説明

固定された周波数動作におけるスイッチングレギュレータのデューティサイクル制御

固定された周波数(サイクルスキップなし)動作においてスイッチングレギュレータデューティサイクル制御を提供するのに用いるためのクロック発振器システムが提供される。一実施例において、この発明に従った回路はアナログフィードバックループを用い、発振器充電電流を制御することによりクロックサイクルのスイッチオン時間を延長し、これによりデューティサイクルを増加させる。好ましくはこの回路は、非常に高いデューティサイクルが必要とされる非常に低いドロップアウト動作において動作する、または非常に低いデューティサイクルが必要とされる他の状態において動作するPWMスイッチングレギュレータにおいて、非常に高いスイッチングデューティサイクルおよび/または非常に低いスイッチングデューティサイクルを達成し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
この発明は電圧レギュレータに関する。特定的には、この発明はスイッチモード電圧レギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチモードレギュレータ、またはそれらが一般に知られているようにスイッチングレギュレータ、は典型的には電圧レギュレータとして用いられる。なぜならば、それらは重い負荷で、同等の線形レギュレータ回路よりも高い効率性を発揮するからである。典型的なスイッチングレギュレータは、電源スイッチを繰返し完全にオンにし、次いで完全にオフすることによって動作し、インダクタにより最終電圧に平均化されるパルス幅変調信号を生成する。
【0003】
単純さのため、この発明は特定的には、ステップダウンコンバータの実施例において記載される。しかしながら、この発明はこの特定の実施例に限定されず、実際は任意の好適なスイッチングレギュレータ上で実現されてもよい。基本的な発明およびこの発明の代替的な実現例はさらに詳細に以下に議論されることとなる。
【0004】
図1は基本的な従来のスイッチングレギュレータシステム100を示す。図1はパルス幅変調(PWM)システムの発振されたクロック102と、インバータ104と、フリップフロップ106と、スイッチ108と、インダクタ110と、電流源112と、出力キャパシタ114と、抵抗分割器116および118と、電圧フィードバック増幅器120(または任意の好適な増幅器)と、フィードバックキャパシタ122と、電流比較器124(または任意の他の好適な比較器)とを含む。なお、好ましくはインバータ104はクロック102のONサイクルの終わりと同時にPWMスイッチをオンにする。少なくともこの点において、好ましくはクロックとPWMスイッチとは互いに位相が不一致である。
【0005】
一般的には、スイッチングレギュレータは入力電圧に比例する出力電圧を生成し、比例関係は電源スイッチでのパルス幅信号のデューティサイクルによって設定される。したがって、PWM降下電圧レギュレータのスイッチデューティサイクル(電源スイッチがオンである全スイッチングサイクルの比率)は次のように決定される。
【0006】
d=VOUT/VIN
式中、dはデューティサイクルであり、
VOUTはレギュレータ出力電圧であり、
VINはレギュレータ入力電圧である。
【0007】
電源システムの入力電圧がより小さくなるにつれて、たとえばバッテリの電圧がバッテリ使用の結果降下すると、スイッチングレギュレータは実質的に一定であるVOUTを維持するよう非常に高いクロックサイクル速度で動作させられる。クロックサイクル速度が増加し、その結果クロックサイクル時間が減少すると、動作状態によって時々必要とされるかもしれない場合に非常に高いおよび/または非常に低いスイッチオンデューティサイクルを達成するのが難しくなる。
【0008】
図2Aおよび図2Bは図1に示されるPWMシステム100のクロック102によって生成される、クロックにより発振される信号を示す。
【0009】
図3は図1に示されるPWMシステムの従来のクロック発振器300を示す。クロック発振器は充電電流源302と、発振キャパシタ304と、第1の比較器306と、スイッチ308と、放電電流シンク310と、第2の比較器312とを含む。さらに示されるのは、Vrampおよび(スイッチ308を開いたり閉じたりするために比較器306を用いてVrampと比較される)VNである。
【0010】
PWMシステムのクロック発振器300のための一定の繰り返されるスイッチングクロックサイクルを生成する最も一般的な方法は、キャパシタ電圧が事前に設定されたレベルVTH(電圧しきい値高)にまで充電されるまで充電源302を用いて発振器キャパシタ304を電流で充電し、このキャパシタがVTHに到達した後は発振器をVTL(電圧しきい値低)へとリセットするというものである。
【0011】
図2Bに示されるようなクロックサイクル時間T=T1+T2は、次の方程式を用いて得られ得る。
【0012】
【数1】

【0013】
式中、Coscは、発振器の静電容量であり、
Ichargeは充電電流であり、
Idischargeは放電電流であり、
VTHは電圧しきい値高であり、
VTLは電圧しきい値低である。
【0014】
この発振器リセット工程は全クロックサイクル時間の一部しかかからないのが好ましい。
【0015】
基本的なPWMレギュレータにおいて、PWMスイッチ108のスイッチングサイクルは、スイッチ308がT1の始まりにおいてオンになると始まる(図2A、図2Bおよび図3を参照のこと)。スイッチオンの持続期間は上述したように、PWMスイッチングレギュレータ300のVINおよびVOUTの関数であるデューティサイクルによって決定される。スイッチオンの持続期間は、T1の間の任意の時間で終わってもよい。スイッチ108がT2の始まりまでにオフに切換わらず、スイッチ308が1つのクロックサイクル(サイクルスキップなし)よりも長くオンになることを許されていないならば、典型的にはスイッチ308は発振器がリセットするT2の始まりにおいてオフにされる。
【0016】
スイッチング周波数が増加するにつれ、各クロックサイクルは非常に短くなるので、高い最大スイッチデューティサイクルのためにT2を実際に可能である限り短く保つことが不可欠である。実際には、T2はパワートランジスタスイッチ108(図1参照のこと)のオフ/オン時間によって通常決定される。
【0017】
サイクルスキップを有さない典型的な最大デューティサイクルは90%から95%の範囲にある。PWMレギュレータのVIN/VOUTの状態が、発振器が提供し得る最大のデューティサイクルよりも高いデューティサイクルを必要とすると、出力はレギュレーションを失う。この状態は、たとえばステップダウンコンバータがVOUT(出力電圧)に非常に近いVIN(入力電圧)を有する際に起こり得る。
【0018】
より高いデューティサイクルが必要とされる際に出力レギュレーションを失わないよう、最も一般的な先行技術の方策においては、T2でスイッチ308をオフにしないことでサイクルをスキップする。この方法はPWMのスイッチオン時間をより長く延長する。
【0019】
サイクルスキップの例としては以下のとおりである。すなわち、1マイクロ秒のオフ時間T2と9マイクロ秒の最大オン時間T1とを有する10マイクロ秒のクロックサイクル時間により90%の最大デューティサイクルが与えられる。レギュレータ動作が91%のデューティサイクルを必要とするならば、9マイクロ秒のオン時間が各々ある状態で、T2での9つのリセットサイクルごとに、10マイクロ秒のオン時間を有する1つの非リセットサイクルがあることとする。平均で10サイクルごとに1つあるこのサイクルスキップでは、91%のデューティサイクルがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
この方策の1つの問題は、サイクルスキップに関連付けられる低周波数変調現象のせいで厄介な可聴雑音がしばしば生成されることである。
【0021】
他の先行技術の方法では、オープンループ比較器方策が用いられる。そのシステムは、オフ時間が事前に設定されたレベルに到達するまで発振器ベースの一定の周波数PWMモードにとどまる。デューティサイクルを延長するよう、このシステムは次いで、発振器が関与しない固定されたオフ時間可変周波数モードへと切換わる。これの不利な点は、デューティサイクルが低減すると他方のモードへと戻るよう切換わるのに周波数の履歴(hysteresis)が必要とされ、急なモード変更は時にシステムの周波数の不安定さを引起すという点である。
【0022】
サイクルをスキップすることなしで、かつ急なモード変更なしで、電圧レギュレータにおいて動作するPWMシステムのクロック発振器のデューティサイクルを増加させることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
発明の概要
この発明の目的は、サイクルをスキップすることなしで、かつ急なモード変更なしで、電圧レギュレータにおいて動作するPWMシステムのクロック発振器のデューティサイクルを増加させることである。
【0024】
パルス幅変調電圧レギュレータにおいてデューティサイクルを増加させるための方法が提供される。好ましくはパルス幅変調電圧レギュレータはクロック発振器を含む。クロック発振器はキャパシタを有する。発振器はクロック信号を提供する。
【0025】
一実施例において、この方法は、充電期間の間、キャパシタを充電するよう充電電流を用いるステップと、放電期間の間、キャパシタを放電するよう放電電流を用いるステップと、望ましい場合には、充電電流のある部分を分流することにより充電期間を延長するステップとを含む。
この発明の上述した利点および他の利点は、全体にわたって同様の参照符号が同様の部分を指す添付の図面に関連して下記の詳細な説明を考慮すると明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の詳細な説明
この発明の好ましい実施例は、90%(またはある他の好適な、好ましくはあらかじめ
決定された、デューティサイクル比)よりも高いデューティサイクルでスイッチを動作させるためのシステムおよび方法を提供するのが好ましい。この発明の好ましい実施例は、図1に示される例示的なレギュレータに似た電圧レギュレータにおいて、サイクルスキップなしにこれらのより高いデューティサイクルを獲得し得る。これを達成するよう、この発明に従った回路は好ましくは、後述するように各スイッチングサイクルをリセットし、アナログフィードバックループをPWMシステムのクロック発振器システム内に組込み、スイッチオン時間を増加させつつスイッチオフ時間を一定に保つことでデューティサイクル時間を延長する。
【0027】
この回路は、T2より若干長いことが好ましい持続期間T3の基準時間を設定し、PWMスイッチオフ時間ToffをT3と比較する。VIN/VOUTの状態が90%より高いデューティサイクルを必要とする際、クロック発振器PWMスイッチは、基準T3よりも短いT2の間にオフされるまでオンになる。実際のオフ時間がT3よりも少ないのが好ましい場合、アナログフィードバックループは以下のように閉じる。
【0028】
アナログフィードバックループは好ましくは、発振器充電電流Ichargeを低減させることにより、PWMスイッチのスイッチオフ時間Toffが基準T3と同じ持続期間となるようにする高ゲインの負のフィードバック増幅器を含む。これはデューティサイクルの合計時間を延長する。T3で固定されているスイッチオフ時間に応答して、この発明は好ましくはクロックサイクルのT1を増加させることによりクロックサイクル時間を調整する。これはPWMスイッチオン時間における増加を可能とし、これにより必要とされるデューティサイクルを提供し得る。
【0029】
図4〜図8はこの発明を詳細に示す。図4はこの発明に従った、発振器回路401とループ増幅器回路402とを含むクロック発振器システム400の一実施例の概略図を示す。発振器回路401は図3に示される発振器300に対応する。増幅器401は好ましくはVclockおよびToff(PWMスイッチオフ時間)から受取られる信号に応答してそれぞれオンに切換わる(閉じる)およびオフに切換わる(開く)スイッチ414および416と、増幅器キャパシタ418と、電流源420および422と、トランジスタ424と、抵抗器426とを含む。抵抗器426は好ましくはトランジスタ424が伝導する電流の量を調整する。
【0030】
動作において、この発明に従った回路の増幅器402は発振器回路400の増幅器402によるループ応答速度制御のためのループフィルタとして働く電荷ポンプ充電増幅器キャパシタ418として実現される。スイッチ414のオン時間の間、(電流源420からの)Iupが増幅器キャパシタ418の中へと流れ込み、増幅器キャパシタ418を充電する。スイッチ416のオン時間の間、Idownが増幅器キャパシタ418から流れ出て、増幅器キャパシタ418を放電する。
【0031】
Up電荷=(Iup)x(スイッチ414オン時間)
Down電荷=(Idown)x(スイッチ416オン時間)
Vx(増幅器キャパシタ418に関連付けられる電圧電位)は好ましくは、Up電荷がDown電荷よりも高いときにのみ上昇する。さらに、Vxがトランジスタ424がオンになるしきい値を上回るまで上昇すると、トランジスタ424は導通し始め、発振器キャパシタ充電電流Icharge(源402によって提供される)を発振器キャパシタ404から奪い去る。これにより、クロックサイクルオン時間T1が延長される。このクロックサイクルオン時間の延長は、次の例においてより詳しく説明される。
【0032】
次に示すのは、増幅器401がどのようにクロックサイクルオン時間を延長し、それによりサイクルスキップなしに実効デューティサイクルを増加させ得るかということの一例
である。
【0033】
Idown=10μAおよびIup=13μAとする。
スイッチ414は図示されるように、比較器412から来るVclockによって制御される。この特定の実施例において、VclockはT1の期間および1マイクロ秒の一定のT2を提供する。
【0034】
スイッチ416はPWMシステムスイッチオフ時間Toffによって制御される。
VxはToffが1.3マイクロ秒よりも長いときは低のままである。この状態は、合計10マイクロ秒のクロックサイクルにおいて87%以下のデューティサイクルに対応する。
【0035】
システムが87%よりも高いデューティサイクルを必要とするときには、Toffは1.3マイクロ秒よりも短くされることになる。この状態において、Up電荷はDown電荷よりも大きく、Vxはトランジスタ424をオンにするよう上昇することとなり、ループは閉じ、発振器キャパシタ404を充電するIchargeを発振器回路401から奪い去る。
【0036】
Ichargeが増幅器402に向けられると、クロックサイクルオン時間T1はPWMシステムによって必要とされるより長いデューティサイクルを満たすよう延長され、Toffは負のフィードバック増幅器によって1.3マイクロ秒まで戻される。なお、クロックサイクルオン時間T1はクロックサイクルオフ時間T2を延長することなしに延長され、これによりPWMがより高いデューティサイクルを有することが効果的に可能となる。このアナログフィードバック増幅器においてパルス幅変調システムの周りをループすると、このパルス幅変調システムは自動的にサイクル延長時間の量を調整する。
【0037】
サイクル時間をこのように延長することにより、サイクルスキップの先行技術の方策に関連付けられる低周波数相互変調なしに、非常に高いPWMデューティサイクルが達成され得る。さらに、このアナログフィードバックループ方策により、デューティサイクル延長処理はスムーズであり、さらにPWMループに対して透過的である。なぜならば発振器サイクル時間のみが変更されるからである。
【0038】
さらに、このアナログフィードバックループ制御方策は、先行技術の方策のうちの1つの場合でのような急または突然のモード変更なしに、発振器で制御される切替えを常に行うことが望ましい。
【0039】
この発明の回路はさらに、デューティサイクル時間を延長しつつ、PWMスイッチオン時間を固定するよう修正され得る。この方策は好ましくは、たとえば軽い出力負荷状態においてのようにサイクルがスキップされ、電圧レギュレータがオンにならないときに、同様のサイクルスキップ可聴雑音を避ける、固定された周波数(サイクルスキップなし)の非常に低いデューティサイクルPWM動作を達成する。
【0040】
図5はPWMのオンデューティサイクルを延長することを少なくとも目的として、この発明に従った回路を組込むスイッチングレギュレータシステム500の概略図を示す。なお好ましくは図5に示される回路は、図1に示される従来のレギュレータ100のような電圧レギュレータにおいて図4の発振器回路401および増幅器401を実現してもよい。したがって、要素504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、および524は図1における対応する要素に似ている。さらに、なおToffはPWMスイッチオン信号の反転したものから導き出される。
【0041】
図6は、デューティサイクル低減のために用いられるこの発明に従った増幅器回路602の概略図である。この特定の実施例において、要素601、602、603、604、608、610、612、614、616、618、620、622、624、および626の各々はすべて好ましくは図4に示される同様の要素に対応する。しかしながら、デューティサイクル低減は好ましくはVclockを、PWMスイッチオフ時間の代わりにスイッチ614および616でのPWMスイッチオン時間とそれぞれ比較することによって得られる。この実施例において、増幅器602は好ましくは1.3マイクロ秒(またはその他の好適な期間)に(スイッチオフ時間の代わりに)PWMスイッチオン時間を維持する。このやり方でPWMスイッチオン時間を制限することにより、デューティサイクルは低減され、相対的に低いレベルで維持され得る。
【0042】
図7は、より低いデューティサイクルを達成する(PWMレギュレータのオンデューティサイクルを低減する)ようこの発明の回路を組込むスイッチングレギュレータシステム700の概略図を示す。スイッチングレギュレータシステム700は、PWMのオンデューティサイクルを制限するようにこの発明に従った発振器600および増幅器601を組込む。なお図7に示される回路は好ましくは、図1に示される従来のレギュレータを図6のクロック発振器600および増幅器601と組合せる。
【0043】
図7の回路は次のように動作する。
Idown=10μAおよびIup=13μAとする。
【0044】
スイッチ614は図示されるように、(図6に図示される)比較器612から来るVclockによって制御される。この特定の実施例において、VclockはT1の期間および1マイクロ秒の一定のT2を提供する。
【0045】
スイッチ616はPWMシステムスイッチオン時間Tonによって制御される。
VxはTonが1.3マイクロ秒よりも長いときは低のままである。この状態は、相対的に小さいデューティサイクルを除く任意のデューティサイクルに対応する。
【0046】
システムがこのような相対的に低いデューティサイクルを必要とする際、Tonは1.3マイクロ秒よりも短くされることになる。この状態において、Up電荷はDown電荷よりも大きく、Vxはトランジスタ624をオンにするよう上昇することとなり、ループは閉じ、発振器キャパシタ604(図7には図示せず)を充電するIchargeを発振器回路600から奪い去る。
【0047】
Ichargeが増幅器601に向けられると、クロックサイクルオン時間T1は延長される。PWMが短いスイッチオン時間を要求するのみであるのを維持しつつ、クロックサイクルオン時間を延長し、これにより合計のクロックサイクル時間を延長することで、デューティサイクルは効果的に低減される。
【0048】
図8はデューティサイクル延長および低減の両方のためのクロック発振器システム800の概略図である。この回路はクロック発振器801と増幅器802とを含む。要素801、802、804、806、808、810、812、814、818、820、824および826は図4および図6に示される対応する要素と本質的に同じである。図8の付加的な機能は付加的な論理および付加的なスイッチ817によって加えられる。付加的な論理はANDゲート824および826ならびにインバータ828および830を含む。
【0049】
図8における付加的な回路網は次のように動作する。スイッチ816は好ましくはPWMスイッチオン時間Tonによって制御され、スイッチ817は好ましくはPWMスイッ
チオフ時間Toffによって(インバータ828を介して)制御される。デューティサイクルが50%より高い場合、ANDゲート826はスイッチ817がオンになるのを可能とし、ANDゲート824はデューティサイクル延長のためにスイッチ816を無効にする。増幅器801の動作は、図5に示される回路に似たPWMスイッチ(図示せず)のスイッチオフ時間を用いてバランスが取られるので、デューティサイクル延長が得られる。
【0050】
他方では、デューティサイクルが50%(または任意の他の好適なデューティサイクル)よりも小さい場合、ANDゲート826はスイッチ817を無効にし、ANDゲート824はスイッチ816を切換える。増幅器802の動作は、図7に示される回路に似たPWMスイッチ(図示せず)のスイッチオン時間を用いてバランスが取られるので、デューティサイクル低減が得られる。
【0051】
したがって、上述したものはこの発明の原理をただ説明したものであり、この発明の範囲および精神から逸脱することがなければ当業者によってさまざまな修正がなされ得るということは理解されるであろう。この発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来のスイッチングレギュレータシステム100を示す。
【図2】図2Aおよび図2Bは、クロックにより発振された信号を示す。
【図3】図1に示されるPWMシステムの従来のクロック発振器を示す。
【図4】この発明に従ったクロック発振器システムの一実施例の概略図である。
【図5】この発明に従ったスイッチングレギュレータシステムの概略図である。
【図6】この発明に従った増幅器回路の概略図である。
【図7】この発明に従った別のスイッチングレギュレータシステムの概略図である。
【図8】この発明に従ったスイッチングレギュレータシステムのさらに別の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を提供するクロック発振器システムであって、
発振器回路を含み、前記発振器回路は、
キャパシタと、
充電期間の間、前記キャパシタを充電するよう充電電流を用いる電流源と、
放電期間の間、前記キャパシタを放電するよう放電電流を用いる電流シンクとを含み、前記クロック発振器システムはさらに、
前記充電電流のある部分を分流することにより前記充電期間を延長する増幅器回路を含む、クロック発振器システム。
【請求項2】
前記クロック発振器システムは、前記増幅器回路が前記充電期間を延長するかどうかに関係なく前記放電期間を一定に保つ、請求項1に記載のクロック発振器システム。
【請求項3】
前記クロック発振器システムはパルス幅変調スイッチングレギュレータのためにクロック信号を提供する、請求項1に記載のクロック発振器システム。
【請求項4】
前記増幅器は前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのスイッチオフ時間に応答するスイッチをさらに含む、請求項3に記載のクロック発振器システム。
【請求項5】
前記増幅器はさらに前記発振器回路の出力からの入力を含む、請求項1に記載のクロック発振器システム。
【請求項6】
スイッチング電圧レギュレータのためにクロック信号を提供するクロック発振器システムであって、
発振器回路を含み、前記発振器回路は、
キャパシタと、
充電期間の間、前記キャパシタを充電するよう充電電流を用いる電流源と、
放電期間の間、前記キャパシタを放電するよう放電電流を用いる電流シンクとを含み、前記クロック発振器システムはさらに、
前記充電電流のある部分を分流することにより前記スイッチング電圧レギュレータのデューティサイクルを低減する増幅器回路を含む、クロック発振器システム。
【請求項7】
前記クロック発振器システムは、前記増幅器回路が前記充電期間を低減するかどうかに関係なく前記放電期間を一定に保つ、請求項6に記載のクロック発振器システム。
【請求項8】
前記クロック発振器システムはパルス幅変調スイッチングレギュレータのためにクロック信号を提供する、請求項6に記載のクロック発振器システム。
【請求項9】
前記増幅器は前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのスイッチオン時間に応答するスイッチをさらに含む、請求項8に記載のクロック発振器システム。
【請求項10】
前記増幅器はさらに前記発振器回路の出力からの入力を含む、請求項6に記載のクロック発振器システム。
【請求項11】
パルス幅変調電圧レギュレータにおいてデューティサイクルを増加させるための方法であって、前記パルス幅変調電圧レギュレータはキャパシタを有するクロック発振器を含み、前記発振器はクロック信号を提供し、前記方法は、
充電期間の間、前記キャパシタを充電するよう充電電流を用いるステップと、
放電期間の間、前記キャパシタを放電するよう放電電流を用いるステップと、
前記充電電流のある部分を分流することにより前記充電期間を延長するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記増幅器回路が前記充電期間を延長するかどうかに関係なく、前記放電期間を一定に維持するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのためにクロック信号を提供するよう前記クロック発振器を用いるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのスイッチオフ時間にクロック発振器を応答させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クロック発振器システムの出力を前記クロック発振器システムへの入力として用いるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
パルス幅変調電圧レギュレータにおいてデューティサイクルを減少させるための方法であって、前記パルス幅変調電圧レギュレータはキャパシタを有するクロック発振器を含み、前記発振器はクロック信号を提供し、前記方法は、
充電期間の間、前記キャパシタを充電するよう充電電流を用いるステップと、
放電期間の間、前記キャパシタを放電するよう放電電流を用いるステップと、
前記充電電流のある部分を分流することにより前記充電期間を増加させるステップとを含み、前記充電期間を増加させる前記ステップは前記パルス幅変調電圧レギュレータの前記デューティサイクルを低減させる、方法。
【請求項17】
前記増幅器回路が前記充電期間を延長するかどうかに関係なく、前記放電期間を一定に維持するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのためにクロック信号を提供するよう前記クロック発振器を用いるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記パルス幅変調スイッチングレギュレータのスイッチオン時間にクロック発振器を応答させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記クロック発振器システムの出力を前記クロック発振器システムへの入力として用いるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−510995(P2009−510995A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534524(P2008−534524)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/030798
【国際公開番号】WO2007/040814
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(593219551)リニアー テクノロジー コーポレイション (43)
【氏名又は名称原語表記】Linear Technology Corporation
【Fターム(参考)】