説明

固体撮像装置及びカメラユニット

【課題】発光素子を含む発光部の駆動時に発生する熱が、発光部から他の領域へ熱伝導することを抑制することが可能な固体撮像装置を提供する。
【解決手段】本固体撮像装置は、プリント配線基板12と、プリント配線基板12に配設された固体撮像素子101と、プリント配線基板12に、固体撮像素子101の周囲に配設された発光素子111を含む発光部102と、固体撮像素子101と発光部102との間に形成された穴部103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置及びカメラユニットに関する。特に、監視カメラ、医療用カメラ、車載用カメラ、情報通信端末用カメラなどの固体撮像素子を用いて形成される小型の固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、車載部品等で小型カメラの需要が急速に進展している。この種の小型カメラには、固体撮像素子によりレンズなどの光学系を介して入力される画像を電気信号として出力する固体撮像装置が使用されている。そして、この固体撮像装置の小型化、高性能化に伴い、カメラがより小型化し各方面での使用が増え、映像入力装置としての市場を広げている。従来の半導体撮像素子を用いた撮像装置は、レンズ、半導体撮像素子、その駆動回路および信号処理回路などを搭載したLSI等の部品を夫々筐体あるいは構造体に形成してこれらを組み合わせている。
また、カメラの小型化の要求とあわせて、被写体の視認性の向上の要求も高まってきている。
【0003】
このような従来の撮像装置として、対象物を照明し、対象物の反射光から、対象物を撮像する撮像装置に関し、装置の小型化とコストダウンを図った装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。この撮像装置では、撮像素子を搭載した回路基板の撮像素子の周囲に複数の発光素子が配置され、被写体を照明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−249615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される撮像装置では、回路基板自体の熱伝導率や、電気信号用の電気配線パターンの熱伝導率が高いことにより、回路基板の内部を熱が過剰に伝導される。そのため、撮像装置における発光素子の駆動発熱が回路基板を通じて固体撮像素子に伝わる。そのため、固体撮像素子の電気接続部や透光性部材の接着部にも不要な温度上昇が発生し、固体撮像素子の電気的な不具合や透光性部材の剥離が起こり、撮像装置としての不良が発生することがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、発光素子を含む発光部の駆動時に発生する熱が、発光部から他の領域へ熱伝導することを抑制することが可能な固体撮像装置及びカメラユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の固体撮像装置は、回路基板と、前記回路基板に配設された固体撮像素子と、前記回路基板に、前記固体撮像素子の周囲に配設された発光素子を含む発光部と、前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された熱抵抗部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、発光部駆動時に、不要な熱が他の領域へ伝導することを抑制できるので、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性を向上させることができる。また、熱による回路基板での反りの発生も防止することができる。
【0009】
また、本発明の固体撮像装置は、前記熱抵抗部が、前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された貫通穴である。
【0010】
この構成によれば、回路基板上に空気断熱部が構成されるので、回路基板上の熱伝導を大きく抑制することができる。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0011】
また、本発明の固体撮像装置は、前記熱抵抗部が、前記固体撮像素子と前記発光部との間で、前記回路基板の導電配線パターンに形成された括れ部である。
【0012】
この構成によれば、固体撮像素子と発光部との間で熱伝導率の高い導電配線パターンの断面積が小さい部分を設けることで、熱伝導率を低下させることができる。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0013】
また、本発明の固体撮像装置は、前記熱抵抗部が、前記固体撮像素子と前記発光部との間で、前記回路基板のグランド部の少なくとも一部が切除されている。
【0014】
この構成によれば、熱伝導率の高い銅板や銅箔のパターンの一部が切除されることで、熱伝導率が低下する。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0015】
また、本発明の固体撮像装置は、前記発光部が、前記発光素子と抵抗素子とを含む。
【0016】
この構成によれば、発熱量の多い発光素子及び抵抗素子の間に熱抵抗部が形成されるので、熱伝導率が低下する。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0017】
また、本発明の固体撮像装置は、前記発光素子が、前記固体撮像素子と前記抵抗素子との間に配設されている。
【0018】
この構成によれば、特に発熱量の多い抵抗素子と発光素子との距離が長くなり、抵抗素子から固体撮像素子への熱伝導量が減少する。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0019】
また、本発明の固体撮像装置は、前記発光部が、前記発光素子と前記抵抗素子との間に配設された第2の熱抵抗部を備える。
【0020】
この構成によれば、回路基板上にさらに空気断熱部が構成されるので、回路基板上の熱伝導を大きく抑制することができる。したがって、固体撮像装置の誤動作を防止することができ、信頼性の向上させることができる。
【0021】
また、本発明のカメラユニットは、回路基板と、前記回路基板に配設された固体撮像素子と、前記回路基板に、前記固体撮像素子の周囲に配設された発光素子を含む発光部と、前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された熱抵抗部と、前記発光部が配設された前記回路基板の面とは反対側に、前記発光部に対応して配置される放熱シートと、前記回路基板が固定される放熱板と、を備える。
【0022】
この構成によれば、発光素子を含む発光部の駆動時において発生する熱を、熱抵抗部、放熱シート、放熱板により放熱するので、発光部から他の領域へ熱伝導することを大きく抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発光素子を含む発光部の駆動時において発生する熱が、発光部から他の領域へ熱伝導することを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態の車載カメラの一例の分解斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態の車載カメラの一例の背面図
【図3】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板に各電子部品が配設された状態の一例を示す斜視図
【図4】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板に各電子部品が配設された状態の一例を示す斜視図
【図5】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板に各電子部品が配設された状態の一例を示す斜視図
【図6】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板の表面温度測定シミュレーション結果の一例を示す図(貫通穴を有しない場合)
【図7】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板の表面温度測定シミュレーション結果の一例を示す図(貫通穴を1つ有する場合)
【図8】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板の表面温度測定シミュレーション結果の一例を示す図(貫通穴を2つ有する場合)
【図9】本発明の第1の実施形態のプリント配線基板の表面温度測定シミュレーション結果の一例を示す図(貫通穴を4つ有する場合)
【図10】本発明の第1の実施形態の撮像モジュールが組み合わされた状態の一例を示す斜視図
【図11】図10に示した撮像モジュールのA−A’断面図
【図12】本発明の第2の実施形態のプリント配線基板に各電子部品が配設された状態の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における車載カメラの分解斜視図である。図1に示した車載カメラ100は、固体撮像素子と、発光素子を含む発光部と、を有するカメラユニットの一例である。車載カメラは、例えば、車内のステアリングコラムの上などに搭載され、ドライバモニタの役割を果たし、車両の運転者を撮像することで運転者による脇見、居眠り運転の検知を行うように取り付けられている。なお、ここではカメラユニットとして車載カメラを例示しているが、他には監視カメラ、医療カメラ、情報通信端末用カメラなど、様々なカメラユニットが考えられる。
【0027】
車載カメラ100は、固体撮像装置としての撮像モジュール10と、撮像モジュール10を収容する第1ケース部20及び第2ケース部30と、第2ケース部30を固定するベース部40とを有している。
【0028】
撮像モジュール10は、レンズユニット11、固体撮像素子101などの各種電子部材が搭載される回路基板としてのプリント配線基板12、プリント配線基板12の中央周辺に配置されレンズユニット11を支持するレンズブラケット13、を有している。固体撮像素子101は、プリント配線基板12に半田付け等により配設される。金属性のレンズブラケット13には、レンズユニット11がフォーカスロックナット14を介して固定される。レンズブラケット13は、プリント配線基板12にネジ15で固定される。また、固体撮像素子101を覆うように防塵ゴム16が備えられ、防塵ゴム16は、プリント配線基板12とレンズブラケット13との間に収容される。また、コネクタ17は、プリント配線基板12に配置され、後述するケーブル50が接続され、固体撮像素子101からの信号を伝送する。
【0029】
第1ケース部20は、撮像モジュール10を収容するように形成され、レンズユニット11、プリント配線基板12、及びプリント配線基板12に搭載された各種電子部品を保護する。第1ケース部20は、撮像モジュール10が取り付けられたときの密閉性を向上させるシーリングパッキン21、撮像モジュール10を収容する本体としての第1ケース22、第1ケース22においてシーリングパッキン21とは反対側に取り付けられるパネル23を有する。第1ケース部20へ撮像モジュール10が取り付けられるときには、パネル23、第1ケース22、シーリングパッキン21、プリント配線基板12の順に、ネジ24によって固定される。
【0030】
第2ケース部30は、第1ケース部20と係合して撮像モジュール10のレンズユニット11、及びプリント配線基板12を包み込んで保護するためのものである。第2ケース部30は、撮像モジュール10を収容する本体としての第2ケース31、プリント配線基板12にあるコネクタ17を保護するコネクタカバー33、プリント配線基板12からの熱を放熱する放熱シートとしてのクールシート34を有する。プリント配線基板12は、ネジ35によって第2ケース31に固定される。また、コネクタカバー33は、ネジ36によって第2ケース31に固定される。したがって、撮像モジュール10は、第1ケース20と第2ケース部30とによって包み込まれた状態となる。また、図1に示した車載カメラ100が組み合わされると、クールシート34は、発光部102が配設されたプリント配線基板12の面とは反対側に、発光部102に対応して配置されることになる。このような配置位置により、発光部102が発生する熱が伝導される前に効率良く放熱することが可能となる。なお、第2ケース31の凸凹形状は、放熱フィンとしての機能を有する。
【0031】
ベース部40は、例えば、車内のステアリングコラムの上などに取り付けるような平板状の構造を備え、第2ケース部30を固定するようになっている。ベース部40では、カメラブラケット41が、ネジ42を用いて第2ケース31に固定される。これにより、カメラブラケット41とプリント配線基板12とが所定の位置関係となるように固定される。また、カメラブラケット41は、第1ケース部20のプリント配線基板12にあるコネクタ17に接続されるケーブル50を案内する案内部43(ここでは凹部)を有している。ケーブル50は、映像信号などの各種信号の伝送や電源供給を行うためのものである。また、カメラブラケット41は、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い部材で構成される。さらに、カメラブラケット41は、プリント配線基板12の長手方向の長さよりも長く延びていることが望ましい。このようなカメラブラケット41により、発光部102で発生した熱を受け取り、放熱することで、車載カメラ100の各電子部品に熱が伝導されることを抑制することができる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態における車載カメラの背面図である。
図2に示すように、第2ケース部30がベース部40に取り付けられている。プリント配線基板12にあるコネクタ17は、ケーブル50に接続されており、ケーブル50の一部とともにコネクタカバー33で覆われて保護されている。また、ケーブル50は、コネクタ17側とは反対側に、さらにコネクタ51を有している。このコネクタ51は、車載カメラ100が搭載される車両と接続される。
【0033】
次に、撮像モジュール10について詳細に説明する。
図3は、プリント配線基板12に各電子部品が配設された状態の一例を示す斜視図である。
【0034】
図3に示したプリント配線基板12には、CCDイメージセンサなどの固体撮像素子101と、被写体を照明する発光部102と、発光部102からの熱を放熱する熱抵抗部としての穴部103と、が配設される。
【0035】
プリント配線基板12は、複数の基板が積層された積層配線基板である。本実施形態のプリント配線基板12では、6〜8層程度の基板が積層されており、表層には各種配線パターンが形成され、中層にはグランド部が形成される。グランド部としては、例えば銅箔を用いてグランドパターンが形成されたり、ベタグランドとしての銅板が挿入されたりする。
【0036】
発光部102は、固体撮像素子101の周囲に配設され、発光素子111と抵抗素子112とを有する。発光素子111は、例えばLEDであり、例えば樹脂封止されたものが配置される。抵抗素子112は、発光素子111へ流れる電流を制御するために配設される。発光部102は、消費電力が大きいために発熱量が大きく、車載カメラ100全体の発熱量の半分程度を占める。したがって、車載カメラ100の消費電力は従来の発光部を有しない車載カメラよりも大きくなる。また、発光部102で発生した熱は、プリント配線基板12上を伝導される。なお、図2では、発光部102が固体撮像素子101の両側端部に各1つずつ設けられているが、配置位置及び数はこれに限られない。
【0037】
穴部103は、プリント配線基板12を貫通する貫通穴を有しており、固体撮像素子101と発光部102との間に設けられる。貫通穴は、積層された全基板を貫通する穴である。この貫通穴がプリント配線基板12の空気断熱部として役割を果たすので、発光部102が駆動するときに放出される熱が、固体撮像素子101へと伝導されて固体撮像素子101の性能を劣化させることを防止することができる。また、プリント配線基板12が長手の基板である場合には、熱が伝導されることによるプリント配線基板12の反りを防止することができる。なお、図3では、貫通穴が固体撮像素子101の両側に各4つずつ設けられているが、数はこれに限られず、例えば各1つであっても、各2つであってもよい。また、4つの貫通穴が直線状に並んで配置されなくてもよい。
【0038】
図3では、複数の貫通穴の配列方向(Y方向)と、発光素子111及び抵抗素子112の配列方向(Y方向)と、が同一方向であるが、図4のような配置関係でもよい。図4では、プリント配線基板12の端部側から、抵抗素子112、発光素子111、穴部103、固体撮像素子101の順に配置されている。つまり、複数の貫通穴の配列方向(Y方向)と、発光素子111及び抵抗素子112の配列方向(X方向)とが垂直方向となっている。
【0039】
図3のように配列した場合には、プリント配線基板12を小型化することができるので、車載カメラ100の小型化が可能である。一方、図4のように配列した場合には、特に発光部102駆動時の発熱量が大きい抵抗素子112と固体撮像素子101との距離が大きくなるので、抵抗素子112から固体撮像素子101への熱伝導がより一層抑制され、固体撮像素子101の誤動作を防止することができる。
【0040】
さらに、図5に示すように、プリント配線基板12上の発光部102において、発光素子111と抵抗素子112との間に、第2の熱抵抗部としての穴部104を設けてもよい。これにより、プリント配線基板112上の熱伝導がさらに抑制される。
【0041】
次に、図6〜9を参照しながら、プリント配線基板12の表示温度についてのシミュレーション結果について説明する。
【0042】
図6〜図9は、各電子部品が配設されたプリント配線基板12の表面温度測定時のシミュレーション結果の一例である。このシミュレーションでは、車載カメラ100の動作時の発熱レベルを数値化している。図6〜図9ではいずれも、プリント配線基板12の中央に固体撮像素子が配設され、端部に向けて穴部、発光部の順に配設されている。図6は穴部103を有しない場合である。図7は貫通穴1つからなる穴部103を有する場合である。図8は貫通穴2つからなる穴部103を有する場合である。図9は貫通穴4つからなる穴部103を有する場合である。なお、α>βであり、例えばα=70℃であり、例えばβ=40℃である。
【0043】
図6〜図9のシミュレーション結果を参照すると、プリント配線基板12における貫通穴の面積が大きいほど、プリント配線基板12上の熱伝導が妨げられ、温度が低下していることが理解できる。車載カメラ100駆動時の発熱レベルは、従来の穴部を有しない車載カメラの駆動時の発熱レベルと比較すると、約10%低減される。このように、穴部103を設けて熱伝導を抑制することで、透光性部材としての光学フィルタ123(図10参照)や固体撮像素子101への熱負荷を低減することができる。
【0044】
次に、図10、図11を参照しながら、撮像モジュール10が組み合わされた状態の構成について説明する。図10は、撮像モジュール10が組み合わされた状態の斜視図の一例である。図11は、図10に示した撮像モジュール10のA−A’断面図である。
【0045】
図10、図11に示すように、立体配線基板(MID:Molded Interconnect Devices)121は、例えば樹脂製であり、矩形台状の脚部121aを有する。立体配線基板121の中央部には、脚部121aを貫通する貫通開口部121cが形成されている。また、立体配線基板121において、プリント配線基板12に接続される側と反対側には、図10、図11では不図示であるが、レンズユニット11が配置される。
【0046】
また、立体配線基板121は、脚部121aの裏面側に配線パターン130が形成されている。配線パターン130は、固体撮像素子101をベア実装するための無電解メッキなどにより形成されている。配線パターン130と端子部101aは電気的に接続されている。貫通開口部121cのレンズユニット11側の平面には光学フィルタ123が配置され、貫通開口部121cのレンズユニット11側と反対側の平面には固体撮像素子101が配置されている。貫通開口部121cは、固体撮像素子101の撮像エリアに対応して、例えば長方形に形成される。
【0047】
固体撮像素子101には、光電変換素子101bが配置されている。固体撮像素子101により得られた映像信号および外部からの制御信号の伝送、電源供給は、配線パターン130及びプリント配線基板12の接続用ランド(図示せず)を経由して行われる。
【0048】
透光性部材としての光学フィルタ123は、ガラス基材にIR(InfraRed)カットコートが施されている。IRカットコートには、例えば二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等の透明誘電体膜が蒸着により成膜され、所要の分光特性を与えている。また、ガラス基材には、IR以外に、例えばARコートが施されていても良く、また、コートなしの仕様であってもよい。
【0049】
また、立体配線基板121では、光軸129を中心にして、貫通開口部121cを介してレンズユニット11と対向する段差部121dに光学フィルタ123が配置され、この光学フィルタ123と対向するように固体撮像素子101が配置されている。
【0050】
固体撮像素子101は、表面に形成された端子部101aを介して脚部121aに形成された配線パターン130で構成された端子に接続され、立体配線基板121に固定されている。また、立体配線基板121の配線パターン130で構成された端子は、ソルダーペースト131等を用いて、携帯電話、パソコン、車両に搭載されたECU等の各種機器のメイン基板に電気的に接続される。また、固体撮像素子101と立体配線基板121の隙間には封止樹脂が注入され、硬化される。
【0051】
また、図11に示すように、本実施形態の撮像モジュール10では、光軸に沿って被写体側よりレンズユニット11、光学フィルタ123、立体配線基板121、固体撮像素子101の順に配置されている。
【0052】
なお、撮像モジュール10では、立体配線基板121の代わりに平面配線基板を用いてもよい。平面配線基板は、当該カメラユニットが例えば携帯電話に搭載される場合に用いられる。
【0053】
このような本実施形態のカメラユニットによれば、固体撮像素子101と発光部102との間に穴部103が配設されることで、発光部102の駆動時に発生した熱が他の領域へ伝導されることを抑制することができ、固体撮像素子101の誤動作等を防止することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、穴部を形成したが、これに代えて、配線パターンの一部を熱抵抗の高い材料で構成してもよいし、局所的に膜厚の薄い領域を形成したりすることで熱抵抗部を形成してもよい。
【0055】
(第2の実施形態)
本実施形態では、熱抵抗部として、固体撮像素子101と発光部102との間で、プリント配線基板12の配線パターンに括れ部が形成されている。他部については、第1の実施形態と同様に形成しているため、ここでは説明を省略する。
【0056】
括れ部105では、図12に示すように、他の領域と比較するとプリント配線基板12上の配線パターン106の断面積が小さくなっている。ただし、第1の実施形態の車載カメラ100のように、プリント配線基板12を貫通する穴部103は有していない。図12では、プリント配線基板12上の配線パターン106を部分的に拡大した例を示している。括れ部105を形成する際には、表層の配線パターン106の断面積のみを小さくし、中間層のグランド部を特に変更しなくてもよいし、中間層のグランド部の一部も表層の配線パターン106に合わせて断面積を小さくしてもよい。
【0057】
表層の配線パターン106の断面積を小さくすることで、発光部102から固体撮像素子101への熱伝導を低下させることができる。さらに、中間層のグランド部の断面積も合わせて小さくすると、この熱伝導を一層低下させることができる。したがって、発光部102駆動時における固体撮像素子101の誤動作等を防止することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
本実施形態では、熱抵抗部として、固体撮像素子101と発光部102との間で、プリント配線基板12の中間層のグランド部の少なくとも一部が切除されている。他部については、第1の実施形態と同様に形成しているため、ここでは説明を省略する。
【0059】
グランド部の少なくとも一部が切除された状態でプリント配線基板12を成形した場合、その切除箇所に他部材(例えば表層の一部)が入り込み、非導体層を形成する。この非導体層が存在することにより、熱伝導率を低下させることができる。グランド部が切除される層は、1つであっても複数であってもよい。ただし、第1の実施形態の車載カメラのように、プリント配線基板12を貫通する穴部103は有していない。
【0060】
グランド部は、銅板等を用いて形成されるために熱伝導率が高くなってしまうが、グランド部の一部切除により、発光部102から固体撮像素子101へ熱が伝導することを抑制することができる。したがって、発光部102駆動時における固体撮像素子101の誤動作等を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、発光素子を含む発光部の駆動時に発生する熱が、発光部から他の領域へ熱伝導することを抑制することが可能な固体撮像装置、カメラユニット等に有用である。
【符号の説明】
【0062】
100 車載カメラ
10 撮像モジュール
11 レンズユニット
12 プリント配線基板
13 レンズブラケット
14 フォーカスロックナット
15 ネジ
16 防塵ゴム
17 コネクタ
20 第1ケース部
21 シーリングパッキン
22 第1ケース
23 パネル
30 第2ケース部
31 第2ケース
33 コネクタカバー
34 クールシート
35、36 ネジ
40 ベース部
41 カメラブラケット
42 ネジ
43 案内部
50 ケーブル
51 コネクタ
101 固体撮像素子
102 発光部
103、104 穴部
105 括れ部
106 配線パターン
111 発光素子
112 抵抗素子
121 立体配線基板
121a 脚部
121c 貫通開口部
121d 段差部
123 光学フィルタ
129 光軸
130 配線パターン
131 ソルダーペースト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に配設された固体撮像素子と、
前記回路基板に、前記固体撮像素子の周囲に配設された発光素子を含む発光部と、
前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された熱抵抗部と、
を備える固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像装置であって、
前記熱抵抗部は、前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された貫通穴である固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の固体撮像装置であって、
前記熱抵抗部は、前記固体撮像素子と前記発光部との間で、前記回路基板の導電配線パターンに形成された括れ部である固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の固体撮像装置であって、
前記熱抵抗部は、前記固体撮像素子と前記発光部との間で、前記回路基板のグランド部の少なくとも一部が切除された固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固体撮像装置であって、
前記発光部は、前記発光素子と抵抗素子とを含む固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固体撮像装置であって、
前記発光素子は、前記固体撮像素子と前記抵抗素子との間に配設された固体撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の固体撮像装置であって、更に、
前記発光部は、前記発光素子と前記抵抗素子との間に配設された第2の熱抵抗部を備える固体撮像装置。
【請求項8】
回路基板と、
前記回路基板に配設された固体撮像素子と、
前記回路基板に、前記固体撮像素子の周囲に配設された発光素子を含む発光部と、
前記固体撮像素子と前記発光部との間に形成された熱抵抗部と、
前記発光部が配設された前記回路基板の面とは反対側に、前記発光部に対応して配置される放熱シートと、
前記回路基板が固定される放熱板と、
を備えるカメラユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−239034(P2011−239034A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106581(P2010−106581)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】