説明

回転操作装置

【課題】回路基板上に設けられる回転操作装置であって、当該回路基板の必要面積の著しい増加を回避しながら、回転操作の検出さらには操作者への回転操作感の付与を行うことが可能な装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る回転操作装置は、回転可能な回転操作部材18と、回路基板上に設けられて回転操作部材18の回転を検出する回転検出スイッチ20と、回転操作部材18の回転に伴って操作者に操作感を与えるための操作感付与機構22とを備える。回転操作部材18は、内側に空間を囲む内周面を有し、その内側に回転検出スイッチ20及び操作感付与機構22の双方が配置される。回転操作部材18には、その回転に伴って回転検出スイッチ20を操作するスイッチ操作部60と、このスイッチ操作部60から外れた位置で回転操作部材18の内周面上に形成され、当該回転に伴って操作感付与機構22を作動させる操作感発生部62とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のパネル等に設けられる回転操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の車室内等に設けられる回転操作装置は、指等で把持されながら回転操作を受ける回転操作部材と、その回転操作の方向及び量に応じた検出信号を出力する検出装置とを備える。当該検出装置にはロータリエンコーダを使用することが可能であるが、当該ロータリエンコーダは概して高価であるため、これに代わる安価なスイッチで前記回転操作の検出を行うことが検討されている。
【0003】
従来、このようなスイッチを用いた回転操作装置として、図9に示すものが知られている(特許文献1の図6)。この装置は、回転操作を受ける図略のダイヤルと、操作体2と、回転検出スイッチ3とを備える。
【0004】
前記操作体2は、前記ダイヤルと同軸で一体に回転するように当該ダイヤルに連結される。この操作体2の外周面は、当該操作体2の回転に伴って前記回転検出スイッチ3を間欠的に操作する形状を有する。具体的に、この外周面は、径方向の外側に突出する複数の突出部5を含み、かつ、これらの突出部5が周方向に間欠的に並んでいる。
【0005】
前記回転検出スイッチ3は、図略の回路基板上に実装されるもので、検出子4と、複数の端子6A,6B,6Cとを有し、これらの端子6A〜6Cが前記回路基板に接続されている。前記検出子4は、前記操作体2の回転中心軸と平行な軸8回りに揺動可能となるように前記回転検出スイッチ3の本体に取付けられ、前記操作体2の回転に伴ってその突出部5に間欠的に接触し、かつ、その接触に伴って突出部5の移動方向(回転周方向)と同方向に回動するように、配置される。
【0006】
前記回転検出スイッチ3は、前記検出子4の回動方向に対応した信号を出力する。具体的に、前記ダイヤル及び前記操作体2が図9(b)に示すように時計回り方向に回転操作されるのに伴い、その回転周方向に対応した方向(図では左方向)に前記検出子4が間欠的に倒れ、その度に端子6A,6Bから電気信号を回路基板に向けて出力する。逆に、前記ダイヤル及び前記操作体2が図9(c)に示すように反時計回り方向に回転操作されるのに伴い、その回転周方向に対応した方向(図では右方向)に前記検出子4が間欠的に倒れ、その度に端子6A,6Cから電気信号を回路基板に向けて出力する。
【0007】
従って、この回転検出スイッチ3から電気信号が出力される端子の判別と、その出力回数により、前記ダイヤルの回転方向及び回転量が把握される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−32450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記回転操作装置では、前記操作体2の周囲に回転検出スイッチ3を配設しなければならず、その配設のために要するスペースの分だけ回路基板の必要面積が増大する。さらに、前記ダイヤルの回転検出に伴い、その回転操作感を操作者に与えるためには、前記回転検出スイッチとは別にその操作感を付与する機構(例えばクリック機構)を付設しなければならず、その配設のためのスペースもさらに必要となる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、回路基板上に設けられる回転操作装置であって、当該回路基板の必要面積の著しい増加を回避しながら、回転操作部材の回転の検出さらには操作者への回転操作感の付与を行うことが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により提供される回転操作装置は、回路基板上に設けられるものであって、この回路基板上に当該回路基板の法線方向と略平行な方向の軸回りに回転可能に設けられる回転操作部材と、前記回路基板上に設けられて前記回転操作部材の回転を検出する回転検出スイッチと、前記回転操作部材の回転に伴って間欠的に作動することにより操作者に操作感を与えるための操作感付与機構とを備える。前記回転操作部材は、内側に空間を囲む内周面を有し、その内側の空間内に前記回転検出スイッチ及び前記操作感付与機構の双方が配置される。前記回転検出スイッチは、起伏動作が可能な回転検出子と、この回転検出子の起伏動作の度に検出信号を出力するスイッチ本体とを有する。前記回転操作部材には、当該回転操作部材の回転に伴って前記回転検出スイッチの回転検出子を間欠的に起伏させる形状を有するスイッチ操作部と、このスイッチ操作部から少なくとも前記回転操作部材の回転中心軸と平行な方向に外れた位置で当該回転操作部材の内周面上に形成され、前記回転操作部材の回転に伴って前記操作感付与機構を作動させる形状を有する操作感発生部とが設けられる。
【0012】
なお、前記操作感発生部について「スイッチ操作部から少なくとも前記回転操作部材の回転中心軸と平行な方向に外れた位置で当該回転操作部材の内周面上に形成され」るとは、当該操作感発生部の位置と当該スイッチ操作部の位置とが少なくとも「回転操作部材の回転中心軸と平行な方向」の成分を含む方向にずれていればよいことを意味し、他の方向、すなわち、回転操作部材の回転周方向や径方向にずれているか否かは限定しない趣旨である。
【0013】
この回転操作装置では、前記回転操作部材の回転に伴ってそのスイッチ操作部が前記回転検出スイッチの回転検出子を起伏させることにより、当該回転検出スイッチのスイッチ本体から繰返し信号が出力され、これにより当該回転操作部材の回転が検出されるとともに、同回転操作部材の操作感発生部が操作感付与機構を作動させることで、操作者に操作感を与えることができる。しかも、前記回転操作部材は内側に空間を囲む筒状をなし、その内側の空間内に前記回転検出スイッチおよび前記操作感付与機構の双方が配置されるから、前記回転操作部材の外側に当該回転検出スイッチや当該操作感付与機構を配設するためのスペースが要らず、その分回路基板の必要面積の削減または当該回路基板上に実装される部品の数の増加が可能になる。また、前記回転操作部材に前記回転検出スイッチを操作するためのスイッチ操作部が設けられるのに加え、前記操作感付与機構を作動させるための操作感発生部が前記回転操作部材の内周面上で当該回転操作部材の回転中心軸と平行な方向に前記スイッチ操作部から外れた位置に設けられるから、前記配置にかかわらず、前記回転検出スイッチと前記操作感付与機構の双方を不都合なく同時に作動させることができる。
【0014】
前記操作感付与機構の具体的な構成としては、当該機構が、前記操作感発生部と接触しながら当該操作感発生部と前記回転周方向に相対移動することが可能な接触部と、この接触部と前記操作感発生部との接触を保持するように当該接触部を当該操作感発生部に向けて付勢する付勢部とを有する一方、前記操作感発生部が前記回転検出部材の回転に伴って前記接触部を前記付勢部の付勢力に抗して前記回転検出部材の内側に押し戻す形状を有するものが、好適である。
【0015】
そして、この場合、前記回転検出スイッチ及び前記前記操作感付与機構をこれらが前記回転操作部材の回転周方向について互いに180°離間するように配置することで、当該操作感付与機構における付勢部の付勢力を利用して前記回転検出スイッチの検出精度を高めることが可能になる。すなわち、この配置では、前記操作感付与機構の付勢部が接触部を回転操作部材の操作感発生部に押付ける力によって、その押付け方向についての回転操作部材の位置ぶれ(ガタ)が解消される。これにより、当該操作感付与機構と前記回転操作部材の回転周方向に180°離間した位置にある回転検出スイッチの回転検出子と当該回転操作部材のスイッチ操作部との相対位置のぶれも解消され、これにより、当該回転検出スイッチによる検出精度のばらつきが低減される。
【0016】
あるいは、前記操作感付与機構の接触部が前記回転操作部材の回転周方向について互いに180°離間した位置にそれぞれ配設され、前記付勢部が両接触部同士の間に圧縮弾性変形状態で介在するばねで構成されるものも、有効である。この操作感付与機構では、共通のばねがその両外側の接触部に対して互いに逆向きでかつ等しい付勢力を与え、両接触部を均等な力で操作感発生部に押付けるため、同方向についての回転操作部材の位置ぶれを有効に抑制することができる。また、その押付け荷重は両接触部に分散されるため、これらの接触部の磨耗(操作感発生部との摺接による磨耗)が抑えられ、その分両接触部の寿命が延長される。
【0017】
この回転操作装置では、前記回転検出スイッチのスイッチ本体が出力する信号が前記回路基板に入力されるように当該スイッチ本体が当該回路基板上に実装され、前記操作感付与機構が前記回転検出スイッチよりも前記回路基板から離れた位置に配設される一方、前記回転操作部材の操作感発生部が当該回転操作部材のスイッチ操作部よりも前記回路基板から離れた位置に配設されるものが、好適である。この配置は、前記回転検出スイッチを前記回路基板に直接実装することを可能にしながら、当該回転検出スイッチと前記操作感付与機構とを共通の回転操作部材の内側に収めることを可能にする。
【0018】
この場合、当該回転操作装置としては、前記回路基板上に固定されて前記回転操作部材を回転可能に保持するとともに前記操作感付与機構を前記回路基板から離間した位置に保持する保持部材を備えるものが、好適である。この保持部材は、簡素な構造で前記回転操作部材と前記操作感付与機構の双方をそれぞれ適した位置で回路基板側に保持することを可能にする。
【0019】
より具体的には、前記回転操作部材の回路基板に近い側の端部が他の部分よりも外径および内径の大きい大径部を構成し、この大径部の内周面上に前記スイッチ操作部が形成されるとともに、前記保持部材が前記大径部をその径方向の外側から抱き込んで保持する抱き込み部を有するものが、好適である。当該大径部は、その内周面上に形成されるスイッチ操作部の内径を拡大することで、前記回転操作部材の単位角度あたりの回転に伴う回転検出スイッチと前記スイッチ操作部との相対移動量を増やして当該回転検出スイッチによる検出精度を高めることを可能にすると同時に、その大径部の外形を利用して保持部材が回転操作部材を簡素な構造で回転可能に保持することを可能にする。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る回転操作装置では、筒状の回転操作部材の内側に回転検出スイッチと操作感付与機構の双方が配置されるから、回路基板の必要面積を大幅に増やすことなく、前記回転操作部材の回転検出と操作者への回転操作感の付与とを同時に実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネルユニットの分解斜視図である。
【図2】前記パネルユニットの正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】前記パネルユニットに含まれる回転操作装置の要部を裏側から見た分解斜視図である。
【図5】前記要部の組立状態を裏側から見た斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るパネルユニットの断面図であって図2のIII−III線断面に相当する断面を示す図である。
【図7】図6に示すパネルユニットに含まれる回転操作装置の要部を裏側から見た分解斜視図である。
【図8】図7に示す要部の組立状態を裏側から見た斜視図である。
【図9】(a)〜(c)は従来の回転操作装置の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0023】
図1〜図3は、本発明に係る回転操作装置を含むパネルユニットを示す。このパネルユニットは、自動車の車室内等に設けられるパネル10と、このパネル10の裏側に配置される回路基板12と、この回路基板12上に設けられる各種部品とを備える。これらの部品には、ラバーシート13,14と、保持部材16と、回転操作部材18と、回転検出スイッチ20と、操作感付与機構22と、押圧操作部材である一対の押しボタン23A,23B及びボタンリング24と、が含まれる。
【0024】
前記ラバーシート13,14は、前記回路基板12の表側面(図3では上側面)上に敷設される。これらのラバーシート13,14は、前記パネル10の裏側部分に適宜密着することで遮光や防水の機能を果たすとともに、当該ラバーシート13,14の一部が複数のラバースイッチ部26を構成する。具体的に、前記ラバーシート14は、中央に円形の貫通孔28を有し、この貫通孔28の周辺に並ぶ複数の箇所にそれぞれ前記ラバースイッチ部26が形成される。これらのラバースイッチ部26は、前記ボタンリング24の裏側となる位置に形成される。前記ラバーシート13は、前記ラバーシート13の貫通孔28内の領域に配設可能な大きさの略正方形状をなし、その角部にそれぞれ前記ラバースイッチ部26が形成される。これらのラバースイッチ部26は、前記各押しボタン23の裏側となる位置に形成される。
【0025】
なお、これらのラバーシート13,14は本発明において必須のものではない。
【0026】
この実施の形態では、前記各部品のうち、前記保持部材16、前記回転操作部材18、前記回転検出スイッチ20、および前記操作感付与機構22が、本発明に係る回転操作装置を構成する。
【0027】
前記保持部材16は、前記回路基板12上に固定されるとともに、前記回転操作部材18を前記回路基板12の法線方向と略平行な軸(回転中心軸)回りに回転可能に保持する。さらに、前記操作感付与機構22を保持し、また、前記一対の押しボタン23A,23Bを保持する。
【0028】
この保持部材16は、前記ラバーシート13の上に載せられる底壁30と、この底壁30の外周縁から回路基板12の表側(図3では上側)に立上がる周壁32とを有し、さらに、この周壁32の内側に、前記各押しボタン23A,23Bをスライド可能に保持するボタン保持部34A,34Bを有する。前記底壁30の底面からは裏側に複数の被係止突起36(図1,図4)が突出する一方、前記回路基板12には前記各被係止突起36が嵌り込む貫通孔38が形成され、当該被係止突起36は対応する貫通孔38に押し込まれることにより前記回路基板12に係止されることが可能な形状を有する。
【0029】
この保持部材16が前記回転操作部材18および前記操作感付与機構22を保持するための具体的な構造は後に詳述する。
【0030】
前記回転操作部材18は、この実施の形態では、ダイヤルホルダ40と、これに保持されるダイヤル42とで構成される。これらはいずれも略円筒状をなし、その内側に前記押しボタン23A,23Bを収容する空間を囲む。
【0031】
前記ダイヤルホルダ40は、前記保持部材16により回転可能に保持される。具体的に、当該ダイヤルホルダ40の後端部(回路基板12に近い側の端部)が他の部分よりも大径の大径部44を構成し、この大径部44が前記保持部材16に保持される。当該保持部材16は、前記大径部44をその径方向の外側から抱き込む複数の抱き込む部46を有する。各抱き込み部46は、図3に示すように、前記保持部材16の底壁30から回路基板12を貫通してその裏側(図3では下側)に突出する基部46aと、この基部46aから保持部材16の径方向外側に延びる中間部46bと、この中間部46bの径方向外側の端から表側(図3では上側)に延びる係止部46cとを一体に有し、この係止部46cの先端から内側に係止突起46dが突出する。この係止突起46dは、前記大径部44に対してその表側から接触することにより、保持部材16の回転を許容しながら前記大径部44の離脱(回路基板12から離れる側への変位)を阻止する。
【0032】
前記ダイヤル42は、前記ダイヤルリング40の本体部分(前記大径部44よりも小径で前側の部分)にこれと一体に回転するように保持される。具体的に、前記ダイヤル42は、外周壁48及び内周壁50を有する二重構造をなす一方、前記ダイヤルリング40の中間部には、前記ダイヤル42の内周壁50の後端が当接可能な段部51が形成されている。当該ダイヤルリング40の本体部分のうち、前記段部51よりも前側の部分は後ろ側の部分よりも小径であり、この小径部分の外側に前記ダイヤル42の内周壁50が嵌合され、かつ、その後端が前記段部51に突き当てられる。さらに、前記内周壁50の後端の複数の位置には内向きに突出する被係止突起52が形成され、この被係止突起52が嵌り込む係止孔54が前記ダイヤルホルダ40に形成されている。
【0033】
前記回転検出スイッチ20は、前記回路基板12上に設けられて前記回転操作部材18の回転を検出する。この装置の特徴として、当該回転検出スイッチ20は、後述の操作感付与機構22とともに前記ダイヤルホルダ40の内側の空間内に配置される。
【0034】
前記回転検出スイッチ20は、左右両方向に起伏動作が可能な回転検出子56と、この回転検出子56の起伏動作の度に検出信号を出力するスイッチ本体58とを有し、このスイッチ本体58が前記回路基板12上に実装される。この実施の形態では、前記回転検出子56が前記ダイヤルホルダ40の径方向外側を向き、かつ、前記回路基板12に沿う平面上で起伏動作をするように(すなわち当該起伏に係る回動の中心軸が回路基板12の法線方向と一致するように)、前記スイッチ本体58の実装姿勢が設定される。
【0035】
一方、前記ダイヤルホルダ40の大径部44には、当該ダイヤルホルダ40及びダイヤル42の回転に伴って前記回転検出スイッチ20の回転検出子56を間欠的に起伏させる形状を有するスイッチ操作部が形成される。この実施の形態に係るスイッチ操作部は、複数の操作突起60を含む。これらの操作突起60は、前記大径部44の周方向に等間隔で配列され、当該大径部44の裏面から突出する。
【0036】
そして、前記ダイヤルホルダ40の回転に伴い、前記各操作突起60と前記回転検出子56とが間欠的に接触して当該回転検出子56の起伏動作が繰り返される。すなわち、前記各操作突起60が前記回転検出子56を倒す動作と、当該操作突起60が当該回転検出子56を離れてから当該回転検出子56が自力で起立姿勢に復帰する動作とが繰り返される。スイッチ本体58は、前記起伏動作がなされる度にその倒伏方向(すなわち回転方向)に対応する信号を出力する。そして、この信号が前記回路基板12に入力されるように、当該回路基板12と前記スイッチ本体58とが接続されている。
【0037】
前記操作感付与機構22は、前記ダイヤルホルダ40及び前記ダイヤル42の回転に伴って間欠的に作動することにより操作者に操作感を与えるためのもので、前記回路基板12からその表側(図3では上側)に少し離れた位置、すなわち、前記回転検出スイッチ20に対して前記ダイヤルホルダ40及び前記ダイヤル42の回転軸方向と平行な方向(図3では上下方向)にずれた位置で、前記保持部材16に保持される。
【0038】
一方、前記ダイヤルホルダ40の本体部分(大径部44から当該ダイヤルホルダ40の回転軸方向と平行な方向に外れた部分)の内周面には、操作感発生部62が形成される。この操作感発生部62は、当該ダイヤルホルダ40および前記ダイヤル42の回転に伴って前記操作感付与機構22を間欠的に作動させるためのもので、この実施の形態ではカム面により構成される。このカム面は、前記ダイヤルホルダ40の周方向に進行するのに伴って当該ダイヤルホルダ40の径方向に滑らかに起伏する曲面となっている。
【0039】
この操作感付与機構22は、この実施の形態では、プランジャ64と圧縮コイルばね66とで構成される。
【0040】
前記プランジャ64は、本体64aと接触部64bとを有する。本体64aは、円筒状の周壁及びその一方の開口を塞ぐ端壁を有して一方向にのみ開口する形状をなし、前記接触部64bは半球状をなして前記端壁から外向きに突出する。そして、この接触部64bが前記操作感発生部62に対して径方向内側から接触し、かつ、プランジャ64がその軸方向(すなわち保持部材16の径方向)に移動可能となるように、当該プランジャ64が保持部材16に保持される。
【0041】
前記圧縮コイルばね66は、本発明に係る付勢部に相当するもので、前記接触部64bと前記操作感発生部62(すなわちカム面)との接触を保持するように当該接触部64bを当該操作感発生部62に向けて(すなわち外向きに)付勢する。具体的に、この圧縮コイルばね66は、前記プランジャ64と前記底壁30の略中間部位に立設された支持壁68(図3)との間に圧縮変形状態で介設される。より具体的に、当該圧縮コイルばね66の一端は前記プランジャ64の本体64aの内側に挿入され、他端は、前記支持壁68から外向きに突出する支持突起68aの外側に嵌合される。また、前記保持部材16の底壁30には、当該底壁30側から前記プランジャ64及び前記圧縮コイルばね66を正規の位置にセットするための取付用貫通孔70が設けられている。
【0042】
本発明において、前記回転検出スイッチ20の位置及び前記前記操作感付与機構22の位置は、少なくとも前記ダイヤルホルダ40及び前記ダイヤル42の回転軸方向と平行な方向にずれていればよいが、この実施の形態ではさらに、その特徴として、当該回転検出スイッチ20及び当該操作感付与機構22が、前記回転操作部材18(この実施の形態では前記ダイヤルホルダ40及び前記ダイヤル42)の回転周方向について互いに180°離間するように配置される。
【0043】
前記押しボタン23A,23Bは、それぞれ、指等による押圧を受ける被押圧板72と、この被押圧板72から裏側に延びる被保持部74とを有する。これ等の被保持部74は、前記保持部材16のボタン保持部34A,34B内にそれぞれ嵌入可能な形状を有し、その嵌入により、当該押しボタン23A,23Bの押圧操作方向(回路基板12の法線方向と平行な方向)にスライド可能に保持される。
【0044】
前記ボタンリング24は、前記ダイヤル42の周囲に配置される環状をなす。このボタンリング24は、互いに周方向に並ぶ複数(図例では4個)のボタン部76と、これ等のボタン部76同士をつなぐ図略のヒンジ部とを有し、各ボタン部76は互いに独立して押圧操作を受けることが可能となるように(すなわち押圧操作方向に相対変位可能となるように)相互連結される。
【0045】
前記パネル10は、前記ボタンリング24、前記ダイヤル48、及び前記押しボタン23A,23Bを表側に突出させるための開口部78を有する。
【0046】
なお、本発明に係る回転操作装置は、この実施の形態のように併せて押圧操作が行われる複合操作式のパネルユニットを構成するものに限られない。すなわち、本発明に係る回転操作装置はそれ単独で設けられてもよい。
【0047】
次に、この実施の形態に係る回転操作装置の作用を説明する。
【0048】
回転操作部材18のダイヤル42が指等で把持されながら、いずれかの方向に回転操作されると、これと一体にダイヤルホルダ40が回転する。この回転に伴い、当該ダイヤルホルダ40の大径部44に形成されているスイッチ操作部の各操作突起60が回転検出スイッチ20の回転検出子56に次々と接触することで、当該回転検出子56を前記回転の方向に対応する方向に繰返し起伏動作させる。これにより、当該回転検出スイッチ20のスイッチ本体58は、前記回転検出子56の倒伏方向に対応した種類の検出信号をその起伏動作の度に出力し、回路基板12に入力する。この検出信号の種類及び回数により、前記ダイヤル42の回転方向及び回転量が把握される。
【0049】
一方、前記ダイヤルホルダ40の回転に伴い、操作感付与機構22が間欠的に作動して操作者に回転操作感を付与する。具体的に、当該操作感付与機構22のプランジャ64は、その接触部64bが前記ダイヤルホルダ40側の操作感発生部62を構成するカム面と常時接触するように、圧縮コイルばね66の弾発力で当該操作感発生部22に押付けられているため、当該操作感発生部22を含むダイヤルホルダ40の回転に伴って前記圧縮コイルばね66の弾発力に抗して繰返し径方向内側に押し返される。このプランジャ64の作動により生ずる振動がダイヤル42を通じて操作者に伝えられる。
【0050】
この操作感付与機構22及び前記回転検出スイッチ20は、この装置においてはいずれも、回転操作部材18を構成するダイヤルホルダ40の径方向内側の空間内に配置されるため、当該回転操作部材18の周囲に当該回転検出スイッチ20や当該操作感付与機構22を配置するためのスペースが要らない。このことは、回路基板12の必要面積を減らしてその小型化を可能にし、もしくは当該回路基板12の実装し得る部品の数の増加を可能にする。
【0051】
しかも、前記回転検出スイッチ20を操作するための操作突起60と、前記操作感付与機構22を作動させるための操作感発生部62とが回転操作部材18の回転軸方向と平行な方向に互いに外れた位置に設けられるから、前記配置にかかわらず、前記回転検出スイッチ20と前記操作感付与機構22の双方を不都合なく同時に作動させることができる。特に、この実施の形態では、前記回転検出スイッチ20のスイッチ本体58が出力する信号が前記回路基板12に入力されるように当該スイッチ本体58が当該回路基板12上に実装され、前記操作感付与機構22が前記回転検出スイッチ20よりも前記回路基板12から離れた位置に配設される一方、前記操作感発生部62がスイッチ操作部よりも前記回路基板12から離れた位置でダイヤルホルダ40の内周面に形成されるから、前記回路基板12上への前記回転検出スイッチ20の直接的な実装を可能にしながら、回転検出スイッチ20と操作感付与機構22とが共通の回転操作部材18の内側に収められる。
【0052】
さらに、この実施の形態では、前記回転検出スイッチ20と前記操作感付与機構22とが回転操作部材18の回転周方向に互いに180°離間した位置に配置されるから、当該操作感付与機構22を利用して回転検出スイッチ20による回転検出の精度を高めることが可能である。すなわち、この回転操作装置では、回転操作部材18に多少のガタ(位置ずれ)が発生する可能性があり、このガタは回転検出スイッチ20の回転検出子56と各操作突起60との相対位置にバラツキを与えて検出精度を低下させる要因となり得るが、前記のような回転検出スイッチ20及び前記操作感付与機構22の配置は、当該操作感付与機構22の圧縮コイルばね66がプランジャ64をダイヤルホルダ40の操作感発生部62に押付ける力がその押付け方向についての回転操作部材18の位置のぶれ(ガタ)を解消することを可能にする。これにより、当該操作感付与機構22と対向配置された回転検出スイッチ20の回転検出子56とダイヤルホルダ40の各操作突起60との相対位置のぶれも解消されて、当該回転検出スイッチ20による検出の精度が高められる。
【0053】
また、この実施の形態では、回路基板12上に固定される保持部材16が回転操作部材18を回転可能に保持するのに加え、操作感付与機構22を前記回路基板12から離間した位置に保持するため、部品点数の増大を伴わない簡素な構造で前記回転操作部材18と前記操作感付与機構22の双方をそれぞれ適した位置で回路基板12側に保持することを可能にする。
【0054】
特に、この実施の形態のように、前記回転操作部材18を構成するダイヤルホルダ40の後端部(回路基板12に近い側の端部)が大径部44を構成し、この大径部44に前記スイッチ操作部(操作突起60)が形成されるとともに、前記保持部材16が前記大径部44をその径方向の外側から抱き込んで保持する抱き込み部46を有するものでは、当該大径部44を利用して、簡易な構造での前記保持部材16による前記ダイヤルホルダ40の保持と、回転検出スイッチ20の検出精度の向上とを同時実現することができる。すなわち、前記スイッチ操作部を構成する操作突起60が前記大径部44に配列されることにより、当該操作突起60の配設ピッチを縮小することなく当該操作突起60の数を増やすことができ、これにより、回転検出スイッチ20による検出精度を高めることができる。
【0055】
なお、前記操作突起60の突出方向は裏向きに限られない。例えばダイヤルホルダ40の内周面からその径方向の内側に突出してもよい。
【0056】
本発明の第2の実施の形態を図6〜図8に基いて説明する。なお、この実施の形態に係る回転操作装置の基本構成は前記第1の実施の形態にかかるそれと同等であり、同一の構成要素には共通の参照符を付してその説明を省略する。
【0057】
この実施の形態では、前記操作感付与機構22が一対のプランジャ64と圧縮コイルばね66′とで構成される。前記各プランジャ64は、前記回転操作部材18の回転周方向について互いに180°離間した第1の位置及び第2の位置(図では左右の位置)にそれぞれ配設され、前記付勢部を構成する圧縮コイルばね66′が両プランジャ64同士の間に圧縮弾性変形状態で介在するように配置される。この圧縮コイルばね66′も、前記第1の実施の形態と同様に前記保持部材16に保持される。また、保持部材16の底壁30には、図7に示すように、前記圧縮コイルばね66′をセットするための貫通孔70Aと、前記各プランジャ64をセットするための一対の貫通孔70Bとが設けられる。
【0058】
一方、前記回転検出スイッチ20は、前記両プランジャ64の配設位置から周方向に外れた適当な位置に配置される。この実施の形態でも当該回転検出スイッチ20は前記回路基板12上に実装され、操作感付与機構22を構成する両プランジャ64及び圧縮コイルばね66′は前記回路基板12から表側に離れた位置で保持部材16に保持される。
【0059】
この実施の形態では、共通の圧縮コイルばね66がその両外側のプランジャ64の接触部64bに対して互いに逆向きでかつ等しい付勢力を与え、両接触部64bを均等な力で操作感発生部62に押付けることができる。従って、その付勢方向についての回転操作部材の位置ぶれを有効に抑制することができる。また、その押付け荷重は両接触部64bに分散されるため、これらの接触部64bの磨耗(操作感発生部との摺接による磨耗)が抑えられ、その分両接触部64bの寿命が延長される。
【符号の説明】
【0060】
10 パネル
12 回路基板
16 保持部材
18 回転操作部材
20 回転検出スイッチ
22 操作感付与機構
40 ダイヤルホルダ
42 ダイヤル
44 大径部
46 抱き込み部
56 回転検出子
58 スイッチ本体
60 操作突起(スイッチ操作部を構成)
62 操作感発生部
64 プランジャ
66 圧縮コイルばね(付勢部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に設けられる回転操作装置であって、
前記回路基板上に当該回路基板の法線方向と略平行な方向の軸回りに回転可能に設けられる回転操作部材と、
前記回路基板上に設けられて前記回転操作部材の回転を検出する回転検出スイッチと、
前記回転操作部材の回転に伴って間欠的に作動することにより操作者に操作感を与えるための操作感付与機構とを備え、
前記回転操作部材は、内側に空間を囲む内周面を有し、その内側の空間内に前記回転検出スイッチ及び前記操作感付与機構の双方が配置され、
前記回転検出スイッチは、起伏動作が可能な回転検出子と、この回転検出子の起伏動作の度に検出信号を出力するスイッチ本体とを有し、
前記回転操作部材には、当該回転操作部材の回転に伴って前記回転検出スイッチの回転検出子を間欠的に起伏させる形状を有するスイッチ操作部と、このスイッチ操作部から少なくとも前記回転操作部材の回転中心軸と平行な方向にずれた位置で当該回転操作部材の内周面上に形成され、前記回転操作部材の回転に伴って前記操作感付与機構を作動させる形状を有する操作感発生部とが設けられる、回転操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転操作装置において、前記操作感付与機構は、前記操作感発生部と接触しながら当該操作感発生部と前記回転周方向に相対移動することが可能な接触部と、この接触部と前記操作感発生部との接触を保持するように当該接触部を当該操作感発生部に向けて付勢する付勢部とを有し、前記操作感発生部は前記回転検出部材の回転に伴って前記接触部を前記付勢部の付勢力に抗して前記回転検出部材の内側に押し戻す形状を有する、回転操作装置。
【請求項3】
請求項2記載の回転操作装置において、前記回転検出スイッチ及び前記前記操作感付与機構は前記回転操作部材の回転周方向について互いに180°離間するように配置される、回転操作装置。
【請求項4】
請求項2記載の回転操作装置において、前記操作感付与機構の接触部が前記回転操作部材の回転周方向について互いに180°離間した位置にそれぞれ配設され、前記付勢部が両接触部同士の間に圧縮弾性変形状態で介在するばねで構成される、回転操作装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の回転操作装置において、前記回転検出スイッチのスイッチ本体が出力する信号が前記回路基板に入力されるように当該スイッチ本体が当該回路基板上に実装され、前記操作感付与機構が前記回転検出スイッチよりも前記回路基板から離れた位置に配設される一方、前記回転操作部材の操作感発生部が当該回転操作部材のスイッチ操作部よりも前記回路基板から離れた位置に配設される、回転操作装置。
【請求項6】
請求項5記載の回転操作装置において、前記回路基板上に固定されて前記回転操作部材を回転可能に保持するとともに前記操作感付与機構を前記回路基板から離間した位置に保持する保持部材を備える、回転操作装置。
【請求項7】
請求項6記載の回転操作装置において、前記回転操作部材の回路基板に近い側の端部が他の部分よりも外径および内径の大きい大径部を構成し、この大径部の内周面上に前記スイッチ操作部が形成されるとともに、前記保持部材が前記大径部をその径方向の外側から抱き込んで保持する抱き込み部を有する、回転操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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