説明

回転寿司の注文嗜好管理システム

【課題】客の注文嗜好を的確に把握して回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができので、材料ロスや作業ロスを大幅に削減することができる。
【解決手段】端末器32からコンピュータ40に送られてきた入店時情報とRFID読取器36からコンピュータ40に送られてきた出店時情報とを同じ識別情報ごとにデータベース38にデータベース化し、該データベース38から同じ客層に食された寿司ネタの種類をランキングづけして客層別注文嗜好データとして再構築し、構築された客層別注文嗜好データから現在入店している客層が好む寿司ネタのランキングを抽出して調理場に設けた表示装置28に表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転寿司の注文嗜好管理システムに係り、特に回転台に載せられたまま客に食されずに廃棄する寿司ネタの数を減少させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転寿司店では、寿司職人の経験に基づいて回転台に載せる寿司ネタの種類や数量を決めているため、客が注文しない寿司ネタを多く作り過ぎたり、逆にたくさん注文する寿司ネタを少なく作り過ぎたりすることが発生していた。そして、回転台に載せられたまま客に食されずに一定時間を経過した寿司ネタは鮮度が落ちる等の食品の性質上、廃棄せざるをえない。これは、折角握った寿司ネタを無駄に廃棄することになり、材料ロスや作業ロス等のコストロスになっている。
【0003】
一方、最近の回転寿司店では、寿司ネタを載せる寿司皿にその寿司ネタの値段情報が書き込まれたRFIDタグを埋め込んでRFID読取器で読み取ることで、正確で迅速な会計処理を行う店も多くなっている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−296422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、回転寿司店では、RFIDタグを利用することで会計の自動化や省力化に寄与しているが、RFIDタグを利用して客の注文嗜好を的確に把握するシステムを構築し、回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができれば、従来の材料ロスや作業ロスを顕著に削減することができる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、客の注文嗜好を的確に把握して回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができ、材料ロスや作業ロスを大幅に削減することができる回転寿司の注文嗜好管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1は、前記目的を達成するために、回転寿司店において客が食する寿司ネタの注文嗜好を管理する回転寿司の注文嗜好管理システムであって、前記客の入店時情報として、該客の少なくとも客層情報を識別情報と関連づけて入力してコンピュータに送信する端末器と、寿司皿に設けられ、該寿司皿に置かれる寿司ネタの種類が少なくとも書き込まれたRFIDタグと、前記客の出店時情報として、前記RFIDタグを読み取ると共に前記識別情報と関連づけて前記コンピュータに送信するRFID読取器と、前記コンピュータに送られてきた前記入店時情報と前記出店時情報とを識別情報ごとに第1格納部に格納するデータベースと、前記データベースの第1格納部に格納されている多数のデータから客層ごとの好みの寿司ネタをランキングづけして客層別注文嗜好データとして再構築して前記データベースの第2格納部に格納するコンピュータCPUと、寿司を握る調理場に設けられた表示装置と、を備え、前記CPUは、前記データベースの第2格納部に格納されている客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出して前記表示装置に表示することを特徴とする回転寿司の注文嗜好管理システムを提供する。
【0008】
本発明によれば、端末器からコンピュータに送られてきた入店時情報とRFID読取器からコンピュータに送られてきた出店時情報とを同じ識別情報ごとにデータベースにデータベース化し、該データベースから同じ客層に食された寿司ネタの種類をランキングづけして客層別注文嗜好データとして再構築し、構築された客層別注文嗜好データから現在入店している客層が好む寿司ネタのランキングを抽出して調理場に設けた表示装置に表示するようにした。
【0009】
これにより、寿司を握る寿司職人は、現在入店している客層の注文嗜好を的確に把握して回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができので、材料ロスや作業ロスを大幅に削減することができる。
【0010】
本発明において、前記CPUは、前記客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出すると共に、該寿司ネタランキングを集計して現在入店している客全体での寿司ネタランキングを前記表示装置に表示することが好ましい。
【0011】
客層ごとの寿司ネタランキングは、現在入店している客数が多い場合には、どの寿司ネタが一番多く注文されるかを判断しにくいが、現在入店している客全体での寿司ネタランキングを表示装置に表示すれば、客数が多くても一目で判断できる。
【0012】
本発明において、前記客層情報として、年齢別、性別、客構成別を少なくとも入力することが好ましい。年齢が若いか年寄りか、男性か女性か、一人かグループか、グループならば家族かペアか等によって寿司ネタに関する嗜好傾向が異なり、客層別注文嗜好データ精度を向上できる。
【0013】
本発明において、前記識別情報として入店時間とテーブル番号又はカウンター番号とを組み合わせることにより客同士を識別することが好ましい。これにより、簡単に客同士を識別できると共に、入店時間やテーブル番号は、データ解析にも利用できるからである。
【0014】
本発明において、前記客層別注文嗜好データは前記データベースに格納される新たな情報によって更新されることが好ましい。集められる情報量が多くなるほど客層別注文嗜好データ精度を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の回転寿司の注文嗜好管理システムによれば、客の注文嗜好を的確に把握して回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができので、材料ロスや作業ロスを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の注文嗜好管理システムが設けられる回転寿司店の一例を示す概念図
【図2】本発明の注文嗜好管理システムの装置構成を示す概念図
【図3】寿司皿に貼り付けられたRFIDタグを説明する説明図
【図4】RFID読取器の設置場所を説明する説明図
【図5】データベースの第1格納部に格納されるデータ表の説明図
【図6】データベースの第2格納部に格納される客層別注文嗜好データ表の説明図
【図7】表示装置に表示される表示データの説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の回転寿司の注文嗜好管理システムの好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の回転寿司の注文嗜好管理システムが設置された回転寿司店の一例である。図1に示すように、回転寿司店10は、寿司を握る調理場12と、客が寿司を食する店舗14とに仕切壁16によって仕切られる共に、楕円形状の回転台18が仕切壁16の開口部を介して調理場12と店舗14との間を回転移動可能に配置される。これにより、調理場12で握られて寿司皿20に置かれた寿司は、回転台18に載って店舗14側に移動する。来店した客は、回転台18の店舗側周囲に形成されたカウンター22の椅子22Aに座るか、カウンター22の一部に併設されたテーブル24の椅子24Aに座った状態で、回転台18に載って移動してくる寿司皿20から好みの寿司ネタが置かれた寿司皿20を選択する。
【0019】
したがって、選択されない寿司ネタは、常に回転台18の上に置かれたままになり、鮮度が落ちるので、一定時間を経過しても選択されない寿司ネタは廃棄せざるをえない。これにより、材料ロスや作業ロス等のコストロスが発生する。図1の符号26は調理台であり、符号28は後で詳しく説明する表示装置である。
【0020】
図2は、本発明の注文嗜好管理システム30の装置構成を示す概念図である。
【0021】
図2に示すように、注文嗜好管理システム30は、主として、端末器32と、RFID(Radio Frequency Identification)タグ34(図3参照)と、RFID読取器36と、データベース38と、コンピュータ40と、表示装置28と、で構成される。なお、符号40Aはコンピュータ40に付設される液晶モニターである。
【0022】
端末器32は、回転寿司店10の各店員がそれぞれ携帯しており、客が入店した際に入店時情報として、少なくとも客層情報を識別情報と関連づけて入力し、入力した入店時情報をコンピュータ40に送信する。客層情報としては、構成メンバー、男女別、年齢層を少なくとも入力する。構成メンバーは家族、男グループ、女グループ、男女ペアの何れかを入力する。また年齢層は店員が客の外見から判断し、例えば10歳未満、10歳台、20歳台、30歳台、40歳台のように10歳間隔で入力する。客の識別情報は、例えば、入店日時と客が座ったテーブル番号又はカウンター番号とを組み合わせることで他の客と識別することができる。この場合、家族やペアのように複数人数の客も1つの識別情報で管理する。
【0023】
RFIDタグ34は、図3に示すように寿司を置く寿司皿20の目立たない部分、例えば寿司皿20の底や底部側面に埋め込まれる。また、RFID読取器36は、図4に示すように、カウンター22及びテーブル24に形成された寿司皿20の回収穴42の内部に配置され、カウンター番号又はテーブル番号と対応するようになっている。そして、客が食べ終わった寿司皿20を回収穴42に入れたときに、RFIDタグ34に書き込まれた情報をRFID読取器36で読み取りコンピュータ40に送信する。RFIDタグ34には、寿司ネタの種類が少なくとも書き込まれており、前記した識別情報と関連づけた出店時情報としてコンピュータ40に送られる。この場合、RFIDタグ34に、寿司ネタの種類に加えて寿司ネタの値段を書き込み、会計処理の自動化に利用することが好ましい。
【0024】
データベース38は、端末器32からコンピュータ40に送られてきた入店時情報とRFID読取器36からコンピュータ40に送られてきた出店時情報とを識別情報ごとに第1格納部に格納する。データベース38の第1格納部には、例えば図5のデータ表が格納される。データ表には、端末器32からの情報として、データを採取した年月日、受付No.、入店時間、テーブルNo.(又はカウンターNo.)、構成メンバー(一人、家族、ペア等)、男女別、年齢層等が入力される。また、RFID読取器36からの情報として、客が食した寿司ネタの種類や食した合計金額等が入力される。寿司ネタの種類は、例えばマグロをA、ハマチをB、海老をC等のようにアルファベットで分類し、データ表にはアルフ
ァベットで入力するとよい。なお、構成メンバーが父、母、男の子2名の家族構成の場合には、男女別欄にはM、W、M、Mと記載し、年齢層欄には家族の年齢層を例えば40、40、10、10のように入力する。
【0025】
コンピュータ40のCPU(中央処理装置)は、データベース38の第1格納部に格納されている多数のデータから客層ごとの好みの寿司ネタを集計してランキングづけし、客層別注文嗜好データとして構築し、データベース38の第2格納部に格納する。
【0026】
図6は、データベース38の第2格納部に格納されている客層別注文嗜好データの一例である。図6の客層別注文嗜好データの中から、一人で来店する20歳台の男性が注文する寿司ネタランキングは、Dの寿司ネタが最も多く、続いてTの寿司ネタ、Aの寿司ネタ、Bの寿司ネタ、Kの寿司ネタ等の順になる。また、男女のペアで来店する客の寿司ネタランキングは、Aの寿司ネタが最も多く、続いてGの寿司ネタ、Hの寿司ネタ、Bの寿司ネタ、Fの寿司ネタの順になる。
【0027】
表示装置28は、図1に示すように、調理場12の調理台26近くに配置される。
【0028】
そして、コンピュータ40のCPUは、再構築されてデータベース38の第2格納部に格納されている客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出して表示装置28に表示する。この場合、CPUは、客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出すると共に、該寿司ネタランキングを集計して現在入店している客全体での寿司ネタランキングを表示装置28に合わせて表示することが好ましい。
【0029】
図7は、表示装置28に表示される表示データの一例であり、現在入店している客が、一人で来店した30歳台の男性と、20歳台の男女ペア、その他とした場合である。調理場12で寿司を握る職人は、表示装置28に表示された客層ごとの寿司ネタランキング及び客全体での寿司ネタランキングに基づいて、握る寿司ネタの種類と握る量を決定する。
【0030】
これにより、客の注文嗜好を的確に把握して回転台に載せる寿司ネタの種類と数量を決めることができので、材料ロスや作業ロスを大幅に削減することができる。
【符号の説明】
【0031】
10…回転寿司店、12…調理場、14…店舗、16…仕切壁、18…回転台、20…寿司皿、22…カウンター、24…テーブル、26…調理台、28…表示装置、30…注文嗜好管理システム、32…端末器、34…RFIDタグ、36…RFID読取器、38…データベース、40…コンピュータ、42…回収穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転寿司店において客が食する寿司ネタの注文嗜好を管理する回転寿司の注文嗜好管理システムであって、
前記客の入店時情報として、該客の少なくとも客層情報を識別情報と関連づけて入力してコンピュータに送信する端末器と、
寿司皿に設けられ、該寿司皿に置かれる寿司ネタの種類が少なくとも書き込まれたRFIDタグと、
前記客の出店時情報として、前記RFIDタグを読み取ると共に前記識別情報と関連づけて前記コンピュータに送信するRFID読取器と、
前記コンピュータに送られてきた前記入店時情報と前記出店時情報とを識別情報ごとに第1格納部に格納するデータベースと、
前記データベースの第1格納部に格納されている多数のデータから客層ごとの好みの寿司ネタをランキングづけして客層別注文嗜好データとして再構築して前記データベースの第2格納部に格納するコンピュータCPUと、
寿司を握る調理場に設けられた表示装置と、を備え、
前記CPUは、前記データベースの第2格納部に格納されている客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出して前記表示装置に表示することを特徴とする回転寿司の注文嗜好管理システム。
【請求項2】
前記CPUは、前記客層別注文嗜好データから現在入店している客層の寿司ネタランキングを抽出すると共に、該寿司ネタランキングを集計して現在入店している客全体での寿司ネタランキングを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1の回転寿司の注文嗜好管理システム。
【請求項3】
前記客層情報に入店時間帯を加味して前記客層別注文嗜好データを構築することを特徴とする請求項1又は2の回転寿司の注文嗜好管理システム。
【請求項4】
前記客層情報として、構成メンバー、年齢別、性別を少なくとも入力することを特徴とする請求項1〜3の何れか1の回転寿司の注文嗜好管理システム。
【請求項5】
前記識別情報として入店時間とテーブル番号又はカウンター番号とを組み合わせることにより客同士を識別することを特徴とする請求項1〜4の何れか1の回転寿司の注文嗜好管理システム。
【請求項6】
前記客層別注文嗜好データは前記データベースに格納される新たな情報によって更新されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1の回転寿司の注文嗜好管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−231390(P2010−231390A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76825(P2009−76825)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】