説明

回転機

【課題】運転を継続したままであっても、鉄心やコイルに付着または堆積したダストを除去し、回転子や固定子の温度上昇を防ぎ、また、絶縁物の絶縁能力を保つことのできる回転機を提供する。
【解決手段】運転時に鉄心およびコイルを冷却するためにフレーム1内に気体を導入するタイプの回転機において、フレーム1に開口しフレーム1内に付着または堆積したダストを取り除くための気体を噴射する噴射ノズル2と、噴射ノズル2に気体を供給する気体供給システム(10,11,12)とを備えている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転時に鉄心やコイルを冷却するためにフレーム内に気体を導入するタイプの回転機に係り、気体の導入によってフレーム内に付着または堆積したダストを清掃する機構を有する回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に従来の回転機の構成を示す。図4において、1はフレーム、6は排気口、7は吸気口、8は固定子、9は回転子である。このように構成された回転機において、回転機を冷却する冷却気体はフレーム1に設けられた吸気口7より流入し、図4の矢印の方向に流れる。冷却気体により回転機内部の固定子8の鉄心およびコイル、回転子9の鉄心およびコイルが冷却された後、排気口6より冷却気体は排出される。
【0003】
上記のような従来のフレーム内に気体を導入し冷却する回転機においては、オイルミストや砂塵等のダストもフレーム内に流入してしまうため、コイルや鉄心にダストが付着し、回転子や固定子の温度上昇の原因となる。また、温度上昇や汚れ自体によりコイル絶縁物の絶縁能力が低下する可能性があり、このような能力低下を防止するためには、定期的に回転機を停止し、分解、清掃を行う必要があるという課題がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−149010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、運転を継続したままであっても、フレーム内の鉄心やコイルに付着または堆積したダストを除去し、回転子や固定子の温度上昇を防ぎ、また、絶縁物の絶縁能力を保つことのできる回転機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、運転時に鉄心およびコイルを冷却するためにフレーム内に気体を導入する回転機において、前記フレーム内に開口し、前記フレーム内に付着または堆積したダストを取り除くための気体を噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルに気体を供給する気体供給システムとを備えている構成とする。
【0006】
請求項2は、前記噴射ノズルに気体の噴射方向を変える機構を備えている構成とする。
請求項3は、前記フレーム内に付着または堆積したダストを除去するための気体の通路を固定子鉄心に設けた構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転を継続したままであっても、鉄心やコイルに付着または堆積したダストを除去し、回転子や固定子の温度上昇を防ぎ、また、絶縁物の絶縁能力を保つことのできる回転機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の3つの実施の形態を図を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の回転機の構成を示す図である。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態の回転機は、フレーム1に圧縮した気体を噴射する噴射ノズル2が軸方向および周方向の複数の位置に取り付けられており、圧縮した気体を手動でまたは任意のインターバルでフレーム1内部へ噴射するためにソレノイドバルブ3を設ける。フレーム1の内部へ噴射する気体は気体レシーバ4より供給され、気体レシーバ4に圧縮した気体を蓄えるためにコンプレッサ5を備えている。ソレノイドバルブ3、気体レシーバ4、コンプレッサ5およびこれらを接続する気体配管12が気体供給システムを構成する。
【0010】
本実施の形態では、気体レシーバ4より圧縮された気体をソレノイドバルブ3を介して噴射ノズル2へ供給し、フレーム1内部へ噴射するが、このとき圧縮した気体を用い高い風圧によって鉄心、コイル、コイルエンド部などに付着または堆積したダストを吹き飛ばす。気体により吹き飛ばされたダストは、吸気口7から吸入され排気口6へ排出される冷却気体の流れによりフレーム1の外部へ排出される。気体は主に空気であり、冷却作用も有する。
【0011】
本実施の形態によれば、フレーム1に気体の噴射ノズル2を設けたことにより回転機を停止、分解することなく鉄心、コイル、コイルエンド部などの清掃が可能である。また、定期的に圧縮した気体を噴射するようにソレノイドバルブ3で制御することにより人手を介さず清掃が可能でかつダストが付着、堆積しにくくなり、回転子や固定子の温度上昇を防ぎ、また、絶縁物の絶縁能力を保つことができる。また、分解メンテナンスの間隔を延ばすことが可能で、分解清掃を行う際にも付着した汚れを取り除き易くなる。
【0012】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態の回転機の要部断面図である。
本実施の形態の回転機は、気体の噴射の方向を任意の方向へ変更することができるように、フレーム1に取り付けられた噴射ノズル2の取付部分にフレキシブルな配管を使用する、あるいは噴射ノズル2を切り替えることにより噴射方向を手動または自動で変更する機構を備える。
【0013】
本実施の形態によれば、噴射ノズル2の方向を変更することによりフレーム1内部の広い範囲へ圧縮された気体を噴射することが可能で、固定子や回転子のダストの付着又は堆積しやすい複数箇所に圧縮された気体を噴射し、ダストを除去することが可能となる。
【0014】
(第3の実施の形態)
図3は本発明の第3の実施の形態の回転機の要部断面図である。
本実施の形態の回転機は、固定子8の鉄心に気体の通路10を備える。
【0015】
本実施の形態によれば、固定子鉄心に設けた気体の通路10を用いて圧縮した気体を噴射することにより、噴射ノズル2では難しい、固定子と回転子のギャップ部のダストの除去が可能となる。
【0016】
また、上記第1〜第3の実施の形態において回転機がエンジン発電機セットの場合には、気体レシーバ4とコンプレッサ5はエンジン始動用のものを流用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回転機の構成を示し、(a)は軸方向上半断面および気体供給システムを示す図、(b)は側面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の回転機の構成を示す要部断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の回転機の構成を示す要部断面図。
【図4】従来の回転機の構成を示し、(a)は軸方向上半断面図、(b)は側面図。
【符号の説明】
【0018】
1…フレーム、2…噴射ノズル、3…ソレノイドバルブ、4…気体レシーバ、5…コンプレッサ、6…排気口、7…吸気口、8…固定子、9…回転子、10…気体通路、11…バルブコントローラ、12…気体配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転時に鉄心およびコイルを冷却するためにフレーム内に気体を導入するタイプの回転機において、前記フレーム内に開口し、前記フレーム内に付着または堆積したダストを取り除くための気体を噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルに気体を供給する気体供給システムとを備えていることを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記噴射ノズルに気体の噴射方向を変える機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の回転機。
【請求項3】
前記フレーム内に付着または堆積したダストを除去するための気体の通路を固定子鉄心に設けたことを特徴とする請求項1記載の回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−11024(P2009−11024A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167516(P2007−167516)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】