説明

回転式霧化方法並びに霧化装置

【課題】。クリーンなミストを製造できるとともに、均一で微細な粒子からなるミストを発生させこれを所望の方向に噴霧することが出来る。
【解決手段】高速で回転する回転板5を設け、当該回転板5の中心部に液吐出口13を設け、また、回転板5の下面に、前記回転板5の外周縁にエアーを送るプロペラ9を設け、前記回転板5の外周縁を、当該外周縁と間隙をあけて被う環状のガイドフード10を設け、前記液吐出口13から液を回転板5上に供給し、これにより液が回転板5上に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板5の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに前記ガイドフード10と回転板5との間隙から前記エアーを回転板5の外周縁に吹きつけ、当該エアーにより、微細化され、多数の微粒子となって生成されたミストを前記ガイドフード10の開口部へ導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体を多数の微粒子に霧化する方法及び装置であって、特に回転式の霧化方法並びに霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を微粒子に霧化するに当たっては、一流体方式と二流体方式がある。一流体方式は、特許文献1に示すように、流体そのものに圧力を加えて微孔から噴霧することにより霧化するものであり、二流体方式は、特許文献2に示すように、高圧エアーを用いて霧化する二流体方式とがある。
【0003】
しかしながら、これらの一流体方式は、目詰まりし易く、微細で均一な粒子が得られない。また、二流体方式では、一般に高圧エアーを大量に必要とする。そのため高圧エアーを作る設備を別途設けなければならず、その設備が大掛りとなってしまう。また、その際、オイル等の不純物をフィルタで分離するものの、それでもクリーンな高圧エアーを作るのは難しい。
【0004】
一方、円盤の上にウエハーを載せてそのウエハーの上に洗浄液を供給しながら円盤を回転させてウエハーを洗浄する枚葉式の洗浄法がある。これは円盤の回転により、遠心力を使ってウエハーを洗浄するものである。
【0005】
【特許文献1】特許第3434718号公報
【特許文献2】特開2010−247133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この様な霧化方法では均一な微粒子をつくるのは難しい。また、霧化により生じた微粒子からなるミストは噴霧箇所が一点から出るため、噴霧する幅が狭く、鋭角である。従って、均一な微粒子から成るミストを得るためには長い噴霧距離が必要となる。そのため周囲に飛び散る量が多くなり、効率が悪い。
【0007】
そこで、この発明は、クリーンなミストを製造できるとともに、均一で微細な粒子からなるミストを効率よく発生させ、これを所望の方向に噴霧することが出来る回転式霧化方法及びその装置を提供することも目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、高速で回転する回転板の中心部に設けられた液供給部より液を回転板上又は回転板内に供給し、これにより液が回転板上又は回転板内に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに当該回転板の外周縁に送風されたエアーにより、微細化され、多数の微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶ、回転式霧化方法とした。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記液に界面活性剤を添加することにより液の表面張力を調整する回転式霧化方法とした。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記回転板の外周縁を、当該外周縁と間隙をあけて被う環状のガイドフードを設け、このガイドフードと回転板との間隙から前記エアーを回転板の外周縁に吹きつけ、生成されたミストをガイドフードの開口部方向に導く、回転式霧化方法とした。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記回転板の外周縁に多数の透孔を設け、当該透孔に対向して前記回転板の下方に突出するシャッター体を前記ガイドフードに設け、前記送風されたエアーが回転板の透孔から噴出する際、当該エアーがシャッター体によって断続的に遮られ、この時発生する高振動のパルス波が超音波となり、これにより前記微粒子がより微細化されて噴霧される、回転式霧化方法とした。
【0012】
請求項5の発明は、高速で回転する回転板を設け、当該回転板の中心部に液供給部を設け、また、回転板の下面に、前記回転板の外周縁にエアーを送る送風手段を設け、前記液供給部から液を回転板上又は回転板内に供給し、これにより液が回転板上又は回転板内に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに当該回転板の外周縁に送風されたエアーにより、微細化され、多数の微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶ構成とした、回転式霧化装置とした。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記回転板の外周縁を、当該外周縁と間隙をあけて被う環状のガイドフードを設け、このガイドフードと回転板との間隙から前記エアーを回転板の外周縁に吹きつけ、生成されたミストをガイドフードの開口部に導く構成とした回転式霧化装置とした。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記回転板の外周縁に多数の透孔を設け、当該透孔に対向して前記回転板の下方に突出するシャッター体を前記ガイドフードに設け、前記送風されたエアーが回転板の透孔から噴出する際、当該エアーが前記シャッター体によって断続的に遮られ、この時発生する高振動のパルス波が超音波となり、これにより前記微粒子がより微細化されて噴霧される、回転式霧化装置とした。
【0015】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の発明において、前記回転板はモータを回転源として又は回転板と一体なファンに前記送風手段の送風を当てて回転する構成である回転式霧化装置とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜8の発明によれば、回転板の外周縁に送風されたエアーにより、多数の粒子からなるミストはより微細化され、多数の均一な微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶため、回転板の大きさと速度、液の回転板への供給量、回転板と液の表面張力、エアーの送風量によって霧化量、微粒子の粒径がコントロールされたミストを供給でき、ナノレベルでの超微粒化も可能である。また、液を水溶液とした場合、当該霧化後に、水と溶質と分離できる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、帯電防止剤等の界面活性剤を液に添加すれば、液の表面張力を容易に調整することができる。また、請求項3及び6の発明によれば、ガイドフードを設けることにより、容易に噴霧したミストを当てたい所望の方向に導くことができる。
【0018】
また、請求項4及び7の発明によれば、回転板の外周縁に設けた多数の各透孔を、シャッター体が断続的に塞ぐため、超音波が発生し、回転板上又は回転板内で拡がる液膜に超音波振動が与えられ、液膜はより薄くなり、外周縁で放出された粒子はより分裂が促進し、微細化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、高速で回転する回転板の中心部に設けられた液供給部より液を回転板上又は回転板内に供給し、これにより液が回転板上又は回転板内に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに当該回転板の外周縁に送風されたエアーにより、微細化され、多数の微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶ、回転式霧化方法とした。
【0020】
これにより、粒径の大きさ、霧化量を制御したミストを発生させることができる。
【実施例1】
【0021】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。図1はこの発明の装置の断面図、図2は同平面図である。
【0022】
この発明の回転式霧化装置は、上面が開口したケース1内の中央部に、前記開口面に直角な回転軸2を設け、当該回転軸2は、ケース1内に固定した上下の軸受け3、4に回転自在に支持されている。また、この回転軸2の上端に、その中心を位置させた円形の回転板5を固定している。また、前記上下の軸受けの間の回転板2の外周には、スプロケット又はプーリー6を設けており、ケース1内に設けたモータ7の回転軸7aと前記スプロケット又はプーリー6とをベルト8で連結し、モータ7の回転をベルト8を介して回転軸2に伝達している。
【0023】
また、前記回転板5の下の回転軸2の外周には複数枚のプロペラ9を設けている。また、前記ケース1の開口部の周縁には、前記回転板5の外周縁との間に間隙を設けてこれを被う環状のガイドフード10を設けている。また、このガイドフード10は前記プロペラ9をも間隔をあけて被っており、当該ガイドフード10の下部の内周縁は、プロペラ9の下部の回転軸2にやや近接し、環状の開口部10aを設けている。また当該ガイドフード10は断面孤状であり、その上縁から方向板20bが設けられている。
【0024】
また、前記回転軸2の中心部には、上端が回転板5の上面まで達する液通路11を設け、回転板5の開口部には、屋根12を設け、前記液通路11を通った液が屋根12の側面から吐出する液吐出口13を形成し、当該液吐出口13から回転板5の上面に液が供給されるようになっている。また、前記回転軸2の下端は、ケース1に固定された水密性のジョイント14の凹部14aに回転自在に勘合されている。
【0025】
また、前記ジョイント14の凹部14a内には、前記回転軸2の下端と接するパキン15が設けられ、このパッキン15の中央部を貫通して設けた端子管16の下端はジョイント14の下部から突出し、液導入管(図示省略)と接続できるようになっている。また、前記端子管16は前記回転軸2の液通路11と繋がっている。
【0026】
また、前記回転板5の外周縁に沿って小径のエアー噴霧口17が設けられ、前記ガイドフード10の内面から前記回転板5の下方に向いたシャッター体18を前記ガイドフード10の内周縁に沿って間隔をあけて多数設け、これらの各シャッター体18の先端は前記エアー噴霧口17と対向するように設けられている。また、前記ガイドフード10の環状上縁と回転板5の外周縁との間には、環状噴霧スリット19が形成されている。また、前記ケース1の側面には複数の吸入口20が設けられている。
【0027】
この実施例1の場合、装置外の液導入管を前記端子管16に繋げ、ポンプ等で液を前記液通路11を通して液吐出口13から回転板5の上面に供給する。一方、モータ7を駆動させて回転軸2及び回転板5を高速回転させる。これにより、回転板5の中央部の液吐出口13から出た液は、遠心力により回転板5の上面に拡がり、薄い液膜を形成して回転板5の外周縁まで達し、回転板5と液の表面張力により、前記液膜は空中に放出されて、細分裂が進行して多数の均一な粒子となる。
【0028】
また、回転軸2の回転により、これと一体なプロペラ9が回転し、当該回転によりプロペラ9近くのエアーは前記回転板5のエアー噴霧口17及び環状噴霧スリット19からケース1外に噴き出す。その際、回転板1のエアー噴霧口17付近の液はエアー噴霧口17からのエアーによって、また、回転板5の外周縁から放出された粒子は環状噴霧スリット19からのエアーによって夫々さらに細分化されて放散される。
【0029】
これにより、多数の微粒子から成るミストが当該装置の上部の環状の方向板10bによりガイドされて上方に噴霧される。さらに、ケース1内は負圧になり、ケース1の側面の吸込口20からケース1内及びガイドフード10内にエアーが流入する。
【0030】
この際、ガイドフード10の内周上部には、当該内周に沿って、間隔をあけて多数のシャッター体18が設けられているため、図3に示すように、回転板5が回転すると、前記各シャッター体18が回転板5の外周のエアー噴霧口17や環状噴霧スリット19を間欠的に塞ぐ。これによりエアー噴出口17や環状噴霧スリット19から間欠的にエアーが吐出し、この時発生する高振動のパルス波により超音波(20kHz以上)が発生し、より均一な微細化が行われる。この時の発生周波数は、回転板5の回転数とエアー噴霧口17の数により時間当たりのシャッター体18とのカット数により決まる。なお、前記シャッター体18は、板状のもの、複数の穴の開いた板状のもの、短冊状の板等形状は問わない。
【0031】
例えば、直径200mmの回転円板で回転数2800rpm、液量25ml/分の場合、20〜30μmの粒径となり、回転数を5000〜6000rpmで5〜10μm、10,000〜12,000rpmで1〜3μmの粒径の粒子からなるミストが得られる。
【0032】
また、前記液を回転板5上に供給するのに、上記実施例1では装置の外部のポンプにより送っていたが、前記ジョイント14内に小型のポンプを設け、自吸式のポンプ機能を付加することも可能である。
【0033】
図4はこの実施例1における回転板5の種々の形状を示す。(a)図は平型であり、一般的で、応用が広い、膜形成が早い、加工しやすい、コストも安いし、安定性が良い。また、(b)図のものは回転板5の中心部がへこんだ凹型であり、粒子が微細化し易く、均一性が高い、小型向きである。また、(c)図のものは、回転板5の中心部が凸形状となっており、大量のミストを得られ、大型向きである。
【0034】
(d)図は回転板5の外周縁が上方に立ちあがった外周壁5a付きのもので、高速回転になると遠心力が上昇するため、ミストが回転板5の面方向に飛び出してしまうが、外周壁5aを設けることにより、液膜を垂直方法に向け(エアー方向と同じ)、回転板5に対して垂直方向にミストを放出させることができる。また、(e)図のものは回転板5の外周壁5aを鋭角に尖らせ、又は針状とし、ミストが飛びやすくする。また、外周壁に穴を開けたり、U字型の切り欠きを設ける等することにより、エアーを受けやすく,また、液膜を破砕し易くし、粒子の微細化を促進する。この回転板5と壁の交差する角度や壁の高さはミストの発生規模により変えることができる。
【0035】
さらに、(f)図に示すものは、回転板5の外周壁5bがスロープ状に高くなっているもので、これもミストを斜め上方向に噴霧することができるものである。また、上記(a)図、(b)図、(c)図のものに外周壁5a又は5bを設けても良く、組み合わせは自由である。
【0036】
また、図5に示すように前記回転板5の外周縁にV字型切り欠き5c、凹型切り欠き5d、U字型切り欠き5eなど、適宜の切り欠きを設け、液膜をエアーで破砕し易くすることもできる。
【0037】
また、図6に示すように、回転板5の上面に前記液吐出口13(屋根12)を中心に放射状の溝5f又は螺旋状の溝5gを設け、これらの溝5f、5gに沿って液が外周縁まで到達し易いようにすることもできる。
【0038】
また、図7に示すように、回転板5の外周縁に沿ってエアー噴出口17を多重に設けることもできる。これにより、多数のエアー噴出口17から前記エアーが噴出し、液膜を破砕してより多数の微粒子から成るミストが噴霧されることとなる。
【0039】
また、図8は上記実施例1の回転板5の中心部の拡大断面図であり、液通路11の上端開口部に設けた屋根12の側面が液吐出口13をとなっている。屋根12の形状は、(a)図に示すように、伏せ椀形状でもよく、(b)図に示すように、扁平でも良い。これらの屋根12は間隔をあけて設けた適宜の柱によって回転板5上面に支持されている。
【0040】
また、前記回転板5は一枚から成るものに限らず、二枚から成るものでもよい。図9は上下二枚の円板22a、22aを、上下に間隔をあけて設けたもので、これらの上下の円板22a、22aの間に適宜のスペーサ(図示省略)を設けて、間隔を保持している。(a)図は、回転軸2の下方から液を上げて二枚の円板22a、22aの間に液を供給し、これらの円板22aから成る回転板22の回転により外周縁に液が拡がり、当該回転板22の外周縁の下方から来たエアーによって、ミストは上方に噴霧される。また、(b)図は回転軸2の上方から液を下ろして二枚の円板22a、22aの間に液を供給し、これらの円板22aから成る回転板22の回転により外周縁に液が拡がり、当該回転板22の外周縁の上方から来たエアーによって、ミストは下方に噴霧される。
【0041】
これらの円板22aと22aとの外周縁は、図10(a)に示すように、その端縁は間隔があいているが、同(b)図及び同(c)図に示すように、四角形、丸型の孔22bを多数開けた形状でもよい。
【0042】
図11乃至図13は、前記回転板5に代えて、厚板の円板から成る回転板23とし、回転軸2の液通路11の開口部に面して中央供給溝23aを設け、当該中央供給溝23aから放射状の通路23b又は螺旋放射状の通路23cを内部に設け、その外周端面に前記放射状の通路23b又は螺旋放射状の通路23cの各開口部を設けている。図12は、当該回転板23の外周端面を示し、当該端面の開口部を示すもので、前記通路23b又は通路23cの断面に相応する開口部形状を有する。(a)図は四角形開口部、(b)図は円形開口部を示す。
【0043】
また、図14は、前記ガイドフード10の変形例を示し、(a−1)図及び(a−2)図はエアーを下方から吸引し、ミストを回転板5の外周縁から回転板5に対し垂直方向に噴霧させるものでる。なお、回転板5の上下面には羽根24を回転板5と一体に設けている。また、(b−1)図及び(b−2)図はガイドフード10の中央部上下方向からエアーを吸引し、回転板5の外周縁の外方全ての方向にミストを噴霧させるものである。なお、回転板5の上下面には羽根24を回転板5と一体に設けている。また、図(c−1)図及び(c−2)図はガイドフード10の中央部上下方向からエアーを吸引し、回転板5の外周縁の一側から外方にミストを噴霧させるものである。なお、回転板5の上下面には羽根24を回転板5と一体に設けている。
【実施例2】
【0044】
次に、この発明の実施例2について説明する。図15はこの発明に側面断面図、図16は同装置の平面図である。
【0045】
この実施例2の装置は、前記実施例1と比べ、略同じ構成であるが、若干構成が異なる。当該装置のファン9により前記エアー噴霧口17及び環状噴霧スリット19へ送り出すエアーを、ケース1の外に置いたブロアー21から直接ガイドフード10内に送り込む構成であり、他の構成は略同じである、
【0046】
従って、ガイドフード10の下端に開口部10aを設けておらず、当該下端は回転軸2の外周に近接している。また、ガイドフード10には、ブロアー21からの送風を受けるエアー流入孔10cを設け、当該エアー流入口10cにブロアー21からのエアーホースを接続する構成となっている。
【0047】
この場合も、回転軸2及び回転板5はモータ7から回転駆動力を得て回転し、これに伴ってプロペラ9が回転する。そして、ブロアー21からのエアーをフード10内に送り込み、ここでプロペラ9の回転によりエアーを、前記エアー噴霧口17及び環状噴霧スリット19へ送り出し、当該エアー噴霧口17及び環状噴霧スリット19から吹き出す構成となっている。他の構成及び作用は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0048】
さらに、この発明の実施例3について説明する。図17はこの発明の装置の側面断面図、図18は同装置の平面図である。
【0049】
この実施例3のものは、前記実施例2のものから、スプロケット6、モータ7及びベルト8を取り除き、ブロアー21からのエアーの圧力で、前記プロペラ9を回転させ、当該プロペラ9と回転軸2を介して一体な回転板5を回転させるものである。他の構成及び作用は実施例1と同じである。なお、この場合、回転軸2に対して回転板5とプロペラ9とは前記ブロアー21からのエアーの圧力で、別々に回転する構成としても良い。その場合、回転板5の形状をエアー圧で回転できる構成にする必要がある。
【実施例4】
【0050】
また、図19は、この発明の実施例4を示すもので、回転板5の外周縁の一側に設けたガイドフード10の開口部25からミストを噴霧する方式である。このガイドフード10の開口部25を伸ばして、オリフィスを作り、当該オリフィス箇所のガイドフード10に透孔26を開け、この透孔26に針状電極27を設け、当該透孔26周囲を導電性に部材にして他方の電極とし、アースさせたものである。
【0051】
この場合、前記針状電極27に高電圧、例えば1200〜3000Vを印加することにより、透孔26の電極との間で放電が行われ、ミストの微粒子に電荷を与え、荷電粒子として放出することにより、制電除去効果を得ることができる。その場合、オリフィス箇所で、ミストの噴霧速度は速くなり、負圧となって透孔26から外部エアーを吸引し、針状電極27をミストでぬらす恐れがない。また、この場合、ミストを被処理物に効率よく付着させたり、空間に拡散させて無電界空間を作り、静電気の発生しにくいクリーンルームと湿度の調整に活用できる。
【0052】
さらに、図19に示すように、噴霧されたミストに、温風ブロアー28を吹付けて、溶液中に溶解又は分散している溶質を溶媒から分離させることができる。
これは例えば、海水の真水化、水分と塩分の分離等が挙げられ、さらに、溶液中の溶質の微細化、分散化も可能である。
【0053】
また、この発明における回転板及び送風エアーの駆動源は、前記実施例に限定されるものではなく、回転板はモータで直接回転させる場合やブロアーの送風で回転させる場合等、適宜の駆動源で回転するものであり、また、送風エアーも、ブロアーで直接吹付けるものや、プロペラの回転による送風等、適宜の手段で送風可能である。さらに、回転板とプロペラの駆動源は共通する場合、別個の場合がある。また、回転板は上記各実施例では円形であるが、円形に限るものではなく、多角形等適宜の形状でもよい。
【0054】
また、前記実施例のように、回転板5が回転すると、前記各シャッター体18が回転板5の外周のエアー噴霧口17や環状噴霧スリット19を間欠的に塞ぎ、これによりエアー噴出口17や環状噴霧スリット19から間欠的にエアーが吐出し、この時発生する高振動のパルス波により超音波が発生するが、超音波の発生は、これに限るものではなく、電気的に超高周波振動子から回転板乃至は回転軸に超音波振動を伝えるものでもよい。
【0055】
また、この発明では回転板に形成された液膜は遠心力によって回転板外周縁から外方に放出されるが、その際、回転板の表面張力の値と液そのものの表面張力の値を調整することにより微粒子の大きさを調整でいる。また、前記回転板の遠心力に大きさによっても生成される微粒子の粒径が異なる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施例1の回転式霧化装置の断面図である。
【図2】この発明の実施例1の回転式霧化装置の平面図である。
【図3】この発明の実施例1の回転式霧化装置の拡大要部平面図である。
【図4】(a)図〜(f)図はこの発明の実施例1の回転式霧化装置の回転板の形状例を示す断面図である。
【図5】この発明の実施例1の回転霧化装置の回転板の外周縁の変形例を示す平面図である。
【図6】この発明の実施例1の回転式霧化装置の回転板の上面の変形例を示す平面図である。
【図7】この発明の実施例1の回転式霧化装置の回転板の上面の他の変形例を示す平面図である。
【図8】(a)図及び(b)図はこの発明の実施例1の回転式霧化装置の回転板の上面の液吐出口の例を示す要部顔面図ある。
【図9】(a)図及び(b)図はこの発明の回転式霧化装置の回転板の他の構成を示す断面図である。
【図10】(a)図、(b)図及び(c)図は前記図9の回転板の外周端面図である。
【図11】この発明の実施例1の回転式霧化装置の回転板の他の例における回転板の断面平面図である。
【図12】(a)図及び(b)図は、前記図11の回転板の外周端面図である。
【図13】この発明の実施例1の回転式霧化装置の図11の回転板の中央部の縦断面図である。
【図14】この発明の実施例1の回転式霧化装置のガイドフードの変形例を示し、(a−1)図及び(a−2)図はミストを回転板の上方に噴霧する縦断面図及び平面図、(b−1)図及び(b−2)図はミストを回転板の外周全方向に噴霧する縦断面図及び平面図、(c−1)図及び(c−2)図はミストを回転板の外周の一側に噴霧する縦断面図及び平面図である。
【図15】この発明の実施例2の回転式霧化装置の断面図である。
【図16】この発明の実施例2の回転式霧化装置の平面図である。
【図17】この発明の実施例3の回転式霧化装置の断面図である。
【図18】この発明の実施例3の回転式霧化装置の平面図である。
【図19】この発明の応用例における概略構成図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ケース 2 回転軸
3 軸受け 4 軸受け
5 回転板 5a 外周壁
5b 外周壁 5c V字型切り欠き
5d 凹型切り欠き 5e U字型切り欠き
5f 放射状の溝 5g 螺旋状の溝
6 スプロケット又はプーリー
7 モータ 7a 回転軸
8 ベルト 9 プロペラ
10 ガイドフード 10a 開口部
10b 方向板 11 液通路
12 屋根 13 液吐出口
14 ジョイント 14a 凹部
15 パッキン 16 端子管
17 エアー噴霧口 18 シャッター体
19 環状噴霧スリット 20 吸入孔
21 ブロアー 22a 円板
22b 孔 23 回転板
23a 中央供給溝 23b 放射状の通路
23c 螺旋状の通路 24 羽根
25 開口部 26 透孔
27 針状電極 28 温風ブロアー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速で回転する回転板の中心部に設けられた液供給部より液を回転板上又は回転板内に供給し、これにより液が回転板上又は回転板内に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに当該回転板の外周縁に送風されたエアーにより、微細化され、多数の微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶことを特徴とする、回転式霧化方法。
【請求項2】
前記液に界面活性剤を添加することにより液の表面張力を調整することを特徴とする、請求項1に記載の回転式霧化方法。
【請求項3】
前記回転板の外周縁を、当該外周縁と間隙をあけて被う環状のガイドフードを設け、このガイドフードと回転板との間隙から前記エアーを回転板の外周縁に吹きつけ、生成されたミストをガイドフードの開口部方向に導くことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回転式霧化方法。
【請求項4】
前記回転板の外周縁に多数の透孔を設け、当該透孔に対向して前記回転板の下方に突出するシャッター体を前記ガイドフードに設け、前記送風されたエアーが回転板の透孔から噴出する際、当該エアーがシャッター体によって断続的に遮られ、この時発生する高振動のパルス波が超音波となり、これにより超音波を発生して前記微粒子がより微細化されて噴霧されることを特徴とする、請求項3に記載の回転式霧化方法。
【請求項5】
高速で回転する回転板を設け、当該回転板の中心部に液供給部を設け、また、回転板の下面に、前記回転板の外周縁にエアーを送る送風手段を設け、前記液供給部から液を回転板上又は回転板内に供給し、これにより液が回転板上又は回転板内に拡がり、液膜となって外周縁に達し、回転板の遠心力とその表面張力によって液膜は空中に放出されて細分裂が進行して多数の均一な粒子となり、さらに当該回転板の外周縁に送風されたエアーにより、微細化され、多数の微粒子となって前記エアーの送風方向に飛ぶ構成としたことを特徴とする、回転式霧化装置。
【請求項6】
前記回転板の外周縁を、当該外周縁と間隙をあけて被う環状のガイドフードを設け、このガイドフードと回転板との間隙から前記エアーを回転板の外周縁に吹きつけ、生成されたミストをガイドフードの開口部に導く構成としたことを特徴とする、請求項5に記載の回転式霧化装置。
【請求項7】
前記回転板の外周縁に多数の透孔を設け、当該透孔に対向して前記回転板の下方に突出するシャッター体を前記ガイドフードに設け、前記送風されたエアーが回転板の透孔から噴出する際、当該エアーが前記シャッター体によって断続的に遮られ、この時発生する高振動のパルス波が超音波となり、これにより超音波を発生して前記微粒子がより微細化されて噴霧されることを特徴とする、請求項6に記載の回転式霧化装置。
【請求項8】
前記回転板はモータを回転源として又は回転板と一体なファンに前記送風手段の送風を当てて回転する構成であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の回転式霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−223706(P2012−223706A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93516(P2011−93516)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(511098448)
【出願人】(502193244)
【出願人】(511098460)
【Fターム(参考)】