説明

回転式電子部品

【課題】確実な防滴が図れ、組み立ても容易な回転式電子部品を提供する。
【解決手段】回路基板60と、回転体90と、摺動子110及び摺接パターン65からなる電気的機能部とを有し、回転体90及び電気的機能部の部分を防滴構造(防水ケース120と、パッキン140と、防滴係合部101及び防滴部127の係合とで構成される)にすると共に駆動軸95を防水ケース120の外部に露出してなるユニット化された電気的動作構成部品10を構成する。一方回転軸185を有する回転つまみ180と、回転軸185を回転自在に軸支するケース本体150とを有してなるユニット化された機械的動作構成部品100を構成する。駆動軸95と回転軸185とを一体に回転するように係合しながら電気的動作構成部品10と機械的動作構成部品100とを一体に結合して回転式電子部品1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防滴構造を有する回転式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式電子部品の中には、例えば特許文献1の図2に示すように、回転式電子部品(1)の回転つまみ(回転体)(110)の外周部分の一部を外装ケース(160)に設けた開口(161)から外部に露出し、回転つまみ(110)の前記開口(161)から露出した部分を指等で操作することで回転つまみ(110)に取り付けた摺動子(130)を駆動し、これによって摺動子(130)が摺接するフレキシブル回路基板(50)上の摺接パターンの電気的出力を変化させる構造のものがあった。
【0003】
そして回転つまみ(110)を外部に露出させるために設けた開口(161)と回転つまみ(110)の間の隙間から浸入する液体が前記摺動子(130)等に付着しないようにその周囲には液体侵入防止機構が設けられている。
【0004】
しかしながら上記従来の回転式電子部品(1)においては、回転つまみ(110)自体に電気的機能部品である摺動子(130)を取り付け、またこの摺動子(130)に対向する位置に摺接パターンを設置しているので、前記開口(161)から浸入して回転つまみ(110)を濡らす液体から前記摺動子(130)及び摺接パターンを防水することは容易ではなく、少量の液体であれば上記回転式電子部品(1)の液体浸入防止機構でも対応できるが、浸入する液体の量が増加すると上記液体浸入防止機構では防滴が確実ではなくなってしまう恐れがあった。
【0005】
一方液体浸入防止機構による防滴を確実なものにしようとすると、その構造が複雑になり、また組み立ても煩雑になってしまう。
【特許文献1】特開2008−123904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、確実な防滴が図れ、組み立ても容易な回転式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、回路基板と、前記回路基板に対して回転自在に設置される回転体と、前記回転体を回転することで電気的出力を変化する電気的機能部とを有し、前記回転体及び電気的機能部の部分を防滴構造にすると共に前記回転体の駆動軸を前記防滴構造の外部に露出してなるユニット化された電気的動作構成部品と、回転軸を有する回転つまみと、前記回転つまみの回転軸を回転自在に軸支する回転つまみ取付部材とを有してなるユニット化された機械的動作構成部品とを具備し、前記駆動軸と回転軸とを一体に回転するように係合しながら前記電気的動作構成部品と機械的動作構成部品とを一体に結合してなることを特徴とする回転式電子部品にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転式電子部品において、前記防滴構造は、前記回転体を回転自在に収納する回転体収納部を有する防水ケースを有し、この防水ケースの回転体収納部の周囲に前記回路基板に当接して回転体収納部の内部を外部より密封するパッキンを取り付るとともに、この防水ケースには前記回転体の駆動軸を外部に露出する軸挿通穴を設けるとともに軸挿通穴の周囲に前記回転体の駆動軸の周囲に設けた凸または凹からなるリング状の防滴係合部を挿入するリング状の凹または凸からなる防滴部を設け、前記防滴係合部と防滴部の係合と、前記パッキンと回路基板との当接とによって前記回転体収納部内を防滴及び防水して構成されていることを特徴とする回転式電子部品にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の回転式電子部品において、前記回転つまみ取付部材は、前記電気的動作構成部品を一体に結合することで前記回転つまみと前記電気的機能部の両者の周囲を囲むケース本体であり、前記ケース本体には回転つまみの一部を外部に露出する開口部を設け、さらにこのケース本体には、前記開口部から浸入した液体を外部に排出する排出口を設けたことを特徴とする回転式電子部品にある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、たとえ回転つまみが液体によって濡れたとしても、回転つまみを取り付けている機械的動作構成部品とは別にユニット化されて防滴構造とされている電気的動作構成部品の電気的機能部に液体が浸入していく恐れは極めて少なくなる。またユニット化された電気的動作構成部品とユニット化された機械的動作構成部品とを一体に結合することで回転式電子部品が構成されるので上記のような確実に防滴が行える防滴構造を有している回転式電子部品でもその組み立てが容易になる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、防水ケースを用いることによって、防水ケースの回転体収納部の周囲を防水構造とし、同時に回転体の駆動軸を外部に露出する部分の周囲を防滴構造としたので、電気的機能部を収納している回転体収納部内の防滴及び防水を確実に行うことができる。ここで回転体の駆動軸を外部に露出する部分の周囲を防滴構造とし、パッキンを用いた防水構造としなかったのは、パッキンを用いると回転体の回転に抵抗が生じてその回転トルクが大きくなって回転しにくくなるからである。つまりこの発明は、パッキンによる防水構造と凹凸の係合による防滴構造とを同時に用いることで、回転体の回転をスムーズに行わせると同時に電気的機能部の防滴、防水を確実に行わせている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ケース本体の開口部と回転つまみとの間の隙間からケース本体内に液体が浸入しても、浸入した液体はケース本体に設けた排出口から排出されるので、たとえ前記浸入する液体が大量または継続的であったとしても、この液体が電気的機能部に浸入する恐れをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態を用いて構成された回転式電子部品1の斜視図、図2は回転式電子部品1の概略断面図(図1のA−A断面図)、図3は外装用ケース300を分離した回転式電子部品1の分解斜視図、図4は電気的動作構成部品10と機械的動作構成部品100とを分離した分解斜視図である。これらの図に示すように回転式電子部品1は、ユニット化された電気的動作構成部品10と、ユニット化された機械的動作構成部品100とを一体に結合し、さらに外装用ケース300を取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。なお以下の説明において、「上」とは機械的動作構成部品100から電気的動作構成部品10を見る方向を言い、「下」とはその逆方向を言うものとする。
【0014】
図5は電気的動作構成部品10を下側から見た斜視図、図6は電気的動作構成部品10の一部断斜視図(図4のB−B断面図)、図7は電気的動作構成部品10を上側から見た分解斜視図、図8は電気的動作構成部品10を下側から見た分解斜視図である。これらの図に示すように電気的動作構成部品10は、カバーケース(電気側ケース)20の下側に、導光部材(以下「導光板」という)40と、発光素子70を取り付けた回路基板60と、摺動子110を取り付けた回転体90と、防水ケース120とを設置して構成されている。
【0015】
カバーケース20は、合成樹脂を平板状に成形して構成されており、略矩形状の第1カバー部21と第1カバー部21より大きい面積の略矩形状の第2カバー部23とを具備している。第1カバー部21の下面には小突起状の複数(6つ)の基板取付用係止部25が設けられ、また第2カバー部23の下面には小突起状の複数(2つ)の導光部材用係止部27が設けられている。また第2カバー部23の下面の左右両側辺近傍には細帯状に下方向に突出し先端に外向きの爪を有する複数本(左右2本ずつ)のケース係止部29と、細帯状に下方向に突出し先端に内向きの爪を有する複数本(左右2本ずつ)の基板係止部31とが設けられている。
【0016】
導光板40は透光性を有する合成樹脂の一体成形品であり、略矩形状の本体部41の一辺に下方向に向かって略帯状に延びてその表面を階段状に形成することで光を乱反射させてその表面全体を均一に光らせる光乱反射部43を設け、また光乱反射部43の反対側の外周側辺の両端から斜め後方に向けて延びる一対のアーム状の取付アーム45を設け、さらに各取付アーム45の先端近傍に上下に貫通する小孔からなる取付部47を設けて構成されている。
【0017】
回路基板60は硬質平板状の絶縁基板の下面に回路パターンを配線して構成されており(上面側にも配線して良い)、その外形形状は前記カバーケース20の外形形状とほぼ同一に形成されている。回路基板60の前記カバーケース20の各基板取付用係止部25に対向する位置にはこれらを貫通する小孔からなるケース取付用係合部61が設けられ、また回路基板60内部の所定位置には複数(4つ)の発光素子取付孔63が設けられている。これら発光素子取付孔63には、一対の発光素子70の一対ずつの端子71が挿入され、回路基板60の下面から突出する各端子71の先端が半田付け等によって電気的・機械的に取り付けられる。また回路基板60下面の下記する摺動子110に対向する位置には、摺動子110が摺接することでその電気的出力を変化する摺接パターン65が形成されている(図8には点線でその形成範囲のみ示している)。摺接パターン65はスイッチパターンであっても良いし、抵抗体パターンであっても良いし、それら以外の機能を有するパターンであっても良い。なお回路基板60の下面(場合によっては上面にも)に形成されている回路パターン(摺接パターン65を除く)は、その表面が絶縁塗料等によって覆われており、防水が図られている。
【0018】
回転体90は合成樹脂(例えばPOM樹脂等)の一体成形品であり、略平板円形状の本体部91の外周辺から略矩形状の摺動子取付部93を突設し、また本体部91の下面側から筒状の駆動軸95を突設して構成されている。摺動子取付部93の上面には摺動子110取付用の小突起からなる複数の摺動子取付部94が設けられている。一方駆動軸95を構成する筒の一部は凹状に切り欠かれた駆動軸側係合部97となっている。また回転体90の下面の駆動軸95の周囲全体にはこれを囲むリング状の溝99が設けられ、溝99の外周側にはその周囲全体を囲むリング状の凸部からなる防滴係合部101が設けられている。
【0019】
摺動子110は弾性板製であり、複数(3つ)並列に並べられており、それぞれ平板矩形状の基部111と、基部111の1辺から外方に突出して根元部分を折り曲げて基部111の上方に位置する一対の弾性アーム部113とを具備し、弾性アーム部113の先端に弾接部115を設けて構成されている。
【0020】
防水ケース120は合成樹脂(この実施形態ではポリカーボネート樹脂を用いているが、他の各種合成樹脂材を用いても良い)の一体成形品であり、略平板矩形状に形成されており、その外形形状は前記カバーケース20の第1カバー部21の外形形状と略同一である。防水ケース120の内部には前記回転体90を回動自在に収納する下方向に凸となる回転体収納部121が設けられている。防水ケース120上面の回転体収納部121の周囲には、この回転体収納部121の外周全体を囲むリング状の溝部123が設けられており、溝部123内にはリング状の弾性材(例えばシリコンゴムなどの合成ゴムや各種エラストマー)からなるパッキン140が収納されている。また回転体収納部121の底面中央には前記回転体90の駆動軸95を回転自在にぴったり挿通する円形の貫通孔からなる軸挿通穴125が設けられ、また軸挿通穴125の周囲の上面側の面には前記回転体90の駆動軸95の周囲に設けた防滴係合部101を挿入するリング状の凹部からなる防滴部127が設けられている。また防水ケース120の左右の外周辺近傍の前記カバーケース20の各基板取付用係止部25に対向する位置にはこれらを挿入する貫通する小孔からなるケース係止部129が設けられている。
【0021】
次に電気的動作構成部品10の組立方法を説明すると、まず予め前述のように回路基板60に一対の発光素子70を取り付けておく。そしてカバーケース20の下面に導光板40を配置し、その際カバーケース20の一対の導光部材用係止部27を導光板40の各取付部47に挿入し、導光部材用係止部27の先端を導光板40の下面側で熱かしめすることで一体化する。次にその下側に回路基板60を配置し、その際カバーケース20の各基板取付用係止部25を回路基板60の各ケース取付用係合部61に貫通させ、同時にカバーケース20の各基板係止部31先端の爪を回路基板60の左右外周側辺にスナップイン係合し、カバーケース20と回路基板60とを一体化する。
【0022】
次に防水ケース120の回転体収納部121に回転体90を収納し、その際回転体90の駆動軸95を防水ケース120の軸挿通穴125に回転自在に軸支されるように挿入する。そしてこの回転体90を収納した防水ケース120を前記回路基板60の下面側に配置し、その際回路基板60の下面から突出しているカバーケース20の各基板取付用係止部25を防水ケース120の各ケース係止部129に挿入し、各基板取付用係止部25の先端を防水ケース120の下面側で熱かしめして防水ケース120を取り付ける。これによって電気的動作構成部品10の組み立てが完了する。この電気的動作構成部品10は、この電気的動作構成部品10のみで回転式電子部品1の電気動作(回転体90の回転によって電気的出力が変化する動作)が完結する1つのユニットになっている。即ち電気的動作構成部品10は、回転式電子部品1の電気的動作を行う部分を1つのユニットとして単体で構成したものである。
【0023】
このとき図6に示すように、発光素子70は導光板40の外周側面(光乱反射部43の反対側の外周側面)に対向して接近する位置に配置され、また図2に示すように、各摺動子110の弾接部115は回路基板60の摺接パターン65に弾接し、またパッキン140は回路基板60の下面に押し付けられて回路基板60と防水カバー120の間で少し潰されることで防水ケース120の回転体収納部121の内部を外部より密封(完全防水)し、また回転体90の駆動軸95が防水ケース120の軸挿通穴125から外部(下方)に露出し、さらに回転体90の防滴係合部101が防水ケース120の防滴部127に係合することで軸挿通穴125から回転体収納部121内に液体が浸入するのを防止する防滴構造が構成されている。ここで防滴構造とは、水が浸入し難い構造であって、完全防水ではないが、液体が付着したり多少多めにかかったりした程度では水の浸入を確実に防止することができる構造を言うものとする。
【0024】
上記電気的動作構成部品10において、回転体90の駆動軸95を外部に露出する部分の周囲を防滴構造とし、パッキンを用いた防水構造としなかったのは、パッキンを用いると回転体90の回転に抵抗が生じてその回転トルクが大きくなって回転しにくくなるからである。つまりこの実施形態では、パッキン140による防水構造と、防滴係合部101と防滴部127の係合による防滴構造とを同時に用いることで、回転体90の回転をスムーズに行わせると同時に電気的機能部の防滴、防水を確実に行わせている。
【0025】
図9は機械的動作構成部品100の一部断斜視図(図4のC−C断面図)、図10は機械的動作構成部品100を上側から見た分解斜視図、図11は機械的動作構成部品100を下側から見た分解斜視図である。これらの図に示すように機械的動作構成部品100は、回転つまみ取付部材(以下「ケース本体」という)150内に、回転つまみ180を回転自在に取り付けて構成されている。
【0026】
ケース本体150は合成樹脂の一体成形品であり、上面が開放された箱型の第1ケース部151と第1ケース部151より大きい体積の箱型の第2ケース部153とを具備し、両者間は隔壁155によって分離して構成されている。第1ケース部151の外形寸法形状は前記カバーケース20の第1カバー部21と略同一の外形寸法形状であり、第2ケース部153の外形寸法形状は前記カバーケース20の第2カバー部23と略同一の外形寸法形状である。第1ケース部151の外側壁の1つは切り欠かれて開口部157となっている。開口部157は回転つまみ180の一部を露出するものである。第1ケース部151の底面の略中央には上方向に向かって突出する円柱状の軸部159が設けられ、また第1ケース部151の底面の軸部159を中心にした円弧上にはC字状のクリック係合溝161が設けられ、またクリック係合溝161の中央には2つの凸部の間に凹部を設けてなるクリック係合部163が設けられている。また前記軸部159の中央には上下に貫通するピン挿入部160が設けられ、ピン挿入部160の上部の部分の内径は下部の部分の内径よりも小さくなっている。また第1ケース部151の底面の軸部159の側部には小突起状のストッパ165が設けられている。また第1ケース部151の隔壁155側の底面には隔壁155に沿うように1つのスリット状の上下に貫通する貫通孔からなる排出口167が設けられている。第1ケース部151の左右両外側壁(図10,図11では一方のみ示す)には、下記する外装用ケース300の係合取付部305に係止される爪状の外装用ケース係止部169が設けられ、また第2ケース部153の左右両側壁には2つずつ前記カバーケース20の各ケース係止部29先端の爪を係止する開口からなる爪係止部171が設けられている。なお第2ケース部153内は実際には各種電子部品等を設置するための複雑な構造となっているが、本発明の説明には不要なので、内部の構造は省略している。
【0027】
回転つまみ180は合成樹脂の一体成形品であり、略円板状のつまみ基部181の外周に略円筒状のつまみ操作部183を設け、またつまみ基部181の中央から上下に突出する筒状の回転軸185を設け、さらにつまみ基部181の何れかの部分(前記ケース本体150のクリック係合溝161に対向する位置)に筒状であって上面が塞がれることで下面側に開口するクリック機構収納部187を設けて構成されている。回転つまみ180は透光性を有する透明または半透明な合成樹脂によって形成され、つまみ操作部183の外表面に不透光性の塗装を行うとともに、塗装されたつまみ操作部183の外表面に所望の抜き文字,抜き模様等をレーザカット等によって形成している。回転軸185は円筒状であって、その内部は前記軸部159を回動自在にぴったり挿入する軸部挿入部189となっている。またつまみ基部181上面の回転軸185の外周には、略扇形状の回転軸側係合部193が設けられている。回転軸側係合部193はその回転方向の長さ寸法が前記回転体60の駆動軸側係合部97の回転方向の長さ寸法とほぼ一致することで、両者を係合した際に回転方向にぴったり係合する構造となっている。なお回転軸185の上面には金属製または樹脂製の円形薄板状の押え板195が設置され、また前記クリック機構収納部187内にはクリック弾接部材197とコイルバネ198が収納される。押え板195の中央にはピン取付孔195aが設けられている。クリック弾接部材197は略円柱状であって下方向に向かって球面状に突出してなる弾接面197aを有しており、また上面中央には円形の凹部からなるバネ収納部197bが設けられている。クリック弾接部材197は前記回転つまみ180のクリック機構収納部187に上下動自在に収納される外形寸法を有している。また回転つまみ180の下面には、前記ケース本体150のストッパ165を挿入してその移動範囲を規制するストッパ係合部199が設けられている。
【0028】
次に機械的動作構成部品100の組立方法を説明すると、まずコイルバネ198をクリック弾接部材197のバネ収納部197bに収納する。次にこのクリック弾接部材197を回転つまみ180のクリック機構収納部187内に収納した状態で、この回転つまみ180をケース本体150の第1ケース部151内に収納し、その際回転つまみ180の軸部挿入部189に軸部159を挿入する。このときケース本体150のストッパ165が回転つまみ180のストッパ係合部199に挿入される。そして回転つまみ180の回転軸185の上面に押え板195を載置し、軸部159のピン挿入部160にその下面側から金属製のハトメピン250を挿入し、ハトメピン250の先端を軸部159の上面から突出して押え板195のピン取付孔195aに挿入してその先端を押え板195の上面側でかしめる。これによって回転つまみ180はケース本体150の軸部159に回動自在に軸支され、同時にクリック弾接部材197はコイルバネ198の弾発力によってその弾接面197aがケース本体150のクリック係合溝161に弾接する。これによって機械的動作構成部品100の組み立てが完了する。この機械的動作構成部品100は、この機械的動作構成部品100のみでクリック機能付きの回転つまみ180の回転動作が行える(完結する)1つのユニットになっている。即ち機械的動作構成部品100は、回転つまみ180の回転動作を行う部分を1つのユニットとして単体で構成したものである。
【0029】
次に外装用ケース300は図3に示すように、合成樹脂を略箱型に成形して構成されている。外装用ケース300の前記機械的動作構成部品100等の側を向く面には、ケース収納口301が設けられ、その反対側の面にはスリット状の回転つまみ露出部303が設けられている。この回転つまみ露出部303を設けた側の面は外装面307であって所望の装飾が施されている。また外装用ケース300の左右両側面(図3では一方の面のみ示す)には前記ケース本体150の外装用ケース係止部169に係合される開口からなる係合取付部305が設けられている。
【0030】
そして回転式電子部品1を組み立てるには、図4において、前記ユニット化された電気的動作構成部品10をユニット化された機械的動作構成部品100上に載置する。このとき電気的動作構成部品10の各ケース係止部29の先端の爪を機械的動作構成部品100の各爪係止部171にスナップイン係合によって係合し、一体化する。これによって図3に示す状態になる。このとき電気的動作構成部品10側の回転体90に設けた駆動軸95の下面中央の凹部内に、機械的動作構成部品100側の回転つまみ180の回転軸185上部が挿入され、回転軸185に設けた回転軸側係合部193が駆動軸95に設けた駆動軸側係合部97に係合される。即ち図4に示す回転軸側係合部193の両端面194,194と図5に示す駆動軸側係合部97の両端面98,98とがぴったり当接し、回転体90と回転つまみ180は回転方向に一体に回転するように係合される。またこのとき回転つまみ180のつまみ操作部183の内側面側に導光板40の光乱反射部43が位置する。次に図3において、前記一体化されたカバーケース20の第1カバー部21とケース本体150の第1ケース部151とを、外装用ケース300のケース収納口301に挿入し、外装用ケース300の両係合取付部305にケース本体150の外装用ケース係止部169を係合し、これによって図1に示す回転式電子部品1を完成する。このとき回転つまみ180のつまみ操作部183の一部は、外装用ケース300の回転つまみ露出部303内に露出する。なお以上説明した回転式電子部品1の組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0031】
以上のようにして組み立てられた回転式電子部品1において、図2に示すように、外装用ケース300から外部に露出する回転つまみ180のつまみ操作部183を回転操作すると、回転つまみ180と一体に回転体90が回転し、回転体90に取り付けた摺動子110の弾接部115が摺接パターン65上を摺動し、その電気的出力を変化する。回転つまみ180を回転した際、クリック弾接部材197の弾接面197aはケース本体150のクリック係合溝161に弾接しながら摺動するが、この弾接面197aがクリック係合溝161中のクリック係合部163に移動すると、その前に凸部を乗り越えることでクリック感覚を生じながらその位置に係止される。前記弾接面197aがクリック係合部163から抜け出る際もクリック感覚が生じる。一方発光素子70を発光するとその光は導光板40の外周側壁からその内部に導入されて光乱反射部43全体に導かれ、光乱反射部43全体の前面から放射され、回転つまみ180のつまみ操作部183にその背面側から導入され、つまみ操作部183を照らし出す。これによって塗装されているつまみ操作部183表面の抜き文字や抜き模様の部分が明るく表示される。
【0032】
一方前記回転つまみ180のつまみ操作部183と外装用ケース300の回転つまみ露出部303との間の隙間から内部に水(液体)が浸入した場合、機械的動作構成部品100を構成する各部材には浸入した水が付着する。つまり回転つまみ180やクリック弾接部材197やコイルバネ198等には水が付着するが、これらは電気的機能部ではないので何ら問題はない。一方電気的動作構成部品10の回路基板60及び防水ケース120によって覆われている部分は、前述のようにパッキン140による完全防水と、回転体90の防滴係合部101及び防水ケース120の防滴部127による防滴構造とによって防水及び防滴が図られているので、摺動子110及び摺動子110が摺接する摺接パターン65の部分に水が浸入することはない。さらに機械的動作構成部品100内に浸入した水が大量であったり、または継続的に水が侵入してくるような場合であっても、浸入した水はケース本体150に設けた排出口167から随時排出され、浸入した水が機械的動作構成部品100内に溜まることがなく、この点からもさらに効果的に前記防滴構造の部分に水が触れることがなく、防水ケース120内への水の浸入をさらに効果的に防止できる。
【0033】
以上説明したように回転式電子部品1は、回路基板60と、回路基板60に対して回転自在に設置される回転体90と、回転体90を回転することで電気的出力を変化する摺動子110と摺接パターン65からなる電気的機能部とを有し、回転体90及び電気的機能部の部分を防水ケース120等を用いて防滴構造にすると共に回転体90の駆動軸95を防滴構造の外部に露出してなるユニット化された電気的動作構成部品10と、回転軸185を有する回転つまみ180と、回転つまみ180の回転軸185を回転自在に軸支するケース本体150とを有してなるユニット化された機械的動作構成部品100(このとき回転軸185は外部に露出している)とを具備し、駆動軸95と回転軸185とを一体に回転するように係合しながら電気的動作構成部品10と機械的動作構成部品100とを一体に結合して構成しているので、たとえ回転つまみ180が液体によって濡れたとしても、回転つまみ180を取り付けている機械的動作構成部品100とは別にユニット化されて防滴構造とされている電気的動作構成部品10の電気的機能部に液体が浸入していく恐れは極めて少なくなる。またユニット化された電気的動作構成部品10とユニット化された機械的動作構成部品100とを一体に結合することで容易に回転式電子部品1を組み立てることができる。
【0034】
また上記防滴構造は、回転体90を回転自在に収納する回転体収納部121を有する防水ケース120を有し、この防水ケース120の回転体収納部121の周囲に回路基板60に当接して回転体収納部121の内部を外部より密封するパッキン140を取り付るとともに、この防水ケース120には回転体90の駆動軸95を外部に露出する軸挿通穴125を設けるとともに、軸挿通穴125の周囲に回転体90の駆動軸95の周囲に設けた凸(または凹)からなるリング状の防滴係合部101を挿入するリング状の凹(または凸)からなる防滴部127を設け、防滴係合部101と防滴部127の係合と、パッキン140と回路基板60との当接とによって回転体収納部121内を防滴及び防水して構成されているので、電気的機能部を収納している回転体収納部121内の防滴及び防水を確実に行うことができ、同時に回転体の回転をスムーズに行わせることができる。
【0035】
またケース本体150は電気的動作構成部品10を一体に結合することで回転つまみ180と電気的機能部の両者の周囲を囲む構成であり、ケース本体150には回転つまみ180の一部を外部に露出する開口部157を設け、さらにケース本体150には、開口部157から浸入した液体を外部に排出する排出口167を設けたので、ケース本体150の開口部157と回転つまみ180との間の隙間からケース本体150内に液体が浸入しても、浸入した液体は排出口167から排出され、たとえ浸入する液体が大量または継続的であったとしても、この液体が電気的機能部に浸入する恐れをより確実に防止することができる。
【0036】
またケース本体150に軸部159を突設すると共に、回転つまみ180の回転軸185を筒状に形成することで、回転軸185の中央に軸部159を挿入して回転つまみ180を回転自在に軸支しているので、ケース本体150への回転つまみ180の軸支が強い機械的強度で実現でき、回転トルクや回転軸中心に向かう力が強い場合であってもこれによって前記軸支機構が破壊されることはなくなる。さらに回転つまみ180の回転軸185と回転体90の駆動軸95との係合を、回転軸185の外周から半径方向外側に向けて設けられる回転軸側係合部193に駆動軸95に設けられる駆動軸側係合部97を係合することで行なっているので、両者間の係合の機械的強度も強い。
【0037】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では摺動子110と摺接パターン65によって電気的機能部を構成しているが、他の各種構造によって電気的機能部を構成しても良く、要は回転体を回転することで電気的出力を変化する電気的機能部であればどのような構造であっても良い。また上記実施形態ではパッキン140を用いて防水構造を構成したが、他の各種防水構造を用いても良い。またユニット化された電気的動作構成部品10とユニット化された機械的動作構成部品100の構成に種々の変更が可能であることはいうまでもない。また上記実施形態では駆動軸95に設けた駆動軸側係合部97と回転軸185に設けた回転軸側係合部193とを係合することで両者を一体に回転するように構成したが、他の各種係合構造で構成しても良い。また前記回転体90に設けた凸からなる防滴係合部101と防水ケース120に設けた凹からなる防滴部127との係合によって防滴構造を構成したが、防滴係合部101を凹、防滴部127を凸で構成して両者を係合させて構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】回転式電子部品1の斜視図である。
【図2】回転式電子部品1の概略断面図(図1のA−A断面図)である。
【図3】外装用ケース300を分離した回転式電子部品1の分解斜視図である。
【図4】電気的動作構成部品10と機械的動作構成部品100とを分離した分解斜視図である。
【図5】電気的動作構成部品10を下側から見た斜視図である。
【図6】電気的動作構成部品10の一部断斜視図(図4のB−B断面図)である。
【図7】電気的動作構成部品10を上側から見た分解斜視図である。
【図8】電気的動作構成部品10を下側から見た分解斜視図である。
【図9】機械的動作構成部品100の一部断斜視図(図4のC−C断面図)である。
【図10】機械的動作構成部品100を上側から見た分解斜視図である。
【図11】機械的動作構成部品100を下側から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 回転式電子部品
10 電気的動作構成部品
20 カバーケース
40 導光板(導光部材)
60 回路基板
65 摺接パターン(電気的機能部)
70 発光素子
90 回転体
95 駆動軸
97 駆動軸側係合部
100 機械的動作構成部品
101 防滴係合部
110 摺動子(電気的機能部)
120 防水ケース
121 回転体収納部
125 軸挿通穴
127 防滴部
140 パッキン
150 ケース本体(回転つまみ取付部材)
157 開口部
167 排出口
180 回転つまみ
185 回転軸
193 回転軸側係合部
300 外装用ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に対して回転自在に設置される回転体と、前記回転体を回転することで電気的出力を変化する電気的機能部とを有し、前記回転体及び電気的機能部の部分を防滴構造にすると共に前記回転体の駆動軸を前記防滴構造の外部に露出してなるユニット化された電気的動作構成部品と、
回転軸を有する回転つまみと、前記回転つまみの回転軸を回転自在に軸支する回転つまみ取付部材とを有してなるユニット化された機械的動作構成部品とを具備し、
前記駆動軸と回転軸とを一体に回転するように係合しながら前記電気的動作構成部品と機械的動作構成部品とを一体に結合してなることを特徴とする回転式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式電子部品において、
前記防滴構造は、前記回転体を回転自在に収納する回転体収納部を有する防水ケースを有し、この防水ケースの回転体収納部の周囲に前記回路基板に当接して回転体収納部の内部を外部より密封するパッキンを取り付るとともに、この防水ケースには前記回転体の駆動軸を外部に露出する軸挿通穴を設けるとともに軸挿通穴の周囲に前記回転体の駆動軸の周囲に設けた凸または凹からなるリング状の防滴係合部を挿入するリング状の凹または凸からなる防滴部を設け、前記防滴係合部と防滴部の係合と、前記パッキンと回路基板との当接とによって前記回転体収納部内を防滴及び防水して構成されていることを特徴とする回転式電子部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転式電子部品において、
前記回転つまみ取付部材は、前記電気的動作構成部品を一体に結合することで前記回転つまみと前記電気的機能部の両者の周囲を囲むケース本体であり、
前記ケース本体には回転つまみの一部を外部に露出する開口部を設け、
さらにこのケース本体には、前記開口部から浸入した液体を外部に排出する排出口を設けたことを特徴とする回転式電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−9937(P2010−9937A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167781(P2008−167781)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】