説明

図面管理システム

【課題】図面管理システムにおいて保存されるデータ量を低減する。
【解決手段】図面管理システム100は、図面データ記憶部11と、ステータス監視部53と、履歴データ監視部55と、履歴データ削除部57と、を備える。図面データ記憶部11には、三次元CADを利用して作成された図面データが記憶される。ステータス監視部53は、図面データ記憶部11に出図情報を有する図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ監視部55は、図面データ記憶部11に旧バージョンの図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ削除部57は、図面データ記憶部11から出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面を管理する図面管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械製品等を開発および製造する場合に作成される製品図面および製品図面に関する情報を管理するために、データベースを利用した図面管理システムが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また製品開発に伴う設計に関する情報を効率よく一元管理するために、PDM(Product Data Management)システムが導入されている。PDMシステムとは、製品設計に関わる各種部品の製品図面のCAD(Computer Aided Design)データと部品情報を含むドキュメント情報とを関連付けしてファイルサーバに保存するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−89181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、製作図面を三次元CADシステムにより作成することが一般的になってきている。そこで、三次元CADシステムによって作成される三次元図面データを、PDMシステムがインストールされたファイルサーバに保存することが求められる。しかし、現在のファイルサーバでは、三次元図面データの履歴の管理をすることができない。従って、編集作業を経て製品図面が完成された場合、ファイルサーバには、完成後の出図図面のデータだけでなく、編集過程においてファイルサーバに登録された図面のデータも保存され続ける。その結果、ファイルサーバには大量の不要な三次元図面データが保存されるので、ファイルサーバへの負担が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、図面管理システムにおいて保存されるデータ量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る図面管理システムは、図面データ記憶部と、ステータス監視部と、履歴データ監視部と、履歴データ削除部と、を備える。図面データ記憶部には、三次元CAD(Computer Aided Design)を利用して作成された図面データが記憶される。ステータス監視部は、図面データ記憶部に出図情報を有する図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ監視部は、図面データ記憶部に旧バージョンの図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ削除部は、図面データ記憶部から出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除する。
【0008】
ここでは、出図情報を有しない旧バージョンの図面データが図面データ記憶部から削除される。従って、図面管理システムにおいて、図面データ記憶部から不要なデータを削除できる。その結果、図面データ記憶部に記憶されるデータ量が増大することを抑制できる。
【0009】
図面管理システムは、図面データ記憶部に記憶されている出図情報を有する図面データを表示データへ変換する電子データ作成部をさらに備えていてもよい。
ここで、表示データとは、三次元CADシステムまたは三次元CADビューワが配備されていないクライアント端末においても表示可能なデータである。このような電子データ作成部を備えることにより、従来、三次元設計者により手作業にて行われていた図面データから表示データへの変換を、三次元設計者の手間を要することなく行える。
【0010】
図面管理システムは、バッチ処理制御部をさらに備えていてもよい。
一態様では、バッチ処理制御部は、履歴データ削除部による出図情報を有しない旧バージョンの図面データの削除を一括処理する。
他の態様では、バッチ処理制御部は、履歴データ削除部による出図情報を有しない旧バージョンの図面データの削除および電子データ作成部による出図情報を有する図面データから表示データへの変換を一括処理する。
ここではバッチ処理制御部を備えることにより、例えば深夜時間等の処理能力に余裕のある時間帯に処理時間を設定し、履歴データ削除部および/または電子データ作成部に一括処理をさせるので、処理効率を上げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による図面管理システムでは、図面データ記憶部から出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除することにより、図面データ記憶部に記憶された不要な図面データを削除できる。その結果、図面データ記憶部に記憶されるデータ量が増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図面管理システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】図面管理データベースに保存される図面管理データの一例を示す説明図。
【図3】図面管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】部品リンクデータベースの一例を示す説明図。
【図5A】部品構成表の一例を示す説明図。
【図5B】部品構成をツリー構造で示す構成表の一例。
【図6】三次元データ処理部の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)図面管理システム全体
図1を参照して、本実施形態に係る図面管理システムを説明する。図1は、図面管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図面管理システム100は、三次元CAD(Computer Aided Design)を用いて作成された図面データを、PDM(Product Data Management)システムを利用して管理するシステムである。図面管理システム100は、三次元用PDMサーバ10と、図面管理サーバ30とを備える。三次元用PDMサーバ10および図面管理サーバ30は、図示しないLAN等のネットワークを通じて相互に通信を行うことができる。以下、図面管理システム100が、機械製品等を開発および製造する製造会社に用いられる例を挙げて説明する。
【0015】
(2)三次元用PDMサーバ
三次元用PDMサーバ10は、設計部門に配置されたサーバ装置である。三次元用PDMサーバ10は、図面データ記憶部11を有する。図面データ記憶部11には、設計部門に配置されたクライアント端末20において三次元設計者によって三次元CAD(Computer Aided Design)を利用して作成された図面データおよび図面データに関する図面管理データが保存される。
【0016】
具体的には、図面データ記憶部11は、三次元CAD記憶部13および図面管理データベース15を有する。
三次元CAD記憶部13には、クライアント端末20において三次元CADを利用する三次元設計者が作成し登録(Check In)依頼を行った図面データが保存される。図面管理データベース15には、登録依頼のあった図面データに関する図面管理データが保存される。
【0017】
図面管理データについて、図2を参照して説明する。図2は、図面管理データベースに保存される図面管理データの一例を示す説明図である。
図面管理データには、図面データの「ファイル名」、「バージョン」、「日付」、「時間」、「ユーザ名」および「ステータス」が対応付けられている。
「ファイル名」は、図面データに与えられる名称である。ここでは、製品Aを示す図面データにはファイル名「A」、製品Aを構成する部品Bを示す図面データにはファイル名「B」、製品Aを構成する部品Cを示す図面データにはファイル名「C」がそれぞれ付されて保存されている例が示されている。
【0018】
「バージョン」とは、図面データの編集履歴を示す。例えば、ファイル名が「A」である図面データが初めて図面データ記憶部11に登録される場合は、「バージョン」として「ver.1」が付される。また、図面データ記憶部11の図面管理データベース15に保存されている図面データが、三次元設計者によってチェックアウト(Check Out)され、編集された後に再び登録される場合がある。このような場合、すなわちすでにファイル名が「A」である図面データが登録されている場合にさらに同じファイル名「A」を有する図面データが登録される場合には、「バージョン」として登録順に更新されたバージョン番号が付与されて登録される。
【0019】
「日付」は、図面データが図面データ記憶部11に登録された日を示す。「時間」は、図面データが図面データ記憶部11に登録された時間を示す。「ユーザ名」は、図面データの登録依頼をした三次元設計者を特定するユーザIDを示す。
【0020】
「ステータス」とは、図面データの出図の有無を示す。具体的にはクライアント端末20を利用する三次元設計者が、図面データの登録を依頼する際に図面データの出図の指示を行うと、「ステータス」の欄に「出図」が書き込まれる。出図の指示とは、完成された図面データに関する発行指示である。
以下、出図情報を有する図面データ、すなわち「ステータス」に「出図」が書き込まれた図面データを「出図データ」という。「出図データ」には、完成版として出図される図面データと、完成前の旧バージョンではあるが出図実績のある図面データとが含まれる。一方、「ステータス」に「出図」が書き込まれていない図面データを「未出図データ」という。「未出図データ」には、例えば完成版の図面データの旧バージョンデータであって出図されていない図面データと、完成されているが出図されていない図面データとが含まれる。
【0021】
図2では、ファイル名が「A」である図面データが、ユーザ名「23」を有する三次元設計者によって3回作成されて、「ver.1」から「ver.3」が登録されている。そして、2010年7月15日12:00に登録されたファイル名「A」のバージョン「ver.3」の図面データに対して、出図の指示が行われている。
【0022】
また、ファイル名が「B」である図面データが、ユーザ名「23」を有する三次元設計者によって2回作成されて、「ver.1」および「ver.2」が登録されている。そして、2010年7月15日12:00に登録されたファイル名「B」のバージョン「ver.2」の図面データに対して、出図の指示が行われている。
さらに、ファイル名が「C」である図面データが、ユーザ名「23」を有する三次元設計者によって作成されて2010年7月15日12:00に「ver.1」が登録されている。そして、バージョン「ver.1」の図面データに対して、出図の指示が行われている。
【0023】
(3)図面管理サーバ
(3−1)図面管理サーバのハードウェア構成
まず、図面管理サーバ30のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施形態に係る図面管理サーバ30のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すとおり、本実施形態では、図面管理サーバ30は、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)33、ROM(Read Only Memory)35、HDD(Hard Disk Drive)37、通信インターフェース39およびこれらを接続するバス41を有する。
【0024】
CPU31は、ROM35に記録されている制御プログラムを実行し、図面管理サーバ30全体の動作を制御する。具体的に、CPU31は、後述する三次元データ処理部50として機能する。RAM33は、プログラムを実行するための作業領域として機能する。ROM35は、制御プログラムや予め設定されているパラメータ等を格納する。HDD37には、電子データ記憶部61、部品リンクデータベース63および部品構成表データベース71が保存される。通信インターフェース(図中、I/F)39は、図示しない社内LAN等を介して三次元用PDMサーバ10、設計部門に配置されたクライアント端末20および関連部門に配置されたクライアント端末80とデータの送受信を行う。
【0025】
なお、図面管理サーバ30は、キーボード等からユーザの操作結果を示す操作信号を受け付け、バス41を介してCPU31に操作信号を供給する入力インターフェース(図示せず)をさらに有していてもよい。また、ディスプレイ等の出力機器にデータを供給する出力インターフェース(図示せず)を有していてもよい。
【0026】
(3−2)図面管理サーバの機能構成
次に再び図1を参照して、図面管理サーバ30の機能構成を説明する。図面管理サーバ30は、例えば管理部門に配置されたサーバ装置であって、三次元データ処理部50、電子データ記憶部61および部品リンクデータベース63を有する。本実施形態の図面管理サーバ30は、さらにBOM(Bills of Materials)管理部70を有する。
【0027】
(3−2−1)三次元データ処理部
三次元データ処理部50は、図面データ記憶部11に保存された図面データのうち不要な図面データを削除する。また三次元データ処理部50は、出図情報を有する図面データを表示データに変換し、表示データを電子データ記憶部61に保存する。
【0028】
具体的に、三次元データ処理部50は、バッチ処理制御部51、ステータス監視部53、履歴データ監視部55、履歴データ削除部57および電子データ作成部59を有する。
バッチ処理制御部51は、ステータス監視部53、履歴データ監視部55、履歴データ削除部57および電子データ作成部59に対して、下記に説明する処理をバッチ処理で行わせるための制御を行う。例えば、バッチ処理制御部51は、各日の所定時刻が到来すると、各部の処理が開始されるように制御する。なお、バッチ処理の頻度は、適宜変更可能であり、例えば1時間毎であってもよい。
【0029】
以下、バッチ処理制御部51の制御に基づき、図面データ記憶部11に図2に示す図面管理データおよび図面管理データに関連する図面データが保存されている状態において、2010年7月15日22:00にバッチ処理が行われる例を挙げて説明する。
【0030】
ステータス監視部53は、図面データ記憶部11の図面管理データベース15に保存される図面管理データの「ステータス」を監視し、「ステータス」が「出図」である出図データがあるかどうかを判断する。ステータス監視部53は、出図データがあると判断した場合には、出図データの「ファイル名」および「バージョン」に関する出図データ情報を履歴データ監視部55および電子データ作成部59に通知する。上記の例では、ステータス監視部53は、バージョンが「ver.3」であるファイル名「A」の図面データ、バージョンが「ver.2」であるファイル名「B」の図面データおよびバージョンが「ver.1」であるファイル名「C」の図面データが出図データであると判断する。そして、ステータス監視部53は、出図データ情報を履歴データ監視部55および電子データ作成部59に通知する。
【0031】
本実施形態のステータス監視部53は、出図データがあると判断した場合、履歴データ監視部55および電子データ作成部59へ情報を通知する前に、さらに出図データが履歴データ削除部57および電子データ作成部59の処理対象であるかどうかを判断する。具体的には、ステータス監視部53は、既に処理対象となった出図データが再び処理対象とならないように、出図データの日付および時間を監視する。上記の例では、ステータス監視部53は、3つの出図データの登録日時を示す2010年7月15日12:00を監視し、2010年7月15日のバッチ処理の対象データであると判断する。その後、ステータス監視部53は、出図データの出図データ情報を、履歴データ監視部55および電子データ作成部59に通知する。
【0032】
履歴データ監視部55は、図面データ記憶部11の図面管理データベース15に保存された図面管理データの「バージョン」を監視し、出図データと同じファイル名が付された図面データについて、旧バージョンデータがあるかどうかを判断する。ここでは、履歴データ監視部55は、ファイル名「A」について、「ver.1」および「ver.2」の旧バージョンデータがあると判断する。また、履歴データ監視部55は、ファイル名「B」について、「ver.1」の旧バージョンデータがあると判断する。
【0033】
旧バージョンデータがあると判断すると、履歴データ監視部55は、旧バージョンデータの「ファイル名」、「バージョン」および「ステータス」を含む旧バージョンデータ情報を履歴データ削除部57へ通知する。
【0034】
履歴データ削除部57は、図面データ記憶部11から、出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除する。具体的には、履歴データ監視部55から通知された旧バージョンデータ情報を参照し、「ステータス」が出図でなく、かつ旧バージョンの図面データを図面データ記憶部11の三次元CAD記憶部13から削除する。上記の例では、履歴データ監視部55は、のファイル名「A」である「ver.1」および「ver.2」の旧バージョンデータと、ファイル名「B」である「ver.1」の旧バージョンデータとを図面データ記憶部11の三次元CAD記憶部13から削除する。
【0035】
このように、出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除することにより、図面データ記憶部11から不要なデータを削除できる。その結果、図面データ記憶部11に保存されるデータ量を少なくできる。また、従来、旧バージョンデータの削除は、三次元設計者等により手作業にて行われていた。しかし、本実施形態では、履歴データ削除部57によって出図されていない旧バージョンデータが削除されるので、三次元設計者等の手間を軽減できる。
なお、ここで削除されるデータは、前述のとおり「ステータス」に「出図」が書き込まれておらず、かつ旧バージョンの図面データである。従って、旧バージョンの図面データであっても、出図実績があれば削除されない。
【0036】
電子データ作成部59は、ステータス監視部53から出図データ情報を受け取ると、表示データを作成して電子データ記憶部61に保存する。表示データとは、図面データ記憶部11の三次元CAD記憶部13に保存された図面データを、三次元CADシステムまたは三次元CADビューワが配備されていないクライアント端末においても参照できるように二次元の図面データに変換されたデータである。本実施形態において表示データとは、PDF形式のデータである。
【0037】
具体的に電子データ作成部59は、出図データ情報を受け取ると、ファイル名「A」でありバージョン「ver.3」の図面データを図面データ記憶部11の三次元CAD記憶部13からダウンロードする。そして、電子データ作成部59は、ダウンロードした図面データをPDF形式の表示データに変換する。また、電子データ作成部59は、PDF形式の表示データに所定のルールに従ったファイル名を付与した上で、変換したPDF形式の表示データを電子データ記憶部61に保存する。ここでは、表示データのファイル名には、図面データの同様の名称が保存される。ステータス監視部53は、「ver.2」であるファイル名「B」の図面データおよびバージョンが「ver.1」であるファイル名「C」の図面データについても同様の処理を行う。
【0038】
さらに、電子データ作成部59は、電子データ記憶部61に保存した表示データの製品名または部品名と表示データの保存場所とを対応付けて部品リンクデータベース63に保存する。図4は、部品リンクデータベースの一例を示す説明図である。図4に示すとおり、部品リンクデータベース63には、製品名または部品名と、製品または部品に関する表示データの保存場所であるデータリンク先とが対応付けられる。ここでは、「製品名/部品名」には、図面データのファイル名と同様の名称が保存される。また、「データリンク先」には、表示データの保存場所を示す文字列が書き込まれる。文字列には、例えば、製品名または部品名を示す名称とデータ形式を示す「pdf」とが含まれる。
【0039】
電子データ記憶部61には、前述のとおり、開発および製造にかかる製品または部品の形状を示すPDF形式の表示データが保存される。このように、本実施形態では、電子データ作成部59によって図面データを表示データへと変換し電子データ記憶部61に保存できる。従って、従来、三次元設計者により手作業にて行われていた図面データから表示データへの変換およびデータベースへの保存を電子データ作成部59によって実行できる。その結果、三次元設計者の手間を省略でき、またデータベースへの保存の際のファイル名の誤入力等、人的操作によるミスの発生を防止できる。
【0040】
(3−2−2)BOM管理部
BOM管理部70は、設計部門のクライアント端末20において三次元CADを利用する三次元設計者によって、図面データを作成する際に作成された製品の部品構成表を管理する。
【0041】
BOM管理部70は、図5Aに示すような部品構成表を保存する部品構成表データベース71を有する。図5Aは、部品構成表の一例を示す説明図である。部品構成表には、製品単位でどの最小単位の製品部品がいくつ必要かが表される。部品構成表では、「製品名」、「部品名」、「品番」、「個数」および「電子データ」が対応付けられている。「製品名」は、製品を特定する名前である。「部品名」は、製品を構成する製品部品を示す名前である。「品番」は、部品を示す固有番号である。「個数」とは、部品の必要個数である。「電子データ」とは、電子データ記憶部61に保存される表示データのデータ形式を示す。
【0042】
図5Aでは、ファイル名が「A」である図面データが図面データ記憶部11に保存されている製品Aに関する部品構成表を示す。なお、図5Aの部品構成表は、ファイル名「A」である図面データから変換され電子データ記憶部61に保存された表示データの部品構成表でもある。ここでは、製品Aには、品番「B01」である部品Bが5個必要であり、品番「C01」である部品Cが3個必要である例を示す。
なお、部品構成表データベース71には、図5Bに示すとおり、製品を構成する部品構成をツリー構造で示す構成表が記憶されていてもよい。図5Bは、部品構成をツリー構造で示す構成表の一例である。また図5Aに示す部品構成表には、さらに「仕様」または「材質」等の他の要素が関連付けられていてもよい。
【0043】
本実施形態の部品構成表データベース71に保存された部品構成表の各製品および部品は、部品リンクデータベース63を介して、電子データ記憶部61内の表示データとリンク付けされている。従って、製造部門等の関係部門のユーザは、部品構成表を通して、部品構成表中の製品および製品を構成する部品の形状を示す表示データを参照できる。
具体的には、BOM管理部70が管理する部品構成表は、関係部門に配置されたクライアント端末80に対して公開されている。よって、関係部門のユーザは、部品構成表データベース71にアクセスすることにより、クライアント端末80が備える表示部に部品構成表データベース71に保存された部品構成表を表示させることができる。また、例えばユーザが、部品構成表において部品名「B」に対応付けられた電子データ「PDF」をクリックすると、部品構成表データベース71内の部品名の「B」に対応付けられたデータリンク先が参照され、データリンク先が示す保存場所に保存された表示データがクライアント端末80へとダウンロードされる。従って、三次元CADソフトウェアまたは三次元CADビューワが配備されていない関係部門のユーザも、部品構成表を介して、電子データ記憶部61に保存された表示データを参照できる。
【0044】
(4)三次元データ処理部の処理
三次元CAD処理部50の処理について、図6を参照して説明する。図6は、三次元CAD処理部における定期バッチ処理のフローチャートを示す。
前述のとおり、三次元CAD処理部50による処理は、定期的なバッチ処理により行われる。例えば、各日の所定時刻が到来すると処理が開始される。このようにバッチ処理を採用することにより、深夜時間等、図面管理サーバ30の処理能力に余裕のある時間帯に処理時間を設定し、三次元データ処理部50による処理を効率よく実行できる。
【0045】
三次元データ処理部50は、まず、ステータス監視部53によって図面データ記憶部11に保存される図面管理データの「ステータス」を監視し、出図データがあるかどうかを判断する(ステップS1)。出図データがあると判断した場合には(ステップS1にてYes)、ステータス監視部53は、次に出図データが履歴データ削除部57および電子データ作成部59の処理対象案件であるかどうかをさらに判断する(ステップS2)。例えば、ステータス監視部53は、図面管理データにおける出図データの日付および時間を監視し、処理対象データであるかどうか判断する。
【0046】
出図データが処理対象データである場合には(ステップS2でYES)、履歴データ監視部55、履歴データ削除部57および電子データ作成部59による処理がそれぞれ実行される。
まず、履歴データ監視部55は、図面データ記憶部11に保存される図面管理データの「バージョン」を監視し、出図データと同じファイル名を有する旧バージョンデータがあるかどうかを判断する(ステップS3)。履歴データ監視部55が旧バージョンデータがあると判断すると(ステップS3にてYes)、履歴データ削除部57は、旧バージョンデータ情報を参照して、ステップS3で判断した旧バージョンデータのうち、出図情報を有しない図面データがあるかどうか判断する(ステップS4)。そして、出図情報を有しない旧バージョンの図面データがあると判断すると(ステップS4でYes)、履歴データ削除部57は、図面データ記憶部11から、出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除する(ステップS5)。
【0047】
また、電子データ作成部59は、処理対象である出図データから表示データを作成する(ステップS6)。そして、表示データを作成すると、電子データ作成部59は、表示データを電子データ記憶部61に保存する(ステップS7)。
【0048】
(5)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)図面管理システム100は、図面データ記憶部11と、ステータス監視部53と、履歴データ監視部55と、履歴データ削除部57と、を備える。図面データ記憶部11には、三次元CADを利用して作成された図面データが記憶される。ステータス監視部53は、図面データ記憶部11に出図情報を有する図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ監視部55は、図面データ記憶部11に旧バージョンの図面データが記憶されているかどうかを監視する。履歴データ削除部57は、図面データ記憶部11から出図情報を有しない旧バージョンの図面データを削除する。
【0049】
ここでは、出図情報を有しない旧バージョンの図面データが図面データ記憶部11から削除される。従って、図面管理システム100において、図面データ記憶部11から不要なデータを削除できる。その結果、図面データ記憶部11に記憶されるデータ量が増大することを抑制できる。
【0050】
図面管理システム100は、図面データ記憶部11に記憶されている出図情報を有する図面データを表示データへ変換する電子データ作成部59をさらに備えている。
ここで、表示データとは、二次元の図面データに変換したデータであって。三次元CADシステムまたは三次元CADビューワが配備されていないクライアント端末においても表示可能なデータである。このような電子データ作成部59を備えることにより、従来三次元設計者により手作業にて行われていた図面データから表示データへの変換を、三次元設計者の手間を要することなく行える。
【0051】
図面管理システム100は、履歴データ削除部57による出図情報を有しない旧バージョンの図面データの削除を一括処理するバッチ処理制御部51をさらに備える。
図面管理システム100は、履歴データ削除部57による出図情報を有しない旧バージョンの図面データの削除および電子データ作成部59による出図情報を有する図面データから表示データへの変換を一括処理するバッチ処理制御部51をさらに備える。
ここではバッチ処理制御部51を備えることにより、例えば深夜時間等の処理能力に余裕のある時間帯に処理時間を設定し、履歴データ削除部57および/または電子データ作成部59に一括処理をさせるので、処理効率を上げることができる。
【0052】
(6)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0053】
(a)上記の実施形態では、図面管理サーバ30が三次元データ処理部50、電子データ記憶部61、部品リンクデータベース63およびBOM管理部70を有する例を挙げて説明した。しかし、三次元データ処理部50が図面データ記憶部11に保存された図面データを処理できれば、処理部、データベースおよび記憶部の配置は上記に限定されない。
【0054】
(b)上記の実施形態では、バッチ処理制御部51を備え、三次元データ処理部50による処理は、定期的なバッチ処理により行われる例を説明した。
しかし、三次元データ処理部50による処理は、バッチ処理によるものではなく、出図データの登録からスタートする連続処理であってもよい。具体的には、ステータス監視部53は、図面管理データの「ステータス」を常にまたは一定の間隔で監視し、出図データの新たな登録を判断すると、即時に履歴データ削除部57および電子データ作成部59に出図データの情報の通知を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、三次元CADによって作成された図面を管理する図面管理システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0056】
10 三次元用PDMサーバ
11 図面データ記憶部
13 三次元CAD記憶部
15 図面管理データベース
20、80 クライアント端末
30 図面管理サーバ
50 三次元データ処理部
51 バッチ処理制御部
53 ステータス監視部
55 履歴データ監視部
57 履歴データ削除部
59 電子データ作成部
61 電子データ記憶部
63 部品リンクデータベース
70 BOM管理部
71 部品構成表データベース
100 図面管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元CAD(Computer Aided Design)を利用して作成された図面データを記憶する図面データ記憶部と、
前記図面データ記憶部に出図情報を有する前記図面データが記憶されているかどうかを監視するステータス監視部と、
前記図面データ記憶部に旧バージョンの前記図面データが記憶されているかどうかを監視する履歴データ監視部と、
前記図面データ記憶部から出図情報を有しない旧バージョンの前記図面データを削除する履歴データ削除部と、
を備える、図面管理システム。
【請求項2】
前記図面データ記憶部に記憶されている出図情報を有する前記図面データを表示データへ変換する電子データ作成部をさらに備える、請求項1に記載の図面管理システム。
【請求項3】
前記履歴データ削除部による出図情報を有しない旧バージョンの前記図面データの削除を一括処理するバッチ処理制御部をさらに備える、請求項1に記載の図面管理システム。
【請求項4】
前記履歴データ削除部による出図情報を有しない旧バージョンの前記図面データの削除および前記電子データ作成部による出図情報を有する前記図面データから表示データへの変換を一括処理するバッチ処理制御部をさらに備える、請求項2に記載の図面管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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