説明

固化燃料及びその製造方法

【課題】 各種の炉で得られる生成物を有効利用して、最終埋め立て材の減量化を図る。
【解決手段】 自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、熱分解ガス化溶融炉における熱分解ガス化炉で得られる残渣物中の炭化物、あるいは、高炉や電気炉等の各種の炉で得られる残渣物中の炭化物と、を減容固化することにより、固化燃料を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固化燃料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ASR(カーシュレッダーダスト)や、各種形式の炉から排出される残渣等の最終埋め立て材は、管理型最終処分場等に埋め立て処理されている。この最終埋め立て材(ASRや残渣)中には、塩化ビニル等のダイオキシン発生原因と考えられている物質や、重金属が含まれており、単純には焼却処理や埋め立て処理等を行うことができないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のような埋め立て処分が頻繁に行われて、埋め立て可能な最終処分場が国内では著しく少なくなりつつある。このため、最終埋め立て材の発生量を抑制すること、特に、上記残渣発生量を抑制することが求められている。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、各種の炉で得られる生成物を有効に利用することにより、最終埋め立て材の減量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、熱分解ガス化溶融炉における熱分解ガス化炉部で得られる炭化物を含む第2の残渣とを、減容固化することにより、固化燃料を得ることを特徴とする、固化燃料製造方法として提供される。
【0006】
また、本発明は、自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、熱分解ガス化溶融炉における熱分解ガス化炉部で得られる炭化物を含む第2の残渣とを、減容固化したことを特徴とする、固化燃料として提供される。
【0007】
さらに、本発明は、自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、高炉又は電気炉等の各種の炉からの残渣物から得られる炭化物とを、減容固化することにより、固化燃料を得ることを特徴とする、固化燃料製造方法として提供される。
【0008】
さらに、本発明は、自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、高炉又は電気炉等の各種の炉からの残渣物から得られる炭化物とを、減容固化したことを特徴とする、固化燃料として提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を具体的に説明するに先立ち、本発明がなされるに至った経緯、原理等について説明する。
【0010】
例えば、ASRは、年間70−100万トン日本国内において発生している。その多くは埋め立て処理されている。しかしながら、上述のように、管理型処分場の容量は急激に減少している。埋め立て処分すべき最終埋め立て材の減量化として、本発明者は、種々の技術的な解決策を検討した。その1つとして、ASR等を熱分解ガス化溶融処理することを考えた。しかしながら、この方法では、最終的に炭化物やスラグが多量に発生することから、あまり現実的ではない。そこで、本発明者は、自己の発明、出願に係る特開2004−890号公報に記載の発明によるASRの燃料化を用いて、最終生成物を減量化することを考えた。即ち、ASRは保有カロリーが4000−6000キロカロリー/トンあり、石炭に匹敵している。従って、熱源として、つまり燃料として十分利用可能であることに気がついた。一方、熱分解ガス化炉から発生する炭化物(カーボン)や集塵灰は、熱量が約2000キロカロリー/トンあり、現在は基本的には、再溶融させて処理する建前になっている。しかし現実には、処理量の10%が最終生成物とされて、埋め立て最終処分されている。
【0011】
本発明者は、上記に鑑みて、ASRと、熱分解ガス化溶融炉から出る各種の物質、例えば、炭化物や集塵灰と混合し、それを減容固化し、燃料として使用することに想到した。ここで、燃料として使用するため、原料となるASRには、徹底した不純物(鉄、非鉄金属)除去処理を、例えば芯線から被覆を剥離した後に芯線を除去処理することにより行う。例えば、ASRと炭化物との混合割合は、ASR:炭化物を10:(5〜1)とする。炭化物等の割合が増えれば、その分熱量は低下する。従って、用途別に混合割合を変える必要がある。ただし、炭化物の割合が50%を越えると、減容固化が困難となる。それは、ASRは減容化の工程でバインダーの役目を果たしているが、その割合が減少すると、固化しにくくなるからである。
【0012】
本発明は、上記のような本発明者に独自の知得に基づいてなされたもので、その実施例を以下に図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1からわかるように、本発明の実施例では、自動車破砕プラントで得た材料(物質)と、一連の熱分解ガス化溶融炉処理で得た各種材料(物質)とを混合して処理をすることにより、何種類かのASR固化燃料を得ようとするものである。
【0014】
即ち、自動車破砕プラント側においては、先ず、廃自動車を例えば150mmくらいの大きさに破砕する(S1)。次に、磁気選別によって、単独での使用価値のある鉄を回収する(S2)。鉄回収後の破砕ダストとしてのASRに対して、好ましくは50mmくらいに粗破砕した後、被覆電線等に対して被覆を芯線から剥離する剥離処理を施す(S3)。これにより、ASRは、例えば、被覆と銅線等に剥離され、剥離状態においてそれらが混在した状態となる。この後、選別処理を施す(S4)。これにより、ASRが、芯材としての銅や、アルミニウム等の非鉄金属と、ゴム、プラスチック、繊維等とに分別される。前者は非鉄金属として回収される。非鉄金属回収後の後者は、5000kcalくらいの熱容量をもつもので、原固化燃料材として混合固化処理に送られる(S10)。ここで、後述のように、他の材料と共に減容してASR固化燃料が製造される。
【0015】
一方、熱分解ガス化溶融炉側について説明する。熱分解ガス化溶融炉は、図1から解るように、2つの炉部を持ち、1つは熱分解ガス化炉部であり、もう1つは溶融炉部である。まず、ASR及び廃棄プラスチック等を磁気選別して鉄を回収する(S11)。鉄回収済の材料に対して、例えば450−600℃くらいでガス化する熱分解ガス化炉処理を施す(S12)。つまり、鉄回収後のASRと廃プラスチック等を熱分解する。この熱分解後の残渣に対して篩処理を施す。これにより、小径のものとして炭化物が得られ、それよりも大径のものとしてその他の残渣物が得られる。前記その他の残渣物は、炭素以外のものであり、銅、アルミニュウム、ステンレス、真鍮等の非鉄金属と、土砂・ガラス・鉄等のその他の成分と、等を有するものである。前記炭化物は前述の混合固化処理(S10)に送られる。これにより、混合固化処理(S10)段で、前記ASR側のゴム・繊維・プラスチック等と、この炭化物とが混合処理されて、ペレット状のASR固化燃料が得られる。また、上記その他の残渣物は次段の溶融炉処理(S13)に送られる。前記溶融炉処理(S13)により最終的な残渣として溶融スラグが得られるが、このスラグの量は、前記炭化物を除したものとなるので、当然、量の少ないものとなる。これにより、埋め立て処分費用の節減と熱有効利用が同時に達成される。
【0016】
熱分解ガス化炉としては、90−100t/日の処理能力のものが多く、これを用いた場合には、ここから発生する炭化物はおよそ20t/日(集塵灰4t/日を含む)である。このうち、純粋なカーボンは20−25wt%(約4−5t/日)である。
【0017】
つまり、本発明では、熱分解ガス化溶融炉側における前記炭化物を、ASRに基づく原固化燃料材と混合し、固化して、固化燃料を作り、電気炉及び高炉助燃材として有効に利用しようとするものである。
【0018】
本発明者の実験によれば、熱分解ガス化炉に、ASR等を燃料として投入することとなるので、コークス使用量を10%、電気使用量を約5%節約できた。また、ガス炉からの廃ガス中のダイオキシン濃度は、溶解量1チャージ当り3−5%だけ固化物を投入しても、投入しない場合に比較し、変化はなかった。(しかしながら、この値は、固化物投入量を更に増加していけば当然、変化してくるのは予想できる。)
上記には、ASRに基づく原固化燃料材と、熱分解ガス化溶融炉処理の過程で得られる炭化物とを混合する例について説明した。しかしながら、上記熱分解ガス化溶融炉以外の各種の炉、例えば、電気炉や高炉等の各種の炉から得られる炭化物を、前記原固化燃料材と混合して、固化燃料とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例の処理工程図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、熱分解ガス化溶融炉における熱分解ガス化炉部からの残渣物から得られる炭化物を含む第2の残渣とを、減容固化することにより、固化燃料を得ることを特徴とする、固化燃料製造方法。
【請求項2】
自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、熱分解ガス化溶融炉における熱分解ガス化炉部の残渣物から得られる炭化物を含む第2の残渣とを、減容固化したことを特徴とする、固化燃料。
【請求項3】
自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、高炉又は電気炉等の各種の炉からの残渣物から得られる炭化物とを、減容固化することにより、固化燃料を得ることを特徴とする、固化燃料製造方法。
【請求項4】
自動車破砕物から鉄及び非鉄金属を回収した後の第1の残渣と、高炉又は電気炉等の各種の炉からの残渣物から得られる炭化物とを、減容固化したことを特徴とする、固化燃料。

【図1】
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【公開番号】特開2006−36814(P2006−36814A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214626(P2004−214626)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(593059223)
【出願人】(504281455)
【Fターム(参考)】