回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法
【課題】転位コイルの製造作業時間を短縮できるとともに、重労働作業を軽減することができる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイル1A,1Bを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段15と、前記把持手段15を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段14とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイル1A,1Bを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段15と、前記把持手段15を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段14とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の固定子コイル等に用いられる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法に係わり、更に詳しくは予め転位コイル製作に必要な半数の素線にて編み合わされた素線積層体(半コイル)同士を重ね合わせる作業にて用いる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転位コイルを自動で製作することを目的とした製造装置及び製造方法の1つとして、転位成形前の素線を所定本数束ね、素線束断面において両側に配置された転位型にて転位成形しながら転位成形個所を随時移動させることで編み込んでいく方策がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本方法は、始めに転位成形前の素線を所定本数束ねさえすれば、その後は全自動にて1コイル分の編み合せ作業が完了する利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−69722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大容量の回転電機に用いられる固定子コイルは、漏れ磁束による表皮効果の影響を低減するため、コイルを構成している素線の転位が行われている。この転位コイルは、素線の幅方向にクランク状の転位成形を施した後、転位コイルに必要な半数の素線の編み合わせを行って素線積層体(以後、半コイルと呼ぶ。)を形成する。次に、転位コイルに必要なもう半数の素線にて半コイルを作成した後、これらの半コイル同士を編み合わせることが、転位コイルの製造において有効である。
【0006】
しかしながら、これらの半コイル同士を編み合わせる場合、転位群にて素線が交差する領域に、樹脂を含浸させたシートを挿入する必要がある。具体的には、重ね合わせ時に樹脂を含浸させたシートが、半コイルの転位群の幅方向に2列並置した素線列の内側に上手く挿入させる必要があるが、シートが、引っ掛かりずれ易いとともに、長く重いコイルを扱うので、重労働作業である。
【0007】
このため、半コイル同士を重ね合わせて完成品とする方策を提示できれば、転位コイル製作に関し、全工程に関する自動化が可能になるので、その方策の提示が要求されている。
【0008】
本発明は、上述した要求に基づいてなされたもので、半コイル同士を重ね合わせて完成品とする工程に対する手段を提供し、その転位コイルの製造作業時間を短縮できるとともに、重労働作業を軽減することができる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段と、前記把持手段及び前記揺動手段を前記半コイルに長さ方向と直交する方向に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、第3の発明は、 第1又は第2の発明において、前記ビームの2つの揺動中心は、3個所の転位群を有する半コイルについては、それぞれ半コイルの軸方向に対し、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域と、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域とに位置付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造方法において、3個所の転位群を有する半コイルについて、一方の半コイルを、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が上向きになるような状態で設置した後、もう一方の半コイルを表裏逆側の状態で、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が前記半コイル素線列内側面と接しさせながら、いずれの半コイルの1つめの転位群も2つめの転位群も外側にくるようクロスさせて設置し、その後、先に設置した側の半コイルを持上げ、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、もう一方のコイルと平行になるまで揺動させた後、次に、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、中心に対し3つめの転位群側のみ更に揺動させ、その後、持上げた半コイルを下げて、もう一方のコイルと平行になるまで揺動を戻すことにより半コイル同士の重ね合わせることを特徴とする。
【0013】
さらに、第5の発明は、第4の発明において、先に設置した側の半コイルを持上げる際に、クロスして置いたもう一方の半コイルに近い側が高くなるように長手方向を軸に傾斜させ持上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造装置によれば、コイルの転位部ピッチを狭隘化したコイルの製作に関し、半コイル同士の重ね合わせ作業を、機械化、自動化できるので、その作業時間の短縮、重労働作業の低減が図れる。その結果として、製造原価を低減することができる。
【0015】
本発明の製造方法によれば、半コイルの重ね合わせ時に、樹脂を含浸させたシートが挿入されるべき個所を開口して引っ掛かりにくくすることができので、シートの挿入不具合による製品信頼性低下を防ぐことができ、その信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図5は、本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を示すもので、図1はその平面図、図2は図1のII−II矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た正面図、図3は図1のIII−III矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た右側面図、図4は図1のIV−IV矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た左側面図、図5は斜視図である。これらの図において、1は転位コイルに必要な所定本数の半数の素線にて編み合わされた半コイルである。転位コイルの製造装置のベース2は、図2乃至図4に示すように、作業の便宜上、支持脚3によって地上に配置されている。
ベース2上の短手の一方側(図1の上側)には、半コイル1の搬入コンベア4が、また、ベース2上の短手の他方側(図1の下側)には、編み合わせ完了後のコイルの搬出コンベア5が設置されている。この搬入コンベア4及び搬出コンベア5は、図1に示すように枠体41,51とこの枠体41,51間にそれぞれ設けた駆動用のローラ42、52で構成されており、枠体41,41及び枠体52,52間は、後述する半コイル把持手段が上方から挿入できるような間隔に設定されている。
【0017】
ベース2上における長手方向一方側(図1の右側)の搬入コンベア4と搬出コンベア5との間には、半コイル1の置き台6が複数(この例では3個)並設され、また、ベース2上における長手方向他方側(図1の左側)の搬入コンベア4と搬出コンベア5との間には、半コイル1の置き台7が複数(この例では3個)並設されている。置き台6及び置き台7は、後述する半コイル1の揺動後の支持のために、ベース2の短手方向の長さが異なるように設定されている。
【0018】
ベース2上の長手方向(図1の左右方向)の中間部には、搬入コンベア4及び搬出コンベア5を跨ぐように門型の案内枠8が設置されている。この案内枠8の上部には、レールガイド81によって移動体9がベース2の短手方向(図1の上下方向、図2の紙面に直交する方向)に移動可能に支持されている。この移動体9は、例えば、その上面に設けたねじ部10と、このねじ部10に螺合し案内枠8に回転可能に支持したねじ軸11と、このねじ軸11の一方側に連結した歯車装置12と、この歯車装置12に連結したモータ13とからなる駆動手段によって移動制御される。
【0019】
移動体9の下側には、移動体9の長手方向一方側と長手方向他方側とを支点として揺動する揺動手段14が設けられている。この揺動手段14は、ベース2の長手側で移動する移動脚141,141と、この移動脚141,141間に設けたビーム142と、このビーム142と移動体9との間に設けた揺動用のシリンダ143とで構成されている。前述した揺動手段13における移動体9の長手方向一方側と長手方向他方側とを揺動支点とする手段は、図2に示すように、移動体9の長手方向一方側上面に立設したシリンダ144と移動体9の長手方向他方側上面に立設したシリンダ145と、これらのシリンダ144,145のピストンロッド先端にそれぞれ設けたピン146,147と、ビーム142の上面に設けられ、ピン146,137の下降時にこれらが挿入される穴148,149とで構成されている。
【0020】
上記の構成により、例えば、ピン146をシリンダ144にて下降させて、ピン146を穴148に挿入させれば、ピン146を支点として、ビーム142を揺動させることができ、また、ピン147をシリンダ145にて下降させて、ピン147を穴149に挿入させれば、ピン147を支点として、ビーム142を揺動させることができる。尚、ピン146,147の最適位置は、後述する動作説明時に説明する。
【0021】
揺動手段14におけるビーム142には、図1及び図2に示すように、その右側に3つ、左側に2つの半コイル1の把持手段15が並設されている。この把持手段15の詳細な構成を、図6及び図7を用いて説明する。図6は図2のVI−VI矢視から把持手段15を見た左側面図、図7は、図6のVII−VII矢視から見た把持手段15の把持爪部を見た正面図であり、これらの図において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分である。
【0022】
把持手段15は、ビーム142を挟み込んだプレート151によってビーム142の側面に上下方向に向かって固定されたシリンダ152を備えている。このシリンダ152のピストンロッド153の先端には、下側が二股になっているコ字状の把持枠154が固定されている。この把持枠154の開口部側の下部には、半コイルの側部に係合する係合突部155が設けられている。コ字状の把持枠154の二股内には、コ字状の把持爪156がピン157によって傾動可能に設けられている。コ字状の把持爪156をピン157回り傾動させるために、把持爪156の開口側上部と把持枠154との間に把持爪傾動用のシリンダ158が設けられている。
【0023】
上述した把持手段15の構成により、その把持爪傾動用のシリンダ158を伸縮させることにより、把持爪156がピン157を中心に傾斜する構造となっている。尚、把持爪156を傾斜させて、半コイル1を斜めに支持する際には、把持枠154の係合突部155に半コイル1の側面が引っ掛り、ずり落ちないような構造になっているとともに、本構造により、半コイル1は上下搬送或いは傾斜可能となっている。
【0024】
尚、図1及び図2に示す右側の3つの把持手段15おける把持枠154及び把持爪156は、その開口が図3に示すように搬入コンベア4側に向いており、また、図1及び図2に示す左側の2つの把持手段15おける把持枠154及び把持爪156は、その開口が図4に示すように搬出コンベア5側に向いており、お互いに逆向きに開口している。
【0025】
前述した置き台6の先端側には、半コイルの位置決め機構が設けられている。この位置決め機構を図8及び図9を用いて説明する。図8は位置決め機構の右側面図、図9はその平面である。この位置決め機構は、置き台6の側部に固定したシリンダ61と、このシリンダ61のピストンロッドの先端に固定され、置き台6の側部で上面側に突出する位置決めプレート62とで構成されている。
【0026】
前述した置き台7の長手方向中間部には、半コイルの位置決め機構が設けられている。この位置決め機構を図10及び図11を用いて説明する。図10は位置決め機構の左側面図、図9はその平面である。この位置決め機構は、置き台7の側部に固定したロータリーアクチュエータ71と、このロータリーアクチュエータ71の回転軸に固定され、置き台7の側部で揺動するアーム72とで構成されている。
【0027】
次に、上述した本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を用いて、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた3個所の転位群を有する半コイル同士を重ね合わせ転位コイルを製作する場合を例に、図12〜図28により説明する。尚、図12〜図28では説明図を見やすく且つ半コイル1の挙動を分かりやすくするため、必要最小限の構成要素、つまり、把持手段15,揺動手段14のビーム142のみを示すこととする。
【0028】
まず、図12において、初期状態は、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153は下降位置、把持爪傾動用のシリンダ158は縮み位置とすることで、把持爪156は下降且つ傾斜無しの状態である。また、揺動手段14におけるビーム142は、移動体9に対して揺動できない状態(図2において、ピン146及び147とも穴148及び149に挿入され、且つ揺動用のシリンダ143が中間停止状態)で、且つコイルフック部2A〜2Eが搬入コンベア5Aの真上に来る位置(図1において、ねじ軸11の駆動により、移動体9が紙面上方位置)である。
【0029】
上述の状態において、図29及び図30に示す1つめの半コイル1A(樹脂を含浸させたシートを挿入しない方)が、搬入コンベア4により装置内へ搬入されることにより、把持手段15における把持爪156に半コイル1Aがセットされる。
【0030】
尚、前述したピン146及び穴148の最適な位置は、図29に示す1段目の転位部と2段目の転位部との間の領域X1、理想的にはその中間位置、また、ピン147及び穴149最適位置は、図29に示す2段目転位部と3段目転位部との間の領域X2、理想的にはその中間位置である。
【0031】
次に、図13に示すように、図6における把持手段15のシリンダ152のピストンロッド153を上昇させることにより、把持手段15における把持枠154,把持爪156で半コイル1Aを持上げる。その後に、揺動手段14のビーム142を移動して半コイルを、図13に示す装置中央位置まで搬送する。
【0032】
次に、図14に示すように、図2における移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149から抜き、その後、揺動用のシリンダ143を縮めることにより、図15に示すように、ビーム142をピン146を支点として反時計方向に揺動させる。その後、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を下降させ、半コイル1Aを斜めの状態で置き台6,7上に置く。
【0033】
次に、図15において、図1に示すシリンダ143を伸ばして、ビーム142を真直ぐに戻し、移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149に再度挿入した後、ねじ軸11を回転させて、移動体9、ビーム142及び把持手段15を、搬入コンベア4の真上位置に戻し、最後に、シリンダ152のピストンロッド153を伸長させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を搬入コンベア4内に下降させ初期位置に戻す。
【0034】
次に、図16において、搬入コンベア4により、半コイル1Bが装置内へ搬入されることにより、半コイル1Bが把持手段15における把持枠154及び把持爪156にセットされる。
【0035】
但し、このときに搬入される半コイル1Bは、図12に示す搬入された半コイル1Aに対し、表裏反対の状態で搬入コンベア4に搬入される。更に、この半コイル1Bは、図31に示すように、その各転位部には前もって樹脂を含浸させたシートCが挿入されている。
【0036】
次に、図17において、図6に示す把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を縮めて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を上昇させ、半コイル1Bを持上げる。その後に、ねじ軸11を回転して、移動体9、ビーム142及び把持手段15を、搬出コンベア5側に移動させ、半コイル1Bを装置中央位置まで搬送する。そして、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下降させて、半コイル1Bを、真直ぐの状態(図17の左右方向)で、予め斜め配置された半コイル1A及び置き台6,7上に置く。
【0037】
次に、図18において、シリンダ145によって、ピン147と穴149との係合を解き、図1における揺動用のシリンダ143を伸ばすことにより、ビーム142を今までとは逆側、即ちピン146を支点として時計方向に揺動させて、把持手段15における把持爪156による半コイル1Bの把持を解いた後、把持手段15におけるシリンダ152のピストンシリンダ153を縮めて、把持手段15における把持爪156を上昇させる。その後、図1における揺動用のシリンダ143を縮め、ビーム142をピン146を支点として反時計方向に揺動させて、真直ぐの状態の半コイル1Bと1本目の半コイル1Aの揺動角度との中間角度まで揺動させる。そして、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を下降させ、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下げ、最後に揺動用のシリンダ143を縮めることにより、ビーム142を1本目の半コイル1Aの揺動角度と同角度になるまで揺動させる(ピン146を支点として反時計方向に揺動させる)。これにより、把持手段15における把持枠154及び把持爪156の開口部が、始めに搬入した方の半コイル1Aに挿入されて、半コイル1Aを持上げるためのセットが完了する。
【0038】
次に、図19において、まず、図10、図11に示す置き台7に設けたロータリーアクチュエータ71によって位置決め用のアーム72を垂直に突き立てて、半コイル1Bの図19面上での移動を押さえる。そして、図6における把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を上昇させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156によって、始めに搬入した方の半コイル1Aを持上げる。そして、図6における把持爪傾動用のシリンダ158を伸ばすことにより、把持爪156をピン157を支点として回動させ、把持爪156で把持している半コイル1Aを傾斜させる。このとき、半コイル1Aの側面は、把持枠154の係合突部155に係合するので、半コイル1Aは把持爪156からの脱落が抑えられている。
【0039】
次に、図20において、図1における揺動用の143を伸ばすことにより、ビーム142はピン146を支点として時計方向に揺動させると、半コイル1Aと半コイル1Bにおける2点差線で示すエリアaとエリアbとの重ね合わせが終了する。
【0040】
上述した半コイル1Aと半コイル1Bとの重ね合わせ時における把持手段15の把持枠154及び把持爪156の動作を図21に示す。この図21は図19のXX−XX矢視図である。
【0041】
ここで、図19及び図21に示したように、把持手段15によって半コイル1Aを傾斜させ、その状態のまま図20に示すように揺動させる理由、を図22により説明する。図22は図19におけるXX−XX矢視図である。図22において、1Aは最初に搬入した方の半コイルであり、1Bは半コイル1Aの次に表裏逆側且つ樹脂を含浸させたシートCを挟んだ状態で搬入された方の半コイルである。図22において半コイル1Aを把持手段15によって傾斜させると、半コイル1Aは口を開けたような状態となる。この状態で図20に示すように半コイル1Aを揺動させることにより、樹脂を含浸させたシートCaは、半コイル1Aの口の部分に引っかからないで挿入され、樹脂を含浸させたシートCの引っ掛かりもなく、良好な重ね合せを行わせるものである。
【0042】
次に、図23において、把持爪傾動用のシリンダ158を縮めて、把持爪156の傾斜を解除すると共に、半コイル側面と把持枠156の係合突部155との係合も解除する。更に、図2における移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149に挿入させ、ピン146をシリンダ144により穴148から抜き出して、ビーム142の揺動支点をピン146からピン147に切り替える。
【0043】
その後、図24において、図1における揺動用のシリンダ143を縮めることにより、ビーム142はピン147を支点として時計方向に揺動する。そのとき、半コイル1Aは置き台7のアーム72に引っ掛かるため、把持手段15の把持爪156は、半コイル1Aから外れる。
【0044】
次に、図25において、図6における把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を伸長させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下げる。そして、図1における揺動用のシリンダ143を伸ばし、ビーム142をピン147を支点として反時計方向に揺動させて、前述した半コイルの重ね合わせと同様に、半コイル1Aの残りの部分を半コイル1B上に乗せる。
【0045】
次に、図26において、把持爪傾動用のシリンダ158を縮めて、把持爪156の傾斜を解除すると共に、半コイル側面と把持枠154の係合突部155との係合も解除する。
【0046】
次に、図27において、図8及び図9に示す置き台6に設けたシリンダ61により位置決めプレート62を押し出すと共に、図1におけるねじ軸11の駆動により、ビーム142を図27の紙面下方向に移動させる。
【0047】
その後、図28の如く、ねじ軸11を駆動して、把持手段15の把持爪156が搬出コンベア5の真上位置にくるまで、移動体9及びビーム142を移動させた後、把持手段15のシリンダ152のピストンロッド153を伸長させることにより、完成した転位コイルを搬出コンベア5に載置させることができる。その後、搬出コンベア5の駆動により、完成した転位コイルを装置外(図28の右側)へ搬出される。
【0048】
以上の動作により、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた3個所の転位群を有する半コイル同士を重ね合わせ作業は自動化可能となる。
【0049】
尚、上述した編み合わせの動作では、3個所の転位群を有する半コイル同士の重ね合わせ作業を例に説明したが、図23において、ビーム142の揺動中心をピン146からピン147に切り替えず、その後、先述した図26における動作を先に行い、図24→図25→図27→図28で説明した動作を行うことで、2個所の転位群を有する半コイル同士の重ね合わせ作業も可能である。
【0050】
尚、上述の実施の形態において、移動体9の移動手段として、ねじとねじ軸との駆動装置を用いたが、シリンダによる駆動装置を用いることもできる。また、ビーム142の揺動のために、揺動用のシリンダ143を用いたが、移動脚141に駆動用モータを設けることも可能である。
【0051】
本発明の実施の形態によれば、コイルの転位部ピッチを狭隘化したコイルの製作に関し、半コイル同士の重ね合わせ作業を機械化及び自動化が可能になるので、その作業時間の短縮、重労働作業の低減を図ることができる。その結果、製造原価を低減することができる。また、半コイルの重ね合わせ時に、樹脂を含浸させたシートが挿入されるべき個所を開口させて、シートのコイルへの引っ掛かりを解消できるので、製品の信頼性の低下を防止することができるとともに、装置の高速化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、II−II矢視から見た正面図である。
【図3】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、III−III矢視から見た右側面図である。
【図4】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、IV−IV矢視から見た左側面図である。
【図5】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、一部断面にて示す斜視図である。
【図6】図2に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する把持手段をVI−VI矢視から見た拡大左側面図である。
【図7】図6に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する把持手段の把持爪部をVII−VII矢視から見た拡大正面図である。
【図8】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する一方の置き台を拡大して示す右側面図である。
【図9】図8に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する一方の置き台の平面図である。
【図10】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成するもう一方の置き台を拡大して示す左側面図である。
【図11】図10に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成するもう一方の置き台の平面図である。
【図12】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図13】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図14】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図15】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図16】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図17】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図18】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図19】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図20】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図21】図19に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作をXXI−XXI矢視から見た拡大左側面図である。
【図22】図19に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態によって編み合わされる半コイルの移動動作をXXI−XXI矢視から見た拡大左側面図である。
【図23】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図24】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図25】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図26】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図27】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図28】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図29】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態のよって編み合わされる一方の半コイルの平面図である。
【図30】図29に示される一方の半コイルの正面図である。
【図31】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態のよって編み合わされる樹脂を含浸させたシートを挿入したもう一方の半コイルの平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 半コイル
1A 樹脂を含浸させたシートを挿入しない方の半コイル
1B 樹脂を含浸させたシートを挿入する方の半コイル
2 ベース
4 搬入コンベア
5 搬出コンベア
6 置き台
7 置き台
8 案内枠
9 移動体
14 揺動手段
15 把持手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の固定子コイル等に用いられる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法に係わり、更に詳しくは予め転位コイル製作に必要な半数の素線にて編み合わされた素線積層体(半コイル)同士を重ね合わせる作業にて用いる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転位コイルを自動で製作することを目的とした製造装置及び製造方法の1つとして、転位成形前の素線を所定本数束ね、素線束断面において両側に配置された転位型にて転位成形しながら転位成形個所を随時移動させることで編み込んでいく方策がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本方法は、始めに転位成形前の素線を所定本数束ねさえすれば、その後は全自動にて1コイル分の編み合せ作業が完了する利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−69722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大容量の回転電機に用いられる固定子コイルは、漏れ磁束による表皮効果の影響を低減するため、コイルを構成している素線の転位が行われている。この転位コイルは、素線の幅方向にクランク状の転位成形を施した後、転位コイルに必要な半数の素線の編み合わせを行って素線積層体(以後、半コイルと呼ぶ。)を形成する。次に、転位コイルに必要なもう半数の素線にて半コイルを作成した後、これらの半コイル同士を編み合わせることが、転位コイルの製造において有効である。
【0006】
しかしながら、これらの半コイル同士を編み合わせる場合、転位群にて素線が交差する領域に、樹脂を含浸させたシートを挿入する必要がある。具体的には、重ね合わせ時に樹脂を含浸させたシートが、半コイルの転位群の幅方向に2列並置した素線列の内側に上手く挿入させる必要があるが、シートが、引っ掛かりずれ易いとともに、長く重いコイルを扱うので、重労働作業である。
【0007】
このため、半コイル同士を重ね合わせて完成品とする方策を提示できれば、転位コイル製作に関し、全工程に関する自動化が可能になるので、その方策の提示が要求されている。
【0008】
本発明は、上述した要求に基づいてなされたもので、半コイル同士を重ね合わせて完成品とする工程に対する手段を提供し、その転位コイルの製造作業時間を短縮できるとともに、重労働作業を軽減することができる回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段と、前記把持手段及び前記揺動手段を前記半コイルに長さ方向と直交する方向に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、第3の発明は、 第1又は第2の発明において、前記ビームの2つの揺動中心は、3個所の転位群を有する半コイルについては、それぞれ半コイルの軸方向に対し、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域と、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域とに位置付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造方法において、3個所の転位群を有する半コイルについて、一方の半コイルを、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が上向きになるような状態で設置した後、もう一方の半コイルを表裏逆側の状態で、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が前記半コイル素線列内側面と接しさせながら、いずれの半コイルの1つめの転位群も2つめの転位群も外側にくるようクロスさせて設置し、その後、先に設置した側の半コイルを持上げ、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、もう一方のコイルと平行になるまで揺動させた後、次に、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、中心に対し3つめの転位群側のみ更に揺動させ、その後、持上げた半コイルを下げて、もう一方のコイルと平行になるまで揺動を戻すことにより半コイル同士の重ね合わせることを特徴とする。
【0013】
さらに、第5の発明は、第4の発明において、先に設置した側の半コイルを持上げる際に、クロスして置いたもう一方の半コイルに近い側が高くなるように長手方向を軸に傾斜させ持上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造装置によれば、コイルの転位部ピッチを狭隘化したコイルの製作に関し、半コイル同士の重ね合わせ作業を、機械化、自動化できるので、その作業時間の短縮、重労働作業の低減が図れる。その結果として、製造原価を低減することができる。
【0015】
本発明の製造方法によれば、半コイルの重ね合わせ時に、樹脂を含浸させたシートが挿入されるべき個所を開口して引っ掛かりにくくすることができので、シートの挿入不具合による製品信頼性低下を防ぐことができ、その信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の回転電機の転位コイルの製造装置及びその製造方法の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図5は、本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を示すもので、図1はその平面図、図2は図1のII−II矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た正面図、図3は図1のIII−III矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た右側面図、図4は図1のIV−IV矢視から本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を見た左側面図、図5は斜視図である。これらの図において、1は転位コイルに必要な所定本数の半数の素線にて編み合わされた半コイルである。転位コイルの製造装置のベース2は、図2乃至図4に示すように、作業の便宜上、支持脚3によって地上に配置されている。
ベース2上の短手の一方側(図1の上側)には、半コイル1の搬入コンベア4が、また、ベース2上の短手の他方側(図1の下側)には、編み合わせ完了後のコイルの搬出コンベア5が設置されている。この搬入コンベア4及び搬出コンベア5は、図1に示すように枠体41,51とこの枠体41,51間にそれぞれ設けた駆動用のローラ42、52で構成されており、枠体41,41及び枠体52,52間は、後述する半コイル把持手段が上方から挿入できるような間隔に設定されている。
【0017】
ベース2上における長手方向一方側(図1の右側)の搬入コンベア4と搬出コンベア5との間には、半コイル1の置き台6が複数(この例では3個)並設され、また、ベース2上における長手方向他方側(図1の左側)の搬入コンベア4と搬出コンベア5との間には、半コイル1の置き台7が複数(この例では3個)並設されている。置き台6及び置き台7は、後述する半コイル1の揺動後の支持のために、ベース2の短手方向の長さが異なるように設定されている。
【0018】
ベース2上の長手方向(図1の左右方向)の中間部には、搬入コンベア4及び搬出コンベア5を跨ぐように門型の案内枠8が設置されている。この案内枠8の上部には、レールガイド81によって移動体9がベース2の短手方向(図1の上下方向、図2の紙面に直交する方向)に移動可能に支持されている。この移動体9は、例えば、その上面に設けたねじ部10と、このねじ部10に螺合し案内枠8に回転可能に支持したねじ軸11と、このねじ軸11の一方側に連結した歯車装置12と、この歯車装置12に連結したモータ13とからなる駆動手段によって移動制御される。
【0019】
移動体9の下側には、移動体9の長手方向一方側と長手方向他方側とを支点として揺動する揺動手段14が設けられている。この揺動手段14は、ベース2の長手側で移動する移動脚141,141と、この移動脚141,141間に設けたビーム142と、このビーム142と移動体9との間に設けた揺動用のシリンダ143とで構成されている。前述した揺動手段13における移動体9の長手方向一方側と長手方向他方側とを揺動支点とする手段は、図2に示すように、移動体9の長手方向一方側上面に立設したシリンダ144と移動体9の長手方向他方側上面に立設したシリンダ145と、これらのシリンダ144,145のピストンロッド先端にそれぞれ設けたピン146,147と、ビーム142の上面に設けられ、ピン146,137の下降時にこれらが挿入される穴148,149とで構成されている。
【0020】
上記の構成により、例えば、ピン146をシリンダ144にて下降させて、ピン146を穴148に挿入させれば、ピン146を支点として、ビーム142を揺動させることができ、また、ピン147をシリンダ145にて下降させて、ピン147を穴149に挿入させれば、ピン147を支点として、ビーム142を揺動させることができる。尚、ピン146,147の最適位置は、後述する動作説明時に説明する。
【0021】
揺動手段14におけるビーム142には、図1及び図2に示すように、その右側に3つ、左側に2つの半コイル1の把持手段15が並設されている。この把持手段15の詳細な構成を、図6及び図7を用いて説明する。図6は図2のVI−VI矢視から把持手段15を見た左側面図、図7は、図6のVII−VII矢視から見た把持手段15の把持爪部を見た正面図であり、これらの図において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分である。
【0022】
把持手段15は、ビーム142を挟み込んだプレート151によってビーム142の側面に上下方向に向かって固定されたシリンダ152を備えている。このシリンダ152のピストンロッド153の先端には、下側が二股になっているコ字状の把持枠154が固定されている。この把持枠154の開口部側の下部には、半コイルの側部に係合する係合突部155が設けられている。コ字状の把持枠154の二股内には、コ字状の把持爪156がピン157によって傾動可能に設けられている。コ字状の把持爪156をピン157回り傾動させるために、把持爪156の開口側上部と把持枠154との間に把持爪傾動用のシリンダ158が設けられている。
【0023】
上述した把持手段15の構成により、その把持爪傾動用のシリンダ158を伸縮させることにより、把持爪156がピン157を中心に傾斜する構造となっている。尚、把持爪156を傾斜させて、半コイル1を斜めに支持する際には、把持枠154の係合突部155に半コイル1の側面が引っ掛り、ずり落ちないような構造になっているとともに、本構造により、半コイル1は上下搬送或いは傾斜可能となっている。
【0024】
尚、図1及び図2に示す右側の3つの把持手段15おける把持枠154及び把持爪156は、その開口が図3に示すように搬入コンベア4側に向いており、また、図1及び図2に示す左側の2つの把持手段15おける把持枠154及び把持爪156は、その開口が図4に示すように搬出コンベア5側に向いており、お互いに逆向きに開口している。
【0025】
前述した置き台6の先端側には、半コイルの位置決め機構が設けられている。この位置決め機構を図8及び図9を用いて説明する。図8は位置決め機構の右側面図、図9はその平面である。この位置決め機構は、置き台6の側部に固定したシリンダ61と、このシリンダ61のピストンロッドの先端に固定され、置き台6の側部で上面側に突出する位置決めプレート62とで構成されている。
【0026】
前述した置き台7の長手方向中間部には、半コイルの位置決め機構が設けられている。この位置決め機構を図10及び図11を用いて説明する。図10は位置決め機構の左側面図、図9はその平面である。この位置決め機構は、置き台7の側部に固定したロータリーアクチュエータ71と、このロータリーアクチュエータ71の回転軸に固定され、置き台7の側部で揺動するアーム72とで構成されている。
【0027】
次に、上述した本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を用いて、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた3個所の転位群を有する半コイル同士を重ね合わせ転位コイルを製作する場合を例に、図12〜図28により説明する。尚、図12〜図28では説明図を見やすく且つ半コイル1の挙動を分かりやすくするため、必要最小限の構成要素、つまり、把持手段15,揺動手段14のビーム142のみを示すこととする。
【0028】
まず、図12において、初期状態は、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153は下降位置、把持爪傾動用のシリンダ158は縮み位置とすることで、把持爪156は下降且つ傾斜無しの状態である。また、揺動手段14におけるビーム142は、移動体9に対して揺動できない状態(図2において、ピン146及び147とも穴148及び149に挿入され、且つ揺動用のシリンダ143が中間停止状態)で、且つコイルフック部2A〜2Eが搬入コンベア5Aの真上に来る位置(図1において、ねじ軸11の駆動により、移動体9が紙面上方位置)である。
【0029】
上述の状態において、図29及び図30に示す1つめの半コイル1A(樹脂を含浸させたシートを挿入しない方)が、搬入コンベア4により装置内へ搬入されることにより、把持手段15における把持爪156に半コイル1Aがセットされる。
【0030】
尚、前述したピン146及び穴148の最適な位置は、図29に示す1段目の転位部と2段目の転位部との間の領域X1、理想的にはその中間位置、また、ピン147及び穴149最適位置は、図29に示す2段目転位部と3段目転位部との間の領域X2、理想的にはその中間位置である。
【0031】
次に、図13に示すように、図6における把持手段15のシリンダ152のピストンロッド153を上昇させることにより、把持手段15における把持枠154,把持爪156で半コイル1Aを持上げる。その後に、揺動手段14のビーム142を移動して半コイルを、図13に示す装置中央位置まで搬送する。
【0032】
次に、図14に示すように、図2における移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149から抜き、その後、揺動用のシリンダ143を縮めることにより、図15に示すように、ビーム142をピン146を支点として反時計方向に揺動させる。その後、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を下降させ、半コイル1Aを斜めの状態で置き台6,7上に置く。
【0033】
次に、図15において、図1に示すシリンダ143を伸ばして、ビーム142を真直ぐに戻し、移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149に再度挿入した後、ねじ軸11を回転させて、移動体9、ビーム142及び把持手段15を、搬入コンベア4の真上位置に戻し、最後に、シリンダ152のピストンロッド153を伸長させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を搬入コンベア4内に下降させ初期位置に戻す。
【0034】
次に、図16において、搬入コンベア4により、半コイル1Bが装置内へ搬入されることにより、半コイル1Bが把持手段15における把持枠154及び把持爪156にセットされる。
【0035】
但し、このときに搬入される半コイル1Bは、図12に示す搬入された半コイル1Aに対し、表裏反対の状態で搬入コンベア4に搬入される。更に、この半コイル1Bは、図31に示すように、その各転位部には前もって樹脂を含浸させたシートCが挿入されている。
【0036】
次に、図17において、図6に示す把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を縮めて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を上昇させ、半コイル1Bを持上げる。その後に、ねじ軸11を回転して、移動体9、ビーム142及び把持手段15を、搬出コンベア5側に移動させ、半コイル1Bを装置中央位置まで搬送する。そして、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下降させて、半コイル1Bを、真直ぐの状態(図17の左右方向)で、予め斜め配置された半コイル1A及び置き台6,7上に置く。
【0037】
次に、図18において、シリンダ145によって、ピン147と穴149との係合を解き、図1における揺動用のシリンダ143を伸ばすことにより、ビーム142を今までとは逆側、即ちピン146を支点として時計方向に揺動させて、把持手段15における把持爪156による半コイル1Bの把持を解いた後、把持手段15におけるシリンダ152のピストンシリンダ153を縮めて、把持手段15における把持爪156を上昇させる。その後、図1における揺動用のシリンダ143を縮め、ビーム142をピン146を支点として反時計方向に揺動させて、真直ぐの状態の半コイル1Bと1本目の半コイル1Aの揺動角度との中間角度まで揺動させる。そして、把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を下降させ、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下げ、最後に揺動用のシリンダ143を縮めることにより、ビーム142を1本目の半コイル1Aの揺動角度と同角度になるまで揺動させる(ピン146を支点として反時計方向に揺動させる)。これにより、把持手段15における把持枠154及び把持爪156の開口部が、始めに搬入した方の半コイル1Aに挿入されて、半コイル1Aを持上げるためのセットが完了する。
【0038】
次に、図19において、まず、図10、図11に示す置き台7に設けたロータリーアクチュエータ71によって位置決め用のアーム72を垂直に突き立てて、半コイル1Bの図19面上での移動を押さえる。そして、図6における把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を上昇させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156によって、始めに搬入した方の半コイル1Aを持上げる。そして、図6における把持爪傾動用のシリンダ158を伸ばすことにより、把持爪156をピン157を支点として回動させ、把持爪156で把持している半コイル1Aを傾斜させる。このとき、半コイル1Aの側面は、把持枠154の係合突部155に係合するので、半コイル1Aは把持爪156からの脱落が抑えられている。
【0039】
次に、図20において、図1における揺動用の143を伸ばすことにより、ビーム142はピン146を支点として時計方向に揺動させると、半コイル1Aと半コイル1Bにおける2点差線で示すエリアaとエリアbとの重ね合わせが終了する。
【0040】
上述した半コイル1Aと半コイル1Bとの重ね合わせ時における把持手段15の把持枠154及び把持爪156の動作を図21に示す。この図21は図19のXX−XX矢視図である。
【0041】
ここで、図19及び図21に示したように、把持手段15によって半コイル1Aを傾斜させ、その状態のまま図20に示すように揺動させる理由、を図22により説明する。図22は図19におけるXX−XX矢視図である。図22において、1Aは最初に搬入した方の半コイルであり、1Bは半コイル1Aの次に表裏逆側且つ樹脂を含浸させたシートCを挟んだ状態で搬入された方の半コイルである。図22において半コイル1Aを把持手段15によって傾斜させると、半コイル1Aは口を開けたような状態となる。この状態で図20に示すように半コイル1Aを揺動させることにより、樹脂を含浸させたシートCaは、半コイル1Aの口の部分に引っかからないで挿入され、樹脂を含浸させたシートCの引っ掛かりもなく、良好な重ね合せを行わせるものである。
【0042】
次に、図23において、把持爪傾動用のシリンダ158を縮めて、把持爪156の傾斜を解除すると共に、半コイル側面と把持枠156の係合突部155との係合も解除する。更に、図2における移動体9上のピン147をシリンダ145により穴149に挿入させ、ピン146をシリンダ144により穴148から抜き出して、ビーム142の揺動支点をピン146からピン147に切り替える。
【0043】
その後、図24において、図1における揺動用のシリンダ143を縮めることにより、ビーム142はピン147を支点として時計方向に揺動する。そのとき、半コイル1Aは置き台7のアーム72に引っ掛かるため、把持手段15の把持爪156は、半コイル1Aから外れる。
【0044】
次に、図25において、図6における把持手段15におけるシリンダ152のピストンロッド153を伸長させて、把持手段15における把持枠154及び把持爪156を下げる。そして、図1における揺動用のシリンダ143を伸ばし、ビーム142をピン147を支点として反時計方向に揺動させて、前述した半コイルの重ね合わせと同様に、半コイル1Aの残りの部分を半コイル1B上に乗せる。
【0045】
次に、図26において、把持爪傾動用のシリンダ158を縮めて、把持爪156の傾斜を解除すると共に、半コイル側面と把持枠154の係合突部155との係合も解除する。
【0046】
次に、図27において、図8及び図9に示す置き台6に設けたシリンダ61により位置決めプレート62を押し出すと共に、図1におけるねじ軸11の駆動により、ビーム142を図27の紙面下方向に移動させる。
【0047】
その後、図28の如く、ねじ軸11を駆動して、把持手段15の把持爪156が搬出コンベア5の真上位置にくるまで、移動体9及びビーム142を移動させた後、把持手段15のシリンダ152のピストンロッド153を伸長させることにより、完成した転位コイルを搬出コンベア5に載置させることができる。その後、搬出コンベア5の駆動により、完成した転位コイルを装置外(図28の右側)へ搬出される。
【0048】
以上の動作により、予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた3個所の転位群を有する半コイル同士を重ね合わせ作業は自動化可能となる。
【0049】
尚、上述した編み合わせの動作では、3個所の転位群を有する半コイル同士の重ね合わせ作業を例に説明したが、図23において、ビーム142の揺動中心をピン146からピン147に切り替えず、その後、先述した図26における動作を先に行い、図24→図25→図27→図28で説明した動作を行うことで、2個所の転位群を有する半コイル同士の重ね合わせ作業も可能である。
【0050】
尚、上述の実施の形態において、移動体9の移動手段として、ねじとねじ軸との駆動装置を用いたが、シリンダによる駆動装置を用いることもできる。また、ビーム142の揺動のために、揺動用のシリンダ143を用いたが、移動脚141に駆動用モータを設けることも可能である。
【0051】
本発明の実施の形態によれば、コイルの転位部ピッチを狭隘化したコイルの製作に関し、半コイル同士の重ね合わせ作業を機械化及び自動化が可能になるので、その作業時間の短縮、重労働作業の低減を図ることができる。その結果、製造原価を低減することができる。また、半コイルの重ね合わせ時に、樹脂を含浸させたシートが挿入されるべき個所を開口させて、シートのコイルへの引っ掛かりを解消できるので、製品の信頼性の低下を防止することができるとともに、装置の高速化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、II−II矢視から見た正面図である。
【図3】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、III−III矢視から見た右側面図である。
【図4】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、IV−IV矢視から見た左側面図である。
【図5】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を、一部断面にて示す斜視図である。
【図6】図2に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する把持手段をVI−VI矢視から見た拡大左側面図である。
【図7】図6に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する把持手段の把持爪部をVII−VII矢視から見た拡大正面図である。
【図8】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する一方の置き台を拡大して示す右側面図である。
【図9】図8に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成する一方の置き台の平面図である。
【図10】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成するもう一方の置き台を拡大して示す左側面図である。
【図11】図10に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態を構成するもう一方の置き台の平面図である。
【図12】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図13】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図14】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図15】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図16】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図17】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図18】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図19】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図20】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図21】図19に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作をXXI−XXI矢視から見た拡大左側面図である。
【図22】図19に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態によって編み合わされる半コイルの移動動作をXXI−XXI矢視から見た拡大左側面図である。
【図23】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図24】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図25】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図26】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図27】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図28】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態の動作を説明する平面図である。
【図29】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態のよって編み合わされる一方の半コイルの平面図である。
【図30】図29に示される一方の半コイルの正面図である。
【図31】図1に示す本発明の回転電機の転位コイルの製造装置の一実施の形態のよって編み合わされる樹脂を含浸させたシートを挿入したもう一方の半コイルの平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 半コイル
1A 樹脂を含浸させたシートを挿入しない方の半コイル
1B 樹脂を含浸させたシートを挿入する方の半コイル
2 ベース
4 搬入コンベア
5 搬出コンベア
6 置き台
7 置き台
8 案内枠
9 移動体
14 揺動手段
15 把持手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、
予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段とを備えたことを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項2】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、
予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段と、前記把持手段及び前記揺動手段を前記半コイルに長さ方向と直交する方向に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転位コイル用の製造装置において、
前記ビームの2つの揺動中心は、3個所の転位群を有する半コイルについては、それぞれ半コイルの軸方向に対し、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域と、
2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域とに位置付けられていることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項4】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造方法において、
3個所の転位群を有する半コイルについて、一方の半コイルを、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が上向きになるような状態で設置した後、
もう一方の半コイルを表裏逆側の状態で、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が前記半コイル素線列内側面と接しさせながら、いずれの半コイルの1つめの転位群も2つめの転位群も外側にくるようクロスさせて設置し、
その後、先に設置した側の半コイルを持上げ、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、もう一方のコイルと平行になるまで揺動させた後、
次に、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、中心に対し3つめの転位群側のみ更に揺動させ、
その後、持上げた半コイルを下げて、もう一方のコイルと平行になるまで揺動を戻すことにより半コイル同士の重ね合わせることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機の転位コイル用の製造方法において、
先に設置した側の半コイルを持上げる際に、クロスして置いたもう一方の半コイルに近い側が高くなるように長手方向を軸に傾斜させ持上げることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造方法。
【請求項1】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、
予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段とを備えたことを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項2】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造装置において、
予め転位コイル製作に必要な素線の半数の素線にて編み合わされた半コイルを、上下方向に持上げ可能で、且つコイル長手方向を軸に傾斜させることができる把持手段と、前記把持手段を備え、2つの異なる揺動中心にて揺動可能な揺動手段と、前記把持手段及び前記揺動手段を前記半コイルに長さ方向と直交する方向に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転位コイル用の製造装置において、
前記ビームの2つの揺動中心は、3個所の転位群を有する半コイルについては、それぞれ半コイルの軸方向に対し、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域と、
2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域とに位置付けられていることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造装置。
【請求項4】
平角状の外形をもつ素線をその厚さ方向に積層した素線積層体を素線の幅方向に2列並置した断面構成を持ち、素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造方法において、
3個所の転位群を有する半コイルについて、一方の半コイルを、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が上向きになるような状態で設置した後、
もう一方の半コイルを表裏逆側の状態で、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域において、幅方向に2列並置した素線列内側面が前記半コイル素線列内側面と接しさせながら、いずれの半コイルの1つめの転位群も2つめの転位群も外側にくるようクロスさせて設置し、
その後、先に設置した側の半コイルを持上げ、1つめの転位群と2つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、もう一方のコイルと平行になるまで揺動させた後、
次に、2つめの転位群と3つめの転位群の間の転位が無い領域を中心にして、中心に対し3つめの転位群側のみ更に揺動させ、
その後、持上げた半コイルを下げて、もう一方のコイルと平行になるまで揺動を戻すことにより半コイル同士の重ね合わせることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機の転位コイル用の製造方法において、
先に設置した側の半コイルを持上げる際に、クロスして置いたもう一方の半コイルに近い側が高くなるように長手方向を軸に傾斜させ持上げることを特徴とする回転電機の転位コイル用の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2008−61478(P2008−61478A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238899(P2006−238899)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]