説明

固体酸化物形燃料電池及びその製造方法

【課題】特性低下と高抵抗相の双方を抑制又は回避した固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】空気極10と、燃料極8と、ランタンガレート系複合酸化物からなる固体電解質6と、を備え、燃料極8と固体電解質6との界面12の近傍には、固体電解質6及び燃料極8のそれぞれの固有の構成材料に基づく組成よりも高濃度にFe及びCoの少なくとも一方の元素を含有する拡散相14を有する、固体酸化物形燃料電池2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体電解質として中温領域で優れた導電率を有するランタンガレート系の電解質(La1-xSrxGa1-yMgyO3:0<x<0.3, 0<y<0.3)が注目されている。ランタンガレート系電解質とニッケル系燃料極を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)の単セルは、電解質/燃料極界面における反応によって高抵抗相が形成され発電特性が低下することが知られている。そのため、燃料極と電解質との間に反応防止層として中間層を導入する技術(特許文献1〜4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−228136号公報
【特許文献2】特開2003−173802号公報
【特許文献3】特開2005−166314号公報
【特許文献4】特開2005−310737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
650℃〜800℃の中温領域で作動する固体電解質形燃料電池の高性能化には、固体電解質の高導電率化と電極の高性能化が不可欠であると考えられる。上記特許文献においては、ランタンガレート系電解質と燃料極あるいは空気極との間に中間層を導入して反応抑制を図っているが、中間層の導入により多少のIR損の増加による特性劣化を伴っており、結果として発電特性の向上は困難であった。
【0005】
本明細書の開示は、特性低下と高抵抗相の双方を抑制又は回避した固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、Laなどの固体電解質成分とNiなどの燃料極成分との反応を抑制するよりもむしろ、固体電解質と燃料極との界面近傍で導電率等に寄与する反応を積極的に生じさせることで、不都合な反応を抑制して高抵抗相の形成を抑制するとともに電池特性を向上させることができるという知見を得た。本明細書の開示は、こうした知見に基づき提供される。
【0007】
本明細書の開示によれば、固体酸化物形燃料電池であって、空気極と、燃料極と、ランタンガレート系複合酸化物からなる固体電解質と、を備え、前記燃料極と前記固体電解質との界面近傍には、固体電解質及び燃料極のそれぞれの固有の構成材料に基づく組成よりも高濃度にFe及びCoの少なくとも一方の元素を含有する拡散相を有する、固体酸化物形燃料電池が提供される。
【0008】
本明細書の開示によれば、空気極と、燃料極と、ランタンガレート系複合酸化物からなる固体電解質と、を備える固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、(a)ランタンガレート系複合酸化物からなる前記固体電解質又は固体電解質材料、及び(b)前記燃料極及び燃料極材料、の一方又は双方に接してFe及びCoを含む金属酸化物を含有する反応材料を有した状態で加熱してFe及び/又はCoを拡散させる拡散工程を、少なくとも備える、製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の単セルの構造の概略を示す図である。
【図2】本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の製造方法の実施形態を示す図である。
【図3】実施例1で作製した単セルについての発電特性の評価結果を示す図である。
【図4】3種類のスピネル化合物を導入した単セルについての750℃における発電特性(燃料ガス流量5〜50cc/分)の評価結果を示す図である。
【図5】実施例2で作製したNCMF導入単セルの燃料極/電解質界面近傍のSEM観察結果を示す図である。
【図6】実施例1で作製した単セルの燃料極/電解質界面を含む領域のSEM/EDXによるNi, Fe, Co, Mg及びLaの分布の測定結果を示す図である。
【図7】スピネル化合物CMFを付与する際の燃料極材料との配合比率(質量%)と発電特性(5,10,20及び50cc/分)との関係を示す図である。
【図8】ペロブスカイト化合物SF(100質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図9】ペロブスカイト化合物SF(75質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図10】ペロブスカイト化合物SF(67質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図11】ペロブスカイト化合物SF(50質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図12】ペロブスカイト化合物SF(33質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図13】ペロブスカイト化合物SF(25質量%)を付与した単セルの発電特性を示す図である。
【図14】ペロブスカイト化合物SFを付与する際の燃料極材料との配合比率(質量%)と発電特性(5,10,20及び50cc/分)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の開示は、固体酸化物形燃料電池とその製造方法に関する。本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池は、固体電解質と燃料極との界面近傍に、導電率に寄与できるFe及び/又はCoの拡散相を備える。当該界面近傍にのみこうした金属元素の拡散相を備えるため、開回路電圧の低下を抑制又は回避して電解質に導電率の向上を図ることができる。Feは、また、燃料極におけるNi等に固溶されることにより、熱膨張係数が低下し、温度変化による電極破損の可能性を低減することができる。さらに、Coは、燃料極の焼結を促進できるため、燃料極の作製時の焼成に際して高抵抗相を形成する固相反応を抑制できる。
【0011】
また、FeやCoをペロブスカイト型化合物として供給して拡散相を形成することにより、固体電解質と燃料極との耐剥離性や密着性を向上させることができるとともに、燃料ガスの供給量が低い条件下でも安定して出力を維持することができる。
【0012】
また、本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池は、650℃以上800℃以下の中温域で作動する固体酸化物形燃料電池として、良好な発電特性を提供することができる。
【0013】
こうした固体電解質と燃料極との界面近傍にこうした拡散相を有する固体酸化物形燃料電池は、固体電解質及び燃料極等の接合時に、これらの間にFe及びCoを含む金属酸化物を含有する反応材料を介在させて焼成して、これら元素を拡散、反応させることで得ることができる。
【0014】
以下、本明細書の開示の各種実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、これらの図面に示す固体酸化物形燃料電池の単セルは、本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の単セルの一例であって本明細書の開示を限定するものではない。また、固体酸化物形燃料電池の製造工程についても同様である。
【0015】
(固体酸化物形燃料電池)
固体酸化物形燃料電池2は、少なくとも図1に示す単セル4を備えている。さらに、図示はしないが単セル4に対して、燃料ガス供給部を空気ガス供給部と、集電部及び積層型の場合にはセパレータを備えることができる。単セル2は、図1に示すように、固体電解質6と燃料極8と空気極10とを含んでいる。単セル2の形態は特に限定されないで、いわゆる電解質支持型であってもよく、電極支持型であってもよい。さらに、そのほかの形態であってもよい。
【0016】
(固体電解質)
固体電解質6は、固体酸化物形燃料電池2の形態に応じて各種形態を採ることができる。固体電解質6を構成する材料としては、酸化物イオン伝導体材料を用いることができ、本明細書の開示においては、ランタン(La)とガリウム(Ga)とを少なくとも含むランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物を用いることができる。ランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物は、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)及びコバルト(Co)等がドープされていてもよい。こうしたランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物は、La1-aaGa1-bb3(ただし、0<a<0.3、0<b<0.3であり、AはSr、Ca及びBaから選択される1種又は2種以上であり、Xは、Mg、Al及びInから選択される1種又は2種以上である)が挙げられる。また、例えば、La1-aaGa1-b-cbc3(ただし、0<a<0.3、0<b<0.3であり、AはSr、Ca及びBaから選択される1種又は2種以上であり、Xは、Mg、Al及びInから選択される1種又は2種以上であり、Zは、Co、Fe、Ni及びCuから選択される1種又は2種以上である)が挙げられる。
【0017】
(燃料極)
燃料極8も、固体電解質6と同様、固体酸化物形燃料電池2の形態に応じて各種形態を採ることができる。燃料極8を構成する材料としては、特に限定しないで固体酸化物形燃料電池の燃料極構成材料として公知の材料が用いられる。例えば、金属触媒と酸化物イオン伝導体からなるセラミックス粉末材料との混合物又はその複合粉末が挙げられる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定であって水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン伝導体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等の希土類元素がドープされたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムなどの希土類元素がドープされたジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物が挙げられる。上述したセラミックス材料は、それぞれ単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。燃料極8の厚みは特に限定しないが、電解質支持型の場合は、例えば、10μm以上100μm以下、より好ましくは、20μm以上60μm以下とすることができる。また、電極(燃料極)支持型の場合には、例えば、200μm以上1500μm以下であり、好ましくは500μm以上1000μm以下である。
【0018】
燃料極8は、ニッケル等と、例えばサマリウムやガドリニウム等の希土類元素がドープされたセリア系酸化物やスカンジウムやイットリウムなどの希土類元素がドープされたジルコニア系酸化物が用いられる。これらの燃料極材料によれば、電極反応場を燃料極/電解質界面に限定せず、燃料極内部に3次元的に反応場を内包するためには、燃料極内電解質の酸化物イオン導電性が高い方が好ましく、特にセリア系のばあいでは電子伝導性も期待でき、電極反応場が増大することが期待できる。より好ましくは、酸化物イオン伝導体としてセリア系酸化物が用いられる。こうしたセリア系酸化物は、例えば、Ce1-X2(ただし、Mは1種又は2種以上の希土類元素を表し、0<x<0.4を表す。)
【0019】
(空気極)
空気極10は、固体電解質6及び燃料極8と同様、固体酸化物形燃料電池2の形態に応じて各種形態を採ることができる。空気極10を構成する材料としては、特に限定しないで固体酸化物形燃料電池の空気極構成材料として公知の材料が用いられる。例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMnなどを含む金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの酸化物が挙げられ、好ましくは、(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3、より好ましくは(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3である。上述したセラミックス材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。空気極10の厚みは特に限定しないが、電解質支持型の場合は、例えば、10μm以上100μm以下、より好ましくは、20μm以上60μm以下とすることができる。また、電極(空気極)支持型の場合には、例えば、200μm以上1500μm以下であり、好ましくは500μm以上1000μm以下である。
【0020】
(Fe及び/又はCoの拡散相)
固体酸化物形燃料電池2の単セル4の固体電解質6と燃料極8との界面12の近傍には、Fe及び/又はCoの拡散相14を有している。Feが拡散されることで、導電率が向上され、Coが拡散されることで導電率が向上されるとともに焼結性も向上し、両者が拡散することで、導電率の向上と焼結性の向上とを実現できる。固体電解質6と燃料極8との間の界面12は、少なくともSEMによる観察により固体電解質6と燃料極8とが直接接合した接合面として観察されることが好ましい。また、固体電解質6と燃料極8との間には、固体電解質6と燃料極8と明確にSEM等で区別可能な層が介在されていないことが好ましい。
【0021】
拡散相14は、Fe及びCoのうちいずれかを、固体電解質6及び燃料極8のそれぞれの固有の構成材料に基づく組成よりも高濃度に含有する領域である。すなわち、拡散相14は固体電解質6と燃料極8とが当該界面12を含む界面12近傍の領域であって、固体電解質6と燃料極8における本来の元素濃度である一次濃度よりも有意に高い濃度で分布する部分とすることができる。一次濃度とは、界面12からのFe又はCoの拡散に依拠せずに固体電解質6又は燃料極8のそれぞれの材料に依拠してこれらに含まれるFe又はCoの濃度である。拡散相14は、Fe及びCoのうちいずれか一方について、一次濃度よりも高い領域であればよく、双方の元素について一次濃度よりも高い領域である必要はない。
【0022】
拡散相14においては、Feは、固体電解質6が例えばランタンガレート系などのペロブスカイト化合物であるとき、ペロブスカイトのBサイト(例えばガリウムサイト)を置換している傾向がある。
【0023】
拡散相14は、さらに、他の金属元素を含むことができる。例えば、固体電解質6のランタンガレート系ペロブスカイト型複合酸化物のうち、ランタンやガリウム以外の金属元素、例えば、マグネシウム(Mg)やニッケル(Ni)などの元素などが挙げられる。こうした元素を拡散させることで、発電特性の向上が期待できる。Mgは、固体電解質がLSGMのなどのランタンガレート系のときに好ましい。また、燃料極8を構成するNiなどの金属元素は、固体酸化物形燃料電池2の作動時において金属Ni等となり、触媒として機能することが期待される。Niは、特に、燃料極8がNi系であるときに好ましい。これらの元素も、FeやCoと同様に界面12から固体電解質6及び燃料極8に及んで界面12の近傍に分布を形成することができる。
【0024】
マグネシウムの拡散は、例えば、固体電解質6のLSGMなどの複合酸化物において、ガリウムサイトを置換することなどから、X線回折による格子定数が変化することから確認することができる。ニッケルの拡散は、例えば、固体電解質6のLSGMなどの複合酸化物において、ガリウムサイトを置換することから、やはり格子定数の変化により確認することができる。
【0025】
拡散相14は、固体電解質6と燃料極8とが接する界面12から固体電解質6側及び/又は燃料極8側に形成されており、固体電解質6側においては、固体電解質6の全体に及んでいないことが好ましい。なお、燃料極8側においては、燃料極8の全体に及んでいてもよい。ここで、固体電解質6と燃料極8との界面12の近傍とは、この界面12を含んだ領域であり、固体電解質6側にあっては、固体電界質6の厚みよりも小さい厚みの範囲であることが好ましく、より好ましくは固体電解質6の厚みの50%以内の厚みの範囲である。典型的には、平均的な厚みとして、数μm以内、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下程度の拡散相14となる。また、拡散相14の厚みは1μm以上程度とすることができる。
【0026】
拡散相14の範囲及び厚みは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡やによるエネルギー分散型蛍光X線分析による蛍光X線分析装置を用いた表面分析により、固体電解質6と燃料極8との界面12を含む単セル4の断面を、SEM等を適宜伴ってFe及び/又はCoの分布を検出することにより測定することができる。界面12から離れていくと、Fe及び/又はCoの濃度が低下し、一次濃度(固体電解質6及び/又は燃料極8の材料としてこれらの元素が含まれている場合にはその濃度であり、これらの元素が本来これらの部位に含まれていない場合には、濃度がゼロ(検出限界濃度))以下となるまでの範囲を拡散相14と規定することができ、その厚みを拡散相14の厚みとすることができる。
【0027】
本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池2は、こうした拡散相14を有する単セル4を備えるため、高抵抗相の形成を回避又は抑制しつつ、同時に発電特性の向上を図ることができる。具体的には、こうした拡散相14を備えない場合に比較して最大出力密度を向上させることができ、IR損及び過電圧損の双方を低下させることができる。
【0028】
(固体酸化物形燃料電池システム)
本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池を備えるシステムも提供される。本システムは、本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池を1又は2以上組み合わせて構成される。本システムは、固体酸化物形燃料電池以外に、燃料ガス改質装置、熱交換器及びタービン等、公知の固体酸化物形燃料電池システムの要素を備えることができる。
【0029】
(固体酸化物形燃料電池の製造方法)
本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の製造方法は、本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の製造に適した方法であり、例えば、図2に示す工程で実施することができる。
【0030】
(拡散工程)
本明細書に開示される製造方法は、少なくとも以下の(a)及び(b)の一方又は双方に接してFe及びCoを含む金属酸化物を含有する反応材料を有した状態で加熱してFe及び/又はCoを拡散させる拡散工程を備えている。最終的に固体酸化物形燃料電池2における単セル4において拡散相14を形成できればよく、拡散工程は1工程であってもよく、2工程以上繰り返ししておこなってもよい。
(a)ランタンガレート系複合酸化物からなる前記固体電解質又は固体電解質材料
(b)前記燃料極及び燃料極材料
【0031】
例えば、拡散工程の一つの形態として、図2(a)に示すように、既に焼成した固体電解質6の表面に金属元素としてFe及びCoを含む1又は2以上の金属酸化物を含有する反応材料を供給して焼成して拡散させる工程と、次いで、反応材料を付与した表面に燃料極8を形成しうる燃料極材料を付与して焼成して拡散させる工程との組み合わせが挙げられる。この形態によれば、先の拡散工程で固体電解質6にFe及び/又はCoが拡散し、後の拡散工程で、少なくとも形成される燃料極8にFe及び/又はCoが拡散する。なお、後の拡散工程で、Fe及び/又はCoが固体電解質6にさらに拡散することもありうる。
【0032】
Fe及びCoを含む金属酸化物としては、特に限定しないで、これらを含む複合酸化物であってもよいし、それぞれを含む金属酸化物を組み合わせてもよい。好ましくは、複合酸化物であり、より好ましくはスピネル型結晶構造を有する複合酸化物である。スピネル型結晶構造を有しているとFe及びCoを含む複合酸化物を構成できて、それぞれの酸化物を混合して反応材料を構成する必要がない。こうした複合酸化物の反応材料を用いることで、それぞれを含む酸化物の混合均一性が低下したときの偏在等を回避して、これらの金属を均一に燃料極8及び/又は固体電解質6の表面に存在させることができる。
【0033】
前記金属酸化物としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属酸化物(ペロブスカイト化合物)であることも好ましい。こうした酸化物の場合、固体電解質6と燃料極8との耐剥離性及び密着性を向上させることができる。また、燃料ガスを低流量(例えば、10cc/分以下や5cc/分以下など)としたときであっても、出力密度を良好に維持することができる。Feを含むペロブスカイト型金属酸化物としては、例えば、MFeO3(ただし、Mは、Sr、Ca、Ba又はLaのいずれか、あるいは複数を示す。)が挙げられる。また、Coを含むものとしては、LaCoO3、(LaSr)CoO3等が挙げられる。また、FeとCoとの双方を含むものとしては、前記MFeO3においてFeのサイトの一部をCoに置換したもの等が挙げられる。
【0034】
また、反応材料には、Fe及びCo以外に、他の金属元素の金属酸化物を含んでいてもよいし、Fe及び/又はCoとともに他の金属元素を含む複合酸化物を含んでいてもよい。こうした他の金属元素としては、既に説明したように、固体電解質6や燃料極8の構成材料に含まれる金属元素等が挙げられ、例えば、NiやMgが挙げられる。
【0035】
反応材料が含有してもよい金属酸化物としては、例えば、(Co0.7Mg0.3)Fe24、(Co0.7Mg0.3)Fe24、(Ni0.34Co0.33Mg0.33)Fe24、CoFe24等が挙げられる。これらはいずれもスピネル型結晶構造を有する複合酸化物である。また、例えば、SrFeO3、CaFeO3、BaFeo3、Sr(Fe0.5Co0.5)Ox等が挙げられる。これらはいずれもペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物である。
【0036】
図2(a)に示す拡散工程においては、固体電解質6に対して付与される反応材料は、金属酸化物以外に燃料極を形成する燃料極材料を含んでいてもよい。こうすることで、固体電解質6と燃料極8とが直接接する界面12を形成することができ、また、密着性のよい界面12を形成できる。この場合、反応材料は、金属酸化物を20質量%以上50質量%以下含有し、残部を燃料極材料を構成する1種又は2種以上の構成材料を含めることが好ましい。構成材料は、例えば、ニッケル系燃料極材料のとき、セリア系金属参加物のみとしてもよいし、酸化ニッケルを含んでいてもよい。この範囲であると、それ以外に比べて良好な最大出力密度を得ることができる。より好ましくは、20質量%以上40質量%以下であり、さらに、好ましくは、20質量%以上35質量%以下であり、一層好ましくは25質量%以上35質量%以下である。
【0037】
拡散工程の他の一つの形態として、図2(b)に示すように、既に焼成した燃料極8の表面に反応材料を供給して焼成して拡散させる工程と、次いで、反応材料を付与した表面に固体電解質6を形成しうる固体電解質材料を付与して焼成して拡散する工程との組み合わせが挙げられる。この形態によれば、先の拡散工程で燃料極8にFe及び/又はCoが拡散し、後の拡散工程で、少なくとも焼成される固体電解質6にFe及び/又はCoが拡散する。なお、後の拡散工程で、Fe及び/又はCoが燃料極8にさらに拡散することもありうる。
【0038】
反応材料としては、先に説明した拡散工程で用いることができるものを同様に用いることができる。また、図2(b)に示す拡散工程においては、燃料極8に対して付与される反応材料は、金属酸化物以外に固体電解質6となる固体電解質材料を含んでいてもよい。こうすることで、燃料極8と固体電解質6とが直接接する界面12を形成することができ、また、密着性のよい界面12を形成できる。この場合、反応材料は、金属酸化物を20質量%以上50質量%以下含有し、残部を固体電解質材料を構成する1種又は2種以上の構成材料とすることが好ましい。この範囲であると、それ以外に比べて良好な最大出力密度を得ることができる。より好ましくは、20質量%以上40質量%以下であり、さらに、好ましくは、20質量%以上35質量%以下であり、一層好ましくは25質量%以上35質量%以下である。
【0039】
拡散工程のさらに他の一つの形態として、図2(c)に示すように、固体電解質材料と燃料極材料との間に反応材料を介在させて、一括焼成して固体電解質6と燃料極8とを一体化させるとともにFe及びCoを拡散させる工程が挙げられる。この拡散工程では、Fe及びCoは、同時に形成される固体電解質6と燃料極8とに拡散される。
【0040】
拡散工程における加熱温度は、特に限定しないが、拡散のみを目的とする場合にはFe及びCoが拡散する温度であれば足りる。通常は、焼結を伴う焼成工程を拡散工程と兼用することになるため、例えば、1150℃以上1550℃以下の温度で加熱処理することができ、好ましくは1200℃以上1500℃以下である。なお、空気中で焼成することができる。
【0041】
さらに、本明細書に開示される製造方法では、空気極10を形成する。空気極10は、既に説明した拡散工程に先立って、固体電解質6や燃料極8に一体化されていてもよいし、拡散工程後にこれらに一体化されてもよいし、固体電解質6や燃料極8の形成と同時に形成一体化されてもよい。空気極10の形成のための焼成工程の加熱温度や時間は、空気極10の構成材料に応じて適宜設定される。
【0042】
本明細書に開示される製造方法において用いる燃料極材料、固体電解質材料及び空気極材料は、その材料の種類に応じ、公知の固体酸化物形燃料電池の製造方法に応じて適宜選択される。
【0043】
本明細書に開示される固体酸化物形燃料電池の製造方法によれば、固体電解質と燃料極との界面近傍にFe及び/又はCoの拡散相を簡易に形成することができ、高抵抗相の形成を抑制するとともに発電特性の向上も図ることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【実施例】
【0045】
以下、本明細書の開示を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本明細書の開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
本実施例では、Co, Feを含む複合酸化物として(Co0.7Mg0.3)Fe2O4スピネル化合物(CMF)を用い、CMFとNiO-SDC複合微粒子を重量比で1:1の割合で混合して作製したスラリーを緻密なLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3(LSGM)電解質上にスクリーン印刷後1350℃×2hの焼成(最終的に固体電解質の厚みは約200μmとなった。)を行った。焼成後のスピネル化合物含有層の厚みは約10μmであった。その後、NiO-SDC複合微粒子をスクリーン印刷し、1250℃×2hの焼成を行うことで燃料極(厚み約20〜30μm)を構築した。空気極には市販のSm0.5Sr0.5CoO3-x(SSC)を用い、1000℃×4hで構築した(厚み約15〜20μm)。また、比較のためにNiO-SDC複合微粒子をLSGM上に直接スクリーン印刷して作製する以外は、実施例1と同様に操作して比較例の単セルを作製した。これらの単セルについて、750℃における発電特性(燃料ガス流量50cc/分)を比較した結果を図3に示す。
【0047】
図3に示すように、CMFを導入した実施例の単セルの場合、比較例の単セルの2倍以上の最大出力密度が得られることが分かった。さらに、電流遮断法によりIR損と過電圧損を分離測定した結果、実施例の単セルは、比較例の単セルに比べてIR損および過電圧損の両方が低下していることが分かった。以上のことから、CMFを固体電解質と燃料極との間に接して存在させた状態で焼成することで、高抵抗相の形成を抑制し、かつ発電特性を向上させることができることがわかった。
【実施例2】
【0048】
本実施例では、Co及び Feを含有する複合酸化物として(Co0.7Mg0.3)Fe2O4スピネル化合物(CMF)、(Ni0.34Co0.33Mg0.33)Fe2O4スピネル化合物(NCMF)、およびCoFe2O4スピネル化合物(CF)の3種類を用いて、NiO-SDC複合微粒子との混合比を重量比で1:3とする以外は、実施例1と同様の方法で3種類の単セルを作製した。これら3種類の単セルの発電特性の燃料ガス流量依存性を、実施例1で作製したのと同様にして作製した比較例の単セルの750℃における発電特性(燃料ガス流量5〜50cc/分)と比較した。結果を図4に示す。
【0049】
図4に示すように、いずれの燃料ガス流量条件においても実施例の単セルの発電特性(最大出力密度)は、比較例よりも優れていた。また、CMF導入単セル及びNCMF導入単セルと、CF導入単セルとを比較すると、マグネシウムも拡散されるCMF導入単セル及びNCMF導入単セルがより大きな最大出力密度を示し、マグネシウムの導入が有利であることがわかった。
【実施例3】
【0050】
本実施例では、実施例2で作製したNCMF導入単セルの燃料極/電解質界面近傍のSEM観察を行い、微細構造の観察を行った。結果を図5に示す。また、SEM/EDX分析によってNi, Fe, Co, MgおよびLaの分布を測定した結果をそれぞれ図6に示す。
【0051】
図5及び図6から明らかなように、NCMFを界面に導入したにもかかわらず燃料極/電解質との間には明瞭なNCMF層は認められず、燃料極と固体電解質との間には界面を確認することができた。また、導入したNCMFの成分は燃料極構築過程で燃料極および電解質に拡散していることがわかった。
【実施例4】
【0052】
本実施例では、実施例1において、固体電解質にCMFを付与する際のCMFとNiO-SDC複合微粒子を重量比で種々に異ならせて(25質量%、33質量%、50質量%、67質量%及び100質量%)、それによる発電特性の変化を評価した。CMFの含有量(質量%)と最大出力密度との関係を図7に示す。なお、燃料ガス流量は5〜50cc/分とした。
【0053】
図7に示すように、燃料ガスの流量範囲の全般にわたってみると、CMF含有量が20質量%以上50質量%以下の範囲でそれ以外の範囲よりも良好な発電特性を得ることができた。特に、同含有量が20質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上40質量%以下である。最も好ましいのは、33質量%付近であった。一方、燃料ガス流量が5cc/分の低流量域でみると、25質量%が最も良好であった。
【実施例5】
【0054】
本実施例では、反応材料としてFeを含む複合酸化物としてSrFeO3ペロブスカイト化合物(SF)を噴霧熱分解法で合成し、得られた合成粉末を用いて単セルを作製した。発電特性を評価した。
SFは、Sr源として硝酸ストロンチウム、Fe源とし硝酸鉄(III)9水和物を用いて、SrFeO3の酸化物換算で0.4mol/Lの原料溶液を調製した。また、加熱温度は、加熱炉の入り口付近を200℃とし、順に、400℃、800℃、及び出口温度を1000℃と段階的に上げ、キャリアガスとして空気を3L/分で流して、SFを合成した。さらに570℃で4時間仮焼した。合成した粉末をX線回折により確認したところ、ペロブスカイト型酸化物であることを確認した。
【0055】
次いで、得られたSFにつき、100質量%及びSFをSFとNiO-SDC複合微粒子との全質量に対して各種の重量比(75質量%、67質量%、50質量%、33質量%、25質量%)で混合して作製したスラリーを、緻密なLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3(LSGM)電解質(厚みは約200μmであった。)上にスクリーン印刷後1350℃×2hの焼成を行った。なお、焼成後のペロブスカイト型酸化物含有層の厚みは約10μmであった。その後、NiO-SDC複合微粒子をスクリーン印刷し、1250℃×2hの焼成を行うことで燃料極(厚み約20〜30μm)を構築した。空気極には市販のSm0.5Sr0.5CoO3-x(SSC)を用い、1000℃×4hで構築した(厚み約15〜20μm)。また、比較のためにNiO-SDC複合微粒子をLSGM上に直接スクリーン印刷して作製する以外は、本実施例と同様に操作して比較例の単セルを作製した。これらの各種の単セルについて、750℃における発電特性(燃料ガス流量5、10、20及び50cc/分)を比較した結果を図8〜図13に示す。
【0056】
図8〜図13に示すように、SFを導入した本実施例の各種単セルは、図3に示すCMFを用いた単セルと同様、良好な最大出力密度が得られることが分かった。また、電流遮断法によりIR損と過電圧損を分離測定した結果、本実施例の単セルは、IR損および過電圧損の両方が低下していることが分かった。また、高燃料利用率条件(低燃料供給速度条件;例えば、10cc/分以下、より低くは5cc/分以下程度の燃料ガス流量条件)における出力密度が向上していることがわかった。さらに、燃料供給速度によるIRのずれがないこともわかった。以上のことから、SFを固体電解質と燃料極との間に接して存在させた状態で焼成することで、効果的にFeを拡散させて高抵抗相の形成を抑制し、かつ発電特性を向上させることができることがわかった。
【0057】
各種単セルに関し、SF含有率と最大出力密度との関係を図14に示す。図14に示すように、SFを固体電解質層と燃料極との間に導入して焼成することで、発電特性が向上することが明らかであった。また、SFの導入により高燃料利用率条件下において発生しうる出力低下が抑制されることがわかった。すなわち、SFの導入が発電特性を良好に向上させることができること、及び低流量での出力低下を効果的に防止して燃料ガス流量の広い範囲において、安定して良好な発電特性を発揮させうることがわかった。こうした効果は、固体電解質層と燃料極層との密着性ないし耐剥離性が向上したことによるものと考えられた。
【0058】
また、燃料ガスの流量範囲の全般にわたってみると、SF含有量が20質量%以上75質量%以下の範囲でそれ以外の範囲よりも良好な発電特性を得ることができた。特に、同含有量が20質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上50質量%以下であると、より良好な発電特性を得ることができた。最も好ましいのは、30質量%以上36質量%以下(33質量%付近)であった。一方、燃料ガス流量が5cc/分の低流量域でみると、20質量%以上40質量%以下、より具体的には25質量%以上33質量%以下程度が最も良好であった。
【符号の説明】
【0059】
2 固体酸化物形燃料電池、4 単セル、6 固体電解質、8 燃料極、10 空気極、12 界面、14 拡散相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物形燃料電池であって、
空気極と、
燃料極と、
ランタンガレート系複合酸化物からなる固体電解質と、
を備え、
前記燃料極と前記固体電解質との界面近傍には、前記固体電解質及び前記燃料極のそれぞれの固有の構成材料に基づく組成よりも高濃度にFe及びCoの少なくとも一方の元素を含有する拡散相を有する、固体酸化物形燃料電池。
【請求項2】
前記拡散相は、前記固体電解質と前記燃料極とが接する界面から固体電解質側及び/又は燃料極側に及んで形成されている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
前記ランタンガレート系複合酸化物はLa1-aaGa1-b-cbc3(ただし、0<a<0.3、0<b<0.3であり、AはSr、Ca及びBaから選択される1種又は2種以上であり、Xは、Mg、Al及びInから選択される1種又は2種以上であり、Zは、Co、Fe、Ni及びCuから選択される1種又は2種以上である)で表される、請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
前記燃料極は、Ni−セリア系複合酸化物からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
前記セリア系複合酸化物はCe1-X2(ただし、Mは1種又は2種以上の希土類元素を表し、0<x<0.4を表す。)で表される、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項6】
前記界面近傍には、Mg及びNiのいずれかあるいは双方を含む拡散相を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項7】
空気極と、燃料極と、ランタンガレート系複合酸化物からなる固体電解質と、を備える固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
(a)ランタンガレート系複合酸化物からなる前記固体電解質又は固体電解質材料、及び
(b)前記燃料極及び燃料極材料、
の一方又は双方に接してFe及びCoを含む金属酸化物を含有する反応材料を有した状態で加熱してFe及び/又はCoを拡散させる拡散工程を、少なくとも備える、製造方法。
【請求項8】
前記金属酸化物は、スピネル化合物である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属酸化物は、ペロブスカイト化合物である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記金属酸化物は、さらに、Mg及びNiのいずれかあるいは双方を含む、請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記拡散工程は、前記固体電解質の表面に前記反応材料を付与して焼成し、さらに、前記反応材料を付与した前記表面に前記燃料極材料を付与して焼成する工程である、請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記反応材料には、前記燃料極材料を構成する1種又は2種以上の構成材料を含有する請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記反応材料は、前記金属酸化物を20質量%以上50質量%以下含有し、残部が1種又は2種以上の前記構成材料である、請求項12に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−216464(P2011−216464A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7301(P2011−7301)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000173522)財団法人ファインセラミックスセンター (147)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】