説明

固体高分子型燃料電池の製造方法、及び製造装置

【課題】ガス拡散層を通じて燃料ガス及び酸素ガスが触媒電極層に供給されて発電する固体高分子型燃料電池の製造方法において、発電特性の向上に貢献する触媒電極の成形技術を提供する。
【解決手段】固体高分子型燃料電池の製造技術において、ガス拡散層23の連続シートを走行させる工程と、溶媒を揮発させると前記触媒電極層が形成される微粒子分散インクを走行中の前記連続シートの片面に塗工する塗工手段34を動作させる工程と、この塗工手段34の反対側に位置する不活性ガス吹付手段35から不活性ガスを吹き付ける工程と、前記溶媒を揮発させて前記触媒電極層を前記連続シートの片面に定着させる工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池の製造技術に関し、特に、高分子電解質膜とガス拡散層との間に位置する触媒電極層を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜を触媒電極層により挟んで構成され、酸素ガス(空気)を一方の触媒電極層(カソード電極)に供給し、水素ガスを他方の触媒電極層(アノード電極)に供給し、電極反応により発電するものである。
さらに、これらのガスを配送するガス流路の開口と、対向する触媒電極層とで挟む位置には、多孔質のガス拡散層が設けられ、触媒電極の表面にガスが均一に供給されて発電が効率良くなるように構成されている。
【0003】
そして、固体高分子型燃料電池の製造は、ガス拡散層の片面上に触媒電極層を設け、二枚のガス拡散層を触媒電極層が向かい合う状態にして間に高分子電解質膜を挟持し、ホットプレスによりこれらを一体化させる工程を含むのが一般的である。
また、触媒電極層を形成する方法は、この触媒電極層の構成要素である触媒担持カーボン微粒子等が有機溶媒に分散してなる溶液(微粒子分散インク)をまず作製する。そして、この微粒子分散インクをガス拡散層の表面に塗布してから有機溶媒を揮発させ、その表面上に堆積した触媒担持カーボン微粒子等が触媒電極層を形成する。
【0004】
ところで、従来の触媒電極層を形成する工程において、塗布した微粒子分散インクが多孔質のガス拡散層の内部に浸入する場合がある。この場合、形成された触媒電極のうちガス拡散層とのオーバーラップ領域が多くなると、電極反応が阻害されて発電効率が低下する問題がある。
【0005】
係る問題を解決するための公知技術がいくつか開示されている。その一つとして、微粒子分散インクの溶媒の量を調整し、その粘度を高くすることによりガス拡散層の内部への浸入量を制御する技術が公知になっている(例えば、特許文献1参照)。また、固体高分子電解質のコロイド分散液に触媒担持カーボンを配合して互いに吸着・凝集させ、微粒子分散インクが、ガス拡散層へ内部浸入しにくくする技術が公知になっている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−220741号公報
【特許文献2】特開平7−183035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明では、微粒子分散インクの粘度を高くした結果、ガス拡散層の表面に塗布することが困難となり、設計通りの触媒電極層が成形されず発電特性が低下する問題が発生する。
また、特許文献2の発明では、微粒子分散インク中に、電極反応に好ましくない成分を添加することとなり発電特性の低下の原因となる問題が発生する。
本発明は前記した問題を解決することを課題とし、発電特性の向上に貢献する触媒電極層を成形する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために本発明は、高分子電解質膜の両側に配置される一対の触媒電極層にそれぞれ燃料ガス及び酸素ガスがガス拡散層を通じて供給される固体高分子型燃料電池の製造方法であって、前記ガス拡散層の連続シートを走行させる工程と、溶媒を揮発させると定着層が形成される微粒子分散インクを走行中の前記連続シートの片面に塗工する工程と、前記微粒子分散インクが塗工される前記片面の位置とは反対側の前記連続シートの位置に不活性ガスを吹き付ける工程と、前記溶媒を揮発させて前記定着層を前記連続シートの片面に定着させる工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、前記微粒子分散インクとしては、溶媒を揮発させて形成される前記定着層が、前記触媒電極層に該当するものである場合や、溶媒を揮発させて形成される前記定着層が、前記触媒電極層の下地層に該当するものである場合がある。
【0008】
このように発明が構成されることにより、ガス拡散層の連続シートの反対側から吹き付けられる不活性ガスにより、連続シートの表面に塗工されてガス拡散層内部へ微粒子分散インクが侵入することを防ぐ。これにより、微粒子分散インク中の溶媒が揮発して形成される定着層と、ガス拡散層とのオーバーラップ領域が少なくなる。これにより、微粒子分散インクは、高粘度のものに限定される必要がなくなるので定着層の塗工性が向上する。さらに、微粒子分散インクに、ガス拡散層への浸入防止のための余計な成分を添加する必要もない。
【0009】
さらに発明は、固体高分子型燃料電池の製造方法において、前記連続シートは、微粒子分散インクが塗工される位置よりも上流において加熱されることを特徴とする。または、前記不活性ガスは予熱されていることを特徴とする。さらに加熱と予熱の両方を実施してもよい。
【0010】
このように発明が構成されることにより、微粒子分散インクがガス拡散層に触れると短時間で溶媒が揮発し、定着層が形成される。これにより、ガス拡散層と、その表面に形成される定着層とのオーバーラップ領域を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、触媒電極層における燃料ガス及び酸素ガスの電極反応が阻害されることがないために、発電特性を向上に貢献する固体高分子型燃料電池の製造技術が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した結果として製造される固体高分子型燃料電池の一例を示す。
図1(a)の断面図に示すように、固体高分子型燃料電池10(以下、単に「燃料電池10」という)は、接合体20の両面に、一対のセパレータ11c,11aが配置され構成される。
【0013】
セパレータ11c,11aは、導電性を有するとともにガス不透過性を有する板であり、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものが知られている。
セパレータ11cは、接合体20のカソード電極22cの側に接して設けられ、その界面には、空気(酸素)が流動する断面凹形状の酸素ガス流路12cが刻まれている。
セパレータ11aは、接合体20のアノード電極22aの側に接して設けられ、その界面に燃料ガス(水素)が流動する断面凹形状の燃料ガス流路12aが刻まれている。
【0014】
接合体20は、高分子電解質膜21と、この高分子電解質膜21の両面に積層されたカソード電極22c及びアノード電極22a(以下、単に「触媒電極層22」という場合がある。)と、これら触媒電極層22の上に積層された一対のガス拡散層23c,23aから構成される。
【0015】
高分子電解質膜21は、プロトン(水素イオン:H)の導伝性を有する固体高分子膜であって、例えばプロトン交換膜であるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が一般に使われている。
触媒電極層22(カソード電極22c,アノード電極22a)は、高分子電解質膜21の両面に密着し、これを支持している。そして、カソード電極22c及びアノード電極22aは、イオン(プロトン)導電性樹脂に、触媒粒子が分散して構成されている。ここで、触媒粒子とは、白金族金属(一般には白金)等の触媒金属がカーボンの担体に担持されて形成されたものである。
【0016】
ガス拡散層23(23c,23a)は、酸素ガス流路12c及び燃料ガス流路12aを流動する酸素ガス及び燃料ガス(水素ガス)を、隣接する触媒電極層22(22c,22a)の方向に拡散移動させ、その表面に均一に供給させるものである。
このガス拡散層23(23c,23a)は、それぞれの両側に位置する触媒電極層22(22c,22a)とセパレータ11(11c,11a)との間の電子移動を媒介する役目も果たすので、一般にカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等のカーボン系の多孔質の導電性材料から形成されている。
【0017】
図1(b)は、図1(a)中のA矢示部の拡大図である。
触媒電極層22は、後に詳述するが、粘性の低い微粒子分散インクを塗布し脱溶媒することにより多孔質のセパレータ11の表面に形成されるものである。このために、触媒電極層22の一部と、ガス拡散層23の一部とが重なり合う、オーバーラップ領域24が形成されている。
このオーバーラップ領域24は、ガス拡散層23の実効容積を減容してガス拡散機能を減殺する原因になるが、触媒電極層22とガス拡散層23との密着性を向上させる点において酸素イオンやプロトンの円滑な移動を促進させる。このために、オーバーラップ領域24は、均一に薄く設けることが、燃料電池10の発電性能を向上させる点において好ましい。
【0018】
図1(c)は、燃料電池の他の例におけるA矢示部に相当する部分の拡大図である。
ここで下地層25は、触媒電極層22とガス拡散層23との間に設けられるもので、前記したオーバーラップ領域24(図1(b))が生じないようにするとともに、密着性を良好にし、燃料電池10の発電性能を向上させるものである。
【0019】
次に燃料電池10における発電メカニズムについて説明する。
まず酸素ガス流路12cに、空気が流動すると、酸素がガス拡散層23cの内部を拡散してカソード電極22cの界面に到達する。そして、カソード電極22cに含まれる触媒粒子の働きにより、界面に酸素が到達して、酸素イオンが生成する。この生成した酸素イオンは、後記するアノード電極22a側から供給されるプロトンと、外部負荷を通して供給される電子と結合して水を生成し、次式に示されるような電極反応(カソード反応)を生じさせる。
2H+1/2・O+2e→HO (1)
【0020】
次に、燃料ガス流路12aに燃料ガス(水素ガス)が流動すると、水素がガス拡散層23aの内部を拡散してアノード電極22aの界面に到達する。そして、アノード電極22aに含まれる触媒粒子の働きにより、水素分子がプロトンと電子に分離する次式に示される電極反応(アノード反応)が生じる。
→2H+2e (2)
【0021】
そして、このアノード反応で発生した電子は、外部負荷(図示せず)を経由して、カソード電極22cに供給される。また、アノード反応で発生したプロトンは、高分子電解質膜21を横断して、カソード電極22cに到達する。そして、これらプロトン及び電子は前記したカソード反応に供されることになる。このようにして、燃料電池10では、全体として次式に示される電極反応が進行するとともに発電する。
+1/2・O→HO (3)
【0022】
図2及び図3を参照して、ガス拡散層23の片面に触媒電極層22を形成する方法について説明する。
図2に示されるガス拡散層の表面塗工装置30は、ガス拡散層23の連続シートが巻回してなるロールを回転自在に保持する保持手段31と、この保持手段31から走行する連続シートを下流の位置で巻き取る巻取手段32と、走行する連続シートを案内する複数のガイド33と、触媒電極層22(図3参照)の内部に残留する溶媒を除去するための乾燥手段38と、塗工手段34と、不活性ガス吹付手段35と、加熱手段37とから構成される。
【0023】
また、ガス拡散層23の連続シートが、所定の張力が付与された状態で、所定の走行速度で一方向に流れるために、保持手段31、巻取手段32及びガイド33は、付随する走行制御手段(図示略)により適切に動作制御されている。
なお、走行するガス拡散層23の連続シートを下面から支持する支持プレート39(図3参照)が、ガイド33とガイド33の間に適宜設けられている。なお、塗工手段34と不活性ガス吹付手段35との間に位置する支持プレート39は、吹き付けられる不活性ガスの流動抵抗とならぬようにメッシュ状に構成される。
【0024】
塗工手段34は、溶媒を揮発させると触媒電極層22が定着層として形成される微粒子分散インクを走行中のガス拡散層23の連続シートの片面に塗工するものである。
この塗工手段34には、微粒子分散インクを収容するための図示しないインク容器に接続されている。このインク容器に充填される微粒子分散インクは、有機溶媒中に、イオン導電性樹脂、及び触媒粒子が均一に分散したものである。
【0025】
不活性ガス吹付手段35は、走行中のガス拡散層23の連続シートを挟んで塗工手段34の反対側に配置され、微粒子分散インクが塗工される連続シートの片面の位置とは反対側の連続シートの位置に不活性ガスを吹き付けるものである。
このように吹き付けられる不活性ガスにより、ガス拡散層23の表面に塗工されその内部へ微粒子分散インクが侵入するのを防ぎ、ガス拡散層23の表面上で溶媒が揮発して触媒電極層22となる。これにより、触媒電極層22は、ガス拡散層23とのオーバーラップ領域24(図1(b)参照)を少なく構成することができる。
吹き付けられる不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等が好適であり、さらに公知の手段で予熱されていることが望ましい。この不活性ガスが予熱されていることにより、微粒子分散インクから溶媒の揮発が促進され、オーバーラップ領域24を少なくすることに寄与する。
【0026】
加熱手段37は、塗工手段34が配置される位置よりも上流側でかつ保持手段31の位置よりも下流側に配置され、ガス拡散層23の連続シートを加熱するものである。このように、微粒子分散インクが塗工される前に、ガス拡散層23の連続シートが予熱されることにより、微粒子分散インクから溶媒の揮発が促進され、オーバーラップ領域24を少なくすることに寄与する。
【0027】
図3は、走行するガス拡散層23の表面に触媒電極層22が形成されるプロセスの説明図である。
図3において左から右に向かって支持プレート39上を一定速度で走行しているガス拡散層23の連続シートは、加熱手段37において所定の温度に予熱される。次に、塗工手段34から低粘性の微粒子分散インクがこのガス拡散層23の表面に滴下されると、多孔質のガス拡散層23の内部に浸入しようとする。しかし、不活性ガス吹付手段35から吹き付けられる不活性ガスにより侵入を防ぎ、この不活性ガス及びガス拡散層23の予熱により粒子分散インク中の溶媒の揮発が促進される。その結果、ガス拡散層23の片面に触媒電極層22がオーバーラップ領域24(図1(b)参照)の少ない定着層として形成されることになる。そして、下流に設置される乾燥手段38(図2参照)により残留する溶媒が除去され、最終的に巻取手段32により巻き取られることになる。
【0028】
巻取手段32においてロール状に成形され、片面に触媒電極層22が固定されたガス拡散層23は、その後、適切な大きさに切断される。そして切断された二枚のものが、触媒電極23の側で接するように高分子電解質膜21(図1参照)の両面を挟持し、この状態で加熱圧着させることにより接合体20となる。
なお、前記した微粒子分散インクは、溶媒を揮発させて形成される定着層が、触媒電極層22であるものを例示したが、これに限定されることはない。例えば、微粒子分散インクは、溶媒を揮発させて形成される定着層が、触媒電極層22の下地層25(図1(c)参照)である場合もある。
【実施例】
【0029】
(微粒子分散インクの調整)
触媒粒子と純水を混合後、含フッ素イオン交換樹脂溶液、エタノール溶媒をそれぞれ添加して撹拌した。触媒粒子にはJohnson Matthey社製HiSPEC1000を使用した。含フッ素イオン交換樹脂溶液は、触媒量に対する含フッ素イオン交換樹脂量が15.0wt%となるようにDuPont社製のNafion DE2020を添加した。エタノールは微粒子分散インク中の固形分濃度が20.0%となるように添加した。このようにして調整された微粒子分散インクの粘度は76mPa・sであった。
【0030】
(微粒子分散インクのガス拡散層への塗工)
<実施例1>
ガス拡散層の上に触媒電極層を形成する方法を示す(図1(b)参照)。ガス拡散層は東レ社製TGP-H-060(厚さ194μm)の上に、触媒Pt量が0.5mg/cm2となるよう微粒子分散インクをスプレー塗工した。塗工前から塗工終了まで、塗工面の反対側からガス拡散層に1cm2あたり0.1L/minとなるよう窒素ガス(不活性ガス)を吹き付け続けた。
加熱手段によるガス拡散層の予備加熱条件を50℃の温度設定とし、窒素ガスの予備加熱条件を80℃の温度設定とした。微粒子分散インクのガス拡散層への浸入(オーバーラップ領域)は約30μmであった。
<実施例2>
ガス拡散層の予備加熱条件を80℃の温度設定とし、窒素ガスの予備加熱条件を200℃の温度設定とした以外は、実施例1の条件と同じである。微粒子分散インクのガス拡散層への浸入(オーバーラップ領域)は約10μmであった。
<実施例3>
ガス拡散層の予備加熱条件を100℃の温度設定とし、窒素ガスの予備加熱条件を100℃の温度設定とした以外は、実施例1の条件と同じである。微粒子分散インクのガス拡散層への浸入(オーバーラップ領域)は約25μmであった。
<比較例1>
ガス拡散層の予備加熱条件を50℃の温度設定とし、窒素ガスの予備加熱条件を50℃の温度設定とした以外は、実施例1の条件と同じである。微粒子分散インクのガス拡散層への浸入(オーバーラップ領域)は約70μmであった。
<比較例2>
ガス拡散層の予備加熱を実施せず、さらに窒素ガスの吹き付けも実施せず、自然乾燥させた以外は、実施例1の条件と同じである。微粒子分散インクのガス拡散層への浸入(オーバーラップ領域)は約100μmであった。
【0031】
(電極形成)
作製した実施例1〜3,比較例1,2の触媒電極層付ガス拡散層を用いて、高分子電解質膜(DuPont社製のNafion NRE212)の両面を挟持し、100℃の温度設定において40kg/cm2の圧力で転写し、その後さらに、130℃の温度設定において30kg/cm2の圧力で転写することにより接合体を作製した。
【0032】
(発電特性)
発電条件として、セル温度を80℃、水素極及び空気極の湿度をともに100%、水素利用率及び空気利用率をともに50%、水素圧及び空気圧をともに50%に設定し、1A/cm2における発電性能を測定した。
そうしたところ、実施例1は0.61V、実施例2は0.62V、実施例3は0.61V、比較例1は0.55V、比較例2は0.49Vとする測定結果が得られた。
この測定結果より、不活性ガスの吹き付け、並びに、ガス拡散層及び窒素ガスの予熱による製造技術を採用することにより、固体高分子型燃料電池の発電特性が向上することが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)は本発明を適用した結果として製造される固体高分子型燃料電池の一例を示す断面図であり、(b)は(a)のA矢示部の拡大図であり、(c)は他の例に係る固体高分子型燃料電池のA矢示部に相当する部分の拡大図である。
【図2】本発明の固体高分子型燃料電池の製造装置の実施形態であるガス拡散層の表面塗工装置の全体ブロック図である。
【図3】走行するガス拡散層の連続シートの表面に触媒電極層が形成されるプロセスを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10 固体高分子型燃料電池(燃料電池)
11a,11c セパレータ
12a 燃料ガス流路
12c 酸素ガス流路
20 接合体
21 高分子電解質膜
22a(22) アノード電極(触媒電極層)(定着層)
22c(22) カソード電極(触媒電極層)(定着層)
23,23a,23c ガス拡散層
24 オーバーラップ領域
25 下地層(定着層)
30 表面塗工装置(固体高分子型燃料電池の製造装置)
31 保持手段(走行制御手段)
32 巻取手段(走行制御手段)
33 ガイド(走行制御手段)
34 塗工手段
35 不活性ガス吹付手段(吹付手段)
37 加熱手段
38 乾燥手段
39 支持プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜の両側に配置される触媒電極層にそれぞれ燃料ガス及び酸素ガスがガス拡散層を通じて供給される固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記ガス拡散層の連続シートを走行させる工程と、
溶媒を揮発させると定着層が形成される微粒子分散インクを走行中の前記連続シートの片面に塗工する工程と、
前記微粒子分散インクが塗工される前記片面の位置とは反対側の前記連続シートの位置に不活性ガスを吹き付ける工程と、
前記溶媒を揮発させて前記定着層を前記連続シートの片面に定着させる工程と、を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項2】
前記微粒子分散インクは、溶媒を揮発させて形成される前記定着層が、前記触媒電極層に該当するものであることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項3】
前記微粒子分散インクは、溶媒を揮発させて形成される前記定着層が、前記触媒電極層の下地層に該当するものであることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項4】
前記連続シートは、微粒子分散インクが塗工される位置よりも上流において加熱されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項5】
前記不活性ガスは予熱されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項6】
高分子電解質膜の両側に配置される触媒電極層にそれぞれ燃料ガス及び酸素ガスがガス拡散層を通じて供給される固体高分子型燃料電池の製造装置であって、
前記ガス拡散層の連続シートを走行させる走行制御手段と、
溶媒を揮発させると定着層が形成される微粒子分散インクを走行中の前記連続シートの片面に塗工する塗工手段と、
前記微粒子分散インクが塗工される前記片面の位置とは反対側の前記連続シートの位置に不活性ガスを吹き付ける吹付手段と、を備え、
前記溶媒を揮発させて前記定着層を前記連続シートの片面に定着させることを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−140718(P2010−140718A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314550(P2008−314550)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】