説明

回路遮断器

【課題】 判定回路の動作電源を電源側端子の更に電源側から採った場合でも、遮断動作後は判定回路への電力の供給を停止する回路遮断器を提供する。
【解決手段】 電源側端子1の接続不良を検出するセンサ部3や接続不良検出回路4等を駆動する電源を、電源側端子1の更に電源側から供給し、過電流が発生したら電路を遮断するために電路L1,N,L2に設けた第1開閉接点5に加えて、電源線11に第2開閉接点12を設けた。プランジャ6のトリップ動作により第1開閉接点5が開動作したら第2開閉接点12も開動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路遮断器に関し、詳しくは接続された電線の接続不良を検出する接続不良検出手段を備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源側端子や負荷側端子に接続された電線にねじの緩み等で接続不良が発生したら、それを検出して遮断動作する回路遮断器がある。このような回路遮断器は、接続不良を検出するためのセンサを端子部に設置し、MPUを備えた接続不良検出回路により接続不良発生を判定し、接続不良が発生したら遮断手段を遮断動作させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−305764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記回路遮断器の場合、接続不良検出回路の電源は開閉接点より負荷側から採っているため、遮断動作後は電源の供給が止まり、必要のない電力が消費されることはない。しかしながら、電源側端子において接続不良が発生した場合、電源の供給が不安定となるため誤動作の要因となっていた。
そのため、電源側接続端子の接続状態によらず安定して接続不良検出回路を動作させるために、判定回路の電源を単純に電源側端子の更に電源側から採る構成が考えられるが、この場合、回路遮断器が遮断動作した後も判定回路へ電源が供給され続けるため、好ましい構成ではない。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、接続不良検出回路の動作電源を電源側端子の更に電源側から採った場合でも、遮断動作後は接続不良検出回路への電力の供給を停止する回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、電路に漏電或いは過電流が発生したら前記電路に設けた第1開閉接点を開操作して前記電路を遮断する遮断手段を有すると共に、電源側端子或いは負荷側端子に接続された電線の接続不良を検出する接続不良検出手段を備えて、接続不良が発生した場合も前記遮断手段を動作させて前記電路を遮断する回路遮断器において、前記接続不良検出手段の動作電源を前記電源側端子の電源側、或いは前記電源側端子に接続された一次側配線に電源線を接続して直接供給すると共に、前記電源線の途中に第2開閉接点を設け、前記遮断手段は、前記第1開閉接点の開操作に合わせて前記第2開閉接点も開操作することを特徴とする。
この構成によれば、接続不良検出手段の動作電源を電源側端子の電源側、或いは前記電源側端子に接続された一次側配線より直接供給するため、電源側端子で接続不良が発生しても接続不良検出手段は良好に検出動作する。そして、遮断動作を受けて、接続不良検出手段の電源回路も遮断されるので、必要のない電力が供給され続けることがない。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、接続不良の検出対象となる電源側端子或いは負荷側端子は、端子を構成する座金と、電線に取り付けられた圧着端子を前記座金に圧着するための端子ねじ及びナットとを有し、前記ナットと前記座金との接触部には絶縁体を配置して直接導通しないよう構成し、前記接続不良検出手段は、前記座金と前記ナットとの間の電位差を検出して、前記電位差が一定値を越えたら接続不良発生と判断することを特徴とする。
この構成によれば、座金とナットの電圧を検出することで接続不良が検知できるので、温度センサ等を用いること無く簡易な構成で接続不良を検出できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源側端子で緩み等の接続不良が発生しても接続不良検出手段は良好に検出動作する。そして、遮断動作を受けて接続不良検出手段の電源回路も遮断されるので、必要のない電力が供給され続けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る回路遮断器の一例を示す回路ブロック図である。
【図2】電源側端子の端子構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る回路遮断器の回路ブロック図であり、単相三線式電路に設置される構成を示している。1は一次側配線1cが接続される電源側端子、2は二次側配線2aが接続される負荷側端子、3は接続不良を検出するために端子に設けられたセンサ部、4は接続不良を判断して遮断信号を生成する接続不良検出回路、5は電源側端子1と負荷側端子2の間の電路L1,N,L2を開閉する開閉接点(第1開閉接点)、6は開閉接点5を開操作するプランジャ、6aは遮断機構6を駆動する電磁コイル、7は電磁コイル6aに通電してプランジャ6を駆動するための遮断駆動回路、9は電路L1,N,L2に流れる過電流を検出するためのバイメタル、10は接続不良検出回路4、遮断駆動回路7を初め、各回路に電源を供給する電源回路、11は電路L1,N,L2のうち電圧線L1,L2から電源回路10へ電力を供給する電源線、12は電源線11の途中に配置した開閉接点(第2開閉接点)である。
【0010】
尚、センサ部3と接続不良検出回路4とで接続不良検出手段を構成し、プランジャ6と電磁コイル6aと遮断駆動回路7とにより、電路L1,N,L2を遮断操作する遮断手段8を構成している。
【0011】
センサ部3は、各電源側端子1,1,1に設けられた接触・非接触検出回路15と、何れか1つの接触・非接触検出回路15が非接触を検出したら非接触検出信号を出力する統合出力回路16とで構成されている。
接触・非接触検出回路15は、図2に示すように電源側端子1に接続されている。図2は電源側端子1の構造を示す説明図である、接続不良を検出するための端子構造を示している。電源側端子1は、座金1aと、圧着端子18及び座金1aに設けた孔17に挿通してナット1bに螺入し、圧着端子18を座金1aに圧着させる端子ねじ19とで構成され、接触・非接触検出回路15は、座金1aとナット1bの間で発生する電圧を検出し、電圧が所定値を越えたら非接触信号を出力する。
【0012】
但し、座金1aとナット1bとの間には、絶縁板20が配置されて両者は直接導通状態になることが無く、更に座金1aの孔17の内壁は絶縁膜22で覆われて、端子ねじ19と導通しないよう構成されている。こうして、電路L1,N,L2を構成する電線23に取り付けられた圧着端子18と座金1aとは、直接接触する以外に導通状態とならないよう構成されている。
【0013】
接続不良検出回路4は、ノイズによる誤動作を排除するための平均値回路30、設定値と比較して接続不良を判定する判定回路31、結果を保持する自己保持回路32、遮断駆動回路7を動作させる駆動信号を出力するための出力回路33等により構成されている。
【0014】
電源回路10は、その電源線11が図2に示すように圧着端子18において一次側配線1cである電線23と共に圧着されることで、電線23に接続される。そして、第2開閉接点12が電源線11の電源回路10に至る途中に設けられ、遮断手段8の遮断動作により開動作するよう構成されている。
【0015】
このように構成された回路遮断器は次のように動作する。但し、過電流が電路L1,N,L2に流れたら、電路L1,N,L2を遮断する動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは電源側端子1に緩み等の接続不良が発生した場合の動作を説明する。
電源側端子1の何れかに接続不良が発生すると、圧着端子18と座金1aの接触が不安定になり接触抵抗が増大する。その結果、端子ねじ19により圧着端子18と同電位にあるナット1bと座金1aの間に電位差が発生する。尚、この不安定な接続状態にあっても、電源回路10は電線23から直接電力の供給を受けるので、安定した電力が接続不良検出回路4、遮断駆動回路7を初め各回路に供給される。
【0016】
そして、圧着端子18と座金1aの間で発生する電位差が所定の値に達したら、接触・非接触検出回路15は信号を出力し、統合出力回路16から信号(非接触検出信号)が接続不良検出回路4へ出力される。接続不良検出回路4は、この信号を受けて接続不良発生と判断したら遮断駆動回路7へその駆動信号を出力する。こうして電磁コイル6aが電源回路10から供給される電流で駆動され、プランジャ6がトリップ動作する。
その結果、第1開閉接点5及び第2開閉接点12が共に開動作し、電路L1,N,L2が遮断されると共に、電源回路10への電力の供給も停止される。
【0017】
このように、接続不良検出手段の動作電源を電源側端子の電源側である一次側配線より直接供給するため、電源側端子で接続不良が発生しても接続不良検出手段は良好に検出動作する。そして、遮断動作を受けて接続不良検出手段等へ電源を供給する電源回路も遮断されるので、必要のない電力が供給され続けることがない。
また、座金とナットの電圧を検出することで接続不良が検知できるので、温度センサ等を用いること無く簡易な構成で接続不良を検出できる。
【0018】
尚、上記実施形態では、電線に取り付ける圧着端子18に電源線11を合わせて圧着させることで、電源側端子1の電源側から電力を供給させているが、上記実施形態のように座金1aとナット1bの間の電位差を検出して接続不良を検知する構成の場合は、接触・非接触回路15が電圧を検知しているナット1bに電源線11を接続することもできる。
また、電源側端子1の接続不良を検出する構成となっているが、負荷側端子2の接続不良を検知する構成としても良いし。全ての端子の接続不良を検知しても良い。
【符号の説明】
【0019】
1・・電源側端子、1a・・座金、1b・・ナット、1c・・一次側配線、2・・負荷側端子、3・・センサ部、4・・接続不良検出回路、5・・第1開閉接点、6・・プランジャ、6a・・電磁コイル、7・・遮断駆動回路、8・・遮断手段、10・・電源回路、11・・電源線、12・・第2開閉接点、15・・接触・非接触検出回路、23・・電線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路に漏電或いは過電流が発生したら前記電路に設けた第1開閉接点を開操作して前記電路を遮断する遮断手段を有すると共に、電源側端子或いは負荷側端子に接続された電線の接続不良を検出する接続不良検出手段を備えて、接続不良が発生した場合も前記遮断手段を動作させて前記電路を遮断する回路遮断器において、
前記接続不良検出手段の動作電源を前記電源側端子の電源側、或いは前記電源側端子に接続された一次側配線に電源線を接続して直接供給すると共に、前記電源線の途中に第2開閉接点を設け、
前記遮断手段は、前記第1開閉接点の開操作に合わせて前記第2開閉接点も開操作することを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
接続不良の検出対象となる電源側端子或いは負荷側端子は、端子を構成する座金と、電線に取り付けられた圧着端子を前記座金に圧着するための端子ねじ及びナットとを有し、
前記ナットと前記座金との接触部には絶縁体を配置して直接導通しないよう構成し、前記接続不良検出手段は、前記座金と前記ナットとの間の電位差を検出して、前記電位差が一定値を越えたら接続不良発生と判断することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−176988(P2010−176988A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17157(P2009−17157)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】