説明

回転体駆動装置及び画像形成装置

【課題】遊星歯車やそれを支持するキャリアに生ずる傾きを軽減することができる回転体駆動装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】本体側板14に支持され回転駆動する太陽歯車22と、その太陽歯車22に噛み合う複数の遊星歯車23と、その遊星歯車23を自転自在に、かつ太陽歯車22の周りに公転自在に支持するキャリア25と、遊星歯車23に噛み合う固定内歯歯車27と可動内歯歯車30とを有する遊星差動歯車減速機構を介して像担持体ドラム1を駆動する回転体駆動装置であり、遊星歯車23の固定内歯歯車27と可動内歯歯車30がそれぞれ噛み合う噛み合い部23A,23Bの間に、自転と公転に対して自在に支持する歯車軸受31を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体等の回転体を駆動する回転体駆動装置及び該回転体駆動装置を用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置において、像担持体として例えばドラム状の感光体を用いている。この種の画像形成装置では、感光体ドラムを駆動する駆動装置には小型軽量で高減速比、大トルク伝達が可能な減速機を備えることが要望されている。
【0003】
従来、小型軽量で高減速比、大トルク伝達が可能な減速機として遊星差動歯車減速機が知られている。この遊星差動歯車機構は一例が特許文献1に記載しており、特許文献1には太陽歯車を入力としてキャリアに回転自在に支持され、且つ太陽歯車に公転可能に支持された歯数の同じ遊星歯車に歯数の異なる2つの固定内歯歯車と可動内歯歯車とを同時に噛み合わせ、可動内歯歯車の回転を減速出力する構成の遊星差動歯車機構が開示されている。このとき、遊星歯車は歯数の異なる2段一体で構成し、それぞれに固定内歯歯車と可動内歯歯車を噛み合わせ、減速出力する構成になっている。この構成によって、太陽歯車で駆動する遊星歯車が固定内歯歯車に沿って、自転しながら公転することによって可動内歯歯車は、高減速比で大トルク伝達が可能となる。しかし、この機構の問題点の一つとして、遊星歯車が太陽歯車と固定内歯歯車と可動内歯歯車の3箇所から力を受けることにより、遊星歯車に撓みや傾きが生じること、また、遊星歯車を支持しているキャリアにも遊星歯車が受けた力によってねじれや傾きが発生することである。遊星歯車やキャリアに撓み、傾き、ねじれなどは生じると遊星歯車と噛み合う太陽歯車、固定内歯歯車、可動内歯歯車が片当たりを起こし、振動、騒音が発生し、太陽歯車の入力から可動内歯歯車の出力までの回転伝達精度や伝達効率が悪くなる。
【0004】
この問題について、図9、図10、図11で説明する。
まず、図9は各歯車の配置と動きを説明する。
太陽歯車100には、キャリア(図示せず)に3個等分配置された遊星歯車101が噛み合っている。太陽歯車100と噛み合っている遊星歯車101は、また同時に固定内歯歯車103と可動内歯歯車104の双方に内接して噛み合って組み込まれている。回転方向は固定内歯歯車103と可動内歯歯車104の歯数の大小関係で異なる。歯数において固定内歯歯車103<可動内歯歯車104の場合、入力の太陽歯車100と出力の可動内歯歯車104は回転方向が同方向で、固定内歯歯車103>可動内歯歯車104の場合、入力の太陽歯車100と出力の可動内歯歯車104の回転方向は逆方向になる。また、それによって遊星歯車が可動内歯歯車から受ける力の方向も逆方向になる。
【0005】
図10は固定内歯歯車103<可動内歯歯車104の場合の遊星歯車101に働く力関係を模式的に示す。Sを太陽歯車100の基礎円、その外周に位置する円Pを遊星歯車101の基礎円、またその外周の円弧のRを固定内歯歯車103の基礎円、Mを可動内歯歯車104の基礎円とすると、遊星歯車101の歯(歯面)に働く力の方向を各歯車の回転方向とともに方向矢印で示している。aが太陽歯車100から受ける力、bが固定内歯歯車103から受ける抗力、cが可動内歯歯車104から受ける抗力となる。これを遊星歯車101の幅方向で示したのが図11である。図11に示すように、固定内歯歯車103と可動内歯歯車104の噛み合い位置103A,104Aが軸方向に異なるため、遊星歯車101やそれを支持するキャリア102に撓みや傾きが発生することになる。そして、これら撓みや傾きに起因して振動や騒音が発生し、効率がよく、高精度な駆動伝達が得られないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の問題に鑑み、遊星歯車やそれを支持するキャリアに生ずる傾きを軽減することができる回転体駆動装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、本体側板に支持され回転駆動する太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、該遊星歯車を自転自在に、かつ前記太陽歯車の周りに公転自在に支持するキャリアと、前記遊星歯車にそれぞれ噛み合う固定内歯歯車と可動内歯歯車とを有する遊星差動歯車減速機構を介して回転体を駆動する回転体駆動装置において、前記遊星歯車における前記固定内歯歯車と噛み合う噛み合い部と前記可動内歯歯車と噛み合う噛み合い部との間に、前記自転かつ前記公転に対して自在に支持する歯車軸受を設けたことを特徴とする回転体駆動装置を提案する。
【0008】
なお、本発明は、前記回転体が着脱可能なドラムで構成され、該ドラムのドラムフランジに前記可動内歯歯車を設け、前記ドラムを挿入する際、前記遊星歯車と前記可動内歯歯車が噛み合い、遊星差動歯車減速機構に入力された駆動力が前記ドラムに伝達されるとともに、前記ドラムが挿入されたときに、前記歯車軸受が前記ドラムフランジと嵌合して回転自在に支持すると有利である。
【0009】
さらに、本発明は、前記キャリアは、本体側板と前記固定内歯歯車が形成された固定部材に跨って設けられた軸受と該固定部材に設けられた軸受とにより支持されると有利である。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記ドラムフランジに前記遊星差動減速機構と連結したときの偏角と偏芯を吸収する可動変形部を設けると有利である。
さらにまた、本発明は、前記可動変形部は前記ドラムフランジに複数のスリットを設けて構成すると有利である。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記可動変形部は前記ドラムフランジの中間部に板ばねを介して構成すると有利である。
さらにまた、本発明は、前記ドラムフランジには前記太陽歯車の軸が挿入される孔が形成され、前記ドラムを装着する際、該孔に前記太陽歯車の軸が挿入されながら前記可動内歯歯車と前記遊星歯車が噛み合うと有利である。
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成するため、前記回転体が像担持体ドラムであり、請求項1乃至7の何れかに記載の回転体駆動装置を用いて該像担持体ドラムを回転駆動することを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊星差動歯車減速機構では遊星歯車が固定内歯歯車と可動内歯歯車から受ける抗力方向が異なる傾きを抑制することができ、低騒音、低振動、高効率、高精度回転が可能となる。さらに、像担持体ドラムフランジに設けた可動内歯歯車部で駆動伝達するので減速機と像担持体ドラムとのカップリングが不要となり、小型化、低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る回転体駆動装置を示す断面説明図である。
【図3】図2のIII−III線に従う断面説明図である。
【図4】図2の像担持体ドラムを装着時の状態を示す断面説明図である。
【図5】遊星歯車の変形例を示す図である。
【図6】像担持体ドラムに設けた可動変形部を示す説明図である。
【図7】図6の可動変形部の拡大図である。
【図8】可動変形部の変形例を示す図である。
【図9】従来の遊星差動歯車減速機構を示す説明図である。
【図10】遊星歯車に働く力を示す説明図である。
【図11】遊星歯車の幅方向における働く力を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
図1は画像形成装置の一例を示す概略断面図である。ここに示した画像形成装置は、感光体より成る複数の像担持体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、これらの像担持体ドラムの周面に当接した無端ベルトより成る中間転写ベルト2を有している。中間転写ベルト2は支持ローラ3,4,5に巻きかけられていると共に、ガイドローラ6によって案内され、図示していない駆動装置によって矢印A方向に回転駆動される。一方、各像担持体ドラム1Y乃至1Kも後に詳述する駆動装置によって図1における反時計方向に回転駆動される。
【0016】
各像担持体ドラム1Y乃至1Kには、互いに異なる色のトナー像がそれぞれ形成され、図示した例では、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及び黒トナー像が各像担持体ドラム1Y乃至1Kに形成される。各像担持体ドラムの表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト2の表面に転写される。
【0017】
各像担持体ドラム1Y,1C,1M,1K上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト2に転写する構成は、そのトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、そのうちの1つの像担持体ドラム1Yにトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト2に転写する構成だけを説明する。図1に示すように、像担持体ドラム1Yが図1における反時計方向に回転駆動されるとき、帯電電圧を印加された帯電チャージャ7Yより成る帯電装置によって像担持体ドラム1Yが所定の極性に帯電される。帯電後の像担持体ドラム1Yには、図示していない光書き込み装置から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって像担持体ドラム1Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置8Yによってイエロートナー像として可視像化される。
【0018】
中間転写ベルト2を挟んで、像担持体ドラム1Yと反対側に転写ローラ9Yより成る一次転写装置が配置され、この転写ローラ9Yに転写電圧が印加されることにより、像担持体ドラム1Yに形成されたトナー像が、矢印A方向に回転する中間転写ベルト2上に転写される。トナー像転写後の像担持体ドラム1Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置10Yによって除去され、そして除電器11Yによって残留電荷が除電され次の画像形成に備えられる。
【0019】
上述したところと全く同様にして、図1に示した像担持体ドラム1M,1C,1K上にマゼンタトナー像、シアントナー像及び黒トナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト2上に順次重ねて転写され、中間転写ベルト2上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各像担持体ドラム1M,1C,1K上の転写残トナーがクリーニング装置により除去されることも第1の像担持体ドラム1Yの場合と変わりはない。図1には、各像担持体ドラム1M,1C,1Kのまわりに設けられた各作像要素に対し、像担持体ドラム1Yのまわりに設けられた各作像要素の各符号に添えたYの代りに、M,C,BKを添えた符号を付してある。
【0020】
一方、中間転写ベルト2が巻き掛けられた支持ローラのうちの最も下方に位置する支持ローラ5には、中間転写ベルト2を挟んで、二次転写装置の一例である転写ローラ12が配置され、この転写ローラ12と、支持ローラ5に巻き掛けられた中間転写ベルト部分との間に、例えば紙又は樹脂シートなどから成る記録媒体Pが矢印Bで示すように給送される。このとき、転写ローラ12に所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト2上の合成トナー像が記録媒体P上に転写される。記録媒体Pにトナー像を転写した後の中間転写ベルト2上に付着する転写残トナーは、ベルトクリーニング装置(図示せず)によって除去される。また、トナー像を転写された記録媒体Pは、さらに図1における左方へ搬送され、定着装置13を通るとき、トナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置13を通過した記録媒体は、図示していない排紙トレイ上に排出される。
【0021】
図2は、上記像担持体ドラム1を駆動する本発明に係る回転体駆動装置を示す縦断面図、図3は図2のIII−III線に従う断面図である。
図2及び図3において、符号20は像担持体ドラム1を駆動する駆動モータであり、該駆動モータ20は像担持体ドラム1が本体側板14の内側にあるとすると、その外側に固定されている。本実施形態の回転体駆動装置は駆動モータ20の回転を、遊星差動歯車減速機構を介して像担持体ドラム1に大幅に減速させて伝達するように構成している。
【0022】
その遊星差動歯車減速機構の構成は以下のようになっている。
駆動モータ20のモータ軸21には太陽歯車22が固定され、太陽歯車22の周りには複数、本実施形態では3個の遊星歯車23が等分(120°毎)に配設され、太陽歯車22と噛み合っている。遊星歯車23は遊星歯車軸24を介して回転自在にキャリア25に支持さて、太陽歯車22の周りを自転しながら公転する。また、遊星歯車23は本体側板14に固定された固定部材26の内周側に設けられた固定内歯歯車27と噛み合っており、遊星歯車23は固定内歯歯車27と噛み合いながら自転と同時に公転することにもなる。固定内歯歯車27は軸受28Aを介して本体側板14と位置出しされ、その軸受28Aはモータ20ともボス部29で同軸精度を出している。軸受28Aは本体側板14と固定部材26に跨って設けられており、キャリア25はその軸受28Aと固定部材26に設けられた軸受28Bとの2箇所で片持ちで回転自在に支持されて同軸精度が出されている。このように、キャリア25が2箇所で軸受28A,28Bを介して支持されているので、キャリア25にラジアル荷重がかかっても倒れが発生しない構成となっている。
【0023】
遊星歯車23は、像担持体ドラム1のドラムフランジ15の内周面に設けられた可動内歯歯車30とも噛み合っている。このように遊星歯車23には固定内歯歯車27と可動内歯歯車30とが同時に噛み合っているので、遊星歯車23がそれぞれの噛み合い部位で、同じモジュール、同じ歯数であれば、遊星歯車23が固定内歯歯車27の周りを1回転すると可動内歯歯車30に固定内歯歯車27との歯数差分の回転が伝達されることになる。
【0024】
図2に示す回転体駆動装置では、遊星歯車23の固定内歯歯車27と噛み合う遊星歯車23の歯部分23Aと、可動内歯歯車30に噛み合う遊星歯車23の歯部分23Bにおいて同じ歯数になっている。そして、本実施形態の回転体駆動装置では遊星歯車23の固定内歯歯車27と噛み合う歯部分23Aと可動内歯歯車30と噛み合う歯部分23Bの中間部位に段差を設け、その中間部位に歯車軸受31を配置している。キャリア25は各遊星歯車間に支柱25Aが設けられており、歯車軸受31はその支柱25Aに支持されている。
【0025】
また可動内歯歯車30はドラムフランジ15と一体で設けられており、そのドラムフランジ15は遊星歯車23の中間部に設けられた歯車軸受31と開口部で嵌合する構成になっている。図3を見ると判るように、遊星歯車23が公転するときにはドラムフランジ15の開口部の内側に沿って回転することになる。逆に、ドラムフランジ15は3個の歯車軸受31に支持されながら可動内歯歯車30に減速された駆動伝達で回転することになり、さらにドラムフランジ15に固定された像担持体ドラム1が回転する。このような構成により、遊星歯車30と可動内歯歯車23の同軸精度が維持され、噛み合いがスムーズに伝達される。
【0026】
固定内歯歯車27を設けた固定部材26と可動内歯歯車30を設けたドラムフランジ15との隙間はシール材32で遮断し、歯車伝達機構の内部にゴミなどが入り込まないようにしている。
【0027】
図4において、像担持体ドラム1が挿入されるときについて説明する。
モータ軸21が太陽歯車20の軸となり、ドラムフランジ15側に延び、ドラムフランジ15の中心に設けられた孔16と嵌合する構成となっている。孔16の入り口側はテーパ状になっており、モータ軸21の先端21Aも球状或いはテーパ状になって挿入されやすくなっている。図4に示すように、像担持体ドラム1が矢印方向から挿入されると、まずモータ軸21がドラムフランジ15の孔16に入り込み、像担持体ドラム1はさらに挿入されると、モータ軸21が孔16に沿って案内されながら進み、同軸精度を維持しながら、可動内歯歯車30と遊星歯車23が噛み合っていく。
【0028】
このように構成された回転体駆動装置は駆動源と像担持体ドラム1をカップリング等を介して駆動連結していないので、ドラムの軸線方向の長さを短くすることができ、装置のコンパクト化に寄与することができる。さらに、本発明では、その遊星差動歯車減速機構に、図5に示すように、遊星歯車23の固定内歯歯車27と噛み合う遊星歯車23の歯部分23Aと、可動内歯歯車30に噛み合う遊星歯車23の歯部分23Bにおいて歯数の異なる2段歯車の遊星歯車23を用いて減速する構成においても適用することができる。
【0029】
図6は、像担持体ドラム1が本体に装着されている状態を示す平面説明図である。
像担持体ドラム1の回転体駆動装置が設けられている本体側板14奥側は、可動変形部が設けられたドラムフランジ15を介して遊星差動歯車減速機構に支持されている。像担持体ドラム1の手前側はドラム軸が軸受14Bを介して面板14Aに回転自在に支持され、その面板14Aは本体側板前の固定されている。像担持体ドラム1は面板14Aが本体側板前から外されることによって装置本体から着脱することができる。像担持体ドラム1が装着されたときに、減速機構と面板14Aの位置精度に誤差があると、図6の破線で示した像担持体ドラム1のように斜めで支持されることになる。そのような状態になるとドラムフランジ15に設けられた可動内歯歯車30と遊星歯車23の噛み合いに片当たりが生じることになり、駆動伝達の精度が悪化する。
【0030】
そこで、本実施形態ではドラムフランジ15に可動変形部を設けて可動内歯歯車30の遊星歯車23に対する偏角や偏芯を吸収して片当たりを抑制するようにしている。そして、図7に示す可動変形部の具体的な構成としては、ドラムフランジ15の一側とその反対側に交互のスリット17を複数箇所設けて可動変形部として構成している。
【0031】
図8に別の可動変形部はドラムフランジ15を15Aと15Bの2つの分割して、板ばね18を介して連結されている。その板ばね18は、各フランジ15,A15Bのそれぞれ異なる箇所に設けられた凸部19で固定されている。このように板ばね18で連結することによって、可動変形部のねじり剛性が高い構成となり、可動変形部での回転が正確に伝達されることになる。
【0032】
なお、上記実施形態において、本発明における回転体駆動装置を、像担持体ドラムを駆動する装置で説明したが、本発明における回転体駆動装置はその駆動される回転体が像担持体ドラムに限定されず、中間転写ベルトの駆動ローラ、現像ローラなどの回転体であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 像担持体ドラム
15 ドラムフランジ
16 孔
17 スリット
18 板ばね
20 駆動モータ
22 太陽歯車
23 遊星歯車
25 キャリア
27 固定内歯歯車
30 可動内歯歯車
31 歯車軸受
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2007−255517号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体側板に支持され回転駆動する太陽歯車と、該太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、該遊星歯車を自転自在に、かつ前記太陽歯車の周りに公転自在に支持するキャリアと、前記遊星歯車にそれぞれ噛み合う固定内歯歯車と可動内歯歯車とを有する遊星差動歯車減速機構を介して回転体を駆動する回転体駆動装置において、
前記遊星歯車における前記固定内歯歯車と噛み合う噛み合い部と前記可動内歯歯車と噛み合う噛み合い部との間に、前記自転かつ前記公転に対して自在に支持する歯車軸受を設けたことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転体駆動装置において、前記回転体が着脱可能なドラムで構成され、該ドラムのドラムフランジに前記可動内歯歯車を設け、前記ドラムを挿入する際、前記遊星歯車と前記可動内歯歯車が噛み合い、遊星差動歯車減速機構に入力された駆動力が前記ドラムに伝達されるとともに、前記ドラムが挿入されたときに、前記歯車軸受が前記ドラムフランジと嵌合して回転自在に支持することを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転体駆動装置において、前記キャリアは、本体側板と前記固定内歯歯車が形成された固定部材に跨って設けられた軸受と該固定部材に設けられた軸受とにより支持されることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の回転体駆動装置において、前記ドラムフランジに前記遊星差動減速機構と連結したときの偏角と偏芯を吸収する可動変形部を設けたことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回転体駆動装置において、前記可動変形部は前記ドラムフランジに複数のスリットを設けて構成したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の回転体駆動装置において、前記可動変形部は前記ドラムフランジの中間部に板ばねを介して構成したことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項7】
請求項2、4乃至6の何れかに記載の回転体駆動装置において、前記ドラムフランジには前記太陽歯車の軸が挿入される孔が形成され、前記ドラムを装着する際、該孔に前記太陽歯車の軸が挿入されながら前記可動内歯歯車と前記遊星歯車が噛み合うことを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項8】
前記回転体が像担持体ドラムであり、請求項1乃至7の何れかに記載の回転体駆動装置を用いて該像担持体ドラムを回転駆動することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−210785(P2010−210785A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55085(P2009−55085)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】