説明

回転式除草および砕土装置

【課題】 効率的な除草および砕土作業を可能にする装置を提供することである。
【解決手段】 除草・砕土輪(36)を備え、除草・砕土輪が、ほぼ円板状のディスク(36a)と、ディスクの外周に所定間隔隔てて放射状に取り付けられた複数の第1ブレード(36b)と、第1ブレード間に放射状に取り付けられた複数の第2ブレード(36c)とを有し、第1ブレードが、僅かに湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面にほぼ一致するようにディスクの外周に固定されており、第2ブレードが、第1ブレードよりも長く且つ第1ブレードよりも湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面に対して鋭角度をなして傾斜するようにディスクの外周に固定されていることを特徴とする回転式除草および砕土装置(30)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、除草および砕土装置に関する。より詳細には、本発明は、効率的な除草および砕土作業を可能にする回転式除草および砕土装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土塊を破砕する作用は、原理的に、打砕き、押砕き、切割り、刺割り、圧砕の5種類とされており(非特許文献1参照)、このような原理に基づく種々の砕土装置が従来より提供されている。たとえば、切割り刃回転型のものとして、ディスクハロー、花型ロータ、かごロータ等が周知である。
【0003】
また、畑等に作物を蒔きつけた後に雨が降り、その後急に天気が回復した場合に、圃場が固くなるが、このような場合に作物に重大な損傷を与えるのを未然に防止し、作物の生育を促進させる機械として、回転式砕土装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
さらに、本発明者も、作物の両側の土壌を砕土することができる回転式砕土装置を提案している(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−14317号公報
【特許文献2】特開2006−211942号公報
【非特許文献1】農業機械学概論(庄司英信著,株式会社養賢堂,昭和46年2月20日発行,第12版,第161頁〜第170頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特許文献2に記載された装置を更に改良発展させたものであり、良好な除草および砕土作用を有する回転式除草および砕土装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の、畦間中心線に沿って走行させるセンタービームの所定箇所に、前記センタービームと直交するように両方向又は一方向に水平に延びたシャンクの先端に取り付けられる回転式除草および砕土装置は、除草・砕土輪を備え、前記除草・砕土輪が、ほぼ円板状のディスクと、ディスクの外周に所定間隔隔てて放射状に取り付けられた複数の第1ブレードと、ディスクの外周の第1ブレード間に放射状に取り付けられた複数の第2ブレードとを有し、前記第1ブレードが、僅かに湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面にほぼ一致するようにディスクの外周にそれぞれ固定されており、前記第2ブレードが、第1ブレードよりも長く且つ第1ブレードよりも湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面に対して鋭角度をなして傾斜するようにディスクの外周にそれぞれ固定されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項2に記載の回転式除草および砕土装置は、前記請求項1の装置において、前記第2ブレードの一方の縁部に、波形突起又は鋸歯状突起が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項3に記載の回転式除草および砕土装置は、前記請求項1又は2の装置において、前記除草・砕土輪を回転可能に支持するためのL形のアームを更に備え、軸受を介して前記除草・砕土輪が取り付けられるアームの短辺の端部が、アームを含む平面に対して鋭角度傾斜しており、これによりディスクが地面に対して傾斜した状態で前記除草・砕土輪が取り付けられることを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項4に記載の回転式除草および砕土装置は、前記請求項3の装置において、前記除草・砕土輪を地面に押しつける力を調整する接地力調整機構を更に備え、前記接地力調整機構が、前記アームの長辺の端部に加えられるバネの力を変化させることにより除草・砕土輪に作用する力を調整するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隣接する畦間との間に位置する土を砕いたり雑草を取り除いたりする作業を効率的に実施することができる。本発明の装置では、第1ブレードが地表面に対して傾斜した状態で地中に入り込むため、除草・砕土輪を良好に回転させることができるとともに、第2ブレードが地表面に対して傾斜した状態で地中に入り込むため、除草および砕土効率が良好となる。本発明の装置は、構造が比較的簡単であるため、製造コストが廉価であり、故障するおそれも少ないため、メンテナンスコストを安価に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る回転式除草および砕土装置について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る回転式除草および砕土装置が設置されたカルチベータ10を示した斜視図である。図1に示されるカルチベータ10には、前部にトラクタの油圧3点支持装置に連結されるマスト(図示せず)を有するツールバー12が配置されている。
【0013】
ツールバー12には、所定間隔を隔てて2本の縦桁14が、締金16を介してボルト留めされている。各縦桁14は、ボルトを弛めて締金16の位置を調整することにより、ツールバー12の所望の箇所に固定することができるようになっている。なお、図1では、ツールバー12に取り付けられている縦桁14は2本であるが、必要であれば取り付け本数を増減してもよい。
【0014】
各縦桁14の下方には、センタービーム18がそれぞれ配置されている。各縦桁14の前端および後端には、揺動リンク20a、20bの一端が回動可能にそれぞれ取り付けられ、各センタービーム18の前端および中央に設けられたU形枠金には、揺動リンク20a、20bの他端が回動可能にそれぞれ取り付けられている。これにより、縦桁14、センタービーム18、および揺動リンク20a、20bによって平行四辺形のリンク機構が形成され、センタービーム18が縦桁14に対して平行に上下動することができるようになっている。また、センタービーム18には、ヨーク22を介して定規輪24が回動可能に取り付けられている。以上のカルチベータ10の構成は、公知のものであり、本願発明の特徴を構成するものではない。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態に係る回転式除草および砕土装置30は、センタービーム18の所定箇所(図1の例では、前端)に、センタービーム18と直交するように両方向に水平にそれぞれ延びたシャンク26の先端に取り付けられている。なお、トラクタ(従って、回転式除草および砕土装置30)の進行方向は、図1において手前側となる。
【0016】
図2は、カルチベータ10から取り外された状態で示された回転式除草および砕土装置30の斜視図、図3は、回転式除草および砕土装置30の三面図(正面図、側面図、平面図)である。回転式除草および砕土装置30は、長さ方向に沿って複数のボルト穴32aが設けられた垂直材32(図6参照)と、ほぼL形のアーム34(図7参照)とを備えている。
【0017】
垂直材32とアーム34は、アーム34の長辺のほぼ中央に設けられた穴34aと垂直材32の所望のボルト穴32aにボルトB1を通すことによって、互いに連結されている。アーム34の短辺の端部34bは、アーム34を含む平面に対して鋭角度α傾斜している。αは好ましくは、30°〜60°である。なお、垂直材32の穴32bにボルトB2をねじ込むことによって、アーム34のストッパとすることができる(図2参照)。
【0018】
回転式除草および砕土装置30は又、アーム34の短辺の端部34bに回転可能に取り付けられた除草・砕土輪36を備えている。図4は、除草・砕土輪36を示した三面図である。除草・砕土輪36は、ほぼ円板状のディスク36aと、ディスク36aの外周に所定間隔隔てて放射状に取り付けられた複数(図4では7本)の第1ブレード36bと、ディスク36aの外周の隣接する第1ブレード36b間に放射状に取り付けられた複数(図4では7本)の第2ブレード36cとを有している。なお、除草・砕土輪36が取り付けられるアーム34の端部34bが上述のように鋭角度α傾斜しているため、除草・砕土輪36のディスク36aは、地面に対する垂線に対して鋭角度α傾斜(従って、それに対応して第1ブレード36bおよび第2ブレード36cも傾斜)した状態となっている(図9(a)参照)。
【0019】
第1ブレード36bは、先端を地面に接地させることによって除草・砕土輪36を回転させるためのものである。第1ブレード36bは各々、僅かに湾曲させた細長いプレートの基端をディスク36aの外周に溶接することによってそれぞれ固定されている。第1ブレード36bは、接地時における除草・砕土輪36の回転を容易に行うため、プレートの中心軸線x(図4(c)参照)がディスク36aを含む平面とほぼ一致するように取り付けるのが好ましい。
【0020】
第2ブレード36cは、先端を地面に突き刺すことによって土を砕いたり草の根を引きちぎったりするためのものである。第2ブレード36cは各々、第1ブレード36bよりも長いプレートを第1ブレード36bよりも湾曲させ、ディスク36aの外周の第1ブレード36bの取り付け箇所の間に溶接することによってそれぞれ固定されている。第2ブレード36cは、除草や砕土を効率的に行うことができるように、プレートの中心軸線y(図4(c)参照)がディスク36aを含む平面に対して鋭角度βをなして傾斜するように取り付けられている。本発明者による種々の実験の結果、βを20°〜40°に選定するのが好ましいことが分かった。
【0021】
また、第2ブレード36cの一方の縁部には、砕土や除草を一層効率的に行うことができるように、波形突起36c1を設けるのが好ましい。或いは、波形突起36c1の代わりに、鋸歯状突起36′c1を設けてもよい(図5(a)参照)。或いは、波形突起36c1や鋸歯状突起36′c1を設けなくともよい(図5(b)参照)。
【0022】
なお、ディスク36aの外周には、第1ブレード36bおよび第2ブレード36cを取り付け易いように、これらの取り付け箇所に凹部36dを設けるのが好ましい。
【0023】
除草・砕土輪36は、図2に最も良く示されるように、アーム34の端部34bに軸受38を介して回転可能に取り付けられている。
【0024】
回転式除草および砕土装置30は又、除草・砕土輪36を地面に押しつける力を調整する接地力調整機構40を備えている。接地力調整機構40は、垂直材32の上端に取り付けられた傾斜材40aと、傾斜材40aの側面に所定間隔隔てて取り付けられた複数の留め具40bi(i=1,2,・・・,n,図示した例ではn=4)と、アーム34の長辺の端部34cと所定の留め具40biとを連結するバネ40cとを有している。そして、傾斜材40aの留め具40biのうちいずれをバネ40cの上端に連結するかによって、除草・砕土輪36を地面に押しつける力を調整することができる(例えば、バネ40cの上端を最下段の留め具40b4に連結した場合と最上段の留め具40b1に連結した場合とを比較すると、後者の場合の方が除草・砕土輪36を地面に押しつける力を大きくすることができる)。なお、傾斜材40aと垂直材32は一体に形成するのが好ましい。
【0025】
回転式除草および砕土装置30は更に、回転式除草および砕土装置30をシャンク26に取り付けるための取付具42を備えている。取付具42は、図8に最も良く示されるように、全体として直方体の形状を有しており、一方の側にシャンク26を通すための矩形の開口部42aが設けられ、他方の側に垂直材32を通すための矩形の開口部42cが設けられている。開口部42a、42cには、シャンク26、垂直材32を固定するためのボルト42b、42dがそれぞれ配置されている。
【0026】
以上のように構成された回転式除草および砕土装置30の作動について説明する。センタービーム18が畦間の中心線に沿って移動するようにカルチベータ10を走行させると、除草・砕土輪36が畦間の脇の地面に入り込み、草の根を引きちぎったり土を砕いたりする。すなわち、第1ブレード36bの1つの先端が地面に入り込んだ状態(図9(a)参照)でカルチベータ10を走行させると、除草・砕土輪36が回転され、隣接する第1ブレード36bの1つの先端が地面に入り込む。これを繰り返すことにより、除草・砕土輪36が回転を継続する。一方、これに伴い、第2ブレード36cも次々に地面に入り込むが、第2ブレード36cが地面に対して傾斜しているので(図9(b)参照)、地面に入り込み易く、砕土や除草が効率的に行われる。なお、接地力調整機構40を所望のように調整することにより、砕土しようとする土の硬さ等に応じて、除草・砕土輪36を地面に押しつける力を調整することができる。
【0027】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0028】
たとえば、前記実施の形態において図示されている第1/第2ブレード36b、36cの長さ、幅、形状などは、単なる例示的なものにすぎず、これに限定されるものではない。また、前記実施の形態では、センタービーム18の一方向にのみ、回転式除草および砕土装置30が設置されているが、センタービーム18の両方向に回転式除草および砕土装置30を設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る回転式除草および砕土装置が設置されたカルチベータを示した斜視図である。
【図2】カルチベータから取り外された状態で示された回転式除草および砕土装置の斜視図である。
【図3】図3(a)は図2の回転式除草および砕土装置の正面図、図3(b)は図2の回転式除草および砕土装置の側面図、図3(c)は図2の回転式除草および砕土装置の平面図である。
【図4】図4(a)は図2の装置の除草・砕土輪の斜視図、図4(b)は除草・砕土輪の側面図、図4(c)は除草・砕土輪の正面図である。
【図5】図5(a)は除草・砕土輪の変形形態を示した斜視図、図5(b)は除草・砕土輪の別の変形形態を示した斜視図である。
【図6】図6(a)は図2の装置の垂直材および傾斜材を示した正面図、図6(b)は垂直材および傾斜材を示した斜視図である。
【図7】図2の装置のアームを示した斜視図である。
【図8】図2の装置の取付具の斜視図である。
【図9】図9(a)は除草・砕土輪が地中に入り込んでいる状態を示した側面図、図9(b)は図9(a)の正面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 カルチベータ
12 ツールバー
14 縦桁
16 締金
18 センタービーム
20 ヨーク
24 定規輪
26 シャンク
30 回転式除草および砕土装置
32 垂直材
34 アーム
36 除草・砕土輪
36a ディスク
36b 第1ブレード
36c 第2ブレード
38 軸受
40 接地力調整機構
42 取付具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦間中心線に沿って走行させるセンタービームの所定箇所に、前記センタービームと直交するように両方向又は一方向に水平に延びたシャンクの先端に取り付けられる回転式除草および砕土装置であって、
除草・砕土輪を備え、
前記除草・砕土輪が、ほぼ円板状のディスクと、ディスクの外周に所定間隔隔てて放射状に取り付けられた複数の第1ブレードと、ディスクの外周の第1ブレード間に放射状に取り付けられた複数の第2ブレードとを有し、
前記第1ブレードが、僅かに湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面にほぼ一致するようにディスクの外周にそれぞれ固定されており、前記第2ブレードが、第1ブレードよりも長く且つ第1ブレードよりも湾曲させた細長いプレートの基端をディスクを含む平面に対して鋭角度をなして傾斜するようにディスクの外周にそれぞれ固定されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2ブレードの一方の縁部に、波形突起又は鋸歯状突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記除草・砕土輪を回転可能に支持するためのL形のアームを更に備え、
軸受を介して前記除草・砕土輪が取り付けられるアームの短辺の端部が、アームを含む平面に対して鋭角度傾斜しており、これによりディスクが地面に対して傾斜した状態で前記除草・砕土輪が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記除草・砕土輪を地面に押しつける力を調整する接地力調整機構を更に備え、
前記接地力調整機構が、前記アームの長辺の端部に加えられるバネの力を変化させることにより除草・砕土輪に作用する力を調整するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−219389(P2009−219389A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65674(P2008−65674)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(595034891)株式会社キュウホー (14)
【Fターム(参考)】