説明

固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元を組合せた方法

【課題】タンタル粉末の粒子径分布を最適化するために結晶成長を適切に制御する方法を提供する。
【解決手段】K2TaF7の層、次に固体のナトリウム金属の層、その後に続けて固体の希釈塩の層を加熱されていない反応容器に充填する工程を含むタンタル粉末の生成のための二段階還元方法である。第一加熱段階では、K2TaF7の層の固体状態での還元を促進し、タンタル結晶成長を最小限にする一方で、非常に微細なタンタル粒子を生成することができる。第二加熱段階では、反応容器の内容物を融解し、主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を反応させて、タンタル粉末を生成する。ある態様において、第一加熱段階の間に生成された微細なタンタル粒子は、第二加熱段階でタンタル結晶成長に必要な核形成部位としての役割を果たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本明細は、概して、タンタル還元生成物に関し、より詳細には、タンタル粉末の粒子径分布を最適化するために、望ましくない結晶成長を制御できるように、固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元の組合せを利用したタンタル還元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロプロセッサー及び他の電子機器の進展及び超小型化のために、高い静電容量のタンタルキャパシタの必要性が急速に高まってきている。しかも、電解キャパシタで使用するための純度及び表面積に対して要求されるものは非常に高い。
【0003】
本分野における高い純度のタンタル粉末の必要性に応える手段として、タンタル粉末を形成するために、フッ化タンタルカリウム(K2TaF7)が、一般的にナトリウム金属を利用して還元される。タンタル粉末の欠かせない性質の一つは、それが、非常に狭い粒子径分布を有さなければならないことである。最適なメジアン粒子径は、タンタル粉末が用いられるキャパシタにおける意図された化成電圧と相関関係にある。しかしながら、均一な粒子径を有するタンタル粉末を生成することについての問題の一つは、K2TaF7のナトリウム還元反応が高い発熱反応であることであり、温度が上がるにつれて反応速度が上がる。温度及び反応速度の双方が、タンタル結晶成長の均一性に悪影響をもたらす傾向にあるので、このことは意義深く、タンタル結晶成長の均一性は、生成して得られたタンタル粒子の均一性に、同様に直接影響する。
【0004】
粒子径の均一性を制御しようとすると、金属ナトリウムを利用してK2TaF7を還元するための先行技術の手法においては、反応容器への反応物の投入について特別な順番が含まれていた。例えば、ある先行技術の手法は、融解K2TaF7を反応器に予め充填し、続けて、融解ナトリウムを添加することを含む。更に、反応器は、融解ナトリウムで予め充填されており、続けて固体のK2TaF7を添加する、若しくは、固体のナトリウムと固体のK2TaF7を混合して、この混合物を反応器に充填し、続けて、持続した化学反応が開始するまで該混合物を加熱する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タンタル粉末の粒子径分布を最適化するために結晶成長を適切に制御できる先行技術の手法は、存在しない。従って、均一なタンタル粉末粒子径を促進する手段として望ましくない結晶成長を制御するために、固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元の組合せを利用したタンタル還元の改良方法を提供することが一般的に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本明細書にて開示され、かつ、請求されることは、タンタル粉末の生成方法である。一態様において、方法は、固体のK2TaF7の層を、加熱されていない反応容器に充填する工程、固体のナトリウム金属の層を、固体のK2TaF7の層を覆うように、加熱されていない反応容器に充填する工程、その後に、固体の希釈塩の層を、固体のK2TaF7の層及び固体のナトリウム金属の層を覆うように、加熱されていない反応容器に充填する工程を含む。該方法は、K2TaF7の層の固体状態での還元を促進するために、第一段階温度に反応容器を加熱する工程、その後に、反応容器の内容物を融解するために十分な第二段階温度に、反応容器を加熱する工程を更に含む。次に、反応容器に主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を添加して、その結果、それらが反応してタンタル粉末を生成することができる。
【0007】
本発明の他の局面、特徴、及び、手法は、本発明の以下の詳細な説明を考慮すると、関連ある分野の当業者に明らかになるだろう。
【0008】
本発明の特徴、目的、及び、利点は、図面と合わせて理解すると、更に明らかになり、そこでは同じ参照符号は全体を通して同じものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一態様に従って固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元の組合せを行う方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適な態様の詳細な説明
本明細書は、概して、タンタル粉末を形成する手段としてナトリウム金属を利用してK2TaF7を還元するための新規の方法に関する。一態様において、タンタル粉末の生成方法が提供され、該方法において生成して得られたタンタル粒子の均一性を最適化するように、結晶成長が制御される。以下、更に詳細を説明するが、これは、固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元の組合せを利用することで達成されうる。特に、二段階の還元方法が開示され、その中で主要な核生成がK2TaF7の主要なナトリウム還元と異なる事象として制御され、それにより、タンタル結晶の大きさ及び成長を改良し、最終生成物のタンタル粉末の電気的性能を改良する。
【0011】
図1を参照すると、本発明の一態様における固体状態でのタンタル還元及び融解塩でのタンタル還元の組合せを行う方法を示す。特に、方法100は、冷たい反応容器が、固体のK2TaF7の層で充填されるブロック110で始まる。但し、一態様において、反応容器が、ブロック110でおおよそ周辺温度にて充填されてもよく、用語「冷たい反応容器」は、おおよそ100℃未満の温度である反応容器を示すことができる。この材料が初期充填作用を果たすことを目的とするので、ブロック110で反応容器に充填される固体のK2TaF7の量は、約1kg〜約200kgのオーダーにすることができる。反応容器の構造の寸法と材料は、公知であり、本明細書では割愛する。
【0012】
反応容器が、固体のK2TaF7の層で充填されてから、方法100は、固体の金属ナトリウムの層が、冷たい容器に添加され、存在するK2TaF7の層を覆う。ブロック120に続けることができる。さらに、この材料は、初期充填作用を果たすことを目的とするので、ブロック120で添加されうる金属ナトリウムの量は、約0.5kg〜約100kgのオーダーにすることができる。別の態様において、ブロック120で添加されうる金属ナトリウムの量は、ブロック110で添加されたK2TaF7との完全な反応の後に、過剰なナトリウム環境を有するために必要ないくらかの量、又は、それより多い量でありうる。すなわち、ブロック120で添加されうる金属ナトリウムの量が、予め添加されたK2TaF7中のタンタルイオン(Ta+5)の全てが化学量論的に反応するために必要な量以上であってもよい。この配合が、明細書で記載されたように固体状態の反応段階の間、望ましくない結晶成長を抑制することにつながる。
【0013】
その後に、固体の希釈塩の層が、ブロック110及び120のそれぞれで添加された存在する層を覆うように、反応容器に添加されうる。一方で、ある態様においては、希釈塩が、NaCl、KCl、KF、及び/又は、NaFを含むことができるが、同時に当然のことながら、反応しない代替物を同様に用いることができる。この点で、反応容器は、3層(底にK2TaF7の層、続いてナトリウム金属の層、それが同じように固体の希釈塩の層によって被覆されている)を含む。
【0014】
更に図1を参照すると、方法100は、次に第一加熱段階が開始するブロック140に続けることができる。一態様において、第一加熱段階は、温度が約200℃〜約300℃に達するまで、反応容器を漸次加熱することを含む。約100℃で、ナトリウム金属は融解するが、希釈塩及びK2TaF7は固体状態で維持される。反応容器が第一段階の目標温度(つまり、約200℃〜300℃)に達してから、ナトリウム金属及びK2TaF7の間の初期固体状態での反応が開始される。早すぎる融解が起こりうるホットスポットを防止するために、加熱速度は、1分間あたり10℃未満となるよう制御されうる。
【0015】
この反応が実際には発熱反応であっても、反応温度が比較的低温であり、K2TaF7がまだ固体状態にあり、かつ、K2TaF7及び金属ナトリウム層を被覆する希釈塩が反応速度を制御することに役立つため、制御された様態で進めることができる。更に、還元反応が、大きく制御されることで、著しい結晶成長が生じることを有利に抑制することとなる。著しい結晶成長がなくなった結果、第一加熱段階の緩やかな固体状態での反応の間に生成されたタンタル粒子が、マイクロメートル以下の大きさになり、かつ、数の上で非常に多い。特に、第一段階の間に形成されたタンタル粒子は、ばらばらになり、一般的に、大きさが約0.1〜約0.5μmの範囲である。その上、上述のように、反応容器が過剰な金属ナトリウムで充填されているので、別に望ましくない結晶成長を促進しうる非反応性タンタルイオンはほとんど存在しないか、又は、全く存在しないこととなる。
【0016】
方法100は、次に第二加熱段階が開始されうるブロック150に続けることができる。図1の態様において、第二加熱段階は、第一加熱段階のときと同じ反応容器で行われる一方で、同時に当然のことながら、異なる反応容器が同様に用いられうる。特に、第一反応容器を利用して第一加熱段階を完了してから、その第一反応容器の中の固体状態の反応生成物を、次に第二加熱段階が行われうる第二反応容器に移動することができる。反応容器の設計を、反応条件を特定の状況に最適化することができるため、このことは望ましい場合がある。
【0017】
1つ又は2つの反応容器が第一及び第二段階で用いられるかどうかに関わらず、第二加熱段階は、反応容器を約650℃〜1000℃の温度に加熱することを含みうる。ある態様において、第二加熱段階は、反応容器を反応容器中の内容物を融解するのに十分な内部温度に加熱することを含みうる。K2TaF7自体は720℃で融解するが、反応容器中の金属ナトリウム、K2TaF7、及び希釈塩の全体の混合物の実際の融解点は、変動しうる(例えば650℃〜900℃)。同時に当然のことながら、反応容器を1000℃超過まで加熱することは、本発明の原理に矛盾しないが、高いエネルギーコストなどの設備における実際の制限によって準最適と見なされうる。
【0018】
K2TaF7混合物を完全に融解するために必要な温度に達してから、次に方法100は、主要原材料のナトリウム金属及びK2TaF7が反応容器に添加されうる、ブロック160に進むことができる。ブロック110及び120で予め添加された少量のナトリウム金属及びK2TaF7とは異なり、ブロック160で添加されうるナトリウム金属及びK2TaF7は、主要な還元反応の間に消費されうる大部分の事実上の原材料を表す。第二段階の間にブロック160で反応容器に添加されるナトリウム金属及びK2TaF7は、いずれかの組合せで、そして、多くの増加させた量で添加することができる。
【0019】
当然のことながら、ブロック160での主要なナトリウム金属及びK2TaF7の添加の前、又は、同時に、第一段階の間に作り出されたタンタル粒子を更にばらばらにする手段として、反応器の内容物を機械的に、かき混ぜることができる。標準的なボウタイ型かき混ぜ機を用いることができる一方で、同時に当然のことながら、反応容器の内容物をかき混ぜる公知の手段が同様に用いられうる。
【0020】
反応容器の内容物が融解して、適宜かき混ぜられた後に、第一段階の間に作り出された微細でかつ均一なタンタル粒子が、第二加熱段階の間に、還元及び結晶成長のための主要な核形成部位として働く。第一段階の間、結晶成長が、抑制されているので、第一段階の間に生成されたばらばらのタンタル粒子は、大きさが微細で均一である。これらのタンタル粒子の膨大な数と小さい寸法が、第二段階の間、タンタル粉末生成のための均一な核形成部位の豊富な環境を作り出す。この方法において、本明細書の二段階の還元方法は、タンタル結晶の寸法及び成長を改良する主要なタンタル粉末生成から切り離した事象として、主要な核形成を制御し、それにより、微細なタンタル粉末の電気的性能に有利に影響を及ぼす。
【0021】
全ての反応物が添加されてから、反応容器は、冷却され、本分野で公知の従来方法に従って処理されうる。次に、得られたタンタル粉末は、公知のキャパシタ製造技術を利用してキャパシタアノードの組み立てで用いられうる。
【0022】
以下の実施例は、更に例となる態様を示すために提供され、かつ、本発明の範囲を制限しない。
【実施例】
【0023】
<実施例1>
周囲温度で、おおよそ100ガロン(0.379m3)の容積を有する空の反応容器における、容器の底の中央に、1.0kgのK2TaF7粉末を単層にして予め充填した。固体の1.0kgのナトリウム金属のインゴットも、室温で、K2TaF7のこの層の上に配置した。次に、この混合物を300kgのKClで覆い隠した。第一加熱段階で、反応器を閉鎖し、一般的な還元処置に従って空気をアルゴンで置換し、300℃まで1分間に1℃の速度で加熱し、その後、300℃で60分間保持した。この配置が、金属ナトリウムとK2TaF7との間の固体状態での還元反応をもたらした。この段階で用いたナトリウム金属の量は、1.0kgのK2TaF7を完全に還元するために必要な化学量論(stoicheometric)量を超えており、それによって、この第一段階の間に、形成されるマイクロメートル未満のタンタル粒子の結晶成長の速度を最小限にすることができた。
【0024】
次に、第二加熱段階で、密閉された反応器を、更に800℃に加熱し、そしてKClのバルクが融解してから、かき混ぜた。第一加熱段階において生成された非常に微細なタンタル粒子が、このように、融解塩の中でかき混ぜられ、次の主要な還元の核として働いた。このかき混ぜられた融解塩に、100kgのK2TaF7を添加し、かき混ぜられたKClの中に溶かしこんだ。次に、800℃〜900℃の温度に反応器を保ったままで、この混合物に29.3kgの融解ナトリウムを、0.2kg/分の速度で、添加した。次に、この還元による生成物を回収し、タンタル還元の分野における当業者に公知である水及び/又は酸処理を行った。
【0025】
<実施例2>
この実施例2においては、直径5インチ(12.7cm)で長さ12インチ(30.48cm)であって、2インチ(5.08cm)のボールバルブを備える漏斗状の蓋を装着した鋼製反応容器によって、1.0kgの固体のK2TaF7及び1.0kgのナトリウム金属のインゴットを混合した以外は、実施例1と同様の方法で、還元を行った。この容器を高温壁の管状炉に設置し、実施例1の第一加熱段階と同様の手順に従って300℃に加熱した。300℃で60分間保持した後に、容器を管状炉から取り出し、逆さに立てて、接合管で、空の冷たい従来型のナトリウム還元反応器の蓋を貫通する2インチ(5.08cm)の管状ニップルに取り付けた。小さな反応器の蓋に装備されたボールバルブを開き、固体状態での還元の生成物を、小さな容器から管状ニップルを通して従来型の反応器に投下した。その後に、第二加熱段階で、300kgのKClを該従来の反応器に注ぎ込み、反応器をアルゴン雰囲気下で、おおよそ800℃でKClを融解するまで加熱した。融解還元段階は、実施例1のように、100kgのK2TaF7及び29.3kgの融解ナトリウム金属の添加によって行った。(回収)次に、この還元による生成物を回収し、タンタル還元の分野における当業者に公知である水及び/又は酸処理を行った。
【0026】
<実施例3>
周囲温度で、おおよそ100ガロン(0.379m3)の容積を有する空の反応容器における、容器の底の中央に、100kgのK2TaF7粉末を単層にして予め充填した。固体の30kgのナトリウム金属のインゴットも、室温で、K2TaF7のこの層の上に配置した。次に、実施例1のように、この混合物を300kgのKClで覆い隠した。第一加熱段階で、反応器を閉鎖し、一般的な還元処置に従って空気をアルゴンで置換し、300℃まで1分間に1℃の速度で加熱し、その後、300℃で60分間保持した。この配置が、金属ナトリウムとK2TaF7との間の固体状態での還元反応をもたらした。この段階で用いたナトリウム金属の量は、100kgのK2TaF7を完全に還元するために必要な化学量論(stoicheometric)量をわずかに超えており、それによって、この第一段階の間に、形成されるマイクロメートル未満のタンタル粒子の結晶成長の速度を最小限にすることができた。
【0027】
次に第二加熱段階で、密閉された反応器を、更に800℃に加熱し、そしてKClのバルクが融解してから、かき混ぜた。第一加熱段階において生成された非常に微細なタンタル粒子が、このように、融解塩の中でかき混ぜられ、次の主要な還元の核として働いた。このかき混ぜられた融解塩に、100kgのK2TaF7を添加し、かき混ぜられたKClの中に溶かしこんだ。次に、800℃〜900℃の温度に反応器を保ったままで、この混合物に29kgの融解ナトリウムを、0.2kg/分の速度で、添加した。次に、この還元による生成物を回収し、タンタル還元の分野における当業者に公知である水及び/又は酸処理を行った。
【0028】
本明細書において、用語"a"又は"an"は、1つ以上を意味するものとする。用語"多量の"は2つ以上を意味するものとする。用語"別の"は、第二番目とそれ以降のものと定義される。用語"含む"及び/又は"有する"は、オープンエンド(例えば含む)である。本明細書で用いられる用語"又は"は、全てを含むか、いずれか一つであるか、それらのいずれかの組合せかを意味するものとして解釈されうる。従って、"A、B又はC"は、以下のいずれかを意味する:A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B及びC。この定義の例外は、要素、作用、工程、又は、反応の組合せが、どこか、本質的に、互いに両立しない場合にのみ生じうる。
【0029】
この明細書を通して"一態様"、"ある態様"、"態様"、又は、類似の用語に関する記載は、該態様と結びつけて説明される、特定の特徴、構造、又は特質が、本発明の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。従って、この明細書を通じてこのようなフレーズの表現、すなわち、様々な箇所での表現は、全て同じ態様を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は、特質は、1又は複数の態様において、制限されること無くどのような適当な方法で組み合わされてもよい。
【0030】
ある例示的な態様が添付された図面で記載され示されているが、様々な他の改良が、本分野の当業者において行われてもよいので、このような態様は、広範な本発明において、実例にすぎず、広範な本発明を制限しないで、そして、当該発明は、示され、説明された特定の構造及び配置に限定されることが無いと理解されるべきである。本明細書で記載した商標及び著作権は、それぞれの所有者の財産である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体のフッ化タンタルカリウム(K2TaF7)の層を、加熱されていない第一反応容器に充填する工程;
固体のナトリウム金属の層を、固体のK2TaF7の層を覆うように、加熱されていない第一反応容器に充填する工程;
固体の希釈塩の層を、固体のK2TaF7の層及び固体のナトリウム金属の層を覆うように、加熱されていない第一反応容器に充填する工程;
K2TaF7の層の固体状態での還元を促進するために、第一段階温度に第一反応容器を加熱する工程;
予め充填されたK2TaF7、固体のナトリウム金属、及び、固体の希釈塩を融解するために十分な第二段階温度に、第二反応容器を加熱する工程;
反応容器に主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を添加する工程;及び
タンタル粉末を生成するために、主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を反応させる工程を含むタンタル粉末の生成方法。
【請求項2】
第二反応容器が、第一反応容器である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第二反応容器が、第一反応容器と異なり、
第一反応容器を加熱する工程の後に、予め充填したK2TaF7、固体のナトリウム金属及び固体の希釈塩を第二反応容器に移す工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
固体のK2TaF7の層が、約1kg〜約200kgの固体のK2TaF7を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
固体のナトリウム金属の層が、約0.5kg〜約100kgの金属ナトリウムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一段階温度が、約200℃〜約300℃である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二段階温度が、約650℃〜約1000℃である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第二段階温度が、約650℃〜約900℃である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を添加する工程が、第二反応容器にナトリウム金属及びK2TaF7を漸増的に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第二反応容器を第二段階温度に加熱する間、第二反応容器中で、主要量のナトリウム金属及びK2TaF7をかき混ぜることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
固体のナトリウム金属の層を、加熱されていない第一反応容器に充填する工程が、固体のK2TaF7の層を完全に還元するために、過剰量の固体のナトリウム金属を第一反応容器に充填することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
加熱されていない第一反応容器が、約100 ℃未満の内部温度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
多量のばらばらのタンタル粒子が、K2TaF7の層を固体状態で還元することにより生成され、かつ、多量のばらばらのタンタル粒子がそれぞれマイクロメートル未満の大きさである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を反応させる工程が、多量の核形成部位でタンタル結晶を形成することを含み、
多量の核形成部位は、K2TaF7の層の固体状態での還元から生成される多量のばらばらのタンタル粒子を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
初期量の固体のフッ化タンタルカリウム(K2TaF7)を、加熱されていない反応容器に充填する工程;
初期量の固体のナトリウム金属を、加熱されていない反応容器に充填する工程;
初期量の固体の希釈塩を、加熱されていない反応容器に充填する工程;
第一加熱段階を提供し、その間に、反応容器が、初期量のK2TaF7を固体状態で還元することを促進するために十分な第一段階温度に加熱される工程;
第二加熱段階を提供し、その間に、反応容器が、反応容器中の前記初期量を融解するために十分な第二段階温度に加熱される工程;
第二加熱段階の間に反応容器に主要量のナトリウム金属及び主要量のK2TaF7を投入し、主要量のナトリウム金属及びK2TaF7が、第二加熱段階の間に反応してタンタル粉末を生成する工程;
を含むタンタル粉末の二段階-生成方法。
【請求項16】
第一加熱段階を提供する工程が、第一反応容器中で第一加熱段階を提供することを含み、かつ、
第二加熱段階を提供する工程が、第二反応容器中で第二加熱段階を提供することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
固体のK2TaF7の初期量が、約1kg〜約200kgである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
固体のナトリウム金属の初期量が、約0.5kg〜約100kgである請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第一段階温度が、約200℃〜約300℃である請求項15に記載の方法。
【請求項20】
第二段階温度が、約650℃〜約1000℃である請求項15に記載の方法。
【請求項21】
第二段階温度が、約650℃〜約900℃である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
主要量のナトリウム金属及びK2TaF7を投入する工程が、反応容器にナトリウム金属及びK2TaF7を漸増的に添加することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項23】
第二加熱段階の間、反応容器中で、主要量のナトリウム金属及びK2TaF7をかき混ぜることを更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項24】
初期量の固体のナトリウム金属が、主要量の固体のK2TaF7を完全に還元するために、過剰量の固体のナトリウム金属である請求項15に記載の方法。
【請求項25】
加熱されていない反応容器が、約100℃未満の内部温度を有する請求項15に記載の方法。
【請求項26】
第一加熱段階の間に、多量のばらばらのタンタル粒子が生成され、かつ、多量のばらばらのタンタル粒子がそれぞれマイクロメートル未満の大きさである請求項15に記載の方法。
【請求項27】
第二加熱段階の間に、多量の核形成部位でタンタル結晶を形成することを更に含み、多量の核形成部位が第一加熱段階の間に生成される多量のばらばらのタンタル粒子を含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1の方法で製造されたタンタル粉末を含むキャパシタ素子。
【請求項29】
キャパシタアノードを含む請求項28に記載のキャパシタ素子。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−100939(P2010−100939A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245633(P2009−245633)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(509295860)ニオタン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】