説明

固体高分子形燃料電池用膜電極接合体、固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法

【課題】触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体;フラッディングが発生しにくい触媒層を形成できる触媒層形成用塗工液;および、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】触媒層22を有する第1の電極20と、触媒層32を有する第2の電極30と、第1の電極20と第2の電極30との間に触媒層に接した状態で配置される固体高分子電解質膜40とを備え、触媒層22および触媒層32の少なくとも一方が、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂とを含み、かつカーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合が、60〜85質量%であるカーボンファイバー触媒層である膜電極接合体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体、固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は発電効率が高く、反応生成物が原理的には水だけであり、環境への負荷が小さいことから今後の普及が見込まれている。なかでも固体高分子形燃料電池は、出力密度が高いため自動車用や分散発電システム、可搬型発電システム、家庭用のコージェネレーションシステムとして広く普及することが期待されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池は、通常、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、カソードの触媒層とアノードの触媒層との間に配置される固体高分子電解質膜とを備えた膜電極接合体の両側に、ガス流路が形成された導電性のセパレータを配置してなるセルから構成される。
【0004】
該膜電極接合体の触媒層においては、電極反応で発生する水、および水素または酸素に含まれる水蒸気の凝縮による細孔の閉塞(フラッディング)を抑え、ガス拡散性を保つことが必要とされる。触媒層においてフラッディングが発生すると、膜電極接合体の発電性能(出力電圧等。)が低下する。
【0005】
触媒層におけるガス拡散性が保たれた膜電極接合体としては、下記のものが提案されている。
触媒層がカーボンファイバーを含み、触媒層中のカーボンファイバーの含有量が固体高分子電解質膜側からガス拡散層側に向かって高くなっている膜電極接合体(特許文献1)。
【0006】
しかし、該膜電極接合体は、触媒層中のカーボンファイバーの含有量が不充分であり、かつ触媒層中でのカーボンファイバーが凝集しているため、フラッディングを充分に抑えることができない。
【特許文献1】特開2006−040633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体;フラッディングが発生しにくい触媒層を形成できる触媒層形成用塗工液;および、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体を製造できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、触媒層を有する第1の電極と、触媒層を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記触媒層に接した状態で配置される固体高分子電解質膜とを備え、前記第1の電極の触媒層および前記第2の電極の触媒層の少なくとも一方が、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂とを含み、かつ前記カーボンファイバーと前記カーボン担体との合計(100質量%)のうち、前記カーボンファイバーの割合が、60〜85質量%であるカーボンファイバー触媒層であることを特徴とする。
【0009】
前記カーボンファイバー触媒層の前記固体子分子電解質膜側の半分の領域に含まれる白金量は、前記CF触媒層の全体に含まれる白金量の60〜100質量%であることが好ましい。
前記カーボンファイバー触媒層の白金量は、0.05〜0.3mg/cmであることが好ましい。
【0010】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液は、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂と、分散媒とを含み、前記分散媒が、フッ素系溶媒を含むことを特徴とする。
前記フッ素系溶媒は、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンまたはペンタフルオロプロパノールであることが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液の固形分濃度は、10〜50質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、触媒層を有する第1の電極と、触媒層を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記触媒層に接した状態で配置される固体高分子電解質膜とを備えた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であって、本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液を前記固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、前記第1の電極の触媒層または前記第2の電極の触媒層の少なくとも一方を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい。
本発明の触媒層形成用塗工液によれば、フラッディングが発生しにくい触媒層を形成できる。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法によれば、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書においては、式(1)で表される繰り返し単位を単位(1)と記す。他の式で表される繰り返し単位も同様に記す。繰り返し単位は、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
また、本明細書においては、式(2)で表される化合物を化合物(2)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
【0014】
<膜電極接合体>
図1は、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す断面図である。膜電極接合体10は、触媒層22およびガス拡散層24を有する第1の電極20と;触媒層32およびガス拡散層34を有する第2の電極30と;第1の電極20の触媒層22と第2の電極30の触媒層32との間に配置される固体高分子電解質膜40とを備えたものである。
【0015】
第1の電極20は、アノードであってもよく、カソードであってもよい。第2の電極30は、第1の電極20がアノードの場合、カソードであり、第1の電極20がカソードの場合、アノードである。
【0016】
(触媒層)
触媒層22および触媒層32(以下、まとめて触媒層とも記す。)の少なくとも一方は、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂とを含み、かつカーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合が、60〜85質量%であるカーボンファイバー触媒層(以下、CF触媒層とも記す。)である。
【0017】
触媒層22および触媒層32の一方のみがCF触媒層である場合、該CF触媒層は、カソード側の触媒層であることが好ましい。
触媒層22および触媒層32は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
【0018】
(CF触媒層)
CF触媒層は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる積層構造であってもよい。積層構造の場合、すべての層が少なくとも含フッ素イオン交換樹脂を含んでさえいれば、一部の層が前記触媒または前記カーボンファイバーを含んでいなくてもよい。
【0019】
CF触媒層に含まれる触媒は、白金がカーボン担体に担持された担持触媒である。
カーボン担体としては、活性炭、カーボンブラック等が挙げられ、化学的耐久性が高い点から、熱処理等によりグラファイト化したものが好ましい。
カーボン担体の比表面積は、200m/g以上が好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置により、カーボン表面への窒素吸着により測定する。
白金の担持量は、担持触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
【0020】
CF触媒層に含まれるカーボンファイバーとしては、PAN系カーボンファイバー、ピッチ系カーボンファイバー等が挙げられる。
カーボンファイバーの形態としては、チョップドファイバー、ミルドファイバー等が挙げられる。
【0021】
CF触媒層に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径は、5〜20μmであり、6〜15μmが好ましく、6〜12μmがより好ましい。カーボンファイバーの平均繊維径が5μm以上であれば、CF触媒層におけるフラッディングを充分に抑制できる。カーボンファイバーの平均繊維径が20μm以下であれば、本発明による分散方法で安定に分散することができる。
【0022】
CF触媒層に含まれる含フッ素イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、イオン交換基を有するパーフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)が好ましい。該パーフルオロカーボンポリマーとしては、ポリマー(H)またはポリマー(Q)が好ましい。
【0023】
ポリマー(H):
ポリマー(H)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位と、単位(1)とを有する共重合体である。
【0024】
【化1】

【0025】
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
【0026】
ポリマー(H)は、TFEおよび化合物(2)の混合物を重合して前駆体ポリマー(以下、ポリマー(F)と記す。)を得た後、ポリマー(F)中の−SOF基をスルホン酸基に変換することにより得られる。−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
【0027】
CF=CF(OCFCFX)−O−(CF−SOF ・・・(2)。
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
【0028】
化合物(2)としては、化合物(21)〜(23)が好ましい。
CF=CFO(CFn1SOF ・・・(21)、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFn2SOF ・・・(22)、
CF=CF(OCFCF(CF))m3O(CFn3SOF ・・・(23)。
ただし、n1、n2、n3は、1〜8の整数であり、m3は、1〜3の整数である。
【0029】
ポリマー(Q):
ポリマー(Q)は、TFEに基づく単位と、単位(U1)とを有する共重合体である。
【0030】
【化2】

【0031】
ただし、Qは、エーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基であり、Qは、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよいパーフルオロアルキレン基であり、Yは、フッ素原子または1価のパーフルオロ有機基である。
単結合は、CYの炭素原子と、SOHのイオウ原子とが直接結合していることを意味する。
有機基は、炭素原子を1以上含む基を意味する。
【0032】
、Qのパーフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、パーフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
パーフルオロアルキレン基の炭素数は1〜6が好ましく、直鎖状であってもよく、分岐状であってもいい。
【0033】
単位(U1)としては、単位(M1)が好ましく、単位(M11)または単位(M12)がより好ましい。
【0034】
【化3】

【0035】
ただし、RF11は、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状のパーフルオロアルキレン基であり、RF12は、炭素数1〜6の直鎖状のパーフルオロアルキレン基である。
【0036】
ポリマー(Q)は、さらに、他のモノマーに基づく繰り返し単位(以下、他の単位と記す。)を有していてもよい。
【0037】
他の単位としては、機械的強度および化学的な耐久性の点から、パーフルオロモノマーに基づく繰り返し単位が好ましく、前述の官能基を有する単位(1)、単位(M2)が好ましい。単位(M2)としては、単位(M21)または単位(M22)がより好ましい。
【0038】
【化4】

【0039】
ただし、tは、0〜5の整数であり、qは、1〜12の整数である。
【0040】
ポリマー(Q)のEWは、400〜900g乾燥樹脂/当量(以下、g/当量と記す。)が好ましく、500〜800g/当量がより好ましい。
【0041】
ポリマー(Q)の質量平均分子量は、1×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましい。
ポリマー(Q)の質量平均分子量は、TQ値を測定することにより評価できる。TQ値(単位:℃)は、ポリマーの分子量の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件でポリマーの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm/秒となる温度である。たとえば、TQ値が200〜300℃であるポリマーは、ポリマーを構成する繰り返し単位の組成で異なるが、質量平均分子量が1×10〜1×10に相当する。
【0042】
含フッ素イオン交換樹脂のイオン交換容量は、導電性およびガス拡散性の点から、1.1〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、1.25〜1.65ミリ当量/g乾燥樹脂がより好ましい。
【0043】
CF触媒層における含フッ素イオン交換樹脂(F)とカーボン(C)(カーボンファイバーおよびカーボン担体)との質量比(F/C)は、燃料電池の発電性能の点から、0.4〜1.6が好ましく、0.6〜1.2がより好ましい。
【0044】
CF触媒層においては、カーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合は、60〜85質量%であり、65〜80質量%が好ましく、65〜78質量%がより好ましい。カーボンファイバーの割合が60質量%以上であれば、CF触媒層におけるフラッディングを充分に抑制できる。カーボンファイバーの割合が85質量%以下であれば、燃料電池の発電性能を大きく損なうことはない。
【0045】
CF触媒層の固体子分子電解質膜側の半分の領域に含まれる白金量は、CF触媒層の全体に含まれる白金量の60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。白金をCF触媒層の固体子分子電解質膜側に偏在させることにより、燃料電池の発電性能を維持しつつ、CF触媒層に含まれる白金量を低減できる。
【0046】
白金がCF触媒層の固体子分子電解質膜側に偏在している場合、CF触媒層に含まれる白金量は、0.05〜0.3mg/cmが好ましく、0.1〜0.25mg/cmがより好ましい。白金量が0.05mg/cm以上であれば、燃料電池の発電性能を大きく損なうことはない。白金量が0.3mg/cm以下であれば、コストが重要な自動車等のエネルギー源として利用できる可能性が大きくなる。
【0047】
CF触媒層の厚さは、CF触媒層中のガス拡散を容易にし、固体高分子形燃料電池の発電性能を向上させる点から、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、触媒層の厚さは、均一であることが好ましい。
CF触媒層の厚さは、CF触媒層の断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMと記す。)等によって観察することにより測定する。
【0048】
(他の触媒層)
触媒層22および触媒層32の一方のみがCF触媒層である場合、他方は、公知の触媒層(以下、他の触媒層と記す。)であってもよい。
他の触媒層は、触媒およびイオン交換樹脂を含む層である。
【0049】
触媒としては、燃料電池における酸化還元反応を促進するものであればよく、白金を含む触媒が好ましく、白金または白金合金がカーボン担体に担持された担持触媒がより好ましい。
【0050】
白金合金としては、白金を除く白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム。)、金、銀、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、およびスズからなる群から選ばれる1種以上の金属と、白金との合金が好ましい。該白金合金には、白金と合金化される金属と、白金との金属間化合物が含まれていてもよい。
白金または白金合金の担持量は、担持触媒(100質量%)のうち、10〜70質量%が好ましい。
【0051】
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン性基を有するパーフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましい。該パーフルオロカーボンポリマーとしては、上述のポリマー(H)またはポリマー(Q)が好ましい。
【0052】
他の触媒層における含フッ素イオン交換樹脂(F)とカーボン(C)(カーボン担体)との質量比(F/C)は、燃料電池の発電性能の点から、0.4〜1.6が好ましく、0.6〜1.2がより好ましい。
【0053】
他の触媒層に含まれる白金量は、電極反応を効率よく行うための最適な厚みの点から、0.01〜0.5mg/cmが好ましく、原料のコストと性能とのバランスの点から、0.05〜0.35mg/cmがより好ましい。
【0054】
他の触媒層の厚さは、他の触媒層中のガス拡散を容易にし、固体高分子形燃料電池の発電性能を向上させる点から、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、触媒層の厚さは、均一であることが好ましい。
他の触媒層の厚さは、他の触媒層の断面をSEM等によって観察することにより測定する。
【0055】
(ガス拡散層)
ガス拡散層24およびガス拡散層34(以下、まとめてガス拡散層とも記す。)は、ガス拡散性基材からなる層である。ガス拡散層24およびガス拡散層34は、成分、組成、厚さ等が同じ層であってもよく、異なる層であってもよい。
ガス拡散性基材としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
【0056】
ガス拡散層の厚さは、100〜400μmが好ましく、120〜300μmがより好ましい。
ガス拡散層の厚さは、デジマチックインジケータ(ミツトヨ社製、543−250、フラット測定端子:φ5mm)を用いて4箇所の厚さを測定し、これらを平均して算出する。
【0057】
(マイクロポーラス層)
本発明の膜電極接合体は、触媒層とガス拡散層との間に、カーボン粒子と結着剤とを含むマイクロポーラス層(図示略)を有していてもよい。
触媒層とガス拡散層との間に、カーボン粒子を主体とするマイクロポーラス層を設けることにより、水がガス拡散層の細孔を塞ぎにくくなり、ガス拡散性の低下が抑えられる。
【0058】
マイクロポーラス層に含まれるカーボン粒子としては、カーボンブラック、カーボンファイバー類等が挙げられる。
マイクロポーラス層に含まれる結着剤としては、撥水性の含フッ素ポリマーが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)が特に好ましい。
【0059】
マイクロポーラス層は、第1の電極20および第2の電極30の両方に設けてもよく、第1の電極20および第2の電極30の一方に設けてもよい。第1の電極20および第2の電極30の一方がマイクロポーラス層を有し、他方がマイクロポーラス層を有さない場合、カソードとなる電極がマイクロポーラス層を有することが好ましい。
【0060】
(固体高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜40は、イオン交換樹脂の膜である。
イオン交換樹脂としては、耐久性の点から、含フッ素イオン交換樹脂が好ましく、イオン性基を有するパーフルオロカーボンポリマー(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)がより好ましく、上述のポリマー(H)またはポリマー(Q)がさらに好ましい。
含フッ素イオン交換樹脂のイオン交換容量は、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/g乾燥樹脂が特に好ましい。
【0061】
固体高分子電解質膜40の厚さは、10〜30μmが好ましく、15〜25μmがより好ましい。固体高分子電解質膜40の厚さが30μm以下であれば、低加湿条件での固体高分子形燃料電池の発電性能の低下が抑えられる。また、固体高分子電解質膜40の厚さを10μm以上とすることにより、ガスリークや電気的な短絡を抑えることができる。
固体高分子電解質膜40の厚さは、固体高分子電解質膜40の断面をSEM等によって観察することにより測定する。
【0062】
以上説明した膜電極接合体10にあっては、第1の電極20の触媒層22および第2の電極30の触媒層32の少なくとも一方が、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂とを含み、かつカーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合が、60〜85質量%であるCF触媒層であるため、燃料ガスの供給もスムーズに行われ、該CF触媒層におけるフラッディングが発生しにくい。これにより膜電極接合体10の発電性能が低下しにくい。
【0063】
<膜電極接合体の製造方法>
本発明の膜電極接合体の製造方法は、後述する本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液(以下、本発明の触媒層形成用塗工液と記す。)を固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、第1の電極の触媒層または第2の電極の触媒層の少なくとも一方を形成する方法である。
【0064】
膜電極接合体10の製造方法としては、たとえば、下記の方法(I)〜(II)が挙げられる。
方法(I):
下記の工程(I−1)〜(I−3)を順に行う方法。
(I−1)固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液(以下、触媒層形成用塗工液と記す。)を固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、触媒層を形成し、固体高分子電解質膜の片面に触媒層が形成された積層体(L)を得る工程。
(I−2)触媒層形成用塗工液をガス拡散性基材の表面に塗工し、乾燥させて、触媒層を形成し、ガス拡散性基材の片面に触媒層が形成された電極(E)を得る工程。
(I−3)積層体(L)の固体高分子電解質膜と電極(E)の触媒層とが接するように、積層体(L)の一方の面に電極(E)を接合し、積層体(L)の他方の面にガス拡散性基材を接合する工程。
【0065】
方法(II):
下記の工程(II−1)、(II−2)を順に行う方法。
(II−1)触媒層形成用塗工液を固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、触媒層を形成する。これを合計で2回繰り返し、固体高分子電解質膜の両面に触媒層が形成された膜触媒層接合体を得る工程。
(II−2)膜触媒層接合体の両面にガス拡散性基材を接合する工程。
【0066】
方法(I)においては、少なくとも固体高分子電解質膜の表面に塗工される触媒層形成用塗工液を、後述する本発明の触媒層形成用塗工液とする。
方法(II)においては、固体高分子電解質膜の表面に塗工される触媒層形成用塗工液の少なくとも一方を、後述する本発明の触媒層形成用塗工液とする。
触媒層が積層構造の場合、各層ごとに組成の異なる触媒層形成用塗工液を用意してもよい。
【0067】
塗工方法としては、公知の方法を用いればよい。
乾燥温度は、40〜130℃が好ましい。
接合方法としては、ホットプレス法、ホットロールプレス法、超音波融着法等が挙げられ、面内の均一性の点から、ホットプレス法が好ましい。
プレス機内のプレス板の温度は、100〜150℃が好ましい。
プレス圧力は、0.5〜4.0MPaが好ましい。
【0068】
(触媒層形成用塗工液)
本発明の触媒層形成用塗工液は、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂と、分散媒とを含む。
【0069】
分散媒は、フッ素系溶媒を含むものである。フッ素系溶媒を含むことにより、カーボンファイバーを均一に分散できる。
【0070】
フッ素系溶媒としては、フッ素系脂肪族類(1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン等。)、後述のフッ素系アルコール類等が挙げられ、カーボンファイバーの分散状態を長期間保持できる点から、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンまたは2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノールが特に好ましい。
【0071】
分散媒は、他の分散媒を含んでいてもよい。
他の分散媒としては、有機溶媒、水が挙げられ、アルコール類と水との組み合わせが好ましい。
【0072】
アルコール類としては、非フッ素系アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等。)、フッ素系アルコール類(2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール等。)等が挙げられる。
【0073】
フッ素系溶媒の割合は、分散媒100質量%のうち、2〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。フッ素系溶媒の割合が2質量%以上であれば、カーボンファイバーの分散状態を長期間保持できる。フッ素系溶媒の割合が40質量%以下であれば、塗工液の粘度が適度なものとなり、塗工性が良好となる。
【0074】
アルコール類の割合は、分散媒100質量%のうち、40〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。アルコール類の割合が40質量%以上であれば、他の分散媒成分(水、フッ素系溶媒)と均一に混合でき、カーボンファイバーの分散状態が良好となる。アルコール類の割合が80質量%以下であれば、塗工液の粘度が適度なものとなり、塗工性が良好となる。
【0075】
水の割合は、分散媒100質量%のうち、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。水の割合が5質量%以上であれば、塗工液の粘度が適度なものとなり、塗工性が良好となる。水の割合が40質量%以下であれば、カーボンファイバーの分散性が良好となる。
【0076】
本発明の触媒層形成用塗工液の固形分濃度は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%がさらに好ましい。固形分濃度が10質量%以上であれば、塗工液の粘度が適度なものとなり、塗工性が良好となる。固形分濃度が50質量%以下であれば、カーボンファイバーの分散状態を長期間保持できる。
【0077】
本発明の触媒層形成用塗工液に含まれるカーボンファイバーおよびカーボン担体の割合は、CF触媒層の構造(単層構造または積層構造)に応じて適宜調整すればよい。CF触媒層が単層構造の場合、カーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合は60〜85質量%とすればよい。CF触媒層が積層構造の場合、CF触媒層全体で、カーボンファイバーとカーボン担体との合計(100質量%)のうち、カーボンファイバーの割合が60〜85質量%となればよく、各層を形成するための触媒層形成用塗工液に含まれるカーボンファイバーおよびカーボン担体の割合は、該範囲から外れていてもよい。
【0078】
また、CF触媒層が積層構造の場合、CF触媒層に含まれる白金を固体子分子電解質膜側に偏在させることを目的に、ガス拡散層側の層を形成するための触媒層形成用塗工液として、触媒を含まない触媒層形成用塗工液を用いてもよい。
【0079】
以上説明した本発明の触媒層形成用塗工液にあっては、分散媒がフッ素系溶媒を含むため、カーボンファイバーの分散性が良好となる。そのため、カーボンファイバーの量を増やしても、カーボンファイバーの分散性を良好に維持でき、その結果、カーボンファイバーが多量にかつ均一に分散したCF触媒層を形成できる。該CF触媒層においては、燃料ガスの拡散が優れ、フラッディングが発生しにくい。
【0080】
また、以上説明した本発明の膜電極接合体の製造方法にあっては、本発明の触媒層形成用塗工液を固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、第1の電極の触媒層または第2の電極の触媒層の少なくとも一方を形成しているため、触媒層におけるフラッディングが発生しにくい膜電極接合体を製造できる。
【0081】
<固体高分子形燃料電池>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子形燃料電池に用いられる。固体高分子形燃料電池は、たとえば、膜電極接合体と、該膜電極接合体を挟んで対向して配置された一対のセパレータとからなるセルを、膜電極接合体とセパレータとが交互に配置されるようにスタックしたものである。
【0082】
セパレータは、両面にガスの流路となる複数の溝が形成されたものである。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂とを混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
固体高分子形燃料電池の種類としては、水素/酸素型燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)等が挙げられる。
【実施例】
【0083】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1〜3は比較例であり、例4〜12は実施例である。
【0084】
(平均繊維径)
各塗工液に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径は、塗工液をポリエチレンテレフタレートフィルムにアプリケーターで塗工し、乾燥させて厚さが50μmの塗膜(触媒層)を形成した後、該塗膜をマイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープ VHX−900)によって観察し、マイクロスコープ像の中から無作為に選ばれた30本のカーボンファイバーの繊維径を測定し、平均することにより算出した。
各層に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径は、該層を形成する塗工液に含まれるカーボンファイバーの平均繊維径と同じである。
【0085】
(フラッディング防止効果)
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、常圧にて、水素(利用率50%)/空気(利用率50%)を供給し、セル温度80℃において電流密度0.2A/cmおよび1.5A/cmにおける運転初期のセル電圧を測定し、電池の発電性能とフラッディングによる電圧の低下の程度を確認した。なお、アノード側には露点80℃の水素を供給し、カソード側には露点80℃の空気を供給した。
【0086】
(ポリマー(H1)分散液)
TFEに基づく単位と、下式(1−1)で表される繰り返し単位とからなるポリマー(H1)(イオン交換容量:1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノールと水との混合分散媒(エタノール/水=60/40(質量比))に分散させ、固形分濃度28質量%のポリマー(H1)分散液を調製した。
【0087】
【化5】

【0088】
(触媒層形成用塗工液(a1))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の50質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0gに、蒸留水の58.9g、エタノールの56.8g、ポリマー(H1)分散液の14.3gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(a1)を得た。
【0089】
(触媒層形成用塗工液(b1))
カーボンファイバー(昭和電工社製、VGCF−H、繊維径:0.15μm)の10.0gを蒸留水の2.1gに加え、よく撹拌した。これにエタノールの26.6gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の10.7g、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の15.6gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕し、触媒層形成用塗工液(b1)を得た。
【0090】
(触媒層形成用塗工液(b2))
カーボンファイバー(昭和電工社製、VGCF−H、繊維径:0.15μm)の10.0gを蒸留水の33.8gに加え、よく撹拌した。これにエタノールの32.2gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の10.7gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕し、触媒層形成用塗工液(b2)を得た。
【0091】
(触媒層形成用塗工液(b3))
カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の10.0gを蒸留水の2.1gに加え、よく撹拌した。これにエタノールの26.6gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の10.7g、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の15.6gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕し、触媒層形成用塗工液(b3)を得た。
【0092】
(触媒層形成用塗工液(b4))
カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の10.0gを蒸留水の4.3gに加え、よく撹拌した。これにエタノールの39.6gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の10.7g、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の22.1gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕し、触媒層形成用塗工液(b4)を得た。
【0093】
(触媒層形成用塗工液(b5))
カーボンファイバー(東レ社製、MLD30、繊維径:7μm)の10.0gを蒸留水の4.3gに加え、よく撹拌した。これにエタノールの39.6gを添加し、よく撹拌した。これにポリマー(H1)分散液の10.7g、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の22.1gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕し、触媒層形成用塗工液(b5)を得た。
【0094】
(触媒層形成用塗工液(c1))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の39質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(昭和電工社製、VGCF−H、繊維径:0.15μm)の3.1gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.8g、エタノールの37.4g、ポリマー(H1)分散液の25.3gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の24.2gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c1)を得た。
【0095】
(触媒層形成用塗工液(c2))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の57質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の11.7gに、窒素雰囲気下で蒸留水の3.7g、エタノールの58.9g、ポリマー(H1)分散液の28.1gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の35.5gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c2)を得た。
【0096】
(触媒層形成用塗工液(c3))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の34質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の1.0gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.1g、エタノールの32.3g、ポリマー(H1)分散液の24.6gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の21.5gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c3)を得た。
【0097】
(触媒層形成用塗工液(c4))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の47質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の7.4gに、窒素雰囲気下で蒸留水の2.2g、エタノールの48.3g、ポリマー(H1)分散液の26.9gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の29.9gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c4)を得た。
【0098】
(触媒層形成用塗工液(c5))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の37質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の2.2gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.5g、エタノールの35.3g、ポリマー(H1)分散液の25.1gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の23.1gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c5)を得た。
【0099】
(触媒層形成用塗工液(c6))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の31質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(大阪ガスケミカル社製、ドナカーボチョップ S−331、繊維径:18μm)の3.5gに、窒素雰囲気で蒸留水の0.4g、エタノールの39.2g、ポリマー(H1)分散液の28.5gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の25.8gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c6)を得た。
【0100】
(触媒層形成用塗工液(c7))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の39質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(東レ社製、MLD1000、繊維径:7μm)の3.1gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.8g、エタノールの37.4g、ポリマー(H1)分散液の25.3gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の24.2gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c7)を得た。
【0101】
(触媒層形成用塗工液(c8))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の33質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(東レ社製、MLD1000、繊維径:7μm)の13.4gに、窒素雰囲気下で蒸留水の2.6g、エタノールの65.3g、ポリマー(H1)分散液の38.3gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の40.9gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c8)を得た。
【0102】
(触媒層形成用塗工液(c9))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の37質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(三菱樹脂社製、Dialead K223QG、繊維径:11μm)の7.6gに、窒素雰囲気下で蒸留水の1.6g、エタノールの49.5g、ポリマー(H1)分散液の30.6gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の31.4gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c9)を得た。
【0103】
(触媒層形成用塗工液(c10))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の20質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(東レ社製、MLD1000、繊維径:7μm)の4.0gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.1g、エタノールの41.5g、ポリマー(H1)分散液の32.9gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の27.8gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c10)を得た。
【0104】
(触媒層形成用塗工液(c11))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の17質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の10.0g、カーボンファイバー(東レ社製、MLD1000、繊維径:7μm)の4.2gに、窒素雰囲気下で蒸留水の0.1g、エタノールの42.1g、ポリマー(H1)分散液の34.1gを加え、ホモジナイザーを用いて混合、粉砕した。ついで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(日本ゼオン社製、ゼオローラH)の28.4gを加え、ホモジナイザーを用いてよく分散・混合し、触媒層形成用塗工液(c11)を得た。
【0105】
(触媒層形成用塗工液(c12))
カーボン担体(比表面積:800m/g)に白金が触媒全質量の12質量%含まれるように担持された触媒(田中貴金属工業社製)の14.2gに、窒素雰囲気下で蒸留水の98.6g、エタノールの93.5gを加え、よく撹拌した。さらに、ポリマー(H1)分散液の35.7gを加え、ホモジナイザーを用いて分散・混合することにより触媒層形成用塗工液(c12)を得た。
【0106】
(アノードの作製)
市販の、マイクロポーラス層付きガス拡散性基材(SGL社製、GDL25BC)のマイクロポーラス層の表面に触媒層形成用塗工液(a1)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて触媒層を形成し、アノード(A1)を得た。
【0107】
〔例1〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c1)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.40mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b1)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが50μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L1)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の20μmには触媒は観察されなかった。
【0108】
積層体(L1)のCF触媒層に、市販のガス拡散性基材(SGL社製、GDL25BC)のマイクロポーラス層が接するように、積層体(L1)の上にガス拡散性基材を重ね、これらを、プレス温度:130℃、プレス圧力:2MPaのホットプレスにより接合した後、基材フィルムを剥離することにより、ガス拡散層付き積層体(GL1)を得た。
ガス拡散層付き積層体(GL1)の固体高分子電解質膜と、アノード(A1)の触媒層とが接するように、ガス拡散層付き積層体(GL1)の上にアノード(A1)を重ね、これらを、プレス温度:130℃、プレス圧力:2MPaのホットプレスにより接合し、電極面積が25cmである膜電極接合体を得た。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0109】
〔例2〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c2)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いた以外は、例1と同様にして積層体(L2)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の20μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L2)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0110】
〔例3〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c3)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いて乾燥後のCF触媒層の厚さが46μmになるようにした以外は、例1と同様にして積層体(L3)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の16μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L3)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0111】
〔例4〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c4)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いた以外は、例1と同様にして積層体(L4)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の20μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L4)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0112】
〔例5〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c5)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いて乾燥後のCF触媒層の厚さが46μmになるようにした以外は、例1と同様にして積層体(L5)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の16μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L5)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0113】
〔例6〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c6)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いて乾燥後のCF触媒層の厚さが70μmになるようにした以外は、例1と同様にして積層体(L6)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から40μmで、それより外側の30μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L6)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0114】
〔例7〕
触媒層形成用塗工液(c1)の代わりに触媒層形成用塗工液(c7)を用い、触媒層形成用塗工液(b1)の代わりに触媒層形成用塗工液(b3)を用いた以外は、例1と同様にして積層体(L7)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から30μmで、それより外側の20μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L7)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0115】
〔例8〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c8)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.25mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b2)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが40μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L8)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から36μmで、それより外側の4μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L8)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
〔例9〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c9)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.30mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b2)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが40μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L9)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から31μmで、それより外側の9μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L9)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0117】
〔例10〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c10)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.15mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b5)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが40μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L10)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から25μmで、それより外側の15μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L10)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0118】
〔例11〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c11)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.10mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b5)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが40μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L11)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から20μmで、それより外側の20μmには白金担持カーボン触媒は観察されなかった。
積層体(L11)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0119】
〔例12〕
基材フィルムの表面に、ポリマー(H1)分散液を、乾燥後の厚さが30μmとなるようにダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて、固体高分子電解質膜を形成した。固体高分子電解質膜の表面に、触媒層形成用塗工液(c12)を、乾燥後の触媒層中の白金量が0.10mg/cmとなるようにダイコータで塗工し、その上に重ねて、触媒層形成用塗工液(b4)を、乾燥後のCF触媒層の厚さが40μmになるように塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させてCF触媒層を形成し、積層体(L12)を得た。CF触媒層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、触媒が含まれるのはCF触媒層の膜表面から20μmで、それより外側の20μmには触媒は観察されなかった。
積層体(L12)を用いた以外は、例1と同様にして電極面積が25cmである膜電極接合体を作製した。
得られた膜電極接合体を、CF触媒層側がカソードとなるように発電用セルに組み込み、運転初期のセル電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の膜電極接合体は、定置用、自動車用等の固体高分子形燃料電池の膜電極接合体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の膜電極接合体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0123】
10 膜電極接合体
20 第1の電極
22 触媒層
24 ガス拡散層
30 第2の電極
32 触媒層
34 ガス拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒層を有する第1の電極と、
触媒層を有する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記触媒層に接した状態で配置される固体高分子電解質膜とを備え、
前記第1の電極の触媒層および前記第2の電極の触媒層の少なくとも一方が、カーボン担体に白金を担持させた触媒と、平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、含フッ素イオン交換樹脂とを含み、かつ前記カーボンファイバーと前記カーボン担体との合計(100質量%)のうち、前記カーボンファイバーの割合が、60〜85質量%であるカーボンファイバー触媒層であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項2】
前記カーボンファイバー触媒層の前記固体子分子電解質膜側の半分の領域に含まれる白金量が、前記CF触媒層の全体に含まれる白金量の60〜100質量%である、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項3】
前記カーボンファイバー触媒層の白金量が、0.05〜0.3mg/cmである、請求項2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項4】
カーボン担体に白金を担持させた触媒と、
平均繊維径が5〜20μmであるカーボンファイバーと、
含フッ素イオン交換樹脂と、
分散媒とを含み、
前記分散媒が、フッ素系溶媒を含む、固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液。
【請求項5】
前記フッ素系溶媒が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンである、請求項4に記載の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液。
【請求項6】
前記フッ素系溶媒が、ペンタフルオロプロパノールである、請求項4に記載の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液。
【請求項7】
固形分濃度が、10〜50質量%である、請求項4〜6のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液。
【請求項8】
触媒層を有する第1の電極と、
触媒層を有する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記触媒層に接した状態で配置される固体高分子電解質膜とを備えた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であって、
請求項4〜7のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液を前記固体高分子電解質膜の表面に塗工し、乾燥させて、前記第1の電極の触媒層または前記第2の電極の触媒層の少なくとも一方を形成する、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−146965(P2010−146965A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325863(P2008−325863)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】