回転入力制御機能を有する動力スクリュードライバ
動力工具は、長手方向軸線の周りで回転するように構成された出力シャフトと、回転運動を与えるように出力シャフトに駆動可能に接続されたモータと、出力シャフトから空間的に分離され、長手方向軸線に対してユーザが与える動力工具の回転運動を求めるように作動可能な回転運動センサと、を含む。コントローラは、回転運動センサ及びモータに電気的に接続される。コントローラは、回転運動センサからの入力を用いて、軸の周りの動力工具の角速度、軸の周りの動力工具回転変位、及び/又は回転変位の方向を求める。次いで、コントローラは、角速度、回転変位、及び/又は回転変位の方向によりモータを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、動力スクリュードライバのような動力工具に関し、より詳細には、ユーザの回転入力に基づいて工具の出力シャフトの回転を制御する制御方式に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、引用により本明細書に組み込まれる、2010年1月7日に出願された米国特許出願第61/292,966号及び2010年10月5日に出願された米国特許出願第61/389,866号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近の動力工具において、ユーザは、入力スイッチの使用により工具出力を制御することができる。このスイッチは、ユーザが、ボタンを押すことによって全出力で工具をオンにし、ボタンを解除することによって工具をオフにするデジタルスイッチの形態にすることができる。より一般的には、スイッチは、工具のモータに供給されるパワーがトリガ移動と相関関係のあるアナログトリガスイッチの形態である。これらの機器構成の両方において、ユーザは工具を把持し、1又はそれ以上の指を用いてスイッチを作動させる。ユーザの指は、1つの軸に沿って直線的に移動して、異なる軸の周りの回転運動を制御する必要がある。このことにより、ユーザは、トリガ移動と出力回転とを直接的に比較して、より微細な制御をするための迅速な速度調節を行うことが困難になる。
【0004】
この制御方法に関する別の問題は、継手の締め付けを評価するのが困難であることである。継手が締め付けられるにつれて、ファスナは、それ以上材料内に移動しなくなる。工具モータは、出力シャフトが減速している間は引き続き回転しようとするので、ユーザが、動力工具を動かさないように付勢力を増大させると、ユーザの手首で反動トルクを感じる場合がある。この現在の構成において、ユーザは、指を用いて適切な制御調節を行う前に、最初に手首で締め付けを検知しなければならない。
【0005】
ここでは、本開示に関する背景技術の情報が提供されるが、これらは必ずしも従来技術を意味するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第61/292,966号
【特許文献2】米国特許出願第61/389,866号
【特許文献3】米国特許出願第12/394,426号
【特許文献4】米国特許出願第12/783,850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動力工具を作動するための改良された方法が提供される。本方法は、動力工具内に配置された回転運動センサを用いて出力シャフトの長手方向軸線の周りで動力工具の回転運動を監視する段階と、長手方向軸線の周りの回転運動の方向を求める段階と、出力シャフトが動力工具内にあるモータによって駆動される出力シャフトを工具の検出回転運動と同じ方向に駆動する段階と、を含む。
【0008】
このセクションは、本開示の概要を提供するものであり、その全ての範囲又はその特徴要素の全ての包括的な開示ではない。更なる適用分野は、本明細書で提供された説明から明らかになるであろう。この発明の概要における説明及び具体的な実施例は、例証の目的に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な動力スクリュードライバの斜視図である。
【図2】図1のスクリュードライバの長手方向断面図である。
【図3】ハンドルがピストルグリップ位置に配置されている、図1のスクリュードライバの斜視図である。
【図4】図1の動力工具の分解斜視図である。
【図5A】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図5B】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図5C】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図6A】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図6B】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図6C】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図7】動力スクリュードライバの例示的な実装のための概略図である。
【図8A】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図8B】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図8C】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図9A】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9B】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9C】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9D】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9E】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図10】工具オペレータに触覚フィードバックを提供するための例示的なパルス化方式を描いた略図である。
【図11】動力スクリュードライバ内にあるジャイロスコープを較正するための自動化方法を描いたフローチャートである。
【図12】第1及び第2のハウジング部分の間の相互作用を示す、図1の動力スクリュードライバの部分断面図である。
【図13A】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図13B】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図13C】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図14A】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図14B】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図14C】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図15】動力スクリュードライバにおいて周期的振動状態を防止するための例示的な方法のフローチャートである。
【図16】代替のトリガ組立体を描いた部分断面図である。
【図17A】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図17B】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図17C】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図18】工具に対する別の例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【0010】
図9A〜図9Bは、例示的な自動ロック式遊星ギアセットを示す概略図である。
【0011】
本明細書で説明する図面は、単に選択された実施形態の例証を目的としたものに過ぎず、可能な全ての実施構成ではなく、また、本開示の範囲を限定するものではない。対応する参照番号は、図面のうちの幾つかの図にわたって対応する要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2を参照すると、例示的な動力スクリュードライバが全体的に参照番号10で示されている。スクリュードライバ10は、一般に、長手方向工具軸線8の周りで回転するように構成された出力部材11と、回転運動を与えるように出力部材11に駆動可能に接続されたモータ26とから構成される。工具の作動は、トリガスイッチ、回転速度センサ、及びコントローラによって以下で更に説明するように制御される。チャック又は他の何らかのタイプの工具ホルダは、出力部材11の端部に固定することができる。例示的なビットホルダに関する更なる詳細は、米国特許出願第12/394,426号に記載されており、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。スクリュードライバ10を構築するのに必要な他の構成要素は、以下で更に説明されている。以下の説明は、スクリュードライバ10に関連してなされているが、本開示のより広範囲な態様は、限定ではないが、工具の出力部材と同心状に整列された細長ハウジングを有する工具を含む、他のタイプの動力工具に適用可能であることは容易に理解される。
【0013】
スクリュードライバ10のハウジング組立体は、好ましくは更に、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14から構成される。第1のハウジング部分12は、工具用ハンドルを定め、第2のハウジング部分14に装着することができる。第1のハウジング部分12は、第2のハウジング部分14に対して回転可能である。第1の配列において、第1及び第2のハウジング部分12、14は、図1に示すように工具の長手方向軸線に沿って互いに整列している。この配列は、本明細書では「インライン」構成と呼ばれる。
【0014】
スクリュードライバ10は更に、図3に示すように、「ピストルタイプ」配列で構成することができる。この第2の配列は、第2のハウジング部分14の側面に位置付けられた回転解除機構130を押圧することによって達成される。解除機構130を押圧すると、第1のハウジング部分12が第2のハウジング部分14に対して180度回転し、その結果として、「ピストルタイプ」配列が得られることになる。第2の配列において、第1及び第2のハウジング部分12、14は、工具の一方側から連続的に後を廻って工具の他方側まで延びる凹形の細長溝6を形成する。相対する側面上の溝6に人さし指を置くことによって、工具オペレータが工具を良好に把持することができ、長手方向軸線8の真後ろに掌を位置決めすることにより、オペレータがスクリュードライバを良好に制御できるようになる。
【0015】
図2及び図4を参照すると、第1のハウジング部分12は、内部キャビティ43を定めるように協働することができる1対のハウジングシェル41、42から形成することができる。内部キャビティ43は、1つ又はそれ以上のバッテリセルから構成される充電式バッテリパック44を受けるように構成される。バッテリ端子を他の構成要素と相互作用させるための回路基板45は、第1のハウジング部分12の内部キャビティ43に固定装着される。トリガスイッチ50はまた、第1のハウジング部分12に枢動可能に結合される。
【0016】
同様に、第2のハウジング部分14は、別の内部キャビティ48を形成するように協働することができる1対のハウジングシェル46、47から形成することができる。第2のハウジング部分14は、モータ26、動力伝達機構、及び出力部材11を含む動力伝達組立体49を受けるように構成される。動力伝達組立体49は、出力部材の回転軸が、第2のハウジング部分14の長手方向軸線の周りに同心状に配置されるように、内部キャビティ48内に装着することができる。1つ又はそれ以上の回路基板45はまた、第2のハウジング部分14(図14Aに示すような)の内部キャビティ48内に固定的に装着される。回路基板に装着される構成要素は、回転速度センサ22、マイクロコントローラ24、並びに工具を作動させるための他の回路を含むことができる。第2のハウジング部分14は更に、回転解除機構130を支持するように構成される。
【0017】
図4、図12、図13、及び図14を参照すると、回転解除機構130は、第1及び第2のハウジング部分12、14の何れか一方に装着することができる。解除機構130は、第1及び第2のハウジング部分のうちの他方に関連付けられた1組のロッキング特徴要素132と係合するロックバー組立体140を含む。例示的な実施形態において、ロックバー組立体140は、第2のハウジング部分14の内部に滑動可能に装着される。ロックバー組立体140は、工具の第1のハウジング部分12を把持する手の親指によってロックバー組立体140を作動できるように位置決めされるのが好ましい。ロックバー組立体及び/又は他のタイプのロックバー組立体の他の配置もまた企図される。別のロックバー組立体に関する更なる詳細事項は、2010年5月20日に出願された米国特許出願第12/783,850号において見出され、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【0018】
ロックバー組立体140は更に、ロックバー142及び付勢システム150から構成される。ロックバー142は、バー本体144、2つのプッシュ部材148及び1対のストップ部材146として定められる。プッシュ部材148は、バー本体144の各端部上に一体的に形成される。バー本体144は、付勢システム150が受けられるポケット149を有する細長構造とすることができる。ポケット149は、付勢システムの特定の構成に合わせることができる。例示的な実施形態において、付勢システム150は、2つのピン152及びバネ154から構成される。各ピン152は、バネ154の両端内に挿入され、ポケット内にピンを保持する働きをする一体化カラーを含む。ポケット内に配置されたときに、各ピンの他方の端部は、カラーをポケットの内壁とバネとの間に位置決めした状態でバー本体の端部に形成されたアパーチャを通って突出する。
【0019】
ストップ部材146は、バー本体144の両側に配置され、該バー本体144と一体的に形成される。ストップ部材146は更に、バー本体144の底面から外向きに延びる環状セグメントとして定めることができる。ロック位置において、ストップ部材146は、図14Aにおいて最も良く分かるように、第1のハウジング部分12のシェル組立体上に一体的に形成されたロッキング特徴要素132のセットと係合するように配列される。付勢システム150は、ロックバー組立体140をロック位置に付勢するように作動する。このロック位置において、ストップ部材146がロッキング特徴要素132と係合することにより、第1のハウジング部分が第2のハウジング部分に対して回転するのが阻止される。
【0020】
ロックバー組立体140を作動させるために、プッシュ部材148は、第2のハウジング部分14の両側面上に形成されたプッシュ部材アパーチャを通って突出する。ロックバー組立体140が工具オペレータによって何れかの方向に並進されると、ストップ部材146は、図14Bに示すように、ロッキング特徴要素132との係合を解除して滑動し、これによって、第1のハウジング部分が第2のハウジング部分に対して自由に回転できるようになる。プッシュ部材148は、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14が互いに対して回転する中心軸からオフセットしている点に留意されたい。この配列により、第2のハウジング部分14を第1のハウジング部分12に対して回転させるのに役立つ慣性モーメントがもたらされる。単一作動力によって、工具オペレータは、ロックバー組立体140を解除し、続いて第2のハウジング部分を回転させることができる。次いで、ユーザは、ストップ部材がロッキング特徴要素と再係合するまで引き続き第2のハウジング部分を回転(例えば、180度)させることができる。ストップ部材146が、ロッキング特徴要素と整列すると、付勢システム150は、図14Cに示すようにロックバー組立体140をロック位置に付勢する。
【0021】
スクリュードライバ10に対する改良されたユーザ入力方法が提案される。簡潔に言えば、工具回転を用いて出力シャフトの回転を制御する。例示的な実施形態において、出力部材の長手方向軸線の周りの工具の回転運動は、動力工具内に配置された回転運動センサを用いて監視される。角速度、角変位、及び/又は回転方向は、出力シャフトを駆動するための基礎として測定し用いることができる。結果として得られる構成は、従来の入力方式の欠点を改善するものである。提案の構成によって、制御入力及び結果として得られる出力は、同じ軸の周りの回転として起こる。これにより、手動スクリュードライバの使用に類似した高度に直感的な制御がもたらされる。以下の説明では、出力部材の長手方向軸線の周りの回転を説明しているが、制御入力は、工具に関連する異なる軸の周りで回転可能であることは容易に理解される。例えば、制御入力は、オフセットしているが、出力シャフトの軸と平行な軸の周り、或いは、出力部材の軸から斜めの軸の周りとすることができる。制御方式に関する更なる詳細事項は、2010年1月7日に出願された米国特許出願第61/292,966号で見出すことができ、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【0022】
このタイプの制御方式は、オペレータが作業を実施したいと望んでいることを工具が知る必要がある。1つの実施可能な解決策は、工具オペレータが作業を開始するために作動させるスイッチである。例えば、スイッチは、工具の外部にアクセス可能な単極単投スイッチとすることができる。オペレータが、スイッチをオン位置にすると、工具の電源が投入される(すなわち、バッテリが、コントローラ及び他の電子構成要素に接続される)。回転運動は、工具に電源が投入されたときにだけ検出され作動する。オペレータがスイッチをオフ位置にすると、工具の電源が切断され、もはや作動不能になる。
【0023】
例示的な実施形態において、工具オペレータは、トリガスイッチ50を作動させて工具動作を開始する。図5A〜図5Cを参照すると、トリガスイッチ組立体は、少なくとも1つのモーメンタリースイッチ53及びバネなどの付勢部材54を収納する細長ケーシング52から主として構成される。細長ケーシング52は、オペレータによって何れかの接点の周りで並進及び/又は枢動できるように、第1のハウジング部分12に移動可能に結合される。例えば、工具オペレータがケーシングの頂部又は底部付近を押圧した場合、トリガ組立体は、図5A及び図5Bそれぞれに示すように枢動する。工具オペレータがケーシングの中央付近を押圧した場合、トリガ組立体は、図5Cに示すように工具本体に向かって内向きに並進する。何れの場合においても、オペレータによってケーシング52に加わる力は、スイッチのうちの少なくとも1つをオフ位置からオン位置まで押圧することになる。2つ又はそれ以上のスイッチ53がある場合、スイッチ53は、工具に電源を投入するためにスイッチのうちの1つのみが作動する必要があるように、互いに電気的に並列に配列される(図7に示すように)。オペレータがトリガを解除すると、付勢部材54は、ケーシング52を工具から離れるように付勢し、これによってスイッチの各々がオフ位置に戻る。ケーシングの細長形状は、オペレータが異なる把持位置からスイッチを作動させるのに役立つ。トリガスイッチ組立体50は、図6A〜図6Cに示すように、2つよりも多くのスイッチ53及び/又は1つよりも多くの付勢部材54から構成できることが想起される。
【0024】
図16は、代替のトリガスイッチ組立体50を示しており、ここで同じ参照番号は同じ要素を指す。細長ケーシング52は、好ましくは、特定の一方向Aだけに滑動できるように、ハウジング部分12によって捕捉される。ケーシング52は傾斜部52Rを有することができる。傾斜部52Rは、滑動リンク55上のカム55Rと係合する。滑動リンク55は、好ましくは、方向Aに対し実質的に垂直な方向Bに沿ってのみ滑動できるように、ハウジング12によって捕捉される。
【0025】
滑動リンク55は、好ましくは、回転リンク56に回転可能に取り付けられる。回転リンク56は、ポスト56Pによりハウジング部分12に回転可能に取り付けることができる。
【0026】
従って、ユーザが方向Aに沿ってケーシング52を移動させると、傾斜部52Rは、方向Bに沿ってカム55R(及びひいては滑動リンク55)を移動させる。これにより、回転リンク56がモーメンタリースイッチ53を回転させ、これと接触するようになり、工具10に電源を投入する。
【0027】
好ましくは、ケーシング52は、方向Aとは反対の方向にケーシング52を付勢するバネ54と接触する。同様に、滑動リンク55は、方向Bとは反対の方向に滑動リンク55を付勢するバネ55Sと接触することができる。同様にまた、回転リンク56は、モーメンタリースイッチ53から離れて回転リンク56を付勢するバネ56Sと接触することができる。
【0028】
スイッチ53は、ケーシング52から離れて配置することができるので、モータ26は、ケーシング52及び滑動リンク55に隣接して設けられ、より小型の配列を可能にすることができる点は当業者には明らかであろう。
【0029】
また、工具10に電源を投入するためにユーザが個別のトリガ組立体50を作動させる代わりに、工具10が内在のスイッチ組立体を有することができることは、当業者には明らかであろう。図17A〜図17Bは、1つのこのような代替のスイッチ組立体を示しており、ここで同じ参照番号は同じ要素を指す。
【0030】
この実施形態において、モータ26、出力部材11及び/又はこれらの間のあらゆる動力伝達機構を含む動力伝達組立体49は、好ましくは、ハウジング71内に入れられ、工具ハウジング12内部で軸方向に並進するように作られる。十分な剛性のバネ72が、ドライブトレイン組立体71を工具ハウジングの前方に付勢する。モーメンタリー押しボタンスイッチ73が、ドライブトレイン組立体71と軸方向に一直線上に配置される。工具をファスナに適用するときには、付勢荷重が工具の軸に沿って印加され、ドライブトレイン組立体71が後方に並進して、バネを圧縮し押しボタンと接触する。代替の実施例において、ドライブトレイン組立体は静止したままであるが、ビットを囲むカラー74は、軸方向に並進してスイッチを作動させるように作られる。スイッチを作動させるための他の配列も企図される。
【0031】
押しボタン73が作動する(すなわち、閉状態にされる)と、バッテリ28は、電源調整回路を介して回転運動センサ、コントローラ24及び他の支持電子回路に接続される。図7を参照すると、コントローラ24は、直接にバイパススイッチ34(例えば、FET)をオンにする。これにより、押しボタンが解除された後でも工具電子回路が引き続き電力を受け取ることが可能になる。工具がファスナから係合解除されると、バネ72は、再度ドライブトレイン組立体71を前方に付勢し、押しボタン73が解除される。例示的な実施形態において、コントローラ24は、押しボタン73が解除された後に所定の時間量(例えば、10秒)の間給電されたままになる。この時間の間に、工具は、工具の電源を切断することなく同じファスナ又は異なるファスナに適用することができる。押しボタン73が所定の時間量で解除されると、コントローラ24は、バイパススイッチ34をオフにし、工具の電源を切断することになる。所望の工具停止と電子回路の電源切断との間に幾らかの遅延があるのが好ましい。これは、モータにブレーキをかけてモータ惰走を回避するための駆動回路時間を与える。図7で説明した実施形態の関連において、押しボタン73の作動はまた、角位置をリセットする(すなわち、ゼロに設定する)働きをする。電子回路の給電は、押しボタンにより、又は別個のスイッチを用いて制御することができる。交換式及び/又は充電式のバッテリは、この実施形態においては電源として機能するが、本明細書で開示される概念はまた、コード付き工具にも適用可能である。
【0032】
工具の作動状態は、工具の電源が投入されている間照明されることになる発光ダイオード35(LED)によって工具オペレータに伝達することができる。LED35を用いて、他の工具状況を示すことができる。例えば、点滅するLED35は、電流レベルが超えている場合、又はバッテリが低レベルである場合を示すことができる。代替の配列において、LED35を用いて加工物表面を照明することができる。
【0033】
この実施形態において、工具は、電源を投入することができるが、ファスナと係合することはできない。従って、コントローラは更に、押しボタンスイッチ73が作動されたときだけ出力シャフトを駆動するように構成することができる。換言すると、出力シャフトは、工具がファスナと係合して、十分な付勢力がドライブトレイン組立体に加えられたときにのみ駆動される。制御アルゴリズムは、ファスナが取り外されているときにより小さな付勢力を可能にすることができる。例えば、出力シャフトは、上述のように、十分な付勢荷重がドライブトレイン組立体に加えられたときに逆方向に駆動することができる。出力シャフトが回転し始めると、幾らかの順方向回転が検出されるまで出力シャフトが遮断されることはない(付勢力に関係なく)。これにより、付勢力が低いことに起因して工具が遮断されることなくねじが逆回転して材料から外れるので、オペレータは、ねじを緩めて印加付勢荷重を低下させることが可能になる。順方向作動と逆方向作動を区別する他の制御方式もまた本開示により企図される。
【0034】
また、非接触検知方法を用いて、工具の作動を制御することができる。例えば、非接触センサ81は、図17Cに示すように、ビット83に隣接する工具の前方接面82上に配置することができる。非接触センサ81を用いて、工具が、加工物に接近している場合、又は加工物に適用されている場合、或いは加工物から引き戻される場合を検知することができる。光又は音響センサは、2つの例示的なタイプの非接触センサである。同様に、加速度計のような慣性センサは、工具の相対位置又は加速度を検知するよう構成することができる。例えば、慣性センサは、工具の長手方向軸線に沿って工具が加工物に向かう又は加工物から離れる線形運動を検出することができる。このタイプの運動は、工具と加工物の係合、又は作業終了後の工具の取り外しを示す。これらの方法は、連結完了の検知及び/又は工具をオフにした時点の判定を行うのにより効果的とすることができる。
【0035】
検知方法の組み合わせもまた本開示によって企図される。例えば、起動するために1つの検知方法と、停止させるために別の検知方法がある。加工物に印加された力に応答する方法は、工具を起動する時点を判定するのに好ましいとすることができるが、ファスナの状態又は印加から離れる工具の移動を検知する方法は、工具出力を修正する(例えば、工具を停止する)時点を判定するのに好ましいとすることができる。
【0036】
スクリュードライバ10のハウジング内にある構成要素は、図7で概略的に更に示すように、出力部材から半径方向に空間的に分離することができる回転速度センサ22と、回転速度センサ22及びモータ26に電気的に接続されるコントローラ24とを含む。モータ駆動回路25は、バッテリからの電圧を何れかの方向でモータの両端に印加できるようにする。次に、モータ26は、動力伝達機構(図示せず)を通って出力部材11に駆動可能に接続される。例示的な実施形態において、モータ駆動回路25は、Hブリッジ回路配列であるが、他の配列も企図される。スクリュードライバ10はまた、温度センサ31、電流センサ32、タコメータ33及び/又はLED35を含むことができる。スクリュードライバ10の僅かな主要構成要素を本明細書で検討するが、スクリュードライバを構築するのに他の構成要素を必要とする可能性がある点は容易に理解される。
【0037】
例示的な実施形態において、回転運動センサ22は更に、ジャイロスコープとして定められる。ジャイロスコープの作動原理は、「コリオリ(Coliolis)」の効果に基づいている。要約すると、回転速度センサは共振質量体から構成される。動力工具が、スピンドルの軸の周りで回転運動を受けるときに、共振質量体は、「コリオリ」効果に従って横方向に変位し、横方向変位が角速度に正比例するようになる。質量体の共振運動及び質量体の横方向移動は、回転シャフトの回転軸に対して垂直に配向された平面内で起こる点に留意されたい。次いで、容量検知素子を用いて、横方向変位を検出し、横方向変位を示す適用可能信号を発生させる。例示的な回転速度センサは、Analog Devicesから商業的に入手可能なADXRS150又はADXRS300ジャイロスコープ装置である。加速度計、コンパス、慣性センサ、及び他のタイプの回転運動センサが本開示により企図されることは容易に理解される。また、センサ並びに他の工具構成要素は、工具ハウジングと相互作用するバッテリパック又は他の何れかの取り外し可能要素に組み込むことができる点も想起される。
【0038】
作動中、回転運動センサ22は、出力部材11の長手方向軸線に対するセンサの回転運動を監視する。コントローラ24によって実装された制御モジュールは、回転運動センサ22からの入力情報を受け取り、回転運動センサ22からの入力に基づいてモータ26及びひいては出力部材11を駆動する。例えば、制御モジュールは、工具の検出された回転運動と同じ方向に出力部材11を駆動することができる。本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)、説明した機能性を提供する他の好適な構成要素、又はシステムオンチップにおけるような上記の一部又は全ての組み合わせを意味し、これらの一部であり、或いは、これらを含むことができる。用語「モジュール」は、プロセッサによって実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用、又はグループ)を含むことができ、ここでコードは、上記で用いる場合、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコードを含むことができ、また、プログラム、ルーチン、関数、クラス、及び/又はオブジェクトを意味することができる。
【0039】
例示的な制御方式80の機能を図8Aに関連して以下で更に説明する。工具作動中、角変位は、回転運動センサ22から受け取った入力情報に基づいてコントローラ24によって監視することができる。ステップ81において、開始又は基準点(θ)は、ゼロに初期化される。次いで、工具のその後のあらゆる角変位は、これを基準として測定される。例示的な実施形態において、制御方式は、メモリ内にあるコンピュータ実行可能命令として実装され、コントローラ24のプロセッサによって実行される。
【0040】
次いで、ステップ82において、工具の角変位が監視される。例示的な実施形態において、角変位は、ジャイロスコープにより提供される時間の経過に伴う角変位の割合すなわち角速度(ωTOOL)から得られる。上述の回転速度センサは、現在の所工具の角変位を求めるのに好ましいが、本開示は、このタイプのセンサに限定されないことは容易に理解される。逆に、角変位は、他の方式で及び/又は他のタイプのセンサから得ることができる。また、あらゆる回転速度センサからの信号は、個別電気部品によりアナログ領域で、及び/又はソフトウェアフィルタによるデジタル処理でフィルタリングすることができる点に留意されたい。
【0041】
この提案された制御方式において、モータは、回転量に応じて異なる回転速度で駆動される。例えば、ステップ84において、角変位が上限閾値と比較される。角変位が、上限閾値θUT(例えば、回転の30°)を超えると、ステップ85において示すように、モータは全速度で駆動される。角変位はまた、ステップ86において下限閾値と比較される。角変位が上限閾値よりも小さいが、下限閾値θLT(例えば、回転の5°)を超えるときには、モータは、ステップ87において示すように半速度で駆動する。本制御方式は、より多くの又はより少ない変位閾値を利用すると共に、他の速度でモータを駆動できることは容易に理解される。
【0042】
ステップ82において、角変位の監視を継続する。後続の制御決定は、ステップ83において示すように、始動点に対する絶対角変位に基づいている。工具の角変位が適用可能閾値を上回ったままであるときには、モータの作動速度は維持される。このようにして、工具の連続作動は、工具がその元の位置に戻るまで維持される。他方、工具オペレータが、反対方向に工具を回転させ、工具の角変位が下限閾値を下回る(下限閾値未満である)ときには、ステップ48において、工具の出力が修正される。例示的な実施形態において、モータに印加された電圧は、ステップ48において中断され、これによって工具の作動を終了する。代替の実施形態において、モータを駆動する速度は、無負荷でのスピンドル回転を可能にするある最小レベルまで低下する。また、工具の出力を修正するための他の技術も想起される。閾値は、ヒステリシスを含むことができ、すなわち、下限閾値は、モータをオンにするためにある値(例えば、6度)に設定されるが、例えば、モータをオフにするために異なる値(例えば、4度)に設定される。また、本方法の関連するステップのみを図8Aに関して検討するが、システムの全体の作動を制御及び管理するのに他の機能が必要となる場合がある点は理解される。
【0043】
この制御方式の変形形態80’が図8Bに示されている。角変位が上限閾値よりも小さいが、下限閾値θLT(例えば、回転の5°)を超えるときには、ステップ87’で示すように、モータ速度は、一般に角変位の関数として設定することができる。より具体的には、モータ速度は、全速度に比例して設定することができる。この実施例において、モータ速度は、一次関数から得られる。また。二次関数、指数関数又は対数関数などのより複雑な関数を用いてモータ速度を制御することができる点に留意されたい。
【0044】
上述の何れかの制御方式において、工具回転の方向を用いて出力シャフトの回転方向を制御することができる。換言すると、工具の時計回り回転は、出力シャフトの時計回り回転をもたらし、工具の反時計回り回転は、出力シャフトの反時計回り回転をもたらす。或いは、工具は、オペレータが出力シャフトの回転方向を選択できるようにするスイッチを備えて構成することができる。
【0045】
回転運動センサ22は、様々な方法で用いることができることは当業者には明らかであろう。例えば、運動センサ22を用いて、故障状態を検出し、作動を終了することができる。1つのこのような方式が図8Cに示されており、ここで、角変位が上限閾値θUTよりも大きい場合(ステップ86)、角変位が第2の上限閾値θOTを超えるかどうかをチェックすること(ステップ88)が有利とすることができる。このような閾値を超える場合、工具10の作動を終了することができる(ステップ89)。このような構成は、特定の向きに反転又は状態にすべきでない工具において重要である。このような工具の実施例は、テーブルソー、動力芝刈り機、その他を含む。
【0046】
同様に、工具10の作動は、工具を落としたときのような、運動センサ22が突発的な加速度を検出した場合に終了することができる。
【0047】
或いは、図8A〜図8Cに示す制御方式は、角変位の代わりに角速度を監視することによって修正することができる。換言すると、回転の角速度が100°/秒のような上限閾値を超えるときには、モータは、全速度で駆動され、角速度が上限閾値をよりも低いが、50°/秒のような下限閾値を超える場合には、モータは半速度で駆動される。
【0048】
図18を参照すると、ラチェッティング制御方式60もまた本開示によって企図される。工具作動中、ステップ61において、コントローラは、回転運動センサ22から受け取った入力情報に基づいて工具の角変位を監視する。角変位から、コントローラは、以下で更に説明するように、ステップ62において変位の方向を判定してモータ26を駆動し、ラチェット関数をシミュレートすることができる。
【0049】
この提案された制御方式において、コントローラはまた、ステップ63において、オペレータがどちらの方向にラチェット作動することを望むかに関してオペレータからの指示を受け取らなければならない。例示的な実施形態において、工具10は、オペレータが順ラチェット方向又は逆ラチェット方向の間で選択できるようにするスイッチを備えて構成することができる。他の入力機構もまた企図される。
【0050】
オペレータによって順ラチェット方向が選択されたときには、コントローラは、以下のようにモータを駆動する。オペレータが工具を時計回りに回転させるときには、出力シャフトは、工具が受ける回転よりも大きな割合で駆動される。例えば、出力シャフトは、オペレータによって工具の四分の一転回毎に1又はそれ以上の全回転を駆動することができる。換言すると、出力シャフトは、ステップ65において示すように、回転運動の方向がユーザ選択によるラチェッティング方向と同じである場合よりも大きい割合で回転する。ユーザがラチェット方向を選択することが必要ではない場合がある。制御によりパラメータに基づいてラチェッティング方向の決定を行うことができるのではなく、例えば、初期回転方向は、所望の順方向であると仮定される。
【0051】
他方、オペレータが工具を反時計回りに回転させると、出力シャフトは、1対1の比率で駆動される。従って、出力シャフトは、ステップ67において示すように、方向回転運動が、ユーザ選択によるラチェッティング方向と反対であるときに等しい比率で回転する。スクリュードライバの場合には、ビット及びねじは、次の順方向転回に備えるためにユーザが工具を後方に捩ると静止したままになり、そのためラチェッティング機能に類似している。
【0052】
上記に記載された制御方式は、複数の制御プロファイルを使用することによって更に強化することができる。用途によっては、工具オペレータは、より良好な速度又は制御をもたらす制御曲線を好む場合がある。図9Aは、3つの例示的な制御曲線を示す。曲線Aは、大きな可変制御領域がある線形制御曲線である。ユーザが、適用に対して細かく制御する必要がなく、単にできるだけ速く適用を実行作させたい場合には、ユーザは曲線Bを好むと考えられる。この曲線において、工具出力は、増大して迅速に全出力が得られる。ユーザが真鍮ねじの着座のような精巧な適用を実行している場合、ユーザは、曲線Cを好むと考えられる。この曲線では、即時的なパワーの取得を犠牲にし、ユーザにより大きな制御領域をもたらす。曲線の第1の部分においては、出力パワーは緩慢に変化するのに対して、曲線の第2の部分においては、出力パワーはより迅速に変化する。3つの曲線を例示しているが、工具は、2つ又はそれ以上の制御曲線でプログラムすることができる。
【0053】
1つの実施形態において、工具オペレータは、入力スイッチによって設定された数の制御曲線のうちの1つを直接選択することができる。この場合、コントローラは、工具オペレータが異なる制御曲線を選択するまでは、入力スイッチによって示される制御曲線を適用する。
【0054】
代替の実施形態において、工具のコントローラは、入力制御変数(ICV)及びその導関数に基づいて適用可能な制御曲線を選択することができる。例えば、コントローラは、トリガスイッチが移動した距離及びユーザがトリガスイッチを作動させる速度に基づいて制御曲線を選択することができる。この実施例において、制御曲線の選択は、開始位置から測定したある所定距離(例えば、図9Aに示すような移動範囲の5%)をトリガスイッチが移動するまで行われない。
【0055】
トリガが必要な距離を移動すると、コントローラは、トリガスイッチの速度を計算し、計算された速度に基づいて制御曲線のグループから制御曲線を選択する。ユーザが単にできるだけ速くモータを動作させたい場合には、ユーザは、直ぐにトリガを引く傾向がある。この理由から、トリガ速度が、ある上限速度閾値を超えた場合には、コントローラは、ユーザができるだけ速くモータを稼働させたいと推測して、適用可能な制御曲線(例えば、図9Aの曲線B)を選択する。ユーザが精巧な適用に取り組んでいて、より良好な制御を必要とする場合、ユーザは、トリガをより緩慢に引く傾向がある。従って、トリガの速度が、ある下限速度閾値を下回る場合、コントローラは、ユーザがより良好な制御を望み、異なる制御曲線(例えば、図9Aの曲線C)を選択すると推測する。トリガの速度が上限閾値から下限閾値の間にある場合には、コントローラは、別の制御曲線(例えば、図9Aの曲線A)を選択することができる。曲線選択は、トリガを新たに引く毎に実施することができるので、ユーザは、トリガを押してねじを廻し込んで解除し、次の更に緩慢なトリガ引きで微細な着座制御を得ることができる。
【0056】
次いで、コントローラは、選択された制御曲線に従ってモータ速度を制御する。上記の実施例において、トリガによって移動した距離は、パーセント出力パワーに相関する。トリガ距離に基づいて、コントローラは、選択された制御曲線に従って対応するパーセント出力でモータを駆動することになる。この出力は、開ループモータ制御システムと同様にしてモータパルス幅変調とすることができ、又はこの出力は、閉ループモータ制御システムと同様に直接モータ速度とすることができる点に留意されたい。
【0057】
別の実施例において、コントローラは、工具が開始点から回転した角距離及びその導関数、すなわち工具が回転している角速度に基づいて制御曲線を選択することができる。トリガ速度と同様に、コントローラは、工具が迅速に回転しているときにユーザができるだけ速くモータを動作させることを望むと推測することができ、工具が緩慢に回転しているときにはユーザが緩慢にモータを動作させることを望むと推測することができる。従って、コントローラは、上で記載したように制御曲線を選択し適用することができる。この実施例において、入力制御変数のパーセントは、予想回転の予め定められた範囲(例えば、±180度)に対して計算される。別のタイプの入力制御変数及びその導関数に基づいて適用可能な制御曲線を選択することもまた本開示によって企図される。
【0058】
工具作動中に異なる点にて入力制御変数を監視して制御曲線を選択することが有利とすることができる。例えば、コントローラは、トリガが解除されるか又はその開始位置に向かって移動し始めた後に、トリガ速度を計算して好適な制御曲線を選択することができる。図9Bは、このような後退状態中に利用できる3つの例示的な制御曲線を示す。曲線Dは、曲線Aのような典型的な上昇曲線に類似した典型的な後退曲線である。この曲線において、ユーザは、トリガ開始位置に戻る前にフルレンジのアナログ制御を通過する。曲線Eは、高速遮断の代替曲線である。トリガが迅速に解除される場合、コントローラは、ユーザが単に工具を遮断することを望むと推測し、ユーザが可変速度領域のほとんどを迂回できるようにする。ユーザが緩慢に後退する場合、コントローラは、ユーザが可変速度領域に入ることを望むと推測する。この場合、コントローラは、曲線Fを選択して適用し、ねじを着座させる必要があるように、ユーザが制御を良好に終了させることを可能にすることができる。コントローラは、入力制御変数を監視して、工具作動中に起こる他のタイプのトリガ事象に基づいて適用可能な制御曲線を選択するできることが想起される。
【0059】
上昇曲線は、図9Cに示すように、後退曲線と組み合わせて単一の選択可能曲線を形成することができる。例示的なアプリケーションにおいて、ユーザは、上記で検討したように、工具を用いて長い機械ねじを打ち込むことを望み、従って、入力スイッチを用いて適用可能な制御曲線を選択する。ユーザがトリガを引くと、コントローラは、曲線Bを適用して完全工具出力を迅速に取得する。ユーザがねじの廻し込みをほとんど終えたときに、ユーザはトリガを解除し、コントローラは曲線Fを適用し、これによって所望の締結度にねじを着座させるようユーザにより良好な制御及び能力を与える。
【0060】
制御曲線の選択は、他の工具パラメータと組み合わせた入力制御変数に基づくことができる。例えば、コントローラは、検知電流引き込みのような公知の技術を用いて出力トルクを監視することができる。図9Dを参照すると、コントローラは、緩慢なトリガ解除を検知し、これによりユーザが仕上げ制御に対する可変速度を望むことを示している。出力トルクが高いことをコントローラが更に検知した場合、コントローラは、ねじが動き続けるためにより大きな出力パワーを必要とする(例えば、木ねじ用途)と推測することができる。この場合、コントローラは曲線Gを選択し、ここで制御領域は上方にシフトされ、使用可能なトルクを得る。他方、出力トルクが低いことをコントローラが検知した場合、コントローラは、追加の出力パワーを必要としない(例えば、機械ねじ用途)と推測し、従って、曲線Hを選択することができる。同様に、コントローラは、検知トルクに基づいて工具起動時に異なる制御曲線の中から選択することができる。トルク以外の工具パラメータを用いて、好適な制御曲線を選択することもできる。
【0061】
制御曲線の選択はまた、入力制御変数の第2の導関数に基づくことができる。例示的な実施形態において、コントローラは、トリガの加速度を継続的に計算することができる。加速度がある閾値を超えると、コントローラは、異なる制御曲線を選択することができる。この手法は、工具が既に上昇又は後退曲線を決定したが、ユーザは挙動中央曲線を変更することを望んでいる場合に特に有用である。例えば、ユーザは、トリガを緩慢に引っ張り、ねじがねじ山と係合することを可能にするようにする。係合すると、ユーザは、トリガを押して全出力を得る。工具は、常にトリガ加速度を監視しているので、工具は、ユーザが可変速度制御を終了していることを検知し、図9Eに示すように工具を全出力に迅速に向かわせる。
【0062】
この場合も同様に、トリガ入力は、この状況における実施例として用いられるが、ジェスチャのようなあらゆるユーザ入力制御を入力制御変数として用いることができる点に留意されたい。例えば、センサ22は、ユーザが工具を振って制御曲線又は作動モードを切り替える時点を検出することができる。例えば、ユーザは、サンダを振って回転モードとランダム軌道モードとを切り替えることができる。
【0063】
図7を参照すると、工具10は、モータ26に供給されている電流を検出するための電流センサ32を含む。工具のモータにとって長い時間期間に高電流レベルで動作させることは有利である。高電流レベルは、典型的には高トルク出力を示している。検知電流が、ある予め定められた閾値を超えるときには、コントローラは、工具出力を修正し(例えば、工具を停止する)、損傷を防ぎ、手動で加える回転により、ファスナを引き続き前進させて作業を終了させる必要がある場合があることをオペレータに信号で伝えるように構成される。工具は更に、スピンドルロックを備えることができる。この状況において、オペレータは、スピンドルロックを作動させ、これにより工具ハウジングに対して固定関係でスピンドルをロックする。これは、工具を手動スクリュードライバのように機能させる。
【0064】
このような慣性制御工具において、例えば、ユーザがトリガスイッチを押圧するが、工具を回転させないときには、工具が作動可能であることをユーザに示すことはできない。従って、スクリュードライバ10は更に、工具が作動可能であるときにユーザが知覚可能な出力を提供するように構成することができる。ユーザ知覚可能な出力の1つの実施例は、ユーザに触覚フィードバックを提供することである。モータ駆動回路25は、上述のようなHブリッジ回路として構成することができる。Hブリッジ回路は、電界効果トランジスタ(FET)のペアを選択的に開閉して、電流フロー方向、及びひいてはモータの回転方向を変更するのに用いられる。順方向と逆方向との間で交互に迅速に遷移することによって、モータを用いて、工具オペレータに知覚可能な振動を発生させることができる。振動の周波数は、図10に示すように、1周期の時間間隔によって決定付けられ、振動の大きさは、オンタイムとオフタイムとの比率によって決定付けられる。工具を振動させる他の方式もまた本開示のより広範囲な態様の範囲内にある。
【0065】
図8A及び図8Bに提示された制御方式の範囲内で、Hブリッジ回路25は、工具の角変位が下限閾値に到達する前に上述のようにして駆動することができる。その結果、ユーザは、スピンドルが回転していないときの触覚フィードバックを備える。また、ユーザは、スピンドルが回転している間の触覚フィードバックを備えることができる点も想起される。例えば、電圧間の不均衡によりモータに正及び負電圧が印加することができ、工具を依然として振動させながら、モータが順方向又は逆方向の何れかに進むようになる。触覚フィードバックは、知覚可能な出力の1つの実施例に過ぎず、他のタイプの出力もまた本開示によって企図される点は理解される。
【0066】
また、異なる周波数及び/又は異なる大きさを有する振動を用いて、異なる作動状態をユーザに伝えることができる。例えば、パルスの大きさは速度に比例して変化し、可変速度範囲のどこで工具が作動しているかを伝達するのに役立つことができる。工具の全パワーを制限しないように、このタイプのフィードバックは、ある可変速度限界(例えば、最高速度の70%)を超えると失われる場合がある。別の実施例において、振動を用いて、危険な工具状態をオペレータに警告することができる。最後に、触覚フィードバックは、他の知覚可能な表示器と結合して、工具の状態をオペレータに伝えるのに役立つことができる。例えば、工具上のライトは、触覚フィードバックと同時に点灯して、特定の状態を示すことができる。
【0067】
加えて、触覚フィードバックを用いて、出力シャフトが360°回転したこと、又は特定の所望のトルク設定が達成されたことを示すことができる。
【0068】
本発明の別の態様において、工具10に存在するジャイロスコープを較正するために、自動化方法が提供される。ジャイロスコープは、典型的には、回転速度を示す検知アナログ電圧(Vsense)を出力する。回転速度は、検知電圧を基準電圧と比較することによって求めることができる(例えば、速度=(Vsense−Vref)/スケール係数)。一部のジャイロスコープでは、この基準電圧は、ジャイロスコープによって直接出力される。他のジャイロスコープでは、この基準電圧は、コントローラにおける定数として設定された所定レベル(すなわち、ジャイロスコープ供給電圧/2)である。検知電圧が基準電圧に等しくないときには、回転運動が検出され、検知電圧が基準電圧に等しいときには、運動は起こっていない。実際には、2つの電圧の間にオフセット誤差(ZRO)は存在しない(すなわち、ZRO=Vsense−Vref)。このオフセット誤差は、PCBに搭載した後のジャイロスコープに係る機械的応力、又は測定機器におけるオフセット誤差のような様々な変化によって引き起こされる可能性がある。オフセット誤差は、各ジャイロスコープに特有のものであるが、長期にわたって一定のままであるべきである。この理由から、工具を組み立ててオフセット誤差を求めた後、較正を実施することが多い。オフセット誤差は、メモリ内に記憶され、回転速度(速度=(Vsense−Vref−ZRO)/係数)を計算するときに用いることができる。
【0069】
環境条件の変化により、工具使用の途中で工具を再較正することが必要になる場合がある。従って、工具が現場で自己を再較正できることが望ましい。図11は、工具においてジャイロスコープのオフセット誤差を較正する例示的な方法を示している。例示的な実施形態において、本方法は、工具においてコントローラ24のプロセッサにより実行されるコンピュータ実行可能命令によって実施される。
【0070】
最初に、較正手順は、工具が静止しているときに行う必要がある。これは、作動が終了し、及び/又は工具の電源が切断されているときに行われる可能性が高い。作動が終了すると、工具は、所定の時間量の間電源がオンにされたままである。この時間期間中に較正手順が実行されるのが好ましい。較正手順は、工具が静止しているか又は静止している可能性が高い別の時点で実行してもよいことは理解される。例えば、検知電圧測定値の一次導関数を分析して、工具がいつ静止しているかを判定することができる。
【0071】
較正手順は、ステップ114において示すように、オフセット誤差の測定から始まる。オフセット誤差が測定された後、オフセット誤差は、先行するオフセット誤差測定値の移動平均(ZRO平均)と比較される。移動平均は、最初にオフセット誤差に対する現在の較正値に設定することができる。ステップ115において、測定オフセット誤差が予め定められたエラー閾値と比較される。測定オフセット誤差と移動平均との間の絶対差が、予め定められたオフセット誤差閾値よりも小さいか又はこれに等しい場合、測定オフセット誤差を用いて、新しく較正されたオフセット誤差を計算することができる。より具体的には、測定カウンタ(calCount)は、ステップ116において増分する場合があり、ステップ117において、測定オフセット誤差がアキュムレータ(ZRO累積)に加えられる。次いで、ステップ118において、アキュムレータをカウンタで除算することによって移動平均が計算される。移動平均は、新しく較正されたオフセット誤差を計算するための1つの例示的な方法である。
【0072】
次に、測定サイクル中に工具が静止しているかどうかに関して判定される。オフセットエラー測定値が、ステップ119において測定したある時間期間(例えば、4秒)にわたって一定又はほぼ一定のままである場合、工具は静止していると推定される。この時間期間に達する前まで、各オフセット誤差測定値と移動平均との間の差がオフセット誤差閾値よりも小さい限り、オフセット誤差の追加の測定が行われ、移動平均に加えられる。時間期間に達すると、移動平均は、オフセット誤差に対する正確な測定値であると見なされる。移動平均は、ステップ121において新しく較正されたオフセット誤差としてメモリ内に記憶され、その後、回転速度の計算中にコントローラによって用いることができる。
【0073】
測定オフセット誤差と移動平均との間の絶対差が、予め定められたオフセット誤差閾値を超えたときには、工具は回転している必要がある。この場合、ステップ126及び127において示すように、アキュムレータ及び測定カウンタはリセットされる。較正手順は、工具の電源が遮断されるか又は他の何らかのトリガが手順を終了するまで実行し続けることができる。
【0074】
突発的な誤った較正を防止するために、工具は、より長期的な較正方式を利用することができる。上に記載した方法は、較正値を変更する必要があるか否かを判定している。より長期的な較正方式は、誤差が重要ではなければ、僅かな時間(例えば、0.25秒)を用いて短期の較正を実施することになる。時間期間において回転運動が検知されない場合には、平均ZROは、現行の較正値と比較される。平均ZROが現行の較正値よりも大きい場合には、コントローラは、現行の較正値を引き上げる。平均ZROが現行の較正値よりも小さい場合には、コントローラは、現行の較正値を引き下げることになる。この調整は、平均値と現行値との間の差に対して増大させるか、又はこの差に比例したものとすることができる。
【0075】
動力伝達機構のバックラッシュに起因して、工具オペレータは、一定の条件下で望ましくない振動状態を生じる場合がある。動力伝達機構のギアは、バックラッシュによって移動するが、モータは迅速に回転し、ユーザが反動トルクを受けることはほとんどない。バックラッシュが吸収されると直ぐに、モータは、ギアが締め付けるにつれて負荷の突発的な増大を受け、ユーザは、モータが減速するにつれて強力な反動トルクを直ぐに感じることになる。この反動トルクは、出力スピンドルとして反対方向に工具を回転させる程強力である可能性がある。この作用は、スピンドルロックシステムによって増大する。順方向及び逆方向スピンドルロックの間の空間は、ギア間の空間と同様に作用し、なお一層のバックラッシュをシステムに加える。バックラッシュが大きいほど、モータはより多くの時間を高速で作動する必要がある。モータが出力スピンドルを係合する前に達成する速度が速いほど、反動トルクがより大きく、工具の本体が反対方向に回転する可能性がより高くなる。
【0076】
工具本体の非制御回転は、トリガ制御工具の工具作動に大きな影響を及ぼさない場合もあるが、回転制御工具においては顕著で有害な影響を及ぼす可能性がある。ユーザが工具本体の回転による工具出力速度を制御する場合、工具本体のあらゆる望ましくない運動は、望ましくない出力速度を引き起こす可能性がある。以下の状況においては、周期的振動作用を更に生じる可能性がある。ユーザは、ねじを打ち込もうとして工具を時計回りに回転させる。多大なバックラッシュがある場合には、モータ速度は、バックラッシュが吸収されるまで迅速に増大することになる。この時点においてユーザのグリップが過大に弛緩している場合、工具は、反時計回り方向に非制御状態で回転することになる。工具がゼロ回転点を通って負の回転に入る場合、モータは、方向を反転させて反時計回りに回転する。バックラッシュは、同様に吸収され、最終的には時計回り方向に非制御状態で工具本体を回転させる。この周期的振動又は振動状態は、工具作動が終わるまで継続する可能性がある。
【0077】
図15は、工具10におけるこのような振動状態を防止する例示的な方法を描いている。例証の目的で、本方法は、図8Aに関して説明した制御方式と協働する。本方法は、上に記載したものを含む他の制御方式と連動するよう適合させてもよい点は理解される。例示的な実施形態において、本方法は、工具におけるコントローラ24のプロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令によって実施される。
【0078】
出力スピンドルの回転方向は、上記で検討したように、工具の角変位によって決定付けられる。例えば、工具の反時計回り回転は、出力シャフトの時計回り回転をもたらす。しかしながら、周期的振動状態の発現は、反対方向に回転するまでの所定の時間量未満の間に工具回転が起こった場合に示すことができる。従って、工具の回転を検出すると、ステップ102においてタイマが開始される。タイマは、出力シャフトが所与の方向に回転している時間量を発生する。工具の回転運動及びその方向は、ステップ103において示すように継続的に監視されている。
【0079】
工具が反対方向に回転すると、本方法は、ステップ104において、タイマの値を予め定められた閾値(例えば、50ミリ秒)と比較する。タイマの値が閾値未満である場合、振動状態の発現が生じている可能性がある。例示的な実施形態において、振動状態は、2つの周期的振動を検出することによって確かめられるが、単一周期的振動の後に推定することができる。従って、ステップ105において、フラグは、第1の周期的振動の発生を示すように設定される。タイマの値が閾値を超える場合、回転方向の変化は、オペレータが意図したものであると推定され、従って、工具は、周期的振動状態にはない。何れの場合においても、タイマ値をリセットし監視を継続する。
【0080】
振動状態において、工具の回転方向は、ステップ103において検出されるように変化することになる。この状況において、タイマの値は閾値未満であり、フラグは、先行する第1の周期的振動の発生を示すように設定される。従って、ステップ107において示すように、補正動作を開始することができる。例示的な実施形態において、工具は、短い時間期間の間(例えば、1/4秒)停止することができ、これによって作動を再開する前に、ユーザが工具の制御を取り戻すことができるようにする。他のタイプの補正動作も本開示によって企図される。また、補正動作は、単一の周期的振動又は他の何れかの指定数の周期的振動が2つを超えた後に開始することができることが想起される。同様に、振動状態を検出するための他の技術は、本開示のより広い態様の範囲内にある。
【0081】
前述の実施形態の説明は、例証及び説明の目的で提供されている。網羅的であるか又は本発明を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般的に、当該特定の実施形態に限定されず、必要に応じて、具体的に図示され説明されていない場合であっても選択された実施形態に置き換え可能であり、且つ用いることができる。上記の個々の要素又は特徴はまた、多くの方法で変更することができる。このような変形形態は、本発明から逸脱するものと見なすべきではなく、全てのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0082】
例示的な実施形態は、本開示が十分なものとなり、その範囲を当業者に完全に伝わるように提供されている。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の実施例など、多数の特定の詳細事項が記載されている。この特定の詳細事項を必ずしも利用する必要はなく、多くの異なる形態で例示的な実施形態を具現化することができ、その何れもが本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでないことは、当業者には明らかであろう。一部の例示的な実施形態において、公知のプロセス、公知の装置の構造、及び公知の技術は、詳細には説明されていない。
【0083】
別の配列において、工具は、モータ26の出力シャフト14と駆動シャフト91との間に配置された自動ロック式遊星ギアセット90で構成することができる。自動ロック式ギアセットは、リングギアを通してサンギアを駆動する能力を制限し、及び/又は反転するスピンドルの能力を制限するあらゆる遊星ギアセットを含むことができる。この制限特徴要素は、遊星ギアセットに固有のものとすることができ、或いは、スプラグクラッチ又はワンウェイクラッチのような何らかの追加特徴要素とすることができる。図9A及び図9Bを参照すると、リングギアの能力を制限してサンギア92を逆駆動するための1つの固有の方法は、遊星ギアセット94の出力として追加のリングギア93を加え、第1のリングギア95を固定することである。第1のリングギア95を固定することによって、動力がサンギア92を通って遊星ギア94に伝達され、ここで遊星ギア94が第1の固定リングギア95において自由に回転する。次いで、この構成において、動力が回転遊星ギア94から第2の(固定されていない出力)リングギア93に伝達される。
【0084】
トルクが出力リングギア93を通して遊星ギアセット94に戻されると、出力リングギア上の内部ギア歯が、遊星ギア94上の対応する歯と強制的に係合される。次いで、遊星ギア94上の歯は、固定リングギア上の対応する歯と強制的に係合される。これが起こると、遊星ギアの歯にかかる力は、図9Bで見られるように、出力リングギア93を通して作用する力と、固定リングギア95を通って作用する同等の相反する力とによって均衡が保たれる。力が均衡を保っているときには、遊星ギアは固定されて移動しない。これにより遊星ギアセットがロックされ、トルクがサンギアに印加されるのが阻止される。自動ロック式ギアセットの他の配列も本開示によって企図される。
【0085】
自動ロック式遊星ギアセットを有する利点は、限定ではないが、ねじ付きファスナのような捩り作動中にモータが高トルクレベルにて固着したときに、工具オペレータが、工具を捩ることによってトルクに打ち勝つことができることである。工具オペレータから本装置に加えられたこの過剰トルクは、自動ロック式遊星ギアセット内の力によって相殺され、モータは逆駆動しない。このことにより、工具オペレータは、追加のトルクを装置に加えることが可能になる。
【0086】
この配列において、検知電流がある予め定められた閾値を超えたときに、コントローラは、無負荷でのスピンドル回転を可能にするある最小レベルでモータを駆動するように構成することができる。これにより、失速状態での電子回路への応力が回避されるが、失速時のラチェッティングを可能にすることになる。自動ロック式遊星ギアは、依然としてユーザが失速トルクを手動で無効にすることを可能にする。反対に、ユーザが工具を逆方向に転回させて次の順方向回転を終了させるときには、スピンドル回転は、ねじヘッドにロックされたビットを進め、これによってユーザの逆方向工具回転を相殺することになる。
【0087】
本明細書で用いる専門用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、そうでないことを文脈上明確に示さない限り、複数形も含むことを意図することができる。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、及び「有する(having)」は包括的なものであり、従って、記載の特徴、整数、ステップ、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書で説明した本方法のステップ、プロセス、及び作動は、具体的に実施の順序として特に記載のない限り、必然的に検討又は図示した特定の順序でこれらを実施する必要があるものと解釈すべきではない。また、追加のステップ又は代替のステップを利用できる点も理解されたい。
【符号の説明】
【0088】
8 長手方向軸線
10 スクリュードライバ、工具
11 出力部材
12 第1のハウジング部分
14 第2のハウジング部分
50 トリガスイッチ、トリガスイッチ組立体
130 回転解除機構
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、動力スクリュードライバのような動力工具に関し、より詳細には、ユーザの回転入力に基づいて工具の出力シャフトの回転を制御する制御方式に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、引用により本明細書に組み込まれる、2010年1月7日に出願された米国特許出願第61/292,966号及び2010年10月5日に出願された米国特許出願第61/389,866号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近の動力工具において、ユーザは、入力スイッチの使用により工具出力を制御することができる。このスイッチは、ユーザが、ボタンを押すことによって全出力で工具をオンにし、ボタンを解除することによって工具をオフにするデジタルスイッチの形態にすることができる。より一般的には、スイッチは、工具のモータに供給されるパワーがトリガ移動と相関関係のあるアナログトリガスイッチの形態である。これらの機器構成の両方において、ユーザは工具を把持し、1又はそれ以上の指を用いてスイッチを作動させる。ユーザの指は、1つの軸に沿って直線的に移動して、異なる軸の周りの回転運動を制御する必要がある。このことにより、ユーザは、トリガ移動と出力回転とを直接的に比較して、より微細な制御をするための迅速な速度調節を行うことが困難になる。
【0004】
この制御方法に関する別の問題は、継手の締め付けを評価するのが困難であることである。継手が締め付けられるにつれて、ファスナは、それ以上材料内に移動しなくなる。工具モータは、出力シャフトが減速している間は引き続き回転しようとするので、ユーザが、動力工具を動かさないように付勢力を増大させると、ユーザの手首で反動トルクを感じる場合がある。この現在の構成において、ユーザは、指を用いて適切な制御調節を行う前に、最初に手首で締め付けを検知しなければならない。
【0005】
ここでは、本開示に関する背景技術の情報が提供されるが、これらは必ずしも従来技術を意味するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第61/292,966号
【特許文献2】米国特許出願第61/389,866号
【特許文献3】米国特許出願第12/394,426号
【特許文献4】米国特許出願第12/783,850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動力工具を作動するための改良された方法が提供される。本方法は、動力工具内に配置された回転運動センサを用いて出力シャフトの長手方向軸線の周りで動力工具の回転運動を監視する段階と、長手方向軸線の周りの回転運動の方向を求める段階と、出力シャフトが動力工具内にあるモータによって駆動される出力シャフトを工具の検出回転運動と同じ方向に駆動する段階と、を含む。
【0008】
このセクションは、本開示の概要を提供するものであり、その全ての範囲又はその特徴要素の全ての包括的な開示ではない。更なる適用分野は、本明細書で提供された説明から明らかになるであろう。この発明の概要における説明及び具体的な実施例は、例証の目的に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な動力スクリュードライバの斜視図である。
【図2】図1のスクリュードライバの長手方向断面図である。
【図3】ハンドルがピストルグリップ位置に配置されている、図1のスクリュードライバの斜視図である。
【図4】図1の動力工具の分解斜視図である。
【図5A】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図5B】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図5C】図1のスクリュードライバのトリガ組立体を作動させる異なる方法を描いた部分断面図である。
【図6A】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図6B】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図6C】トリガ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【図7】動力スクリュードライバの例示的な実装のための概略図である。
【図8A】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図8B】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図8C】動力スクリュードライバに対する例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【図9A】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9B】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9C】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9D】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図9E】動力スクリュードライバによって使用することができる異なる制御曲線を示すチャートである。
【図10】工具オペレータに触覚フィードバックを提供するための例示的なパルス化方式を描いた略図である。
【図11】動力スクリュードライバ内にあるジャイロスコープを較正するための自動化方法を描いたフローチャートである。
【図12】第1及び第2のハウジング部分の間の相互作用を示す、図1の動力スクリュードライバの部分断面図である。
【図13A】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図13B】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図13C】動力スクリュードライバに用いる例示的なロックバー組立体を示す斜視図である。
【図14A】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図14B】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図14C】「ピストル」配列から「直列」配列までのスクリュードライバの構成中のロックバー組立体の作動を示す部分断面図である。
【図15】動力スクリュードライバにおいて周期的振動状態を防止するための例示的な方法のフローチャートである。
【図16】代替のトリガ組立体を描いた部分断面図である。
【図17A】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図17B】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図17C】代替のオン/オフ及び検知機構を示す断面図である。
【図18】工具に対する別の例示的な制御方式のためのフローチャートである。
【0010】
図9A〜図9Bは、例示的な自動ロック式遊星ギアセットを示す概略図である。
【0011】
本明細書で説明する図面は、単に選択された実施形態の例証を目的としたものに過ぎず、可能な全ての実施構成ではなく、また、本開示の範囲を限定するものではない。対応する参照番号は、図面のうちの幾つかの図にわたって対応する要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2を参照すると、例示的な動力スクリュードライバが全体的に参照番号10で示されている。スクリュードライバ10は、一般に、長手方向工具軸線8の周りで回転するように構成された出力部材11と、回転運動を与えるように出力部材11に駆動可能に接続されたモータ26とから構成される。工具の作動は、トリガスイッチ、回転速度センサ、及びコントローラによって以下で更に説明するように制御される。チャック又は他の何らかのタイプの工具ホルダは、出力部材11の端部に固定することができる。例示的なビットホルダに関する更なる詳細は、米国特許出願第12/394,426号に記載されており、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。スクリュードライバ10を構築するのに必要な他の構成要素は、以下で更に説明されている。以下の説明は、スクリュードライバ10に関連してなされているが、本開示のより広範囲な態様は、限定ではないが、工具の出力部材と同心状に整列された細長ハウジングを有する工具を含む、他のタイプの動力工具に適用可能であることは容易に理解される。
【0013】
スクリュードライバ10のハウジング組立体は、好ましくは更に、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14から構成される。第1のハウジング部分12は、工具用ハンドルを定め、第2のハウジング部分14に装着することができる。第1のハウジング部分12は、第2のハウジング部分14に対して回転可能である。第1の配列において、第1及び第2のハウジング部分12、14は、図1に示すように工具の長手方向軸線に沿って互いに整列している。この配列は、本明細書では「インライン」構成と呼ばれる。
【0014】
スクリュードライバ10は更に、図3に示すように、「ピストルタイプ」配列で構成することができる。この第2の配列は、第2のハウジング部分14の側面に位置付けられた回転解除機構130を押圧することによって達成される。解除機構130を押圧すると、第1のハウジング部分12が第2のハウジング部分14に対して180度回転し、その結果として、「ピストルタイプ」配列が得られることになる。第2の配列において、第1及び第2のハウジング部分12、14は、工具の一方側から連続的に後を廻って工具の他方側まで延びる凹形の細長溝6を形成する。相対する側面上の溝6に人さし指を置くことによって、工具オペレータが工具を良好に把持することができ、長手方向軸線8の真後ろに掌を位置決めすることにより、オペレータがスクリュードライバを良好に制御できるようになる。
【0015】
図2及び図4を参照すると、第1のハウジング部分12は、内部キャビティ43を定めるように協働することができる1対のハウジングシェル41、42から形成することができる。内部キャビティ43は、1つ又はそれ以上のバッテリセルから構成される充電式バッテリパック44を受けるように構成される。バッテリ端子を他の構成要素と相互作用させるための回路基板45は、第1のハウジング部分12の内部キャビティ43に固定装着される。トリガスイッチ50はまた、第1のハウジング部分12に枢動可能に結合される。
【0016】
同様に、第2のハウジング部分14は、別の内部キャビティ48を形成するように協働することができる1対のハウジングシェル46、47から形成することができる。第2のハウジング部分14は、モータ26、動力伝達機構、及び出力部材11を含む動力伝達組立体49を受けるように構成される。動力伝達組立体49は、出力部材の回転軸が、第2のハウジング部分14の長手方向軸線の周りに同心状に配置されるように、内部キャビティ48内に装着することができる。1つ又はそれ以上の回路基板45はまた、第2のハウジング部分14(図14Aに示すような)の内部キャビティ48内に固定的に装着される。回路基板に装着される構成要素は、回転速度センサ22、マイクロコントローラ24、並びに工具を作動させるための他の回路を含むことができる。第2のハウジング部分14は更に、回転解除機構130を支持するように構成される。
【0017】
図4、図12、図13、及び図14を参照すると、回転解除機構130は、第1及び第2のハウジング部分12、14の何れか一方に装着することができる。解除機構130は、第1及び第2のハウジング部分のうちの他方に関連付けられた1組のロッキング特徴要素132と係合するロックバー組立体140を含む。例示的な実施形態において、ロックバー組立体140は、第2のハウジング部分14の内部に滑動可能に装着される。ロックバー組立体140は、工具の第1のハウジング部分12を把持する手の親指によってロックバー組立体140を作動できるように位置決めされるのが好ましい。ロックバー組立体及び/又は他のタイプのロックバー組立体の他の配置もまた企図される。別のロックバー組立体に関する更なる詳細事項は、2010年5月20日に出願された米国特許出願第12/783,850号において見出され、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【0018】
ロックバー組立体140は更に、ロックバー142及び付勢システム150から構成される。ロックバー142は、バー本体144、2つのプッシュ部材148及び1対のストップ部材146として定められる。プッシュ部材148は、バー本体144の各端部上に一体的に形成される。バー本体144は、付勢システム150が受けられるポケット149を有する細長構造とすることができる。ポケット149は、付勢システムの特定の構成に合わせることができる。例示的な実施形態において、付勢システム150は、2つのピン152及びバネ154から構成される。各ピン152は、バネ154の両端内に挿入され、ポケット内にピンを保持する働きをする一体化カラーを含む。ポケット内に配置されたときに、各ピンの他方の端部は、カラーをポケットの内壁とバネとの間に位置決めした状態でバー本体の端部に形成されたアパーチャを通って突出する。
【0019】
ストップ部材146は、バー本体144の両側に配置され、該バー本体144と一体的に形成される。ストップ部材146は更に、バー本体144の底面から外向きに延びる環状セグメントとして定めることができる。ロック位置において、ストップ部材146は、図14Aにおいて最も良く分かるように、第1のハウジング部分12のシェル組立体上に一体的に形成されたロッキング特徴要素132のセットと係合するように配列される。付勢システム150は、ロックバー組立体140をロック位置に付勢するように作動する。このロック位置において、ストップ部材146がロッキング特徴要素132と係合することにより、第1のハウジング部分が第2のハウジング部分に対して回転するのが阻止される。
【0020】
ロックバー組立体140を作動させるために、プッシュ部材148は、第2のハウジング部分14の両側面上に形成されたプッシュ部材アパーチャを通って突出する。ロックバー組立体140が工具オペレータによって何れかの方向に並進されると、ストップ部材146は、図14Bに示すように、ロッキング特徴要素132との係合を解除して滑動し、これによって、第1のハウジング部分が第2のハウジング部分に対して自由に回転できるようになる。プッシュ部材148は、第1のハウジング部分12及び第2のハウジング部分14が互いに対して回転する中心軸からオフセットしている点に留意されたい。この配列により、第2のハウジング部分14を第1のハウジング部分12に対して回転させるのに役立つ慣性モーメントがもたらされる。単一作動力によって、工具オペレータは、ロックバー組立体140を解除し、続いて第2のハウジング部分を回転させることができる。次いで、ユーザは、ストップ部材がロッキング特徴要素と再係合するまで引き続き第2のハウジング部分を回転(例えば、180度)させることができる。ストップ部材146が、ロッキング特徴要素と整列すると、付勢システム150は、図14Cに示すようにロックバー組立体140をロック位置に付勢する。
【0021】
スクリュードライバ10に対する改良されたユーザ入力方法が提案される。簡潔に言えば、工具回転を用いて出力シャフトの回転を制御する。例示的な実施形態において、出力部材の長手方向軸線の周りの工具の回転運動は、動力工具内に配置された回転運動センサを用いて監視される。角速度、角変位、及び/又は回転方向は、出力シャフトを駆動するための基礎として測定し用いることができる。結果として得られる構成は、従来の入力方式の欠点を改善するものである。提案の構成によって、制御入力及び結果として得られる出力は、同じ軸の周りの回転として起こる。これにより、手動スクリュードライバの使用に類似した高度に直感的な制御がもたらされる。以下の説明では、出力部材の長手方向軸線の周りの回転を説明しているが、制御入力は、工具に関連する異なる軸の周りで回転可能であることは容易に理解される。例えば、制御入力は、オフセットしているが、出力シャフトの軸と平行な軸の周り、或いは、出力部材の軸から斜めの軸の周りとすることができる。制御方式に関する更なる詳細事項は、2010年1月7日に出願された米国特許出願第61/292,966号で見出すことができ、当該出願は引用により本明細書に組み込まれる。
【0022】
このタイプの制御方式は、オペレータが作業を実施したいと望んでいることを工具が知る必要がある。1つの実施可能な解決策は、工具オペレータが作業を開始するために作動させるスイッチである。例えば、スイッチは、工具の外部にアクセス可能な単極単投スイッチとすることができる。オペレータが、スイッチをオン位置にすると、工具の電源が投入される(すなわち、バッテリが、コントローラ及び他の電子構成要素に接続される)。回転運動は、工具に電源が投入されたときにだけ検出され作動する。オペレータがスイッチをオフ位置にすると、工具の電源が切断され、もはや作動不能になる。
【0023】
例示的な実施形態において、工具オペレータは、トリガスイッチ50を作動させて工具動作を開始する。図5A〜図5Cを参照すると、トリガスイッチ組立体は、少なくとも1つのモーメンタリースイッチ53及びバネなどの付勢部材54を収納する細長ケーシング52から主として構成される。細長ケーシング52は、オペレータによって何れかの接点の周りで並進及び/又は枢動できるように、第1のハウジング部分12に移動可能に結合される。例えば、工具オペレータがケーシングの頂部又は底部付近を押圧した場合、トリガ組立体は、図5A及び図5Bそれぞれに示すように枢動する。工具オペレータがケーシングの中央付近を押圧した場合、トリガ組立体は、図5Cに示すように工具本体に向かって内向きに並進する。何れの場合においても、オペレータによってケーシング52に加わる力は、スイッチのうちの少なくとも1つをオフ位置からオン位置まで押圧することになる。2つ又はそれ以上のスイッチ53がある場合、スイッチ53は、工具に電源を投入するためにスイッチのうちの1つのみが作動する必要があるように、互いに電気的に並列に配列される(図7に示すように)。オペレータがトリガを解除すると、付勢部材54は、ケーシング52を工具から離れるように付勢し、これによってスイッチの各々がオフ位置に戻る。ケーシングの細長形状は、オペレータが異なる把持位置からスイッチを作動させるのに役立つ。トリガスイッチ組立体50は、図6A〜図6Cに示すように、2つよりも多くのスイッチ53及び/又は1つよりも多くの付勢部材54から構成できることが想起される。
【0024】
図16は、代替のトリガスイッチ組立体50を示しており、ここで同じ参照番号は同じ要素を指す。細長ケーシング52は、好ましくは、特定の一方向Aだけに滑動できるように、ハウジング部分12によって捕捉される。ケーシング52は傾斜部52Rを有することができる。傾斜部52Rは、滑動リンク55上のカム55Rと係合する。滑動リンク55は、好ましくは、方向Aに対し実質的に垂直な方向Bに沿ってのみ滑動できるように、ハウジング12によって捕捉される。
【0025】
滑動リンク55は、好ましくは、回転リンク56に回転可能に取り付けられる。回転リンク56は、ポスト56Pによりハウジング部分12に回転可能に取り付けることができる。
【0026】
従って、ユーザが方向Aに沿ってケーシング52を移動させると、傾斜部52Rは、方向Bに沿ってカム55R(及びひいては滑動リンク55)を移動させる。これにより、回転リンク56がモーメンタリースイッチ53を回転させ、これと接触するようになり、工具10に電源を投入する。
【0027】
好ましくは、ケーシング52は、方向Aとは反対の方向にケーシング52を付勢するバネ54と接触する。同様に、滑動リンク55は、方向Bとは反対の方向に滑動リンク55を付勢するバネ55Sと接触することができる。同様にまた、回転リンク56は、モーメンタリースイッチ53から離れて回転リンク56を付勢するバネ56Sと接触することができる。
【0028】
スイッチ53は、ケーシング52から離れて配置することができるので、モータ26は、ケーシング52及び滑動リンク55に隣接して設けられ、より小型の配列を可能にすることができる点は当業者には明らかであろう。
【0029】
また、工具10に電源を投入するためにユーザが個別のトリガ組立体50を作動させる代わりに、工具10が内在のスイッチ組立体を有することができることは、当業者には明らかであろう。図17A〜図17Bは、1つのこのような代替のスイッチ組立体を示しており、ここで同じ参照番号は同じ要素を指す。
【0030】
この実施形態において、モータ26、出力部材11及び/又はこれらの間のあらゆる動力伝達機構を含む動力伝達組立体49は、好ましくは、ハウジング71内に入れられ、工具ハウジング12内部で軸方向に並進するように作られる。十分な剛性のバネ72が、ドライブトレイン組立体71を工具ハウジングの前方に付勢する。モーメンタリー押しボタンスイッチ73が、ドライブトレイン組立体71と軸方向に一直線上に配置される。工具をファスナに適用するときには、付勢荷重が工具の軸に沿って印加され、ドライブトレイン組立体71が後方に並進して、バネを圧縮し押しボタンと接触する。代替の実施例において、ドライブトレイン組立体は静止したままであるが、ビットを囲むカラー74は、軸方向に並進してスイッチを作動させるように作られる。スイッチを作動させるための他の配列も企図される。
【0031】
押しボタン73が作動する(すなわち、閉状態にされる)と、バッテリ28は、電源調整回路を介して回転運動センサ、コントローラ24及び他の支持電子回路に接続される。図7を参照すると、コントローラ24は、直接にバイパススイッチ34(例えば、FET)をオンにする。これにより、押しボタンが解除された後でも工具電子回路が引き続き電力を受け取ることが可能になる。工具がファスナから係合解除されると、バネ72は、再度ドライブトレイン組立体71を前方に付勢し、押しボタン73が解除される。例示的な実施形態において、コントローラ24は、押しボタン73が解除された後に所定の時間量(例えば、10秒)の間給電されたままになる。この時間の間に、工具は、工具の電源を切断することなく同じファスナ又は異なるファスナに適用することができる。押しボタン73が所定の時間量で解除されると、コントローラ24は、バイパススイッチ34をオフにし、工具の電源を切断することになる。所望の工具停止と電子回路の電源切断との間に幾らかの遅延があるのが好ましい。これは、モータにブレーキをかけてモータ惰走を回避するための駆動回路時間を与える。図7で説明した実施形態の関連において、押しボタン73の作動はまた、角位置をリセットする(すなわち、ゼロに設定する)働きをする。電子回路の給電は、押しボタンにより、又は別個のスイッチを用いて制御することができる。交換式及び/又は充電式のバッテリは、この実施形態においては電源として機能するが、本明細書で開示される概念はまた、コード付き工具にも適用可能である。
【0032】
工具の作動状態は、工具の電源が投入されている間照明されることになる発光ダイオード35(LED)によって工具オペレータに伝達することができる。LED35を用いて、他の工具状況を示すことができる。例えば、点滅するLED35は、電流レベルが超えている場合、又はバッテリが低レベルである場合を示すことができる。代替の配列において、LED35を用いて加工物表面を照明することができる。
【0033】
この実施形態において、工具は、電源を投入することができるが、ファスナと係合することはできない。従って、コントローラは更に、押しボタンスイッチ73が作動されたときだけ出力シャフトを駆動するように構成することができる。換言すると、出力シャフトは、工具がファスナと係合して、十分な付勢力がドライブトレイン組立体に加えられたときにのみ駆動される。制御アルゴリズムは、ファスナが取り外されているときにより小さな付勢力を可能にすることができる。例えば、出力シャフトは、上述のように、十分な付勢荷重がドライブトレイン組立体に加えられたときに逆方向に駆動することができる。出力シャフトが回転し始めると、幾らかの順方向回転が検出されるまで出力シャフトが遮断されることはない(付勢力に関係なく)。これにより、付勢力が低いことに起因して工具が遮断されることなくねじが逆回転して材料から外れるので、オペレータは、ねじを緩めて印加付勢荷重を低下させることが可能になる。順方向作動と逆方向作動を区別する他の制御方式もまた本開示により企図される。
【0034】
また、非接触検知方法を用いて、工具の作動を制御することができる。例えば、非接触センサ81は、図17Cに示すように、ビット83に隣接する工具の前方接面82上に配置することができる。非接触センサ81を用いて、工具が、加工物に接近している場合、又は加工物に適用されている場合、或いは加工物から引き戻される場合を検知することができる。光又は音響センサは、2つの例示的なタイプの非接触センサである。同様に、加速度計のような慣性センサは、工具の相対位置又は加速度を検知するよう構成することができる。例えば、慣性センサは、工具の長手方向軸線に沿って工具が加工物に向かう又は加工物から離れる線形運動を検出することができる。このタイプの運動は、工具と加工物の係合、又は作業終了後の工具の取り外しを示す。これらの方法は、連結完了の検知及び/又は工具をオフにした時点の判定を行うのにより効果的とすることができる。
【0035】
検知方法の組み合わせもまた本開示によって企図される。例えば、起動するために1つの検知方法と、停止させるために別の検知方法がある。加工物に印加された力に応答する方法は、工具を起動する時点を判定するのに好ましいとすることができるが、ファスナの状態又は印加から離れる工具の移動を検知する方法は、工具出力を修正する(例えば、工具を停止する)時点を判定するのに好ましいとすることができる。
【0036】
スクリュードライバ10のハウジング内にある構成要素は、図7で概略的に更に示すように、出力部材から半径方向に空間的に分離することができる回転速度センサ22と、回転速度センサ22及びモータ26に電気的に接続されるコントローラ24とを含む。モータ駆動回路25は、バッテリからの電圧を何れかの方向でモータの両端に印加できるようにする。次に、モータ26は、動力伝達機構(図示せず)を通って出力部材11に駆動可能に接続される。例示的な実施形態において、モータ駆動回路25は、Hブリッジ回路配列であるが、他の配列も企図される。スクリュードライバ10はまた、温度センサ31、電流センサ32、タコメータ33及び/又はLED35を含むことができる。スクリュードライバ10の僅かな主要構成要素を本明細書で検討するが、スクリュードライバを構築するのに他の構成要素を必要とする可能性がある点は容易に理解される。
【0037】
例示的な実施形態において、回転運動センサ22は更に、ジャイロスコープとして定められる。ジャイロスコープの作動原理は、「コリオリ(Coliolis)」の効果に基づいている。要約すると、回転速度センサは共振質量体から構成される。動力工具が、スピンドルの軸の周りで回転運動を受けるときに、共振質量体は、「コリオリ」効果に従って横方向に変位し、横方向変位が角速度に正比例するようになる。質量体の共振運動及び質量体の横方向移動は、回転シャフトの回転軸に対して垂直に配向された平面内で起こる点に留意されたい。次いで、容量検知素子を用いて、横方向変位を検出し、横方向変位を示す適用可能信号を発生させる。例示的な回転速度センサは、Analog Devicesから商業的に入手可能なADXRS150又はADXRS300ジャイロスコープ装置である。加速度計、コンパス、慣性センサ、及び他のタイプの回転運動センサが本開示により企図されることは容易に理解される。また、センサ並びに他の工具構成要素は、工具ハウジングと相互作用するバッテリパック又は他の何れかの取り外し可能要素に組み込むことができる点も想起される。
【0038】
作動中、回転運動センサ22は、出力部材11の長手方向軸線に対するセンサの回転運動を監視する。コントローラ24によって実装された制御モジュールは、回転運動センサ22からの入力情報を受け取り、回転運動センサ22からの入力に基づいてモータ26及びひいては出力部材11を駆動する。例えば、制御モジュールは、工具の検出された回転運動と同じ方向に出力部材11を駆動することができる。本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)、説明した機能性を提供する他の好適な構成要素、又はシステムオンチップにおけるような上記の一部又は全ての組み合わせを意味し、これらの一部であり、或いは、これらを含むことができる。用語「モジュール」は、プロセッサによって実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用、又はグループ)を含むことができ、ここでコードは、上記で用いる場合、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコードを含むことができ、また、プログラム、ルーチン、関数、クラス、及び/又はオブジェクトを意味することができる。
【0039】
例示的な制御方式80の機能を図8Aに関連して以下で更に説明する。工具作動中、角変位は、回転運動センサ22から受け取った入力情報に基づいてコントローラ24によって監視することができる。ステップ81において、開始又は基準点(θ)は、ゼロに初期化される。次いで、工具のその後のあらゆる角変位は、これを基準として測定される。例示的な実施形態において、制御方式は、メモリ内にあるコンピュータ実行可能命令として実装され、コントローラ24のプロセッサによって実行される。
【0040】
次いで、ステップ82において、工具の角変位が監視される。例示的な実施形態において、角変位は、ジャイロスコープにより提供される時間の経過に伴う角変位の割合すなわち角速度(ωTOOL)から得られる。上述の回転速度センサは、現在の所工具の角変位を求めるのに好ましいが、本開示は、このタイプのセンサに限定されないことは容易に理解される。逆に、角変位は、他の方式で及び/又は他のタイプのセンサから得ることができる。また、あらゆる回転速度センサからの信号は、個別電気部品によりアナログ領域で、及び/又はソフトウェアフィルタによるデジタル処理でフィルタリングすることができる点に留意されたい。
【0041】
この提案された制御方式において、モータは、回転量に応じて異なる回転速度で駆動される。例えば、ステップ84において、角変位が上限閾値と比較される。角変位が、上限閾値θUT(例えば、回転の30°)を超えると、ステップ85において示すように、モータは全速度で駆動される。角変位はまた、ステップ86において下限閾値と比較される。角変位が上限閾値よりも小さいが、下限閾値θLT(例えば、回転の5°)を超えるときには、モータは、ステップ87において示すように半速度で駆動する。本制御方式は、より多くの又はより少ない変位閾値を利用すると共に、他の速度でモータを駆動できることは容易に理解される。
【0042】
ステップ82において、角変位の監視を継続する。後続の制御決定は、ステップ83において示すように、始動点に対する絶対角変位に基づいている。工具の角変位が適用可能閾値を上回ったままであるときには、モータの作動速度は維持される。このようにして、工具の連続作動は、工具がその元の位置に戻るまで維持される。他方、工具オペレータが、反対方向に工具を回転させ、工具の角変位が下限閾値を下回る(下限閾値未満である)ときには、ステップ48において、工具の出力が修正される。例示的な実施形態において、モータに印加された電圧は、ステップ48において中断され、これによって工具の作動を終了する。代替の実施形態において、モータを駆動する速度は、無負荷でのスピンドル回転を可能にするある最小レベルまで低下する。また、工具の出力を修正するための他の技術も想起される。閾値は、ヒステリシスを含むことができ、すなわち、下限閾値は、モータをオンにするためにある値(例えば、6度)に設定されるが、例えば、モータをオフにするために異なる値(例えば、4度)に設定される。また、本方法の関連するステップのみを図8Aに関して検討するが、システムの全体の作動を制御及び管理するのに他の機能が必要となる場合がある点は理解される。
【0043】
この制御方式の変形形態80’が図8Bに示されている。角変位が上限閾値よりも小さいが、下限閾値θLT(例えば、回転の5°)を超えるときには、ステップ87’で示すように、モータ速度は、一般に角変位の関数として設定することができる。より具体的には、モータ速度は、全速度に比例して設定することができる。この実施例において、モータ速度は、一次関数から得られる。また。二次関数、指数関数又は対数関数などのより複雑な関数を用いてモータ速度を制御することができる点に留意されたい。
【0044】
上述の何れかの制御方式において、工具回転の方向を用いて出力シャフトの回転方向を制御することができる。換言すると、工具の時計回り回転は、出力シャフトの時計回り回転をもたらし、工具の反時計回り回転は、出力シャフトの反時計回り回転をもたらす。或いは、工具は、オペレータが出力シャフトの回転方向を選択できるようにするスイッチを備えて構成することができる。
【0045】
回転運動センサ22は、様々な方法で用いることができることは当業者には明らかであろう。例えば、運動センサ22を用いて、故障状態を検出し、作動を終了することができる。1つのこのような方式が図8Cに示されており、ここで、角変位が上限閾値θUTよりも大きい場合(ステップ86)、角変位が第2の上限閾値θOTを超えるかどうかをチェックすること(ステップ88)が有利とすることができる。このような閾値を超える場合、工具10の作動を終了することができる(ステップ89)。このような構成は、特定の向きに反転又は状態にすべきでない工具において重要である。このような工具の実施例は、テーブルソー、動力芝刈り機、その他を含む。
【0046】
同様に、工具10の作動は、工具を落としたときのような、運動センサ22が突発的な加速度を検出した場合に終了することができる。
【0047】
或いは、図8A〜図8Cに示す制御方式は、角変位の代わりに角速度を監視することによって修正することができる。換言すると、回転の角速度が100°/秒のような上限閾値を超えるときには、モータは、全速度で駆動され、角速度が上限閾値をよりも低いが、50°/秒のような下限閾値を超える場合には、モータは半速度で駆動される。
【0048】
図18を参照すると、ラチェッティング制御方式60もまた本開示によって企図される。工具作動中、ステップ61において、コントローラは、回転運動センサ22から受け取った入力情報に基づいて工具の角変位を監視する。角変位から、コントローラは、以下で更に説明するように、ステップ62において変位の方向を判定してモータ26を駆動し、ラチェット関数をシミュレートすることができる。
【0049】
この提案された制御方式において、コントローラはまた、ステップ63において、オペレータがどちらの方向にラチェット作動することを望むかに関してオペレータからの指示を受け取らなければならない。例示的な実施形態において、工具10は、オペレータが順ラチェット方向又は逆ラチェット方向の間で選択できるようにするスイッチを備えて構成することができる。他の入力機構もまた企図される。
【0050】
オペレータによって順ラチェット方向が選択されたときには、コントローラは、以下のようにモータを駆動する。オペレータが工具を時計回りに回転させるときには、出力シャフトは、工具が受ける回転よりも大きな割合で駆動される。例えば、出力シャフトは、オペレータによって工具の四分の一転回毎に1又はそれ以上の全回転を駆動することができる。換言すると、出力シャフトは、ステップ65において示すように、回転運動の方向がユーザ選択によるラチェッティング方向と同じである場合よりも大きい割合で回転する。ユーザがラチェット方向を選択することが必要ではない場合がある。制御によりパラメータに基づいてラチェッティング方向の決定を行うことができるのではなく、例えば、初期回転方向は、所望の順方向であると仮定される。
【0051】
他方、オペレータが工具を反時計回りに回転させると、出力シャフトは、1対1の比率で駆動される。従って、出力シャフトは、ステップ67において示すように、方向回転運動が、ユーザ選択によるラチェッティング方向と反対であるときに等しい比率で回転する。スクリュードライバの場合には、ビット及びねじは、次の順方向転回に備えるためにユーザが工具を後方に捩ると静止したままになり、そのためラチェッティング機能に類似している。
【0052】
上記に記載された制御方式は、複数の制御プロファイルを使用することによって更に強化することができる。用途によっては、工具オペレータは、より良好な速度又は制御をもたらす制御曲線を好む場合がある。図9Aは、3つの例示的な制御曲線を示す。曲線Aは、大きな可変制御領域がある線形制御曲線である。ユーザが、適用に対して細かく制御する必要がなく、単にできるだけ速く適用を実行作させたい場合には、ユーザは曲線Bを好むと考えられる。この曲線において、工具出力は、増大して迅速に全出力が得られる。ユーザが真鍮ねじの着座のような精巧な適用を実行している場合、ユーザは、曲線Cを好むと考えられる。この曲線では、即時的なパワーの取得を犠牲にし、ユーザにより大きな制御領域をもたらす。曲線の第1の部分においては、出力パワーは緩慢に変化するのに対して、曲線の第2の部分においては、出力パワーはより迅速に変化する。3つの曲線を例示しているが、工具は、2つ又はそれ以上の制御曲線でプログラムすることができる。
【0053】
1つの実施形態において、工具オペレータは、入力スイッチによって設定された数の制御曲線のうちの1つを直接選択することができる。この場合、コントローラは、工具オペレータが異なる制御曲線を選択するまでは、入力スイッチによって示される制御曲線を適用する。
【0054】
代替の実施形態において、工具のコントローラは、入力制御変数(ICV)及びその導関数に基づいて適用可能な制御曲線を選択することができる。例えば、コントローラは、トリガスイッチが移動した距離及びユーザがトリガスイッチを作動させる速度に基づいて制御曲線を選択することができる。この実施例において、制御曲線の選択は、開始位置から測定したある所定距離(例えば、図9Aに示すような移動範囲の5%)をトリガスイッチが移動するまで行われない。
【0055】
トリガが必要な距離を移動すると、コントローラは、トリガスイッチの速度を計算し、計算された速度に基づいて制御曲線のグループから制御曲線を選択する。ユーザが単にできるだけ速くモータを動作させたい場合には、ユーザは、直ぐにトリガを引く傾向がある。この理由から、トリガ速度が、ある上限速度閾値を超えた場合には、コントローラは、ユーザができるだけ速くモータを稼働させたいと推測して、適用可能な制御曲線(例えば、図9Aの曲線B)を選択する。ユーザが精巧な適用に取り組んでいて、より良好な制御を必要とする場合、ユーザは、トリガをより緩慢に引く傾向がある。従って、トリガの速度が、ある下限速度閾値を下回る場合、コントローラは、ユーザがより良好な制御を望み、異なる制御曲線(例えば、図9Aの曲線C)を選択すると推測する。トリガの速度が上限閾値から下限閾値の間にある場合には、コントローラは、別の制御曲線(例えば、図9Aの曲線A)を選択することができる。曲線選択は、トリガを新たに引く毎に実施することができるので、ユーザは、トリガを押してねじを廻し込んで解除し、次の更に緩慢なトリガ引きで微細な着座制御を得ることができる。
【0056】
次いで、コントローラは、選択された制御曲線に従ってモータ速度を制御する。上記の実施例において、トリガによって移動した距離は、パーセント出力パワーに相関する。トリガ距離に基づいて、コントローラは、選択された制御曲線に従って対応するパーセント出力でモータを駆動することになる。この出力は、開ループモータ制御システムと同様にしてモータパルス幅変調とすることができ、又はこの出力は、閉ループモータ制御システムと同様に直接モータ速度とすることができる点に留意されたい。
【0057】
別の実施例において、コントローラは、工具が開始点から回転した角距離及びその導関数、すなわち工具が回転している角速度に基づいて制御曲線を選択することができる。トリガ速度と同様に、コントローラは、工具が迅速に回転しているときにユーザができるだけ速くモータを動作させることを望むと推測することができ、工具が緩慢に回転しているときにはユーザが緩慢にモータを動作させることを望むと推測することができる。従って、コントローラは、上で記載したように制御曲線を選択し適用することができる。この実施例において、入力制御変数のパーセントは、予想回転の予め定められた範囲(例えば、±180度)に対して計算される。別のタイプの入力制御変数及びその導関数に基づいて適用可能な制御曲線を選択することもまた本開示によって企図される。
【0058】
工具作動中に異なる点にて入力制御変数を監視して制御曲線を選択することが有利とすることができる。例えば、コントローラは、トリガが解除されるか又はその開始位置に向かって移動し始めた後に、トリガ速度を計算して好適な制御曲線を選択することができる。図9Bは、このような後退状態中に利用できる3つの例示的な制御曲線を示す。曲線Dは、曲線Aのような典型的な上昇曲線に類似した典型的な後退曲線である。この曲線において、ユーザは、トリガ開始位置に戻る前にフルレンジのアナログ制御を通過する。曲線Eは、高速遮断の代替曲線である。トリガが迅速に解除される場合、コントローラは、ユーザが単に工具を遮断することを望むと推測し、ユーザが可変速度領域のほとんどを迂回できるようにする。ユーザが緩慢に後退する場合、コントローラは、ユーザが可変速度領域に入ることを望むと推測する。この場合、コントローラは、曲線Fを選択して適用し、ねじを着座させる必要があるように、ユーザが制御を良好に終了させることを可能にすることができる。コントローラは、入力制御変数を監視して、工具作動中に起こる他のタイプのトリガ事象に基づいて適用可能な制御曲線を選択するできることが想起される。
【0059】
上昇曲線は、図9Cに示すように、後退曲線と組み合わせて単一の選択可能曲線を形成することができる。例示的なアプリケーションにおいて、ユーザは、上記で検討したように、工具を用いて長い機械ねじを打ち込むことを望み、従って、入力スイッチを用いて適用可能な制御曲線を選択する。ユーザがトリガを引くと、コントローラは、曲線Bを適用して完全工具出力を迅速に取得する。ユーザがねじの廻し込みをほとんど終えたときに、ユーザはトリガを解除し、コントローラは曲線Fを適用し、これによって所望の締結度にねじを着座させるようユーザにより良好な制御及び能力を与える。
【0060】
制御曲線の選択は、他の工具パラメータと組み合わせた入力制御変数に基づくことができる。例えば、コントローラは、検知電流引き込みのような公知の技術を用いて出力トルクを監視することができる。図9Dを参照すると、コントローラは、緩慢なトリガ解除を検知し、これによりユーザが仕上げ制御に対する可変速度を望むことを示している。出力トルクが高いことをコントローラが更に検知した場合、コントローラは、ねじが動き続けるためにより大きな出力パワーを必要とする(例えば、木ねじ用途)と推測することができる。この場合、コントローラは曲線Gを選択し、ここで制御領域は上方にシフトされ、使用可能なトルクを得る。他方、出力トルクが低いことをコントローラが検知した場合、コントローラは、追加の出力パワーを必要としない(例えば、機械ねじ用途)と推測し、従って、曲線Hを選択することができる。同様に、コントローラは、検知トルクに基づいて工具起動時に異なる制御曲線の中から選択することができる。トルク以外の工具パラメータを用いて、好適な制御曲線を選択することもできる。
【0061】
制御曲線の選択はまた、入力制御変数の第2の導関数に基づくことができる。例示的な実施形態において、コントローラは、トリガの加速度を継続的に計算することができる。加速度がある閾値を超えると、コントローラは、異なる制御曲線を選択することができる。この手法は、工具が既に上昇又は後退曲線を決定したが、ユーザは挙動中央曲線を変更することを望んでいる場合に特に有用である。例えば、ユーザは、トリガを緩慢に引っ張り、ねじがねじ山と係合することを可能にするようにする。係合すると、ユーザは、トリガを押して全出力を得る。工具は、常にトリガ加速度を監視しているので、工具は、ユーザが可変速度制御を終了していることを検知し、図9Eに示すように工具を全出力に迅速に向かわせる。
【0062】
この場合も同様に、トリガ入力は、この状況における実施例として用いられるが、ジェスチャのようなあらゆるユーザ入力制御を入力制御変数として用いることができる点に留意されたい。例えば、センサ22は、ユーザが工具を振って制御曲線又は作動モードを切り替える時点を検出することができる。例えば、ユーザは、サンダを振って回転モードとランダム軌道モードとを切り替えることができる。
【0063】
図7を参照すると、工具10は、モータ26に供給されている電流を検出するための電流センサ32を含む。工具のモータにとって長い時間期間に高電流レベルで動作させることは有利である。高電流レベルは、典型的には高トルク出力を示している。検知電流が、ある予め定められた閾値を超えるときには、コントローラは、工具出力を修正し(例えば、工具を停止する)、損傷を防ぎ、手動で加える回転により、ファスナを引き続き前進させて作業を終了させる必要がある場合があることをオペレータに信号で伝えるように構成される。工具は更に、スピンドルロックを備えることができる。この状況において、オペレータは、スピンドルロックを作動させ、これにより工具ハウジングに対して固定関係でスピンドルをロックする。これは、工具を手動スクリュードライバのように機能させる。
【0064】
このような慣性制御工具において、例えば、ユーザがトリガスイッチを押圧するが、工具を回転させないときには、工具が作動可能であることをユーザに示すことはできない。従って、スクリュードライバ10は更に、工具が作動可能であるときにユーザが知覚可能な出力を提供するように構成することができる。ユーザ知覚可能な出力の1つの実施例は、ユーザに触覚フィードバックを提供することである。モータ駆動回路25は、上述のようなHブリッジ回路として構成することができる。Hブリッジ回路は、電界効果トランジスタ(FET)のペアを選択的に開閉して、電流フロー方向、及びひいてはモータの回転方向を変更するのに用いられる。順方向と逆方向との間で交互に迅速に遷移することによって、モータを用いて、工具オペレータに知覚可能な振動を発生させることができる。振動の周波数は、図10に示すように、1周期の時間間隔によって決定付けられ、振動の大きさは、オンタイムとオフタイムとの比率によって決定付けられる。工具を振動させる他の方式もまた本開示のより広範囲な態様の範囲内にある。
【0065】
図8A及び図8Bに提示された制御方式の範囲内で、Hブリッジ回路25は、工具の角変位が下限閾値に到達する前に上述のようにして駆動することができる。その結果、ユーザは、スピンドルが回転していないときの触覚フィードバックを備える。また、ユーザは、スピンドルが回転している間の触覚フィードバックを備えることができる点も想起される。例えば、電圧間の不均衡によりモータに正及び負電圧が印加することができ、工具を依然として振動させながら、モータが順方向又は逆方向の何れかに進むようになる。触覚フィードバックは、知覚可能な出力の1つの実施例に過ぎず、他のタイプの出力もまた本開示によって企図される点は理解される。
【0066】
また、異なる周波数及び/又は異なる大きさを有する振動を用いて、異なる作動状態をユーザに伝えることができる。例えば、パルスの大きさは速度に比例して変化し、可変速度範囲のどこで工具が作動しているかを伝達するのに役立つことができる。工具の全パワーを制限しないように、このタイプのフィードバックは、ある可変速度限界(例えば、最高速度の70%)を超えると失われる場合がある。別の実施例において、振動を用いて、危険な工具状態をオペレータに警告することができる。最後に、触覚フィードバックは、他の知覚可能な表示器と結合して、工具の状態をオペレータに伝えるのに役立つことができる。例えば、工具上のライトは、触覚フィードバックと同時に点灯して、特定の状態を示すことができる。
【0067】
加えて、触覚フィードバックを用いて、出力シャフトが360°回転したこと、又は特定の所望のトルク設定が達成されたことを示すことができる。
【0068】
本発明の別の態様において、工具10に存在するジャイロスコープを較正するために、自動化方法が提供される。ジャイロスコープは、典型的には、回転速度を示す検知アナログ電圧(Vsense)を出力する。回転速度は、検知電圧を基準電圧と比較することによって求めることができる(例えば、速度=(Vsense−Vref)/スケール係数)。一部のジャイロスコープでは、この基準電圧は、ジャイロスコープによって直接出力される。他のジャイロスコープでは、この基準電圧は、コントローラにおける定数として設定された所定レベル(すなわち、ジャイロスコープ供給電圧/2)である。検知電圧が基準電圧に等しくないときには、回転運動が検出され、検知電圧が基準電圧に等しいときには、運動は起こっていない。実際には、2つの電圧の間にオフセット誤差(ZRO)は存在しない(すなわち、ZRO=Vsense−Vref)。このオフセット誤差は、PCBに搭載した後のジャイロスコープに係る機械的応力、又は測定機器におけるオフセット誤差のような様々な変化によって引き起こされる可能性がある。オフセット誤差は、各ジャイロスコープに特有のものであるが、長期にわたって一定のままであるべきである。この理由から、工具を組み立ててオフセット誤差を求めた後、較正を実施することが多い。オフセット誤差は、メモリ内に記憶され、回転速度(速度=(Vsense−Vref−ZRO)/係数)を計算するときに用いることができる。
【0069】
環境条件の変化により、工具使用の途中で工具を再較正することが必要になる場合がある。従って、工具が現場で自己を再較正できることが望ましい。図11は、工具においてジャイロスコープのオフセット誤差を較正する例示的な方法を示している。例示的な実施形態において、本方法は、工具においてコントローラ24のプロセッサにより実行されるコンピュータ実行可能命令によって実施される。
【0070】
最初に、較正手順は、工具が静止しているときに行う必要がある。これは、作動が終了し、及び/又は工具の電源が切断されているときに行われる可能性が高い。作動が終了すると、工具は、所定の時間量の間電源がオンにされたままである。この時間期間中に較正手順が実行されるのが好ましい。較正手順は、工具が静止しているか又は静止している可能性が高い別の時点で実行してもよいことは理解される。例えば、検知電圧測定値の一次導関数を分析して、工具がいつ静止しているかを判定することができる。
【0071】
較正手順は、ステップ114において示すように、オフセット誤差の測定から始まる。オフセット誤差が測定された後、オフセット誤差は、先行するオフセット誤差測定値の移動平均(ZRO平均)と比較される。移動平均は、最初にオフセット誤差に対する現在の較正値に設定することができる。ステップ115において、測定オフセット誤差が予め定められたエラー閾値と比較される。測定オフセット誤差と移動平均との間の絶対差が、予め定められたオフセット誤差閾値よりも小さいか又はこれに等しい場合、測定オフセット誤差を用いて、新しく較正されたオフセット誤差を計算することができる。より具体的には、測定カウンタ(calCount)は、ステップ116において増分する場合があり、ステップ117において、測定オフセット誤差がアキュムレータ(ZRO累積)に加えられる。次いで、ステップ118において、アキュムレータをカウンタで除算することによって移動平均が計算される。移動平均は、新しく較正されたオフセット誤差を計算するための1つの例示的な方法である。
【0072】
次に、測定サイクル中に工具が静止しているかどうかに関して判定される。オフセットエラー測定値が、ステップ119において測定したある時間期間(例えば、4秒)にわたって一定又はほぼ一定のままである場合、工具は静止していると推定される。この時間期間に達する前まで、各オフセット誤差測定値と移動平均との間の差がオフセット誤差閾値よりも小さい限り、オフセット誤差の追加の測定が行われ、移動平均に加えられる。時間期間に達すると、移動平均は、オフセット誤差に対する正確な測定値であると見なされる。移動平均は、ステップ121において新しく較正されたオフセット誤差としてメモリ内に記憶され、その後、回転速度の計算中にコントローラによって用いることができる。
【0073】
測定オフセット誤差と移動平均との間の絶対差が、予め定められたオフセット誤差閾値を超えたときには、工具は回転している必要がある。この場合、ステップ126及び127において示すように、アキュムレータ及び測定カウンタはリセットされる。較正手順は、工具の電源が遮断されるか又は他の何らかのトリガが手順を終了するまで実行し続けることができる。
【0074】
突発的な誤った較正を防止するために、工具は、より長期的な較正方式を利用することができる。上に記載した方法は、較正値を変更する必要があるか否かを判定している。より長期的な較正方式は、誤差が重要ではなければ、僅かな時間(例えば、0.25秒)を用いて短期の較正を実施することになる。時間期間において回転運動が検知されない場合には、平均ZROは、現行の較正値と比較される。平均ZROが現行の較正値よりも大きい場合には、コントローラは、現行の較正値を引き上げる。平均ZROが現行の較正値よりも小さい場合には、コントローラは、現行の較正値を引き下げることになる。この調整は、平均値と現行値との間の差に対して増大させるか、又はこの差に比例したものとすることができる。
【0075】
動力伝達機構のバックラッシュに起因して、工具オペレータは、一定の条件下で望ましくない振動状態を生じる場合がある。動力伝達機構のギアは、バックラッシュによって移動するが、モータは迅速に回転し、ユーザが反動トルクを受けることはほとんどない。バックラッシュが吸収されると直ぐに、モータは、ギアが締め付けるにつれて負荷の突発的な増大を受け、ユーザは、モータが減速するにつれて強力な反動トルクを直ぐに感じることになる。この反動トルクは、出力スピンドルとして反対方向に工具を回転させる程強力である可能性がある。この作用は、スピンドルロックシステムによって増大する。順方向及び逆方向スピンドルロックの間の空間は、ギア間の空間と同様に作用し、なお一層のバックラッシュをシステムに加える。バックラッシュが大きいほど、モータはより多くの時間を高速で作動する必要がある。モータが出力スピンドルを係合する前に達成する速度が速いほど、反動トルクがより大きく、工具の本体が反対方向に回転する可能性がより高くなる。
【0076】
工具本体の非制御回転は、トリガ制御工具の工具作動に大きな影響を及ぼさない場合もあるが、回転制御工具においては顕著で有害な影響を及ぼす可能性がある。ユーザが工具本体の回転による工具出力速度を制御する場合、工具本体のあらゆる望ましくない運動は、望ましくない出力速度を引き起こす可能性がある。以下の状況においては、周期的振動作用を更に生じる可能性がある。ユーザは、ねじを打ち込もうとして工具を時計回りに回転させる。多大なバックラッシュがある場合には、モータ速度は、バックラッシュが吸収されるまで迅速に増大することになる。この時点においてユーザのグリップが過大に弛緩している場合、工具は、反時計回り方向に非制御状態で回転することになる。工具がゼロ回転点を通って負の回転に入る場合、モータは、方向を反転させて反時計回りに回転する。バックラッシュは、同様に吸収され、最終的には時計回り方向に非制御状態で工具本体を回転させる。この周期的振動又は振動状態は、工具作動が終わるまで継続する可能性がある。
【0077】
図15は、工具10におけるこのような振動状態を防止する例示的な方法を描いている。例証の目的で、本方法は、図8Aに関して説明した制御方式と協働する。本方法は、上に記載したものを含む他の制御方式と連動するよう適合させてもよい点は理解される。例示的な実施形態において、本方法は、工具におけるコントローラ24のプロセッサによって実行されるコンピュータ実行可能命令によって実施される。
【0078】
出力スピンドルの回転方向は、上記で検討したように、工具の角変位によって決定付けられる。例えば、工具の反時計回り回転は、出力シャフトの時計回り回転をもたらす。しかしながら、周期的振動状態の発現は、反対方向に回転するまでの所定の時間量未満の間に工具回転が起こった場合に示すことができる。従って、工具の回転を検出すると、ステップ102においてタイマが開始される。タイマは、出力シャフトが所与の方向に回転している時間量を発生する。工具の回転運動及びその方向は、ステップ103において示すように継続的に監視されている。
【0079】
工具が反対方向に回転すると、本方法は、ステップ104において、タイマの値を予め定められた閾値(例えば、50ミリ秒)と比較する。タイマの値が閾値未満である場合、振動状態の発現が生じている可能性がある。例示的な実施形態において、振動状態は、2つの周期的振動を検出することによって確かめられるが、単一周期的振動の後に推定することができる。従って、ステップ105において、フラグは、第1の周期的振動の発生を示すように設定される。タイマの値が閾値を超える場合、回転方向の変化は、オペレータが意図したものであると推定され、従って、工具は、周期的振動状態にはない。何れの場合においても、タイマ値をリセットし監視を継続する。
【0080】
振動状態において、工具の回転方向は、ステップ103において検出されるように変化することになる。この状況において、タイマの値は閾値未満であり、フラグは、先行する第1の周期的振動の発生を示すように設定される。従って、ステップ107において示すように、補正動作を開始することができる。例示的な実施形態において、工具は、短い時間期間の間(例えば、1/4秒)停止することができ、これによって作動を再開する前に、ユーザが工具の制御を取り戻すことができるようにする。他のタイプの補正動作も本開示によって企図される。また、補正動作は、単一の周期的振動又は他の何れかの指定数の周期的振動が2つを超えた後に開始することができることが想起される。同様に、振動状態を検出するための他の技術は、本開示のより広い態様の範囲内にある。
【0081】
前述の実施形態の説明は、例証及び説明の目的で提供されている。網羅的であるか又は本発明を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般的に、当該特定の実施形態に限定されず、必要に応じて、具体的に図示され説明されていない場合であっても選択された実施形態に置き換え可能であり、且つ用いることができる。上記の個々の要素又は特徴はまた、多くの方法で変更することができる。このような変形形態は、本発明から逸脱するものと見なすべきではなく、全てのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0082】
例示的な実施形態は、本開示が十分なものとなり、その範囲を当業者に完全に伝わるように提供されている。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の実施例など、多数の特定の詳細事項が記載されている。この特定の詳細事項を必ずしも利用する必要はなく、多くの異なる形態で例示的な実施形態を具現化することができ、その何れもが本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでないことは、当業者には明らかであろう。一部の例示的な実施形態において、公知のプロセス、公知の装置の構造、及び公知の技術は、詳細には説明されていない。
【0083】
別の配列において、工具は、モータ26の出力シャフト14と駆動シャフト91との間に配置された自動ロック式遊星ギアセット90で構成することができる。自動ロック式ギアセットは、リングギアを通してサンギアを駆動する能力を制限し、及び/又は反転するスピンドルの能力を制限するあらゆる遊星ギアセットを含むことができる。この制限特徴要素は、遊星ギアセットに固有のものとすることができ、或いは、スプラグクラッチ又はワンウェイクラッチのような何らかの追加特徴要素とすることができる。図9A及び図9Bを参照すると、リングギアの能力を制限してサンギア92を逆駆動するための1つの固有の方法は、遊星ギアセット94の出力として追加のリングギア93を加え、第1のリングギア95を固定することである。第1のリングギア95を固定することによって、動力がサンギア92を通って遊星ギア94に伝達され、ここで遊星ギア94が第1の固定リングギア95において自由に回転する。次いで、この構成において、動力が回転遊星ギア94から第2の(固定されていない出力)リングギア93に伝達される。
【0084】
トルクが出力リングギア93を通して遊星ギアセット94に戻されると、出力リングギア上の内部ギア歯が、遊星ギア94上の対応する歯と強制的に係合される。次いで、遊星ギア94上の歯は、固定リングギア上の対応する歯と強制的に係合される。これが起こると、遊星ギアの歯にかかる力は、図9Bで見られるように、出力リングギア93を通して作用する力と、固定リングギア95を通って作用する同等の相反する力とによって均衡が保たれる。力が均衡を保っているときには、遊星ギアは固定されて移動しない。これにより遊星ギアセットがロックされ、トルクがサンギアに印加されるのが阻止される。自動ロック式ギアセットの他の配列も本開示によって企図される。
【0085】
自動ロック式遊星ギアセットを有する利点は、限定ではないが、ねじ付きファスナのような捩り作動中にモータが高トルクレベルにて固着したときに、工具オペレータが、工具を捩ることによってトルクに打ち勝つことができることである。工具オペレータから本装置に加えられたこの過剰トルクは、自動ロック式遊星ギアセット内の力によって相殺され、モータは逆駆動しない。このことにより、工具オペレータは、追加のトルクを装置に加えることが可能になる。
【0086】
この配列において、検知電流がある予め定められた閾値を超えたときに、コントローラは、無負荷でのスピンドル回転を可能にするある最小レベルでモータを駆動するように構成することができる。これにより、失速状態での電子回路への応力が回避されるが、失速時のラチェッティングを可能にすることになる。自動ロック式遊星ギアは、依然としてユーザが失速トルクを手動で無効にすることを可能にする。反対に、ユーザが工具を逆方向に転回させて次の順方向回転を終了させるときには、スピンドル回転は、ねじヘッドにロックされたビットを進め、これによってユーザの逆方向工具回転を相殺することになる。
【0087】
本明細書で用いる専門用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、そうでないことを文脈上明確に示さない限り、複数形も含むことを意図することができる。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、及び「有する(having)」は包括的なものであり、従って、記載の特徴、整数、ステップ、作動、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書で説明した本方法のステップ、プロセス、及び作動は、具体的に実施の順序として特に記載のない限り、必然的に検討又は図示した特定の順序でこれらを実施する必要があるものと解釈すべきではない。また、追加のステップ又は代替のステップを利用できる点も理解されたい。
【符号の説明】
【0088】
8 長手方向軸線
10 スクリュードライバ、工具
11 出力部材
12 第1のハウジング部分
14 第2のハウジング部分
50 トリガスイッチ、トリガスイッチ組立体
130 回転解除機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力シャフトを有する動力工具を作動するための方法であって、
ユーザが前記出力シャフトの長手方向軸の周りで前記動力工具を回転させる段階と、
前記動力工具内に配置された回転運動センサを用いて前記動力工具の回転運動を監視する段階と、
前記回転運動センサからの入力を用いて、前記軸の周りの前記動力工具の角速度、前記軸の周りの前記動力工具の回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを求める段階と、
前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つにより前記出力シャフトを駆動する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つに基づいて複数の制御プロファイルのうちの1つを選択する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御プロファイルが、前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを、前記出力シャフトを駆動する所与の速度に関連付ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが第1の閾値を上回るときに、前記複数の制御プロファイルから第1の制御プロファイルを選択し、前記動力工具の角速度及び回転変位のうちの少なくとも1つが第2の閾値を下回るときに、前記複数の制御プロファイルから前記第1の制御プロファイルとは異なる第2の制御プロファイルを選択する段階を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の制御プロファイルにより、前記出力シャフトが最高回転速度で駆動されるようになる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の制御プロファイルにより、前記出力シャフトが最高回転速度未満の速度で駆動されるようになる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記出力シャフトが、開始角位置に対する前記回転変位に従って駆動され、前記出力シャフトが前記回転変位の乗数で回転され、ここで前記乗数は1に等しくない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
以下の事象:(a)力が前記出力装置に印加される、(b)スイッチが作動する、及び(c)加工物への接近が感知される、のうちの少なくとも1つが起こったときに前記動力工具に給電する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動力工具の回転運動を監視する前に前記動力工具を振動させる段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動力工具を振動させる段階が、前記動力工具のモータを流れる電流フローの方向を変更することによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動力工具のコントローラによって前記動力工具が静止している時点を判定する段階と、
前記動力工具が静止している間にアナログ信号の誤差を求める段階と、
前記誤差を用いて前記回転運動センサを較正する段階と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動力工具の回転運動の方向の変化を検出する段階と、
前記動力工具が所与の方向に回転している時間量を求める段階と、
前記時間量が閾値未満であるときに前記動力工具のコントローラによって補正動作を開始する段階と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記補正動作は、前記時間量が閾値未満であるときには前記動力工具のモータの給電を停止している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
動力工具において、
長手方向軸線の周りで回転するように構成された出力シャフトと、
回転運動を与えるために前記出力シャフトに駆動可能に接続されたモータと、
前記出力シャフトから空間的に分離され、且つオペレータによって与えられた前記長手方向軸線に対する前記動力工具の回転運動を求めるように作動可能な回転運動センサと、
前記回転運動センサ及び前記モータに電気的に接続され、前記回転運動センサからのユーザが与える入力を用いて前記軸の周りの前記動力工具の角速度、前記軸の周りの前記動力工具の回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを求めて、前記角速度、前記回転変位、及び該回転変位の前記方向のうちの少なくとも1つにより前記モータを制御するコントローラと、
前記モータ、前記回転運動センサ及び前記コントローラを少なくとも部分的に収容するハウジングと、
を備える、動力工具。
【請求項15】
前記コントローラは、前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが第1の閾値を超えるときに、最高回転速度で前記出力シャフトを駆動し、前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが前記第1の閾値を下回るが第2の閾値を超えるときに、前記最高回転速度未満の指定回転速度で前記出力シャフトを駆動する、請求項14に記載の動力工具。
【請求項16】
前記コントローラは、開始角位置に対する前記回転変位に従って前記出力シャフトを駆動し、前記出力シャフトが前記回転変位の乗数で回転され、ここで前記乗数は1に等しくない、請求項14に記載の動力工具。
【請求項17】
前記動力工具に給電するためのスイッチを更に備える、請求項14に記載の動力工具。
【請求項18】
前記スイッチは、前記オペレータが前記出力シャフト上に圧力を加えたときに係合する、請求項17に記載の動力工具。
【請求項19】
前記ハウジングに滑動可能に係合され、カム傾斜部を有するトリガケーシングと、
前記ハウジングに滑動可能に係合され且つ前記カム傾斜部に沿って移動するカムを有する滑動リンクと、
前記ハウジングに枢動可能に取り付けられ且つ前記滑動リンクに接続され、前記オペレータが前記トリガケーシングを移動させたときに前記スイッチと係合する回転リンクと、
を更に備える、請求項17に記載の動力工具。
【請求項20】
前記出力シャフトと前記モータとの間に配置された自動ロック式遊星ギアセットを更に備える、請求項14に記載の動力工具。
【請求項21】
動力工具において、
長手方向軸線の周りで回転するように構成された出力シャフトと、
前記出力シャフトに駆動可能に接続されて回転運動を与えるモータと、
前記動力工具の運動を求めるように作動可能な運動センサと、
前記運動センサ及び前記モータに電気的に接続され、前記モータセンサによって検出されたユーザのジェスチャ入力に応じて少なくとも2つの制御プロファイルの間で選択し、前記選択された制御プロファイルにより前記モータを制御するコントローラと、
前記モータ、前記運動センサ及び前記コントローラを少なくとも部分的に収容するハウジングと、
を備える、動力工具。
【請求項1】
出力シャフトを有する動力工具を作動するための方法であって、
ユーザが前記出力シャフトの長手方向軸の周りで前記動力工具を回転させる段階と、
前記動力工具内に配置された回転運動センサを用いて前記動力工具の回転運動を監視する段階と、
前記回転運動センサからの入力を用いて、前記軸の周りの前記動力工具の角速度、前記軸の周りの前記動力工具の回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを求める段階と、
前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つにより前記出力シャフトを駆動する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つに基づいて複数の制御プロファイルのうちの1つを選択する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御プロファイルが、前記角速度、前記回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを、前記出力シャフトを駆動する所与の速度に関連付ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが第1の閾値を上回るときに、前記複数の制御プロファイルから第1の制御プロファイルを選択し、前記動力工具の角速度及び回転変位のうちの少なくとも1つが第2の閾値を下回るときに、前記複数の制御プロファイルから前記第1の制御プロファイルとは異なる第2の制御プロファイルを選択する段階を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の制御プロファイルにより、前記出力シャフトが最高回転速度で駆動されるようになる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の制御プロファイルにより、前記出力シャフトが最高回転速度未満の速度で駆動されるようになる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記出力シャフトが、開始角位置に対する前記回転変位に従って駆動され、前記出力シャフトが前記回転変位の乗数で回転され、ここで前記乗数は1に等しくない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
以下の事象:(a)力が前記出力装置に印加される、(b)スイッチが作動する、及び(c)加工物への接近が感知される、のうちの少なくとも1つが起こったときに前記動力工具に給電する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動力工具の回転運動を監視する前に前記動力工具を振動させる段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記動力工具を振動させる段階が、前記動力工具のモータを流れる電流フローの方向を変更することによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動力工具のコントローラによって前記動力工具が静止している時点を判定する段階と、
前記動力工具が静止している間にアナログ信号の誤差を求める段階と、
前記誤差を用いて前記回転運動センサを較正する段階と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動力工具の回転運動の方向の変化を検出する段階と、
前記動力工具が所与の方向に回転している時間量を求める段階と、
前記時間量が閾値未満であるときに前記動力工具のコントローラによって補正動作を開始する段階と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記補正動作は、前記時間量が閾値未満であるときには前記動力工具のモータの給電を停止している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
動力工具において、
長手方向軸線の周りで回転するように構成された出力シャフトと、
回転運動を与えるために前記出力シャフトに駆動可能に接続されたモータと、
前記出力シャフトから空間的に分離され、且つオペレータによって与えられた前記長手方向軸線に対する前記動力工具の回転運動を求めるように作動可能な回転運動センサと、
前記回転運動センサ及び前記モータに電気的に接続され、前記回転運動センサからのユーザが与える入力を用いて前記軸の周りの前記動力工具の角速度、前記軸の周りの前記動力工具の回転変位、及び前記回転変位の方向のうちの少なくとも1つを求めて、前記角速度、前記回転変位、及び該回転変位の前記方向のうちの少なくとも1つにより前記モータを制御するコントローラと、
前記モータ、前記回転運動センサ及び前記コントローラを少なくとも部分的に収容するハウジングと、
を備える、動力工具。
【請求項15】
前記コントローラは、前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが第1の閾値を超えるときに、最高回転速度で前記出力シャフトを駆動し、前記角速度及び前記回転変位のうちの少なくとも1つが前記第1の閾値を下回るが第2の閾値を超えるときに、前記最高回転速度未満の指定回転速度で前記出力シャフトを駆動する、請求項14に記載の動力工具。
【請求項16】
前記コントローラは、開始角位置に対する前記回転変位に従って前記出力シャフトを駆動し、前記出力シャフトが前記回転変位の乗数で回転され、ここで前記乗数は1に等しくない、請求項14に記載の動力工具。
【請求項17】
前記動力工具に給電するためのスイッチを更に備える、請求項14に記載の動力工具。
【請求項18】
前記スイッチは、前記オペレータが前記出力シャフト上に圧力を加えたときに係合する、請求項17に記載の動力工具。
【請求項19】
前記ハウジングに滑動可能に係合され、カム傾斜部を有するトリガケーシングと、
前記ハウジングに滑動可能に係合され且つ前記カム傾斜部に沿って移動するカムを有する滑動リンクと、
前記ハウジングに枢動可能に取り付けられ且つ前記滑動リンクに接続され、前記オペレータが前記トリガケーシングを移動させたときに前記スイッチと係合する回転リンクと、
を更に備える、請求項17に記載の動力工具。
【請求項20】
前記出力シャフトと前記モータとの間に配置された自動ロック式遊星ギアセットを更に備える、請求項14に記載の動力工具。
【請求項21】
動力工具において、
長手方向軸線の周りで回転するように構成された出力シャフトと、
前記出力シャフトに駆動可能に接続されて回転運動を与えるモータと、
前記動力工具の運動を求めるように作動可能な運動センサと、
前記運動センサ及び前記モータに電気的に接続され、前記モータセンサによって検出されたユーザのジェスチャ入力に応じて少なくとも2つの制御プロファイルの間で選択し、前記選択された制御プロファイルにより前記モータを制御するコントローラと、
前記モータ、前記運動センサ及び前記コントローラを少なくとも部分的に収容するハウジングと、
を備える、動力工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【公表番号】特表2013−516335(P2013−516335A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548149(P2012−548149)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020511
【国際公開番号】WO2011/085194
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020511
【国際公開番号】WO2011/085194
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】
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