説明

固体酸化物形燃料電池

【課題】簡単な構造で、高出力密度かつ高燃料利用率で発電可能で、かつ、燃料極や酸化剤極の劣化を防止することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池において、燃料極集電体80を短冊形状に形成し、その長辺が、燃料極29に供給されて排出される燃料ガスの流れの方向と同じ方向となり、かつ、短辺方向に所定の間隔で複数配置する。燃料極集電体80を平均気孔径が0.5〜1.5mmの金属多孔体で形成し、燃料極集電体80の長辺長さの燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さに対する比R1を0.9≦R1≦1.0とし、燃料極集電体80の短冊形状の短辺の長さの燃料極29の燃料ガス流れ方向における燃料極29長さに対する比R3を0.05≦R3≦0.2とする。また、短冊形状の短辺方向に隣り合う燃料極集電体80の間隔の燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さに対する比R4を0.02≦R4≦0.05とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力密度かつ高燃料利用率を達成でき、さらに、燃料極や酸化剤極の劣化を防止することができる固体酸化物形燃料電池スタック及び固体酸化物形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体酸化物形燃料電池は、固体電解質体の両面に電極(酸化剤極、燃料極)を配した燃料電池セル(単セル)の両面に、酸素などの酸化剤ガスと水素ガス、メタン、メタノールなどの燃料ガスを供給することにより発電する。
【0003】
この単セルを、導電部材であるインターコネクタを介して複数積層し、電気的に接続することにより燃料電池スタックが形成される。そして、インターコネクタと単セルの電極間に導電性の集電体を介在させて電気的接続を行い、さらにこの集電体から外部に電力を取り出す。この集電体には電気的接続機能とともに、単セルの電極にガス(燃料ガス或いは酸化剤ガス)を供給する機能が求められる。
【0004】
このように、集電体に電気的接続機能とガス供給機能の2つの機能を持たせるために、燃料極側に導電性集電体部材として正方形の金属多孔体を複数配置し、燃料ガス流路が格子状に形成された集電体構造(多孔集電体)とする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3734027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、集電体を燃料ガス流路が格子状に形成されるような構造とした場合、燃料ガスが上流側から下流側に向う際、上流と下流を結ぶ方向以外の方向(例えば直交する方向)にもガスの流れ(拡散)が存在する。結果的に、燃料ガスが上流側から下流側に向けて燃料ガスの濃度が流路長に比例して減少し、上流と下流側に燃料ガスの濃度差が生じる要因の一つになっている。このような状況では、燃料極ガス下流部では、上流部に比べて燃料ガスの供給が十分とは言えない。
【0007】
この結果、燃料ガスの上流と下流とで単セルへのガス供給量が過度に不均一となりやすく、発電反応の大部分が燃料極ガス上流部に集中しやすくなる。このため、燃料極の下流部での発電が行われ難くなるので、燃料電池スタックの出力密度が低下するとともに燃料利用率が低下する。さらに、燃料ガスが燃料極の上流部に集中するので、燃料極及び燃料極に対向する酸化剤極の劣化が進むことになるという問題がある。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、簡単な構造で、高出力密度かつ高燃料利用率で発電可能で、かつ、燃料極や酸化剤極の劣化を防止することができる固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる問題を解決するためになされた発明は、固体酸化物電解質層(31)を隔てて燃料極(29)及び酸化剤極(35)がそれぞれ形成された燃料電池セル(3)からなる固体酸化物形燃料電池(1)であって、燃料極(29)側に多孔質金属により形成された集電体(80)が燃料極(29)と電気的に接触して配置されており、集電体(80)は、短冊形状であり、さらに、集電体(80)の長辺が、燃料極(29)を流れる燃料ガスの上流側から下流側へ向かう方向に沿う方向に配置され、かつ、集電体(80)は、短冊形状の短辺方向に沿って所定の間隔で複数配置されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池(1)である。
【0010】
このような固体酸化物形燃料電池(1)は、高出力密度かつ高燃料利用率で発電可能な燃料電池とすることができる。さらに、燃料極(29)及び燃料極(29)に対向する酸化剤極(35)の劣化を防止することができる。以下に説明する。
【0011】
集電体(80)の短冊形状の長辺が、燃料極(29)を流れる燃料ガスの上流側から下流側へ向かう方向に沿う方向に配置され、集電体(80)は、短冊形状の短辺方向に沿って所定の間隔で複数配置されていることにより、短冊形状の集電体(80)に挟まれた空間が、燃料ガス流れ方向と同じ方向の燃料ガス流路となる。なお、上流側から下流側に向う方向に沿う方向は、燃料ガスの流れ方向に平行な方向以外に、平行方向に沿う方向(つまり、燃料ガスの流れ方向と多少角度を持って燃料ガスの流れに対して抵抗を顕著に生じない程度の方向)を含んでも良い。
【0012】
したがって、この空間(燃料ガス流路)内において燃料ガスに対する集電体(80)の通気抵抗がないため、燃料ガスが燃料極(29)の下流部までスムーズに流れることとなる。燃料ガスが燃料極(29)の下流部までスムーズに流れると、上記の空間(燃料ガス流路)を介して燃料極(29)の下流部の燃料ガスの濃度の差が大きくならず、燃料極(29)の上流部と下流部とで燃料電池セルへのガス供給量が過度に不均一となることがない。
【0013】
つまり、発電作用の大部分が燃料極(29)の上流部に集中することがなくなり、燃料極(29)全体で発電が行われるので、高出力密度かつ高燃料利用率で発電可能な燃料電池とすることができる。さらに、燃料ガスが燃料極(29)の上流部に集中することがないので、燃料極(29)及び燃料極(29)に対向する酸化剤極(35)の劣化を防止することができるのである。
【0014】
なお、「燃料極(29)の上流部、下流部」とは、燃料極(29)に供給されて排出される燃料ガスの流れの方向を意味しており、「上流部」とは燃料ガスの供給側に位置する区域を意味し、「下流部」とは燃料ガスの排出側に位置する区域を意味している。
【0015】
また、燃料電池セル(単セル)(3)とは、電解質層(31)の一方面に酸化剤極(35)、他方の面に燃料極(29)が形成されているものであり、燃料電池(1)の(最小)発電単位である。なお、実際に発電する際に、各反応ガスを導入(排出)するガス導入(排出)機構や、発電した電力を収集する集電体(80)などを備えることができる。
【0016】
また、燃料電池(1)とは、一枚の単セル、あるいは複数の燃料電池セル(3)(単セル)の集合体(燃料電池スタック(5))から構成され、電力を外部へ出力できる装置である。
【0017】
燃料電池スタック(5)とは、導電するインターコネクタを用いて単セルを複数積層してなる集合体である。一般に、燃料電池スタック(5)には、単セル積層体の他にさらに燃焼層、改質層あるいは支持層などの補助層を設けることもできる。なお、単セルに、燃焼層、改質層あるいは支持層などの補助層を設けることも考えられる。
【0018】
ここで、改質層とは、原料ガスを改質し、水素を生成する触媒機能を有する層であり、燃焼層とは、燃料電池スタックで発電に使用した燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させて無害化させたり、スタックの温度維持のため発熱させたりするための層であり、支持層とは、積層した各層の強度を保つための層である。
【0019】
なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0020】
・また、本発明において、短冊形状の短辺方向に複数配置されている集電体(80)のそれぞれの集電体(80)を、1つの集電体(80)及び/又は2つ以上の、長辺方向に直列に配置された短冊形状の集電体(80)から構成することができる。つまり、燃料ガス流れ方向に沿う方向の配列における集電体(80)は、単数或いは一配列(直列)に複数配置することができる。
【0021】
そして、1本の集電体(80)を配置する場合はその短冊形状の長辺長さ、また、複数を一配列(直列)に配置する場合は、それぞれの集電体(80)の短冊形状の長辺長さの合計の燃料極(29)の燃料ガス流れ方向(つまり、短冊形状に形成された集電体(80)の長辺方向)における長さに対する比R1を、0.9≦R1≦1.0とすることができる。
【0022】
この比R1を0.9以上とすることで、ガス上流部で燃料ガス流れ方向に直交する方向(つまり、短冊形状の燃料極集電体(80)の短辺方向)へのガス拡散(流れ)が抑制でき、十分な量のガスを下流部まで送ることができる。また、集電体(80)の燃料極(29)への接触面積を確保でき、燃料電池セル(3)全体の抵抗の増加を抑制できる。
【0023】
一方、この比R1を1以下とすることで、集電体(80)が燃料極(29)の有効発電部分に対して適切な大きさ(面積)を有し、通気抵抗の増加を抑制でき、結果的に燃料電池(1)の効率を向上することができる。
【0024】
さらに、2以上の、長辺方向に直列に配置された集電体(80)のいずれの短冊形状の長辺長さの燃料極(29)の燃料ガス流れ方向における長さに対する比R2は、R2≧0.3であるようにするとよい。
【0025】
なお、この比R2を0.3以上とすることで、一列に直列される集電体(80)の数を最適化でき、集電体(80)の間隔の数を調整できる。これにより、燃料ガス流れ方向(燃料ガス上流側と下流側を結ぶ方向)の直交方向のガス拡散をさらに有効に抑制できる。
【0026】
なお、「集電体(80)の平均気孔径」とは、集電体(80)中に形成された気孔を同じ体積の球体に置き換えた場合の球体の直径を、集電体(80)の所定の体積中に存在する気孔の数分平均した値である。
【0027】
・さらに、本発明において、集電体(80)の短冊形状の短辺の長さの燃料極(29)の燃料ガス流れ方向(つまり、短冊形状に形成された集電体(80)の長辺方向)における燃料極(29)長さに対する比R3を、0.05≦R3≦0.2とするとよい。
【0028】
R3を0.05以上とすることで、集電体(80)と燃料極(29)との接触面積が確保でき、電気抵抗の増加を抑制できる。また、ガス流路の幅を維持でき、十分なガスを下流側に供給できる。一方、R3を0.2以下とすることで、集電体間のガス流路の必要な本数を確保でき、下流部へ十分な量のガスを供給することができる。
【0029】
・また、本発明において、短冊形状の短辺方向に配置された複数の集電体(80)のうち、短冊形状の短辺方向に隣り合ういずれか二つの集電体(80)間の間隔の燃料極(29)の燃料ガス流れ方向における長さに対する比R4が、0.02≦R4≦0.05となるように集電体(80)が配置されているとよい。
【0030】
R4を0.02以上とすることでガス流路幅が確保しやすくなる一方、燃料極(29)表面に形成された集電体(80)の比率が最適化されやすくなる。一方、R4を0.05以下とすることで、集電体(80)と燃料極(29)との接触面積を確保でき、オーミック抵抗を抑制できる。さらに、燃料電池(1)の強度維持がしやすくなる。
【0031】
なお、ここでいう燃料極(29)の長さとは、燃料電池セル(37)が発電できる燃料極(29)部分の長さのことを言い、例えば、自立膜形セルの場合は燃料極(29)が配置されている部分のことであり、燃料極支持膜形セルの場合は酸化剤極(35)が配置された部分の裏面の酸化剤極(35)と同じ大きさの部分のことを言う。
【0032】
・ところで、複数の集電体(80)が形成する燃料ガス流路に燃料ガスが流れるだけでなく、集電体(80)自体にも燃料ガスが流れることができる。そこで、本発明において、集電体(80)を、平均気孔径が0.5〜1.5mmの金属多孔体で形成するとよい。
【0033】
金属多孔体の平均気孔径を0.5mm以上とすることで、燃料ガス透過性を維持でき、燃料極(29)へのガス供給能力を維持でき、固体酸化物形燃料電池(1)の燃料利用率を向上させることができる。一方、平均気孔径を1.5mm以下とすることで、金属多孔体と燃料極(29)間に接触できる面積が確保でき、接触抵抗の増加を抑制できるため、集電ロスの抑制に有利である。
【0034】
以上に説明した固体酸化物形燃料電池(1)では、燃料極(29)側に多孔質金属により形成された集電体(80)を配置したが、燃料極(29)側ではなく、酸化剤極(35)側に短冊形状に形成した集電体(41)を配置してもよい。
【0035】
すなわち、固体酸化物電解質層(31)を隔てて燃料極(29)及び酸化剤極(35)がそれぞれ形成された燃料電池セル(3)からなる固体酸化物形燃料電池(1)であって、酸化剤極(35)側に多孔質金属により形成された集電体(41)が配置されており、集電体(41)は、短冊形状に形成され、さらに、集電体(41)の短冊形状の長辺が、酸化剤極を流れる酸化剤ガスの上流側から下流側へ向う方向に沿う方向に配置され、かつ、集電体(41)は、短冊形状の短辺方向に沿って所定の間隔で複数配置されていることもできる。
【0036】
このような固体酸化物形燃料電池は、燃料極(29)側に短冊形状の集電体(80)を配置した場合と同様に、酸化剤極(35)の劣化を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池1の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池セル3の構成を示す断面図である。
【図3】(a)図1のY−Y断面を示す説明図、(b)図1のX−X断面を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池1の燃料極29に対する燃料極集電体80の配置を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池1の燃料極集電体80を燃料ガス流れ方向に2個配置した場合の燃料極集電体80の配置図である。
【図6】本発明の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池1の燃料極集電体80を燃料ガス流れ方向に3個配置した場合の燃料極集電体80の配置図である。
【図7】固体酸化物形燃料電池の燃料極集電体80の大きさや配置の違いにより得られるセル電圧の違いを示す図である。
【図8】本発明のその他の実施形態に係わる固体酸化物形燃料電池1の短辺方向の長さが同じで長辺方向の長さが異なる燃料極集電体80を、各々の燃料極集電体80の燃料ガス流れ方向に直交する方向に交互に配置した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0039】
図1は、本発明が適用された固体酸化物形燃料電池1の外観を示す斜視図であり、図2は、燃料電池セル3の構成を示す断面図である。
図1に示すように、固体酸化物形燃料電池1は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気(詳しくは空気中の酸素))との供給を受けて発電を行う装置であり、発電単位である平板形状の固体酸化物形燃料電池セル(以下単に燃料電池セルと記す)3が複数個(例えば15個)積層された固体酸化物形燃料電池スタック(以下単に燃料電池スタックと記す)5を備えている。
【0040】
この燃料電池スタック5の積層方向の両側には、複数の燃料電池セル3を押圧するとともに燃料電池スタック5の出力端子として用いられるスタック側出力端子部(保持板:エンドプレート)7,9が配置されており、燃料電池スタック5は、そのエンドプレート7,9を介して、燃料電池スタック5を積層方向に貫く第1〜第8固定部材11〜25により、締め付けられて固定され、一体化されている。
【0041】
また、図2に示すように、燃料電池3の燃料電池セル本体37は、いわゆる燃料極支持膜タイプのセルであり、寸法は120mmx120mmである。燃料ガス流路27側には、燃料極支持体(アノード:負極)30が配置されるとともに、燃料極支持体30の上側の表面には薄膜の固体電解質体31が形成され、その固体電解質体31の空気流路33側の表面には、酸化剤極(カソード:正極)35が形成されている。酸化剤極35の大きさ(幅×長さ)は、100mm×100mmである。
【0042】
燃料極支持体30のうち、発電に寄与するのは酸化剤極35の大きさを燃料極支持体30に投影したときにできる正射影の部分なので、本発明においては燃料極支持体30に形成された酸化剤極35の正射影部分が燃料極29である。燃料極29の大きさは酸化剤極35と同じく100mm×100mmである。
【0043】
なお、ここでは、燃料電池セル、すなわち、燃料極支持体30(燃料極29を含む)と固体電解質体31と酸化剤極35とをセル本体37と称する場合もある。また、図2において、燃料極支持体30のうち燃料極29の部分を点線及び斜線で示してある。
【0044】
燃料電池セル本体37の厚み方向(図2の上下方向)の両側には、導電性を有する金属製のコネクタプレート39が配置され、このコネクタプレート39により、各燃料電池セル3が区分(ガス流路を分離)されるとともに、板厚方向の導通が確保されている。
【0045】
ここで、隣り合う燃料電池セル3の間に挟まれるコネクタプレート39がインターコネクタであり、燃料電池スタック5の上下両端のコネクタプレート39が、エンドプレート7,9となる。なお、本実施形態では、上端の第1エンドプレート7が正極となり、下端の第2エンドプレート9が負極となる。
【0046】
また、酸化剤極35と上方のコネクタプレート39との間には、その導通を確保するために、酸化剤極集電体41が配置されており、燃料極支持体30と下方のコネクタプレート39との間には、燃料の流路を確保するとともに、燃料極29と下方のコネクタプレート間の導通を確保するために、燃料極集電体80が配置されている。この燃料極集電体80の構成については、その詳細を後述する。
【0047】
さらに、燃料電池セル3は、セル本体37や酸化剤極集電体41の周囲を囲むように、空気流路33側の金属製の酸化剤極フレーム43と、セラミックス製の絶縁フレーム45と、燃料電池セル本体37を接合して配置するとともにガス流路を遮断する金属製のセパレータ47と、燃料ガス流路27側の金属製の燃料極フレーム49とを備えている。
【0048】
なお、酸化剤極フレーム43と絶縁フレーム45とセパレータ47と燃料極フレーム49とコネクタプレート(その外周縁部)39とにより、第1〜第8固定部材11〜25が貫く燃料電池セル3の枠部51が構成されている。
【0049】
また、図1に示すように、第1〜第8固定部材11〜25は、燃料電池スタック5の枠部51にあけられた貫通孔53〜67を貫くように配置されて、燃料電池スタック5を積層方向に押圧して一体に固定する部材であり、それぞれ、(貫通孔53〜67を貫く)ボルト11a〜25a及びそれに螺合するナット11b〜25b等から構成されている。
【0050】
このうち、第2、第4、第6、第8固定部材13,17,21,25の各ボルト13a,17a,21a,25aは、内部にガスの流路を有する中空ボルトであり、第6固定部材21のボルト21aは、燃料ガスを供給する流路として用いられ、第2固定部材13のボルト13aは、燃料ガスを排出する流路として用いられている。
【0051】
また、第8固定部材25のボルト25aは、空気を供給する流路として用いられ、第4固定部材17のボルト17aは、空気を排出する流路として用いられている。なお、第1、第3、第5、第7固定部材11(11a),15(15a),19(19a),23(23a)は、中実のボルトであり、燃料電池スタック5を固定するために用いられている。
【0052】
そして、本実施形態では、両エンドプレート7.9は、耐熱性及び導電性に優れた例えばステンレス製の板材であり、各エンドプレート7,9には、それぞれ、電力をスタック外に取り出すリード部として、耐熱性及び導電性に優れた例えばニッケルからなる棒状の出力用導電部材77,79が接続固定されている。
【0053】
(燃料の流路)
図3(a)(図1のY−Y断面図)に示すように、固体酸化物形燃料電池1の第6固定部材21の上方の燃料入口91から供給された燃料ガスは、ボルト21aの中空部93や横穴95を介して、各燃料電池セル3内の燃料ガス流路27に供給される。
【0054】
次に、各燃料電池セル3内の燃料ガス流路27の燃料ガスは、燃料極支持体30に沿って流れた後、同様な横穴97及び第2固定部材13のボルト13aの中空部99を介して、燃料出口101から固体酸化物形燃料電池1外に排出される。
【0055】
(空気の流路)
図3(b)(図1のX−X断面図)に示すように、固体酸化物形燃料電池1の第8固定部材25の上方の空気入口103から供給された空気は、ボルト25aの中空部105や横穴107を介して、各燃料電池セル3内の空気流路33に供給される。
【0056】
次に、各燃料電池セル3内の空気流路33の空気は、酸化剤極35に沿って流れた後、同様な横穴109及び第4固定部材17のボルト17aの中空部111を介して、空気出口113から固体酸化物形燃料電池1外に排出される。
【0057】
(燃料極集電体80の構成)
次に、燃料極集電体80の構成について図4に基づき説明する。図4は、燃料極29に対する燃料極集電体80の配置を示す図である。燃料極集電体80は、図4に示すように、短冊形状に形成され、短冊形状の長辺が、燃料ガス流れ方向と同じ方向となり、かつ、燃料ガス流れ方向に直交する方向、つまり、短冊形状の短辺方向に等間隔Dで複数配置されている。換言すると、燃料ガスの流れ方向に沿って上流側と下流側の間に、複数の燃料極集電体80は、所定の間隔を持って、短冊形状それぞれの短辺を同じ方向に揃って配置されている。
【0058】
燃料極集電体80は、平均気孔径が0.5〜1.5mmの金属多孔体(例えば、ニッケルの多孔体)で形成され、長辺方向に直列に配置された燃料極集電体80の短冊形状の長辺長さAの燃料極29の燃料ガス流れ方向(つまり、短冊形状の燃料極集電体80の長辺方向)における長さBに対する比R1(=A/B)が、0.9≦R1≦1.0となるようになっている。
【0059】
さらに、燃料極集電体80の短冊形状の短辺の長さCに対する燃料極29の燃料ガス流れ方向における燃料極29の長さBの比R3(=C/B)が、0.05≦R3≦0.2となっている。
【0060】
また、燃料ガス流れ方向に直交する方向(つまり、短冊形状の燃料極集電体80の短辺方向)に配置されている複数の燃料極集電体80のうち、短冊形状の短辺方向に隣り合う二つの燃料極集電体80間の間隔Dの燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さBに対する比R4(=D/B)が、0.02≦R4≦0.05となっている。
【0061】
なお、図5に示すように、燃料極集電体80を長辺方向に二つ、若しくは図6に示すように、二つ以上(3つ)に直列して配置された場合には、直列される燃料極集電体80のいずれの短冊形状の長辺の長さの燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さBに対するR2(A1/B、A2/B、或いはA3/B)が、0.3以上となっている。
【0062】
(固体酸化物形燃料電池1の特徴)
以上に説明した固体酸化物形燃料電池1では、短冊形状の燃料極集電体80に挟まれた空間は、燃料ガス流れ方向と同じ方向の燃料ガス流路となっている。したがって、燃料ガスに対する燃料極集電体80の通気抵抗がないため、燃料ガスが燃料極29の下流部までスムーズに流れることとなる。燃料ガスが燃料極29の下流部までスムーズに流れると、燃料極29の上流部と下流部とで単セルへのガス供給量が過度に不均一となることがない。
【0063】
したがって、発電作用の大部分が燃料極29の上流部に集中することがなくなり、燃料極29全体で発電が行われるので、高出力密度かつ高燃料利用率で発電可能な燃料電池スタックとすることができる。さらに、燃料ガスの消費領域が燃料極29の上流部に集中することがないので、燃料極29及び燃料極29に対向する酸化剤極35の劣化を防止することができる。
【0064】
また、燃料電池セル3が平板形状に形成されているので、複数の短冊形状の集電体で燃料ガス流が直線的に形成され。したがって、燃料ガスを燃料極29の下流側までスムーズに流すことができる。
【0065】
(本発明を適用した場合の評価結果)
以下、図7に基づいて、本発明を適用した場合の各実施例(1〜16)及び比較例(1、2)を説明する。なお、実施例1〜4、11、14及び15は、本発明の最良形態を示すが、本発明の望ましい実施形態に係わる条件についての詳細な検討は、実施例5〜10、12、13及び16にて示す。
【0066】
具体的には、図7は、燃料極集電体80の大きさや配置の違いにより得られるセル電圧の違いを示すものである。また、図7に示す実施例及び比較例では、単セルからなる固体酸化物形燃料電池1を用いて、700℃に昇温し、酸化剤極35側に空気を6.0L/min、燃料極29側に露点30℃のH2を2.0L/min導入した。そして、燃料電池セル3に75Aの負荷電流を課し、このときの出力電圧を性能評価のためのセル電圧として、100時間後のセル電圧を測定した。
【0067】
(1) 本発明の最良形態について、
実施例1、は、(短冊状)集電体の長辺方向(燃料ガス流れ方向)における一列の(直列された)集電体の数は1つで、さらに12列を平行して配置した実施例を示す。なお、図4は、実施例1の集電体の配置関係を概念的に示したものである(省略のため、7列のみ例示している)。
【0068】
実施例2は、実施例1と同様に、集電体の長辺方向における一列の集電体の数は1つであるが、6列を平行して配置した実施例を示す。
実施例3は、集電体の長辺方向における一列の集電体の数は2つで、さらに12列を平行して配置した実施例を示す。なお、図5は、実施例3の集電体の配置関係を概念的に示したものである(7列のみ例示している)。
【0069】
実施例4は、集電体の長辺方向における一列の集電体の数は3つで、さらに12列を平行して配置した実施例を示す。なお、図6は、実施例4の集電体の配置関係を概念的に示したものである(7列のみ例示している)。
【0070】
実施例11は、平行して配置された集電体(列)同士の間隔が5mmである実施例を示す。
実施例14は、集電体の平均気孔径が0.5mmである実施例を示す。
【0071】
実施例15は、集電体の平均気孔径が1.5mmである実施例を示す。
実施例1〜4、11、14、15から理解できるように、本発明の最良形態では、燃料電池のセル電圧は最も高いレベルに達成していることが分かる。
【0072】
(2)次に、本発明の集電体の個体(1つ)の長辺方向の長さ及び直列された集電体(1つ或いは複数個)の長辺方向の長さの合計と、セル電圧との関係について検討する。
実施例5は、集電体をその長辺方向に1つで配置した場合を示す。なお、集電体の長辺方向の長さの合計(個体の長さ)は、80mmであり、燃料極29の有効発電部分の燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.9倍以下となる。なお、有効発電部分とは、実際に発電反応が行われる区域をいう。
【0073】
実施例5と、実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例1)とを比較すれば、本発明のR1(集電体の長辺長さの燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さに対する比)が、0.9倍以上になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0074】
実施例6は、集電体の長辺方向に複数(5つ)の集電体を直列配置された場合を示す。なお、集電体の個体(1つ)の長さは、18mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.3倍以下となる。
【0075】
実施例6と、実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例4)とを比較すれば、本発明のR2(2つ以上の、長辺方向に直列に配置された集電体のいずれの短冊形状の長辺長さの燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さに対する比)が0.3以上になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0076】
また、実施例7は、集電体の長辺方向に複数(4つ)の集電体を直列配置された場合を示す。なお、実施例7では、集電体の個体(1つ)の長さが22mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.3倍以下となる。また、集電体の長辺方向の長さの合計(個体の長さの合計)は、88mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.9倍以下となる。
【0077】
実施例7と、実施例1〜4、11、14および15(特に実施例4)とを比較すれば、本発明のR1が0.9以上、そしてR2が0.3以上になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0078】
このように、R1を0.9以上とすることで、ガス上流部で燃料ガス流れ方向に直交する方向(つまり、短冊形状の燃料極集電体80の短辺方向)へのガス拡散(流れ)が抑制でき、十分な量のガスを下流部まで送ることができる。また、燃料極集電体80の燃料極29への接触面積を確保でき、燃料電池セル3全体の抵抗の増加を抑制できる。
【0079】
一方、R1を1以下とすることで、燃料極集電体80が燃料極29の有効発電部分に対して適切な大きさ(面積)を有し、通気抵抗の増加を抑制でき、結果的に燃料電池1の効率を向上することができる。
【0080】
また、R2を0.3以上とすることで、一列に直列される燃料極集電体80の数を最適化でき、燃料極集電体80の間隔の数を調整できる。これにより、燃料ガス流れ方向(燃料ガス上流側と下流側を結ぶ方向)の直交方向のガス拡散をさらに有効に抑制できる。
【0081】
(3)次に、本発明の集電体の短辺方向の長さと、セル電圧との関係について検討する。
実施例8は、集電体(個体)の短辺方向の長さが4mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100として)の0.05倍以下となる。実施例8と、実施例1〜4、11、14および15(特に実施例1)とを比較すれば、本発明のR3(集電体の短冊形状の短辺の長さに対する燃料極29の燃料ガス流れ方向における燃料極長さの比)が0.05以上になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0082】
一方、実施例9は、集電体(個体)の短辺方向の長さが23.5mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100として)の0.2倍以上となる。実施例9と、実施例1〜4、11、14および15(特に実施例2)とを比較すれば、本発明のR3が0.2以下になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0083】
このように、R3を0.05以上とすることで、燃料極集電体80と燃料極29との接触面積が確保でき、電気抵抗の増加を抑制できる。また、ガス流路の幅を維持でき、十分なガスを下流側に供給できる。一方、R3を0.2以下とすることで、燃料極集電体80間のガス流路の必要な本数を確保でき、下流部へ十分な量のガスを供給することができる。
【0084】
(4)次に、本発明の直列された集電体同士の間隔(直列同士間の間隔)と、セル電圧との関係について検討する。
実施例10は、集電体(列)同士の間隔が1.3mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.02倍以下となる。実施例10と実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例2)とを比較すれば、本発明のR4(短冊形状の短辺方向に 配置された複数の集電体のうち、短冊形状の短辺方向に隣り合ういずれか二つの集電体間の間隔の燃料極29の燃料ガス流れ方向における長さに対する比)が0.02以上になるとセル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0085】
実施例11は、集電体(列)同士の間隔が5mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.05倍である。
一方、実施例12は、集電体同士の間隔が6.3mmであり、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)の0.05倍以上となる。実施例12と実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例11)とを比較すれば、本発明のR4が0.05以下になると、セル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0086】
このように、R4を0.02以上とすることでガス流路幅が確保しやすくなる一方、燃料極29表面に形成された燃料極集電体80の比率が最適化されやすくなる。一方、R4を0.05以下とすることで、燃料極集電体80と燃料極29との接触面積を確保でき、オーミック抵抗を抑制できる。さらに、燃料電池1の強度維持がしやすくなる。
【0087】
(5)そして、本発明の平均気孔径と、セル電圧との関係について検討する。
実施例13は、集電体の平均気孔径が0.4mmであり、一方、実施例14は、集電体の平均気孔径が0.5mmである。実施例13と、実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例14)とを比較すれば、本発明の集電体の平均気孔径が0.5mm以上になると、セル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0088】
また、実施例15は、集電体の平均気孔径が1.5mmである。一方、実施例16は、集電体の平均気孔径が1.6mmである。実施例16と、実施例1〜4、11、14及び15(特に実施例15)とを比較すれば、集電体の平均気孔径が1.5mm以下になると、セル電圧が安定して高い水準を維持できることが分かる。
【0089】
このように、金属多孔体の平均気孔径を0.5mm以上とすることで、燃料ガス透過性を維持でき、燃料極29へのガス供給能力を維持でき、固体酸化物形燃料電池1の燃料利用率を向上させることができる。一方、平均気孔径を1.5mm以下とすることで、金属多孔体と燃料極29間に接触できる面積が確保でき、接触抵抗の増加を抑制できるため、集電ロスの抑制に有利である。
【0090】
(6)比較例について、
比較例1は、集電体が短冊形状ではなく、1つの正方形(100mm×100mm)として形成される。また、正方形の一辺の長さは、燃料ガス流れ方向における長さ(100mmとして)と同じである。つまり、比較例1は、燃料ガス流れ方向にガス流路を形成していない例を示す。
【0091】
また、比較例2は、格子形状(6.5mm×6.5mm)として形成される。燃料ガス流れ方向における長さの合計は、78mmである。つまり、比較例2は、燃料ガス流れ方向にガス流路が形成されたものの、格子形状の為、燃料ガス流れ方向に直交する方向にもガスの流れ(拡散)が顕著である例を示す。
【0092】
比較例1、2と本発明の実施例1〜16とを比較すれば、短冊形状集電体を採用している本発明の燃料電池のセル電圧が優れていることが分かる。なかでも、本発明の最良形態(実施例1〜4、11、14、及び15)のセル電圧は、比較例1、2のセル電圧に比して、特に優れていることも分かる。
【0093】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態(実施例1〜16)について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0094】
(1)以上に示した実施形態では、燃料極集電体80を燃料ガス流れ方向に2個配置し、または、燃料極集電体80を燃料ガス流れ方向に3個配置したが、R1〜R4の条件を満たすように、4個以上の燃料極集電体80を配置してもよい。
【0095】
(2)以上に示した実施形態では、同じ寸法の燃料極集電体80を燃料ガス流れ方向に複数個ずつ、各々の燃料極集電体80の燃料ガス流れ方向に直交する方向(つまり、短冊形状の燃料極集電体80の短辺方向)の位置が一致するように配置したが、図8に示すように、短辺方向の長さが同じで長辺方向の長さが異なる燃料極集電体80を、各々の燃料極集電体80の燃料ガス流れ方向に直交する方向に交互に配置してもよい。
【0096】
(3)上記実施形態において、燃料極29側ではなく、酸化剤極35側に短冊形状に形成した集電体(酸化剤極集電体41)を配置してもよい。すなわち、酸化剤極35側に多孔質金属により形成された集電体(酸化剤極集電体41)を配置して成る固体酸化物形燃料電池1において、集電体(酸化剤極集電体41)は、短冊形状に形成され、短冊形状の長辺が、酸化剤ガス流れ方向と同じ方向となるように、短冊形状の短辺方向に複数配置するのである。
【0097】
このようにしても、燃料極29側に短冊形状の燃料極集電体80を配置した場合と同様に酸化剤極の劣化を防止することができる。
(4)燃料電池スタック5は、導電するインターコネクタを用いて単セルを複数積層してなる集合体である。また、固体酸化物形燃料電池1は、一枚の単セル、あるいは複数の単セルの集合体(スタック)から構成され、電力を外部へ出力できる発電装置である。
【0098】
上記実施形態では、燃料電池セル3(いわゆる単セル)を複数個積層した燃料電池スタック5を用いていたが、燃料電池セル3以外に、改質層、燃焼層あるいは支持層などの補助層を積層してもよい。
【0099】
ここで、改質層とは、原料ガスを改質し、水素を生成する触媒機能を有する層であり、燃焼層とは、燃料電池スタックで発電に使用した燃料ガスと酸化剤ガスを燃焼させて無害化するための層であり、支持層とは、積層した各層の強度を保つための層である。また、1つの燃料電池セル3に燃焼層、改質層あるいは支持層などを設けることも考えられる。
【符号の説明】
【0100】
1…固体酸化物形燃料電池、3…固体酸化物形燃料電池セル(燃料電池セル)、5…固体酸化物形燃料電池スタック(燃料電池スタック)、7…第1エンドプレート(エンドプレート)、9…第2エンドプレート(エンドプレート)、11,13,15,17,19,21,23,25…固定部材、11a,13a,15a,17a,19a,21a,23a、25a…ボルト、11b,13b,15b,17b,19b,21b,23b,25b…ナット、27…燃料ガス流路、29…燃料極、30…燃料極支持体、31…固体電解質体、33…空気流路、35…酸化剤極、37…セル本体(燃料電池セル本体)、39…コネクタプレート、41…酸化剤極集電体、43…酸化剤極フレーム、45…絶縁フレーム、47…セパレータ、49…燃料極フレーム、51…枠部、53,55,57,59,61,63,65,67…貫通孔、77,79…出力用導電部材、80…燃料極集電体、91…燃料入口、93,99,105,111…中空部、95,107…横穴、101…燃料出口、103…空気入口、113…空気出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物電解質層を隔てて燃料極及び酸化剤極がそれぞれ形成された燃料電池セルからなる固体酸化物形燃料電池であって、
前記燃料極側に多孔質金属により形成された集電体が前記燃料極と電気的に接触して配置されており、
前記集電体は、短冊形状であり、さらに、
前記集電体の長辺が、前記燃料極を流れる燃料ガスの上流側から下流側へ向かう方向に沿う方向に配置され、かつ、前記集電体は、前記短冊形状の短辺方向に沿って所定の間隔で複数配置されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
【請求項2】
前記短冊形状の短辺方向に複数配置されている集電体のそれぞれの集電体は、1つの集電体及び/又は2つ以上の、長辺方向に直列に配置された短冊形状の集電体からなり、
前記1つの集電体の長辺長さの前記燃料極の燃料ガス流れ方向における長さに対する比、又は前記2つ以上の、長辺方向に直列に配置された集電体の長辺長さの合計の前記燃料極の燃料ガス流れ方向における長さに対する比は、0.9≦R1≦1.0であり、
かつ、前記2つ以上の、長辺方向に直列に配置された集電体のいずれの長辺長さの前記燃料極の燃料ガス流れ方向における長さに対する比は、R2≧0.3であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
前記集電体の短辺の長さの、前記燃料極の燃料ガス流れ方向における前記燃料極長さに対する比は、0.05≦R3≦0.2であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
前記短冊形状の短辺方向に配置された複数の集電体のうち、前記短冊形状の短辺方向に隣り合ういずれか二つの集電体間の間隔の前記燃料極の燃料ガス流れ方向における長さに対する比は、0.02≦R4≦0.05であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
前記集電体は、
平均気孔径が0.5〜1.5mmの金属多孔体で形成される請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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