説明

回転機器および回転機器を製造する方法

【課題】製造効率の向上を図りつつ、回転機器の接着箇所の接着工程で使用される装置の大型化を避ける。
【解決手段】回転機器は、互いに接着により固定される第1部材と第2部材とを備える。この回転機器の製造方法は、第1部材および第2部材を形成する工程と、第1部材と第2部材とに、温度が高いほど速く硬化する接着剤を介在させる工程と、第1部材または第2部材もしくはその両方に回転機器の一部ではない加熱用部材を接触させることにより、接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程と、互いに接着された第1部材および第2部材を使用して回転機器を組み立てる工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機器およびそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブなどのディスク駆動装置は、小型化、大容量化が進み、種々の電子機器に搭載されている。特にノートパソコンや携帯型音楽再生機器などの携帯型の電子機器へのディスク駆動装置の搭載が進んでいる。従来では例えば特許文献1に記載のディスク駆動装置が提案されている。
【0003】
ディスク駆動装置は一般に接着剤を使用して固定される接着箇所を有する。ディスク駆動装置の製造過程においてそのような接着剤を硬化させるために、従来ではバーニング炉などの高温槽を使用したバッチ処理が行われている。このバッチ処理では、例えば数百のユニットをまとめて高温槽に入れ、槽内を槽外の雰囲気温度よりも高い温度に保ち、数時間待つ。これにより接着剤の硬化が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198555号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】並木 陽一、化学反応型樹脂(UV硬化・熱硬化・湿気硬化)の硬化率測定とその実践、株式会社情報機構、2009年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製造効率を上げるためには一度により多くのユニットを高温槽で処理できるほうが望ましい。一方で一度に処理するユニットの数が多くなるほどより大きな高温槽が必要となる。ディスク駆動装置は塵や埃の混入を嫌うので、その製造は一般にクリーンルーム内で行われる。したがって高温槽もそのクリーンルーム内に配置されるのであるが、高温槽が大型化するとその分クリーンルームを大型化しなければならない場合も多い。これは製造設備のサイズやコストの面で不利である。
【0007】
このような課題は、ディスク駆動装置に限らず他の種類の回転機器でも起こりうる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は製造効率の向上を図りつつ、回転機器の接着箇所の接着工程で使用される装置の大型化を避けることができる回転機器の製造技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、回転機器の製造方法に関する。この製造方法は、互いに接着により固定される第1部材と第2部材とを備える回転機器の製造方法であって、第1部材および第2部材を形成する工程と、第1部材と第2部材とに、温度が高いほど速く硬化する接着剤を介在させる工程と、第1部材または第2部材もしくはその両方に回転機器の一部ではない加熱用部材を接触させることにより、接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程と、互いに接着された第1部材および第2部材を使用して回転機器を組み立てる工程と、を含む。
【0010】
この態様によると、加熱用部材と第1部材または第2部材もしくはその両方との熱伝導により接着剤が加熱される。
【0011】
本発明の別の態様は、回転機器である。この回転機器は、記録ディスクが載置されるべきハブと、ハブを軸受ユニットを介して回転自在に支持するベースと、を備える。軸受ユニットは、回転軸を中心とする凹部を有するハウジングと、その凹部に挿入され接着固定されるスリーブと、を含む。ハウジングとスリーブとに介在する接着剤は、ハウジングまたはスリーブもしくはその両方に本回転機器の一部ではない加熱用部材を接触させることにより熱せられて硬化される。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造効率の向上を図りつつ、回転機器の接着箇所の接着工程で使用される装置の大型化を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)、(b)は、実施の形態に係る製造方法により製造される回転機器を示す上面図および側面図である。
【図2】図1(a)のA−A線断面図である。
【図3】実施の形態に係る製造方法の接着工程における処理の流れを示す模式図である。
【図4】図3の加熱冷却チャネルの構成を模式的に示す断面図である。
【図5】図4の破線で囲まれた部分を拡大した拡大図である。
【図6】図4の加熱冷却チャネルを使用してアセンブリを加熱、冷却する実験により得られた、9台のアセンブリの温度変化を示すグラフである。
【図7】実施の形態に係る製造方法の接着工程を経て製造されたアセンブリの抜去力を検査するための構成を示す断面図である。
【図8】目標硬化温度と抜去力との関係を示すグラフである。
【図9】加熱時間と抜去力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0016】
ハードディスクドライブなどの回転機器の代表的な接着箇所としては、ハブとシャフトとの間や軸受ユニットとベースとの間や軸受ユニット内のハウジングとスリーブとの間などがある。これらの部材は一般に金属などの熱伝導率の比較的高い材料により形成される。
【0017】
実施の形態に係る回転機器の製造方法によると、互いに接着により固定されるこれらの部材(以下、被接着部材と称する)の接着工程において、被接着部材の少なくとも一方に加熱用部材を接触させることにより、被接着部材間に介在する未硬化の接着剤を加熱する。被接着部材において、加熱用部材が接触する箇所は接着剤が塗布される箇所とは異なるが、被接着部材の熱伝導率は比較的高いので、加熱用部材から与えられる熱により接着剤を効率的に加熱することができる。これにより、接着剤を硬化させる際の接着剤の温度(以下、硬化温度と称す)をより短時間でより高くすることができる。この手法と、硬化温度が高いほど速く硬化する接着剤との併用により、接着剤を十分に硬化させるために必要な時間(以下、硬化時間と称する)を短縮できる。
【0018】
接着剤の「未硬化」の状態は、接着剤が十分に硬化していない状態であり、接着強度が硬化時の公称値より小さい状態であってもよい。「未硬化」の状態は、接着剤が部分的に硬化した状態、または接着剤が少し硬化した状態、またはいわゆる仮硬化の状態を含んでもよい。あるいはまた、「未硬化」の状態は、例えば非特許文献1に記載される測定方法などで測定される接着剤の硬化率が所定の値より小さい状態であってもよい。
【0019】
(回転機器)
図1(a)、(b)は、実施の形態に係る製造方法により製造される回転機器1を示す上面図および側面図である。図1(a)は、回転機器1の上面図である。図1(a)では、回転機器1の内側の構成を示すため、トップカバー2を外した状態が示される。回転機器1は、ベース4と、ロータ6と、磁気記録ディスク8と、データリード/ライト部10と、トップカバー2と、を備える。回転機器1は、磁気記録ディスク8を回転させるハードディスクドライブである。
以降ベース4に対してロータ6が搭載される側を上側として説明する。
例えばハードディスクドライブでは、高い記録密度を確保するために、非回転部分に対する回転部分の傾きを小さくすることが望まれており、非回転部分や回転部分を構成する被接着部材は例えば10μm以下の精度で結合されることが求められことがある。
【0020】
磁気記録ディスク8は、直径が65mmのガラス製の2.5インチ型磁気記録ディスクであり、その中央の孔の直径は20mm、厚みは0.65mmである。
磁気記録ディスク8は、ロータ6に載置され、ロータ6の回転に伴って回転する。ロータ6は、図1(a)では図示しない軸受ユニット12を介してベース4に対して回転可能に取り付けられる。
【0021】
ベース4はアルミニウムの合金をダイカストにより成型して形成される。ベース4は、回転機器1の底部を形成する底板部4aと、磁気記録ディスク8の載置領域を囲むように底板部4aの外周に沿って形成された外周壁部4bと、を有する。外周壁部4bの上面4cには、6つのねじ穴22が設けられる。
【0022】
データリード/ライト部10は、記録再生ヘッド(不図示)と、スイングアーム14と、ボイスコイルモータ16と、ピボットアセンブリ18と、を含む。記録再生ヘッドは、スイングアーム14の先端部に取り付けられ、磁気記録ディスク8にデータを記録し、磁気記録ディスク8からデータを読み取る。ピボットアセンブリ18は、スイングアーム14をベース4に対してヘッド回転軸Sの周りに揺動自在に支持する。ボイスコイルモータ16は、スイングアーム14をヘッド回転軸Sの周りに揺動させ、記録再生ヘッドを磁気記録ディスク8の上面上の所望の位置に移動させる。ボイスコイルモータ16およびピボットアセンブリ18は、ヘッドの位置を制御する公知の技術を用いて構成される。
【0023】
図1(b)は回転機器1の側面図である。トップカバー2は、6つのねじ20を用いてベース4の外周壁部4bの上面4cに固定される。6つのねじ20は、6つのねじ穴22にそれぞれ対応する。特にトップカバー2と外周壁部4bの上面4cとは、それらの接合部分から回転機器1の内側へリークが生じないように互いに固定される。ここで回転機器1の内側とは具体的には、ベース4の底板部4aと、ベース4の外周壁部4bと、トップカバー2と、で囲まれる清浄空間24である。この清浄空間24は密閉されるように、つまり外部からのリークインもしくは外部へのリークアウトが無いように設計される。清浄空間24は、パーティクルが除去された清浄な空気で満たされる。
【0024】
図2は、図1(a)のA−A線断面図である。回転機器1は、積層コア40と、コイル42と、をさらに備える。積層コア40は円環部とそこから半径方向(すなわち回転軸Rに直交する方向)外側に伸びる12本の突極とを有し、ベース4の上面4d側に固定される。積層コア40は、4枚の薄型電磁鋼板を積層しカシメにより一体化して形成される。積層コア40の表面には電着塗装や粉体塗装などによる絶縁塗装が施される。それぞれの突極にはコイル42が巻回される。このコイル42に3相の略正弦波状の駆動電流が流れることにより突極に沿って駆動磁束が発生する。ベース4の上面4dには、ロータ6の回転軸Rを中心とする円環状の環状壁部4eが設けられる。積層コア40は環状壁部4eの外周面4gに圧入されもしくは隙間ばめによって接着固定される。
【0025】
ベース4には、ロータ6の回転軸Rを中心とする貫通孔4hが設けられる。軸受ユニット12は、ハウジング44と、スリーブ46と、を含み、ロータ6をベース4に対して回転自在に支持する。ハウジング44は、円筒部と底部とが一体に形成された有底カップ形状を有する。すなわち、ハウジング44は、回転軸Rを中心とし上方に開いた凹部44aを有する。ハウジング44は底部を下にしてベース4の貫通孔4hに接着により固定される。ハウジング44は、原材料の黄銅を所定の形状に切削加工し、ニッケルメッキを施すことにより形成される。
後述する通り、ハウジング44とベース4とに介在する接着剤は、ハウジング44またはベース4もしくはその両方に回転機器1の一部ではない加熱用部材を接触させることにより熱せられて硬化される。
貫通孔4hの下側の縁には熱硬化型の導電性樹脂52がベース4からハウジング44にかけて塗布される。
【0026】
スリーブ46は、ハウジング44の凹部44aに挿入され接着固定される円筒状の部材である。スリーブ46の上端には半径方向外側に向けて張り出した張出部46aが形成されている。この張出部46aは、フランジ30と協働してロータ6の回転軸R方向の移動を制限する。スリーブ46は、原材料の黄銅を所定の形状に切削加工し、ニッケルメッキを施すことにより形成される。
【0027】
後述する通り、ハウジング44とスリーブ46とに介在する接着剤は、ハウジング44またはスリーブ46もしくはその両方に回転機器1の一部ではない加熱用部材を接触させることにより熱せられて硬化される。
【0028】
スリーブ46にはシャフト26が収まる。シャフト26およびハブ28およびフランジ30と軸受ユニット12との間の空間には潤滑剤48が注入される。
スリーブ46の内周面には、上下に離間した1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝50が形成される。ハウジング44の上面に対向するフランジ30の下面には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝(不図示)が形成される。張出部46aの下面に対向するフランジ30の上面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝(不図示)が形成される。ロータ6の回転時には、これらの動圧溝が潤滑剤48に生成する動圧によって、ロータ6は半径方向および回転軸R方向に支持される。
【0029】
なお、1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝をシャフト26に形成してもよい。また、第1スラスト動圧溝をハウジング44の上面に形成してもよく、第2スラスト動圧溝を張出部46aの下面に形成してもよい。
ラジアル動圧溝が形成された被接着部材を搭載した回転機器では、性能を確保するためにラジアル動圧溝が形成された被接着部材の変形を例えば1μm以下に抑えることが求められことがある。
【0030】
ロータ6は、シャフト26と、ハブ28と、フランジ30と、円筒状マグネット32と、を含む。ハブ28のディスク載置面28a上に磁気記録ディスク8が載置される。ハブ28の上面28bには3つのディスク固定用ねじ穴34がロータ6の回転軸Rの周りに120度間隔で設けられている。クランパ36は、3つのディスク固定用ねじ穴34に螺合される3つのディスク固定用ねじ38によってハブ28の上面28bに圧着されると共に磁気記録ディスク8をハブ28のディスク載置面28aに圧着させる。
【0031】
ハブ28は、軟磁性を有する例えばSUS430F等の鉄鋼材料から形成される。ハブ28は、鉄鋼板を例えばプレス加工や切削加工することにより形成され、略カップ状の所定の形状に形成される。ハブ28の鉄鋼材料としては、例えば、大同特殊鋼株式会社が供給する商品名DHS1のステンレスはアウトガスが少なく、加工容易である点で好ましい。また、同様に同社が供給する商品名DHS2のステンレスはさらに耐食性が良好な点でより好ましい。
【0032】
シャフト26は、ハブ28の中心に設けられた孔28cであってロータ6の回転軸Rと同軸に設けられた孔28cに圧入と接着とを併用した状態で固着される。シャフト26は、ハブ28の原材料よりも硬い、例えばSUS420J2等の鉄鋼材料から形成される。
後述する通り、ハブ28とシャフト26とに介在する接着剤は、ハブ28またはシャフト26もしくはその両方に回転機器1の一部ではない加熱用部材を接触させることにより熱せられて硬化される。
フランジ30は円環形状を有し、フランジ30の断面は、逆L字形状を有する。フランジ30は、ハブ28の下垂部28dの内周面28eに接着により固定される。
【0033】
円筒状マグネット32は、略カップ形状のハブ28の内側の円筒面に相当する円筒状内周面28fに接着固定される。円筒状マグネット32は、ネオジウム、鉄、ホウ素などの希土類材料によって形成され、積層コア40の12本の突極と半径方向に対向する。円筒状マグネット32にはその周方向(回転軸Rを中心とし回転軸Rに垂直な円の接線方向)に16極の駆動用着磁が施される。円筒状マグネット32の表面には電着塗装やスプレー塗装などによる防錆処理が施される。
【0034】
(製造方法)
実施の形態に係る製造方法は回転機器を製造する方法である。回転機器は、例えばディスク駆動装置、特に磁気記録ディスクを搭載するハードディスクドライブである。以下では上述の回転機器1と同様の回転機器を製造する場合を例として説明する。
【0035】
回転機器は互いに接着により固定される部材の組として、シャフトとハブとの組や、軸受ユニットとベースとの組や、ハウジングとスリーブとの組などを有する。以下ではハウジングとスリーブとの接着に着目して本実施の形態に係る製造方法を説明する。しかしながら、その他の互いに接着により固定される部材の組にも本実施の形態に係る技術的思想を適用できることは、本明細書に触れた当業者には明らかである。
【0036】
本実施の形態に係る製造方法は、ハウジング、スリーブを含む回転機器の部材を形成する工程と、ハウジングとスリーブとを接着固定する接着工程と、接着固定されたハウジング、スリーブおよび他の部材を使用して回転機器を組み立てる工程と、組み立てられた回転機器の外観、動作、機能等を検査する工程と、を備える。回転機器の部材を形成する工程は、切削加工や鋳造加工などの公知の加工技術を使用して構成されてもよい。組み立てる工程は公知の組み立て技術を使用して構成されてもよい。検査する工程は公知の検査技術を使用して構成されてもよい。
【0037】
図3は、接着工程における処理の流れを示す模式図である。接着工程は、スリーブ146を治具すなわちユニット台124に載置する載置工程と、ハウジング144の凹部144a内に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、スリーブ146をハウジング144の凹部144aに挿入する挿入工程と、接着剤を硬化させる硬化工程と、を含む。
【0038】
接着剤塗布工程では、凹部144aの内周面に定義される円環状の接着剤塗布領域192に接着剤が塗布される。この接着剤は、温度が高いほど速く硬化する接着剤であり、例えば熱硬化型接着剤である。なお、接着剤塗布領域192に代えて、凹部144aの内周面に対向すべきスリーブ146の外周面146aに接着剤を塗布してもよい。あるいはまた、接着剤塗布領域192および外周面146aの両方に接着剤を塗布してもよい。
接着剤塗布工程で使用される接着剤としては、温度が高いほど速く硬化するものであればよい。例えば、エポキシ樹脂を主成分として含む接着剤を用いることができる。耐熱性が高い点で好ましい。
【0039】
挿入工程では、まずスリーブ146をフランジ130に挿通し、次にフランジ130が取り付けられた状態のスリーブ146をハウジング144の凹部144aに挿入する。これにより、スリーブ146とハウジング144とに未硬化の接着剤が介在するようになる。すなわち、スリーブ146の外周面146aと凹部144aの周面とは、少なくとも部分的に接着剤を介して対向する。この挿入工程を経て、ハウジング144の凹部144aにスリーブ146が挿入されてなるアセンブリが製造される。
接着剤塗布工程および挿入工程は合わせて、ハウジング144とスリーブ146とに接着剤を未硬化の状態で介在させる工程を構成する。
【0040】
硬化工程では、本実施の形態に係る加熱冷却装置100が使用される。加熱冷却装置100はアセンブリの接着剤を加熱し冷却するための2つの加熱冷却チャネル102、104を有する。各加熱冷却チャネルは1度に1つのアセンブリを処理できる。図3の破線で示される加熱冷却装置100は、並列にさらに2つの加熱冷却装置100を設けてもよいことを示す。
【0041】
硬化工程では、作業者106が加熱冷却装置100を操作し、アセンブリをユニット台124に載置したままの状態でそのアセンブリに加熱用ユニット押し棒を接触させる。これにより、未硬化の接着剤の温度が雰囲気温度よりも高くなる。硬化工程ではさらに、接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くした後、アセンブリに冷却用ユニット押し棒を接触させることにより、接着剤の温度を下げる。加熱用ユニット押し棒および冷却用ユニット押し棒はいずれも加熱冷却装置100の一部であり、アセンブリや回転機器の一部ではない。本実施の形態では、冷却用ユニット押し棒はアセンブリ126が載置されるユニット台124とは異なる部材である。雰囲気温度はアセンブリの周囲の温度であり、例えばアセンブリの周囲の大気の温度であってもよい。
【0042】
図4は、加熱冷却チャネル102の構成を模式的に示す断面図である。図5は、図4の破線で囲まれた部分を拡大した拡大図である。加熱冷却チャネル102は、機械的な接触を通じてアセンブリを加熱する加熱部136と、機械的な接触を通じてアセンブリを冷却する冷却部138と、加熱部136と冷却部138との間でアセンブリを移動させる移動部140と、を有する。
【0043】
移動部140は、ユニット台124と、ワーク台128と、スライドシリンダ131と、を有する。加熱・冷却対象のアセンブリ126はハウジング144の底部を上にしてユニット台124に載置される。ユニット台124は、金属などの比較的熱伝導率の高い材料により形成される第1台部材132と、樹脂などの比較的熱伝導率の低い材料により形成される第2台部材134と、を有する。例えば、第1台部材132はステンレス鋼により形成され、第2台部材134はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)樹脂により形成される。
【0044】
第1台部材132はアセンブリ126と接触し、第2台部材134はワーク台128と接触するがアセンブリ126とは接触しない。高精度に形成でき、耐久性にも優れるという理由で、アセンブリ126と接触するユニット台124の部分は金属であることが望ましい。一方で、ユニット台124全体を金属とすると、加熱部136の加熱対象が実質的にアセンブリ126とユニット台124とを合わせたものとなるので、昇温速度が低下しうる。同様に冷却部138による降温速度も低下しうる。そこで本実施の形態に係る加熱冷却装置100では、ユニット台124は樹脂により形成される第2台部材134を有するので、ユニット台124のうち金属で形成される部分の割合は低減される。その結果、加熱部136はアセンブリ126の温度をより速く上昇させることができ、また冷却部138はアセンブリ126の温度をより速く降下させることができる。
【0045】
ユニット台124は、PEEK樹脂などの樹脂により形成されるワーク台128に載置される。スライドシリンダ131は、ユニット台124に載置されたアセンブリ126を、加熱部136の鉛直下方の加熱位置に位置決めし、次に冷却部138の鉛直下方の冷却位置に位置決めする。
【0046】
加熱部136は、加熱用シリンダ108と、加熱部カバー112と、加熱板114と、加熱用スプリング116と、加熱用ユニット押し棒118と、ヒータすなわち電気ヒータ120と、温度センサ122と、を有する。
スライドシリンダ131によってアセンブリ126が加熱位置に位置決めされると、加熱用シリンダ108は待機位置に待機していた加熱部カバー112を鉛直方向に押し下げる。加熱用ユニット押し棒118の下端がハウジング144の底部に当たると、加熱部カバー112はそこからさらに所定の距離だけ鉛直方向に降下し、停止する。この状態では、加熱用ユニット押し棒118は弾性部材すなわち加熱用スプリング116により鉛直下向きに付勢されている。この付勢力により加熱用ユニット押し棒118の下端はハウジング144の底部に押しつけられており、またアセンブリ126はユニット台124に押しつけられている。
【0047】
不図示の加熱冷却制御部は、加熱用ユニット押し棒118とアセンブリ126とが接触している状態で、電気ヒータ120に加熱用の電流を流す。すると電気ヒータ120で発生した熱は加熱板114、加熱用ユニット押し棒118を介して、加熱用ユニット押し棒118とハウジング144との接触部分からハウジング144に流れる。このようにアセンブリ126に流れ込む熱により、未硬化の接着剤を含むアセンブリ126全体の温度が雰囲気温度を超えて上昇する。この昇温中、アセンブリ126の温度すなわち接着剤の温度は摂氏100度から摂氏170度の範囲の温度に到達する。アセンブリ126の温度の上限は、例えば使用される接着剤が変性、劣化を開始する温度よりも低い温度に設定されてもよい。加熱冷却制御部は、温度センサ122が示す温度に基づき加熱用の電流を制御する。加熱冷却制御部は、電気ヒータ120に加熱用の電流を流し始めてから所定の加熱時間が経過すると、加熱用の電流を止める。加熱用シリンダ108は加熱部カバー112を待機位置まで上昇させる。
【0048】
加熱部136の加熱板114は、アセンブリ126の熱容量より大きな熱容量を有してもよい。例えば加熱板114の熱容量はアセンブリ126の熱容量の10倍以上とすることができる。これにより、加熱用の電流が変動した場合でも接着剤の温度の変動を抑えることができる。したがって、接着剤の温度が過度に変動して変性、劣化を生じる可能性を低くすることができる。なお、加熱板114の熱容量が大きすぎると加熱部136が大型化しうる。加熱板114の熱容量はアセンブリ126の熱容量の1万倍以下の場合には、加熱部136は実用上で問題とならない大きさで構成できる。
【0049】
加熱用ユニット押し棒118とアセンブリ126とが接触する期間の長さを決める主な要因は加熱時間である。本実施の形態では、この接触する期間の長さは23秒から280秒の範囲に設定される。なお、作業効率の観点からはこの接触する期間の長さは23秒から60秒の範囲に設定されることが望ましい。
【0050】
冷却部138は、冷却用シリンダ150と、冷却部カバー154と、冷却板156と、冷却用スプリング158と、冷却用ユニット押し棒160と、を有する。加熱部136における加熱処理の後、スライドシリンダ131によってアセンブリ126は冷却位置に位置決めされる。冷却用シリンダ150は待機位置に待機していた冷却部カバー154を鉛直方向に押し下げる。冷却用ユニット押し棒160がハウジング144の底部に当たってから冷却部カバー154が停止するまでの流れは加熱部136のそれと同様である。
【0051】
不図示の加熱冷却制御部は、冷却用ユニット押し棒160とアセンブリ126とが接触している状態を所定の冷却時間継続させる。接触前は冷却部138の各部材の温度は雰囲気温度程度であるから、熱は、アセンブリ126から冷却用ユニット押し棒160とハウジング144との接触部分を通じて冷却用ユニット押し棒160や冷却板156に流れる。この際、冷却板156は熱容量の比較的大きな部材であり、熱浴として機能する。その結果、アセンブリ126全体の温度は雰囲気温度に向けて下降する。加熱冷却制御部は冷却時間が経過すると、冷却用シリンダ150を駆動して冷却部カバー154を待機位置まで上昇させる。
【0052】
冷却部138の冷却板156は、アセンブリ126の熱容量より大きな熱容量を有してもよい。例えば冷却板156の熱容量はアセンブリ126の熱容量の10倍以上とすることができる。この場合、降温速度は比較的高くなるので、作業時間をより短縮することができる。
【0053】
図6は、図4の加熱冷却チャネルを使用してアセンブリを加熱、冷却する実験により得られた、9台のアセンブリの温度変化を示すグラフである。図6のグラフの横軸は時間、縦軸はアセンブリの温度を示す。図6のグラフは、雰囲気温度が20度で加熱冷却制御部における硬化温度の目標値を摂氏155度に設定した場合を示している。図6のグラフの左半分は加熱時の時間と温度との関係を示している。このグラフから理解される通り、実験に用いたアセンブリについて、加熱時間が23秒程度でアセンブリの温度の平均値が目標硬化温度の155度に到達している。これにより余裕を考慮して加熱時間は24秒に決定した。またこの加熱時間の半分程度の12秒程度でアセンブリの温度の平均値が目標硬化温度より15度低い140度まで到達している。つまり加熱時間を24秒とした場合には、アセンブリの温度が目標硬化温度マイナス15度以上の高温を維持している高温維持時間は12秒である。
図6のグラフの右半分は冷却時の時間と温度との関係を示している。このグラフから理解される通り、実験に用いたどのアセンブリについて見ても、冷却時間が14秒程度で雰囲気温度より20度高い40度程度に降下している。40度程度であれば作業者が取り扱うことに特別な困難はない。このため冷却時間は14秒に設定された。
【0054】
本実施の形態に係る回転機器の製造方法によると、硬化させるべき接着剤を局所的に加熱することが可能となる。これにより、未硬化の接着剤の温度をより短時間でより高くすることができるので、硬化時間を短縮できる。その結果、接着工程で費やされる時間を短縮し、製造効率を高めることができる。
【0055】
また、硬化時間を短縮できるので、接着剤が硬化する前にハウジング144とスリーブ146との相対位置がずれ、そのまま硬化してしまう可能性を低減できる。さらに硬化時間の短縮は、接着剤の液だれの低減にも貢献する。
【0056】
また、本実施の形態に係る製造方法では、多くのアセンブリを一度に高温槽に入れて処理することで単位時間当たりの処理数を稼ぐのではなく、アセンブリを一つ一つ高速で処理することで処理数を向上させる。アセンブリを個別に処理するので、加熱冷却装置100のサイズは高温槽のそれよりも小さくなる。したがって、工場のクリーンルーム内に占める接着工程のための装置の割合を低減し、貴重なクリーンルーム内の空間をより有効に活用できる。
【0057】
接着剤の硬化促進のために高温槽のみを使用する従来の方法において、槽内の温度を現行のものより高めることも考えられるが、この場合、被接着部材同士を互いにずれないよう押さえておく治具も含めた槽内の全てを高温にしなければならない。したがって、必要な部分を集中して加熱する本実施の形態に係る手法と比較して、より電力の消費が多くなる。また、高温槽は比較的大きく、そのような大きな高温槽の内部が例えば摂氏100度を超える高温となることは、工場の作業環境上好ましくない。
【0058】
工場における回転機器の製造ラインと接着工程との関係には少なくとも以下の2通りがある。
(1)バッチ処理
接着工程では、各アセンブリは他のアセンブリとは別々に加熱冷却チャネルによって加熱、冷却される。各加熱冷却チャネル102は1度に1つのアセンブリを処理する。ここで、接着工程で費やされる時間が他の工程のラインタクト時間を大きく上回る場合、接着工程はメインの製造ラインとは切り離され、独立に行われる。
【0059】
(2)インライン
本実施の形態では接着工程で費やされる時間を短縮することができ、設定によってはラインタクト時間以下とすることができる。例えば、ラインタクト時間が50秒のとき、本実施の形態では接着工程で費やされる時間を40秒程度とすることができる。あるいはまた、ラインタクト時間が25秒であり接着工程で費やされる時間が40秒程度であるときは、接着工程を並列に2組接続してもよい。あるいはまた、ラインタクト時間が8秒であり接着工程で費やされる時間が40秒程度であるときは、接着工程を並列に6組接続してもよい。つまりラインタクト時間に接着工程を並列に接続する組数を乗じて得られる数値を、接着工程で費やされる時間の数値より大きくしてもよい。
【0060】
接着工程で費やされる時間がラインタクト時間以下である場合、接着工程をメインの製造ラインの一部すなわちインラインとすることができる。この場合、従来の高温槽によるバッチ処理のように接着工程の前後でハウジングやスリーブなどのワークを溜めておく必要がないので、製造工程全体での滞留が少なくなり、製造効率が向上する。また、ワークを溜める場合はワークを溜めている間にワークに傷や異物が付く可能性があるが、インラインではそのような可能性を低減できる。また、インライン化することにより、ワークを運ぶ手間が軽減され、ワークを溜めておくためのスペースも不要となる。
【0061】
図7は、接着工程を経て製造されたアセンブリの抜去力を検査するための構成を示す断面図である。抜去力は、ハウジング144からスリーブ146を抜き去るために必要な力である。抜去力を検査するためにはまず、接着工程を経て製造されたアセンブリのスリーブ146の内周面にねじを切ってめねじ146bとする。次に、抜去治具162の一端部のおねじ162aを、スリーブ146のめねじ146bと螺合する。次に、固定治具164にフランジ130を引っかけつつ抜去治具162を引く。抜去治具162を引く力が抜去力に到達したところでスリーブ146とハウジング144との接着による接合が破壊され、スリーブ146が引き抜かれる。
【0062】
本発明者は加熱冷却制御部に対して設定する目標硬化温度と抜去力との関係および加熱時間と抜去力との関係を調べるため、複数のアセンブリについて諸条件を変えながら図7で説明される方法で抜去力を測定する実験を行った。
図8は、目標硬化温度と抜去力との関係を示すグラフである。図8のグラフの横軸は目標硬化温度を示し、縦軸は抜去力を示す。加熱時間、冷却時間はそれぞれ24秒、14秒に設定された。
図9は、加熱時間と抜去力との関係を示すグラフである。図9のグラフの横軸は加熱時間を示し、縦軸は抜去力を示す。目標硬化温度、冷却時間はそれぞれ摂氏155度、14秒に設定された。
【0063】
これらのグラフが示す通り、目標硬化温度、加熱時間、冷却時間を適切に設定することにより、接着工程で費やされる時間を短縮しつつ、従来の手法で達成されていた抜去力(約500N)と遜色ない抜去力を達成できる。また、例えば図8によると目標硬化温度が摂氏160度付近で抜去力が最大となる。また、図9によると一般に加熱時間が長いほど抜去力は増大する。したがって、目標硬化温度を抜去力が最大または極大となる摂氏160度付近に設定することによって、加熱時間を同じとすればより高い抜去力を得ることができる。また必要な抜去力を同じとすれば加熱時間をより短くすることができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る回転機器の製造方法では、接着工程においてアセンブリを加熱した後、アセンブリに冷却用ユニット押し棒160を接触させることによりアセンブリが冷却される。これにより、そうでない場合よりも速くアセンブリを冷却できる。すなわち、アセンブリの冷却に必要な時間を短縮できる。その結果、接着工程で費やされる時間をさらに短縮できる。
【0065】
以上、実施の形態に係る回転機器の製造方法について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0066】
実施の形態では、ハードディスクドライブである回転機器1を製造する場合について説明したが、製造の対象はハードディスクドライブに限られない。例えば、実施の形態の技術的思想は、互いに接着により固定される2つの部材を備える任意の回転機器の製造方法に適用されうる。
【0067】
実施の形態では、アセンブリに接触する加熱用ユニット押し棒118を電気ヒータ120で加熱することによってアセンブリを加熱する場合について説明したが、これに限られない。アセンブリの加熱方法としては他にマイクロ波加熱や誘導加熱(Induction Heating 、IH)などがある。あるいはまた、ヒータを備えず、代わりに加熱用ユニット押し棒を高温槽内で待機させておく構成も可能である。
実施の形態では、アセンブリ126に加熱用ユニット押し棒118が接触している状態で、電気ヒータ120に加熱用の電流を流して加熱用ユニット押し棒118を加熱する場合について説明したが、これに限られない。例えば、アセンブリ126に加熱用ユニット押し棒118が接触する前に、電気ヒータ120に加熱用の電流を流して加熱用ユニット押し棒118の加熱を開始してもよい。この場合、アセンブリ126の昇温に要する時間を短くしうる。
【0068】
実施の形態では、アセンブリに冷却用ユニット押し棒160を接触させ、アセンブリの熱を逃すことによってアセンブリを冷却する場合について説明したが、これに限られない。例えば、冷却部138を設けずに自然に冷却されるのを待つ構成も可能である。アセンブリの冷却方法としては他に、フィンによる自然空冷や、ファンによる強制空冷や、液冷(水冷)や、ヒートパイプや、これらの組み合わせなどがある。あるいはまた、ペルチェ素子による電気冷却を使用してもよい。あるいはまた、冷却用ユニット押し棒を低温槽内で待機させておく構成も可能である。
【0069】
実施の形態では、加熱用ユニット押し棒118および冷却用ユニット押し棒160はいずれも同じハウジング144の底部に接触する場合について説明したが、これに限られず、加熱用ユニット押し棒118が接触するアセンブリの箇所と冷却用ユニット押し棒160が接触するアセンブリの箇所とは異なっていてもよい。
【0070】
実施の形態では、冷却用ユニット押し棒160はユニット台124とは異なる部材である場合について説明したが、これに限られない。例えば、冷却部138を設ける代わりにユニット台124を強制的に冷却する構成を設けてもよい。
【0071】
実施の形態に係る製造方法において、加熱用部材を接触させて接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程の後に、付加的にアセンブリまたは回転機器を高温漕に入れて処理する工程を設けてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 回転機器、 2 トップカバー、 4 ベース、 6 ロータ、 8 磁気記録ディスク、 10 データリード/ライト部、 28 ハブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接着により固定される第1部材と第2部材とを備える回転機器の製造方法であって、
第1部材および第2部材を形成する工程と、
第1部材と第2部材とに、温度が高いほど速く硬化する接着剤を介在させる工程と、
第1部材または第2部材もしくはその両方に回転機器の一部ではない加熱用部材を接触させることにより、接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程と、
互いに接着された第1部材および第2部材を使用して回転機器を組み立てる工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くした後、第1部材または第2部材もしくはその両方に回転機器の一部ではない冷却用部材を接触させることにより、接着剤の温度を下げる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程において、接着剤の温度は摂氏100度から摂氏170度の範囲の温度に到達することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程において、第1部材または第2部材もしくはその両方と加熱用部材とが接触する期間の長さは23秒から280秒の範囲とされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
加熱用部材は電気ヒータにより加熱されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
接着剤を介在させる工程および接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程で費やされる時間は、他の工程のラインタクト時間以下とされることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
回転機器は記録ディスクが載置されるべきハブとハブを軸受ユニットを介して回転自在に支持するベースとを有し、軸受ユニットは回転軸を中心とする凹部を有するハウジングとその凹部に挿入され接着固定されるスリーブとを含み、第1部材はハウジングであり第2部材はスリーブであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
接着剤を介在させる工程は、
ハウジングまたはスリーブのいずれか一方を治具に載置する工程と、
ハウジングの凹部の内周面またはその内周面に対向すべきスリーブの外周面もしくはその両方に接着剤を塗布する工程と、
ハウジングの凹部にスリーブを挿入する工程と、を含み、
接着剤の温度を雰囲気温度よりも高くする工程は、
ハウジングの凹部にスリーブが挿入されてなるアセンブリを治具に載置したままの状態でそのアセンブリに加熱用部材を接触させる工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
記録ディスクが載置されるべきハブと、
ハブを軸受ユニットを介して回転自在に支持するベースと、を備え、
軸受ユニットは、回転軸を中心とする凹部を有するハウジングと、その凹部に挿入され接着固定されるスリーブと、を含み、
ハウジングとスリーブとに介在する接着剤は、ハウジングまたはスリーブもしくはその両方に本回転機器の一部ではない加熱用部材を接触させることにより熱せられて硬化されることを特徴とする回転機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55791(P2013−55791A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192067(P2011−192067)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(508100033)アルファナテクノロジー株式会社 (100)
【Fターム(参考)】