説明

固体高分子形燃料電池用触媒粉末およびその製造方法

【課題】多孔性陽イオン交換樹脂を含む触媒粉末において、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に位置する触媒の割合を高めた固体高分子形燃料電池用触媒粉末、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】触媒担持カーボンと多孔性陽イオン交換樹脂とを含む固体高分子形燃料電池用触媒粉末であって、前記触媒担持カーボンにおける触媒担持率が30質量%以上で、前記触媒粉末に含まれる触媒に対する前記陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と前記カーボンとの接面に存在する触媒の割合が、40〜45質量%であり、前記多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.05〜0.10μmであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池用触媒粉末およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(PEFC)の単セルは、膜/電極接合体を一対のガスフロープレートで挟持した構造である。その接合体は、高分子電解質膜の一方の面にアノ−ドを、他の面にカソ−ドを接合したものである。ガスフロープレートにはガス流路が加工されている。そのアノ−ドに燃料として水素、カソ−ドに酸化剤として酸素を供給することによって、アノードでは(1)式の電気化学反応が、カソードでは(2)式の電気化学反応がそれぞれ進行する結果、電力を得ることができる。
【0003】
アノ−ド:2H→4H+4e・・・・・・・・(1)
カソ−ド:O+4H+4e→2HO・・・・・(2)
上述の電気化学反応は、反応ガス(水素または酸素)、プロトン(H)および電子(e)の授受を同時におこなうことができる反応界面でのみ進行する。そこでPEFCにおけるアノードおよびカソードには、反応界面を得るために、ガス拡散層と触媒層とで構成されるガス拡散電極が用いられる。
【0004】
ガス拡散層には、外部から供給される反応ガスを触媒層へ十分に拡散させるための経路を備えた、撥水性を付与した多孔質なカーボンペーパーなどが用いられる。触媒層は、触媒金属、カーボン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および固体高分子電解質である陽イオン交換樹脂との混合物から構成されており、白金担持カーボンと陽イオン交換樹脂溶液とを混合して製作する方法が非特許文献1に開示されている。
【0005】
ここで、触媒金属の担体であるカーボンが電子伝導チャンネルを形成し、陽イオン交換樹脂がプロトン伝導チャンネルを形成し、触媒層に設けられた細孔が反応ガスおよび生成物である水の供給排出チャンネルを形成するものである。
【0006】
一方、特許文献1では、白金担持カーボンを多孔性の陽イオン交換樹脂で被覆することによって、反応ガスが触媒金属表面まで容易に到達できるようにした触媒が開示されている。陽イオン交換樹脂の多孔化は、カーボン表面に備えられた陽イオン交換樹脂の溶液またはコロイドを相分離することによってなされる。この触媒を用いることによって、PEFCの高出力化をはかっている。
【0007】
また、特許文献2には、触媒層が触媒体と孔を有するイオン交換樹脂とを備え、触媒層の三相界面を増加させるとともに、物質移動経路を触媒層、触媒体の全体にわたって十分に確保でき、しかもイオン伝導性を低下させない、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極が開示されている。
【非特許文献1】V.A.Paganin,E.A.Ticianelli,E.R.Gonzalez,J.Appl.Electrochem.,26,297(1996)
【特許文献1】特開2001−300324号公報
【特許文献2】特開平10−241701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、PEFCのガス拡散電極の触媒層に、特許文献1や特許文献2に記載の触媒を用いた場合においても、PEFCの一般的な運転電流密度である300mA/cmにおけるセル電圧がまだ低いという問題があった。
【0009】
そこで本発明者が詳細に検討した結果、陽イオン交換樹脂を多孔化したにもかかわらず依然として電圧が低いという問題は、陽イオン交換樹脂の多孔化工程において、陽イオン交換樹脂が偏在することに起因することがわかった。
【0010】
すなわち、相分離によって多孔化する際に、陽イオン交換樹脂を含む溶液またはコロイドとカーボンとの密着性が低いために、陽イオン交換樹脂が凝集し、陽イオン交換樹脂が偏在し、カーボン表面に位置する触媒金属は、陽イオン交換樹脂に被覆されるものと被覆されないものに分かれる。
【0011】
その結果、陽イオン交換樹脂に被覆される触媒金属の割合が低下し、触媒層に含まれる触媒に対する、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面(反応サイト)に存在する触媒の割合が低下する。
【0012】
そこで、本発明の目的は、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に位置する触媒の割合を高めた固体高分子形燃料電池用触媒粉末、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、触媒担持カーボンと多孔性陽イオン交換樹脂とを含む固体高分子形燃料電池用触媒粉末であって、前記触媒担持カーボンにおける触媒担持率が30質量%以上で、前記触媒粉末に含まれる触媒に対する前記陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と前記カーボンとの接面に存在する触媒の割合が40〜45質量%であり、前記多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.05〜0.10μmであることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法において、触媒担持カーボンと陽イオン交換樹脂溶液とを混合して分散液を得る第1の工程と、前記分散液を噴霧乾燥して、前記触媒担持カーボンと前記陽イオン交換樹脂との混合粉末を得る第2の工程と、前記混合粉末に第1の溶媒を加え、前記陽イオン交換樹脂を膨潤させ、前記陽イオン交換樹脂中に取り込まれる第1の溶媒の含有率を75〜150質量%とする第3の工程と、さらに第2の溶媒を加えて、第1の溶媒と第2の溶媒とを置換する第4の工程と、ろ過、乾燥する第5の工程を経て、触媒担持カーボンの表面に多孔性陽イオン交換樹脂を備えた触媒粉末を作製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末は、反応ガスが反応サイトに位置する触媒金属表面まで容易に到達できることに加えて、触媒の利用率が高いので、300mA/cm程度の大電流でPEFCを作動させる場合のセル電圧が向上する。
【0016】
本発明の燃料電池用触媒粉末の製造方法によれば、炭素粒子表面での陽イオン交換樹脂の偏在が抑制される結果、陽イオン交換樹脂の多孔化に加えて、触媒層に含まれる触媒に対する、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に存在する触媒の割合を40〜45質量%にし、さらに、多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径を0.05〜0.10μmすることが可能となり、この製造方法で得られた触媒粉末を備えるPEFCでは、300mA/cm程度の大電流で作動させた場合のセル電圧が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、カーボン表面に密着し、固化した陽イオン交換樹脂を多孔化する新規な方法の発見に基づくものである。この方法によって、カーボン表面での陽イオン交換樹脂の偏在が抑制され、その結果、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面、すなわち反応サイトに存在する触媒の割合を向上させることが可能になる。
【0018】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末は、触媒担持カーボンと多孔性陽イオン交換樹脂とを含む触媒粉末であって、前記触媒担持カーボンにおける触媒担持率が30質量%以上で、この触媒粉末に含まれる触媒に対する陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に存在する触媒の割合が40〜45質量%であり、さらに、多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.05〜0.10μmであることを特徴とする。
【0019】
本発明で使用する触媒担持カーボンにおいて、カーボンと触媒との合計質量に対する触媒の質量の比率を「触媒担持率(質量%)」とした時、触媒担持率は30質量%以上とする必要があり、50〜70質量%の範囲が好ましい。触媒担持率が30質量%未満の場合、単位厚さ当りの触媒量が少ないので、触媒層の厚さが厚くなり、その結果、反応ガスの拡散性が低下するので、セル電圧が低下する。
【0020】
本発明において「触媒粉末に含まれる触媒に対する、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に存在する触媒の割合」とは、「触媒粉末に含まれる触媒の重量」をCtとし、「陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に存在する触媒の重量」をCrとした場合、Cr/Ct(質量%)を意味するものとし、以下では「Cr/Ct比」で表すものとする。
【0021】
本発明において、「Cr/Ct比」は、例えば、評価対象となる触媒と陽イオン交換樹脂とを含む電極を製作したのちに、その電極に担持された触媒への水素の吸脱着反応に基づく電気量を、アルゴンガス中および硫酸水溶液中で測定することにより求めることができる。
【0022】
アルゴンガス中におけるサイクリックボルタンメトリーによって求められる電気量は、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に担持された触媒上における水素の吸脱着反応に基づくものである。この方法によって得られた電気量から、この反応に関与した表面積を計算する。計算式は、つぎのとおりである。
【0023】
S=Q×a
この式では、Sが反応に関与した表面積(単位はcm)、Qが電荷量(単位はC)、aが触媒の表面1cm上における水素の吸脱着反応にともなう電気量(単位はC/cm)である。この係数aは、反応に関与する触媒が白金である場合、210×10−6である。水素の吸脱着反応は、電気化学的に活性な触媒の表面で生じるものであるので、この計算で求められた表面積は、カーボンの表面と陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路との接面に担持された触媒のみの表面積を意味するものである。この表面積をS1とする。
【0024】
つぎに、同様の方法で、同じ電極を0.5M硫酸水溶液中に浸漬してサイクリックボルタンメトリーをおこなった場合の水素の吸脱着反応による電気量を算出する。この場合は、電極が硫酸水溶液中に浸漬されているので、カーボン表面に担持された触媒は、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路との接触の有無にかかわらずすべてプロトンの授受が可能となるので、電極中に含まれる全ての触媒の表面積が算出される。この表面積をS2とする。
【0025】
上記で算出したS1とS2の値を用いることによって、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボン表面との接面に担持された触媒が、触媒粒子中に含まれる全ての触媒に占める割合(Cr/Ct比)は、つぎのように算出できる。
【0026】
Cr/Ct比=(S1/S2)×100
本発明における多孔性の陽イオン交換樹脂とは、平均孔径0.05〜0.1μmの孔を陽イオン交換樹脂表面1μm当り1個以上備えるものであり、この平均孔径は、たとえば電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)写真の画像解析によって測定することができる。
【0027】
また、本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末が、イオン交換基をもたないフッ素樹脂を含む場合には、反応で生成した水が触媒層の系外にすみやかに排出されることから、反応ガスの拡散性が著しく向上し、300mA/cmにおけるセル電圧のみならず、さらに大きな1A/cm程度の電流におけるセル電圧も向上する。
【0028】
本発明の、触媒担持カーボンの表面に多孔性陽イオン交換樹脂を備えた固体高分子形燃料電池用触媒粉末は、触媒担持カーボンと陽イオン交換樹脂溶液とを混合して分散液を得る第1の工程と、前記分散液を噴霧乾燥して、前記触媒担持カーボンと前記陽イオン交換樹脂との混合粉末を得る第2の工程と、前記混合粉末に第1の溶媒を加え、前記前記陽イオン交換樹脂を膨潤させ、前記陽イオン交換樹脂中に取り込まれる第1の溶媒の含有率を75〜150質量%とする第3の工程と、さらに第2の溶媒を加えて、第1の溶媒と第2の溶媒とを置換する第4の工程と、ろ過、乾燥する第5の工程を経ることによって作製することができる。
【0029】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法において、第1の工程で得られた分散液を、第2工程で噴霧乾燥することにより、触媒担持カーボンと陽イオン交換樹脂との混合粉末を得るが、得られた混合粉末では、炭素粒子表面での陽イオン交換樹脂の偏在がなく、炭素粒子の表面がほぼ完全に陽イオン交換樹脂で被覆される。
【0030】
そして、第3の工程で、陽イオン交換樹脂中に取り込まれる第1の溶媒の含有率を75〜150質量%とし、第4の工程で第1の溶媒と第2の溶媒とを置換し、第5の工程でろ過、乾燥することにより、炭素粒子の表面に存在する陽イオン交換樹脂が多孔化される。
【0031】
このようにして得られた本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末では、Cr/Ct比は40〜45質量%となり、また、多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径は0.05〜0.10μmの範囲となる。
【0032】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法において、第3の工程で用いる第1の溶媒の陽イオン交換樹脂への取り込み量Mが75〜150質量%の範囲とする必要がある。その取り込み量M(%)は次の(3)式で定義される。
【0033】
【数1】

【0034】
ただし、式(3)において、Mは「取り込み量」、Wwetは「第1の溶媒に接触させた後の陽イオン交換樹脂のキャスト膜の重量」、Wdryは「陽イオン交換樹脂のキャスト膜の重量」とする。
【0035】
ここでキャスト膜は、本発明で用いる陽イオン交換樹脂の5質量%溶液を10×10cmのガラス板上に20ml滴下したのちに、120℃で10分間乾燥し、ガラス板より剥離することによって製作する。その膜を、50×50mmの正方形に切りぬいたのちに、25℃、窒素雰囲気のグローブボックス中で重量測定する。この値をWdryとする。そののちに、その膜を目的とする溶媒中に5分間、25℃で浸漬したのちに、表面の溶媒をろ紙でふきとり、同様に重量測定する。この値をWwetとする。
【0036】
この取り込み量は、溶媒の種類を変えること、溶媒の濃度を変えること、および溶媒の混合比を変えることによって制御することができる。
【0037】
このようにして、第3の工程で、炭素粒子表面の陽イオン交換樹脂に、第1の溶媒が75〜150質量%の範囲で取り込まれることによって、陽イオン交換樹脂を膨潤させ、第4の工程で、第1の溶媒を第2の溶媒で置換することによって、炭素粒子表面に、均一かつ多孔性で、その平均孔径が0.05〜0.10μmの範囲にある陽イオン交換樹脂を存在させることができる。
【0038】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法の第3の工程および第4の工程において、触媒担持カーボンと陽イオン交換樹脂とを含む粉末と、第1の溶媒または第2の溶媒との接触は、その粉末をそれらの溶媒に浸漬することにより、または、その粉末にそれらの溶媒を噴霧もしくはシャワーすることによりおこなうことができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明の触媒粉末の製造方法を用いることによって、触媒担持カーボンおよび陽イオン交換樹脂を備える粉末の陽イオン交換樹脂を多孔化することが可能となる。陽イオン交換樹脂は炭素粒子表面を均一に被覆し、固化しているので、カーボンとの密着性が高くなり、その結果、陽イオン交換樹脂を多孔化しても偏在しない。その結果、分厚い陽イオン交換樹脂に被覆され、反応ガスが十分に供給されない触媒の存在や、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンとの接面に存在する触媒の偏在による電流分布の不均一によってセル電圧が低くなることが抑制される。
【0040】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末に用いるカーボンは、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどを使用することができ、特に比表面積が大きいことから、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどを使用することができる。
【0041】
本発明に用いる陽イオン交換樹脂としては、パーフルオロカーボンスルホン酸形陽イオン交換樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン系のスルホン酸形陽イオン交換樹脂またはイオン交換基としてカルボキシル基を備えた陽イオン交換樹脂などが好ましい。
【0042】
本発明に用いる触媒としては、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスニウムなどの白金族金属、金、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、スズなど金属の単体、またはこれらの金属の合金の金属粒子を使用することができる。これらの触媒は、カーボン粒子に担持して用いる。
【0043】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末において、各構成成分のカーボンに対する割合は、陽イオン交換樹脂は25〜100質量%、撥水剤は25〜100質量%であることが好ましい。また、触媒粉末の平均粒子径は0.5〜2.5μmであることが好ましい。
【0044】
さらに、触媒粉末の撥水性を高めるために、本発明になる触媒粉末は、イオン交換基を持たないフッ素樹脂を備えていてもよい。その場合は、白金担持カーボン、陽イオン交換樹脂溶液、およびフッ素樹脂ディスパージョンの混合物を噴霧乾燥することによって、白金担持カーボン上に陽イオン交換樹脂およびフッ素樹脂が均一に被覆された粉末が得られる。
【0045】
イオン交換基を持たないフッ素樹脂としては、FEP(Tetrafluoroethylene hexafluoropropylene copolymer)、PVdF(Poly vinylidene fluoride)およびPTFE(Poly tetrafluoroethylene)などの含フッ素ポリマーなどが好ましい。
【0046】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法で用いる第1の溶媒として、例えば、炭素数が4以下のアルコール類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトンなどのケトン類、N−メチル−2−ピロリドン、ベンゼンなどの芳香族化合物等、これらの単独もしくは混合物を使用することが可能である。
【0047】
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法で用いる第2の溶媒としては、第1の溶媒に相溶性であり、かつ、陽イオン交換樹脂が難溶性のものであればよく、例えば、水を用いることができる。また、アルコール系水酸基以外の極性基を有する有機溶媒を用いることができ、分子内にアルコキシカルボニル基を有する炭素鎖の炭素数が1から7の有機溶媒、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アリル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、メタクリル酸メチル、酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、酢酸2−エトキシエチル、酢酸2−(2−エトキシ)エチル等の単独もしくは混合物、または分子内にカルボニル基を有する炭素鎖の炭素数が4から8の有機溶媒、例えば、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルヘキシルケトン、ジプロピルケトン等の単独もしくは混合物、または分子内にカルボキシル基を有する炭素鎖の炭素数が1から5の有機溶媒、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、ターシャルブチルアミン、イソペンチルアミン、ジエチルアミン等の単独もしくは混合物、またこれらの組合せから得られるものを用いることができる。
【0048】
なかでも、第1の溶媒に相溶性でかつ、陽イオン交換樹脂に対して難溶性である第2の溶媒としては、環境負荷が少ないことから工業的にも優れている水がもっとも好ましい。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
【0050】
[実施例1〜5および比較例1〜5]
[実施例1]
第1の工程では、白金担持率が50質量%の白金担持カーボン(田中貴金属社製、10V50E:VulcanXC−72、白金50質量%)とEW1100の陽イオン交換樹脂溶液(5質量%)とを混合して分散液を製作した。つづいて、第2の工程では、この分散液を噴霧乾燥して、白金担持カーボンと陽イオン交換樹脂とを含む粉末を得た。第3の工程では、この粉末に第1の溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて、粉末中の陽イオン交換樹脂を膨潤させた。この時の陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜へのNMPの取り込み量は75質量%であった。
【0051】
さらに第4の工程では、第2の溶媒(置換用溶媒)としての水を加えて、NMPと水とを置換した混合物を得た。第5の工程では、この混合物をろ過、乾燥して、白金担持カーボン表面に多孔性陽イオン交換樹脂を備えた触媒粉末Aを得た。
【0052】
得られた触媒粉末Aにおいて、陽イオン交換樹脂とカーボンに対する陽イオン交換樹脂の割合は40質量%であった。得られた触媒粉末Aとグリセリンとを混合することによって触媒層用ペーストを製作した。このペーストをポリテトラフルオロエチレンで撥水処理をしたカーボンペーパーに塗布して、ガス拡散電極Aを製作した。
【0053】
[実施例2]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにアセトンを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を95質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の触媒粉末Bおよびガス拡散電極Bを得た。
【0054】
[実施例3]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の触媒粉末Cおよびガス拡散電極Cを得た。
【0055】
[実施例4]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにエタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を140質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の触媒粉末Dおよびガス拡散電極Dを得た。
【0056】
[実施例5]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのに2−プロパノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を150質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の触媒粉末Eおよびガス拡散電極Eを得た。
【0057】
[比較例1]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにベンゼンを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を65質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の触媒粉末Fおよびガス拡散電極Fを得た。
【0058】
[比較例2]
第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにエチレングリコールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を160質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の触媒粉末Gおよびガス拡散電極Gを得た。
【0059】
[比較例3]
白金担持カーボン(田中貴金属社製、10V50E:VulcanXC−72、白金50質量%)とEW1100の陽イオン交換樹脂溶液(5質量%)とを混合し、60℃で攪拌しながら、溶液中の陽イオン交換樹脂の濃度が20質量%になるまで濃縮し、表面に陽イオン交換樹脂溶液が付着した白金担持カーボン粒子を含むペースト状の混合物を得た。
【0060】
つぎに、この混合物を、置換用溶媒としての水を満たしたビーカーに滴下し、1時間攪拌した後、ろ過、乾燥し、白金担持カーボン表面に多孔性陽イオン交換樹脂を備えた、比較例3の触媒粉末Hを得た。得られた触媒粉末Hにおいて、陽イオン交換樹脂とカーボンに対する陽イオン交換樹脂の割合は40質量%であった。得られた触媒粉末Hを用いて、実施例1と同様にして、比較例3のガス拡散電極Hを製作した。
【0061】
[比較例4]
置換用溶媒として酢酸ブチルを用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較例4の触媒粉末Iおよびガス拡散電極Iを得た。
【0062】
[比較例5]
置換用溶媒としてエチレングリコールジメチルエーテル(EGDE)を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較例5の触媒粉末Jおよびガス拡散電極Jを得た。
【0063】
[PEFCの作製と特性測定]
実施例1〜5および比較例1〜5で得たガス拡散電極A〜Jを、固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン、膜厚約50μm)の両面にホットプレスにて接合して、膜/電極接合体(MEA)を製作した。このMEAを用いて、PEFCの単セルを得た。作製したMEA中の電極単位面積当たりの白金担持量は、別途おこなったICP分析の結果から0.5mg/cmであった。
【0064】
実施例1〜5および比較例1〜5で得た触媒粉末A〜Jについて、アルゴンガス中および硫酸水溶液中で、水素の吸脱着反応に基づく電気量を測定することにより、Cr/Ct比求めた。また、FE−SEMを用いて形態観察をおこない、陽イオン交換樹脂の表面の形成された孔の平均孔径を求め。その結果を表1にまとめた。
【0065】
【表1】

【0066】
なお、実施例1〜5および比較例1〜5で得た触媒粉末A〜Jでは、いずれも、陽イオン交換樹脂の表面1μm当り1個以上の孔を備えていることが確認された。
【0067】
ガス拡散電極A〜Jを用いたPEFCの単セルについて、電池温度70℃、空気および水素の加湿温度70℃、空気および水素の供給量を化学量論比2.5および1.25で300mA/cmにおけるセル電圧を測定した。そして、Cr/Ct比とセル電圧との関係を図1に示した。
【0068】
図1から、Cr/Ct比が40〜45質量%の範囲にある場合に、セル電圧が著しく高くなることがわかる。このCr/Ct比が40〜45質量%の範囲にある触媒粉末は、実施例1〜5の触媒粉末A〜Eであり、表1から、これらの触媒粉末における陽イオン交換樹脂表面の平均孔径は0.05〜0.10μmの範囲にある。
【0069】
また、本発明の製造方法における第1の工程と第2の工程とを経ない、比較例3〜5で得られた触媒粉末H〜Jを用いたPEFCでは、本発明の実施例1〜5のPEFCと比較して、セル電圧が低いことが明らかとなった。
【0070】
このことは、本発明の実施例1〜5で得られた触媒粉末A〜Eは、多孔性の陽イオン交換樹脂がカーボン上に偏在することなく均一に存在するので、反応ガスが反応サイトに位置する触媒金属まで容易に到達できるのに対し、比較例3〜5で得られた触媒粉末H〜Jの場合、多孔性の陽イオン交換樹脂が偏在しているので、陽イオン交換樹脂の被覆厚さが増大する結果、反応ガスの拡散性が低下することに起因するものと考えられる。
【0071】
しかしながら、比較例1の触媒粉末Fの場合、Cr/Ct比が46質量%と多いにもかかわらず、PEFCのセル電圧が低下することがわかった。このことは、溶媒の取り込み量が低いために、陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.01μmであることから、ガスの拡散性が低いことに起因するものと思われる。
【0072】
以上の結果から、Cr/Ct比が40〜45質量%であり、多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.05〜0.10μmである、多孔性陽イオン交換樹脂を含む触媒粉末を用いることにより、PEFCのセル電圧が著しく高くなることがわかった。
【0073】
[実施例6]
第1の工程では、白金担持カーボン(田中貴金属社製、10V50E:VulcanXC−72、白金50質量%)とEW1100の陽イオン交換樹脂溶液(5質量%)とFEP(Tetrafluoroethylene hexafluoropropylene copolymer)のディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル社製、FEP120J)とを混合して分散液を製作した。
【0074】
つづいて、第2の工程では、この分散液を噴霧乾燥して、白金担持カーボンと陽イオン交換樹脂とFEPとを含む粉末を得た。第3の工程では、この粉末に第1の溶媒としてのメタノールを加えて、粉末中の陽イオン交換樹脂を膨潤させた。この時の陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜へのメタノールの取り込み量は120質量%であった。
【0075】
さらに第4の工程では、第2の溶媒(置換用溶媒)としての水を加えて、メタノールと水とを置換した混合物を得た。第5の工程では、この混合物をろ過、乾燥して、白金担持カーボン表面に多孔性陽イオン交換樹脂とFEPとを備えた触媒粉末Kを得た。
【0076】
得られた触媒粉末Kにおいて、陽イオン交換樹脂とカーボンに対する陽イオン交換樹脂の割合は40質量%であり、FEPとカーボンに対するFEPの割合は50質量%であった。したがって、得られた触媒粉末Kの組成は、白金27.27質量%、カーボン27.27質量%、陽イオン交換樹脂18.19質量%、FEP27.27質量%となる。
【0077】
得られた触媒粉末Kとグリセリンとを混合することによって触媒層用ペーストを製作した。このペーストをポリテトラフルオロエチレンで撥水処理をしたカーボンペーパーに塗布して、ガス拡散電極Kを得た。
【0078】
触媒粉末KのFE−SEMを用いた形態観察の結果、触媒粉末K中の陽イオン交換樹脂には、1μm当り平均孔径0.08μmの孔を1個以上備えていることがわかった。この触媒粉末Kを用いて、実施例1と同様の方法で、PEFCの単セルKを得た。このとき、MEA中の電極単位面積当たりの白金担持量は、別途おこなったICP分析の結果から0.5mg/cmであった。
【0079】
[特性測定]
実施例6のガス拡散電極Kを用いたPEFCの単セルを「セルK」とし、実施例3のガス拡散電極Cを用いたPEFCの単セルを「セルC」とし、これらの単セルについて、実施例1の場合と同様の条件で、300mA/cmおよび1A/cmの電流密度におけるセル電圧を測定した。測定結果とそれぞれのセルの白金担持量とを表2に示した。
【0080】
【表2】

【0081】
表3の結果から、300mA/cmの電流密度において、セルCとセルKは同等のセル電圧であるが、1A/cmの高電流密度では、セルKの方が高い値を示すことがわかった。
【0082】
このことは、触媒粉末中にFEPのようなイオン交換基を持たないフッ素樹脂を含むセルKは、触媒粉末中にそのような樹脂を含まないセルCと比較して、撥水性の強いフッ素樹脂の存在によって、反応で生成した水の排出が促進された結果、高電流密度においても、ガスの拡散性が高く保たれたことに起因するものと思われる。
【0083】
[実施例7〜10および比較例6]
[実施例7]
第1の工程の白金担持カーボンにおいて、白金担持率を30質量%とし、および第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の触媒粉末Lおよびガス拡散電極Lを得た。
【0084】
[実施例8]
第1の工程の白金担持カーボンにおいて、白金担持率を40質量%とし、および第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の触媒粉末Mおよびガス拡散電極Mを得た。
【0085】
[実施例9]
第1の工程の白金担持カーボンにおいて、白金担持率を60質量%とし、および第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の触媒粉末Nおよびガス拡散電極Nを得た。
【0086】
[実施例10]
第1の工程の白金担持カーボンにおいて、白金担持率を70質量%とし、および第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例11の触媒粉末Oおよびガス拡散電極Oを得た。
【0087】
[比較例6]
第1の工程の白金担持カーボンにおいて、白金担持率を20質量%とし、および第3の工程で陽イオン交換樹脂を膨潤させるのにメタノールを用い、陽イオン交換樹脂溶液のキャスト膜への溶媒の取り込み量を120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6の触媒粉末Pおよびガス拡散電極Pを得た。
【0088】
[特性測定]
実施例3、実施例7〜10、および比較例6で得たガス拡散電極C、L〜O、およびPを、固体高分子電解質膜(デュポン社製、ナフィオン、膜厚約50μm)の両面にホットプレスにて接合して、膜/電極接合体(MEA)を製作した。このMEAを用いて、PEFCの単セルを得た。製作したMEA中の電極単位面積当たりの白金担持量は、別途おこなったICP分析の結果から0.5mg/cmであった。
【0089】
実施例3、実施例7〜10、および比較例6で得た触媒粉末C、L〜O、およびPについて、アルゴンガス中および硫酸水溶液中で、水素の吸脱着反応に基づく電気量を測定することにより求めたCr/Ct比は43であった。
【0090】
実施例3、実施例7〜10、および比較例6で得た触媒粉末C、L〜O、およびPについて、FE−SEMを用いて形態観察をおこなった結果、陽イオン交換樹脂の表面1μm当たり、平均口径0.08μmの孔を1個以上備えていることが確認された。
【0091】
ガス拡散電極C、L〜O、およびPを用いたPEFCの単セルについて、電池温度70℃、空気および水素の加湿温度70℃、空気および水素の供給量を化学量論比2.5および1.25で300mA/cmにおけるセル電圧を測定した。そして、白金担持率とセル電圧との関係を図2に示した。
【0092】
図2から、白金担持率が30質量%以上においてセル電圧が著しく高くなることがわかった。このことは、白金担持率が30質量%未満においては、白金の割合が低いので、触媒層の厚さが増大する結果、反応ガスの拡散性が低いことに起因するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】Cr/Ct比と燃料電池のセル電圧(電流密度:300mA/cm)との関係を示した図。
【図2】白金担持率と燃料電池のセル電圧(電流密度:300mA/cm)との関係を示した図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒担持カーボンと多孔性陽イオン交換樹脂とを含む固体高分子形燃料電池用触媒粉末であって、前記触媒担持カーボンにおける触媒担持率が30質量%以上で、前記触媒粉末に含まれる触媒に対する前記陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と前記カーボンとの接面に存在する触媒の割合が40〜45質量%であり、前記多孔性陽イオン交換樹脂に形成される孔の平均孔径が0.05〜0.10μmであることを特徴とする固体高分子形燃料電池用触媒粉末。
【請求項2】
触媒担持カーボンと陽イオン交換樹脂溶液とを混合して分散液を得る第1の工程と、前記分散液を噴霧乾燥して、前記触媒担持カーボンと前記陽イオン交換樹脂との混合粉末を得る第2の工程と、前記混合粉末に第1の溶媒を加え、前記陽イオン交換樹脂を膨潤させ、前記陽イオン交換樹脂中に取り込まれる第1の溶媒の含有率を75〜150質量%とする第3の工程と、さらに第2の溶媒を加えて、第1の溶媒と第2の溶媒とを置換する第4の工程と、ろ過、乾燥する第5の工程を経て、触媒担持カーボンの表面に多孔性陽イオン交換樹脂を備えた触媒粉末を作製することを特徴とする固体高分子形燃料電池用触媒粉末の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−146828(P2010−146828A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321818(P2008−321818)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(304021440)株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション (461)
【Fターム(参考)】