説明

回路構成体、及び電気接続箱

【課題】本発明は、小型化された回路構成体を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体リレー24は、互いに間隔を空けて並んで配された一対のバスバー21の表面に、バスバー21の長手方向に沿って間隔を空けて並んで実装されており、回路基板16のうち一対のバスバー21に挟まれた位置には、バスバー21の長手方向に沿って間隔を空けて並んで配されると共に、一対のバスバー21が並ぶ方向について2列に並んで配され、且つ半導体リレー24と電気的に接続される複数の出力用コネクタ端子25が配されており、出力用コネクタ端子25は、外部負荷に接続された出力用ワイヤーハーネス14と接続可能な出力用コネクタ15に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体、及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて、ランプ、ホーン等の車載電装品の通電、及び断電を実行する回路構成体として、特許文献1に記載のものが知られている。この回路構成体は、ケース内に収容されており、回路基板に複数の半導体リレーが間隔を空けて一列に並んで配されてなる。各半導体リレーには、コネクタ端子(引用文献1におけるコネクタ用リード部)が接続されている。コネクタ端子は、ケースに設けられたコネクタ内に、所定のピッチ間隔を空けて一列に並んで配設されている。
【特許文献1】特開2002−293201公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、車載電装品の増加に伴い、この車載電装品の通電、及び断電を実行する半導体リレーの増設が求められている。半導体リレーを増設しようとすると、半導体リレーに接続されるコネクタ端子も増設する必要がある。
【0004】
しかしながら、コネクタ端子のピッチ間隔は規格により定まっている。このため、従来技術に記載されたように、コネクタ端子を一列に並べる構成のままでコネクタ端子を増設すると、コネクタ端子の並び方向についてコネクタが大型化することが懸念される。この結果、回路構成体が大型化することが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化された回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回路基板と、前記回路基板の表面に重ねられたバスバーと、前記バスバーに電気的に接続された複数の半導体リレーと、を備えた回路構成体であって、前記バスバーは、細長い形状をなすと共に、その長手方向と交差する方向について互いに間隔を空けて並んで配された一対のバスバーであって、前記半導体リレーは、各前記バスバーの表面に、前記バスバーの長手方向に沿って間隔を空けて並んで実装されており、前記回路基板のうち前記一対のバスバーに挟まれた位置には、前記バスバーの長手方向に沿って間隔を空けて並んで配されると共に、前記一対のバスバーが並ぶ方向について2列に並んで配され、且つ前記半導体リレーと電気的に接続される複数の出力用コネクタ端子が配されており、前記出力用コネクタ端子は、外部負荷に接続された出力用ワイヤーハーネスと接続可能な出力用コネクタに配設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、出力用コネクタ端子は2列に並べて配設されるので、半導体リレーの数を増やした場合に、出力用コネクタ端子を1列に並べる場合に比べて、出力用コネクタを小型化することができる。これにより、回路構成体を小型化できる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記回路基板の表面にはプリント配線技術により導電路が形成されており、前記導電路には金属板材からなる中継部材が電気的に接続されており、前記中継部材と前記半導体リレーとはワイヤーボンディングにより接続されており、前記導電路と前記出力用コネクタ端子とは電気的に接続されていることが好ましい。
【0009】
回路基板の表面にプリント配線技術により形成された導電路に金属線をワイヤーボンディングする場合、金属線を接続するための治具によって導電路が強い圧力を受けることがある。すると、導電路が回路基板から剥離することが懸念される。また、プリント配線板は比較的に低剛性であり、ボンディング時のエネルギーが減衰することで接続強度が下がる恐れもある。上記の態様によれば、導電路には金属板材からなる中継部材が電気的に接続されている。これにより、治具による圧力は中継部材に加えられるので、ワイヤーボンディング時に導電路が回路基板から剥離することが抑制され、十分な接続強度を得ることができる。
【0010】
前記回路基板には前記バスバーと電気的に接続された入力用コネクタ端子が配されており、前記入力用コネクタ端子は、電源に接続された入力用ワイヤーハーネスと接続可能な入力用コネクタに配設されており、前記入力用コネクタは前記出力用コネクタと別体に形成されていることが好ましい。
【0011】
上記の態様によれば、入力用コネクタ端子が配設された入力用コネクタ、と、出力用コネクタ端子が配配設された出力用コネクタとは、それぞれ別体に設けられている。これにより、出力用コネクタ端子と、入力用コネクタ端子とを1つのコネクタ内に配設する場合に比べて、スペース効率を向上させることができる。この結果、出力用コネクタ、及び入力用コネクタを全体として小型化することができる。
【0012】
前記入力用コネクタ端子は、前記バスバーとは別体に形成されていることが好ましい。
【0013】
バスバーに通電する際の発熱を低減しようとすると、バスバーの断面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、入力用コネクタ端子の厚さ寸法は規格化されている。このため、入力用コネクタとバスバーとを一体に形成する場合には、バスバーの厚さは入力用コネクタ端子の厚さ寸法に制約される。この結果、入力用コネクタ端子とバスバーとを一体に形成する場合には、バスバーを厚くすることはできないため、バスバーの幅を大きくすることになる。すると、回路基板のうちバスバーの占有する面積が大きくなり、回路基板が大型化することが懸念される。
【0014】
上記の態様によれば、入力用コネクタ端子とバスバーとは別体に形成されているので、入力用コネクタ端子の寸法を規格に合わせると共に、バスバーを厚くすることができる。これにより、バスバーの幅寸法が大きくなることを抑制できるので、回路基板を小型化できる。
【0015】
前記一対のバスバーは、連結バスバーにより一体に連結されており、前記一対のバスバー又は前記連結バスバーには1つの入力用コネクタ端子が接続されていることが好ましい。
【0016】
上記の態様によれば、一対のバスバーのそれぞれに入力用コネクタ端子を接続する場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0017】
前記回路基板には前記半導体リレーと電気的に接続された信号用コネクタ端子が配されており、前記信号用コネクタ端子は、前記半導体リレーのオンオフを制御する制御回路に接続された信号用ワイヤーハーネスと接続可能な信号用コネクタに配設されており、前記信号用コネクタは前記出力用コネクタと別体に形成されていることが好ましい。
【0018】
車載電装品に電力を供給する電力用コネクタ端子に比べて、半導体リレーのオンオフを制御する信号が入力される信号用コネクタ端子のピッチ間隔は小さく設定されている。このため、電力用コネクタ端子及び信号用コネクタ端子の双方が配設されたコネクタでは、ピッチ間隔の比較的に小さい信号用コネクタ端子については無駄なスペースが生じてしまう。上記の態様によれば、信号用コネクタ端子が配された信号用コネクタ、と、出力用コネクタ端子が配された出力用コネクタとは、それぞれ別体に設けられている。これにより、出力用コネクタ端子と、信号用コネクタ端子とを1つのコネクタ内に配設する場合に比べて、スペース効率を向上させることができる。この結果、出力用コネクタ、及び信号用コネクタを全体として小型化することができる。
【0019】
前記回路基板には前記半導体リレーと電気的に接続された信号用コネクタ端子が配されており、前記信号用コネクタ端子は、前記半導体リレーのオンオフを制御する制御回路に接続された信号用ワイヤーハーネスと接続可能な信号用コネクタに配設されており、前記信号用コネクタは前記出力用コネクタ及び前記入力用コネクタと別体に形成されていることが好ましい。
【0020】
上記の態様によれば、信号用コネクタ端子が配された信号用コネクタ、入力用コネクタ端子が配された入力用コネクタ、及び出力用コネクタ端子が配された出力用コネクタは、それぞれ別体に設けられている。これにより、出力用コネクタ端子、入力用コネクタ端子、及び信号用コネクタ端子を1つのコネクタ内に配設する場合に比べて、スペース効率を向上させることができる。この結果、出力用コネクタ、入力用コネクタ、及び信号用コネクタを全体として小型化することができる。このように、各コネクタを小型化できるので、回路構成体を全体として小型化できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電気接続箱を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る回路構成体を車載用の電気接続箱10に適用した一実施形態を図1ないし図4を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気接続箱10(特許請求の範囲に記載の回路構成体に相当)は、合成樹脂製のケース11内に回路基板16を収容してなる。電気接続箱10は、図示しない電源と、ホーン、ランプ等の図示しない車載電装品(特許請求の範囲に記載の外部負荷に相当)との間に配設されて、車載電装品の通電、及び断電を実行する。なお、以下の説明においては、図1における上側を表側とし、下側を裏側として説明する。
【0023】
(ケース11)
図1に示すように、ケース11は、図1における下側に位置して表側(図1に置ける上方)に開口する第1ケース12と、この第1ケース12の開口を表側から塞ぐ第2ケース13と、からなる。第1ケース12と、第2ケース13とは、詳細には図示しないが、ネジ19止め等、公知の手法により一体に組み付けられている。図2に示すように、ケース11は、表裏方向(図2において紙面を貫通する方向)から見て、略長方形状をなしている。
【0024】
図1における第1ケース12の下壁には、下方に開口すると共に、車載電装品に接続された出力用ワイヤーハーネス14が接続される出力用コネクタ15が配設されている。この出力用コネクタ15は、第1ケース12と別体に設けられていてもよく、また、一体に設けられていてもよい。
【0025】
(回路基板16)
図1に示すように、ケース11内には回路基板16が収容されている。図3に示すように、回路基板16は略矩形状をなしている。図1に示すように、回路基板16には、角部の近傍の位置に、回路基板16を貫通する貫通孔17が形成されている。一方、第1ケース12の隅部には、回路基板16の貫通孔17と整合する位置に、ネジ止め孔18が形成されている。回路基板16は、ネジ19を貫通孔17に貫通させると共に、ネジ止め孔18内に螺合することにより、第1ケース12に組み付けられる。
【0026】
回路基板16の表面(図1における上面)及び裏面(図1における裏面)にはプリント配線技術により導電路20が形成されている。回路基板16の表面には金属板材を所定の形状にプレス加工してなるバスバー21が重ねられている。回路基板16とバスバー21とは、絶縁性の接着層22を介して接着されている。接着層22としては、接着剤を用いてもよく、また、接着シートを用いてもよい。
【0027】
(バスバー21)
図3に示すように、バスバー21は、図3における左右方向に細長い形状をなすとともに、その長手方向と交差する方向(図3における上下方向)に間隔を空けて並ぶ一対の第1バスバー21A及び第2バスバー21Bとからなる。第1バスバー21A及び第2バスバー21Bは、表裏方向(図3において紙面を貫通する方向)から見て略長方形状をなしている。第1バスバー21Aの左端部と、第2バスバー21Bの左端部とは、図3における上下方向に延びる連結バスバー23によって一体に連結されている。第1バスバー21A、第2バスバー21B、及び連結バスバー23は、全体として略C字状をなしている。
【0028】
図3に示すように、第1バスバー21A、及び第2バスバー21Bの表面(図3において紙面を貫通する方向の手前側の面)には、複数の半導体リレー24が、両バスバー21A,21Bの長手方向(図3における左右方向)に間隔を空けて並んで配されている。半導体リレー24の裏面(図3において紙面を貫通する方向の奥側の面)には、図示しない入力端子が設けられている。この入力端子と、バスバー21とが、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0029】
(出力用コネクタ端子25)
図3に示すように、回路基板16のうち第1バスバー21Aと第2バスバー21Bに挟まれた領域には、複数の出力用コネクタ端子25が、両バスバー21A,21Bの長手方向(図3における左右方向)に沿って所定のピッチ間隔を空けて並んで配されると共に、両バスバー21A,21Bの並ぶ方向(図3における上下方向)について2列に並んで配されている。図1に示すように、出力用コネクタ端子25は、回路基板16を貫通して形成されたスルーホール26内に挿通されて、スルーホール26の内壁に形成された導電路20と、半田付けされている。
【0030】
図1に示すように、出力用コネクタ端子25は、回路基板16から裏側(図1における下側)に突出して、出力用コネクタ15内に配設される。図2に示すように、出力用コネクタ端子25は、図2における上下方向について2列に並ぶと共に、左右方向について所定のピッチ間隔を空けて並んで配設されている。出力用コネクタ15に出力用ワイヤーハーネス14が接続されると、出力用コネクタ端子25と出力用ワイヤーハーネス14とが電気的に接続される。
【0031】
図1に示すように、出力用コネクタ端子25が半田付けされた導電路20は、回路基板16の表面に形成された導電路20と連なっており、この導電路20の表面(図1における上面)には、金属板材からなる第1中継部材27(特許請求の範囲に記載の中継部材に相当)が半田付けされている。この第1中継部材27の表面(図1における上面)には、第1金属線28の一方の端部がワイヤーボンディングにより接続されている。第1金属線28としては、アルミニウム線等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。図4に示すように、第1金属線28の他方の端部は、半導体リレー24の表面(図4において紙面を貫通する方向の手前側)に形成された出力端子29と、ワイヤーボンディングにより接続されている。本実施形態においては、複数(本実施形態においては3本)の第1金属線28と、第1中継部材27及び出力端子29とは、公知のウェッジボンディングにより接続されている。
【0032】
(入力用コネクタ端子30)
図3に示すように、回路基板16には、図3において連結バスバー23の左方の位置に、金属板材からなる入力用コネクタ端子30が配設されている。入力用コネクタ端子30と、第1バスバー21A、第2バスバー21B、及び連結バスバー23とは別体に形成されている。第1バスバー21A、第2バスバー21B、及び連結バスバー23の厚さ寸法は、入力用コネクタ端子30の厚さ寸法よりも厚く形成されている。入力用コネクタ端子30は、概ねL字状に曲げ加工されており、回路基板16の板面に沿って配される基部30Aと、基部30Aから回路基板16の板面に交差する方向に立ち上がる立設部30Bと、からなる。図2に示すように、入力用コネクタ端子30の立設部30Bは、回路基板16を表裏方向に貫通した後、裏側(図2において紙面を貫通する方向の手前側)に突出している。
【0033】
図2に示すように、第1ケース12には、裏側(図2において紙面を貫通する方向手前側)に開口すると共に、電源に接続された入力用ワイヤーハーネス31が接続可能な入力用コネクタ32が形成されている。入力用コネクタ32は、第1ケース12と別体に形成されていてもよい。また、この入力用コネクタ32は、上述した出力用コネクタ15とは別体に形成されている。上述した入力用コネクタ端子30の立設部30Bは、入力用コネクタ32内に配設されている。入力用コネクタ32に入力用ワイヤーハーネス31が接続されると、入力用コネクタ端子30と入力用ワイヤーハーネス31とが電気的に接続される。
【0034】
図3に示すように、入力用コネクタ端子30の基部30Aは、連結バスバー23、第1バスバー21A、又は第2バスバー21Bと電気的に接続されている。本実施形態においては、入力用コネクタ端子30の基部30Aは、第2金属線33の一方の端部とワイヤーボンディングにより電気的に接続されており、第2金属線33の他方の端部は、連結バスバー23とワイヤーボンディングにより電気的に接続されている。第2金属線33としては、アルミニウム線等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、複数(本実施形態では6本)の第2金属線33と、連結バスバー23及び入力用コネクタ端子30とは、公知のウェッジボンディングにより接続されている。
【0035】
(信号用コネクタ端子34)
図3に示すように、回路基板16には、図3における上端部の左側の位置に、回路基板16を貫通して、金属棒材からなる複数の信号用コネクタ端子34が配設されている。信号用コネクタ端子34は、図3における左右方向について所定のピッチ間隔を空けて並ぶと共に、上下方向について2列に並んで配されている。信号用コネクタ端子34は、回路基板16に形成された導電路20と、半田付け、プレスフィット等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0036】
図2に示すように、第1ケース12には、裏側(図2において紙面を貫通する方向の手前側)に開口すると共に、半導体リレー24をオンオフ制御する制御回路(図示せず)に接続された信号用ワイヤーハーネス35と接続可能な信号用コネクタ36が形成されている。信号用コネクタ36は、第1ケース12と別体に形成されていてもよい。また、この信号用コネクタ36は、出力用コネクタ15及び入力用コネクタ32とは別体に形成されている。上述した信号用コネクタ端子34は、信号用コネクタ36内に配設されている。信号用コネクタ36に信号用ワイヤーハーネス35が接続されると、信号用コネクタ端子34と信号用ワイヤーハーネス35とが電気的に接続される。
【0037】
図3に示すように、信号用コネクタ36に接続された導電路20は、回路基板16の表面を配索されて、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bについて、出力用コネクタ端子25と反対側の位置に配される。図1に示すように、この導電路20の表面には、半導体リレー24の近傍の位置において、金属板材からなる第2中継部材37が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0038】
図3に示すように、第2中継部材37には、第3金属線38の一方の端部が、ワイヤーボンディングにより電気的に接続されている。また、図4に示すように、第3金属線38の他方の端部は、半導体リレー24の表面(図4における紙面を貫通する方向の手前側の面)に形成された制御端子39に、ワイヤーボンディングにより電気的に接続されている。第3金属線38としては、アルミニウム線等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、第3金属線38と、第2中継部材37及び制御端子39とは、公知のウェッジボンディングにより接続されている。
【0039】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係る電気接続箱10の製造工程の一例を説明する。まず、回路基板16にプリント配線技術により導電路20を形成する。この回路基板16の表面に第1バスバー21A、第2バスバー21B及び連結バスバー23を、接着層22を介して接着する。続いて、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bの表面に半導体リレー24を半田付けすると共に、導電路20の表面に第1中継部材27及び第2中継部材37を半田付けする。
【0040】
続いて、出力用コネクタ端子25及び信号用コネクタ端子34を、回路基板16に配設して、回路基板16の導電路20と電気的に接続する。また、入力用コネクタ端子30を回路基板16に配設する。続いて、第1金属線28、第2金属線33、及び第3金属線38をそれぞれワイヤーボンディングする。
【0041】
次いで、回路基板16を第1ケース12内に収容してネジ19によりネジ止めした後、第2ケース13を第1ケース12に組み付ける。以上により電気接続箱10が完成する。
【0042】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、出力用コネクタ端子25は2列に並べて配設されるので、半導体リレー24の数を増やした場合でも、出力用コネクタ端子25を1列に並べた場合に比べて、出力用コネクタ15を小型化することができる。これにより、回路構成体を小型化できる。
【0043】
また、回路基板16の表面にプリント配線技術により形成された導電路20に金属線をワイヤーボンディングする場合、金属線を接続するための治具によって導電路20が強い圧力を受けることがある。すると、導電路20が回路基板16から剥離することが懸念される。また、プリント配線板は比較的に低剛性であり、ボンディング時のエネルギーが減衰することで接続強度が下がる恐れもある。本実施形態によれば、導電路20には金属板材からなる第1中継部材27が電気的に接続されている。これにより、治具による圧力は第1中継部材27に加えられるので、ワイヤーボンディング時に導電路20が回路基板16から剥離することが抑制され、十分な接続強度を得ることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、入力用コネクタ端子30が配設された入力用コネクタ32、と、出力用コネクタ端子25が配配設された出力用コネクタ15とは、それぞれ別体に設けられている。これにより、出力用コネクタ端子25と、入力用コネクタ端子30とを1つのコネクタ内に配設する場合に比べて、スペース効率を向上させることができる。この結果、出力用コネクタ15、及び入力用コネクタ32を全体として小型化することができる。
【0045】
また、バスバー21に通電する際の発熱を低減しようとすると、バスバー21の断面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、入力用コネクタ端子30の厚さ寸法は規格化されている。このため、入力用コネクタ32とバスバー21とを一体に形成する場合には、バスバー21の厚さは入力用コネクタ端子30の厚さ寸法に制約される。この結果、入力用コネクタ端子30とバスバー21とを一体に形成する場合には、バスバー21を厚くすることはできないため、バスバー21の幅を大きくすることになる。すると、回路基板16のうちバスバー21の占有する面積が大きくなり、回路基板16が大型化し、電気接続箱10が大型化することが懸念される。
【0046】
本実施形態によれば、入力用コネクタ端子30と第1バスバー21A及び第2バスバー21Bとは別体に形成されているので、入力用コネクタ端子30の寸法を規格に合わせると共に、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bを厚くすることができる。これにより、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bの幅寸法が大きくなることを抑制できるので、電気接続箱10を小型化できる。
【0047】
また、本実施形態においては、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bは、連結バスバー23により一体に連結されており、第1バスバー21A、第2バスバー21B及び連結バスバー23には1つの入力用コネクタ端子30が接続されている。これにより、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bのそれぞれに入力用コネクタ端子30を接続する場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0048】
また、車載電装品に電力を供給する出力用コネクタ端子25に比べて、半導体リレー24のオンオフを制御する信号が入力される信号用コネクタ端子34のピッチ間隔は小さく設定されている。このため、出力用コネクタ端子25及び信号用コネクタ端子34の双方が配設されたコネクタでは、ピッチ間隔の比較的に小さい信号用コネクタ端子34については無駄なスペースが生じてしまう。本実施形態によれば、信号用コネクタ端子34が配された信号用コネクタ36、入力用コネクタ端子30が配された入力用コネクタ32、及び出力用コネクタ端子25が配された出力用コネクタ15は、それぞれ別体に設けられている。これにより、出力用コネクタ端子25、入力用コネクタ端子30、及び信号用コネクタ端子34を1つのコネクタ内に配設する場合に比べて、スペース効率を向上させることができる。この結果、出力用コネクタ15、入力用コネクタ32、及び信号用コネクタ36を全体として小型化することができる。このように、各コネクタを小型化できるので、回路構成体を全体として小型化できる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、入力用コネクタ端子30と両バスバー21A,21Bとは別体としたが、これに限られず、入力用コネクタ端子30と両バスバー21A,21Bとは一体に形成されていてもよい。
(2)本実施形態においては、入力用コネクタ端子30とバスバー21とはワイヤーボンディングにより接続したが、これに限られず、入力用コネクタ端子30とバスバー21とは、ジャンパ線、金属板等、必要に応じて任意の手段により電気的に接続してもよい。
(3)出力用コネクタ端子25と、入力用コネクタ端子30と、信号用コネクタ端子34とは、1つのコネクタ内に配設される構成としてもよい。
(4)本実施形態においては、ワイヤーボンディングはウェッジボンディングにより行なったが、これに限られず、ボールボンディングにより行なってもよい。
(5)連結バスバー23は、任意の位置において、第1バスバー21Aと第2バスバー21Bとを連結してもよい。
(6)本実施形態においては、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bは連結バスバー23により一体とされる構成としたが、これに限られず、別体であってもよい。この場合、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bのそれぞれに入力用コネクタ端子30を接続してもよいし、また、1つの入力用コネクタ端子30に対して、ワイヤーボンディング、ジャンパ線等の公知の手段により、第1バスバー21A及び第2バスバー21Bをそれぞれ接続してもよい。
(7)本実施形態においては、出力用コネクタ端子25、信号用コネクタ端子34及び入力用コネクタ端子30を、回路基板16に配設したのち、第1金属線28、第2金属線33、及び第3金属線38をそれぞれワイヤーボンディングする製造工程としたが、各金属線28、33及び38を回路基板16にワイヤーボンディングしたのち、各コネクタ端子25、34及び30を回路基板16に配設してもよい。
(8)半導体リレー24の数は、車両の仕様に応じて増減させてもよい。また、出力用コネクタ端子25の数、信号用コネクタ端子34の数も、仕様に応じて増減させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る電気接続箱を示す断面図
【図2】電気接続箱を示す底面図
【図3】図1におけるIII−III線断面図
【図4】図3における半導体リレーを示す拡大図
【符号の説明】
【0051】
10…電気接続箱(回路構成体)
14…出力用ワイヤーハーネス
15…出力用コネクタ
16…回路基板
20…導電路
21A…第1バスバー(バスバー21)
21B…第2バスバー(バスバー21)
23…連結バスバー
24…半導体リレー
25…出力用コネクタ端子
27…第1中継部材(中継部材)
30…入力用コネクタ端子
31…入力用ワイヤーハーネス
32…入力用コネクタ
34…信号用コネクタ端子
35…信号用ワイヤーハーネス
36…信号用コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板の表面に重ねられたバスバーと、前記バスバーに電気的に接続された複数の半導体リレーと、を備えた回路構成体であって、
前記バスバーは、細長い形状をなすと共に、その長手方向と交差する方向について互いに間隔を空けて並んで配された一対のバスバーであって、前記半導体リレーは、各前記バスバーの表面に、前記バスバーの長手方向に沿って間隔を空けて並んで実装されており、前記回路基板のうち前記一対のバスバーに挟まれた位置には、前記バスバーの長手方向に沿って間隔を空けて並んで配されると共に、前記一対のバスバーが並ぶ方向について2列に並んで配され、且つ前記半導体リレーと電気的に接続される複数の出力用コネクタ端子が配されており、前記出力用コネクタ端子は、外部負荷に接続された出力用ワイヤーハーネスと接続可能な出力用コネクタに配設されていることを特徴とする回路構成体。
【請求項2】
前記回路基板の表面にはプリント配線技術により導電路が形成されており、前記導電路には金属板材からなる中継部材が電気的に接続されており、前記中継部材と前記半導体リレーとはワイヤーボンディングにより接続されており、前記導電路と前記出力用コネクタ端子とは電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記回路基板には前記バスバーと電気的に接続された入力用コネクタ端子が配されており、前記入力用コネクタ端子は、電源に接続された入力用ワイヤーハーネスと接続可能な入力用コネクタに配設されており、前記入力用コネクタは前記出力用コネクタと別体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記入力用コネクタ端子は、前記バスバーとは別体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記一対のバスバーは、連結バスバーにより一体に連結されており、前記一対のバスバー又は前記連結バスバーには1つの入力用コネクタ端子が接続されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記回路基板には前記半導体リレーと電気的に接続された信号用コネクタ端子が配されており、前記信号用コネクタ端子は、前記半導体リレーのオンオフを制御する制御回路に接続された信号用ワイヤーハーネスと接続可能な信号用コネクタに配設されており、前記信号用コネクタは前記出力用コネクタと別体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記回路基板には前記半導体リレーと電気的に接続された信号用コネクタ端子が配されており、前記信号用コネクタ端子は、前記半導体リレーのオンオフを制御する制御回路に接続された信号用ワイヤーハーネスと接続可能な信号用コネクタに配設されており、前記信号用コネクタは前記出力用コネクタ及び前記入力用コネクタと別体に形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の回路構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−172059(P2010−172059A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9754(P2009−9754)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】