説明

回転駆動装置

【課題】構造が簡単で、製作コストを低額にすることができると共に、回転駆動動作するために使用するエネルギーを少なくすることができ、回転駆動動作にかかるエネルギーコストを低減させることができる回転駆動装置を提供する。
【解決手段】円筒部22bを有する回転質量体22と、偏心した貫通孔24e,26eを有する回転体24,26と、円板44,46と、円板44,46の一方の回転を他方に伝達可能に連結され、円形凹部28c,30cと鉛直ガイド溝28e,30eを有するリンク部材28,30を備え、回転体24,26の円環凸部24b,26bがリンク部材28,30の円形凹部28c,30cに相対回転可能に嵌合し、回転質量体22の半周に位置する円筒部22bが偏心した貫通孔24e,26eの内周面下側に接触して回転質量体22の重力を回転体24,26の半周に付加して、円板44,46の回転を伝達させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動を伝達することができる回転駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、例えば換気扇装置等の回転駆動装置は、回転駆動のための駆動源として電気等のエネルギーを用いるモータ等を使用していた。また、回転駆動のための駆動源として電気等のエネルギーの他に、石油、石炭等の火力、風力、水力、或いは原子力等の種々のエネルギーが用いられていた。
【0003】
この従来の回転駆動装置は、モータ等の駆動源により発生した動力をそのまま回転駆動装置の回転駆動に使用するものであるため、エネルギーを大量に必要とするものであり、回転駆動装置の回転駆動にかかるエネルギーコストが高額なものになるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、回転体の偏心回転を利用して回転力の発生、及び回転駆動運動の効率性の向上を目的とする従来の回転駆動装置があった。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記従来の回転駆動装置は、特許文献1の図1に、符号1で示すように、中心に位置するコアギア2と、該コアギア2の円周方向の4箇所に等間隔をおいて配置されて外接する、4組の回転体3R・3L・3U・3Dにより構成されていた。そして、コアギア2は枢支軸6を介して、支持部材5・5とは回動可能に、固定支持部材7・7とは完全固定状態に支持されていた。
【0006】
4組の回転体3R・3L・3U・3Dのそれぞれは、中空円筒構造体の外周部、内周部それぞれにモジュール歯を加工した外部ギア10と、その内周部より内側に軸心を共有して配設した内部ギア8と、同じく上記外部ギア10の内周部に、軸心から偏心し、且つ軸を平行に配設した転動体4により構成されていた。
【0007】
該転動体4は、中空円筒構造体の外周部、内周部それぞれにモジュール歯を加工した外部ギア14・14と、それに内接するアイドラー15から構成されていた。上記外部ギア14・14は、軸心を共有し且つ互いに対峙して配設された2枚のギアで構成され、その外周部では前記回転体3R・3L・3U・3Dの外部ギア10の内周部と、また、内周部ではアイドラー15の構成要素である、ギア17R・17R・17L・17Lの外周部と、それぞれモジュール歯を噛み合わされ配置されていた。
【0008】
上記従来の回転駆動装置1は、その重心位置が4つの転動体4により、常に回転中心である枢支軸6に対して偏心する構成となるため、4組の回転体3R・3L・3U・3Dは常にコアギア2の回りに、特許文献1の図1中矢印方向に回転するので、この回転力を効率的に被回転体に伝達することができるために、被回転体を回転駆動するために使用するエネルギーを少なくすることができ、回転駆動にかかるエネルギーコストを低減させることができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−107545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の回転駆動装置1においては、複雑な形状を有する部品が多数組み合わされる構成になっているために、その構造が複雑なものとなると共に、製作コストが高額になってしまうという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、構造が簡単で、製作コストを低額にすることができると共に、回転駆動動作するために使用するエネルギーを少なくすることができ、回転駆動動作にかかるエネルギーコストを低減させることができる回転駆動装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明による回転駆動装置は、
表裏両面の互いに対応する位置から厚さ方向の外側に突出する一対の円筒部を有し、この円筒部それぞれの先端面の間を貫通する軸孔を有する回転質量体と、
前記回転質量体の表裏両面のそれぞれに対向して配置され、前記回転質量体に対向する面とは反対側の面から外側に突出した円環凸部と、この円環凸部の軸心に対して偏心し、前記円筒部の両端部が貫通する貫通孔とを有する一対の回転体と、
前記一対の回転体それぞれの外側に、互いに偏心して配置された2枚の円板と、
前記一対の回転体と前記2枚の円板の間に配置され、第1のピン及び第2のピンを介して前記2枚の円板の一方の回転運動を、前記2枚の円板間で互いに平行移動しながら他方の円板に伝達可能に連結されると共に、前記一対の回転体に対向する面に開口する円形凹部と鉛直ガイド溝とを有する複数組のリンク部材とを備え、
前記回転体は、前記円環凸部が前記リンク部材の前記円形凹部に相対回転可能に嵌合し、
前記回転質量体は、その半周に位置する前記円筒部が前記回転体の前記偏心した貫通孔の内周面下側に接触して、前記回転質量体の重力を前記回転体の半周に付加して、前記2枚の円板の一方の回転運動を他方の円板に伝達するようにした
ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による回転駆動装置は、
ベルトや歯車等を介する動力伝達手段により前記円板の回転を、前記回転駆動装置が回転を伝達する対象の回転装置に伝達できるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明の回転駆動装置によれば、
表裏両面の互いに対応する位置から厚さ方向の外側に突出する一対の円筒部を有し、この円筒部それぞれの先端面の間を貫通する軸孔を有する回転質量体と、
前記回転質量体の表裏両面のそれぞれに対向して配置され、前記回転質量体に対向する面とは反対側の面から外側に突出した円環凸部と、この円環凸部の軸心に対して偏心し、前記円筒部の両端部が貫通する貫通孔とを有する一対の回転体と、
前記一対の回転体それぞれの外側に、互いに偏心して配置された2枚の円板と、
前記一対の回転体と前記2枚の円板の間に配置され、第1のピン及び第2のピンを介して前記2枚の円板の一方の回転運動を、前記2枚の円板間で互いに平行移動しながら他方の円板に伝達可能に連結されると共に、前記一対の回転体に対向する面に開口する円形凹部と鉛直ガイド溝とを有する複数組のリンク部材とを備え、
前記回転体は、前記円環凸部が前記リンク部材の前記円形凹部に相対回転可能に嵌合し、
前記回転質量体は、その半周に位置する前記円筒部が前記回転体の前記偏心した貫通孔の内周面下側に接触して、前記回転質量体の重力を前記回転体の半周に付加して、前記2枚の円板の一方の回転運動を他方の円板に伝達するようにしたことにより、
回転駆動装置の構造が簡単で、製作コストを低額にすることができると共に、回転駆動動作するために使用するエネルギーを少なくすることができ、回転駆動動作にかかるエネルギーコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置20を示す側面図である。
【図2】図1に示す回転駆動装置20のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1に示す回転駆動装置20のB−B線矢視断面図である。
【図4】図2に示す回転駆動装置20のC−C線矢視断面図である。
【図5】図5(a)は、図1に示すリンク部材28の正面図であり、図5(b)は、その側面断面図である。
【図6】図6(a)は、図1に示すリンク部材30の正面図であり、図6(b)は、その側面断面図である。
【図7】図7(a)は、図1に示す回転質量体22の正面図であり、図7(b)は、その側面断面図である。
【図8】図8(a)は、図1に示す回転体24の正面図であり、図8(b)は、その側面断面図である。
【図9】図9(a)は、図1に示す回転体26の正面図であり、図9(b)は、その側面断面図である。
【図10】図1に示す回転駆動装置20を用いる回転装置60を示す上面図である。
【図11】図1に示す回転駆動装置20の動作を説明するための、連結ピン32、円板44、回転質量体22、回転体24及びリンク部材28の部分同士の位置関係を示す要部概念図である。
【図12】図1に示す回転駆動装置20の動作を説明するための、連結ピン32、円板46、回転質量体22、回転体26及びリンク部材30の部分同士の位置関係を示す要部概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る回転駆動装置を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。図1から図12は、本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置20について説明するために参照する図である。
【0017】
この本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置20は、図1に示すように、回転質量体22(図7参照)と、回転質量体22の四角板部22fの厚さ方向の両側に配置された一対の回転体24,26(図8,9参照)と、この回転体24,26の両方をその厚さ方向の外側から挟むようにこれらの両外側に配置され、互いに連結ピン32(第1のピン)により連結される複数組のリンク部材28,30(図2,3,5,6参照)により構成されている。
【0018】
回転駆動装置20は、図2から図4に示すように、床台34の底部から立設された鉛直板部34aに基端部36a,38aが固定された、三角形状の支持台36,38の先端部に、その軸線方向が水平に固定された支持軸40,42が設けられている。
【0019】
支持軸40,42に締り嵌め固定される中心孔44a,46aを有する円板44,46に、リンク部材28,30が、ピン48,50及び支持ブッシュ45,47を介して円板44,46の回転動作と連動可能に取り付けられている。
【0020】
このため、円板44,46の一方を回転させると、リンク部材28,30、連結ピン32、ピン48,50(第2のピン)及び支持ブッシュ45,47を介して、円板44,46の他方を共に回転させることができるようになっている。このため、連結ピン32の軸心は、円板44,46の回転にあわせて所定の円形上を移動するようになっている(図11参照)。
【0021】
また、回転質量体22及び回転体24,26は、リンク部材28,30により円板44,46の回転運動に連動可能に取り付けられている。
【0022】
すなわち、図2から4に示すように、円板44,46は、文字通り円形板状に形成され、その厚さ方向の片側の面(図中左右方向に対して垂直な内側の面)が互いに対向するように配置され、それらの軸心の位置に開口された中心孔44a,46aに、支持台36,38に水平に固定された支持軸40,42の長さ方向の一端部が締り嵌め固定されるようになっている。
【0023】
そして、支持軸40,42の長さ方向の他端部は、図2から図4に示すように、支持台36,38それぞれの先端部(図2中左端部、図3中右端部)に水平方向(図2,3中図紙面に垂直方向)になるように配置され、支持台36,38に埋め込まれた支持ブッシュ41,43により、支持台36,38に回転自在に嵌合して支持されている。
【0024】
そして、支持台36,38は、互いに水平方向(図4中左右方向)に間隔をおいて、互いの先端部中心それぞれの鉛直方向(図4中上下方向)の高さ位置が互いに異なるようにずれて配置され、その基端部36a,38aは床台34の鉛直板部34aに接触させた状態で不図示のビス等により固定されている。
【0025】
支持台36,38の先端部中心それぞれの鉛直方向の高さ位置が互いに異なって配置されているため、円板44,46は、図4に示すように、中心孔44a,46aの軸心の高さ位置が互いに異なるようにずれて配置されている。
【0026】
そして、円板44,46には、図2,3に示すように、回転中心44C,46Cを中心とする、図中一点鎖線により示された同一直径Dの円上の円周方向に、90度ごとに間隔を置いて離れた位置を中心とする4つの軸支孔44b,46bがそれぞれ設けられている。
【0027】
図4に示すように、円板44,46の4つの軸支孔44b,46bそれぞれには、支持ブッシュ45,47が埋め込まれ、それらの支持ブッシュ45,47にピン48,50それぞれの長さ方向の一端部が回転自在に嵌合している。
【0028】
そして、ピン48,50それぞれの長さ方向の他端部は、リンク部材28,30に形成された貫通孔28a,30aに、固く嵌め込まれて固定されるようになっている。
【0029】
この回転駆動装置20のリンク部材28,30は、図5(a),(b)及び図6(a),(b)に示すように、長円形の板状に形成され、それらの長さ方向に互いに離れて2つの貫通孔28a,28b,30a,30bがそれぞれ開口している。
【0030】
そして、リンク部材28,30は、貫通孔28a,28bの軸心間の長さ寸法と貫通孔30a,30bの軸心間の長さ寸法が互いに異なり、それにより外形の長さ方向の長さ寸法も互いに異なるものである。
【0031】
そして、リンク部材28,30には、その厚さ方向の一方の端面から凹んで、内周面28d,30dを有し、貫通孔28b,30bより大きな径の円形状の外溝部28c,30c(円形凹部)が形成されている。
【0032】
この外溝部28c,30cの奥側に位置する突当り面28g,30gからさらに奥側には、その突当り面28g,30gからさらに凹んで深さを有し、外溝部28c,30cより小さな径の内溝部28e,30e(鉛直ガイド溝)が形成されている。
【0033】
上記内溝部28e,30eには、リンク部材28,30の長さ方向に平行であり、リンク部材28,30の幅方向と同方向に、後述する回転質量体22の円筒部22bの外周面22dの直径よりわずかに大きい寸法の間隔だけ離れて互いに対向する、一対のガイド側面28f,28f、30f,30fが形成されている。
【0034】
リンク部材28,30は、リンク部材28の貫通孔28bに、外溝部28cと内溝部28eが形成されている側から、連結ピン32の長さ方向の一端部が挿し込まれ固く嵌合すると共に、連結ピン32の長さ方向の他端部が、リンク部材30の貫通孔30bに、外溝部30cと内溝部30eが形成されている側から挿し込まれて固く嵌合するようになっている。
【0035】
そして、リンク部材28,30の貫通孔28b,30bの軸心は互いに水平な同一直線上にあるようになっているので、貫通孔28b,30bに挿し込まれる連結ピン32の軸心も水平となるよう配置されている。
【0036】
この一体的に構成されたリンク部材28,30及び連結ピン32は、円板44,46の軸支孔44b,46bに埋め込まれた支持ブッシュ45,47に、回転自在に嵌合しているピン48,50が、リンク部材28,30に固定されているために、円板44,46の回転運動に連動して、所定の径の円上を円運動するようになっている。
【0037】
そして、リンク部材28とリンク部材30は、円板44,46の間で互いに平行移動するようになっている。
【0038】
回転駆動装置20の回転質量体22の四角板部22fは、図7(a),(b)に示すように、文字通り四角形の板状に形成され、この四角板部22fには、その厚さ方向に貫通し、回転中心22Cを軸心とする貫通孔22aが開口されている。
【0039】
そして、図7(a)に示すように、回転質量体22には、回転中心22Cを中心とする図中一点鎖線により示された直径Dの円上の円周方向に、90度ごとに間隔を置いて離れた位置を軸心とする、4つの円筒部22bが設けられている。
【0040】
この回転質量体22の円筒部22bは、図7(b)に示すように、四角板部22fの表裏両面それぞれに対し垂直方向の外側に円柱状に突出し、その外形部に外周面22dを有して形成されている。また、回転質量体22の円筒部22bには、その軸線部に、連結ピン32が同軸状に、接触しないように互いの間に間隔をおいて緩く挿通する、軸孔22eが形成されている。
【0041】
回転駆動装置20の回転体24,26は、図4に示すように、回転質量体22の四角板部22fの中央部の貫通孔22a内に配置された板部材27を間に介して連結され、この板部材27が四角板部22fの表裏両面それぞれに対し垂直方向の外側に突出するようになっていることにより、回転体24,26は、回転質量体22の四角板部22fと接触しないよう互いの間に間隔をおいて配置されるようになっている。
【0042】
回転体24は、図8(a)に示すように、四角形の板状に形成され、図中一点鎖線により示された回転中心24Cを中心とする直径Dの円上の円周方向に、90度ごとに間隔をおいて離れた位置を軸心24Aとする、4つの円環部24b(円環凸部)が設けられている。
【0043】
回転体24の円環部24bは、図8(b)に示すように、回転体24の厚さ方向の一端側の面(図中上面)からその厚さ方向外側に突出する、外周面24dを有する円環状に形成されている。
【0044】
そして、回転体24には、それぞれの円環部24bの軸心24Aから、回転中心24Cと円環部24bの軸心24Aとを通る直線に直交する直線上の、図8(a)中時計回り方向(偏心方向)に長さ寸法Lだけ離れた位置を径の中心とする、その直径が回転質量体22の円筒部22bの外周面22dの外径寸法より大きい、回転体24の厚さ方向に貫通する偏心孔24e(偏心した貫通孔)がそれぞれ設けられている。
【0045】
回転駆動装置20の回転体26は、回転体24と対向した際に対称の形状になるように形成されている。
【0046】
すなわち、この回転体26は、図9(a)に示すように、四角形の板状に形成され、図中一点鎖線により示された回転中心26Cを中心とする直径Dの円上の円周方向に、90度ごとに間隔をおいて離れた位置を軸心26Aとする、4つの円環部26b(円環凸部)が設けられている。
【0047】
回転体26の円環部26bは、図9(b)に示すように、回転体26の厚さ方向の一端側の面(図中上面)からその厚さ方向外側に突出する、外周面26dを有する円環状に形成されている。そして、円環部26bは、その外径寸法が回転体24の円環部24bと同一寸法に形成されている。
【0048】
そして、回転体26には、回転体24と対向した際に回転体24の偏心孔24eそれぞれに対応する位置に、偏心孔26eがそれぞれ設けられている。すなわち、回転体26には、それぞれの円環部26bの軸心26Aから、回転中心26Cと円環部26bの軸心26Aとを通る直線と直交する直線上の、図9(a)中反時計回り方向(偏心方向)に長さ寸法Lだけ離れた位置を径の中心とする、その直径が回転体24の偏心孔24eの直径と等しい、回転体26の板厚方向に貫通する偏心孔26e(偏心した貫通孔)がそれぞれ設けられている。
【0049】
回転駆動装置20の板部材27は、図2から図4,図7に示すように、その外径寸法が回転質量体22の貫通孔22aの直径寸法よりも小さい円板状に形成されており、回転質量体22の貫通孔22aを緩く貫通するようになっている。
【0050】
そして、この板部材27は、図4に示すように、その厚さ方向両端の面が、回転体24の円環部24bが形成されている側の面とは反対側の面と、回転体26の円環部26bが形成されている側の面とは反対側の面にそれぞれ接触している。
【0051】
この板部材27の回転体24,26との接触部分は、接着剤等により接合するようになっている。これにより、回転体24,26は、回転質量体22の四角板部22fをその内側に隙間を介して緩く挟み込んだ状態で、板部材27を介して互いに一体的に固定されるようになっている。
【0052】
そして、回転体24,26の円環部24b,26bは、図4に示すように、リンク部材28,30の外溝部28c,30cに相対回転することができるように隙間を介して緩く嵌合している。
【0053】
図4に示すように、回転質量体22の円筒部22bは、回転体24,26の偏心孔24e,26eを貫通するが、円筒部22bはその偏心孔24e,26eの円環部24b,26bに対する偏心方向と反対方向に偏心した状態で、偏心孔24e,26eを貫通するようになっている。
【0054】
そして、回転質量体22の全重量が、そのいくつかの円筒部22bの外周面22dが、貫通する偏心孔24e,26eの下側内周面に接触することにより、回転体24,26上に偏った重力が載っかるようになっている
【0055】
さらに、回転体24,26の偏心孔24e,26eを貫通した回転質量体22の円筒部22bの両端部は、図4に示すように、リンク部材28,30の内溝部28e,30eに入り込み、図2,3に示すように、その外周面22dが内溝部28e,30eの一対のガイド側面28f,30fに接触するようになっている。
【0056】
図10に示すように、円板44の外周面には、ベルト70(動力伝達手段)が巻かれており、そのベルト70は、円板44の軸線に平行に離れて配置された軸線を有する円板66にも巻かれている。この円板66は、その回転中心において、円板44の軸線と平行の軸線を有する、回転装置60の駆動モータ62により回転駆動する駆動軸62aに、一体回転可能に設けられている。
【0057】
そして、図10に示すように、円板46の外周面には、ベルト70が巻かれており、そのベルト70は、円板46の軸線に平行に離れて配置された軸線を有する円板68にも巻かれている。この円板68は、その回転中心において、回転駆動されて換気扇として動作する換気扇装置72(回転装置)のファン74が取り付けられた回転伝達軸64に、一体回転可能に設けられている。
【0058】
次に、本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置20の動作について説明する。
【0059】
図10に示すように、駆動モータ62の駆動軸62aの回転は、ベルト70を介して、円板44に伝達される。
【0060】
図11に示すように、円板44が図中反時計周り方向に回転すると、リンク部材28の貫通孔28bの軸心は、円板44の回転運動に連動して、連結ピン32の軸心と共に図中一点鎖線により示された円形上を図中反時計回り方向に円運動するようになっている。
【0061】
図10に示す円板46側のリンク部材30は、図4に示す連結ピン32によりリンク部材28に連結されているので、図11に示すリンク部材28の貫通孔28bの軸心の円形の回転軌跡に対してリンク部材30の貫通孔30bの軸心は、図12に示すように、連結ピン32の軸心と共に図中一点鎖線により示された円形上を図中時計回り方向に円運動するようになっている。
【0062】
板部材27が接着されることにより一体的に連結された回転体24,26は、その円環部24b,26bが、リンク部材28,30の外溝部28c,30cと相対回転可能に嵌合しているために、リンク部材28,30の円運動に連動して、その円環部24b,26bの外周面24d,26dがリンク部材28,30の外溝部28c,30cの内周面28d,30dと相対回転(自転)しながら回転運動(公転)をするようになっている。
【0063】
回転体24,26の偏心孔24e,26eは、図11に示すように、その軸心が、連結ピン32の軸心から回転体24,26の回転進行方向とは逆の方向に離れた位置にあるようになっている。
【0064】
回転質量体22は、その円筒部22bの軸心が、回転体24,26の偏心孔24e,26eの軸心から回転体24,26の回転進行方向に離れた位置にあるため、その外周面22dが、回転体24,26の偏心孔24e,26eの内周面に接触して、回転質量体22の質量の全てが回転体24,26の図2,11中左半周、図3,12中右半周に載っかるようになっている。
【0065】
このとき、回転質量体22の円筒部22bがリンク部材28,30の内溝部28e,30e内に嵌合して、2つのガイド側面28f,30fに接触した状態で、回転体24,26の回転運動に合わせて、回転質量体22の円筒部22bの外周面22dがリンク部材28,30の各2つのガイド側面28f,30fを滑りながら回転運動をするようになっている。
【0066】
回転質量体22は、リンク部材28,30に連動した回転体24,26の回転運動に合わせて、回転運動するので、その回転運動中においても、その円筒部22bの軸孔22eは、その軸孔22eを挿通する連結ピン32とは接触しないようになっている。
【0067】
そして、回転体24,26は、図2,11中左半周、図3,12中右半周においては、回転質量体22の円筒部22bが、回転体24,26の偏心孔24e,26eの内周面下側に接触しているため、その接触部において回転質量体22の円筒部22bにより鉛直方向下側に押し付け力Fが付加されるようになっている。
【0068】
この押し付け力Fは、回転質量体22の全ての重量が、回転体24,26が回転運動の際に、図2,11中左半周、図3,12中右半周に位置する偏心孔24e,26eの内周面下側にかかることにより、付加されるものである。
【0069】
そして、円板44,46の中心孔44a,46aの軸心の高さ位置を互いに異ならせているために、リンク部材28,30のガイド側面28f,30fを押し付け力Fの作用方向である鉛直方向にして、押し付け力Fが鉛直方向以外に作用することを防ぐようになっている。
【0070】
また、回転質量体22が回転運動する際に、図2,11中右半周、図3,12中左半周に位置する円筒部22bは、回転体24,26の偏心孔24e,26eの内周面下側に接触しないようになっている。
【0071】
このため、図2,11中右半周、図3,図12中左半周においては、回転質量体22の重力は回転体24,26の偏心孔24e,26eの内周面下側に全く付加されないので、上記回転質量体22の図2,11中左半周、図3,図12中右半周のような押し付け力Fは付加されない。
【0072】
このため、回転体24,26の回転は、図2,11中左半周、図3,12中右半周における、回転質量体22の押し付け力Fによりその回転動作が補助されるようになっている。
【0073】
そして、回転体24,26の押し付け力Fにより補助された回転動作は、図11及び図12に示すように、リンク部材28,30を介して、円板46に伝達される。さらに円板46の回転は、図10に示すように、ベルト70を介して、換気扇装置72のファン74を駆動する回転伝達軸64に伝達される。
【0074】
換気扇装置72は、上記のように、駆動モータ62の駆動軸62aの回転だけでなく、回転駆動装置20が伝達する回転動作が付加されて回転伝達軸64に回転が伝達されることにより、回転伝達軸64を回転させるための駆動モータ62の出力や消費電力を著しく低減させることができる。
【0075】
このような本発明の一実施の形態に係る回転駆動装置20によれば、その構造が簡単で、製作コストを低額にすることができると共に、回転駆動動作するために使用するエネルギーを少なくすることができ、回転駆動動作にかかるエネルギーコストを低減させることができる。
【0076】
なお、前記一実施の形態に係る回転駆動装置20においては、円板44,46の外周面にベルト70を巻きつけて回転運動を伝達していたが、このような構成に限定する必要はなく、例えば、円板44,46の回転を歯車の歯を介して他の部材に伝達するようにする等、他のどのような構成を用いてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態に係る回転駆動装置20においては、換気扇装置72のファン74を動作させる回転装置60に用いるものであったが、換気扇装置72以外のいかなる回転装置の回転を伝達する場合においても、本発明を適用することができる。
【0078】
また、回転質量体22、回転体24,26及びリンク部材28,30の形状は、上記実施の形態に記載された形状に限定されるものではない。例えば、回転質量体22や回転体24,26は、円板状に形成されるようになっていてもよい。
【0079】
また、前記一実施の形態に係る回転駆動装置20においては、回転質量体に円筒部が一体的に設けられていたが、円筒部は回転質量体とは別部材であってもよく、円筒部にのみ比重の重い部材を用いるようにしてもよい。
【0080】
また、前記一実施の形態に係る回転駆動装置20においては、回転質量体の表裏両面にそれぞれ4つの円筒部が設けられていたが、円筒部の数はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0081】
20 回転駆動装置
22 回転質量体
22a 貫通孔
22b 円筒部
22C 回転中心
22d 外周面
22e 軸孔
22f 四角板部
24,26 回転体
24A,26A 軸心
24b,26b 円環部
24C,26C 回転中心
24d,26d 外周面
24e,26e 偏心孔
27 板部材
28,30 リンク部材
28a,30a 貫通孔
28b,30b 貫通孔
28c,30c 外溝部
28d,30d 内周面
28e,30e 内溝部
28f,30f ガイド側面
32 連結ピン
34 床台
34a 鉛直板部
36,38 支持台
36a,38a 基端部
40,42 支持軸
41,43 支持ブッシュ
44,46 円板
45,47 支持ブッシュ
44a,46a 中心孔
44b,46b 軸支孔
44C,46C 回転中心
48,50 ピン
60 回転装置
62 駆動モータ
62a 駆動軸
64 回転伝達軸
66,68 円板
70 ベルト
72 換気扇装置
74 ファン
D 直径
F 押し付け力
L 長さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面の互いに対応する位置から厚さ方向の外側に突出する一対の円筒部を有し、この円筒部それぞれの先端面の間を貫通する軸孔を有する回転質量体と、
前記回転質量体の表裏両面のそれぞれに対向して配置され、前記回転質量体に対向する面とは反対側の面から外側に突出した円環凸部と、この円環凸部の軸心に対して偏心し、前記円筒部の両端部が貫通する貫通孔とを有する一対の回転体と、
前記一対の回転体それぞれの外側に、互いに偏心して配置された2枚の円板と、
前記一対の回転体と前記2枚の円板の間に配置され、第1のピン及び第2のピンを介して前記2枚の円板の一方の回転運動を、前記2枚の円板間で互いに平行移動しながら他方の円板に伝達可能に連結されると共に、前記一対の回転体に対向する面に開口する円形凹部と鉛直ガイド溝とを有する複数組のリンク部材とを備え、
前記回転体は、前記円環凸部が前記リンク部材の前記円形凹部に相対回転可能に嵌合し、
前記回転質量体は、その半周に位置する前記円筒部が前記回転体の前記偏心した貫通孔の内周面下側に接触して、前記回転質量体の重力を前記回転体の半周に付加して、前記2枚の円板の一方の回転運動を他方の円板に伝達するようにした
ことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
ベルトや歯車等を介する動力伝達手段により前記円板の回転を、前記回転駆動装置が回転を伝達する対象の回転装置に伝達できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate