説明

固体撮像ユニット、撮影装置、および固体撮像素子固定方法

【課題】本発明は、固体撮像素子とこの固体撮像素子の背面側に配置された支持部材とを備えた固体撮像ユニット等に関し、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく位置決めされた固体撮像ユニット等を提供することを目的とする。
【解決手段】CCD112Aとフレキシブル基板115とCCDプレート116とから構成されているCCDユニット120のCCDプレート116は、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させた状態で、CCD112Aの背面側にCCD112Aと非接触に配置され、貫通孔1161,1151から流し込まれた接着剤300で、このCCD112Aと非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子とこの固体撮像素子の背面側に配置された支持部材とを備えた固体撮像ユニット、このような固体撮像ユニットが備えられた、被写体を撮影する撮影装置、および、このような固体撮像ユニットにおける固体撮像素子固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影光学系により被写体光を導き、この被写体光による被写体像を固体撮像素子上に結像させ、その被写体像を表す画像信号を取り込む、いわゆるデジタルカメラが知られている。また、固体撮像素子としては、例えば、電荷結合素子であるCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、安価で低消費電力のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどが広く用いられている。そして、この固体撮像素子は、固体撮像素子の撮像面が光軸に対して垂直に交わるように、撮影光学系に対して位置決めされている必要がある。
【0003】
この位置決めの技術として、例えば、デジタルカメラの組立時に、支持部材に固体撮像素子の背面を固定しておき、この支持部材を撮影光学系の保持体に取り付けることによって、固体撮像素子を撮影光学系に対して位置決めする技術が知られている。
【0004】
また、固体撮像素子の背面側に支持部材を固定する技術として、例えば、支持部材に複数の突起部を設けるとともに、突起部の近傍に開口部を設け、この支持部材に設けられた複数の突起部に固体撮像素子を突き当てて、突起部の近傍に形成された開口部から固体撮像素子と支持部材との隙間に接着剤を流し込み、固体撮像素子と支持部材とを接着固定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−261904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に提案された技術によると、固体撮像素子の背面側に支持部材を固定するときに、治具を用いて精度良く位置決めしても、固体撮像素子や支持部材の部品誤差は吸収されない。そのため、この技術を適用して固体撮像素子の背面側に固定された支持部材を撮影光学系の保持体に取り付けたとき、固体撮像素子や支持部材の部品誤差に起因して、固体撮像素子の撮像面が光軸に対して垂直に交わらずに傾斜してしまう“撮像面のあおり”が発生し、光軸位置精度が悪くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく位置決めされた固体撮像ユニット、このような固体撮像ユニットが備えられた撮影装置、および、このような固体撮像ユニットにおける固体撮像素子固定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の固体撮像ユニットは、
被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子と、
上記固体撮像素子の背面側にこの固体撮像素子と非接触に配置された支持部材とを備え、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態で接着されてなることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明にいう「固体撮像素子」とは、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどのイメージセンサをいう。
【0010】
本発明の固体撮像ユニットは、固体撮像素子と支持部材が互いに非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されてなるものであるため、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく、固体撮像素子が支持部材に対して位置決めされる。
【0011】
ここで、本発明の固体撮像ユニットは、
「上記支持部材が、上記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態で、上記貫通孔から流し込まれた接着剤で接着されてなる」
ことが好ましい。
【0012】
このような好ましい形態によれば、固体撮像素子と支持部材が互いに非接触の状態を保持した上で、貫通孔から接着剤を流し込むことができるため、固体撮像素子が支持部材に対して確実に位置決めされる。
【0013】
また、上記目的を達成する本発明の撮影装置は、
撮影光学系を有し、この撮影光学系を経由して入射した被写体光を捉えることにより撮影を行う撮影装置において、
上記被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子と、
上記固体撮像素子の背面側にこの固体撮像素子と非接触に配置された支持部材とを備え、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態で接着されてなることを特徴とする。
【0014】
ここで、本発明にいう「固体撮像素子」とは、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどのイメージセンサをいう。
【0015】
本発明の撮影装置は、本発明の固体撮像ユニットが備えられたものである。従って、本発明の撮影装置によれば、本発明の固体撮像ユニットと同様に、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく、固体撮像素子が支持部材に対して位置決めされる。そのため、本発明の撮影装置によれば、固体撮像素子や支持部材の部品誤差に起因して固体撮像素子の撮像面が光軸に対して垂直に交わらずに傾斜してしまう“撮像面のあおり”が発生することが回避され、良好な光軸位置精度が得られる。
【0016】
ここで、本発明の撮影装置は、
「上記支持部材が、上記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態で、上記貫通孔から流し込まれた接着剤で接着されてなる」
ことが好ましい。
【0017】
このような好ましい形態によれば、固体撮像素子と支持部材が互いに非接触の状態を保持した上で、貫通孔から接着剤を流し込むことができるため、固体撮像素子が支持部材に対して確実に位置決めされる。
【0018】
また、上記目的を達成する本発明の固体撮像素子固定方法は、
被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子を支持するとともに、この固体撮像素子の背面側にこの固体撮像素子とは非接触に支持部材を支持し、
上記固体撮像素子を位置決めし、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態のまま接着することを特徴とする。
【0019】
ここで、本発明にいう「固体撮像素子」とは、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどのイメージセンサをいう。
【0020】
本発明の固体撮像素子固定方法は、固体撮像素子と支持部材のそれぞれを互いに非接触の状態で支持し、固体撮像素子を位置決めし、その状態のまま接着(いわゆる空中接着)する固定方法であるため、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく、固体撮像素子が支持部材に対して位置決めされる。
【0021】
ここで、本発明の固体撮像素子固定方法は、
「上記支持部材が、上記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
上記固体撮像素子と上記支持部材が互いに非接触の状態のまま、上記貫通孔から接着剤を流し込んで接着する」
ことが好ましい。
【0022】
このような好ましい形態によれば、接着剤を流し込むときに固体撮像素子や支持部材がずれてしまうといったような作業工程における不具合が発生する確率が低く、固体撮像素子を支持部材に対して確実に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、固体撮像素子や支持部材の部品誤差の影響を受けることなく位置決めされた固体撮像ユニット、このような固体撮像ユニットが備えられた撮影装置、および、このような固体撮像ユニットにおける固体撮像素子固定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の固体撮像ユニットの一実施形態であるCCDユニットを備えた撮影装置1の外観を示す図である。
【図2】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図3】図2のフレキシブル基板の拡大図である。
【図4】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図5】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図6】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図7】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図8】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図9】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図10】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図11】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図12】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図13】CCDユニットを保持するXYステージの構成を示す図である。
【図14】マグネットMAG1,MAG2の配列と、接合体YM1,YM2とホール素子h1,h2と対向ヨークY12,Y22と追加ヨークY13,Y23の位置関係を示す図である。
【図15】調整時のホール素子の出力を説明する図である。
【図16】本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態であるCCD固定方法を説明する模式図である。
【図17】本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態であるCCD固定方法を説明する模式図である。
【図18】本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態であるCCD固定方法を説明する模式図である。
【図19】従来のCCD固定方法を説明する模式図である。
【図20】従来のCCD固定方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の固体撮像ユニットの一実施形態であるCCDユニット120を備えた撮影装置1の外観を示す図である。
【0027】
図1の撮影装置1は、本発明の撮影装置の一実施形態でもある。また、図1の撮影装置1は、XYステージ110によってCCDユニット120が保持されており、撮影時の手ぶれに応じてそのXYステージが駆動されCCDユニット120が動かされることによって手ぶれが補正される。
【0028】
図1の撮影装置においては、CCDユニット120を保持するXYステージ110がレンズ鏡胴100とカメラ本体190との接続部付近に配備されている。
【0029】
図2〜図4にはXYステージ110のX方向、Y方向を明確にするためにX軸とY軸さらにZ軸が示されている。図2と図4の3つの軸の方向は同じであるが、図3にはフレキシブル基板FPCの構成をより分かり易くするために異なる方向から見た図が示されているので、3つの軸の方向が異なる。以降の説明においては、これらの軸を使って方向を示すことにする。
【0030】
図2には、CCDユニット120を保持するXYステージ110の分解図が示されており、図3には、図2中のフレキシブル基板FPCの拡大図が示されており、図4には図2の分解図に加えてそのXYステージ110が組み込まれるレンズ鏡胴100が示されている。なお、図4には、ズームモータZMやフォーカスモータFM、さらにそれらのモータをレンズ鏡胴100に組み込むときの部品や図1の撮影装置1内の制御部とを接続するためのメインFPC118や防塵テープ117等も図示されている。
【0031】
また、図5には、XYステージ110が組立てられるとともにそのXYステージ110がレンズ鏡胴100に組み込まれた後の状態を、蓋部材114を透明にして蓋部材114側からZ方向に沿って見た図が示されており、図6〜図13には、図5中の符号Pで示す線に沿って切断した断面を示すX断面図およびこのX断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、図5中の符号Qで示す線に沿って切断した断面を示すX断面図、図8に示すX断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、図5を右側面から見た右側面図、図5中の符号Rで示す線に沿って切断した切断面を示すY断面図、図11に示すY断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、および図5を底面から見た底面図がそれぞれ示されている。
【0032】
まず、図2,図4を参照して、XYステージ110を構成する各部材、およびXYステージ110の構成を説明する。
【0033】
XYステージ110には、図2に示す様に基体111ほか多数の部材が備えられており、その基体111上にその多数の部材の中のCCDユニット120やCCDホルダー112やXステージ113A、Yステージ113B等の各部材が組み込まれていってXYステージ110になり、組立てられたXYステージ110が図4に示すレンズ鏡胴100に組み込まれると、図5〜図13に示す構成になる。
【0034】
図2の中央には、被移動ステージであるCCDホルダー112が示されている。このCCDホルダー112に、CCDユニット120が保持される。
【0035】
CCDユニット120は、CCD112Aと、フレキシブル基板115と、CCDプレート116とから構成されている。このCCD112Aが、本発明にいう固体撮像素子の一例であり、このCCDプレート116が、本発明にいう支持部材の一例である。CCD112Aは、被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子であり、このCCD112Aには、フレキシブル基板115が半田接続される構成になっており、そのフレキシブル基板115は、CCD112Aの背面側とCCDプレート116との間に配置される。また、CCDプレート116およびフレキシブル基板115には接着用の貫通孔1161,1151(図7参照)が設けられており、その貫通孔1161,1151に接着剤が流し込まれてCCDプレート116がCCD112Aに空中接着され固定される。また、フレキシブル基板115も、CCD112Aの背面側とCCDプレート116の間の位置に接着剤で固定される。そして、このように構成されたCCDユニット120のCCDプレート116を介して、CCDユニット120がCCDホルダー112に固定される。CCDユニット120がCCDホルダー112に固定された状態については、図6,図7を参照して後述する。なお、CCD112Aから引き出されたフレキシブル基板115には、撓み部115Aが設けられており、その撓み部115AにはスリットSLが設けられている。このためこのフレキシブル基板115が組み込まれた後においては、その撓み部115AによってCCD112Aがスライドしている最中のフレキシブル基板115に加えられるX方向のストレスが吸収され、スリットSLによってCCD112Aがスライドしているときのフレキシブル基板115に加えられるY方向のストレスが吸収される。
【0036】
本実施形態においては、Xステージ113AとYステージ113Bそれぞれのスライドに応じて、CCD112A、フレキシブル基板115、およびCCDプレート116から構成されたCCDユニット120と、そのCCDユニット120を保持するCCDホルダー112とが、すべてスライドすることになる。
【0037】
また、図2の中央には、その被移動ステージであるCCDホルダー112等をX方向とY方向とに各々移動させるためのXステージ113AとYステージ113Bが示されている。図2のXステージ113Aは、中心軸を半周にわたって取り巻き、X方向にスライド自在に基体111に支持されるとともに、CCDホルダー112をX方向に拘束しY方向にスライド自在に支持して、X方向へのスライドによりCCDホルダー112をX方向に移動させるものであり、図2のYステージ113Bは、中心軸を半周にわたって取り巻き、Y方向にスライド自在に基体111に支持されるとともに、CCDホルダー112をY方向に拘束しX方向にスライド自在に支持して、Y方向へのスライドによりCCDホルダー112をY方向に移動させるものである。これらのステージ113A,113Bが基体111に組み込まれた後の状態については図5を参照したときに詳述する。なお、これらのXステージ113AおよびYステージ113Bをスライドさせるにあたっては、従来より知られているボイスコイルモータが用いられる。
【0038】
このボイスコイルモータは、周知の通り、マグネットと、コイルと、ヨークとからなるものであり、本実施形態では、Xステージ113AとYステージ113Bとにそれぞれ、第1の基板固定部1130A、第2の基板固定部1130Bが備えられ、それらの基板固定部1130A,1130Bにボイスコイルモータの移動子となる第1のコイル基板1131Aと第2のコイル基板1131Bがそれぞれ固定され、さらにそれらのコイル基板1131A,1131Bを駆動するためのマグネットMG1,MG2とヨークY11〜Y13,Y21〜Y23とXステージ113AとYステージ113Bそれぞれが基体111に組み込まれることによってボイスコイルモータが組み立てられてる。つまり、ボイスコイルモータによってXステージ駆動機構およびYステージ駆動機構が構成される。
【0039】
図2の左側には、基体111の外壁部の外側にXステージ113AとYステージ113Bそれぞれのコイル基板1131A,1131Bに対応するように、それぞれ、上記Xステージ駆動機構、上記Yステージ駆動機構それぞれを構成するマグネットMG1,MG2と3種類のヨークY11〜Y13,Y21〜Y23が示されている。なお、Xステージ113AとYステージ113Bとのそれぞれに設けられる第1のコイル基板1131Aと第2のコイル基板1131Bとに対応してそれぞれヨークY11〜Y13,Y21〜Y23が3種類づつ設けられているので、以降においては、Xステージ駆動機構側の符号Y11のヨークを第1のヨークと記載し、Yステージ駆動機構側の符号Y21のヨークを第2のヨークと記載し、Xステージ駆動機構側の符号Y12のヨークを第3のヨーク(以降においては第1のマグネットMG1に対向して配設されるので対向ヨークということもある)と記載し、Yステージ駆動機構側の符号Y22のヨークを第4のヨーク(以降においては第2のマグネットMG2に対向して配設されるので対向ヨークということもある)と記載することにし、Xステージ駆動機構側の符合Y13のヨークを第1のサブヨークと記載し、Yステージ駆動機構側の符号Y23のヨークを第2のサブヨークと記載することにする。また、第1のヨークY11は第1のマグネットMG1に接着固定され、第2のヨークY21は第2のマグネットMG2に接着固定されるので、それらを含めて第1の接合体YM1、第2の接合体YM2と記載することがある。
【0040】
つまり、Xステージ駆動機構が、X−Z平面に広がってXステージ113Aに対向した第1のマグネットMG1と、その第1のマグネットMG1の、Xステージ113Aから見たときの裏側に固定された第1のヨークY11とからなる第1の接合体YM1と、Xステージ113Aの、第1のマグネットMG1に対面した位置に固定され、電流の供給を受けて、第1のマグネットMG1との相互作用によりそのXステージ113AをX方向に駆動する力を発生する第1のコイルが形成された第1のコイル基板1131Aとを備え、Yステージ駆動機構が、Y−Z平面に広がってYステージ113Bに対向した第2のマグネットMG2と、その第2のマグネットMG2の、Yステージ113Bから見たときの裏側に固定された第2のヨークY21とからなる第2の接合体YM2と、Yステージ113Bの、第2のマグネットMG2に対面した位置に固定され、電流の供給を受けて、第2のマグネットMG2との相互作用によりそのYステージ113BをY方向に駆動する力を発生する第2のコイルが形成された第2のコイル基板1131Bとを備えたものということになる。
【0041】
その第1のヨークY11が、第1のマグネットMG1よりもX方向に幅広の部材であって、Xステージ駆動機構が、第1のヨークY11の、第1のマグネットMG1から見たときの裏面の、その第1のマグネットMG1と対向する位置に固定された、その第1のヨークY11よりもX方向に幅狭の第1のサブヨークY13を備え、第2のヨークY21が、第2のマグネットMG2よりもX方向に幅広の部材であって、Yステージ駆動機構が、第2のヨークY21の、第2のマグネットMG2から見たときの裏面の、その第2のマグネットMG2と対向する位置に固定された、その第2のヨークY21よりもX方向に幅狭の第2のサブヨークY23を備えている。
【0042】
図2の、Xステージ駆動機構とYステージ駆動機構がそれぞれ示されているところの基体111の外壁部には、図示はされていないが上記マグネットMG1,MG2と3種類のヨークY11〜Y13,Y21〜Y23を収容する凹みが、Xステージ113AとYステージ113Bとに対応してそれぞれ設けられており、それらの凹みに、まず対向ヨークY12,Y22がそれぞれ配設されて各凹みの内壁面にネジ止めされる。次にマグネットMG1,MG2と第1のヨークY11,Y22とからなる第1の接合体YM1と第2の接合体YM2が基体111の外壁面にそれぞれネジ止めされ、さらにそれらの接合体の第1、第2のヨークY11,Y22の、マグネット側から見た裏面のそのマグネットと対向した位置に、第1、第2のヨークよりもX方向、Y方向の長さが短い第1、第2のサブヨークY13,Y23がそれぞれ固定される。上記第1、上記第2の接合体YM1,YM2とそれらの接合体の面に対向する位置にある対向ヨークY13,Y23との間に形成されるギャップに、Xステージ113A、Yステージ113Bの基板固定部1130A,1130Bに固定されたコイル基板1131A,1131Bが基体111の外壁を回りこんで配設されることにより、Xステージ113AとYステージ113Bが基体111に組み込まれる。
【0043】
このためコイル基板1131A,1131Bが通電されると、フレミング左手の法則によりコイル基板1131A,1131BがマグネットMG1,MG2に沿って平行(X方向、Y方向)にスライドするようになる。その結果、各ステージ113A,113Bの基板固定部1130A,1130Bに固定されたコイル基板1131A,1131Bの動きに応じて、被移動ステージであるCCDホルダー112、並びにCCDホルダー112に保持されているCCDユニット120が移動することとなる。
【0044】
こうしてXステージ113A、Yステージ113B、およびCCDホルダー112が、コイル基板1131A,1131B上のコイルの通電に応じて素早く動くことができるように基体111に組み込まれる。
【0045】
ここでXステージ113AとYステージ113Bに挿通されるか、又は固定されるガイド軸G1,G3,G4,G6および、支持軸G2,G5がどのようにして基体111に組み込まれていくかを簡単に説明する。
【0046】
まず、X方向に延びる2本のガイド軸G1,G3およびおよび1本の支持軸G2がどのようにして基体111側に配設されて基体111に組み込まれていくかを図2を参照して簡単に説明する。
【0047】
まず、Xステージ113Aには、2つの軸受(後述する)が備えられており、それら2つの軸受にX方向に延び基体111に固定的に支持される第1のガイド軸G1が挿通されその第1のガイド軸G1の両端が基体111が備える軸受に嵌入され基体111に固定的に支持される。さらにX方向に突出してX方向へのスライドが自在に基体111に支持される第1の支持軸G2の一端がXステージ113Aに固定的に支持される。第1のガイド軸G1は、その両端が基体111のU溝形状の軸受にそれぞれ嵌入され、さらに蓋部材114の押さえ部(後述する)に押さえられることにより基体111に固定的に支持される。
【0048】
さらに、X方向に延びる第2のガイド軸G3の両端が、Yステージ113Bに固定的に支持され、CCDホルダー112に設けられている2つの軸受(後述する)がその第2のガイド軸G3にX方向にスライド自在に連結されることによりCCDホルダー112がYステージ113Bに連結される。この第2のガイド軸G3は、上述した様に被移動ステージであるCCDホルダー112をY方向に拘束してX方向のみの移動を補助する役目を担う。
【0049】
一方、Y方向に延びる3本の軸の方の第3のガイド軸G6は、その両端がXステージ113Aに固定され、CCDホルダー112に設けられているもう一つの軸受(後述する)がその第3のガイド軸G6にY方向にスライド自在に連結されることによりCCDホルダー112がXステージ113Aに連結される。このY方向に延びる第3のガイド軸G6は、Xステージ113Aに固定的に支持されることによりCCDホルダー112をX方向に拘束してY方向のみの移動を補助する役目を担う。
【0050】
また、第4のガイド軸G4は、Yステージ113Bが備える2つの軸受に挿通されその両端が基体111のU溝形状の軸受に嵌入され蓋部材114の押さえ部(後述する)により押さえられることにより基体111に固定的に支持される。また、第2の支持軸G5は、Yステージ113Bに固定される。
【0051】
こうして各ステージ113A,113Bおよび被移動ステージであるCCDホルダー112をスライド自在にするためのガイド軸G1,G4および支持軸G2,G5が基体111に組み込まれるとともに、CCDホルダー112の一方向の動きを拘束するガイド軸G3,G6がそれぞれYステージ113B及びXステージ113Aに固定的に支持されて各ステージ113A,113BとCCDホルダー112とがそれぞれ基体111に組み込まれることになる。組み込まれた後の状態については図5を参照したときに詳述する。
【0052】
また、各ステージが備えるコイル基板1131A,1131Bにはコイル基板1131A,1131B上のコイルを通電するための配線を行なわなければならないので、図2にはそのためのフレキシブル基板FPCが図示されている。このフレキシブル基板FPCは、図3に示す様に第1のコイル基板1131Aに固定される第1の固定部FPC1を有し、第1のコイルに供給される電流の流路が形成され、第2のコイル基板1131Bに固定される第2の固定部FPC2とを有し、第2のコイルに供給される電流の流路が形成されたものである。本実施形態においては、1本のフレキシブル基板FPCで2つのコイル基板1131A,1131Bの接続を行なうことができるようにしているが、2本別々であっても良い。
【0053】
図3に示す1本のフレキシブル基板FPCには、Z方向に撓み撓んだ場合の面が互いにX方向に対面した第1の撓み部FPC3と、Z方向に撓み撓んだ場合の面が互いにY方向に対面した第2の撓み部FPC4とが設けられている。なお、このフレキシブル基板FPCには、第1、第2のコイル基板1131A,1131Bに固定された部分に第1、第2のマグネットMG1,MG2の磁力を検出することによりXステージ、YステージのX方向、Y方向の位置を検出するための第1のホール素子h1、第2のホール素子h2が搭載されているのでそれらのホール素子h1,h2で得られた検出信号を伝送する伝送路も形成されている。
【0054】
Xステージ113AがX方向に移動しているときには上記第1の撓み部FPC3によってフレキシブル基板FPCに加えられるストレスが吸収され、Yステージ113BがY方向に移動しているときには上記第2の撓み部FPC4によってフレキシブル基板FPCに加えられるY方向のストレスが吸収される。
【0055】
このフレキシブル基板FPCによる配線が終了したら、最後にXステージ113A、Yステージ113B、CCDホルダー112をZ方向から覆うように蓋部材114が被せられて組立が終了する。
【0056】
ここで、基体111に、CCDユニット120やCCDホルダー112や各ステージ113A,133B等が組み込まれ、XYステージ110が組み立てられ、さらにそのXYステージ110がレンズ鏡胴100に組み込まれた後の状態を、図5を参照して説明する。
【0057】
上述した様に、図5には、XYステージ110がレンズ鏡胴100に組み込まれた後の状態を、蓋部材114を透明にして図2,図4の右上方向から、つまりZ方向に沿って見た図が示されている。
【0058】
図2を参照して説明したように、第1〜第4のガイド軸G1,G3,G4,G6および、第1、第2の支持軸G2,G5が各ステージ113A,113Bとともに基体111に組み込まれていって各ステージが基体111に支持されるので、まずガイド軸G1,G3,G4,G6と支持軸G2,G5を含めた軸周りの構造を説明する。
【0059】
図5に示す様に、Xステージ113AとYステージ113Bには、それぞれ、第1のガイド軸G1、第4のガイド軸G4が挿通される2つの軸受A1,A2,A3,A4がそれぞれ備えられている。
【0060】
また、図5に示す基体111には、その第1のガイド軸G1の両端を固定的に支持する、上記蓋部材114に向かって開口したU溝形状の2つの第1の支持部BE1,BE2と、上記第4のガイド軸G4の両端を固定的に支持する、上記蓋部材114に向かって開口したU溝形状の2つの第2の支持部BE3,BE4と、上記第1の支持軸G2をX方向にスライド自在に支持する、上記蓋部材114に向かって開口したU溝形状の第3の支持部BE5と、上記第2の支持軸G5をY方向にスライド自在に支持する、上記蓋部材114に向かって開口したU溝形状の第4の支持部BE6とが備えられている。図5には上記第1の支持部BE1,BE2と第2の支持部BE3,BE4の構造が同じであるので第2の支持部BE3,BE4のうちの一方の支持部BE4の構造を示す拡大図が示されており、上記第3の支持部BE5と第4の支持部BE6の構造が同じであるので第3の支持部BE5の構造を示す拡大図が示されている。また、図5には、CCDホルダー112の、第2のガイド軸G3に支持された2つの軸受B1,B2の構造を示す拡大図やCCDホルダー112の、第1のガイド軸G1に支持されたもう一つの軸受B3の構造を示す拡大図も示されている。
【0061】
つまり、Xステージ113Aの2つの軸受A1,A2に第1のガイド軸G1が挿通されてその第1のガイド軸G1の両端が第1の支持部BE1,BE2に嵌入されて第1のガイド軸G1およびXステージ113Aが基体111に支持され、Yステージ113Bに第4のガイド軸G4が軸受A3,A4に挿通されてその第4のガイド軸G4の両端が第2の支持部BE3,BE4に嵌入されて第4のガイド軸G4およびYステージ113Bが基体111に支持される。
【0062】
上述したように、最後に図5の表面側から蓋部材114が被せられるため、蓋部材114には、上記第1のガイド軸G1の、上記2つの第1の支持部BE1,BE2それぞれに支持された各部分を押さえる2つの第1の押え部114Aと、上記第4のガイド軸G4の、上記2つの第2の支持部BE3,BE4それぞれに支持された各部分を押さえる2つの第2の押え部114Aと、上記第3の支持部BE5の、当該蓋部材114に向かう開口を塞ぎその第3の支持部BE5と共同して上記第1の支持軸G2が貫通する第1の支持孔114Bを形成する第1の塞ぎ片と、上記第4の支持部BE6の、当該蓋部材114に向かう開口を塞ぎ第4の支持部BE6と共同して上記第2の支持軸G5が貫通する第2の支持孔114Bを形成する第2の塞ぎ片とが備えられているので、その蓋部材114と上記基体111に設けられている軸受とによってXステージ113A、Yステージ113Bが好適に支持されることになる。
【0063】
さらに、蓋部材114には、この蓋部材114に固定され、CCDホルダー112をZ方向に付勢する付勢部材として作用するバネ部材SP1が備えられており、CCDホルダー112の、上記第2のガイド軸G3に支持された2つの軸受B1,B2それぞれには、図5中の拡大図に示す様にZ方向とY方向とに角を有し上記第2のガイド軸G3が貫通した矩形の貫通孔が設けられている。こうしておくと、丸い第2のガイド軸G3が矩形の4つの辺のうちの2つの辺の、2箇所の点で押さえられるようになって、Y方向のがたが吸収されるように支持されるとともにフリクションが軽減されるように支持される。
【0064】
また、CCDホルダー112をXステージ113Aに対してX方向に片寄せするための付勢部材として作用するバネSP2が設けられており、そのバネSP2によってCCDホルダー112がX方向に片寄せされている。こうしておくと、Xステージ113Aが絶えず一方方向に付勢された状態になるので、被移動ステージとなるCCDホルダー112が移動しているときのX方向のがたが吸収される。
【0065】
こうして、バネSP1、およびXステージ113AとYステージ113Bと基体111、Xステージ113AとYステージ113BとCCDホルダー112とを繋ぐ軸受によって、CCDホルダー112の、スライド中のガタが抑制されるようにCCDホルダー112が程よく支持される。
【0066】
また、図2を参照して説明したが、組み立てられた後の構成をより明確にするために、Xステージ駆動機構とYステージ駆動機構についてもその構成を図5を参照して説明する。
【0067】
図5に示すXステージ駆動機構には、上述した様に、X−Z平面に広がってXステージ113Aに対向した第1のマグネットMG1と、その第1のマグネットMG1の、Xステージ113Aから見たときの裏面に固定された第1のヨークY11とからなる第1の接合体YM1と、Xステージ113Aの、上記第1のマグネットMG1に対面した位置に固定され、電流の供給を受けて、第1のマグネットMG1との相互作用によりそのXステージ113AをX方向に駆動する力を発生する第1のコイルが形成された第1のコイル基板1131Aとが備えられており、また、Yステージ駆動機構には、Y−Z平面に広がってYステージ113Bに対向した第2のマグネットMG2と、その第2のマグネットMG2の、上記Yステージ113Bから見たときの裏面に固定された第2のヨークY21とからなる第2の接合体YM2と、Yステージ113Bの、第2のマグネットMG2に対面した位置に固定され、電流の供給を受けて、第2のマグネットMG2との相互作用によりそのYステージ113BをY方向に駆動する力を発生する第2のコイルが形成された第2のコイル基板1131Bとが備えられている。
【0068】
第1のヨークY11は、第1のマグネットMG1よりもX方向に幅広の部材であって、Xステージ駆動機構には第1のヨークY11の、第1のマグネットMG1から見たときの裏面の、その第1のマグネットMG1と対向する位置に固定された、その第1のヨークY11よりもX方向に幅狭の第1のサブヨークYM13が備えられており、第2のヨークY21は、第2のマグネットMG2よりもX方向に幅広の部材であって、Yステージ駆動機構には、第2のヨークY21の、第2のマグネットMG2から見たときの裏面の、その第2のマグネットMG2と対向する位置に固定された、その第2のヨークY21よりもX方向に幅狭の第2のサブヨークY23が備えられている。
【0069】
こうして第1の基板固定部1130Aと第2の基板固定部1130Bとに固定された第1のコイル基板1131Aと第2のコイル基板1131Bが、第1のマグネットMG1と、その第1のマグネットMG1に対向する第2のヨークY12、第2のマグネットMG2とその第2のマグネットMG2に対向する第4のヨークY22との間に要領よく配設され各ステージを駆動するためのボイスコイルモータと各ステージとが基体111に組み込まれる。
【0070】
本実施形態においては、マグネットMG1,MG2を挟んで第1のヨークY11と第3のヨークY12、第2のヨークY21と第4のヨークY22を対向して配設することに加えて、マグネットMG1,MG2に対向して第1のヨークY11、第2のヨークY21の裏面側に第1のサブヨークY13、第2のサブヨークY23を追加することで、コイルを駆動するときの磁束の漏れを最小限に抑えることができるようにしてコイル基板1131A,1131Bに対して効率良く磁力を加えることができるようにしている。
【0071】
このようにしてガイド軸G1,G3,G4,G6および、支持軸G2,G5、さらにX駆動機構、Y駆動機構が基体111に組み込まれてXYステージ110が組立てられる。
【0072】
次に、図5〜図13を参照して、レンズ鏡胴100に組み込まれた後のXYステージ110の構成、およびXYステージ110を構成する各部材の位置関係を説明する。
【0073】
図6には、図5中の符号Pで示す線に沿って切断した断面を示すX断面図、図7には図6に示すX断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、図8には図5中の符号Qで示す線に沿って切断した断面を示すX断面図、図9には図8に示すX断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、図10には図5を右側面から見た右側面図、図11には図5中の符号Rで示す線に沿って切断した切断面を示すY断面図、図12には図11に示すY断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図、および図13には、図5を底面から見た底面図がそれぞれ示されている。
【0074】
図6,図11に示す様に、レンズ鏡胴100の後方にXYステージ110が組み込まれており、最後に被せられる蓋部材114に設けられたバネSP1によってCCDプレート116およびCCDホルダー112がレンズ鏡胴100側に付勢されるようにしてXYステージ110を構成する各部材がレンズ鏡胴100に組み込まれている。
【0075】
図6,図7に示す様に、CCDホルダー112には、CCD112Aが装着されそのCCD112Aにはフレキシブル基板115が半田接続されている。このフレキシブル基板115を剥き出しにしたまま外部へと引き出すと、CCD112AがCCDホルダー112とともに移動しているときにフレキシブル基板115が暴れてキズが付いてしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させている。また、さらに、蓋部材114のバネSP1でそのCCDプレート116をCCDホルダー112側に押してフレキシブル基板115の姿勢を矯正している。
【0076】
上述したように、フレキシブル基板115をCCD112Aの背面側に押さえつけるCCDプレート116は、CCD112Aの背面を覗かせる貫通孔1161を有している。また、フレキシブル基板115も、CCD112Aの背面を覗かせる貫通孔1151を有している。そして、このCCDプレート116は、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させた状態で、CCD112Aの背面側にCCD112Aと非接触に配置され、貫通孔1161,1151から流し込まれた接着剤300で、このCCD112Aと非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されている。このように、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させて空中接着してなる、フレキシブル基板115とCCDプレート116とCCD112Aとの組み合わせが、CCDユニット120である。なお、CCD112Aの背面側にCCDプレート116を固定するCCD固定方法については、図16〜図18を参照して後述する。
【0077】
さらに、フレキシブル基板115には、図2を参照して説明した様に、X方向にコの字状の撓み部115Aが設けられており、そのコの字状の撓み部115Aが蓋部材114と基体111とで構成される空きスペース内に巧みに組み込まれている。上述した様に、その撓み部115Aが設けられている部分にはY方向にスリットSLが設けられているので、CCDホルダー112がスライドしているときにフレキシブル基板115にX方向、Y方向のストレスが加えられるようなことがあってもそれらのストレスがその撓み部115AとスリットSL(図2参照)により緩和される。また、配線スペースを確保するためにわざわざ基体111側の大きさを大きくする必要がなくなって、XYステージ110の小型化を図ることが可能となる。
【0078】
また、図8,図9には、図2を参照して説明した様に、対向ヨーク(第4のヨーク)Y22が基体111の外壁の凹みの内壁にネジで固定され、その後マグネットMG2と第2のヨークY21が接着された第2の接合体YM2が基体111の外壁面に固定された後の状態が示されている。
【0079】
Yステージ113Bには、基体111の外壁外側に回り込んでZ方向およびY方向に広がり第2のコイル基板1131Bが固定された、Z方向の寸法が基体111のZ方向の寸法よりも短い第2の基板固定部1130Bが備えられている。本実施形態では、第2の基板固定部1130Bと第2のコイル基板1131Bとは、互いに非接触に配置され、接着剤301で、互いに非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されることにより、固定されている。尚、第2のコイル基板1131Bは、プリントコイルであってもよく、あるいは、巻線コイルであってもよい。
【0080】
また、Yステージ駆動機構には、基体111の外壁と第2のコイル基板1131Bとの間の、Z方向について第2の基板固定部1130Bとの干渉が免れた位置に配置された第4のヨークY22が備えられている。
【0081】
そのマグネットMG2と上記対向ヨーク(第4のヨーク)Y22との間のギャップに第2のコイル基板1131Bが基体111の外壁を回りこんで挿入されている。なお、基体111にはマグネットMAG2の裏面に第2のヨークY21が接着されて接合体YM2にされてから組み込まれている。
【0082】
図8,図9の第2のコイル基板1131Bに連結されているYステージ113Bが、第2のコイル基板1131Bとともに紙面に向かって表から裏へ、あるいは裏から表に向かって移動するとYステージ113Bが共にY方向にスライドすることになる。
【0083】
詳細な説明は省略するが、図11,図12に示すように、Xステージ113A側の構造も、図8,図9を参照して説明したYステージ113B側の構造と同じである。そして、本実施形態では、第1の基板固定部1130Aと第1のコイル基板1131Aとは、互いに非接触に配置され、接着剤302で、互いに非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されることにより、固定されている。尚、第1のコイル基板1131Aは、プリントコイルであってもよく、あるいは、巻線コイルであってもよい。
【0084】
このように本実施形態においては、Xステージ駆動機構を構成するボイスコイルモータとYステージ駆動機構を構成するボイスコイルモータが非常に狭いスペースに高密度に実装され、従来に比べて小型の駆動機構がXYステージ110に組み込まれることによってXYステージ110の小型化が図られている。
【0085】
ここで本実施形態においては、フレキシブル基板FPCに装備されたホール素子h1,h2でコイル基板1131A,1131Bつまり各ステージの位置を精度良く検出することができるようにするためにホール素子h1,h2の出力調整(直線性を得る)を簡単に行なうことができる構成を採用しているのでその構造を説明する。
【0086】
図10には、図5の右側面図が示されている。図5の右側にはYステージ113Bを駆動するYステージ駆動機構が備えられているので、図10にはそのYステージ駆動機構が備える第1のヨークY21およびその裏面に貼着された追加ヨークY23が示されている。この第1のヨークY21は、上述した様に、内部のマグネットMG2に接着固定されている。Xステージ駆動機構側も同じ構成であるので、図10のYステージ駆動機構側の構造の方を説明する。
【0087】
この図10にはフレキシブル基板FPCの第2の撓み部FPC4が基体111とレンズ鏡鏡100とで形成される僅かなスペースに要領よく組み込まれていることが示されている。
【0088】
上述した様に、このフレキシブル基板FPCを通して通電されるコイル基板を磁場中で運動させるためのYステージ駆動機構が基体111には組み込まれており、図10にはそのYステージ駆動機構が備える第2のヨークY21と第2のサブヨークY23とが示されている。上述した様に、この第2のヨークY21にはマグネットMG2(図5参照)が接着固定され第2の接合体YM2が構成されている。
【0089】
図10に示す基体111には第2の接合体YM2の、Y方向に延びる一辺に接してその第2の接合体のY方向への位置調整時のガイドとなるガイド部111Gが備えられており、さらに、蓋部材114には基体111のガイド部111Gとの間に第2の接合体YM2を挟みそのガイド部111Gと協同してその第2の接合体YM2のY方向への位置調整時のガイドとして作用するガイド片114Cが備えられている。この蓋部材114には、さらに第2の接合体の、Yステージ113Bから見たときの背面に接して第2の接合体の背面をガイドする第1の背面ガイド部114Dも備えられている。
【0090】
ここで、図番が前後するが、その感度調整を行なう部分の構成を説明する。
【0091】
図14は、マグネットMG1,MG2の構成と、接合体YM1,YM2とホール素子h1,h2と、第1、第3、第2、第4のヨークY11,Y12,Y21,Y22と第1、第2のサブヨークY13,Y23との間の位置関係を示す図である。
【0092】
図14(a)には、図8,図9で説明したコイル基板1131A,1131Bと各ヨークY11〜Y13,Y21〜Y23の位置関係およびホール素子h1,h2の位置が示されており、図14(b)には、第1のヨークY11又は第2のヨークY21と、第3のヨークY12又は第4のヨークY22と、第1のコイル基板1131A又は第2のコイル基板1131Bの位置関係が示されている。また、図14(c),図14(d)には、マグネットMG1又はMG2の配列が示されている。
【0093】
また、図15は、接合体を図10に示すガイド111G等に沿って動かしているとき(図中の矢印の方向)のホール素子h1又はh2の出力の変化を説明する図である。
【0094】
第1の接合体YM1又は第2の接合体YM2には、基体111側のネジ穴と連通する、締結部を構成する長穴HL1が設けられている。この長穴HL1に偏芯ピンP1を挿入してガイド111G(図10参照)に沿って接合体YM1又はYM2をX方向又はY方向に移動させることにより位置調整が行なわれる。また、位置調整が行なわれた後にあっては、偏芯ピンが取り除かれて締結部にネジが挿入されて第1、第2の接合体が基体111に固定されるようにもなっている。
【0095】
また、図14(a)に示す様に、Xステージ駆動機構やYステージ駆動機構には、第1のマグネットMG1や第2のマグネットMG2よりもX方向やY方向に幅広の部材であって、第1の接合体YM1や第2の接合体YM2が、第1のヨークY11や第2のヨークY21の、第1のマグネットMG1や第2のマグネットMG2から見たときの裏面の、その第1のマグネットMG1やその第2のマグネットMG2と対向する位置に固定された、その第1のヨークY11、その第2のヨークY21よりもX方向やY方向に幅狭の第1のサブヨークY13や第2のサブヨークY23が備えられている。これらのサブヨークY13,Y23はマグネットMG1,MG2の極の変化する範囲(図14(c)参照)をカバーすることができるところに設けられている。ここでは、第1のヨークと第2のヨークを厚くするとヨークが大型化してしまうので、薄くして、必要なところだけに第1のサブヨークY13、第2のサブヨークY13を設けることで、狭いスペースへの組み込みを可能にするとともに、それらのサブヨークでマグネットMG1,MG2とヨークY11〜Y13,Y21〜Y23とで形成される磁気回路中の磁束の漏れを低減させ、より効率的にコイルに対して磁力を加えることができるようにしている。
【0096】
また、本実施形態のボイスコイルモータのマグネットには図14(c),(d)に示す様に、2極(S,N)の磁石が交互に並べて設けられており、各ステージが各ステージのストロークの範囲の中心に位置した時に、ホール素子h1,h2がその2極の磁石のN極とS極との境界に対向した位置(図中の符号B1で示した方)にくるように各接合体の位置が調整される。なお、コイル基板1131A,1131Bは、ホール素子h1,h2がマグネットの境界(B1)を中心にして上側のS極と下側のN極と対向する範囲内しか移動しない。
【0097】
図15には、調整時に接合体が動かされているときのホール素子h1,h2の出力の変化が示されている。
【0098】
例えばホール素子h1,h2の出力を電気的にモニターしておいて、接合体YM1,YM2をいずれか一方の方向に移動させホール素子h1,h2の最大出力を検出していって最大出力を検出したら今度は反対方向に移動させていってホール素子h1,h2の最小出力を検出する。双方の出力が得られたら、その出力値を2で割ってその値が得られる位置に接合体を移動させるとちょうどマグネットMG1,MG2のN極とS極との境界に対向した位置(図14の符号B1で示す方の境界)にホール素子h1,h2が位置するように調整が行なわれることになる。
【0099】
このような調整が行なわれると、実際にコイル基板が最大ストローク動いたとしてもホール素子h1,h2の出力が飽和することなく、位置の変化に応じてホール素子h1,h2の出力がリニア(直線性)に得られるので、位置の検出精度が非常に高くなる。
【0100】
こうして今までの駆動力を保ったままのボイスコイルモータがいままでよりも狭いスペースに高密度に実装される。
【0101】
ここで話を元に戻して図11〜図13を参照してXYステージ110の構成を説明する。
【0102】
図11には図5中の符号Rで示す線に沿って切断し切断した面を見たY断面図が示され、図12には図11に示すY断面図の一部分を拡大した部分拡大断面図が示されている。図13には、図5の底面図が示されている。
【0103】
図11は、図6と同様の図であるが、図11には、図6とは見る方向が異なるのでズームモータZMの配置が示されている。また、図13には、図10と同様の図であってXステージ駆動機構の構成が示されている。図10と同様にフレキシブル基板FPCの第1の撓み部FPC3が狭いスペース内に要領よく実装されていることが分かる。
【0104】
このようにレンズ鏡胴100にXYステージ110が組み込まれて図1の撮影装置1が構成される。
【0105】
ところで、従来においては4本のガイド軸G1,G3,G4,G6のアライメント調整を個別に行なう必要があったために組立が難しいという問題を抱えていた。そこで、本実施形態においては、上述した様に、Xステージ113A、Yステージ113B、CCDホルダー112をすべて3点で支持することによって、アライメント調整を不要にして組立の簡素化を図っている。
【0106】
再び図5を参照して、本実施形態のXYステージ110が如何に組み立てやすいものであるかということを説明する。
【0107】
また、図5に示す様に中心軸を取り巻くようにXステージ113A、Yステージ113Bが配設されている。これらのステージ113A,113Bは、基体111に設けられているU字形状の溝に各ガイド軸G1,G3,G4,G6が嵌入されることにより基体111に支持される。基体111の加工においては直角度および平行度の精度を出すことは容易であるので、直角度および平行度を持つU溝を基体111に予め設けてそのU字状の溝にガイド軸G1,G3,G4,G6および支持軸G2,G5を嵌め入れることにより、各軸の直角度、平行度を容易く得ることができるようにしておく。こうしておくと、従来例のように各軸の調整を個別に行なう必要がなくなる。
【0108】
こうしてそれらの溝に、Xステージ113Aが備える2つの軸受A1,A2を貫通するようにして挿通された第1のガイド軸G1の両端部が嵌め入れられ、さらに第1のガイド軸G1に対してX方向に突出した第1の支持軸G2も嵌め入れられる。こうして軸受A1,A2および支持軸G2の3点でXステージ113Aが基体111に支持されると、Xステージ113Aは高い平面度で基体111に支持されることになる。
【0109】
また、Yステージ113Bは、同様にYステージ113Bが備える2つの軸受A3,A4を貫通するようにして挿通された第4のガイド軸G4の両端部が嵌め入れられ、さらに第4のガイド軸G4に対してY方向に突出した第2の支持軸G5も嵌め入れられる。こうして2つの軸受A3,A4と支持軸G5の3点でYステージ113Bが基体111に支持されると、Yステージ113Bは高い平面度で基体111に支持されることになる。
【0110】
こうしてXステージ113AとYステージ113Bの平面が高い精度で保たれたら、これらのステージで被移動ステージを支持することにより被移動ステージであるCCDホルダー112にも高い平面度を得ることができるようになる。
【0111】
さらに図5の例では、Yステージ113BにX方向に延びYステージ113Bに固定的に支持された第2のガイド軸G3が備えられているので、被移動ステージであるCCDホルダー112に、Y方向に拘束されX方向にスライド自在に上記第2のガイド軸G3に支持される2つの軸受B1,B2が設けられるとともに、X方向およびY方向の双方に非拘束に第1のガイド軸G1に支持される1つの軸受B3が設けられ、第2のガイド軸G3に支持される2つの軸受B1,B2と第1のガイド軸G1に支持される1つの軸受B3との合計3点で支持されることにより、基体111に対する姿勢が規定される。図中に示されているように、軸受B1,B2にはZ方向とY方向とに角を持つ軸受が構成されており、軸受B3には、U字形状の軸受が設けられている。さらに蓋部材114によって設けられているバネSP1によって紙面裏側にCCDプレート116を含むCCDホルダー112等が付勢されるので、双方の軸受ともに被移動部材のZ方向の姿勢を規定する作用を担うことになる。このため、より高い平面が得られるようになる。
【0112】
こうして、高い平面度が得られているYステージ113B側の2点と、同じく高い平面度が得られているXステージ113A側の1点とのCCDホルダー112を挟んだ、対向する3点でCCDホルダー112が支持されると、CCDホルダー112に高精度の平面度が得られる。
【0113】
また、上記構造によりXステージ113A、Yステージ113B並びにCCDホルダー112に基体111に対して同程度の平面度が得られたとしても、軸受部のがたが大きくなると、被移動ステージであるCCDホルダー112、又はXステージ113A、Yステージ113Bがいずれかの方向にスライドしている最中にがたついてXステージ113AとYステージ113Bの動きが鈍くなるとともにCCDホルダー112の動きが鈍くなる恐れがある。
【0114】
そこで、本実施形態においては、上述した様に、Xステージ113A、Yステージ113Bのスライド中のがたつきをとることができるように、蓋部材114と蓋部材114に設けたバネSP1と軸受の形状を用いて被移動ステージであるCCDホルダー112等のスライド中のがたつきをできる限り小さくすることができるように工夫している。
【0115】
上述した様に、基体111には第1のガイド軸G1の両端を固定的に支持する、蓋部材114に向かって開口したU溝形状の2つの第1の支持部BE1,BE2と、第4のガイド軸G4の両端を固定的に支持する、蓋部材114に向かって開口したU溝形状の2つの第2の支持部BE3,BE4と、第1の支持軸G2をX方向にスライド自在に支持する、蓋部材114に向かって開口したU溝形状の第3の支持部BE5と、第2の支持軸G5をY方向にスライド自在に支持する、蓋部材114に向かって開口したU溝形状の第4の支持部BE6とが設けられている。
【0116】
また、蓋部材114には、それらに対応して、第1のガイド軸G1の、2つの第1の支持部BE1,BE2それぞれに支持された各部分を押さえる2つの第1の押え部と、第4のガイド軸G4の、2つの第2の支持部BE3,BE4それぞれに支持された各部分を押さえる2つの第2の押え部と、第3の支持部BE5の、当該蓋部材114に向かう開口を塞ぎその第3の支持部BE5と共同して前記第1の支持軸G2が貫通する第1の支持孔114Bを形成する第1の塞ぎ片と、第4の支持部BE6の、当該蓋部材114に向かう開口を塞ぎその第4の支持部BE6と共同して第2の支持軸G5が貫通する第2の支持孔114Bを形成する第2の塞ぎ片とが設けられている。
【0117】
図5の紙面表側つまりZ方向へXステージ113A、Yステージ113Bおよび被移動ステージであるCCDホルダー112を覆うようにして蓋部材114が装着されて蓋部材114と基体111とが協同して軸受が構成される。
【0118】
図5には、そのことを示すために各支持部BE1〜BE6の構造が抜粋して示されている。
【0119】
第1の押さえ部と第2の押さえ部の構造は同じなので、図5には、第4のガイド軸G4の、2つの第2の支持部BE3,BE4のうちの一方が示されている。図5の拡大図に示す様に、U溝のところにガイド軸G4が嵌め入れられ、蓋部材114の、端部の段差で構成される押さえ部114Aによってガイド軸G4が弾力的に押さえ込まれる。こうして第1の支持部と第2の支持部によって第1のガイド軸G1と第4のガイド軸G4が支持されると、第1のガイド軸G1と第4のガイド軸G4が基体111に対して固定的に支持される。
【0120】
さらに第3の支持部BE5と第1の塞ぎ片の構造と第4の支持部BE6と第2の塞ぎ片の構造は同じなので、第3の支持部BE5と第1の塞ぎ片が示されている。図5中の拡大図に示す様に、蓋部材114の塞ぎ片によってU溝が塞がれることにより支持孔114Bが形成され、その支持孔114Bを貫通するようにして第1の支持軸G2、第2の支持軸G5がスライド自在に支持されると、Xステージ113A、Yステージ113Bそれぞれがスムーズにスライドするように基体111に支持される。
【0121】
また、各ステージ113A,113Bと被移動ステージであるCCDホルダー112との連結部にも工夫が凝らされている。この例ではXステージ113AとYステージ113Bの動きに応じてCCDホルダー112が敏感に反応して動くように、CCDホルダー112を3点で支持するとともに、3点の軸受部B1,B2,B3の形状に工夫が凝らされている。
【0122】
上述した様に、CCDホルダー112には、X方向に延びYステージ113Bに固定的に支持された第2のガイド軸G3に、Y方向に拘束されX方向にスライド自在に支持された2つの軸受B1,B2と、第1のガイド軸G1に、X方向およびY方向の双方に非拘束に支持された1つの軸受B3との3点で支持されることによりCCDホルダー112の基体111に対する姿勢が規定されている。
【0123】
そこで、蓋部材114に設けられたバネSP1によりCCDホルダー112が紙面裏側に向かって付勢されていることを利用して、そのCCDホルダー112の、第1のガイド軸G1に支持された軸受B3をY方向に開口してその第1のガイド軸G1を挟むU溝形状の軸受にしてU字の一方の側にガイド軸を片寄らせる様にしてCCDホルダー112のZ方向の姿勢を定めるように支持させている。また、CCDホルダー112の、第2のガイド軸G3に支持された2つの軸受B1,B2それぞれに、Z方向とY方向とに角を有し第2のガイド軸G3が貫通した矩形の貫通孔を設けて矩形の貫通孔の一方の側に寄らせるようにしてCCDホルダー112が移動している最中のY方向のがたつきを吸収させるようにしてCCDホルダー112を支持させている。
【0124】
また、CCDホルダー112の、第3のガイド軸G6に支持された軸受部B4を、Z方向に開口して第3のガイド軸G6を挟むU溝形状の軸受にして、そのU溝内に第3のガイド軸G6を常に位置させるようにしてZ方向に非拘束にするとともにX方向への動きを拘束するようにしてCCDホルダー112を支持させてもいる。
【0125】
上述のように、CCDホルダー112はバネSP2によってX方向に付勢されている。このため、第3のガイド軸G6が軸受部B4のU溝の一方の側に片寄せされている。これによってCCDホルダー112が移動しているときのX方向のがたが吸収される。
【0126】
この軸受部B4は、CCDホルダー112を第1のガイド軸G1と第3のガイド軸G3に沿ってX方向にスライドさせているときの、双方のガイド軸G1,G3からCCDホルダー112に加えられるモーメントがちょうど打ち消される位置に設けられているので、CCDホルダー112がX方向に円滑に動く。
【0127】
こうして、X方向、Y方向のがたを吸収すると共に被移動ステージであるCCDホルダー112のZ方向の姿勢をスライド中であっても常に保つことができるようにすることによって、CCDホルダー112の円滑かつ俊敏な反応が約束されるXYステージ110が構成される。
【0128】
以上説明した様に、本実施形態のCCDユニット120は、CCD112AとCCDプレート116が互いに非接触の状態で接着(いわゆる空中接着)されてなるものであるため、CCD112AやCCDプレート116の部品誤差の影響を受けることなく、CCD112AがCCDプレート116に対して位置決めされる。
【0129】
また、本実施形態のCCDユニット120が備えられた、本実施形態の撮影装置1は、CCD112AやCCDプレート116の部品誤差の影響を受けることなく、CCD112AがCCDプレート116に対して位置決めされるため、CCD112AやCCDプレート116の部品誤差に起因してCCD112Aの撮像面が光軸に対して垂直に交わらずに傾斜してしまう“撮像面のあおり”が発生することが回避され、良好な光軸位置精度が得られる。
【0130】
以上で、本発明の固体撮像ユニットの一実施形態であるCCDユニット120を備えた撮影装置1の説明を終了する。
【0131】
次に、図16〜図18を参照して、本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態である、CCD112Aの背面側にCCDプレート116を固定するCCD固定方法を説明する。
【0132】
図16〜図18は、本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態であるCCD固定方法を説明する模式図である。
【0133】
図16に示すように、フレキシブル基板115が半田接続されたCCD112Aを位置決め台210で支持するとともに、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させた状態で、CCD112Aの背面側にCCD112Aとは非接触にCCDプレート116を位置決め台210と第1の位置決め具220で挟み込んで支持する。尚、CCDプレート116は、CCD112Aの背面を覗かせる貫通孔1161を有する。
【0134】
次に、CCD112Aの隣接する2つの側面の双方を第2の位置決め具230に当接させるように付勢するとともに、CCD112Aを位置決め台210に設けられた孔211から下方に向けて吸引することによって、CCD112Aを位置決めする。すなわち、本実施形態では、第1の位置決め具220および第2の位置決め具230それぞれによって、CCD112AとCCDプレート116とが独立に位置決めされる。
【0135】
その後、図17に示すように、CCD112AとCCDプレート116が互いに非接触の状態のまま、貫通孔1161から接着剤300を流し込む。そして、図18に示すように、フレキシブル基板115をCCD112AとCCDプレート116との間に配置させた、CCD112AとCCDプレート116が互いに非接触の状態のまま、貫通孔1161から流し込まれた接着剤300で接着(いわゆる空中接着)される。なお、図18に模式的に示した、CCD112Aとフレキシブル基板115とCCDプレート116とから構成されたものは、図7に示すCCDユニット120に相当するものである。
【0136】
以上説明した様に、本実施形態のCCD固定方法は、CCD112AやCCDプレート116の部品誤差の影響を受けることなく、位置決め台210や第1の位置決め具220や第2の位置決め具230によって、CCD112AがCCDプレート116に対して位置決めされる。
【0137】
また、本実施形態のCCD固定方法は、貫通孔1161から接着剤300を流し込んで空中接着する方法であるため、例えば図19,図20に示したような、従来の固定方法において発生するおそれのあったCCD112AやCCDプレート116がずれてしまうといったような作業工程における不具合の発生する確率が低く、CCD112AをCCDプレート116に対して確実に位置決めすることができる。
【0138】
以上で、本発明の固体撮像素子固定方法の一実施形態であるCCD固定方法の説明を終了する。
【0139】
尚、上述した実施形態では、本発明にいう固体撮像素子が、CCDである例を挙げて説明したが、本発明にいう固体撮像素子は、これらに限られるものではなく、例えば、CMOSイメージセンサなどであってもよい。
【0140】
また、上述した実施形態では、本発明の固体撮像ユニットが、固体撮像素子(CCD)と、フレキシブル基板と、支持部材(CCDプレート)とから構成されている例を挙げて説明したが、本発明の固体撮像ユニットは、これらに限られるものではなく、少なくとも固体撮像素子と支持部材とから構成されていればよい。
【符号の説明】
【0141】
1 撮影装置
190 カメラ本体
100 レンズ鏡胴
110 XYステージ
120 CCDユニット
111 基体
112 CCDホルダー
112A CCD
113A Xステージ
1130A 第1の基板固定部
1131A 第1のコイル基板
113B Yステージ
1130B 第2の基板固定部
1131B 第2のコイル基板
114 蓋部材
115 フレキシブル基板
116 CCDプレート
1161,1151 貫通孔
YM1 第1の接合体
MG1 第1のマグネット
Y11 第1のヨーク
YM2 第2の接合体
MG2 第2のマグネット
Y21 第2のヨーク
Y12 第3のヨーク
Y22 第4のヨーク
Y13 第1のサブヨーク
Y23 第2のサブヨーク
G1 第1のガイド軸
G2 第1の支持軸
G3 第2のガイド軸
G4 第4のガイド軸
G5 第2の支持軸
G6 第3のガイド軸
h1,h2 ホール素子
210 位置決め台
211 孔
220 第1の位置決め具
230 第2の位置決め具
300,301,302 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の背面側に該固体撮像素子と非接触に配置された支持部材とを備え、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態で接着されてなることを特徴とする固体撮像ユニット。
【請求項2】
前記支持部材が、前記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態で、前記貫通孔から流し込まれた接着剤で接着されてなることを特徴とする請求項1記載の固体撮像ユニット。
【請求項3】
撮影光学系を有し、該撮影光学系を経由して入射した被写体光を捉えることにより撮影を行う撮影装置において、
前記被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の背面側に該固体撮像素子と非接触に配置された支持部材とを備え、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態で接着されてなることを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
前記支持部材が、前記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態で、前記貫通孔から流し込まれた接着剤で接着されてなることを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項5】
被写体光を受けて被写体像を表す画像信号を生成する固体撮像素子を支持するとともに、該固体撮像素子の背面側に該固体撮像素子とは非接触に支持部材を支持し、
前記固体撮像素子を位置決めし、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態のまま接着することを特徴とする固体撮像素子固定方法。
【請求項6】
前記支持部材が、前記固体撮像素子の背面を覗かせる貫通孔を有し、
前記固体撮像素子と前記支持部材が互いに非接触の状態のまま、前記貫通孔から接着剤を流し込んで接着することを特徴とする請求項5記載の固体撮像素子固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−278667(P2010−278667A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128110(P2009−128110)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】