説明

回転式入力装置及び携帯電子機器

【課題】 複数の機能制御を直感的に行うことを可能としつつ、省スペースで組み込み可能な回転式入力装置及び携帯電子機器を提供する。
【解決手段】 本発明の回転式入力装置1は、制御信号を発生させることによって複数の機能を制御可能な回転式入力装置であって、回転軸8を有し、前記回転軸8の軸線方向に所定の範囲だけ摺動可能に配置されたツマミ9と、前記回転軸8に設けられ、前記ツマミ9の回転変位量を電気信号に変換することによって前記制御信号を発生させるロータリーエンコーダ10と、前記ツマミ9の前記軸線方向における位置を検知する検知部11と、前記検知部11で検知される前記ツマミ9の位置に基づいて、前記複数の機能のうち制御対象となる1の機能を択一的に選択する制御対象決定部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器等に搭載される回転式入力装置及び携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、電子辞書等の携帯電子機器において、音量等の調節や項目選択等の用途に、ロータリーエンコーダを使用した回転式入力装置(例えば、特許文献1参照。)が採用されている。
【0003】
これは、回転軸を有する回転体をユーザが操作して回転させた際の回転変位量を、回転軸に設けられたロータリーエンコーダによって電気的パルスに変換し、当該電子機器の各種制御量として用いるものである。
【0004】
本入力装置は、回転体の操作量と制御量とがほぼ比例関係にあるため、ユーザは直感的な操作が可能であるという利点がある。
【特許文献1】特開2002−150895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電子機器は多機能化に伴い、音量、液晶画面等の表示部の明度、コントラスト、画面スクロール等の連続量を伴う制御パラメータが増加すると同時に、更なる小型化が要請されている。
しかしながら、特許文献1の回転式入力装置は、基本的に1つの機能の制御量調整しかできないため、上述のすべての機能に対して直感的操作を可能にするためには、当該入力装置を複数設ける必要がある。これは上述の小型化の要請に対する妨げとなる。
【0006】
一方、上述のような諸機能を統合した環境設定画面をボタンキー等の入力装置を操作して表示部に表示し、上下左右の移動キー等を利用して上述のような制御を行う方式も採用されているが、所望のキーを連続して押さなければならず、操作が直感的でないという問題がある。さらに、環境設定画面の呼び出し方法自体がユーザにわかりにくい場合も多く、ユーザにとっての利便性は必ずしも充分でない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、複数の機能制御を直感的に行うことを可能としつつ、省スペースで組み込み可能な回転式入力装置及び携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、制御信号を発生させることによって複数の機能を制御可能な回転式入力装置であって、回転軸を有し、前記回転軸の軸線方向に所定の範囲だけ摺動可能に配置された回転体と、前記回転軸に設けられ、前記回転体の回転変位量を電気信号に変換することによって前記制御信号を発生させる回転変位量変換部と、前記回転体の前記軸線方向における位置を検知する検知部と、前記検知部で検知される前記回転体の位置に基づいて、前記複数の機能のうち制御対象となる1の機能を択一的に選択する制御対象決定部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の回転入力装置によれば、回転体の軸線方向における位置を調節することで、検知部と制御対象決定部とによって制御対象が選択され、回転体を回転させることによって回転変位量変換部で回転変位量に対応した制御信号が発生する。
【0010】
前記検知部は、前記回転軸に設けられた可動子と、前記回転軸の軸線方向に離間して配置され、前記回転体を前記軸線方向に摺動したときに前記可動子と電気的に接触する固定子とを有するものでもよい。この場合、簡素な構造で複数の機能制御を行うことができる。
【0011】
本発明の回転式入力装置は、前記回転軸の外周に、前記回転軸の軸線と平行にかつ周方向に一定の間隔おきに設けられた複数の係合溝と、前記係合溝と係合する弾性係合部材とを有し、前記回転体が所定の変位量回転するごとに、前記係合溝と前記弾性係合部材との係合が外れて前記回転体を回転させる際の抵抗力が開放され、前記回転体に回転感触を発生させる回転感触発生部をさらに備えてもよい。この場合、ユーザは操作量を容易に把握かつ調整することができ、ユーザの操作感を向上させることができる。
【0012】
本発明の回転式入力装置は、前記回転軸の周方向にわたって設けられた嵌合溝を有し、前記回転体を前記軸線方向に摺動したときに、前記嵌合溝と前記検知部とが嵌合することによって前記回転体に摺動感触を発生させる摺動感触発生部をさらに備えるものでもよい。
【0013】
この場合、回転体を軸線方向に摺動させて制御対象の機能を選択する際に、嵌合溝と検知部とが嵌合する位置に回転軸を位置決めすることができる。また、嵌合溝と検知部とが嵌合する際に前記回転体に摺動感触が発生するので、ユーザは選択された制御対象の機能を容易に把握することができ、ユーザの操作感を向上させることができる。
【0014】
本発明の携帯電子機器は、本発明の回転式入力装置を備えることを特徴とする。
本発明の携帯電子機器によれば、回転体の回転操作と回転軸の軸線方向への摺動とによって、単一の入力装置によって複数の機能を直感的に操作することができる。
【0015】
前記携帯電子機器は、表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを折りたたみ可能に連結するヒンジとを有し、前記回転式入力装置は前記ヒンジの一方の端部に、前記ヒンジと前記回転軸とが同軸となるように配置されているものでもよい。
この場合、回転式入力装置をヒンジと一体に設けることができるので、回転式入力装置を設けるスペースを別に設ける必要がなく、さらに携帯電子機器を小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転式入力装置によれば、ユーザが直感的に調整操作を行うことを可能としつつ、1つの入力装置によって複数の機能を制御することができる。
また、本発明の携帯電子機器によれば、多機能を有しつつ、小型でかつ直感的に操作可能な携帯電子機器を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態の回転式入力装置及び携帯電子機器について、図1から図4を参照して説明する。
図1は本実施形態の回転式入力装置1を搭載した電子辞書(携帯電子機器)2を示す斜視図である。電子辞書2は、図示しないバックライトを有する表示部3を備えた第1筐体4と、操作キー(操作部)5を有する第2筐体6と、第1筐体4と第2筐体6とを折りたたみ可能に連結するヒンジ7とを備えて構成されている。回転式入力装置1は、ヒンジ7の右側の端部にヒンジ7と一体となって組み込まれている。
【0018】
図2(a)は、通常時の回転式入力装置1を示す図である。回転式入力装置1は、回転軸8を有するツマミ(回転体)9と、回転軸8に設けられたロータリーエンコーダ(変位量変換部)10と、回転軸8の側面付近に設けられた検知部11とを備えて構成されている。
【0019】
ツマミ9は、樹脂等で形成され、回転軸8と、回転軸8と同軸に設けられた略円筒形のツマミ本体12とから構成されている。
【0020】
ロータリーエンコーダ10は、インクリメンタル方式の公知の構成のものであり、回転軸8のツマミ本体12から所定の距離離間した外周面上に形成された回転接点部13と、回転接点部13に接触して設けられた固定接点14とを有して構成される。
【0021】
回転接点部13には、樹脂で形成された回転軸8の外周面に所定の長さの帯状の金属片15が、周方向に一定の間隔おきに全周にわたって回転軸8の軸線と平行に配置されている。固定接点14は、先端が回転接点部13に接触する棒状又は板状の導体からなる部材であり、その基端は回転軸8に沿うように設けられた回路基板16に接続されている。
【0022】
回転接点部13よりさらにツマミ本体12から離間した回転軸8上の所定の位置には、金属等の導体で形成された円盤状の可動子17が設けられている。
回路基板16上には、固定接点14と並んで設けられた複数の接触端子(固定子)18A、18B、18Cが、可動子17と接触可能に回転軸8の軸線方向に離間して配置されている。検知部11は、可動子17と各接触端子18A、18B、18Cとから構成されている。
【0023】
回転軸8は、ツマミ本体12より径の小さい円筒形のケース19の両端を、回転軸8とケース19とが同軸となるように貫通しており、ロータリーエンコーダ10、検知部11、及び回路基板16はケース19内に収納されている。
【0024】
ケース19を貫通した回転軸8の端部にはケース19と同一径のストッパ20が設けられており、ツマミ9が回転軸8の軸線方向に所定の範囲摺動可能に構成されている。ケース19及びストッパ20は、ヒンジ7内に収容、固定されている。
【0025】
図3は電子辞書2の構成を示すブロック図である。回路基板16上の固定接点14及び各接触端子18A、18B、18Cは、第2筐体6内に設けられた制御部(制御対象決定部)21と接続されている。制御部21は、半導体装置等で構成され、表示部3及び操作キー5とも接続されており、電子辞書2の全体的な制御を行う。
【0026】
上記のように構成された回転式入力装置の動作について、図2(a)及び図2(b)を参照して説明する。
図2(a)に示すように、ツマミ本体12がケース19に接触する位置P1まで押し込まれた標準時において、可動子17はストッパ20側の接触端子18Aと当接している。この状態においては回転式入力装置1から発せられる信号は、制御部21において表示部3の画面スクロールの制御信号として認識される。
【0027】
ユーザがツマミ本体12を回転させると、回転軸8に設けられた回転接点部13が回転する。それに伴って金属片15と、各金属片15の間の樹脂が交互に固定接点14に接触し、所定の回転変位量ごとに、固定接点14のオンとオフとが繰り返される。ロータリーエンコーダ10はこのオン及びオフに伴って発生するパルスと位相とを利用して、アナログ量である回転軸8の回転変位量を、向きを伴ったデジタル信号に変換し、回路基板16を介して制御部21に送る。
【0028】
制御部21では検知部11における可動子17と各接触端子18A、18B、18Cとの接触状況に基づいて、上述のように当該信号を画面スクロールに関する制御信号として取り扱い、当該信号によって示された向き及び量に従って、表示部3に表示された辞書の検索項目の内容等の表示をスクロール移動させる。
【0029】
図4に示すように、ツマミ本体12の左端をP3の位置まで引くと、図2(b)に示すようにストッパ20がケース19に接触し、可動子17は、最もツマミ本体12側の接触端子18Cと接触する。
【0030】
この状態でユーザがツマミ本体12を回転させると、上述のように、向きと量とを有するデジタル信号がロータリーエンコーダ10によって生成され、回路基板16を通して制御部21に送られる。このとき制御部21では、検知部11の接触状況に基づいて、当該デジタル信号を電子辞書2の音量に関する制御信号として取り扱い、当該制御信号の向き及び量に基づいて音量の調節を行う。
【0031】
また、上記と同様の操作で、ユーザが可動子17と接触端子18Bとが接触する位置P2にツマミ9を摺動させると、制御部21ではロータリーエンコーダ10の生成した信号を、表示部3のバックライトの明度に関する制御信号として取り扱い、当該制御信号の向き及び量に基づいてバックライトの明度調節を行う。
【0032】
本実施形態の回転式入力装置1及び電子辞書2によれば、ツマミ9を回転軸8の軸線方向に摺動させて、可動子17と接触する接触端子18A、18B、18Cを変更することで、検知部11によってツマミ9の回転軸8の軸線方向における位置が検知され、当該位置に基づいて、制御部21によって制御の対象となる機能が選択決定される。従って、複数の種類のアナログ量の制御を1つの回転式入力装置1で行うことができ、多機能を有する電子辞書であっても、小型化を図ることができる。
【0033】
また、諸機能の調節のためにユーザが環境設定画面等を表示部3に表示させる必要がなく、ツマミ本体12を摺動して、可動子17の位置を調節して回転することによって直接制御ができるので、ユーザの操作ステップ数を大幅に削減して、操作を簡便にすることができる。
【0034】
また、ツマミ本体12の回転量によって、対象となる機能の制御量を調節することができるので、操作キー5による調節に比べて直感的に調節を行うことができる。従って、ユーザの操作感を向上させることができる。
さらに、回転式入力装置1は、ヒンジ7の一端にヒンジ7とほぼ一体に取付けられているので、回転入力装置1を設置するためのスペースを新たに確保する必要がなく、携帯電子機器の更なる小型化に資することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。本実施形態と上述の第1実施形態との異なるところは、回転軸に回転感触発生部及び摺動感触発生部が設けられている点、検知部の形状、及び回転軸と検知部との接触の態様である。
なお、上述の第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
図5(a)は本実施形態の回転式入力装置31の模式図である。図5(a)に示すように、本実施形態のツマミ32において、回転軸33のロータリーエンコーダ10と検知部34の間に位置する部分には、回転軸33の軸線に直交する断面が略V字状の所定の長さの係合溝35が、軸線と平行に、かつ一定の間隔おきに全周にわたって設けられている。係合溝35はロータリーエンコーダの金属片15一枚に対して一本設けてもよいし、金属片15一枚に対して所定の複数本、例えば3本設けてもよい。
【0037】
ケース19内の係合溝35に対向する所定の位置には、樹脂等で形成された略長方形の舌片の先端に係合歯(不図示)を有する弾性係合部材36が、係合歯が係合溝35に係合するように設けられており、係合溝35と弾性係合部材36とで回転感触発生部37が構成されている。
回転軸33の係合溝35よりストッパ20側の部位には、回転軸33に平行な断面が略V字状の嵌合溝38A、38Bが、全周にわたって軸線と直交するように設けられており、各嵌合溝38A、38Bと検知部34とから、摺動感触発生部40が構成されている。
【0038】
本実施形態の検知部34はケース19の内面上に設けられた2個のスイッチ39A、39Bを有する。各スイッチ39A、39Bは、それぞれケース19の内面上に固定された基部41A、41Bと、各基部41A、41Bに設けられて図示しないバネ等の付勢手段により上方に突出し、かつ上下に移動可能に設けられた略円錐形の突出部42A、42Bとを有して構成されている。
また、固定接点14及び各スイッチ39A、39Bは、図示しない回路基板を介して、第1実施形態と同様に制御部21に接続されている
【0039】
上記のように構成された回転式入力装置31の動作について、図5(a)から図5(c)を参照して以下に説明する。
まず図5(a)に示す標準時は、ツマミ本体12がケース19に接触する位置P1まで押し込まれている。このとき、回転軸33上の嵌合溝38A、38Bのいずれもスイッチ39Aよりストッパ20側に位置しているため、各スイッチの突出部42A、42Bは、いずれも回転軸33の外側面に押圧されて、オンの状態になっている。この状態において、制御部21はロータリーエンコーダ10から発せられる制御信号を、表示部3の画面スクロールに関する制御信号として取り扱う。
【0040】
ユーザがツマミ本体12を回転させると、ツマミ本体12を所定の回転角だけ回転させるごとに、係合溝35と弾性係合部材36の係合歯とが係脱を繰り返すため、回転軸33を回転させる際の抵抗感が所定の回転変位量ごとに解放されて、回転感触としてのクリック感をユーザに感じさせる。同時に、ロータリーエンコーダ10で制御信号が生成されて制御部21に送られる。制御部21は、第1実施形態と同様に表示部3の表示をスクロールさせる制御を行う。
【0041】
図5(a)の状態から、ユーザがツマミ本体12を軸線方向に引くと、図5(b)に示すように、ツマミ本体12の左端が位置P2に達したところでスイッチ39Aと嵌合溝38Aとが対向して突出部42Aが嵌合溝38A内に突出する。このとき、摺動感触発生部40のスイッチ39Aと嵌合溝38Aとが嵌合することによって、ツマミ本体12に摺動感触としてのクリック感が発生し、スイッチ39Aはオフ状態となる。この状態において、制御部21はロータリーエンコーダ10で生成される制御信号を、表示部3のバックライトの明度に関する制御信号として取り扱う。
【0042】
さらにツマミ本体12を軸線方向に引くと、スイッチ39Aが嵌合溝38Aから離脱する。その後、図5(c)に示すようにツマミ本体12の左端が位置P3に達すると、嵌合溝38Aがスイッチ39Bと嵌合するとともに、嵌合溝38Bがスイッチ39Aと嵌合して、ツマミ本体12に摺動感触としてのクリック感が発生する。このとき、各スイッチはいずれも突出部42A、42Bが嵌合溝38A、38B内に突出し、オフ状態となる。この状態において、制御部21はロータリーエンコーダ10で生成される制御信号を、音量に関する制御信号として取り扱う。
【0043】
本実施形態の回転式入力装置31によれば、ユーザがツマミ本体12を所定角度に対応する変位量回転させるごとに、回転感触発生部37の係合溝35と弾性係合部材36の係合歯とが係脱を繰り返すことによって回転感触としてのクリック感が発生し、ユーザに認知される。従って、ユーザは操作量をより明確に認識可能になるとともに、操作量の調節も容易となるため、操作感を向上させることができる。
【0044】
また、ツマミ本体12を回転軸33の軸線方向に摺動させて制御対象の機能を選択する際には、摺動感触発生部40の嵌合溝38A、38Bと、各スイッチ39A、39Bの突出部42A、42Bとが嵌合して、摺動感触としてのクリック感が発生するので、ユーザは所望の機能が選択されたことを容易に認識することができる。同時に、回転軸33を、制御対象機能を選択するための位置に確実に位置決めすることができる。
【0045】
さらに、嵌合溝38A、38Bが略V字状に、各スイッチの突出部42A、42Bが略円錐状に形成され、かつ突出部42A、42Bは付勢手段によって回転軸33側に上下方向に移動可能に突出しているため、嵌合位置では確実に嵌合しつつ、回転軸33を摺動させ続けることによって容易に嵌合を離脱させることが可能である。従って、制御対象機能の選択を、ツマミ32を摺動させることによってスムーズに行うことができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、回転変位量変換部として、インクリメンタル方式のロータリーエンコーダを用いた例を説明したが、これに代えて、アブソリュート方式のロータリーエンコーダを用いてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、検知部を、回転軸に設けられた可動子及び接触端子等の機構から構成した例を説明したが、これに代えて、透過光等により回転軸のケース端部からの突出量を検知する機構等を検知部とし、検知部の検知した当該突出量に基に、制御部が制御対象の機能をソフトウェアプログラムによって決定するように回転式入力装置を構成することも可能である。
【0048】
さらに、回転変位量変換部、回転感触発生部、及び検知部の回転軸上の位置も、上記実施形態の態様に限定されない。これらの機構は、回転接点部と固定接点、係合溝と係合部材の係合歯、及び可動子と接触端子とが、それぞれツマミ本体の摺動範囲内において常に連携するように構成さえすれば、上記各機構をツマミ本体側からいかなる順番で設置することも可能である。
また、検知部の接触端子やスイッチの個数も上記実施形態に限定されず、制御対象とする機能項目の数に応じて自由に設定することができる。
【0049】
加えて、ストッパの位置も上記実施形態のようにケースの外側に限定されず、ストッパをケース内部に設けた中仕切りに当接するように設け、ツマミ本体がケースから一定距離以上離間しないように構成してもよい。
【0050】
また、本発明の携帯電子機器は実施形態の電子辞書には限定されない。本発明の回転式入力装置は、ヒンジを有する携帯電話等にも適用可能である。また、省スペースという効果は若干失われるが、ヒンジを有さない携帯電子機器に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態の回転式入力装置を備えた電子辞書の斜視図である。
【図2】(a)は同実施形態の回転式入力装置の標準状態を示す模式図、(b)は(a)の状態からツマミ本体を回転軸の軸線方向に引いた状態を示す図である。
【図3】同実施形態の電子辞書の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態の電子辞書のヒンジ近傍の部分拡大図である。
【図5】(a)は、本発明の第2実施形態の回転式入力装置の標準状態、(b)は、(a)の状態からツマミ本体を回転軸の軸線方向に引いた状態、(c)は(b)の状態からさらにツマミ本体を回転軸の軸線方向に引いた状態をそれぞれ示す模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1、31 回転式入力装置
2 電子辞書(携帯電子機器)
3 表示部
4 第1筐体
5 操作キー(操作部)
6 第2筐体
7 ヒンジ
8、33 回転軸
9、32 ツマミ(回転体)
10 ロータリーエンコーダ(回転変位量変換部)
11、34 検知部
17 可動子
18A,18B、18C 接触端子(固定子)
21 制御部(制御対象決定部)
35 係合溝
36 弾性係合部材
37 回転感触発生部
38A、38B 嵌合溝
40 摺動感触発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を発生させることによって複数の機能を制御可能な回転式入力装置であって、
回転軸を有し、前記回転軸の軸線方向に所定の範囲だけ摺動可能に配置された回転体と、
前記回転軸に設けられ、前記回転体の回転変位量を電気信号に変換することによって前記制御信号を発生させる回転変位量変換部と、
前記回転体の前記軸線方向における位置を検知する検知部と、
前記検知部で検知される前記回転体の位置に基づいて、前記複数の機能のうち制御対象となる1の機能を択一的に選択する制御対象決定部と、
を備えることを特徴とする回転式入力装置。
【請求項2】
前記検知部は、
前記回転軸に設けられた可動子と、
前記回転軸の軸線方向に離間して配置され、前記回転体を前記軸線方向に摺動したときに前記可動子と電気的に接触する複数の固定子と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の回転式入力装置。
【請求項3】
前記回転軸の外周に、前記回転軸の軸線と平行にかつ周方向に一定の間隔おきに設けられた複数の係合溝と、
前記係合溝と係合する弾性係合部材とを有し、
前記回転体が所定の変位量回転するごとに、前記係合溝と前記弾性係合部材との係合が外れて前記回転体を回転させる際の抵抗力が開放され、前記回転体に回転感触を発生させる回転感触発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の回転式入力装置。
【請求項4】
前記回転軸の周方向にわたって設けられた嵌合溝を有し、
前記回転体を前記軸線方向に摺動したときに、前記嵌合溝と前記検知部とが嵌合することによって前記回転体に摺動感触を発生させる摺動感触発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は3のいずれか1項に記載の回転式入力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回転式入力装置を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】
前記携帯電子機器は、
表示部を有する第1筐体と、
操作部を有する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを折りたたみ可能に連結するヒンジとを有し、
前記回転式入力装置は前記ヒンジの一方の端部に、前記ヒンジと前記回転軸とが同軸となるように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−192560(P2008−192560A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28298(P2007−28298)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】