log(F) …(式2)
【0030】
図1に示した構成における各段のゲインおよびNFは、一例として以下の値であるものとする。なお、以下において“dB”の後に続く括弧中の値は、真値を示す。
1段目:LNA12…G1=14dB(25.11),NF1=2.5dB(1.78)
2段目:分配器13…G2=−4dB(0.40),NF2=4dB(2.51)
3段目:アッテネータ14…G3=−5dB(0.32)、NF3=5dB(3.16)
4段目:チューナ部15…NF4=5dB(3.16)
【0031】
これらの値を、上述した式1に当てはめると、以下のようになる。
F(真値)=NF1+(NF2−1)/G1+(NF3−1)/G1*G2+(NF4−1)/G1*G2*G3
=1.78+(2.51−1)/25.11+(3.16−1)/(25.11*0.40)+(3.16−1)/(25.11*0.4*0.32)
=1.78+0.06+0.22+0.67
=2.73
【0032】
そして、求められた“F=2.73”を上述した式2に代入すると、
NF=10log2.73=4.36dB
が算出される。
各チューナ部15のNFは5dBであるため、高周波回路部全体でのNF(4.36dB)の方が良い値となっている(NFが改善している)ことがわかる。
【0033】
このように、各アッテネータ14の減衰量を調整することで、高周波回路部全体のNFを悪化させることなく、各チューナ部15の信号入力部15aに入力される高周波信号の信号レベルを同一のレベルに統一することができる。これにより、各チューナ部15を、アンテナ入力端子接続位置からの距離がそれぞれに異なるような位置に配置できるようになる。図1に示すように、各チューナ部15を、回路基板10の長辺に沿って横方向に並べて配置することも可能となる。このように配置した場合には、回路基板10の短辺の長さを短くできるため、回路基板10が実装される装置自体も小型にすることができる。
【0034】
各チューナ部15の配置は、図1に示したように、高周波信号が伝送される伝送経路に直線がなるべく多く含まれるような位置としている。伝送路のコーナー(曲がり角)の部分では、伝送される信号に強弱の差が生じたり、インピーダンスの乱れが生じる場合が多いためである。直線を多く含む配線レイアウトとすることで、このような問題の発生する確率を低く抑えることができる。図1の実装図では、各チューナ部15を、回路基板10の短辺の方向において互いに少しずつずらして配置している。このように配置することにより、各チューナ部15に入力される高周波信号の伝送路において、直線を多く設けることができている。
【0035】
また、図1に示した構成では、各アッテネータ14を、各チューナ部15の信号入力部15aにできるだけ近い位置に配置している。各アッテネータ14は、入力された信号を定められたレベルまで減衰させて出力するため、各アッテネータ14の出力端子(図示略)においては、信号レベルがすべて揃うようになる。そして、各アッテネータ14から各チューナ部15までをつなぐ配線の距離が短ければ、その信号レベルの変化も最小限となる。つまり、各チューナ部15の信号入力部15aの位置で信号レベルを測定した場合の信号レベルが、各アッテネータ14の出力端子におけるレベルとほぼ等しくなる。
【0036】
信号入力部15aにおける高周波信号の信号レベルが、各チューナ部15で異なる場合には、ICチップとして構成された各チューナ部15の動作点が、それぞれに異なってしまうことになる。各チューナ部15の動作点が異なってしまうと、各チューナ部15におけるノイズの受けやすさ(受けにくさ)も変わることになる。このような場合には、各チューナ部15を個別に制御する必要があり、ソフトウェアによる制御が煩雑になってしまう。本開示の回路基板10によれば、各チューナ部15間におけるこのような特性差が生じなくなるため、特性差を解消するための複雑な制御も行わなくて済む。
【0037】
また、上述した実施の形態では、各アッテネータ14で減衰した高周波信号を各チューナ部15に入力しているため、信号レベルが大きすぎる高周波信号が各チューナ部15に入力されてしまうことがなくなる。信号レベルが大きく波形のひずんだ高周波信号が各チューナ部15に入力された場合には、復調される信号の特性も悪化してしまう。また、各チューナ部15に内蔵された図示せぬ発振器にも妨害信号が混入しやすくなり、発振器に妨害信号が混入した場合には、各チューナ部15自体が妨害波の発信源となってしまう。各チューナ部15から妨害波が発生した場合には、その妨害波は信号ラインに漏洩し、各チューナ部15間で相互干渉が起きてしまう。つまり、各チューナ部15間のアイソレーションがとれなくなる。上述した実施の形態によれば、このような問題の発生を低減することができる。
【0038】
<2.各種変形例>
なお、上述した実施の形態では、チューナ部15を3つ設けた例をあげたが、チューナ部15の個数はこれに限定されるものではない。図3に示すように、チューナ部の数を2個としてもよい。なお、図3において図1と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。図3に示す構成では、チューナ部15−1とチューナ部15−2を回路基板10の長辺に沿って横方向に並べて配置している。
【0039】
図3において、チューナ部15−1とチューナ部15−2のいずれも、分配器13−1で1回分配された高周波信号が入力されるが、チューナ部15−1とチューナ部15−2とでは、信号の伝送経路の長さが異なっている。このように配置した場合にも、アンテナ入力端子配置位置から近い方に配置されたアッテネータ14−1において、信号を大きく減衰させることにより、チューナ部15−1とチューナ部15−2に入力される高周波信号の信号レベルを等しくすることができる。
【0040】
また、上述した実施の形態では、各チューナ部15を回路基板10の長辺に沿って横方向に並べて配置した例をあげたが、これに限定されるものではない。図4に示すように、各チューナ部15を、回路基板10の短辺に沿って縦方向に並べて配置してもよい。図4において図1および図3と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0041】
図4に示す配置では、チューナ部15−1には、分配器13−1で1回分配された高周波信号が入力され、チューナ部15−2およびチューナ部15−3には、分配器13−1と分配器13−2によって2回分配された高周波信号が入力される。また、高周波信号の伝送路の長さも、チューナ部15−1は短く、チューナ部15−2はそれより少し長く、チューナ部15−3はさらに長い。このように配置した場合にも、チューナ部15−1およびチューナ部15−2に入力される信号のレベルが、チューナ部15−3に入力される信号のレベルと同レベルとなるように、アッテネータ14−1と14−2の減衰量を調整する。これにより、各チューナ部15への入力信号レベルを統一することができる。
【0042】
また、上述した実施の形態では、回路基板10がアンテナ入力端子のみを有する構成としたが、高周波信号を出力する出力端子も備えるように構成してもよい。図5は、回路基板10に、出力端子16も設けた構成を示したものである。図5において、図1,図3〜図4に対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。出力端子16は、例えばブルーレイ(登録商標)ディスクレコーダやパーソナルコンピュータ、ゲーム端末等の他の端末に接続され、アンテナ入力端子11より入力された高周波信号が出力される。
【0043】
このため、図5に示した構成では、分配器を1段多く設けている。つまり、アンテナ入力端子11から入力された高周波信号を、各チューナ部15に供給する分と、出力端子16から出力する分とに分配するための分配器13−1を、LNA12の後段に新たに設けている。分配器13−1としては、例えば、ループスルー機能を備えたスプリッタを使用する。
【0044】
このように構成することにより、チューナ部15−1には、分配器13−1と分配器13−2によって2回分配された信号が入力され、チューナ部15−2およびチューナ部15−3には、分配器13−1〜13−3によって3回分配された信号が入力される。また、分配器13−1で分配後の高周波信号が伝送される伝送路の長さも、各チューナ部15のアンテナ入力端子11からの距離に応じた長さとなっており、それぞれに異なっている。このように配置した場合にも、チューナ部15−1およびチューナ部15−2に入力される信号のレベルが、チューナ部15−3に入力される信号のレベルと同レベルとなるように、アッテネータ14−1と14−2の減衰量を調整する。これにより、各チューナ部15への入力信号レベルを統一することができる。
【0045】
また、上述した実施の形態では、チューナ部15を2個または3個設けた例をあげたが、その他の個数であってもよい。図6には、チューナ部15をN個設けた場合の構成を示してある。チューナ部15の数をN個とすると、分配器13およびアッテネータ14は、それぞれ(N−1)個設ければよい。また、図7に示すように、チューナ部15をN個備え、かつ、アンテナ入力端子11だけでなく出力端子16も備える構成としてもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態では、各チューナ部15が地上波デジタルテレビジョン放送を受信する場合を例にあげたが、これに限定されるものではない。例えば衛星放送等の他の放送波を受信するチューナ部15を設けてもよい。図8は、地上波デジタルテレビジョン放送を受信する地上波用チューナ部15t−1〜15t−3と、衛星放送用チューナ部15s−1〜15s−3とを1つの回路基板10上に並列した構成を示した図である。
【0047】
回路基板10は、地上波デジタルテレビジョン放送の高周波信号が入力される地上波入力端子11tと、衛星放送の高周波信号が入力される衛星放送入力端子11sとを備える。地上波入力端子11tから入力された高周波信号を伝送する信号ラインには、LNA12tが接続されており、LNA12tの後段には、地上波用チューナ部15t−1〜15t−3が、回路基板10の長辺に沿って横方向に並べて配置されている。
【0048】
そして、地上波用チューナ部15t−1には、分配器13t−1で1回分配されアッテネータ14t−1で減衰された高周波信号が入力され、地上波用チューナ部15t−2には、分配器13t−1および分配器13t−2で2回分配されてアッテネータ14t−2で減衰された高周波信号が入力される。地上波用チューナ部15t−3には、分配器13t−1および分配器13t−2で2回分配されてアッテネータ14t−3で減衰された高周波信号が入力される。
【0049】
衛星放送入力端子11sから入力された高周波信号を伝送する信号ラインには、LNA12sが接続されており、LNA12sの後段には、衛星放送用チューナ部15s−1〜15s−3が、回路基板10の長辺に沿って横方向に並べて配置されている。
【0050】
そして、衛星放送用チューナ部15s−1には、分配器13s−1で1回分配されアッテネータ14s−1で減衰された高周波信号が入力され、衛星放送用チューナ部15s−2には、分配器13s−1および分配器13s−2で2回分配されてアッテネータ14s−2で減衰された高周波信号が入力される。衛星放送用チューナ部15s−3には、分配器13s−1および分配器13s−2で2回分配されてアッテネータ14s−3で減衰された高周波信号が入力される。
【0051】
このように、異なる放送形式の放送波を受信するチューナ部15を複数個設ける場合にも、各アッテネータ14tおよび各アッテネータ14sに設定する減衰量を、入力端子から各チューナ部15までの距離の長さと反比例する値に設定する。すなわち、入力端子に近い位置に配置されたチューナ部15に入力させる信号は大きく減衰させ、入力端子から遠い位置に配置されたチューナ部15に入力させる信号は、中程度に減衰または減衰させない。このように構成することにより、各チューナ部に入力される高周波信号の信号レベルがすべて均一となる。これにより、図8に示すように、同じ種類の放送波を受信するチューナ同士を、回路基板10の長辺に沿う横方向に並べて配置することもでき、受信装置自体の薄型化や小型化も図れるようになる。
【0052】
また、上述した実施の形態では、各チューナ部15をICチップとして構成した例をあげたが、これに限定されるものではない。各チューナ部15を、チップ化されていない集積回路として構成してもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態では、減衰器としてアッテネータ14を用いた例をあげたが、これに限定されるものではない。抵抗性の素子であれば、どのような素子を用いてもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態では、高周波処理回路を、受信装置のチューナ部に適用した例をあげたが、これに限定されるものではない。例えば、携帯電話端末等の他の装置のチューナ部に適用してもよい。または、チューナ部ではなく、放送局から放送信号を受信する受信装置の受信回路等に適用してもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態では、高周波処理回路を、受信装置等に搭載される受信回路に適用した例をあげたが、例えば放送局において使用される送信装置の送信回路に適用してもよい。この場合は、分配器でなく混合器を用いて各高周波処理回路から送信された高周波信号を混合するようにし、かつ、出力端子の手前にアンプを配置して、各高周波処理回路から送信された高周波信号を増幅して出力するように構成すればよい。
【0056】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)高周波信号が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された前記高周波信号を増幅する高周波増幅器と、
前記高周波信号を分配する少なくとも1つの分配器と、
前記分配器で分配された各高周波信号がその信号入力部に入力されるまでの伝送経路長がそれぞれに異なる、複数の高周波処理回路と、
前記複数の各高周波処理回路の前段に設けられ、前記伝送経路長が短いほど大きな減衰量が設定された、複数の減衰器とを備えた回路基板。
(2)前記複数の各減衰器の前記減衰量は、複数の高周波処理回路の各信号入力部に入力される前記高周波信号の信号レベルがすべて等しくなる値に設定される(1)に記載の回路基板。
(3)前記複数の減衰器はアッテネータである(1)または(2)のいずれかに記載の回路基板。
(4)前記複数の減衰器は、前記複数の高周波処理回路の前記信号入力部の近辺に配置される(1)〜(3)のいずれかに記載の回路基板。
(5)前記入力端子に入力された前記高周波信号を増幅する高周波増幅器をさらに備えた(1)〜(4)に記載の回路基板。
(6)前記複数の高周波処理回路は、集積回路である(1)〜(5)のいずれかに記載の回路基板。
(7)前記複数の高周波処理回路は、当該回路基板の長辺に沿って配置される(1)〜(6)のいずれかに記載の回路基板。
(8)前記高周波処理回路の個数は少なくとも3つであり、前記分配器は、前記高周波増幅器から出力された前記高周波信号を分配する第1の分配器と、前記第1の分配器で分配された前記高周波信号をさらに分配する少なくとも1つの第2の分配器とを備える(1)〜(7)のいずれかに記載の回路基板。
【符号の説明】
【0057】
10…回路基板、11…アンテナ入力端子、11a…スルーホール、11s…衛星放送入力端子、11t…地上波入力端子、12,12s,12t…ローノイズアンプ(LNA)、13,13−1,13−2,13s−1,13s−2,13t−1,13t−2、14,14−1,14−2,14−3,14s,14s−1,14s−2,14s−3,14t,14t−1,14t−2,14t−3…アッテネータ、15,15−1,15−2,15−2,15−3…チューナ部、15a,15a−1…信号入力部、15s−1,15s−2,15s−3…衛星放送用チューナ部、15t−1,15t−2,15t−3…地上波用チューナ部、16…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号が入力される入力端子と、
前記高周波信号を分配する少なくとも1つの分配器と、
前記分配器で分配された各高周波信号がその信号入力部に入力されるまでの伝送経路長がそれぞれに異なる、複数の高周波処理回路と、
前記複数の各高周波処理回路の前段に設けられ、前記伝送経路長が短いほど大きな減衰量が設定された、複数の減衰器とを備えた
回路基板。
【請求項2】
前記複数の各減衰器の前記減衰量は、複数の高周波処理回路の各信号入力部に入力される前記高周波信号の信号レベルがすべて等しくなる値に設定される
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記複数の減衰器はアッテネータである
請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記複数の減衰器は、前記複数の高周波処理回路の前記信号入力部の近辺に配置される
請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記入力端子に入力された前記高周波信号を増幅する高周波増幅器をさらに備えた
請求項1に記載の回路基板。
【請求項6】
前記複数の高周波処理回路は、集積回路である
請求項1に記載の回路基板。
【請求項7】
前記複数の高周波処理回路は、当該回路基板の長辺に沿って配置される
請求項1に記載の回路基板。
【請求項8】
前記高周波処理回路の個数は少なくとも3つであり、前記分配器は、前記高周波増幅器から出力された前記高周波信号を分配する第1の分配器と、前記第1の分配器で分配された前記高周波信号をさらに分配する少なくとも1つの第2の分配器とを備える
請求項1に記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30960(P2013−30960A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165295(P2011−165295)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】