説明

回転ダンパ

【課題】ハウジングとロータとの相対回転方向の違いでダンパ作用トルクの差異が大きいワンウェイ型の回転ダンパが得られるようにすること。
【解決手段】ロータ20が軸線方向に分割された第1の分割部材22と第2の分割部材24とにより構成され、第1の分割部材22と第2の分割部材24の互いに対向する端面に、当該両分割部材の相対回転変位によって第2の分割部材24に対して前記第1の分割部材22を軸線方向に変位させる形状の端面カム22F、24Eが形成され、第2の分割部材24の回転方向の違いによって第1の分割部材22が軸線方向に移動することにより、第1の分割部材22とロータ室16の内壁との間に画成される絞り流路34の大きさが変化すると共にロータ20の軸長が変化し、ダンパ作用トルクに差異が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ダンパに関し、特に、ワンウェイ型の回転ダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のグローブボックスのリッド等の回動物に用いられる回転ダンパとして、回動物の降下方向の回動時には、その回動に対して大きい抵抗力(ダンパ作用トルク)を与え、それとは逆の上昇方向の回動時には、その回動に対して抵抗力を与えないか或いは小さい抵抗力を与えるワンウェイ型の回転ダンパが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この回転ダンパは、円筒状のロータ室を画定するハウジングと、ロータ室に回転可能に配置されてロータ室を回転することにより流体圧を受けるベーンを具備したロータとを有し、ベーンに弁体がロータの回転方向に移動可能に設けられ、ハウジングとロータとの相対回転の方向に応じた弁体の移動によって断面積が異なる流体通路が開閉されることにより、ハウジングとロータとの相対回転方向の違いによって相違するダンパ作用トルクが得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−282039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術によるワンウェイ型の回転ダンパは、弁体の設置箇所がベーン先端に限られ、断面積が異なる流体通路の設定に寸法的な制約があり、ハウジングとロータとの相対回転方向の違いでダンパ作用トルクの差異が大きいワンウェイ型の回転ダンパを構成することが難しい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ハウジングとロータとの相対回転方向の違いでダンパ作用トルクの差異が大きいワンウェイ型の回転ダンパが得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による回転ダンパは、円筒状のロータ室(16)を画定するハウジング(10)と、前記ロータ室(16)に回転可能に配置されたロータ(20)と、一端を前記ロータ(20)に連結され他端が前記ロータ室(16)外に突出した回転入力軸(30)とを有し、前記ハウジング(10)と前記ロータ(20)との相対的な回転運動に抵抗を与える回転ダンパであって、前記ロータ(20)が軸線方向に分割された第1の分割部材(22)と第2の分割部材(24)とにより構成され、前記第1の分割部材(22)と前記第2の分割部材(24)の互いに対向する端面に、当該両分割部材の相対回転変位によって前記第2の分割部材(24)に対して前記第1の分割部材(22)を軸線方向に変位させる形状の端面カム(22F、24E)が形成され、前記第1の分割部材(22)と前記第2の分割部材(24)とを軸線方向に互いに近付ける方向に付勢するばね(26)を有し、第2の分割部材(24)に前記回転入力軸(30)が連結され、前記第2の分割部材(24)が反時計廻り方向に回転される場合には、前記端面カム(22F、24E)によって前記第1の分割部材(22)が前記第2の分割部材(24)より遠ざかる方向に移動して前記第1の分割部材(22)と前記ロータ室(16)の内壁との間の流体流路を小さくし、前記第2の分割部材(24)が時計廻り方向に回転される場合には、前記端面カム(22F、24E)によって前記第1の分割部材(22)が前記第2の分割部材(24)に近付く方向に移動して前記第1の分割部材(22と前記ロータ室(16)の内壁との間の流体流路を大きくする。
【0008】
この構成によれば、第2の分割部材(24)の回転方向の違いによって第1の分割部材(22)が軸線方向に移動することにより、第1の分割部材(22)とロータ室(16)の内壁との間に画成される流体流路(34)の大きさが変化すると共にロータ(20)の軸長が変化し、ダンパ作用トルクに大きい差異が生じる。
【0009】
本発明による回転ダンパは、好ましくは、更に、前記第1の分割部材(22)と前記第2の分割部材(24)の各々に、前記ロータ室(16)内を回転変位することにより流体圧を受けるベーン(22D、24C)が設けられている。
【0010】
この構成によれば、ベーン(22D、24C)がロータ室(16)内を回転変位することにより、ベーン(22D、24C)が流体圧を受けるので、ダンパ作用トルクが生じると共に、第1の分割部材(22)と第2の分割部材(24)との相対回転変位が的確に行われようになる。
【0011】
本発明による回転ダンパは、好ましい一つの実施形態として、前記第1の分割部材(22)のベーン(22D)と前記第2の分割部材(24)のベーン(22C)とが軸線方向に互いに対向する端面(22H、22G)が、前記両分割部材(22、24)の相対回転変位によって互いに摺動変位する傾斜面になっている。
【0012】
この構成によれば、第1の分割部材(22)が第2の分割部材(24)より軸線方向に離れる位置に位置しても、ベーン(22D)とベーン(22C)との間に大きい流体流路となってダンパ作用トルクを低減するような隙間が生じることがない。
【0013】
本発明による回転ダンパは、好ましくは、更に、前記第1の分割部材(22)と前記第2の分割部材(24)は、互いに回転可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌合する円筒部(22A、24H)を含み、前記円筒部(22A、24H)に円筒部内側を気密にするシール部材(28)が設けられている。
【0014】
この構成によれば、第1の分割部材(22)、第2の分割部材(24)の内側に粘性流体が侵入することがないから、これら分割部材内において粘性流体が不規則な挙動をすることによってダンパ特性が不安定になることが回避され、併せてロータ室(16)に対する粘性流体の充填量を節約できる。
【0015】
本発明による回転ダンパは、好ましくは、更に、前記第1の分割部材と前記第2の分割部材との相対回転変位を所定の回転角範囲に制限するストッパ部が前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とに形成されている。
【0016】
この構成によれば、第1の分割部材(22)と第2の分割部材(24)との相対回転変位が所定の回転角範囲に制限され、端面カム(22F、24E)のカム対偶の離脱、ベーン(22D、24C)の離間が回避される。
【発明の効果】
【0017】
本発明による回転ダンパは、第2の分割部材の回転方向の違いによって第1の分割部材が軸線方向に移動することにより、第1の分割部材とロータ室の内壁との間に画成される流体流路の大きさが変化すると共にロータの軸長が変化し、ダンパ作用トルクに大きい差異が生じ、ダンパ作用トルクの差異が大きいワンウェイ型の回転ダンパになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による回転ダンパの一つの実施形態を示す縦断面図。
【図2】本実施形態による回転ダンパに用いられるロータの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による回転ダンパの一つの実施形態を、図1、図2を参照して説明する。
【0020】
図1に示されているように、回転ダンパは外郭をなすハウジング10を有する。ハウジング10は、一端(上端)が開口(開口部12A)した有底の円筒形状(カップ形状)のハウジング本体12と、ハウジング本体12の開口部12Aを塞ぐようにハウジング本体12の一端側に取り付けられた円盤状の蓋体14とにより構成されている。
【0021】
ハウジング本体12に対する蓋体14の固定は、接着、溶着等によって行われてよく、それ以外に、ハウジング本体12と蓋体14との嵌合部に形成された円環凹溝と円環凸部との嵌合や、他の締結具を用いたものによって行われてもよい。
【0022】
ハウジング10は内側に円筒状のロータ室16を画定する。ロータ室16は、後述するOリング18によって気密室とされ、粘性流体としてシリコンオイル等を充填される。
【0023】
ロータ室18には、円筒形状のロータ20が、同心配置で、自身の中心軸線周りに回転可能に配置されている。ロータ20は、軸線方向に2分割された第1の分割部材22と第2の分割部材24とにより構成されている。
【0024】
図で見て下側に位置する第1の分割部材22は上方開口の有底円筒形状をした円筒部22Aを含んでいる。円筒部22Aの底部22Bの中央部には円筒状の中心突部22Cが下方へ向けて突出形成されている。中心突部22Cは、ハウジング本体12の底部12Bの中央部に形成された凹部12Cに回転可能に係合している。凹部12Cには、凹部12Cの底部12Dと第1の分割部材22の底部22Aとの間に作用して第1の分割部材22を、図で見て上側、つまり第2の分割部材24の側へ付勢する圧縮コイルばね26が取り付けられている。
【0025】
図で見て上側に位置する第2の分割部材24は、下方開口の円筒部24Aと、円筒部24Aの上端に接合された円形フランジ部24Bとを有する。円形フランジ部24Bと蓋部材14との間には、加硫ゴム、シリコンゴム等のゴム状弾性体製の前述のOリング18がハウジング本体12の内周面に密着する形態で設けられている。この配置により、Oリング18は、ロータ室16を気密室にしている。
【0026】
円形フランジ部24Bの上面中央部には一端(下端)を連結された形態で回転入力軸(ロータ軸)30が一体形成されている。回転入力軸30は、蓋体14の中央部に貫通形成された中心孔14Aを回転可能に貫通し、他端(上端)がロータ室16外に突出している。これにより、ロータ20は、回転入力軸30と前述の中心突部22Bとによってハウジング10より自身の中心軸線周りに回転可能に支持されている。
【0027】
第1の分割部材22の円筒部22Aと第2の分割部材24の円筒部24Aの外周部には、各々、径方向外方へ突出したベーン22D、24Cが一体形成されている。ベーン22D、24Cは、本実施形態では、第1の分割部材22の円筒部22A、第2の分割部材24の円筒部24Aの中心軸線周りに180度回転変位した2箇所に各々形成され、ロータ室16内を回転変位することにより、流体圧を受ける。ベーン22D、24Cは、外端面とハウジング本体12の内周面との間に、絞り流路32を画成している。更に、第1の分割部材22のベーン22Dは、円筒部22Aの底面と共に下端面とハウジング本体12の底面との間のもう一つの絞り流路34を画成している。
【0028】
第1の分割部材22の円筒部22Aの上端面22Eと第2の分割部材24の円筒部24Aの下端面24Dとは同一径の円環形状をしていて互いに対向している。前述の圧縮コイルばね26は、ばね力によって第1の分割部材22の円筒部22Aの上端面22Eを第2の分割部材24の円筒部24Aの下端面24Dに押し付けている。
【0029】
上端面22Eと下端面24Dには、互い円周方向に摺動可能に当接する端面カム22F、24Eが形成されている。第1の分割部材22の端面カム22Fは垂直面aと円周方向に勾配を有する傾斜面bとによる凹形状をしている。第2の分割部材24の端面カム22Eは、同様の垂直面aと円周方向に勾配を有する傾斜面bとによる凸形状をしている。このカム形状により、端面カム22Fと24Eは、第1の分割部材22と第2の分割部材24の相対回転変位によって、第1の分割部材22を第2の分割部材24に対して軸線方向に変位させる。
【0030】
この実施形態の場合、上側から見て第2の分割部材24が第1の分割部材22に対して反時計廻り方向に回転変位することにより、端面カム22F、24Eの傾斜面bの働きによって第1の分割部材22が圧縮コイルばね26のばね力に抗して第2の分割部材24より遠ざかる方向、つまり下方に移動する。第1の分割部材22が下方に移動することにより、第1の分割部材22とロータ室16の内壁との間の絞り流路34の流路断面積が小さくなる。
【0031】
これに対し、上側から見て第2の分割部材24が第1の分割部材22に対して時計廻り方向に回転変位することにより、端面カム22F、24Eの傾斜面bの働きと圧縮コイルばね26のばね力によって第1の分割部材22が第2の分割部材24に近付く方向、つまり上方に移動する。第1の分割部材22が上方に移動することにより、第1の分割部材22とロータ室16の内壁との間の絞り流路34の流路断面積が大きくなる。
【0032】
第1の分割部材22と第2の分割部材24との初期相対回転位置は、図1に示されているように、端面カム22F、24Eの垂直面a同士が当接する回転位置であり、この初期相対回転位置において、第1の分割部材22は最上昇位置に位置し、絞り流路34の流路断面積が最大になる。
【0033】
第1の分割部材22の上端面22Eには円周方向に所定長さを有する円弧状のストッパ凹部22Gが形成されている。第2の分割部材24の下端面24Dにはストッパ凹部22Gに挿入されるストッパピン24Fが一体形成されている。ストッパピン24Fはストッパ凹部22Gの図2で見て反時計廻り方向の終端に当接することにより、第2の分割部材24に対する第1の分割部材22の反時計廻り方向の回転変位を規制している。ストッパピン24Fがストッパ凹部22Gの前述の終端に当接する回転位置が、第1の分割部材22と第2の分割部材24との相対回転変位が最大になる回転位置であり、この最大相対回転位置において、第1の分割部材22は最降下位置に位置し、絞り流路34の流路断面積が最小になる。
【0034】
上述の如く、ストッパ凹部22Gとストッパピン24Fとは、第1の分割部材22と第2の分割部材24との相対回転変位を所定の回転角範囲に制限するストッパ部をなし、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが過剰に相対回転変位することを阻止し、端面カム22F、24Eのカム対偶の離脱、後述するベーン22D、24Cの相互離間を回避する。なお、垂直面a同士の当接によって決まる前述の初期相対回転位置も、ストッパ凹部22Gとストッパピン24Fとによって設定することも可能である。
【0035】
第1の分割部材22のベーン22Dと第2の分割部材24のベーン24Cとは、上述の初期位置において、互いに同一の回転位置に位置して面一の配置になる。ベーン22Dの上端面22Hとベーン24Cの下端面24Gとは軸線方向に互いに対向しており、第1の分割部材22と第2の分割部材24の相対回転変位によって互いに摺動変位する傾斜面になっている。詳細には、ベーン22Dの上端面22Hとベーン24Cの下端面24Gとは、円筒部22A、24Aの円周方向と同方向に勾配を有する傾斜面、換言すると、端面カム22F、24Eの傾斜面bと同一の傾斜面になっていて互いに摺動可能に当接している。上端面22Hと下端面24Gの傾斜高さ寸法は、第2の分割部材24に対する第1の分割部材22の軸線方向(上下方向)の最大移動量より少し大きい値に設定されている。
【0036】
これにより、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが最大相対回転位置に位置しても、つまり、第1の分割部材22が第2の分割部材24より軸線方向に離れる位置に位置しても、ベーン22Dの上端面22Hとベーン22Cの下端面24Gとの間に、大きい流体流路となってダンパ作用トルクを低減するような、隙間が生じることがない。
【0037】
第2の分割部材24は円筒部24Aの下端より下方にシール用円筒部24Hが延設されている。シール用円筒部24Hは、第1の分割部材22の円筒部22Aの内側に回転且つ軸線方向に移動可能に嵌合している。これにより、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが最大相対回転位置に位置しても、第1の分割部材22と第2の分割部材24との間に大きい流体流路となる隙間が生じることがない。なお、シール用円筒部24Hの軸長も、第2の分割部材24に対する第1の分割部材22の軸線方向(上下方向)の最大移動量より少し大きい値に設定されている。
【0038】
更に、円筒部22Aの内側にはシール用円筒部24Hの外周面に摺接する加硫ゴム、シリコンゴム等のゴム状弾性体製のOリング28が装着されている。これにより、円筒部22A、24Aの内側がロータ室16とは気密に分離された気密室になり、円筒部22A、24Aの内側に粘性流体が侵入することがない。このように、円筒部22A、24Aの内側に粘性流体が侵入しないことにより、円筒部22A、24A内において粘性流体が不規則な挙動をすることによってダンパ特性が不安定になることが回避され、併せてロータ室16に対する粘性流体の充填量を節約できる。
【0039】
上述の構成によれば、図1に示されているように、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが初期相対回転位置にある状態において、第2の分割部材24が上側から見て反時計廻り方向に回転されると、ベーン11Dによって流体抵抗を受けている第1の分割部材22を置き去りにして第2の分割部材24だけが同方向に回転する。これにより、第1の分割部材22と第2の分割部材24との間で相対回転運動が生じ、端面カム22F、24Eの傾斜面bの働きによって第1の分割部材22が圧縮コイルばね26のばね力に抗して第2の分割部材24に対して下方に移動する。この相対回転運動は、ストッパピン24Fがストッパ凹部22Gの図2で見て反時計廻り方向の終端に当接するまで、つまり、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが最大相対回転位置に位置するまで行われ、これ以降は、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが一体的にロータ室16内を同方向(反時計廻り方向)に回転移動する。
【0040】
これにより、第2の分割部材24が上側から見て反時計廻り方向に回転される場合には、、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが最大相対回転位置に位置して第1の分割部材22とロータ室16の内壁との間の絞り流路34の流路断面積が最小になると共に、ロータ20の軸長が大きくなり、大きいダンパ作用トルクを生じる。
【0041】
これとは反対に、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが最大相対回転位置にある状態において、第2の分割部材24が上側から見て時計廻り方向に回転されると、第2の分割部材24が上側から見て反時計廻り方向に回転されると、ベーン11Dによって流体抵抗を受けている第1の分割部材22を置き去りにして第2の分割部材24だけが同方向に回転する。これにより、第1の分割部材22と第2の分割部材24との間で相対回転運動が生じ、端面カム22F、24Eの傾斜面bの働きと圧縮コイルばね26のばね力によって第1の分割部材22が第2の分割部材24に対して上方に移動する。この相対回転運動は、端面カム22F、24Eの垂直面a同士が当接するまで、つまり、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが初期相対回転位置に位置するまで行われ、これ以降は、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが一体的にロータ室16内を同方向(時計廻り方向)に回転移動する。
【0042】
これにより、第2の分割部材24が上側から見て時計廻り方向に回転される場合には、第1の分割部材22と第2の分割部材24とが初期相対回転位置に位置して第1の分割部材22とロータ室16の内壁との間の絞り流路34の流路断面積が最大になると共に、ロータ20の軸長が小さくなり、第2の分割部材24が反時計廻り方向に回転される場合に比してダンパ作用トルクが大きく低減する。
【0043】
上述の作用により、本実施形態の回転ダンパは、弁体による流路切り換えによってダンパ作用トルクに差異が生じるようにした従来のものに比して、装置を大型化することなく、ハウジング10とロータ20との相対回転方向の違いによるダンパ作用トルクの差異を大きいワンウェイ型の回転ダンパになる。
【符号の説明】
【0044】
10 ハウジング
16 ロータ室
20 ロータ
22 第1の分割部材
22D ベーン
22F 端面カム
22G ストッパ凹部
22H 上端面
24 第2の分割部材
24C ベーン
24E 端面カム
24F ストッパピン
24G 下端面
26 圧縮コイルばね
28 Oリング
30 入力回転軸
32、34 絞り流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のロータ室を画定するハウジングと、前記ロータ室に回転可能に配置されたロータと、一端を前記ロータに連結され他端が前記ロータ室外に突出した回転入力軸とを有し、前記ハウジングと前記ロータとの相対的な回転運動に抵抗を与える回転ダンパであって、
前記ロータが軸線方向に分割された第1の分割部材と第2の分割部材とにより構成され、
前記第1の分割部材と前記第2の分割部材の互いに対向する端面に、当該両分割部材の相対回転変位によって前記第2の分割部材に対して前記第1の分割部材を軸線方向に変位させる形状の端面カムが形成され、
前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とを軸線方向に互いに近付ける方向に付勢するばねを有し、
前記第2の分割部材に前記回転入力軸が連結され、前記第2の分割部材が反時計廻り方向に回転される場合には、前記端面カムによって前記第1の分割部材が前記第2の分割部材より遠ざかる方向に移動して前記第1の分割部材と前記ロータ室の内壁との間の流体流路を小さくし、前記第2の分割部材が時計廻り方向に回転される場合には、前記端面カムによって前記第1の分割部材が前記第2の分割部材に近付く方向に移動して前記第1の分割部材と前記ロータ室の内壁との間の流体流路を大きくする回転ダンパ。
【請求項2】
前記第1の分割部材と前記第2の分割部材の各々に、前記ロータ室内を回転変位することにより流体圧を受けるベーンが設けられている請求項1に記載の回転ダンパ。
【請求項3】
前記第1の分割部材のベーンと前記第2の分割部材のベーンとが軸線方向に互いに対向する端面が、前記両分割部材の相対回転変位によって互いに摺動変位する傾斜面になっている請求項2に記載の回転ダンパ。
【請求項4】
前記第1の分割部材と前記第2の分割部材は、互いに回転可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌合する円筒部を含み、前記円筒部に円筒部内側を気密にするシール部材が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の回転ダンパ。
【請求項5】
前記第1の分割部材と前記第2の分割部材との相対回転変位を所定の回転角範囲に制限するストッパ部が前記第1の分割部材と前記第2の分割部材とに形成されている請求項1から4の何れか一項にに記載の回転ダンパ。

【図1】
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【図2】
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