説明

回転伝達安定装置

【課題】 駆動モータなどの回転駆動装置よりの回転を安定的に伝達する回転伝達安定装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の回転伝達安定装置10は、固定シャフト14に回転自在に設けられ、固定シャフト14に固定されたサンギア22と噛み合う遊星ギア29a、29b、29cが出力側の側面に回転自在に設けられ駆動モータ11により回転駆動される第1のフライホイール19と、固定シャフト14に回転自在に設けられ、環状形状の内ギア24が遊星ギア29a、29b、29cと噛み合い第1のフライホイール19の回転駆動により回転駆動される第2のフライホイール23と、第2のフライホイール23と同芯で連結する出力軸25とを備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータなどの回転駆動装置よりの回転を安定的に伝達する回転伝達安定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に駆動モータなどの回転駆動装置より回転力の伝達を行うときにフライホイールが使用されるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、回転力を安定的に伝達するため、駆動シャフトの軸ぶれ制御を行うものがある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、フライホイールを使用してもアンバランスや精度により安定的に伝達できない可能性があり、また、軸ぶれ制御は煩雑になる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実開平7−28253号公報
【特許文献2】 特開2005−20800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、駆動モータなどの回転駆動装置よりの回転を安定的に伝達する回転伝達安定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回転伝達安定装置は、固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記第2のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることとした。
また、本発明の回転伝達安定装置は、固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ前記第2のフライホイールに連結し回転駆動される第3のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記第3のフライホイールの遊星ギアと噛み合い前記第3のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第4のフライホイールと、前記第4のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることとした。
さらに、前記サンギアと噛み合う前記遊星ギアは、前記第1のフライホイールまたは前記第3のフライホイールの中心から放射方向に120度間隔で前記出力側の側面に設けられることとした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の回転伝達安定装置は、固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記第2のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることとしたため、回転駆動装置よりの回転を負荷に接続する出力軸に安定的に伝達することができる。
また、本発明の回転伝達安定装置は、固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ前記第2のフライホイールに連結し回転駆動される第3のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記第3のフライホイールの遊星ギアと噛み合い前記第3のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第4のフライホイールと、前記第4のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることとしたため、回転駆動装置よりの回転を負荷に接続する出力軸により安定的に伝達することができる。
さらに、前記サンギアと噛み合う前記遊星ギアは、前記第1のフライホイールまたは前記第3のフライホイールの中心から放射方向に120度間隔で前記出力側の側面に設けられることとしたため、第1のフライホイールまたは第3のフライホイールより回転駆動を確実に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置の横断面図を示す。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置の図1の矢視AA位置での側面図を示す。
【図3】 本発明の第2の実施の形態の回転伝達安定装置の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の回転伝達安定装置につき説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置の横断面図を示す。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置10は、固定シャフト14に回転自在に設けられ駆動モータ11により回転駆動される第1のフライホイール19と、第1のフライホイール19の出力側に併設され、第1のフライホイール19により駆動され、負荷(図示せず)に接続する出力軸25に連結する第2のフライホイール23とが基板28の上に設けられている。
基板28は、固定板15、17、26が固定されている。固定板15には、固定シャフト14の一方の端部側がホルト14aにより固定されている。固定板17は、出力軸25の取付用のブラケット27が固定され、固定板17とブラケット27には、出力軸25が回転自在に取り付けられている。出力軸25は、フランジ部25aにより第2のフライホイール23に同芯で固定して連結し、第2のフライホイール23と共に固定シャフト14の他方の端部に回転自在に取り付けられている。また、固定板26はブラケット18が固定され、固定板26とブラケット18には、固定シャフト14に回転自在に取り付けられた駆動シャフト16が回転自在に取り付けられている。
第1のフライホイール19は、固定シャフト14に回転自在に設けられ、固定シャフト14に固定されたサンギア22と噛み合う遊星ギア29a、29b、29cが出力側の側面に第1のフライホイール19の中心から120度間隔で回転自在に設けられている。
駆動モータ11は、連結した駆動ギア12と噛み合い固定シャフト14に回転自在に設けられたギア13を回動することにより、ギア13と連結した駆動シャフト16を回動する。駆動シャフト16の回動により、駆動シャフト16とフランジ部16aで連結した第1のフライホイール19が回動する。
第2のフライホイール23は、固定シャフト14に回転自在に設けられ、環状形状の内ギア24が第1のフライホイール19の遊星ギア29a、29b、29cと噛み合い、第1のフライホイール19の出力側に併設されている。
【0010】
図2は、本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置の図1の矢視AA位置での側面図を示す。
図2に示すように、第1のフライホイール19には、固定シャフト14に固定されたサンギア22と、サンギア22と噛み合う遊星ギア29a、29b、29cとがフライホイール19の中心から120度間隔で回転自在に設けられている。
第2のフライホイール23は、固定シャフト14に回転自在に設けられて第1のフライホイール19に併設され、内側には環状形状の内ギア24が形成され、内ギア24が第1のフライホイール19の遊星ギア29a、29b、29cと噛み合っている。
駆動モータ11(図1参照)により第1のフライホイール19が回動するとき、遊星ギア29a、29b、29cは、サンギア22の外側に沿って回転しながら矢印Pに示すように回動する。このとき、遊星ギア29a、29b、29cと内ギア24とが噛み合いながら第2のフライホイール23が矢印Nに示すように回動する。第2のフライホイール23の回動により、第2のフライホイール23に連結した図1に示す出力軸25が回動する。
サンギア22と遊星ギア29a、29b、29cとの刃数は任意に設定することができ、例えば、サンギア22の刃数を12とし、遊星ギア29a、29b、29cの各刃数を15としたときには、第1のフライホイール19の回転数に対し第2のフライホイール23の回転数を1.27倍とすることができる。第1のフライホイール19の回転数に対し第2のフライホイール23の回転数を増やし増速することができる。
【0011】
従って、本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置10は、駆動モータ11により、第1のフライホイール19と第2のフライホイール23とを回転させながら出力軸25を回動し、第1のフライホイール19と、第1のフライホイール19より増速した第2のフライホイール23との回動により、駆動モータよりの回転を負荷に接続する出力軸25に安定的に伝達することができる。
【実施例2】
【0012】
図3は、本発明の第2の実施の形態の回転伝達安定装置の横断面図を示す。
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態の回転伝達安定装置30は、駆動モータ31により回転駆動される第1のフライホイール39と、第1のフライホイール39により駆動される第2のフライホイール43と、第2のフライホイール43と連結する第3のフライホイール59と、第3のフライホイール59により駆動され、負荷に接続する出力軸55に連結する第4のフライホイール53とで構成されている。
駆動モータ31は、連結した駆動ギア32と噛み合い固定シャフト34に回転自在に設けられたギア33を回動することにより、ギア33と連結した駆動シャフト36を回動する。駆動シャフト36の回動により、駆動シャフト36と連結した第1のフライホイール39が回動する。
第1のフライホイール39は、固定シャフト34に回転自在に設けられ、固定シャフト34に固定されたサンギア42と噛み合う遊星ギア49a、49b、49cが出力側の側面に第1のフライホイール39の中心から120度間隔で回転自在に設けられている。
第2のフライホイール43は、固定シャフト34に回転自在に設けられ環状形状の内ギア44が第1のフライホイール39の遊星ギア49a、49b、49cと噛み合い、第1のフライホイール39の出力側に併設され、第1のフライホイール39の回動により増速して回動する。
第3のフライホイール59は、固定シャフト34に回転自在に設けられ、固定シャフト34に回転自在に設けられた連結ブラケット51により第2のフライホイール43に連結し、第2のフライホイール43により回動する。さらに、第3のフライホイール59は、固定シャフト34に固定されたサンギア52と噛み合う遊星ギア59a、59b、59cが出力側の側面に第3のフライホイール59の中心から120度間隔で回転自在に設けられている。
第4のフライホイール53は、固定シャフト34に回転自在に設けられ、環状形状の内ギア54が第3のフライホイール59の遊星ギア59a、59b、59cと噛み合い、第3のフライホイール59の出力側に併設され、第3のフライホイール59の回動により増速して回動する。
出力軸55は、第4のフライホイール53に同芯で固定して連結し、第2のフライホイール53と共に固定シャフト34の他方の端部に回転自在に取り付けられている。
【0013】
従って、本発明の第2の実施の形態の回転伝達安定装置30は、駆動モータ31により、第1のフライホイール39と、増速する第2のフライホイール43と、第3のフライホイール59と、さらに増速する第4のフライホイール53とを回転させながら出力軸25を回動し、駆動モータよりの回転を負荷に接続する出力軸25に安定的に伝達することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態の回転伝達安定装置10では、第1のフライホイール19と第2のフライホイール23とを回動し、本発明の第2の実施の形態の回転伝達安定装置30では、第1のフライホイール39、第2のフライホイール43と、第3のフライホイール59、第4のフライホイール53とを回動したが、これらに限定することなく、所望の個数とすることもできる。
さらに、本発明の実施の形態の回転伝達安定装置は、駆動モータにより回転駆動することとしたが、駆動モータに限らず各種の回転駆動装置を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、各種の回転伝達装置に使用することができ、幅広く回転伝達の安定化に適用することができる。
【符号の説明】
【0015】
10、30 回転伝達安定装置
11、31 駆動モータ
14、34 固定シャフト
16、36 駆動シャフト
19、39 第1のフライホイール
25、55 出力軸
23、43 第2のフライホイール
22、42 サンギア
29a、29b、29c 遊星ギア
24、44 内ギア
59 第3のフライホイール
53 第4のフライホイール
51 連結ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記第2のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることを特徴とする回転伝達安定装置。
【請求項2】
固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ回転駆動装置により回転駆動される第1のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記遊星ギアと噛み合い前記第1のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第2のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、前記固定シャフトに固定されたサンギアと噛み合う遊星ギアが出力側の側面に回転自在に設けられ前記第2のフライホイールに連結し回転駆動される第3のフライホイールと、前記固定シャフトに回転自在に設けられ、環状形状の内ギアが前記第3のフライホイールの遊星ギアと噛み合い前記第3のフライホイールの回転駆動により回転駆動される第4のフライホイールと、前記第4のフライホイールと同芯で連結する出力軸とを備えることを特徴とする回転伝達安定装置。
【請求項3】
前記サンギアと噛み合う前記遊星ギアは、前記第1のフライホイールまたは前記第3のフライホイールの中心から放射方向に120度間隔で前記出力側の側面に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転伝達安定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−237024(P2011−237024A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116720(P2010−116720)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(599119569)株式会社三富工業 (29)
【Fターム(参考)】