説明

固体状廃棄物処理方法

【課題】飛灰や主灰等の固体状廃棄物中にはダイオキシン類等の有害な有機ハロゲン化物や重金属類が含まれている虞があり、焼却灰を高度な密閉雰囲気下で酸欠状態で加熱処理する方法等が提案されているが、酸欠状態を保持するためには特別な設備が必要であり、設備投資や設備の維持コストが高くつくという問題があった。また飛灰等の廃棄物中にはダイオキシン類とともに重金属も含まれていることがあるが、従来法ではダイオキシン類の処理と重金属の処理とを同時に行うことは困難であった。
【解決手段】本発明の固体状廃棄物処理方法は、固体状廃棄物に、還元性を有する亜リン酸類、次亜リン酸類より選ばれた化合物と、金属との錯形成能を有するリン酸型官能基、カルボン酸型官能基等の少なくとも1種を有する金属捕集剤とを添加して固体状廃棄物中の有機ハロゲン化物と重金属類とを無害化処理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛灰等の固体状廃棄物中に含まれる有害重金属類や有機ハロゲン化物を無害化処理することのできる固体状廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴミ焼却場等において廃棄物を焼却した際に、ダイオキシン類(PCDDS、PCDFS等)のような極めて毒性の強い有機ハロゲン化物が生成し、排煙中に高濃度で含有されている場合があることが大きな社会問題となっている。また排煙中から分離した飛灰や、焼却残査である主灰中にもダイオキシン類等の有機ハロゲン化物が大量にも含まれていることがあり、固体状廃棄物を埋設処理した廃棄物埋立処分場から、雨水等によって有機ハロゲン化物が溶出して地下水、河川等を汚染する等の広範な環境汚染問題を生じる虞があることが指摘されている。ダイオキシン類等の有機ハロゲン化物は、非常に安定な物質で自然環境下では半永久的に消失しないことから、その強い毒性と相まって環境汚染対策の重要化学物質とされている。一方、近年のゴミの多様化に伴い飛灰中には有害な重金属類も多量に含有されている場合があり、重金属類の廃棄物埋立処理場からの溶出による環境汚染の虞も指摘されている。
【0003】
飛灰等の固体状廃棄物に含まれるダイオキシン類等の量を低減化させる方法として、飛灰を非通り抜け系において酸欠状態で加熱してダイオキシン類を分解する方法(特許文献1)、活性炭、シリカ系物質、ゼオライト等のダイオキシン前駆体を吸着する吸着材と、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸化合物やリン酸化合物、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム化合物、アミン化合物等のダイオキシン生成反応を抑制する抑制材とを排煙に添加する方法(特許文献2)、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタノールアミン等のアミン化合物を飛灰等に添加して処理する方法(特許文献3)、焼却時に発生する排煙の温度が500℃以下となる工程において、排煙を還元剤と接触させる方法(特許文献4)、排煙の温度が500℃以上にある間に、還元剤を含む水溶液を排煙に噴霧した後、排煙を急冷する方法(特許文献5)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公平6−38863号公報
【特許文献2】特開平10−296050号公報
【特許文献3】特開平10−272440号公報
【特許文献4】特開平11−137952号公報
【特許文献5】特開2002−102650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の方法では、酸欠状態にしないとダイオキシン類を有効に分解し得ないとともに、酸欠状態を得るには、閉鎖系において或いは不活性ガス雰囲気中で作業して空気の侵入を排除する等の方法を採用する必要があり、気密性の高い加熱処理装置を必要とするため、設備投資や設備の保守等に高いコストがかかるという問題があった。またこの方法では、ダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物を一旦加熱分解できても、分解物が加熱条件下で結合して再びダイオキシン類等が生成してくる虞れもあった。
【0006】
特許文献2、特許文献3に記載の方法は、特許文献1に記載の方法のような特殊な設備を必要とせずにダイオキシン類等の処理は可能であるが、重金属類の処理を行うことができないため、ダイオキシン類の処理と重金属類の固定化処理とを別々に行わなければならず、処理作業が煩雑となるという問題があった。一方、特許文献4、5に記載の方法は特殊な処理設備を用いることなく、排煙中のダイオキシン類等の低減化とともに、飛灰中から重金属類が容易に溶出し難くなるよう処理することが可能である。しかしながら500℃以下で排煙を処理する特許文献4の方法では、ダイオキシン類やその前駆体の含有量、重金属類の含有量が多い場合には還元剤の使用量を多くしないとダイオキシン類等や重金属類の処理を十分に行い難い虞があった。また特許文献5の方法は、処理後に急冷しないと再びダイオキシン類が生成する可能性があった。更に近年、上記特許文献1〜5等の方法や、その他の方法によって飛灰等の廃棄物を処理し、廃棄物からの重金属類の溶出量や残存する有機ハロゲン化物の量を規制することが法律で義務づけられているが、法律が施行される以前に飛灰や主灰等の固体状廃棄物が埋立処分されている埋立処分場も多くあり、最近、このような埋立処分場から重金属類や有機ハロゲン化物が溶出して環境汚染を生じる虞があることが指摘されている。
【0007】
本発明は、特殊な加熱処理装置等を用いることなく比較的低温での処理が可能であり、しかも低温処理を行っても、固体状廃棄物中の重金属類や有機ハロゲン化物を、安全かつ確実に無害化処理することのできる固体状廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち本発明は、
(1)固体状廃棄物に、還元性を有する亜リン酸類、次亜リン酸類より選ばれた化合物と、金属との錯形成能を有するリン酸型官能基、カルボン酸型官能基等の少なくとも1種を有する金属捕集剤とを添加して固体状廃棄物中の有機ハロゲン化物と重金属類とを無害化処理することを特徴とする固体状廃棄物処理方法、
(2)固体状廃棄物に、亜リン酸類、次亜リン酸類より選ばれた化合物と、金属捕集剤とを添加し、50〜650℃で無害化処理する上記(1)記載の固体状廃棄物処理方法、
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明方法によれば、固体状廃棄物中に含まれる有害な重金属類を固定化できるとともに、ダイオキシン類等の有害な有機ハロゲン化物も確実に分解して固体状廃棄物を確実に無害化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において亜リン酸類としては、亜リン酸、亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。これらのうち、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウムが好ましい。上記、亜リン酸や亜リン酸塩は二種以上を混合して用いることができる。次亜リン酸類としては次亜リン酸、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムが好ましい。上記、次亜リン酸や次亜リン酸塩は二種以上を混合して用いることができる。本発明において、亜リン酸類、次亜リン酸類はいずれか一方を用いても、両者を混合して用いても良い。
【0011】
金属捕集剤としては、リン酸型官能基、カルボン酸型官能基の少なくとも1種を有する化合物が用いられる。金属捕集剤は、1分子中に1種類の官能基を1個又は2個以上有するものでも、2以上の異なる官能基を2個以上有するものでも良い。
【0012】
リン酸型官能基を有する金属捕集剤としては、アミン類にアルデヒド類及び亜リン酸類と反応させて得られる化合物が挙げられる。カルボン酸型官能基を有する金属捕集剤としては、例えばアミン類に、モノハロゲン化カルボン酸やそのエステルと反応させることにより得られるカルボン酸基を有する化合物が挙げられる。上記リン酸型官能基を有する化合物、カルボン酸型官能を有する化合物は、いずれも官能基が酸型(末端が水素原子)であっても、塩型であっても良く、また両方を含むものでも良い。塩型のカルボン酸基としては、バリウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アミン塩等が挙げられるが、通常はナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。リン酸型官能基を有する化合物も、カルボン酸型官能基を有する化合物も、1分子中に酸型の官能基と塩型の官能基の両方を有するものでも、酸型の官能基のみを有するものでも、塩型の官能基のみを有するものでも良く、またこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。アミン類と反応させるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族飽和アルデヒド、グリオキサール等の脂肪族ジアルデヒド、アクロレイン、プロピオールアルデヒド等の脂肪族不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド、フルフラール等の複素環式アルデヒド等が挙げられるが、特に、上記脂肪族飽和アルデヒド、芳香族アルデヒドが好ましい。亜リン酸類としては上記したと同様の亜リン酸類が挙げられるが、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウムが好ましい。またモノハロゲン化カルボン酸としては、クロロ蟻酸、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、クロロコハク酸、クロロマレイン酸、クロロフタル酸、クロロ安息香酸、クロロアクリル酸、ブロモ酢酸、ブロモプロピオン酸、ブロモコハク酸、ブロモマレイン酸、ブロモフタル酸、ブロモ安息香酸、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、ヨードコハク酸、ヨードマレイン酸、ヨードフタル酸、ヨード安息香酸等が挙げられるが、モノクロロカルボン酸が好ましい。
【0013】
リン酸型官能基やカルボン酸型官能基を有する金属捕集剤を得るために用いる前記アミン類としては、例えばモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノイソブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、ブチルエチルアミン、エチルイソブチルアミン、イソプロピルプロピルアミン、ブチルプロピルアミン、ブチルイソブチルアミン等のジアルキルアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、トリブチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の脂肪族アミン;モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノイソブタノールアミン等のモノアルコールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジイソブタノールアミン等のジアルコールアミン;メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、フェニルプロピルアミン、イソプロピルフェニルアミン、ブチルフェニルアミン、イソブチルフェニルアミン等のアルキルフェニルアミン;モルホリン;2−メチルモルホリン、2−エチルモルホリン、2−プロピルモルホリン、2−イソプロピルモルホリン、2−ブチルモルホリン、2−イソブチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3−エチルモルホリン、3−プロピルモルホリン、3−イソプロピルモルホリン、3−ブチルモルホリン、3−イソブチルモルホリン等のモノアルキルモルホリン;2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジエチルモルホリン、2−エチル−5−メチルモルホリン等のジアルキルモルホリン;2,3,5−トリメチルモルホリン、2,3−ジメチル−6−エチルモルホリン等のトリアルキルモルホリン;2,3,5,6−テトラエチルモルホリン、2−エチル−3,5,6−トリメチルモルホリン等のテトラアルキルモルホリン;ピペラジン;1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−プロピルピペラジン、1−イソプロピルピペラジン、1−ブチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2−エチルピペラジン、2−プロピルピペラジン、2−イソプロピルピペラジン、2−ブチルピペラジン、2−イソブチルピペラジン等のモノアルキルピペラジン;2,3−ジメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、1,3−ジエチルピペラジン等のジアルキルピペラジン;2,3,5−トリメチルピペラジン、1,2,5−トリメチルピペラジン、2,3−ジメチル−5−エチルピペラジン等のトリアルキルピペラジン;2,3,5,6−テトラメチルピペラジン、1,3,5,6−テトラプロピルピペラジン、3−エチル−2,5,6−トリメチルピペラジン等のテトラアルキルピペラジン;ピロリジン;2−メチルピロリジン、2−エチルピロリジン、2−プロピルピロリジン、2−イソプロピルピロリジン、2−ブチルピロリジン、2−イソブチルピロリジン、3−メチルピロリジン、3−エチルピロリジン、3−プロピルピロリジン、3−イソプロピルピロリジン、3−ブチルピロリジン、3−イソブチルピロリジン等のモノアルキルピロリジン;2,3−ジメチルピロリジン、2,4−ジエチルピロリジン、2−エチル−3−メチルピロリジン等のジアルキルピロリジン;2,3,4−トリメチルピロリジン、2,3−ジメチル−5−エチルピロリジン等のトリアルキルピロリジン;2,3,4,5−テトラメチルピロリジン、2−エチル−3,4,5−トリメチルピロリジン等のテトラアルキルピロリジン;ピペリジン;2−メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、2−プロピルピペリジン、2−イソプロピルピペリジン、2−ブチルピペリジン、2−イソブチルピペリジン、3−メチルピペリジン、3−エチルピペリジン、3−プロピルピペリジン、3−イソプロピルピペリジン、3−ブチルピペリジン、3−イソブチルチピペリジン、4−メチルピペリジン、4−エチルピペリジン、4−プロピルピペリジン、4−イソプロピルピペリジン、4−ブチルピペリジン、4−イソブチルピペリジン等のモノアルキルピペリジン;2,3−ジメチルピペリジン、2,5−ジエチルピペリジン、2,4−ジプロピルピペリジン、2−メチル−4−プロピルピペリジン等のジアルキルピペリジン;2,4,6−トリメチルピペリジン、2,4−エチル−6−プロピルピペリジン等のトリアルキルピペリジン;2,3,5,6−テトラメチルピペリジン、2,3,4,6−トリエチルピペリジン等のテトラアルキルピペリジン;2,3,4,5,6−ペンタメチルピペリジン、2,3,4,5,6−ペンタエチルピペリジン等のペンタアルキルピペリジン等が挙げられる。
またチオモルホリン;2−メチルチオモルホリン、2−エチルチオモルホリン、2−プロピルチオモルホリン、2−イソプロピルチオモルホリン、2−ブチルチオモルホリン、2−イソブチルチオモルホリン、3−メチルチオモルホリン、3−エチルチオモルホリン、3−プロピルチオモルホリン、3−イソプロピルチオモルホリン、3−ブチルチオモルホリン、3−イソブチルチオモルホリン等のモノアルキルチオモルホリン、2,3−ジメチルチオモルホリン、2,5−ジエチルチオモルホリン、2,6−ジプロピルチオモルホリン、2−エチル−3−メチルチオモルホリン、2−メチル−6−プロピルチオモルホリン等のジアルキルチオモルホリン;2,3,5−トリメチルチオモルホリン、2,3,6−トリエチルチオモルホリン等のトリアルキルチオモルホリン;2,3,5,6−テトラメチルチオモルホリン、2−エチル−3,5,6−トリメチルチオモルホリン等のテトラアルキルチオモルホリン;イミダゾリジン;1−メチルイミダゾリジン、1−エチルイミダゾリジン、1−プロピルイミダゾリジン、1−イソプロピルイミダゾリジン、1−ブチルイミダゾリジン、1−イソブチルイミダゾリジン、2−メチルイミダゾリジン、2−エチルイミダゾリジン、2−プロピルイミダゾリジン、2−イソプロピルイミダゾリジン、2−ブチルイミダゾリジン、2−イソブチルイミダゾリジン、3−メチルイミダゾリジン、3−エチルイミダゾリジン、3−プロピルイミダゾリジン、3−イソプロピルイミダゾリジン、3−ブチルイミダゾリジン、3−イソブチルイミダゾリジン、4−メチルイミダゾリジン、4−エチルイミダゾリジン、4−プロピルイミダゾリジン、4−イソプロピルイミダゾリジン、4−ブチルイミダゾリジン、4−イソブチルイミダゾリジン、5−メチルイミダゾリジン、5−エチルイミダゾリジン、5−プロピルイミダゾリジン、5−イソプロピルイミダゾリジン、5−ブチルイミダゾリジン、5−イソブチルイミダゾリジン等のモノアルキルイミダゾリジン;2,3−ジメチルイミダゾリジン、2,5−ジエチルイミダゾリジン、4,5−ジプロピルイミダゾリジン、1−メチル−4−プロピルイミダゾリジン等のジアルキルイミダゾリジン;2,4,5−トリメチルイミダゾリジン、3,4−ジエチル−5−プロピルイミダゾリジン等のトリアルキルイミダゾリジン;2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジン、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾリジン等のテトラアルキルイミダゾリジン;ピラゾリジン;1−メチルピラゾリジン、1−エチルピラゾリジン、1−プロピルピラゾリジン、1−イソプロピルピラゾリジン、1−ブチルピラゾリジン、1−イソブチルピラゾリジン、2−メチルピラゾリジン、2−エチルピラゾリジン、2−プロピルピラゾリジン、2−イソプロピルピラゾリジン、2−ブチルピラゾリジン、2−イソブチルピラゾリジン、3−メチルピラゾリジン、3−エチルピラゾリジン、3−プロピルピラゾリジン、3−イソプロピルピラゾリジン、3−ブチルピラゾリジン、3−イソブチルピラゾリジン、4−メチルピラゾリジン、4−エチルピラゾリジン、4−プロピルピラゾリジン、4−イソプロピルピラゾリジン、4−ブチルピラゾリジン、4−イソブチルピラゾリジン、5−メチルピラゾリジン、5−エチルピラゾリジン、5−プロピルピラゾリジン、5−イソプロピルピラゾリジン、5−ブチルピラゾリジン、5−イソブチルピラゾリジン等のモノアルキルピラゾリジン;3,4−ジメチルピラゾリジン、3,5−ジエチルピラゾリジン、2,5−ジプロピルピラゾリジン、3−メチル−5−プロピルピラゾリジン等のジアルキルピラゾリジン;3,4,5−トリメチルピラゾリジン、2,4−ジエチル−5−プロピルピラゾリジン等のトリアルキルピラゾリジン;2,3,4,5−テトラメチルピラゾリジン、1,4−ジエチル−3,5−ジプロピルピラゾリジン等のテトラアルキルピラゾリジン;ピロール;2−メチルピロール、2−エチルピロール、2−プロピルピロール、2−イソプロピルピロール、2−ブチルピロール、2−イソブチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−イソプロピルピロール、3−ブチルピロール、3−イソブチルピロール等のモノアルキルピロール;2,3−ジメチルピロール、2,5−ジエチルピロール、2,4−ジプロピルピロール、2−エチル−4−メチルピロール、2−メチル−3−プロピルピロール等のジアルキルピロール;2,3,4−トリメチルピロール、2,3,5−トリエチルピロール等のトリアルキルピロール;2,3,4,5−テトラメチルピロール、2−エチル−3,4,5−トリメチルピロール等のテトラアルキルピロール;イミダゾール;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−イソブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、4−プロピルイミダゾール、4−イソプロピルイミダゾール、4−ブチルイミダゾール、4−イソブチルイミダゾール、5−メチルイミダゾール、5−エチルイミダゾール、5−プロピルイミダゾール、5−イソプロピルイミダゾール、5−ブチルイミダゾール、5−イソブチルイミダゾール等のモノアルキルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2,5−ジエチルイミダゾール、2,4−ジプロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチル−5−プロピルイミダゾール等のジアルキルイミダゾール;2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリエチルイミダゾール等のトリアルキルイミダゾール;ピラゾール;3−メチルピラゾール、3−エチルピラゾール、3−プロピルピラゾール、3−イソプロピルピラゾール、3−ブチルピラゾール、3−イソブチルピラゾール、4−メチルピラゾール、4−エチルピラゾール、4−プロピルピラゾール、4−イソプロピルピラゾール、4−ブチルピラゾール、4−イソブチルピラゾール、5−メチルピラゾール、5−エチルピラゾール、5−プロピルピラゾール、5−イソプロピルピラゾール、5−ブチルピラゾール、5−イソブチルピラゾール等のモノアルキルピラゾール、3,4−ジメチルピラゾール、3,5−ジエチルピラゾール、3,4−ジプロピルピラゾール、3−エチル−5−メチルピラゾール等のジアルキルピラゾール;3,4,5−トリメチルピラゾール、3,4,5−トリエチルピラゾール等のトリアルキルピラゾール;フェニレンジアミン、o−,m−,p−キシリレンジアミン、3,5−ジアミノクロロベンゼン、アニリン等の芳香族アミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等のシクロアルカン系ポリアミン;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−2−エチルプロピルイミン等の環状イミン重合体;ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の不飽和アミンの重合体が挙げられる。また、ビニルアミン、アリルアミン等の不飽和アミンと、ジメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸等及びその塩類等の、不飽和アミンと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとの共重合体も挙げられる。これらは2種以上の混合物を用いることもできる。
【0014】
上記アミン類は、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アルキル基等をN−置換基として有するものでも良い。N−ヒドロキシアルキル置換基は、上記アミン類と、エポキシアルカンとを反応させることにより導入することができ、N−アシル置換基は、上記アミン類と、脂肪酸類を反応させることにより導入され、またN−アルキル置換基は上記アミン類と、ハロゲン化アルキルを作用させることにより導入される。N−ヒドロキシアルキル置換基は、アルキル基の炭素数が2〜28であることが好ましく、N−アシル置換基は炭素数2〜26であることが好ましい。またN−アルキル置換基は炭素数2〜22であることが好ましい。
【0015】
更に上記アミン類とエピハロヒドリンとが重縮合した重縮合ポリアミン、重縮合ポリエチレンイミンも使用できる。エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げられる。リン酸型官能基とカルボン酸型官能基の両方を有する金属捕集剤は、上記アミン類にリン酸型官能基、カルボン酸型官能基の一方を導入した後、アルデヒド類及び亜リン酸類と反応させてリン酸型官能基を導入するか、モノハロゲン化カルボン酸やそのエステルと反応させてカルボン酸型官能基を導入することにより得ることができる。但し、リン酸型官能基、カルボン酸型官能基の一方を導入した後に、アミン類由来の窒素原子に結合した活性水素が残存していることが必要である。
【0016】
亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、金属捕集剤との割合は重量比で、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類:金属捕集剤=0.01:99.99〜99.99:0.01が好ましく、1:99〜99:1がより好ましいが、特に25:75〜75:25が好ましい。本発明方法は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、金属捕集剤とを固体状廃棄物に添加して処理することにより、固体状廃棄物中のダイオキシン類と重金属類とを無害化することができるが、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、金属捕集剤とは同時に添加しても、別々に添加しても良い。別々に添加する場合、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、金属捕集剤のどちらを先に添加しても良い。固体状廃棄物に亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、金属捕集剤とを添加して処理する方法としては、亜リン酸類や次亜リン酸類、金属捕集剤をそのまま添加し混練する方法、そのまま添加し混練した後、水を噴霧する方法、または、亜リン酸類、次亜リン酸類、金属捕集剤の水溶液ないし水懸濁液を固体状廃棄物にスプレーする方法等が挙げられる。本発明において、固体状廃棄物を処理する温度は、50〜650℃が好ましく、200〜400℃がより好ましい。固体状廃棄物を無害化処理する温度を50〜350℃では主として亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類自体の還元性が活性化される効果により、また、350℃〜650℃では、主として亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類の分解により発生する分解物の還元効果により、ダイオキシン類分解が促進されるという優れた効果が得られる。固体状廃棄物を加熱下に処理する場合、加熱方法としては、角窯、丸窯、輪窯等の単独炉、トンネルキルン、ロータリーキルン等の半連続又は連続窯等の窯により、バーナー等の直火による加熱及び電気炉を使用する等の方法が挙げられるが、トンネルキルン、ロータリーキルン等の半連続又は連続窯で処理することが好ましい。処理時間は処理温度によっても異なるが、30分間〜1時間が好ましい。
【0017】
本発明方法により処理することのできる有機ハロゲン化物としては、ダイオキシンやPCB、エチレンクロールヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ビニル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロールナフタリン、クロールプロピレン、クロールベンゾール、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロールエタン、ジクロールベンゾール、トリクロールエチレン、ふっ化塩化炭素、ブロムベンゾール、ブロモホルム、ヘキサクロールエタン、ホスゲン等が挙げられる。また重金属類としては、例えば鉛、カドミウム、六価クロム、砒素、セレン、水銀、ニッケル、モリブデン、アンチモン、銅、亜鉛、マンガン等が挙げられる。また本発明の処理対象とする固体状廃棄物としては、飛灰や主灰、鉱滓、汚泥、土壌等が挙げられる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例、比較例において用いた金属捕集剤を以下に示す。
金属捕集剤1:アミノリン酸二ナトリウム
金属捕集剤2:エチレンジアミン、ホルマリン、亜リン酸(1:4:4モル)の反応物
金属捕集剤3:ポリエチレンイミン(平均分子量40000)1ユニット当り、モノクロロ酢酸1モルを反応した反応物
【0019】
実施例1〜4
ダイオキシン類(DXNs)含有量5ng−TEQ/g、Pb含有量1500mg/kgの飛灰100g当たり、表1に示す亜リン酸類、次亜リン酸類と、金属捕集剤を添加し、ロータリーキルンによって350℃で1時間加熱処理した。処理後の飛灰中のダイオキシン類残存量、及び処理後の飛灰からのPb溶出量を測定した。これらの結果を、亜リン酸類、次亜リン酸類、金属捕集剤を添加せずに実施例1〜4と同様の処理を行った参照例の結果とともに表2に示す。
【0020】
(表1)

【0021】
(表2)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状廃棄物に、還元性を有する亜リン酸類、次亜リン酸類より選ばれた化合物と、金属との錯形成能を有するリン酸型官能基、カルボン酸型官能基等の少なくとも1種を有する金属捕集剤とを添加して固体状廃棄物中の有機ハロゲン化物と重金属類とを無害化処理することを特徴とする固体状廃棄物処理方法。
【請求項2】
固体状廃棄物に、亜リン酸類、次亜リン酸類より選ばれた化合物と、金属捕集剤とを添加し、50〜650℃で無害化処理する請求項1記載の固体状廃棄物処理方法。

【公開番号】特開2007−209829(P2007−209829A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291011(P2005−291011)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000114318)ミヨシ油脂株式会社 (120)
【Fターム(参考)】