説明

図書館予約貸出システム

【課題】予約本の収納や取り出しを従来よりも簡単かつ確実に行わせることができると共に安価に構成できる図書館予約貸出システムを提供すること。
【解決手段】予約本を収納する予約書棚(90)と、予約本の予約情報と予約書棚(90)における予約本の収納場所を示す収納場所識別番号とを記憶する記憶手段と、予約書棚への予約本の収納及び取り出しを管理する管理手段とを有する予約書棚管理用コンピュータ(1)と、予約書棚管理用コンピュータ(1)に接続され、予約本のIDタグ情報を読み込むIDリーダ(4)とを備え、予約書棚管理用コンピュータ(1)の管理手段は、予約書棚(90)への予約本収納の際のIDリーダ(4)による予約本のIDタグ情報の読み込みに基づき、予約書棚(90)における予約本の収納場所を識別する収納場所識別番号を自動的に割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書館予約貸出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の図書館は、蔵書にRFID等のICタグを貼付し、コンピュータ端末機に予約者や本の情報を読み取らせることにより、自動で書籍の予約・貸し出し・返却業務や蔵書確認などを行う図書館システムを導入し、運営効率の向上を図っている。
【0003】
図書館システムによる現在の予約貸し出し業務は、以下の手順となっている。
(1)窓口・電話・インターネットなどで予約を受け付ける。
(2)予約された書籍が搬送担当の図書館職員から貸し出し担当の職員の手元に届いたなら、予約者ごとにまとめて予約書籍用書棚もしくは予約書籍用収納ボックスに格納する。また、予約期限が過ぎた場合は、予約書籍を探して元の書架に戻す。
(3)予約者に貸し出し準備ができたことをeメール等で通知する。
(4)窓口に来た予約者を予約者所持の図書管理用カードで確認し、予約本用書棚もしくは予約本用収納ボックスに格納された予約書籍を手渡す。
(5)予約者は貸出機を使用し、予約書籍及び図書館利用カードの情報を読み込ませることにより、通常の貸し出し処理を行う。
【0004】
上述の手順の中で(2)、(4)の処理については、a)職員が予約者ごとの収納場所を決める、b)予約書籍の追加時に収納場所を探す、c)予約者への受け渡し時に予約書籍の収納場所を探す、という手間が発生する。
【0005】
また、上記c)の作業の省力化のため、予約書籍用書棚を窓口の外に配置して予約者に予約書籍を取り出させることも考えられるが、予約書籍の内容を他の人に知らせることになってしまう。
【0006】
また、現在一部の図書館で予約図書取り置き棚システムが導入されており、このシステムは以下の内容になっている。すなわち、
(1)予約された書籍を収納する複数の予約用書架が置かれた予約ルームを用意する。
(2)予約ルームの中に検索端末機を用意する。
(3)予約ルームの出入口にゲートを設置し、貸し出し処理がされない書籍の持ち出しを監視する。
(4)予約用書架の棚にアンテナが埋め込まれ、無線信号でICタグ貼り付け済みの書籍の位置を常に監視する。
(5)図書館職員が予約書籍を、予約用書架のスペースのある棚に収納する。
(6)予約利用者が検索端末機を操作すると、予約された書籍が収納された棚の表示灯が点灯する。
(7)予約利用者は、棚の中から自分が予約した書籍を取り出し、検索端末機で貸し出し処理を行い、予約ルームを出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−27768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の予約図書取り置き棚システムでは、書架にアンテナを組み込む必要があるため高価であることや、予約利用者の書籍のある場所を示す表示灯が棚単位のため、同じ棚に収納された数十冊の本の中から自分の予約した本を探す必要があったり、自分の予約した本と同じ本を他の人が予約しており、これらの同じ本が同じ棚にあって混乱したりすることがある等の問題がある。
【0009】
また、予約貸し出し業務は、個人別の予約本の確認作業が手間となり、高価な予約図書取り置き棚システムでも個人別ではないため、本を探す手間が発生する。
【0010】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、予約本の収納や取り出しを従来よりも簡単かつ確実に行わせることができると共に安価に構成できる図書館予約貸出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明の図書館予約貸出システムは、予約本を収納する予約書棚(90)と、前記予約本の予約情報と前記予約書棚(90)における前記予約本の収納場所を示す収納場所識別番号とを記憶する記憶手段と、前記予約書棚への前記予約本の収納及び取り出しを管理する管理手段とを有する予約書棚管理用コンピュータ(1)と、前記予約書棚管理用コンピュータ(1)に接続され、前記予約本のIDタグ情報を読み込むIDリーダ(4)とを備え、前記予約書棚管理用コンピュータ(1)の前記管理手段は、前記予約書棚(90)への前記予約本収納の際の前記IDリーダ(4)による前記予約本のIDタグ情報の読み込みに基づき、前記予約書棚(90)における前記予約本の収納場所を識別する収納場所識別番号を自動的に割り当てることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1記載の図書館予約貸出システムにおいて、前記予約書棚(90)は、複数段の棚と、各棚を前記収納場所識別番号に対応する複数の収納場所に仕切る複数の仕切り板(911〜918)と、各収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯(921〜926)とが設けられており、前記予約書棚管理用コンピュータ(1)の前記管理手段は、前記予約書棚(90)への前記予約本収納の際の前記IDリーダ(4)による前記予約本のIDタグ情報の読み込みに基づき、割り当てられた前記収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯(921〜926)を点灯させることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項2記載の図書館予約貸出システムにおいて、さらに、予約者の利用カードに記録されている予約者情報を読み込むカードリーダ(5)と、印刷手段(3)を備え、前記予約書棚管理用コンピュータ(1)の前記管理手段は、前記カードリーダ(5)による前記予約者情報の読み込みに基づき、前記割り当てられた前記収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯(921〜926)を点灯させると共に、前記印刷手段(3)から前記予約本の書名及び収納場所識別番号を印刷した印刷物を出力させることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項3記載の図書館予約貸出システムにおいて、さらに、前記収納場所における予約本の有無を検知するセンサ(931,932)を備えていることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の図書館予約貸出システムにおいて、前記収納場所識別番号に対応する収納場所は可動式の仕切り板で仕切られていることを特徴とする。
【0016】
なお、上述の課題を解決するための手段の説明におけるかっこ書きの参照符号は、以下の発明の実施の形態の説明における構成要素の参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、予約本情報に対応して予約書棚の収納場所識別番号が自動的に割り当てられるので、図書館職員が予約本を収納する場合、収納場所識別番号を見て入れることができるので、予約本を予約書棚に簡単かつ確実に収納することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、収納場所識別番号に対応する収納場所が複数の仕切り板で仕切られ、仕切り板単位で予約者の予約本をまとめて収納できるため、収納間違いが少ない。また、予約書棚への予約本の収納時、割り当てられた収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯が点灯するので、収納場所を探す時間が短縮され、予約本を収納場所識別番号に対応する収納場所に簡単かつ確実に収納することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、予約者の利用カードに記録されている予約者情報がカードリーダで読み込まれた際に、割り当てられた収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯が点灯し、印刷手段から予約本の書名及び収納場所識別番号を印刷した印刷物を出力させるので、個人情報を守りながら簡単かつ確実に予約者自身に本の取り出しを行わせることができる。また、仕切り板単位で予約者の予約本をまとめて収納できるため、取り出し間違いが少ない。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、収納場所における予約本の有無を検知するセンサを備えているので、予約書籍の取り出し状況を確認でき、取り出しが正常に行われたことや取り出し間違いが発生したことを検知することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、収納場所識別番号に対応する収納場所は可動式の仕切り板で仕切られているので、予約本の厚さにかかわらず、複数冊の予約本を1箇所の収納場所に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る図書館予約貸出システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の図書館予約貸出システムにおける仕切り板モジュールの構成を説明する図であり、(A)は予約書棚の斜視図、(B)は仕切り板の斜視図を示す。
【図3】本発明に係る図書館予約貸出システムにおける仕切り板モジュールの他の構成例を説明する図であり、(A)は予約書棚の概略正面図、(B)は仕切り板の斜視図である。
【図4】図1の図書館予約貸出システムにおける予約情報読み込み処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の図書館予約貸出システムにおける予約書籍の収納処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の図書館予約貸出システムにおける予約書籍取り出し処理を示すフローチャートである。
【図7】図1の図書館予約貸出システムにおける予約期限切れの書籍取り出し処理を示すフローチャートである。
【図8】図1の図書館予約貸出システムにおけるメンテナンス処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の図書館予約貸出システムの実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る図書館予約貸出システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。図1において、図書館予約貸出システムは、予約書棚管理用コンピュータ1と、この予約書棚管理用コンピュータ1に接続されたタッチパネル付きモニタ2、ジャーナルプリンタ3、IDリーダ4、カードリーダ5、蔵書点検端末6、エラー表示灯8及び仕切り板モジュール9とから構成される。予約書棚管理用コンピュータ1には、さらに、外部インターネット7と図書館システムコンピュータ10が接続されている。
【0025】
予約書棚管理用コンピュータ1は、例えばCPU、ROM、RAMからなるマイコンや通信部等を有するパソコンからなる。CPUは、請求項における管理手段に相当し、RAMは請求項における記憶手段に相当する。ジャーナルプリンタ3は、予約者の予約情報を印字し、レシート(印刷物)を出力するものである。
【0026】
IDリーダ4は、書籍に貼付されたICタグに記録されているRFID等のID情報の読み込みを行う。カードリーダ5は、予約者が所持している図書館利用カードのバーコードで記録されている予約者ID等の利用者情報の読み込みを行う。蔵書点検端末6は、蔵書点検時に、書籍に貼付されたICタグに記録されているID情報の一括読み込みを行う。エラー表示灯8は、エラー時に赤色灯を点滅し、エラー発生を警報するものである。
【0027】
仕切り板モジュール9は、後述するように予約書棚90に組み込まれ、予約者ごとの予約書籍の収納場所を確保し、予約者に予約書籍の在処を報知するためのものである。図書館システム10は、予約図書の貸出・返却・管理など、図書館業務を自動化した既存のシステムである。
【0028】
図2は、仕切り板モジュール9の構成例を説明する図である。仕切り板モジュール9は、図2(A)に示す予約書棚90に組み込まれている。予約書棚90は、側板90A及び90Bの間に掛け渡された複数段の棚板を含む書棚Aであり、この実施の形態では、例えば、上から1〜6段の棚板が掛け渡されている。
【0029】
図2(B)に示すように、例えば、1段目の棚板91には、各予約者の予約書籍を予約者別に収納する複数の収納場所を仕切るために、棚板91に対してほぼ垂直に複数の仕切り板が固定されている。この実施形態では、例えば、仕切り板911及び912により固定間隔の収納場所A−1−1(書棚Aの1段目の棚板91の収納場所1を表す)が仕切られ、以下同様に、仕切り板912〜918により、固定間隔の収納場所A−1−2からA−1−6まで5箇所が仕切られ、合計6箇所の収納場所が棚板91に設けられている。両端の仕切り板911及び918は、側板90A及び90Bの一部で構成することができる。棚板91には、各収納場所を識別するための表示灯921〜926が取り付けられている。表示灯921〜926は、それぞれ、例えば赤色LED、緑色LED及び青色LEDを一体化し、赤、緑及び青の3原色を調色した色を発光するLEDモジュールからなる。表示灯921〜926は、それぞれ、例えば、5つの異なる色で点灯するように予約書棚管理用コンピュータ1のCPUで制御される。
【0030】
また、仕切り板911及び仕切り板912には、収納場所A−1−1における予約書籍の有無を検知するエンプティセンサ930が設けられている。エンプティセンサ930は、仕切り板911に取り付けられた発光素子931と、仕切り板912に取り付けられた受光素子932とからなる。発光素子931からの発光が予約書籍で遮断されて受光素子932で受光できない場合は、「予約書籍有り」を示し、予約書籍が無く発光素子931からの発光が受光素子932で受光された場合は、「予約書籍無し」を示すエンプティ信号が予約書棚管理用コンピュータ1のCPUに入力される。発光素子931及び受光素子932からなるエンプティセンサ930は、図示しないが仕切り板912〜918にも設けられており、それぞれ、収納場所A−1−2〜A−1−6における予約書籍の有無を検知するエンプティ信号が発生し、予約書棚管理用コンピュータ1のCPUに入力される。
【0031】
図2では図示していないが、2〜6段目の棚板にも、上述の1段目の棚板91と同様に、収納場所A−2−1〜A−6−6を仕切る仕切り板と、各収納場所を識別する表示灯と、各収納場所における予約書籍の有無を検知するエンプティセンサとが設けられている。上述の収納場所A−1−1〜A−6−6に設けられている表示灯とエンプティセンサは、図1のブロック図における仕切り板モジュール9を構成する。
【0032】
次に、上述の構成を有する図書館予約貸出システムにおいて、予約貸出手順について説明する。
1.窓口・電話・インターネットなどで予約を受け付ける。
2.予約された書籍が貸し出し担当職員の手元に届いたなら、手元の予約書籍用収納ボックスに格納する。
3.閉館後、貸し出し担当職員は、以下の作業を行う。
3−1 予約書棚管理用コンピュータ1に予約情報を読み込ませる。それにより、予約書棚管理用コンピュータ1は以下の機能を持つ。
・予約棚に格納された予約書籍の期限切れ確認。
・予約本が収納されるべき予約書棚の収納場所識別番号の自動割り当て。オプションとして、収納場所識別番号の割り当てのため、収納場所に対する予約書籍の厚さ情報を求め、収納場所スペースと収納すべき予約書籍の全体の厚さを計算し、収納場所スペースが足りない場合、別の収納場所識別番号を自動的に割り当てることも可能である。予約書籍の厚さ情報を求める方法は、次のようないくつかの方法がある。a)予約書棚管理用コンピュータ1に読み込まれる予約情報に予約書籍の厚さ情報を含ませる。b)予約情報に含まれるISBN番号をもとに、通信部を介して外部インターネット7よりウェブ検索をして予約書籍の厚さ情報を入手する。c)予約書籍の厚さは、予め設定された固定数値とする。(なお、上記a)及びb)で厚さ情報が入手できない場合も、c)の固定数値をディフォルト値とする。)
3−2 予約期限が過ぎた予約本を元の書架に戻す。
3−3 手元の予約書籍用収納ボックスにある予約本の収納されるべき予約書棚の収納場所識別番号をタッチパネル付きモニタ2に表示させ、予約本をその収納場所識別番号の収納場所に収納する。
3−4 予約者に貸し出し準備ができたことをeメール等で通知する。
4.開館中、予約者は、カードリーダ5に自分の図書利用カードを差し込むと、自分の予約した予約書籍が収納されている予約書棚の収納場所の収納場所識別番号がタッチパネル付きモニタ2の画面に表示されると共に、ジャーナルプリンタ2で印字されレシートとして出力される。その後、予約者は、レシートを見ながら予約書棚から予約書籍を取り出す。
5.予約者は貸出機(図示しない)を使用し、予約書籍及び図書館利用カードの情報を読み込ませることにより、通常の貸し出し処理を行う。
【0033】
次に、上述の予約貸出手順の詳細な処理について、図4〜8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
図4は、予約情報の読み込み手順を示すフローチャートである。図書館予約貸出システムの予約書棚管理用コンピュータ1のCPUは、図書館システムコンピュータ10に格納されている予約者の予約情報を読み込み、コンピュータ1のRAMに記憶する(ステップS1)。予約情報は、予約者の利用者IDコード及び氏名と、予約受付日と、予約書籍のISBN番号、書籍名、著者名及び出版社名等を含む。予約情報の読み込みは、例えば1日1回閉館後に、オンライン処理、またはフレキシブルディスク等の記憶媒体を介してオフライン処理により行われる。
【0035】
次に、図5は、予約書籍の収納手順を示すフローチャートである。まず、貸し出し担当職員が、タッチパネル付きモニタ2の画面に表示されている「予約本収納」ボタンにタッチして、搬送担当の図書館職員から届けられた、1番目の予約者が予約した1冊の予約本のICタグをIDリーダ4にかける(ステップS11)。それにより、予約書棚管理用コンピュータ1のCPUの制御によって、ICタグからIDリーダ4で読み込まれた予約本情報が、上述の予約情報の読み込み手順で読み込まれた予約情報と照合される。次に、CPUの制御により、照合済みの予約本情報に対して、エンプティセンサにより現在空いていることが検知されている予約書棚の収納場所の収納場所識別番号が予約者ごとに自動的に割り当てられ、RAMに記憶される(ステップS12)。
【0036】
例として、予約者ごとの収納場所識別番号の自動割り当ては、貸し出し処理済み等によって現在空いている収納場所識別番号の中から、前回割り当てられた番号の次に大きな段番号及び仕切り番号を有する収納場所識別番号が順次割り当てられ、例えば、前回割り当てられたのがA−2−3であり現在空いているのがA−1−2、A−2−6、A−5−1ならば、A−2−3の次に大きな空き番号であるA−2−6が割り当てられる。他の例として、現在空いている収納場所識別番号のうちの最小の段番号及び仕切り番号を有する収納場所識別番号が順次割り当てられようにしても良く、この場合は、例えば、前回割り当てられたのがA−2−3であり現在空いているのがA−1−2、A−1−3、A−2−6、A−5−1ならば、そのうちの最小のA−1−2が割り当てられる。また、既に割り当てられている収納場所識別番号が存在する予約者からの追加の予約の場合は、その収納場所識別番号が割り当てられる。
【0037】
次に、CPUの制御により、割り当てられた収納場所識別番号が、予約本の書名と共にモニタ2の画面に表示される(ステップS13)。次に、CPUの制御により、仕切り板モジュール9において、割り当てられた収納場所識別番号の表示灯が点灯する(ステップS14)。それにより、職員は、表示灯が点灯している収納場所識別番号の収納場所に予約本を収納する(ステップS15)。
【0038】
次に、表示灯の点灯により指定された収納場所識別番号の収納場所が、既に収納されている予約本により空きが無くなっていて、さらに予約本を収納できない場合(ステップS16のYES)は、職員は、モニタ2のタッチパネル付き画面に表示されている「再割り当て」ボタンを押す(ステップS17)。それにより、CPUの制御によって、現在空いている他の収納場所の収納場所識別番号が上述の自動割り当て方法により割り当てられる(ステップS18)。次に、ステップS13に戻り、モニタ2の画面に表示されている予約本を収納すべき収納場所識別番号が、再割り当てされた収納場所識別番号に切り替え表示され、再割り当てされた収納場所識別番号の収納場所に予約本が収納される。
【0039】
表示灯の点灯により指定された収納場所識別番号の収納場所にまだ空きがあって予約本を収納できる場合(ステップS16のNo)は、その収納場所識別番号の収納場所に予約本を収納し、次いで、職員は、予約本の収納が終了したか否かを判断し(ステップS19)、終了していなければ、ステップS11に戻り、次に収納すべき1番目の予約者の予約本についてステップS11〜S18の作業を繰り返し、終了していれば、次に、タッチパネル付きモニタ2の画面に表示されている「予約本収納終了」ボタンにタッチすると、CPUの制御により全収納場所識別番号の表示灯が消灯され(ステップS20)、次いで処理を終了する。
【0040】
なお、「予約本収納」ボタンを押して収納開始後、「予約本収納終了」ボタンを押して収納終了するまでは、収納すべき各予約本に対して同じ収納場所識別番号が割り当てられる。また、「再割り当て」ボタンを押した後は、「予約本収納終了」ボタンを押すまで、再割り当てされた同じ収納場所識別番号が各予約本に対して割り当てられる。
【0041】
また、収納場所識別番号の表示灯は、最初の予約本の収納時1番目の色で点灯し、次の予約本がセットされたら点滅し、その後一定時間で消灯するように制御される。さらに、収納場所識別番号の再割り当てが行われた場合は、再割り当て後の収納場所識別番号の表示灯は、2番目の色で点灯するように制御される。
【0042】
以下同様に、2番目の予約者の予約本の収納のために「予約本収納」ボタンが押され、、各予約者の予約本の収納が終了するまで順次、ステップS11〜S20の収納処理が行われる。
【0043】
次に、図6は、予約書籍の取り出し手順を示すフローチャートである。まず、1番目の予約者が、自分の所有している図書館利用カードをカードリーダ5に差し込むと(ステップS31)、コンピュータ1のCPUの制御により、予約者が予約した予約本情報と、予約本情報に対応して割り当てられた収納場所識別番号が端末(タッチパネル付きモニタ2)に表示される(ステップS32)。次に、CPUの制御により、予約者名と、予約本の書名と、割り当てられた収納場所識別番号がジャーナルプリンタ3で印字され、レシートが出力される(ステップS33)。
【0044】
次に、CPUの制御により、仕切り板モジュール9において、割り当てられた収納場所識別番号の表示灯が、1番目の色、例えば赤色で点灯する(ステップS34)。なお、割り当てられた収納場所識別番号が複数有る場合は、複数の収納場所識別番号の表示灯は全て同じ色(この例では赤色)で点灯する。それにより、予約者は、ジャーナルプリンタ3から出力されたレシートを見て予約本名等を確認しながら、赤色の表示灯が点灯している収納場所識別番号の収納場所(例えば、A−2−3)から予約本を取り出すことができる。
【0045】
次に、CPUの制御により、期待しない収納場所識別番号のエンプティセンサが「本無し」と検知したか否かが判定される(ステップ35)。ここで、期待しない収納場所識別番号とは、現在取り出し作業中の予約者以外の予約者の予約本収納場所を示す収納場所識別番号を意味している。そこで、期待しない収納場所識別番号のエンプティセンサからの検知信号が「予約本有り」から「予約本無し」に変化して、「本無し」と検知した場合は(ステップS35のYES)、次に、CPUの制御により、エラー表示灯8が点滅し、警報が出力される(ステップS36)。この警報により、現在作業中の予約者は、自分の予約本以外の他人の予約本を誤って取り出したことが報知されることになり、取り出した本を元の収納場所に戻すことができる。あるいは、この警報により、図書館職員は、誤って予約本以外の本を取り出したことを現在作業中の予約者に注意することができる。期待しない収納場所識別番号のエンプティセンサが「本無し」と検知しない場合は(ステップS35のNO)、予約者が誤って他人の予約本を取り出していないことを意味している。
【0046】
ステップS36またはステップS35のNOに続いて、CPUの制御により、予約本の取り出しが終了したか否かが判定される(ステップS37)。この判定は、現在作業中の予約者の予約本を収納した収納場所の収納場所識別番号のエンプティセンサからの検知信号が「予約本有り」から「予約本無し」に変化して、「本無し」と検知した場合、予約本の取り出しが終了したと判定されるものである。予約本の取り出しが終了していなければ(ステップS37のNO)、次いでステップS31に戻り、ステップS31〜S36の作業が繰り返される。予約本の取り出しが終了していれば(ステップS37のYES)、エンプティセンサからの「本無し」を示す検知信号に基づき、RAMに記憶された収納場所識別番号が消去されて空き番号とされると共に収納場所識別番号の表示灯が消灯され、次いで処理が終了する。
【0047】
1番目の予約者が予約本の取り出しを行っている最中に、2番目以降の予約者が、それぞれ、自分の所有している図書館利用カードをカードリーダ5に差し込むと、同様に、ステップS32〜S37の手順で自分の予約した予約本を取り出すことができる。なお、2番目以降の予約者の予約本を収納した収納場所識別番号の表示灯は、1番目の予約者のための赤色の表示灯と異なる色、例えば青色、黄色等の色で点灯するように制御される。この実施の形態では、同時に最大5人までの予約者が同時に予約本の取り出しができるように、各表示灯は、それぞれ、5色の異なる色で同時に点灯可能になっている。
【0048】
次に、図7は、予約期限切れの予約本取り出し手順を示すフローチャートである。まず、職員が、タッチパネル付きモニタ2の画面上の「期限切れリスト」ボタンを押すと、CPUの制御により、予約期間を過ぎた予約本リストが作成され(ステップS41)、次いで、画面に表示される(ステップS42)。
【0049】
次に、CPUの制御により、期限切れ予約本が収納されている全収納場所識別番号の表示灯が点灯する(ステップS43)。次に、職員は、表示灯が点灯している収納場所識別番号の収納場所から期限切れ予約本を取り出す(ステップS44)。次に、職員により、期限切れ予約本の取り出しが終了したかどうかが判断され(ステップS45)、作業が終了であれば(ステップS45のYES)、次いで、職員が、タッチパネル付きモニタ2の画面上の「終了」ボタンを押すと、CPUの制御により、期限切れ予約本が収納されている全収納場所識別番号の表示灯が消灯され(ステップS46)、次いで処理を終了する。
【0050】
次に、図8は、メンテナンス処理を示すフローチャートである。職員が、タッチパネル付きモニタ2の画面上の「メンテナンス」ボタンを押す(タッチする)と、CPUの制御により、警報出力機能のメンテナンスが可能となり、各棚情報の表示・印刷、削除、編集を行うことができ、また、蔵書点検端末6を使用してその画面に表示されている蔵書と書架に置かれている書籍の照合と結果表示を行うことができ、また、入出力テストとして、エンプティセンサの動作確認、各収納場所識別番号表示灯の点灯(調色)テストを行うことができる(ステップS51)。
【0051】
このように、本発明の図書館予約貸出システムによれば、予約者と予約書棚の収納場所識別番号を対応させることにより、個人情報を守りながら予約者自身に本の取り出しを簡単かつ確実に行わせることができると共に従来より安価に構成することができる。また、仕切り板単位で予約者の本をまとめるため、取り出し間違いが少ない。また、図書館職員が予約本を予約書棚に収納する場合も、収納場所識別番号を見て入れることができるので、収納場所を探す時間が短縮される。また、収納場所を識別するために仕切り板に複数色で発光させることができる表示灯を埋め込み、この表示灯を点灯させることにより、予約本の収納時や取り出し時に検索がよりしやすくできる。また、仕切り板にエンプティセンサを設けることにより、予約書籍の取り出し状況を確認でき、誤った取り出しが行われたことを検出することができる。また、蔵書点検端末を使用して、予約書棚の確認が可能(予約棚情報と実際の予約本の突き合わせ)であり、さらに間違って置かれた本の検索に使用することができる。
【0052】
以上の通り、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0053】
例えば、上述の実施の形態では、仕切り板は固定式の構成となっているが、他の実施例として可動式の構成としても良い。図3は、仕切り板モジュール9の他の構成例を説明する図である。仕切り板モジュール9は、図3(A)に示す予約書棚90に組み込まれている。予約書棚90は、側板90A及び90Bの間に掛け渡された複数段の棚板を含む書棚Aであり、この実施の形態では、例えば、上から1〜6段の棚板が掛け渡されている。
【0054】
図3(B)に示すように、例えば、1段目の棚板91には、各予約者の予約書籍を予約者別に収納する場所を仕切るための可動式仕切り板が取り付けられている。この他の構成例では、例えば、固定された仕切り板911と可動式の仕切り板912により、収納場所A−1−1が仕切られている。可動式の仕切り板912は、棚板91にスライド可能に取り付けられた基部912Aと、基部912Aの一端からほぼ垂直に延出形成された仕切り部912Bとを有する。可動式の仕切り板912の基部912Aには、表示灯921が取り付けられている。
【0055】
また、仕切り板911及び仕切り板912には、収納場所A−1−1における予約書籍の有無を検知するエンプティセンサ930が設けられている。エンプティセンサ930は、仕切り板911に取り付けられた発光素子931と、可動式の仕切り板912に取り付けられた受光素子932とからなる。
【0056】
このように、固定された仕切り板911と可動式の仕切り板912により収納場所A−1−1が仕切られているが、以下同様に、可動式に形成された仕切り板912〜918により、収納場所A−1−2〜A−1−6が仕切られており、予約書籍の収納間隔を変えることができる。発光素子931及び受光素子932からなるエンプティセンサ930は、図示しないが仕切り板912〜918にも設けられており、それぞれ、収納場所A−1−2〜A−1−6における予約書籍の有無を検知する。また、図3では図示していないが、2〜6段目の棚板にも、上述の1段目の棚板91と同様に、収納場所A−2−1〜A−6−6を仕切る可動式の仕切り板と、表示灯と、エンプティセンサとが設けられている。
【0057】
このような可動式仕切り板の構成とした場合は、収納される予約本の厚みに応じて可動式仕切り板を移動させることができるため、任意の冊数の予約本を収納することができ、一人の予約者に1つの収納場所識別番号を割り当てれば良いので、図5のフローチャートにおけるステップS17及びS18の再割り当ての作業は不要となる。
【0058】
また、上述の実施の形態では、収納場所における予約本の有無をエンプティセンサで検知しているが、他の実施例としてエンプティセンサを備えていない構成としても良く、この場合は、収納場所識別番号の表示灯は、点灯から一定時間後自動的に消灯するように制御しても良い。また、予約者が予約書棚から予約本を取り出した後、貸出機で貸し出し処理を行った時に収納場所識別番号の記憶を消去して空き番号とするようにしても良い。
【0059】
また、固定式仕切り板の場合、他の実施例として、扉を設けて収納場所が密閉されるロッカー式としても良く、この場合は、予約本の内容を他人に知られることがなくなる。さらに、暗証番号として例えば予約者の利用者IDにより解錠される電子キーを扉に設ければ、他人の予約本が不正に持ち出されるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 予約書棚管理用コンピュータ(管理手段、記憶手段)
2 タッチパネル付きモニタ(表示手段)
3 ジャーナルプリンタ(印刷手段)
4 IDリーダ
5 カードリーダ
8 エラー表示灯
9 仕切り板モジュール
90 予約書棚
91 棚
911〜918 仕切り板
921〜926 表示灯
930 エンプティセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予約本を収納する予約書棚と、
前記予約本の予約情報と前記予約書棚における前記予約本の収納場所を示す収納場所識別番号とを記憶する記憶手段と、前記予約書棚への前記予約本の収納及び取り出しを管理する管理手段とを有する予約書棚管理用コンピュータと、
前記予約書棚管理用コンピュータに接続され、前記予約本のIDタグ情報を読み込むIDリーダとを備え、
前記予約書棚管理用コンピュータの前記管理手段は、前記予約書棚への前記予約本収納の際の前記IDリーダによる前記予約本のIDタグ情報の読み込みに基づき、前記予約書棚における前記予約本の収納場所を識別する収納場所識別番号を自動的に割り当てることを特徴とする図書館予約貸出システム。
【請求項2】
請求項1記載の図書館予約貸出システムにおいて、
前記予約書棚は、複数段の棚と、各棚を前記収納場所識別番号に対応する複数の収納場所に仕切る複数の仕切り板と、各収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯とが設けられており、
前記予約書棚管理用コンピュータの前記管理手段は、前記予約書棚への前記予約本収納の際の前記IDリーダによる前記予約本のIDタグ情報の読み込みに基づき、割り当てられた前記収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯を点灯させることを特徴とする図書館予約貸出システム。
【請求項3】
請求項2記載の図書館予約貸出システムにおいて、
さらに、予約者の利用カードに記録されている予約者情報を読み込むカードリーダと、印刷手段を備え、
前記予約書棚管理用コンピュータの前記管理手段は、前記カードリーダによる前記予約者情報の読み込みに基づき、前記割り当てられた前記収納場所識別番号に対応する収納場所を識別する表示灯を点灯させると共に、前記印刷手段から前記予約本の書名及び収納場所識別番号を印刷した印刷物を出力させることを特徴とする図書館予約貸出システム。
【請求項4】
請求項3記載の図書館予約貸出システムにおいて、
さらに、前記収納場所における予約本の有無を検知するセンサを備えていることを特徴とする図書館予約貸出システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の図書館予約貸出システムにおいて、
前記収納場所識別番号に対応する収納場所は可動式の仕切り板で仕切られていることを特徴とする図書館予約貸出システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−54132(P2011−54132A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205105(P2009−205105)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(594074182)株式会社ワクトシステムプロダクツ (5)
【Fターム(参考)】