説明

回転スイッチ構造

【課題】操作対象の構成に合わせて操作性の高い操作方法を選択可能な回転スイッチ構造を得る。
【解決手段】回転スイッチ構造12の回転操作部20及び回転状態検出器24は、可動ブラケット26によって、回動軸30回りに回動する。回動により、回転中心軸22がパネル16と直交すると共に回転操作部20の全体が、後述するカバー蓋36よりも車室内側に位置した姿勢と、回転中心軸22がパネル16と平行になると共に回転操作部20の一部のみが、カバー蓋36よりも車室内側に位置した姿勢をとる。これにより、回転操作部20の姿勢を、操作者にとって操作しやすい姿勢とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転スイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば自動車に備えられるスイッチとして、特許文献1には、操作軸の軸心回りに回動される操作部を備えたロータリースイッチが記載されている。
【0003】
ところで、スイッチで操作される操作対象の構成等によっては、スイッチの操作部を操作者にとって、より操作しやすいものとすることが望まれる。
【特許文献1】特開平8−50834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、操作対象の構成に合わせて操作性の高い操作方法を選択可能な回転スイッチ構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、操作者の操作により回転する操作部と、前記操作部の回転状態を検知する検知部と、前記操作部の回転中心線と非平行な回動軸を中心として操作部を回動可能に支持すると共に、取付部材への取り付け用とされる支持部と、を有することを特徴とする。
【0006】
この回転スイッチ構造では、操作部を操作者が回転させることで、検知部が回転状態を検知できる。この「回転状態」には、操作部の回転位置の他、回転の角速度や角加速度等も含まれる。
【0007】
また、この回転スイッチ構造では支持部によって取付部材に取り付けられるが、さらに支持部は、操作部の回転中心線と非平行な回動軸を中心として操作部を回動可能に支持している。したがって、操作部を、回動軸まわりに回動させることで、操作部の向きや姿勢を変更することができる。これにより、操作対象に合わせて、操作性の高い操作方法を選択できる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記回動軸が、前記操作部の回転中心線を法線とする平面内に位置していることを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明において、回動軸は操作部の回転中心と非平行であれば特に限定されないが、たとえば、請求項2に記載のように、前記回動軸が、操作部の回転中心線を法線とする平面内に位置していれば、操作部の姿勢を回動軸周りの回動によって効率的に変更可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記操作部と前記取付部材との間隙を覆うカバー部材、を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、操作部と取付部材との隙間が解消されるので、この隙間から取付部材内への異物の浸入を抑制可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成としたので、操作対象の構成に合わせて操作性の高い操作方法を選択可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、本発明の一実施形態の回転スイッチ構造12が示されている。また、図3及び図4には、この回転スイッチ構造12が備えられた自動車のパネル部14が示されている。
【0014】
図3及び図4に示すように、パネル部14を構成するパネル16には、図示しない車載機器のディスプレイ18が備えられている。乗員は、ディスプレイ18の表示内容を視認しながら、回転スイッチ構造12を操作して、必要な情報を車載機器に入力することができる。なお、この車載機器は特に限定されないが、たとえば、カーナビゲーション装置や、カーオーディオ装置等が含まれる。
【0015】
図1及び図2に示すように、回転スイッチ構造12は、扁平な略円筒状又は円柱状に形成された回転操作部20を有している。回転操作部20は、回転中心軸22によって矢印R1方向に及びその反対の方向に回転可能とされている。また、回転操作部20の外周面には、操作者が回転操作するときに滑り止めとなるように、滑り止め加工が施されている。
【0016】
回転中心軸22には、回転状態検出器24が取り付けられている。この回転状態検出器24は、回転操作部20の回転状態を検出することができる。また、回転状態検出器24は、図示しないケーブルにより(あるいは無線でもよい)、検出された回転操作部20の回転状態を車載機器に送ることができる。なお、この回転状態検出器24で検出される回転操作部20の回転状態としては、特に限定されるものではないが、少なくとも回転操作部20の回転位置を検出できることが好ましい。さらに必要に応じて、回転位置の他、回転の角速度や角加速度等(これらはいずれも正逆が区別される)も含まれる。
【0017】
回転状態検出器24は、可動ブラケット26によって、パネル16から延出された取付部28に取り付けられている。取付部28には、回転中心軸22を法線とする平面内に位置する回動軸30が設定されており、この回動軸30の反対側が、回転状態検出器24を保持する保持部32とされている。
【0018】
回転操作部20及び回転状態検出器24は、可動ブラケット26によって、回動軸30回りに、図1(A)及び(B)に示す向き及び姿勢と、図2(A)及び(B)に示す向き及び姿勢との間で、すなわち90度の回動角の範囲で回動できるようになっている。図1(A)及び(B)に示す姿勢では、回転中心軸22がパネル16と直交しており、回転操作部20の全体が、後述するカバー蓋36よりも車室内側(図1(B)では上側)に位置している。これに対し、図2(A)及び(B)に示す向き及び姿勢では、回転中心軸22がパネル16と平行になっており、回転操作部20の一部のみが、カバー蓋36よりも車室内側に位置している。
【0019】
パネル16には、開口部34が形成されている。開口部34は、回転操作部20が図1(A)及び(B)に示す姿勢と図2(A)及び(B)に示す姿勢との間を回動するときに、回動中の回転操作部20と干渉することが無い大きさに形成されている。
【0020】
また、パネル16には、図示しないスライド支持部材によって、一対のカバー蓋36がスライド可能に取り付けられている。カバー蓋36はスライドにより、図1(A)及び図2(A)に示すように、互いの対向辺38が接触して開口部34を閉塞する位置(閉塞位置)と、対向辺38がそれぞれ、開口部34の口縁34Eと略一致して開口部34を開口した位置(開口位置)との間を移動する。
【0021】
カバー蓋36の対向辺38の中央には、互いに離間する方向へと矩形に凹まされた凹部40が形成されている。凹部40は、回転操作部20及び回転状態検出器24が図1(A)及び(B)に示す姿勢にあるときは、カバー蓋36が回転中心軸22と干渉しないようにしている。また、凹部40は、回転操作部20及び回転状態検出器24が図2(A)及び(B)に示す姿勢にあるときは、カバー蓋36が回転操作部20と干渉しないようにしている。
【0022】
このような構成とされた本実施形態の回転スイッチ構造12では、ディスプレイ18の表示内容の画面構成に合わせて、回転操作部20の姿勢を、図1(A)及び(B)に示す姿勢と2(A)及び(B)に示す姿勢のいずれかとすることで、操作者にとって操作しやすい姿勢、すなわち操作方法とすることができる。
【0023】
たとえば、ディスプレイ18の画面構成が、図3に示すように、複数の選択対象52(たとえば文字列)が上下方向にのみ並んで配置されたものである場合には、回転操作部20としても、選択対象52のなかから実際に選択したものを示す選択物表示54が上下方向にのみ移動するものであれば操作しやすい。したがって、この場合には、回転操作部20を図2(A)及び(B)に示す姿勢とすれば、回転操作部20の回転方向と選択物表示54の移動方向が一致する。
【0024】
これに対し、ディスプレイ18の画面構成が、図4に示すように、複数の選択対象62(たとえばシンボル、絵あるいはグラフ等)が上下方向及び左右方向に並んで配置されたものである場合には、回転操作部20としても、回転操作によって選択物表示64が上下方向だけでなく、左右方向にも移動するものであれば操作しやすい。したがって、この場合には、回転操作部20を図1(A)及び(B)に示す姿勢とすれば、回転操作部20の回転によって、選択物表示54も矢印R2方向に周回させ、上下方向と左右方向に移動させることができる。
【0025】
このように、本実施形態の回転スイッチ構造12では、操作対象であるディスプレイ18の表示に合わせて、操作者にとって操作性の高い回転操作部20の姿勢を選択でき、操作性を向上させることができる。
【0026】
実際に回転操作部20の姿勢を変更する場合には、カバー蓋36を開けて、回転操作部20及び回転状態検出器24を、可動ブラケット26ごと回動軸30回りに回動させ、その後、カバー蓋36を閉めるだけなので、姿勢変更を容易に行うことができる。
【0027】
この姿勢変更の動作は、すべて手動で行うことが可能であるが、たとえば、カバー蓋36の開閉を行うアクチュエータや、回転操作部20及び回転状態検出器24を回動させるモータ等を設け、これらを制御回路で制御するようにしてもよい。この構成では、たとえば、姿勢変更のためのスイッチを操作するのみで、カバー蓋36を開け、次に回転操作部20及び回転状態検出器24を回動させ、最後にカバー蓋36を閉める、という一連の動作を自動で行わせることが可能になる。
【0028】
なお、上記では、回転操作部20と回転状態検出器24とを一体で回動軸30回りに回動させる例を挙げたが、少なくとも回転操作部20が回動するようになっていれば、操作者にとって操作性の高い回転操作部20の姿勢を選択して、操作性を向上させることが可能となる。
【0029】
また、上記では、開口部34がカバー蓋36によって開閉される構成のものを例に挙げたが、このカバー蓋36が設けられることなく、単に回転操作部20を回動軸30回りに回動させる構成であってもよい。カバー蓋36を設けると、開口部34を閉塞することで開口部34からパネル16の内部への異物の浸入を防止できる。
【0030】
また、上記では、回動軸30が、回転操作部20の回転中心軸22を法線とする平面内に位置しているものを挙げたが、回動軸30は、少なくとも回転中心軸22と非平行になっていれば、回動軸30回りの回動により、回転操作部20の向きや姿勢を変更することができる。もちろん、上記実施形態のように、回動軸30を、回転操作部20の回転中心軸22を法線とする平面内に設定すると、回動軸30回りの回動によって、効率的に回転操作部20の向きや姿勢を変更できるので、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の回転スイッチ構造を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の回転スイッチ構造を図1と異なる姿勢で示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の回転スイッチ構造とディスプレイの画面構成との関係を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の回転スイッチ構造とディスプレイの画面構成との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
12 回転スイッチ構造
14 パネル部
16 パネル(取付部材)
18 ディスプレイ
20 回転操作部
22 回転中心軸(回転中心線)
24 回転状態検出器(検知部)
26 可動ブラケット(支持部)
28 取付部
30 回動軸
32 保持部
34 開口部
34E 口縁
36 カバー蓋(カバー部材)
38 対向辺
40 凹部
52 選択対象
54 選択物表示
62 選択対象
64 選択物表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作により回転する操作部と、
前記操作部の回転状態を検知する検知部と、
前記操作部の回転中心線と非平行な回動軸を中心として操作部を回動可能に支持すると共に、取付部材への取り付け用とされる支持部と、
を有することを特徴とする回転スイッチ構造。
【請求項2】
前記回動軸が、前記操作部の回転中心線を法線とする平面内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の回転スイッチ構造。
【請求項3】
前記操作部と前記取付部材との間隙を覆うカバー部材、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転スイッチ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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