回転摘み
【課題】装飾部材が設けられていても回転摘みに十分な内部空間が確保されると共に取り付け後に導光部材が安定し且つ十分な表示が可能な回転摘みを提供する。
【解決手段】本発明は、周壁部２０内周面２１に凹部２２が設けられた摘み本体１１と、導光部３１と規制部３２と発光面３３ａとを順に有する導光部材３０と、被係止部４１と周壁部２０先端を覆うリング状部位４２とを有する装飾部材４０とを備え、凹部２２は一対の対向面２２ａと底面２２ｂとで規定され、導光部３１は対向面２２ａ間に嵌まり込むように延び、規制部３２は周方向に突出し周壁部２０に先端側から当接する当接部３６を有し、装飾部材４０はリング状部位４２が先端側から規制部３２に当接することで摘み本体１１と導光部材３０との相対移動を阻止し、周壁部２０は底面２２ｂと共に導光部３１を挟み込む保持部２４を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明は、周壁部２０内周面２１に凹部２２が設けられた摘み本体１１と、導光部３１と規制部３２と発光面３３ａとを順に有する導光部材３０と、被係止部４１と周壁部２０先端を覆うリング状部位４２とを有する装飾部材４０とを備え、凹部２２は一対の対向面２２ａと底面２２ｂとで規定され、導光部３１は対向面２２ａ間に嵌まり込むように延び、規制部３２は周方向に突出し周壁部２０に先端側から当接する当接部３６を有し、装飾部材４０はリング状部位４２が先端側から規制部３２に当接することで摘み本体１１と導光部材３０との相対移動を阻止し、周壁部２０は底面２２ｂと共に導光部３１を挟み込む保持部２４を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車室内の操作パネル等に回動可能に配設される回転摘みに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から回転摘みとして特許文献１に記載のものが知られている。この回転摘みは、摘み本体と、その適当な箇所に設けられる発光部とを備え、当該発光部の位置を見ることにより回転摘みの回転量を把握し易くしたものである。
【０００３】
具体的には、図１１に示されるように、回転摘み１００は、操作者等が摘んで回転操作する摘み本体１０１と、発光部を構成する導光部材１０２とを備える。摘み本体１０１は、円柱形の外形を有し、先端面１０１ａから周面１０１ｂにかけて切欠き部１０３が設けられている。導光部材１０２は、その内部に光が入射するとこの光が拡散されて当該導光部材１０２の表面が発光する素材で形成され、摘み本体１０１の切欠き部１０３に嵌入可能な外形を有する。
【０００４】
このような回転摘み１００は機器の操作パネル等に回動可能に配設され、操作パネル内側の光源等によって導光部材１０２に光が照射されることにより回転摘み１００の発光部（導光部材１０２）が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】実開昭６２−３０１８９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
回転摘みが配設される機器によっては、中空構造のもの、即ち、その摘み本体が薄肉の円筒状であるものが求められる場合がある。このような回転摘みでは、摘み本体が薄肉の円筒状であることから、この摘み本体に取り付けられる導光部材の厚さ（即ち、径方向の寸法）も小さくする必要がある。かかる薄肉の導光部材を同じく薄肉の摘み本体に対して安定して取り付けることは難しく、その安定性の確保が重要な課題となる。
【０００７】
また、前記の薄肉の摘み本体を備える回転摘みが、摘み本体内側にその一部を挿入するようにして取り付けられる装飾部材を有する場合には、前記装飾部材の挿入部位によって回転摘みの内部空間が狭くなるため、前記導光部材の安定性の確保に加え、前記装飾部材が取り付けられても十分な大きさの内部空間を確保できる回転摘みの薄肉構造の実現も重要な課題となる。具体的には、例えば前記装飾部材が当該装飾部材の固定のために摘み本体内に挿入される円筒状の挿入部を有し、この挿入部が摘み本体の内周面に沿ってその内側に挿入されて当該装飾部材が摘み本体に取り付けられたときに、円筒状の摘み本体の内側にさらに円筒状の挿入部が存在することとなり、摘み本体のみの場合よりも内部空間が小さくなる。
【０００８】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、装飾部材がその一部を摘み本体に挿入するようにして取り付けられても回転摘み内に十分な内部空間が確保されると共に、取り付けた後に導光部材が安定し且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、パネルに回動可能に配設可能な回転摘みであって、前記パネルの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部を有し、この周壁部の内周面の周方向における特定の位置に当該周壁部の後端から先端に向って延び当該周壁部の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部が設けられた摘み本体と、前記固定用凹部内に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該固定用凹部に沿って延びる導光部とこの導光部の先端側に設けられ前記摘み本体に対する前記固定用凹部の延びる方向に沿った移動を規制するための規制部とこの規制部の先端側に設けられ前記周壁部よりも先端側で当該回転摘みの外部に露出して前記導光部内に光が入射することにより発光する発光面とを有し、前記導光部の後端面が前記光の入射面を構成する導光部材と、前記周壁部の内周面に沿って当該周壁部の内側に挿入されることで当該周壁部に係止される被係止部とこの被係止部が前記係止されることで当該周壁部を先端側から外部に露出した状態で覆うリング状部位とを有する装飾部材と、を備え、前記固定用凹部は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面とこれら対向面の前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面とによって規定され、前記導光部材では、前記導光部が前記一対の対向面間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面に沿って延び、前記規制部が前記導光部の先端側で当該導光部よりも前記周方向に突出して前記周壁部に先端側から当接する当接部を有し、前記装飾部材は、前記被係止部が前記周方向において少なくとも前記導光部材の前記径方向の内側に位置するように設けられ、当該装飾部材が前記周壁部に取り付けられて前記リング状部位が先端側から前記導光部材の規制部に当接することにより前記摘み本体と前記導光部材との前記固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止し、前記周壁部は、前記固定用凹部の前記径方向の内側に設けられ前記固定用凹部の底面と共に前記径方向の両側から前記導光部を挟み込む保持部を有することを特徴とする。
【００１０】
かかる構成によれば、周壁部の内側に挿入される装飾部材を利用して導光部材が拘束されることにより、周壁部の肉厚を増やすことなく導光部材が安定した状態で取り付けられ且つ十分な表示を行うことができる。
【００１１】
具体的に、被係止部が導光部材の前記径方向の内側に位置している周壁部の部位では、凹部（即ち、固定用凹部）によって導光部を位置決めすることで、周壁部の肉厚を増やして前記導光部をその周方向の外側から囲うようにして位置決めしなくても効果的に位置決めでき、これにより被係止部が前記径方向の内側に位置しても回転摘み全体としての肉厚の増加を抑制することが可能となる。一方、このような周壁部と薄肉の導光部材とであっても、摘み本体の周壁部の内周面に設けられた固定用凹部を利用して前記導光部材の導光部を前記周方向から挟み込むと共に当該導光部を前記径方向から挟み込み、且つ前記装飾部材を利用して導光部材を拘束して摘み本体に対する固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止することにより、摘み本体に対して導光部材が安定した状態で取り付けられる。
【００１２】
詳細には、周壁部の内側に挿入された被係止部が導光部材の前記径方向の内側に位置する周壁部の部位では、固定用凹部により導光部が位置決めされることで導光部の前記径方向の内側が開放された状態となり、当該導光部がその周方向の外側から囲われる場合よりも周壁部が薄肉となる。そして、この周壁部の部位において、導光部の前記径方向の内側近傍に被係止部が配設されることで、前記径方向において、周壁部、導光部材及び被係止部を併せた全体としての肉厚の増加を抑制することができ、その結果、回転摘み内に形成された内部空間の大きさを維持することができる。しかも、周壁部の前記被係止部が挿入される部位が前記のように薄肉でありながら、固定用凹部における一対の対向面によって導光部の少なくとも前記径方向の外側部位を前記周方向の両外側から挟み込むと共に、固定用凹部の底面とその径方向内側に位置する保持部とによって導光部を前記径方向の両側から挟み込むことにより、導光部材の前記周方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で周壁部の内側に被係止部が挿入・係止されて周壁部に装飾部材が取り付けられることで、導光部材における規制部の当接部が先端側から周壁部に当接すると共に装飾部材のリング状部位が先端側から規制部に当接し、これにより摘み本体に対する導光部材の固定用凹部の延びる方向に沿った移動が規制される。即ち、装飾部材を利用して導光部材を拘束することにより摘み本体と導光部材との固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動が阻止され、これにより摘み本体に導光部材が安定した状態で保持される。
【００１３】
また、導光部材の発光面は、回転摘みをパネルに配設したときにパネルの前面から突出する摘み本体の周壁部よりも先端側において外部に露出するため、操作者が周壁部を摘んで回転摘みを回動操作する際にも当該発光面が指で隠れることがなく、よって発光面はその位置を視認し続けることが可能である。
【００１４】
このように、回転摘みは、周壁部の内側に被係止部を挿入する装飾部材を有していても、内部空間が十分に確保された状態で前記の安定した導光部材の保持を行いながら、発光面が周壁部よりも先端側で露出することにより十分な表示を行うことができる。
【００１５】
本発明に係る回転摘みにおいては、前記導光部材は、透光性を有する部材により形成され、前記発光面が前記入射面よりも透明度が低くなるように構成されるのが好ましい。
【００１６】
かかる構成によれば、発光面が発光していない状態においても、発光面の位置を容易に視認することができる。即ち、発光面の透明度が高いと、その非発光時に発光面を通してその周囲の部材の色が見え易いため発光面がその周囲の部材の色と同じ色に見え易く、これにより発光面と前記周囲の部材との識別が難しくなる。一方、発光面の透明度が低いと発光面を通してその周囲の部材の色が見え難くなるため発光面がその周囲の部材の色と同じ色に見え難く、これにより発光面が発光していなくても前記周囲の部材との識別が容易になる。
【００１７】
その一方、入射面側の透明度を高くすることにより、入射面から導光部に光が入射し易くなり、これにより発光面を効率よく発光させることが可能となる。
【００１８】
前記被係止部は、前記導光部材の導光部よりも先端側の部位の前記径方向の内側位置に、当該径方向の外側に向かって延びると共に前記装飾部材が前記周壁部に取り付けられることにより前記先端側の部位を前記周壁部に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する支持部を備えるのが好ましい。
【００１９】
このように導光部材の導光部と当該導光部よりも先端側の部位とにおいて前記径方向の移動がそれぞれ阻止されることにより、導光部材がより安定して摘み本体に保持される。即ち、固定用凹部の延びる方向に離れた位置においてそれぞれ前記径方向の移動が阻止されることにより、導光部材の径方向のぐらつきがより効果的に阻止される。
【発明の効果】
【００２０】
以上より、本発明によれば、装飾部材がその一部を摘み本体に挿入するようにして取り付けられても回転摘み内に十分な内部空間が確保されると共に、取り付けた後に導光部材が安定し且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本実施形態に係る回転摘みの分解斜視図である。
【図２】前記回転摘みにおける摘み本体の正面図である。
【図３】（ａ）は図２のＡ−Ａ断面図であり、（ｂ）は図２のＢ−Ｂ断面図である。
【図４】前記摘み本体における図３のＣ−Ｃ位置での端面図である。
【図５】（ａ）は前記摘み本体に装飾部材を取付けた状態の図２のＤ−Ｄ位置における断面図であり、（ｂ）は前記摘み本体に装飾部材とポインターとを配設した状態の図２のＤ−Ｄ位置における断面図である。
【図６】前記回転摘みにおける周壁部の係止用突起及び本体基部の係止用穴を通る直径に沿って切断した端面図である。
【図７】前記回転摘みのポインター（導光部材）であって、（ａ）は平面図であり、（ｂ）は図７（ａ）のＥ−Ｅ端面図である。
【図８】前記装飾部材であって、（ａ）は中央縦断面図であり、（ｂ）は図８（ａ）の一部拡大図である。
【図９】前記回転摘みを操作パネルに配設した状態であって、（ａ）は正面図であり、（ｂ）は底面図である。
【図１０】図９（ａ）のＦ−Ｆ拡大断面図である。
【図１１】従来の回転摘みの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【００２３】
本実施形態に係る回転摘み１０は、図１に示されるように、操作者が摘まんで回転操作する摘み本体１１と、この摘み本体１１の表示部を構成するポインター（導光部材）３０と、摘み本体１１の先端側に取り付けられる装飾部材４０と、摘み本体１１の後端側に取り付けられる接続部材５０とを備える。この回転摘み１０は、本実施形態では、その先端側が車室内の操作パネルＰの前面から突出すると共に回動可能に配設される（図９（ａ）乃至１０参照）。
【００２４】
摘み本体１１は、図２乃至図５（ｂ）にも示されるように、操作パネルＰの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部２０を有する。この周壁部２０の後端には、操作パネルＰの内側に配設可能な本体基部１２が接続されている。
【００２５】
周壁部２０は、径方向の厚さが小さい（即ち、薄肉の）円筒状の部位である。この周壁部２０の内周面２１の周方向における特定の位置に、当該周壁部２０の後端（即ち、本体基部１２）から先端に向って延び当該周壁部２０の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部２２が設けられる。この固定用凹部２２の先端側には固定用凹部２２よりも前記周方向に幅広な凹部である幅広凹部２３が連続して設けられる。
【００２６】
固定用凹部２２は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面２２ａと、これら対向面２２ａの前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面２２ｂとにより規定される。言い換えると、固定用凹部２２は、周壁部２０の中心軸Ｃ方向に沿って延び、幅及び深さが一定の溝状に形成される。この固定用凹部２２の前記径方向の内側には、ポインター３０の前記径方向のぐらつきを抑えるための保持部２４が設けられている。
【００２７】
保持部２４は、固定用凹部２２の底面２２ｂと共に前記径方向の両側からポインター３０を挟み込むことによりポインター３０の前記径方向のぐらつきを抑える部位である。本実施形態の保持部２４は、固定用凹部２２の後端部において当該固定用凹部２２を跨ぐように設けられている。そのため、固定用凹部２２にポインター３０が配置された状態では、この固定用凹部２２の後端側部位と保持部２４とによりポインター３０の中間部がその周方向の外側から囲まれた状態となる。
【００２８】
幅広凹部２３は、固定用凹部２２と共通の底面２２ｂを有し、固定用凹部２２と中心軸Ｃ方向に沿って連続する凹部である。この幅広凹部２３は、その後端に、ポインター３０の一部（後方当接部３６）が先端側から当接する後進規制部２３ａを有する。この後進規制部２３ａは、幅広凹部２３における固定用凹部２２の先端から前記周方向（幅方向）に広がっている部位に形成されている。具体的に、後進規制部２３ａは、幅広凹部２３の底面２２ｂ周縁から前記径方向の内側に向って立ち上がり且つ先端側を向いた面により構成されている。
【００２９】
また、周壁部２０の内周面２１には、固定用凹部２２以外に中心軸Ｃ方向に沿って延びる複数の突条２１ａが設けられている。これら複数の突条２１ａは、内周面２１に周方向に間隔をおいて設けられる（図４参照）。さらに周壁部２０の内周面２１には、前記径方向の中心に向かって突出する複数の係止用突起２１ｂが設けられている。これら係止用突起２１ｂは、内周面２１の周方向において、間隔をおいて隣り合う突条２１ａ同士の間に設けられる。これら突条２１ａと係止用突起２１ｂとは、摘み本体１１に装飾部材４０を取り付けるときに用いられる部位であり、突条２１ａは、装飾部材４０が周壁部２０の内側に挿入されるときに当該装飾部材４０の挿入方向をガイドする部位であり、係止用突起２１ｂは、周壁部２０の内側に装飾部材４０の被係止部４１を係止するための部位（図６参照）である。
【００３０】
周壁部２０の外周面２５には、滑り止め加工が施されている。本実施形態では、ローレット加工が施されている。
【００３１】
本体基部１２は、前記のように回転摘み１０が操作パネルＰに配設されたときに操作パネルＰの内側に位置する部位であり、外径が周壁部２０よりも大きな部位である。具体的に、本体基部１２は、周壁部２０の後端（本体基部１２側の端部）から前記径方向に拡がる立ち上がり部１３と、この立ち上がり部１３の立ち上がり方向の先端、即ち、環状の立ち上がり部１３の外周縁から後方側に延びる係止部１４とからなる。
【００３２】
係止部１４は、立ち上がり部１３の外周縁から後方に周壁部２０と平行に延びる短筒状の部位であり、接続部材５０が摘み本体１１に取り付けられるときにこの接続部材５０を係止する部位である。係止部１４には、周方向に沿って複数の切欠き１６が設けられている。各切欠き１６は、係止部１４の後端から先端側に向かって切欠かれている。また、係止部１４には、周方向に複数の係止用穴１７が設けられている。各係止用穴１７は、係止部１４を前記径方向に貫通する。
【００３３】
ポインター３０は、図７（ａ）及び図７（ｂ）にも示されるように、中心軸Ｃ方向に延びる略棒状の導光部材であり、導光部３１と規制部３２と発光部３３とを有する。
【００３４】
導光部３１は、固定用凹部２２内に少なくとも前記径方向の外側部位（図７（ｂ）における上側の部位）が嵌まり込むように当該固定用凹部２２に沿って延びる部位である。即ち、導光部３１は、固定用凹部２２の一対の対向面２２ａ間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面２２ａに沿って延びている。
【００３５】
具体的に、導光部３１の幅（図７（ａ）における上下方向の大きさ）は先端から後端まで一定であり、厚さ（図７（ｂ）における上下方向の大きさ）は後端側の部位の方が大きくなっている。この導光部３１の幅は、固定用凹部２２の一対の対向面２２ａの間隔に対応する大きさ、即ち、導光部３１が一対の対向面２２ａ間に嵌まり込んだときに、当該ポインター３０に前記周方向（幅方向）のぐらつきが生じないような大きさである。また、導光部３１は、固定用凹部２２にポインター３０を嵌め込んだときに、その後端部が周壁部２０よりも後端側に突出する長さ（図５（ｂ）における左右方向の大きさ）を有する。この後方側に突出する部位の後端には、ポインター３０内に光を入射させる入射面３４が設けられる。即ち、導光部３１の後端面が導光部３１（ポインター３０）内に入射する光の入射面３４を構成する。
【００３６】
さらに導光部３１は、中間部に当接面３５ａを有する。この当接面３５ａは、導光部３１の底面（前記径方向の内側面）３５のうち当該導光部３１の厚さ方向に突出した部位（面）であり、ポインター３０が固定用凹部２２内に嵌め込まれたときに保持部２４と当接する。この当接面３５ａは、図１０に示されるように、保持部２４における導光部３１の底面３５と対向する部位（面）２４ａの全体ではなく前記対向する部位２４ａの一部と当接する大きさを有する。このように保持部２４の前記対向する部位２４ａの一部に当接面３５ａが当接することによって、導光部３１と保持部２４との接触面積が小さくなり、ポインター３０を固定用凹部２２に嵌め込むときの摩擦力が小さくなって嵌め込み作業が容易になる。
【００３７】
規制部３２は、導光部３１の先端側に設けられ、摘み本体１１に対するポインター３０の固定用凹部２２の延びる方向に沿った移動を規制するための部位である。この規制部３２は、導光部３１の先端側で当該導光部３１よりも前記周方向に突出して周壁部２０（詳細には、幅広凹部２３の後進規制部２３ａ）に先端側から当接する後方当接部（当接部）３６を有する。具体的に、規制部３２は、ポインター３０における導光部３１の先端側に設けられ、この導光部３１よりも前記周方向の両外側にそれぞれ突出した幅広部位である。本実施形態の規制部３２は、平面視、略矩形状に形成されている（図７（ａ）参照）。この矩形状の規制部３２の先端の先端側を向いた面が前方当接部３７を構成し、規制部３２の後端の後端側を向いた面が前記の後方当接部３６を構成する。
【００３８】
発光部３３は、規制部３２の先端側に設けられ周壁部２０よりも先端側で回転摘み１０の外部に露出して導光部３１内に光が入射することにより発光する発光面３３ａを有する。この発光面３３ａは、発光部３３の先端部に設けられ、装飾部材４０のリング状部位４２の先端側に形成された面取り部４７と面一な傾斜面となっている。
【００３９】
以上のように構成されるポインター３０は、透光性を有する部材により形成されている。本実施形態では、ポインター３０は、後端側の透明度の高い部材と先端側の前記後端側よりも透明度の低い部材とで構成される（図５（ａ）及び図７に示すポインター３０のハッチングを参照）。具体的に、ポインター３０は、導光部３１及びこの導光部３１よりも前記周方向に突出した部位を除く規制部３２が透明度の高い部材により形成され、発光部３３及び規制部３２の前記突出した部位が導光部３１及び前記突出した部位を除く規制部３２よりも透明度が低い部材により形成されている。そのため、このポインター３０では発光面３３ａが入射面３４よりも透明度が低い。
【００４０】
装飾部材４０は、図８にも示されるように、円筒状の部材であり、被係止部４１と、この被係止部４１の先端側に設けられるリング状部位４２とを有する。この装飾部材４０は、当該装飾部材４０が周壁部２０に取り付けられてリング状部位４２が先端側からポインター３０の規制部３２（詳細には、規制部３２の前方当接部３７）に当接することにより、摘み本体１１とポインター３０との固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動を阻止する（図５（ｂ）参照）。尚、本実施形態の装飾部材４０には、表面全体にクロムメッキが施されている。
【００４１】
被係止部４１は、周壁部２０の内周面２１に沿って当該周壁部２０の内側に挿入されることで当該周壁部２０に係止される部位である。具体的に、被係止部４１は、周壁部２０の内周面２１の内径と対応する外径の外周面４３を有し（図６参照）、中心軸Ｃ方向の長さが、周壁部２０に取り付けたときに保持部２４と僅かに隙間が形成されるような大きさを有する（図１０参照）。
【００４２】
この被係止部４１は、ポインター３０の導光部３１よりも先端側の部位（本実施形態では、発光部３３の直後）の前記径方向の内側位置に支持部１４１を有する。この支持部１４１は、前記径方向の外側に向かって延びると共に装飾部材４０が周壁部２０に取り付けられることにより前記ポインター３０の先端側の部位を周壁部２０に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する（図１０参照）。具体的に、支持部１４１は、被係止部４１の先端部におけるリング状部位４２の切欠き４８と対応する位置で、且つ発光部３３の直後の位置に設けられる。
【００４３】
また、被係止部４１には、周壁部２０の内周面２１に設けられた突条２１ａと対応する位置に、当該突条２１ａに沿った切欠き４４が設けられている。この切欠き４４は、被係止部４１を周壁部２０の内側に挿入（嵌入）したときに、周壁部２０の内周面２１に設けられた突条２１ａがこの切欠き４４に入ることにより、装飾部材４０を突条２１ａに沿って真っ直ぐ後端側に案内する。
【００４４】
また、被係止部４１には、周壁部２０の内周面２１に設けられた係止用突起２１ｂと対応する位置に、係止用穴４５が設けられている。この係止用穴４５は、前記径方向に貫通する穴であり、その周方向両側には、後端から先端側に向って係止用切欠き４５ａが設けられている。この係止用切欠き４５ａの形成により、係止用穴４５の周縁部が後端を自由端とする舌片部４６として構成される。この舌片部４６の後端側端部は、被係止部４１が周壁部２０の内側に挿入されたときに、前記径方向内側に撓んで係止用突起２１ｂの通過を許容し、その後、初期位置に復帰する。これにより、装飾部材４０の係止用穴４５に周壁部２０の係止用突起２１ｂが係止される（図６参照）。即ち、装飾部材４０が摘み本体１１に係止される。
【００４５】
リング状部位４２は、被係止部４１が周壁部２０に係止されることで当該周壁部２０を先端側から外部に露出した状態で覆う部位である。このリング状部位４２は、周壁部２０の先端側に位置し、周壁部２０の先端から前方へ進むに従って前記径方向の内側に向う傾斜面（面取り部）４７を有する。リング状部位４２におけるポインター３０の先端の発光部３３と対応する位置には、切欠き４８が設けられている。この切欠き４８は、ポインター３０の先端部、即ち、発光部３３が嵌まり込むような間隔を有している。この切欠き４８に周壁部２０から突出した発光部３３の先端が嵌まり込む。このとき、発光部３３の発光面３３ａと面取り部（傾斜面）４７とが同じ傾斜角を有しているため、両面４７，３３ａは、滑らかにつながる（図９（ｂ）参照）。この面取り部４７が囲う開口４９には、回転摘み１０を操作パネルＰに配設するときに、この開口４９を塞ぐように蓋部材ｆ（図９（ａ）乃至図１０参照）が嵌め込まれる。
【００４６】
接続部材５０は、回転摘み１０を操作パネルＰに配設したときに、回転摘み１０と、当該回転摘み１０によって操作する機器（図示省略）から延びる回転軸Ｇ（図１０参照）と、を接続するための部材である。具体的に、接続部材５０は、図１及び図６に戻り、短筒状の部材であり、先端側に設けられ本体基部１２の係止部１４内に嵌入可能な嵌入部５１を有する。嵌入部５１は、本体基部１２の係止部１４の内周面の内径と対応する外径の外周面を有する。嵌入部５１の外周面には、本体基部１２の係止部１４に設けられた切欠き部１６に対応する位置に、この切欠き部１６に沿って延びる突条５２が設けられている。
【００４７】
また、嵌入部５１の外周面には、本体基部１２の係止部１４の係止用穴１７と対応する位置に、前記径方向外側に突出する係止用突起５４が設けられている。これにより係止部１４の係止用穴１７に接続部材５０の係止用突起５４が係合して、接続部材５０が摘み本体１１に係止される。このとき、ポインター３０の後端、即ち、導光部３１の後端の入射面３４は、接続部材５０により覆われることなく開放された状態となっている（図１０参照）。
【００４８】
このように構成される回転摘み１０は、図９（ａ）乃至図１０に示されるように、車室内の操作パネルＰに設けられた穴から周壁部２０の先端側が突出するように配設される。このとき装飾部材４０の開口４９には蓋部材ｆが嵌め込まれ、中空の回転摘み１０の内部には回転軸Ｇが挿入され、この回転軸Ｇを回転中心にして回転摘み１０が回動可能となる。ポインター３０の導光部３１の後端に位置する入射面３４と対向する位置に光源Ｌが配設される。この光源Ｌは回転摘み１０が回転操作されたときに、入射面３４と共に回転移動し、常に入射面３４と対向するように取り付けられている。この光源Ｌからの光が入射面３４からポインター３０（導光部３１）内に入射し、導光部３１によって発光部３３まで導光された後、発光部３３の内部で拡散され、これにより発光部３３の発光面３３ａが発光する。
【００４９】
以上の回転摘み１０によれば、周壁部２０の内側に被係止部４１が挿入される装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束することにより、周壁部２０の肉厚を増やすことなくポインター３０を安定した状態で取り付け且つ十分な表示を行うことができる。
【００５０】
具体的に、被係止部４１がポインター３０の前記径方向の内側に位置している周壁部２０の部位では、凹部（即ち、固定用凹部）２２によって導光部３１を位置決めすることで、周壁部２０の肉厚を増やして前記導光部３１をその周方向の外側から囲うようにして位置決めしなくても効果的に位置決めでき、これにより被係止部４１が前記径方向の内側に位置しても回転摘み１０全体としての肉厚の増加を抑制することが可能となる。一方、このような周壁部２０と薄肉のポインター３０とであっても、摘み本体１１の周壁部２０の内周面２１に設けられた固定用凹部２２を利用してポインター３０の導光部３１を前記周方向から挟み込むと共に当該導光部３１を前記径方向から挟み込み、且つ装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束して摘み本体１１に対する固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動を阻止することにより、摘み本体１１に対してポインター３０が安定した状態で取り付けられる。
【００５１】
詳細には、周壁部２０の内側に挿入された被係止部４１がポインター３０の前記径方向の内側に位置する周壁部２０の部位では、固定用凹部２２により導光部３１が位置決めされることで導光部３１の前記径方向の内側が開放された状態となり、当該導光部３１がその周方向の外側から囲われる場合よりも周壁部２０が薄肉となる。そして、この周壁部２０の部位において、導光部３１の前記径方向の内側近傍に被係止部４１が配設されることで、前記径方向において、周壁部２０、ポインター３０及び被係止部４１を併せた全体としての肉厚の増加を抑制することができ、その結果、回転摘み１０内に形成された内部空間の大きさを維持することができる。しかも、周壁部２０の前記被係止部４１が挿入される部位が前記のように薄肉でありながら、固定用凹部２２における一対の対向面２２ａによって導光部３１の少なくとも前記径方向の外側部位を前記周方向の両外側から挟み込むと共に、固定用凹部２２の底面２２ｂとその径方向内側に位置する保持部２４とによって導光部３１を前記径方向の両側から挟み込むことにより、ポインター３０の前記周方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で周壁部２０の内側に被係止部４１が挿入・係止されて周壁部２０に装飾部材４０が取り付けられることで、ポインター３０における規制部３２の後方当接部３６が先端側から周壁部２０（詳細には、幅広凹部２３の後進規制部２３ａ）に当接すると共に装飾部材４０のリング状部位４２が先端側から規制部３２（詳細には規制部３２の前方当接部３７）に当接し、これにより摘み本体１１に対するポインター３０の固定用凹部２２の延びる方向に沿った移動が規制される。即ち、装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束することにより摘み本体１１とポインター３０との固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動が阻止され、これにより摘み本体１１にポインター３０が安定した状態で保持される。
【００５２】
また、ポインター３０の発光部３３における発光面３３ａは、回転摘み１０を操作パネルＰに配設したときに操作パネルＰの前面から突出する摘み本体１１の周壁部２０よりも先端側において外部に露出するため（図９（ｂ）参照）、操作者が周壁部２０を摘んで回転摘み１０を回動操作する際にも当該発光面３３ａが指で隠れることがなく、よって発光面３３ａはその位置を視認し続けることが可能である。
【００５３】
このように、回転摘み１０は、周壁部２０の内側に被係止部４１を挿入する装飾部材４０を有していても、内部空間が十分に確保された状態で前記の安定したポインター３０の保持を行いながら、発光面３３ａが周壁部２０よりも先端側で露出することにより十分な表示を行うことができる。
【００５４】
また、本実施形態では、ポインター３０が透光性を有する部材により形成され、発光面３３ａが入射面３４よりも透明度が低くなるように構成されることで、発光面３３ａが発光していない状態においても、発光面３３ａの位置を容易に視認することができる。即ち、発光面３３ａの透明度が高いと、その非発光時に発光面３３ａを通してその周囲の部材の色が見え易いため発光面３３ａがその周囲の部材の色と同じ色に見え易く、これにより発光面３３ａと前記周囲の部材との識別が難しくなる。一方、発光面３３ａの透明度が低いと発光面３３ａを通してその周囲の部材の色が見え難くなるため発光面３３ａがその周囲の部材の色と同じ色に見え難く、これにより発光面３３ａが発光していなくても前記周囲の部材との識別が容易になる。
【００５５】
その一方、入射面３４側の透明度を高くすることにより、入射面３４から導光部３１に光が入射し易くなり、これにより発光面３３ａを効率よく発光させることが可能となる。
【００５６】
また、本実施形態では、被係止部４１が支持部１４１を備えているため、ポインター３０の導光部３１と当該導光部３１よりも先端側の部位（規制部３２の先端部位）とにおいて前記径方向の移動がそれぞれ阻止されることにより、ポインター３０がより安定して摘み本体１１に保持される。即ち、固定用凹部２２の延びる方向に離れた位置においてそれぞれ前記径方向の移動が阻止されることにより、ポインター３０径方向のぐらつきがより効果的に阻止される。
【００５７】
尚、本発明の回転摘みは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【００５８】
上記実施形態では、周壁部２０は、中心軸Ｃ方向の各位置において直径が一定の円筒状に形成されているが、これに限定されず、先端に向って直径の小さくなる円錐台の周面のような形状の周壁であってもよい。また、周壁部２０は、円筒状である必要もなく、多角形の筒状であってもよい。
【００５９】
上記実施形態のポインター３０の規制部３２では、前方当接部３７と後方当接部３６との間が連続するように形成されているが、前方当接部３７と後方当接部３６との間が連続していなくてもよい。即ち、中心軸Ｃ方向において、前方当接部３７の位置と後方当接部３６との位置に導光部３１よりも前記周方向に突出する部位がそれぞれ設けられてもよい。
【符号の説明】
【００６０】
１０ 回転摘み
１１ 摘み本体
２０ 周壁部
２１ 内周面
２２ 固定用凹部
２２ａ 一対の対向面
２２ｂ 底面
２４ 保持部
３０ ポインター（導光部材）
３１ 導光部
３２ 規制部
３３ａ 発光面
３４ 入射面
３６ 後方当接部（当接部）
４０ 装飾部材
４１ 被係止部
４２ リング状部位
１４１ 支持部
Ｐ 操作パネル（パネル）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車室内の操作パネル等に回動可能に配設される回転摘みに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から回転摘みとして特許文献１に記載のものが知られている。この回転摘みは、摘み本体と、その適当な箇所に設けられる発光部とを備え、当該発光部の位置を見ることにより回転摘みの回転量を把握し易くしたものである。
【０００３】
具体的には、図１１に示されるように、回転摘み１００は、操作者等が摘んで回転操作する摘み本体１０１と、発光部を構成する導光部材１０２とを備える。摘み本体１０１は、円柱形の外形を有し、先端面１０１ａから周面１０１ｂにかけて切欠き部１０３が設けられている。導光部材１０２は、その内部に光が入射するとこの光が拡散されて当該導光部材１０２の表面が発光する素材で形成され、摘み本体１０１の切欠き部１０３に嵌入可能な外形を有する。
【０００４】
このような回転摘み１００は機器の操作パネル等に回動可能に配設され、操作パネル内側の光源等によって導光部材１０２に光が照射されることにより回転摘み１００の発光部（導光部材１０２）が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】実開昭６２−３０１８９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
回転摘みが配設される機器によっては、中空構造のもの、即ち、その摘み本体が薄肉の円筒状であるものが求められる場合がある。このような回転摘みでは、摘み本体が薄肉の円筒状であることから、この摘み本体に取り付けられる導光部材の厚さ（即ち、径方向の寸法）も小さくする必要がある。かかる薄肉の導光部材を同じく薄肉の摘み本体に対して安定して取り付けることは難しく、その安定性の確保が重要な課題となる。
【０００７】
また、前記の薄肉の摘み本体を備える回転摘みが、摘み本体内側にその一部を挿入するようにして取り付けられる装飾部材を有する場合には、前記装飾部材の挿入部位によって回転摘みの内部空間が狭くなるため、前記導光部材の安定性の確保に加え、前記装飾部材が取り付けられても十分な大きさの内部空間を確保できる回転摘みの薄肉構造の実現も重要な課題となる。具体的には、例えば前記装飾部材が当該装飾部材の固定のために摘み本体内に挿入される円筒状の挿入部を有し、この挿入部が摘み本体の内周面に沿ってその内側に挿入されて当該装飾部材が摘み本体に取り付けられたときに、円筒状の摘み本体の内側にさらに円筒状の挿入部が存在することとなり、摘み本体のみの場合よりも内部空間が小さくなる。
【０００８】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、装飾部材がその一部を摘み本体に挿入するようにして取り付けられても回転摘み内に十分な内部空間が確保されると共に、取り付けた後に導光部材が安定し且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、パネルに回動可能に配設可能な回転摘みであって、前記パネルの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部を有し、この周壁部の内周面の周方向における特定の位置に当該周壁部の後端から先端に向って延び当該周壁部の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部が設けられた摘み本体と、前記固定用凹部内に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該固定用凹部に沿って延びる導光部とこの導光部の先端側に設けられ前記摘み本体に対する前記固定用凹部の延びる方向に沿った移動を規制するための規制部とこの規制部の先端側に設けられ前記周壁部よりも先端側で当該回転摘みの外部に露出して前記導光部内に光が入射することにより発光する発光面とを有し、前記導光部の後端面が前記光の入射面を構成する導光部材と、前記周壁部の内周面に沿って当該周壁部の内側に挿入されることで当該周壁部に係止される被係止部とこの被係止部が前記係止されることで当該周壁部を先端側から外部に露出した状態で覆うリング状部位とを有する装飾部材と、を備え、前記固定用凹部は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面とこれら対向面の前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面とによって規定され、前記導光部材では、前記導光部が前記一対の対向面間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面に沿って延び、前記規制部が前記導光部の先端側で当該導光部よりも前記周方向に突出して前記周壁部に先端側から当接する当接部を有し、前記装飾部材は、前記被係止部が前記周方向において少なくとも前記導光部材の前記径方向の内側に位置するように設けられ、当該装飾部材が前記周壁部に取り付けられて前記リング状部位が先端側から前記導光部材の規制部に当接することにより前記摘み本体と前記導光部材との前記固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止し、前記周壁部は、前記固定用凹部の前記径方向の内側に設けられ前記固定用凹部の底面と共に前記径方向の両側から前記導光部を挟み込む保持部を有することを特徴とする。
【００１０】
かかる構成によれば、周壁部の内側に挿入される装飾部材を利用して導光部材が拘束されることにより、周壁部の肉厚を増やすことなく導光部材が安定した状態で取り付けられ且つ十分な表示を行うことができる。
【００１１】
具体的に、被係止部が導光部材の前記径方向の内側に位置している周壁部の部位では、凹部（即ち、固定用凹部）によって導光部を位置決めすることで、周壁部の肉厚を増やして前記導光部をその周方向の外側から囲うようにして位置決めしなくても効果的に位置決めでき、これにより被係止部が前記径方向の内側に位置しても回転摘み全体としての肉厚の増加を抑制することが可能となる。一方、このような周壁部と薄肉の導光部材とであっても、摘み本体の周壁部の内周面に設けられた固定用凹部を利用して前記導光部材の導光部を前記周方向から挟み込むと共に当該導光部を前記径方向から挟み込み、且つ前記装飾部材を利用して導光部材を拘束して摘み本体に対する固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止することにより、摘み本体に対して導光部材が安定した状態で取り付けられる。
【００１２】
詳細には、周壁部の内側に挿入された被係止部が導光部材の前記径方向の内側に位置する周壁部の部位では、固定用凹部により導光部が位置決めされることで導光部の前記径方向の内側が開放された状態となり、当該導光部がその周方向の外側から囲われる場合よりも周壁部が薄肉となる。そして、この周壁部の部位において、導光部の前記径方向の内側近傍に被係止部が配設されることで、前記径方向において、周壁部、導光部材及び被係止部を併せた全体としての肉厚の増加を抑制することができ、その結果、回転摘み内に形成された内部空間の大きさを維持することができる。しかも、周壁部の前記被係止部が挿入される部位が前記のように薄肉でありながら、固定用凹部における一対の対向面によって導光部の少なくとも前記径方向の外側部位を前記周方向の両外側から挟み込むと共に、固定用凹部の底面とその径方向内側に位置する保持部とによって導光部を前記径方向の両側から挟み込むことにより、導光部材の前記周方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で周壁部の内側に被係止部が挿入・係止されて周壁部に装飾部材が取り付けられることで、導光部材における規制部の当接部が先端側から周壁部に当接すると共に装飾部材のリング状部位が先端側から規制部に当接し、これにより摘み本体に対する導光部材の固定用凹部の延びる方向に沿った移動が規制される。即ち、装飾部材を利用して導光部材を拘束することにより摘み本体と導光部材との固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動が阻止され、これにより摘み本体に導光部材が安定した状態で保持される。
【００１３】
また、導光部材の発光面は、回転摘みをパネルに配設したときにパネルの前面から突出する摘み本体の周壁部よりも先端側において外部に露出するため、操作者が周壁部を摘んで回転摘みを回動操作する際にも当該発光面が指で隠れることがなく、よって発光面はその位置を視認し続けることが可能である。
【００１４】
このように、回転摘みは、周壁部の内側に被係止部を挿入する装飾部材を有していても、内部空間が十分に確保された状態で前記の安定した導光部材の保持を行いながら、発光面が周壁部よりも先端側で露出することにより十分な表示を行うことができる。
【００１５】
本発明に係る回転摘みにおいては、前記導光部材は、透光性を有する部材により形成され、前記発光面が前記入射面よりも透明度が低くなるように構成されるのが好ましい。
【００１６】
かかる構成によれば、発光面が発光していない状態においても、発光面の位置を容易に視認することができる。即ち、発光面の透明度が高いと、その非発光時に発光面を通してその周囲の部材の色が見え易いため発光面がその周囲の部材の色と同じ色に見え易く、これにより発光面と前記周囲の部材との識別が難しくなる。一方、発光面の透明度が低いと発光面を通してその周囲の部材の色が見え難くなるため発光面がその周囲の部材の色と同じ色に見え難く、これにより発光面が発光していなくても前記周囲の部材との識別が容易になる。
【００１７】
その一方、入射面側の透明度を高くすることにより、入射面から導光部に光が入射し易くなり、これにより発光面を効率よく発光させることが可能となる。
【００１８】
前記被係止部は、前記導光部材の導光部よりも先端側の部位の前記径方向の内側位置に、当該径方向の外側に向かって延びると共に前記装飾部材が前記周壁部に取り付けられることにより前記先端側の部位を前記周壁部に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する支持部を備えるのが好ましい。
【００１９】
このように導光部材の導光部と当該導光部よりも先端側の部位とにおいて前記径方向の移動がそれぞれ阻止されることにより、導光部材がより安定して摘み本体に保持される。即ち、固定用凹部の延びる方向に離れた位置においてそれぞれ前記径方向の移動が阻止されることにより、導光部材の径方向のぐらつきがより効果的に阻止される。
【発明の効果】
【００２０】
以上より、本発明によれば、装飾部材がその一部を摘み本体に挿入するようにして取り付けられても回転摘み内に十分な内部空間が確保されると共に、取り付けた後に導光部材が安定し且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本実施形態に係る回転摘みの分解斜視図である。
【図２】前記回転摘みにおける摘み本体の正面図である。
【図３】（ａ）は図２のＡ−Ａ断面図であり、（ｂ）は図２のＢ−Ｂ断面図である。
【図４】前記摘み本体における図３のＣ−Ｃ位置での端面図である。
【図５】（ａ）は前記摘み本体に装飾部材を取付けた状態の図２のＤ−Ｄ位置における断面図であり、（ｂ）は前記摘み本体に装飾部材とポインターとを配設した状態の図２のＤ−Ｄ位置における断面図である。
【図６】前記回転摘みにおける周壁部の係止用突起及び本体基部の係止用穴を通る直径に沿って切断した端面図である。
【図７】前記回転摘みのポインター（導光部材）であって、（ａ）は平面図であり、（ｂ）は図７（ａ）のＥ−Ｅ端面図である。
【図８】前記装飾部材であって、（ａ）は中央縦断面図であり、（ｂ）は図８（ａ）の一部拡大図である。
【図９】前記回転摘みを操作パネルに配設した状態であって、（ａ）は正面図であり、（ｂ）は底面図である。
【図１０】図９（ａ）のＦ−Ｆ拡大断面図である。
【図１１】従来の回転摘みの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【００２３】
本実施形態に係る回転摘み１０は、図１に示されるように、操作者が摘まんで回転操作する摘み本体１１と、この摘み本体１１の表示部を構成するポインター（導光部材）３０と、摘み本体１１の先端側に取り付けられる装飾部材４０と、摘み本体１１の後端側に取り付けられる接続部材５０とを備える。この回転摘み１０は、本実施形態では、その先端側が車室内の操作パネルＰの前面から突出すると共に回動可能に配設される（図９（ａ）乃至１０参照）。
【００２４】
摘み本体１１は、図２乃至図５（ｂ）にも示されるように、操作パネルＰの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部２０を有する。この周壁部２０の後端には、操作パネルＰの内側に配設可能な本体基部１２が接続されている。
【００２５】
周壁部２０は、径方向の厚さが小さい（即ち、薄肉の）円筒状の部位である。この周壁部２０の内周面２１の周方向における特定の位置に、当該周壁部２０の後端（即ち、本体基部１２）から先端に向って延び当該周壁部２０の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部２２が設けられる。この固定用凹部２２の先端側には固定用凹部２２よりも前記周方向に幅広な凹部である幅広凹部２３が連続して設けられる。
【００２６】
固定用凹部２２は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面２２ａと、これら対向面２２ａの前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面２２ｂとにより規定される。言い換えると、固定用凹部２２は、周壁部２０の中心軸Ｃ方向に沿って延び、幅及び深さが一定の溝状に形成される。この固定用凹部２２の前記径方向の内側には、ポインター３０の前記径方向のぐらつきを抑えるための保持部２４が設けられている。
【００２７】
保持部２４は、固定用凹部２２の底面２２ｂと共に前記径方向の両側からポインター３０を挟み込むことによりポインター３０の前記径方向のぐらつきを抑える部位である。本実施形態の保持部２４は、固定用凹部２２の後端部において当該固定用凹部２２を跨ぐように設けられている。そのため、固定用凹部２２にポインター３０が配置された状態では、この固定用凹部２２の後端側部位と保持部２４とによりポインター３０の中間部がその周方向の外側から囲まれた状態となる。
【００２８】
幅広凹部２３は、固定用凹部２２と共通の底面２２ｂを有し、固定用凹部２２と中心軸Ｃ方向に沿って連続する凹部である。この幅広凹部２３は、その後端に、ポインター３０の一部（後方当接部３６）が先端側から当接する後進規制部２３ａを有する。この後進規制部２３ａは、幅広凹部２３における固定用凹部２２の先端から前記周方向（幅方向）に広がっている部位に形成されている。具体的に、後進規制部２３ａは、幅広凹部２３の底面２２ｂ周縁から前記径方向の内側に向って立ち上がり且つ先端側を向いた面により構成されている。
【００２９】
また、周壁部２０の内周面２１には、固定用凹部２２以外に中心軸Ｃ方向に沿って延びる複数の突条２１ａが設けられている。これら複数の突条２１ａは、内周面２１に周方向に間隔をおいて設けられる（図４参照）。さらに周壁部２０の内周面２１には、前記径方向の中心に向かって突出する複数の係止用突起２１ｂが設けられている。これら係止用突起２１ｂは、内周面２１の周方向において、間隔をおいて隣り合う突条２１ａ同士の間に設けられる。これら突条２１ａと係止用突起２１ｂとは、摘み本体１１に装飾部材４０を取り付けるときに用いられる部位であり、突条２１ａは、装飾部材４０が周壁部２０の内側に挿入されるときに当該装飾部材４０の挿入方向をガイドする部位であり、係止用突起２１ｂは、周壁部２０の内側に装飾部材４０の被係止部４１を係止するための部位（図６参照）である。
【００３０】
周壁部２０の外周面２５には、滑り止め加工が施されている。本実施形態では、ローレット加工が施されている。
【００３１】
本体基部１２は、前記のように回転摘み１０が操作パネルＰに配設されたときに操作パネルＰの内側に位置する部位であり、外径が周壁部２０よりも大きな部位である。具体的に、本体基部１２は、周壁部２０の後端（本体基部１２側の端部）から前記径方向に拡がる立ち上がり部１３と、この立ち上がり部１３の立ち上がり方向の先端、即ち、環状の立ち上がり部１３の外周縁から後方側に延びる係止部１４とからなる。
【００３２】
係止部１４は、立ち上がり部１３の外周縁から後方に周壁部２０と平行に延びる短筒状の部位であり、接続部材５０が摘み本体１１に取り付けられるときにこの接続部材５０を係止する部位である。係止部１４には、周方向に沿って複数の切欠き１６が設けられている。各切欠き１６は、係止部１４の後端から先端側に向かって切欠かれている。また、係止部１４には、周方向に複数の係止用穴１７が設けられている。各係止用穴１７は、係止部１４を前記径方向に貫通する。
【００３３】
ポインター３０は、図７（ａ）及び図７（ｂ）にも示されるように、中心軸Ｃ方向に延びる略棒状の導光部材であり、導光部３１と規制部３２と発光部３３とを有する。
【００３４】
導光部３１は、固定用凹部２２内に少なくとも前記径方向の外側部位（図７（ｂ）における上側の部位）が嵌まり込むように当該固定用凹部２２に沿って延びる部位である。即ち、導光部３１は、固定用凹部２２の一対の対向面２２ａ間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面２２ａに沿って延びている。
【００３５】
具体的に、導光部３１の幅（図７（ａ）における上下方向の大きさ）は先端から後端まで一定であり、厚さ（図７（ｂ）における上下方向の大きさ）は後端側の部位の方が大きくなっている。この導光部３１の幅は、固定用凹部２２の一対の対向面２２ａの間隔に対応する大きさ、即ち、導光部３１が一対の対向面２２ａ間に嵌まり込んだときに、当該ポインター３０に前記周方向（幅方向）のぐらつきが生じないような大きさである。また、導光部３１は、固定用凹部２２にポインター３０を嵌め込んだときに、その後端部が周壁部２０よりも後端側に突出する長さ（図５（ｂ）における左右方向の大きさ）を有する。この後方側に突出する部位の後端には、ポインター３０内に光を入射させる入射面３４が設けられる。即ち、導光部３１の後端面が導光部３１（ポインター３０）内に入射する光の入射面３４を構成する。
【００３６】
さらに導光部３１は、中間部に当接面３５ａを有する。この当接面３５ａは、導光部３１の底面（前記径方向の内側面）３５のうち当該導光部３１の厚さ方向に突出した部位（面）であり、ポインター３０が固定用凹部２２内に嵌め込まれたときに保持部２４と当接する。この当接面３５ａは、図１０に示されるように、保持部２４における導光部３１の底面３５と対向する部位（面）２４ａの全体ではなく前記対向する部位２４ａの一部と当接する大きさを有する。このように保持部２４の前記対向する部位２４ａの一部に当接面３５ａが当接することによって、導光部３１と保持部２４との接触面積が小さくなり、ポインター３０を固定用凹部２２に嵌め込むときの摩擦力が小さくなって嵌め込み作業が容易になる。
【００３７】
規制部３２は、導光部３１の先端側に設けられ、摘み本体１１に対するポインター３０の固定用凹部２２の延びる方向に沿った移動を規制するための部位である。この規制部３２は、導光部３１の先端側で当該導光部３１よりも前記周方向に突出して周壁部２０（詳細には、幅広凹部２３の後進規制部２３ａ）に先端側から当接する後方当接部（当接部）３６を有する。具体的に、規制部３２は、ポインター３０における導光部３１の先端側に設けられ、この導光部３１よりも前記周方向の両外側にそれぞれ突出した幅広部位である。本実施形態の規制部３２は、平面視、略矩形状に形成されている（図７（ａ）参照）。この矩形状の規制部３２の先端の先端側を向いた面が前方当接部３７を構成し、規制部３２の後端の後端側を向いた面が前記の後方当接部３６を構成する。
【００３８】
発光部３３は、規制部３２の先端側に設けられ周壁部２０よりも先端側で回転摘み１０の外部に露出して導光部３１内に光が入射することにより発光する発光面３３ａを有する。この発光面３３ａは、発光部３３の先端部に設けられ、装飾部材４０のリング状部位４２の先端側に形成された面取り部４７と面一な傾斜面となっている。
【００３９】
以上のように構成されるポインター３０は、透光性を有する部材により形成されている。本実施形態では、ポインター３０は、後端側の透明度の高い部材と先端側の前記後端側よりも透明度の低い部材とで構成される（図５（ａ）及び図７に示すポインター３０のハッチングを参照）。具体的に、ポインター３０は、導光部３１及びこの導光部３１よりも前記周方向に突出した部位を除く規制部３２が透明度の高い部材により形成され、発光部３３及び規制部３２の前記突出した部位が導光部３１及び前記突出した部位を除く規制部３２よりも透明度が低い部材により形成されている。そのため、このポインター３０では発光面３３ａが入射面３４よりも透明度が低い。
【００４０】
装飾部材４０は、図８にも示されるように、円筒状の部材であり、被係止部４１と、この被係止部４１の先端側に設けられるリング状部位４２とを有する。この装飾部材４０は、当該装飾部材４０が周壁部２０に取り付けられてリング状部位４２が先端側からポインター３０の規制部３２（詳細には、規制部３２の前方当接部３７）に当接することにより、摘み本体１１とポインター３０との固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動を阻止する（図５（ｂ）参照）。尚、本実施形態の装飾部材４０には、表面全体にクロムメッキが施されている。
【００４１】
被係止部４１は、周壁部２０の内周面２１に沿って当該周壁部２０の内側に挿入されることで当該周壁部２０に係止される部位である。具体的に、被係止部４１は、周壁部２０の内周面２１の内径と対応する外径の外周面４３を有し（図６参照）、中心軸Ｃ方向の長さが、周壁部２０に取り付けたときに保持部２４と僅かに隙間が形成されるような大きさを有する（図１０参照）。
【００４２】
この被係止部４１は、ポインター３０の導光部３１よりも先端側の部位（本実施形態では、発光部３３の直後）の前記径方向の内側位置に支持部１４１を有する。この支持部１４１は、前記径方向の外側に向かって延びると共に装飾部材４０が周壁部２０に取り付けられることにより前記ポインター３０の先端側の部位を周壁部２０に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する（図１０参照）。具体的に、支持部１４１は、被係止部４１の先端部におけるリング状部位４２の切欠き４８と対応する位置で、且つ発光部３３の直後の位置に設けられる。
【００４３】
また、被係止部４１には、周壁部２０の内周面２１に設けられた突条２１ａと対応する位置に、当該突条２１ａに沿った切欠き４４が設けられている。この切欠き４４は、被係止部４１を周壁部２０の内側に挿入（嵌入）したときに、周壁部２０の内周面２１に設けられた突条２１ａがこの切欠き４４に入ることにより、装飾部材４０を突条２１ａに沿って真っ直ぐ後端側に案内する。
【００４４】
また、被係止部４１には、周壁部２０の内周面２１に設けられた係止用突起２１ｂと対応する位置に、係止用穴４５が設けられている。この係止用穴４５は、前記径方向に貫通する穴であり、その周方向両側には、後端から先端側に向って係止用切欠き４５ａが設けられている。この係止用切欠き４５ａの形成により、係止用穴４５の周縁部が後端を自由端とする舌片部４６として構成される。この舌片部４６の後端側端部は、被係止部４１が周壁部２０の内側に挿入されたときに、前記径方向内側に撓んで係止用突起２１ｂの通過を許容し、その後、初期位置に復帰する。これにより、装飾部材４０の係止用穴４５に周壁部２０の係止用突起２１ｂが係止される（図６参照）。即ち、装飾部材４０が摘み本体１１に係止される。
【００４５】
リング状部位４２は、被係止部４１が周壁部２０に係止されることで当該周壁部２０を先端側から外部に露出した状態で覆う部位である。このリング状部位４２は、周壁部２０の先端側に位置し、周壁部２０の先端から前方へ進むに従って前記径方向の内側に向う傾斜面（面取り部）４７を有する。リング状部位４２におけるポインター３０の先端の発光部３３と対応する位置には、切欠き４８が設けられている。この切欠き４８は、ポインター３０の先端部、即ち、発光部３３が嵌まり込むような間隔を有している。この切欠き４８に周壁部２０から突出した発光部３３の先端が嵌まり込む。このとき、発光部３３の発光面３３ａと面取り部（傾斜面）４７とが同じ傾斜角を有しているため、両面４７，３３ａは、滑らかにつながる（図９（ｂ）参照）。この面取り部４７が囲う開口４９には、回転摘み１０を操作パネルＰに配設するときに、この開口４９を塞ぐように蓋部材ｆ（図９（ａ）乃至図１０参照）が嵌め込まれる。
【００４６】
接続部材５０は、回転摘み１０を操作パネルＰに配設したときに、回転摘み１０と、当該回転摘み１０によって操作する機器（図示省略）から延びる回転軸Ｇ（図１０参照）と、を接続するための部材である。具体的に、接続部材５０は、図１及び図６に戻り、短筒状の部材であり、先端側に設けられ本体基部１２の係止部１４内に嵌入可能な嵌入部５１を有する。嵌入部５１は、本体基部１２の係止部１４の内周面の内径と対応する外径の外周面を有する。嵌入部５１の外周面には、本体基部１２の係止部１４に設けられた切欠き部１６に対応する位置に、この切欠き部１６に沿って延びる突条５２が設けられている。
【００４７】
また、嵌入部５１の外周面には、本体基部１２の係止部１４の係止用穴１７と対応する位置に、前記径方向外側に突出する係止用突起５４が設けられている。これにより係止部１４の係止用穴１７に接続部材５０の係止用突起５４が係合して、接続部材５０が摘み本体１１に係止される。このとき、ポインター３０の後端、即ち、導光部３１の後端の入射面３４は、接続部材５０により覆われることなく開放された状態となっている（図１０参照）。
【００４８】
このように構成される回転摘み１０は、図９（ａ）乃至図１０に示されるように、車室内の操作パネルＰに設けられた穴から周壁部２０の先端側が突出するように配設される。このとき装飾部材４０の開口４９には蓋部材ｆが嵌め込まれ、中空の回転摘み１０の内部には回転軸Ｇが挿入され、この回転軸Ｇを回転中心にして回転摘み１０が回動可能となる。ポインター３０の導光部３１の後端に位置する入射面３４と対向する位置に光源Ｌが配設される。この光源Ｌは回転摘み１０が回転操作されたときに、入射面３４と共に回転移動し、常に入射面３４と対向するように取り付けられている。この光源Ｌからの光が入射面３４からポインター３０（導光部３１）内に入射し、導光部３１によって発光部３３まで導光された後、発光部３３の内部で拡散され、これにより発光部３３の発光面３３ａが発光する。
【００４９】
以上の回転摘み１０によれば、周壁部２０の内側に被係止部４１が挿入される装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束することにより、周壁部２０の肉厚を増やすことなくポインター３０を安定した状態で取り付け且つ十分な表示を行うことができる。
【００５０】
具体的に、被係止部４１がポインター３０の前記径方向の内側に位置している周壁部２０の部位では、凹部（即ち、固定用凹部）２２によって導光部３１を位置決めすることで、周壁部２０の肉厚を増やして前記導光部３１をその周方向の外側から囲うようにして位置決めしなくても効果的に位置決めでき、これにより被係止部４１が前記径方向の内側に位置しても回転摘み１０全体としての肉厚の増加を抑制することが可能となる。一方、このような周壁部２０と薄肉のポインター３０とであっても、摘み本体１１の周壁部２０の内周面２１に設けられた固定用凹部２２を利用してポインター３０の導光部３１を前記周方向から挟み込むと共に当該導光部３１を前記径方向から挟み込み、且つ装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束して摘み本体１１に対する固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動を阻止することにより、摘み本体１１に対してポインター３０が安定した状態で取り付けられる。
【００５１】
詳細には、周壁部２０の内側に挿入された被係止部４１がポインター３０の前記径方向の内側に位置する周壁部２０の部位では、固定用凹部２２により導光部３１が位置決めされることで導光部３１の前記径方向の内側が開放された状態となり、当該導光部３１がその周方向の外側から囲われる場合よりも周壁部２０が薄肉となる。そして、この周壁部２０の部位において、導光部３１の前記径方向の内側近傍に被係止部４１が配設されることで、前記径方向において、周壁部２０、ポインター３０及び被係止部４１を併せた全体としての肉厚の増加を抑制することができ、その結果、回転摘み１０内に形成された内部空間の大きさを維持することができる。しかも、周壁部２０の前記被係止部４１が挿入される部位が前記のように薄肉でありながら、固定用凹部２２における一対の対向面２２ａによって導光部３１の少なくとも前記径方向の外側部位を前記周方向の両外側から挟み込むと共に、固定用凹部２２の底面２２ｂとその径方向内側に位置する保持部２４とによって導光部３１を前記径方向の両側から挟み込むことにより、ポインター３０の前記周方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で周壁部２０の内側に被係止部４１が挿入・係止されて周壁部２０に装飾部材４０が取り付けられることで、ポインター３０における規制部３２の後方当接部３６が先端側から周壁部２０（詳細には、幅広凹部２３の後進規制部２３ａ）に当接すると共に装飾部材４０のリング状部位４２が先端側から規制部３２（詳細には規制部３２の前方当接部３７）に当接し、これにより摘み本体１１に対するポインター３０の固定用凹部２２の延びる方向に沿った移動が規制される。即ち、装飾部材４０を利用してポインター３０を拘束することにより摘み本体１１とポインター３０との固定用凹部２２の延びる方向に沿った相対移動が阻止され、これにより摘み本体１１にポインター３０が安定した状態で保持される。
【００５２】
また、ポインター３０の発光部３３における発光面３３ａは、回転摘み１０を操作パネルＰに配設したときに操作パネルＰの前面から突出する摘み本体１１の周壁部２０よりも先端側において外部に露出するため（図９（ｂ）参照）、操作者が周壁部２０を摘んで回転摘み１０を回動操作する際にも当該発光面３３ａが指で隠れることがなく、よって発光面３３ａはその位置を視認し続けることが可能である。
【００５３】
このように、回転摘み１０は、周壁部２０の内側に被係止部４１を挿入する装飾部材４０を有していても、内部空間が十分に確保された状態で前記の安定したポインター３０の保持を行いながら、発光面３３ａが周壁部２０よりも先端側で露出することにより十分な表示を行うことができる。
【００５４】
また、本実施形態では、ポインター３０が透光性を有する部材により形成され、発光面３３ａが入射面３４よりも透明度が低くなるように構成されることで、発光面３３ａが発光していない状態においても、発光面３３ａの位置を容易に視認することができる。即ち、発光面３３ａの透明度が高いと、その非発光時に発光面３３ａを通してその周囲の部材の色が見え易いため発光面３３ａがその周囲の部材の色と同じ色に見え易く、これにより発光面３３ａと前記周囲の部材との識別が難しくなる。一方、発光面３３ａの透明度が低いと発光面３３ａを通してその周囲の部材の色が見え難くなるため発光面３３ａがその周囲の部材の色と同じ色に見え難く、これにより発光面３３ａが発光していなくても前記周囲の部材との識別が容易になる。
【００５５】
その一方、入射面３４側の透明度を高くすることにより、入射面３４から導光部３１に光が入射し易くなり、これにより発光面３３ａを効率よく発光させることが可能となる。
【００５６】
また、本実施形態では、被係止部４１が支持部１４１を備えているため、ポインター３０の導光部３１と当該導光部３１よりも先端側の部位（規制部３２の先端部位）とにおいて前記径方向の移動がそれぞれ阻止されることにより、ポインター３０がより安定して摘み本体１１に保持される。即ち、固定用凹部２２の延びる方向に離れた位置においてそれぞれ前記径方向の移動が阻止されることにより、ポインター３０径方向のぐらつきがより効果的に阻止される。
【００５７】
尚、本発明の回転摘みは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【００５８】
上記実施形態では、周壁部２０は、中心軸Ｃ方向の各位置において直径が一定の円筒状に形成されているが、これに限定されず、先端に向って直径の小さくなる円錐台の周面のような形状の周壁であってもよい。また、周壁部２０は、円筒状である必要もなく、多角形の筒状であってもよい。
【００５９】
上記実施形態のポインター３０の規制部３２では、前方当接部３７と後方当接部３６との間が連続するように形成されているが、前方当接部３７と後方当接部３６との間が連続していなくてもよい。即ち、中心軸Ｃ方向において、前方当接部３７の位置と後方当接部３６との位置に導光部３１よりも前記周方向に突出する部位がそれぞれ設けられてもよい。
【符号の説明】
【００６０】
１０ 回転摘み
１１ 摘み本体
２０ 周壁部
２１ 内周面
２２ 固定用凹部
２２ａ 一対の対向面
２２ｂ 底面
２４ 保持部
３０ ポインター（導光部材）
３１ 導光部
３２ 規制部
３３ａ 発光面
３４ 入射面
３６ 後方当接部（当接部）
４０ 装飾部材
４１ 被係止部
４２ リング状部位
１４１ 支持部
Ｐ 操作パネル（パネル）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
パネルに回動可能に配設可能な回転摘みであって、
前記パネルの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部を有し、この周壁部の内周面の周方向における特定の位置に当該周壁部の後端から先端に向って延び当該周壁部の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部が設けられた摘み本体と、
前記固定用凹部内に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該固定用凹部に沿って延びる導光部とこの導光部の先端側に設けられ前記摘み本体に対する前記固定用凹部の延びる方向に沿った移動を規制するための規制部とこの規制部の先端側に設けられ前記周壁部よりも先端側で当該回転摘みの外部に露出して前記導光部内に光が入射することにより発光する発光面とを有し、前記導光部の後端面が前記光の入射面を構成する導光部材と、
前記周壁部の内周面に沿って当該周壁部の内側に挿入されることで当該周壁部に係止される被係止部とこの被係止部が前記係止されることで当該周壁部を先端側から外部に露出した状態で覆うリング状部位とを有する装飾部材と、を備え、
前記固定用凹部は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面とこれら対向面の前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面とによって規定され、
前記導光部材では、前記導光部が前記一対の対向面間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面に沿って延び、前記規制部が前記導光部の先端側で当該導光部よりも前記周方向に突出して前記周壁部に先端側から当接する当接部を有し、
前記装飾部材は、前記被係止部が前記周方向において少なくとも前記導光部材の前記径方向の内側に位置するように設けられ、当該装飾部材が前記周壁部に取り付けられて前記リング状部位が先端側から前記導光部材の規制部に当接することにより前記摘み本体と前記導光部材との前記固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止し、
前記周壁部は、前記固定用凹部の前記径方向の内側に設けられ前記固定用凹部の底面と共に前記径方向の両側から前記導光部を挟み込む保持部を有することを特徴とする回転摘み。
【請求項２】
請求項１に記載の回転摘みにおいて、
前記導光部材は、透光性を有する部材により形成され、前記発光面が前記入射面よりも透明度が低くなるように構成されることを特徴とする回転摘み。
【請求項３】
請求項１又は２に記載の回転摘みにおいて、
前記被係止部は、前記導光部材の導光部よりも先端側の部位の前記径方向の内側位置に、当該径方向の外側に向かって延びると共に前記装飾部材が前記周壁部に取り付けられることにより前記先端側の部位を前記周壁部に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する支持部を備えることを特徴とする回転摘み。
【請求項１】
パネルに回動可能に配設可能な回転摘みであって、
前記パネルの前面から突出するように配設可能な筒状の周壁部を有し、この周壁部の内周面の周方向における特定の位置に当該周壁部の後端から先端に向って延び当該周壁部の径方向の外側に向かって凹んだ固定用凹部が設けられた摘み本体と、
前記固定用凹部内に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該固定用凹部に沿って延びる導光部とこの導光部の先端側に設けられ前記摘み本体に対する前記固定用凹部の延びる方向に沿った移動を規制するための規制部とこの規制部の先端側に設けられ前記周壁部よりも先端側で当該回転摘みの外部に露出して前記導光部内に光が入射することにより発光する発光面とを有し、前記導光部の後端面が前記光の入射面を構成する導光部材と、
前記周壁部の内周面に沿って当該周壁部の内側に挿入されることで当該周壁部に係止される被係止部とこの被係止部が前記係止されることで当該周壁部を先端側から外部に露出した状態で覆うリング状部位とを有する装飾部材と、を備え、
前記固定用凹部は、前記周方向に間隔をおいて互いに対向する一対の対向面とこれら対向面の前記径方向の外側の端部同士をつなぐ底面とによって規定され、
前記導光部材では、前記導光部が前記一対の対向面間に少なくとも前記径方向の外側部位が嵌まり込むように当該一対の対向面に沿って延び、前記規制部が前記導光部の先端側で当該導光部よりも前記周方向に突出して前記周壁部に先端側から当接する当接部を有し、
前記装飾部材は、前記被係止部が前記周方向において少なくとも前記導光部材の前記径方向の内側に位置するように設けられ、当該装飾部材が前記周壁部に取り付けられて前記リング状部位が先端側から前記導光部材の規制部に当接することにより前記摘み本体と前記導光部材との前記固定用凹部の延びる方向に沿った相対移動を阻止し、
前記周壁部は、前記固定用凹部の前記径方向の内側に設けられ前記固定用凹部の底面と共に前記径方向の両側から前記導光部を挟み込む保持部を有することを特徴とする回転摘み。
【請求項２】
請求項１に記載の回転摘みにおいて、
前記導光部材は、透光性を有する部材により形成され、前記発光面が前記入射面よりも透明度が低くなるように構成されることを特徴とする回転摘み。
【請求項３】
請求項１又は２に記載の回転摘みにおいて、
前記被係止部は、前記導光部材の導光部よりも先端側の部位の前記径方向の内側位置に、当該径方向の外側に向かって延びると共に前記装飾部材が前記周壁部に取り付けられることにより前記先端側の部位を前記周壁部に押し付けるように当該先端側の部位の前記径方向の内側の面にその先端が当接する支持部を備えることを特徴とする回転摘み。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１１−１３７５６（Ｐ２０１１−１３７５６Ａ）
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１５５１７８（Ｐ２００９−１５５１７８）
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
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