説明

固定リング、およびそうしたリングを有する流体投与装置

固定リング、およびそうしたリングを有する流体投与装置
ポンプまたは弁などの投与部材(2)を、投与される流体が格納された貯蔵器(3)のネック(30)に固定するための固定リング(1)であって、前記貯蔵器(3)の前記ネック(30)と協働し、前記投与部材(2)を前記貯蔵器(3)に耐漏洩様態で固定する変形可能な密封手段(10)を有する、という前記固定リング(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与される流体成分が貯蔵された貯蔵器のネックに、ポンプまたは弁といった投与部材を固定するための固定リング、および、そうしたリングを有する流体投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵器のネックへの投与部材の固定は、従来技術において公知であり、これは特にクランピング、ネジ留め、またはスナップ留めにより実現できる。
そうした技術において、投与部材の本体を保持する固定リングは、貯蔵器のネックに固定され、前記ネックに固定されたリングの密封性を保証するよう、ネックガスケットと呼ばれる密封ガスケットが固定リングとネックとの間に挿入されている。ガスケットの存在は付加的な構成部品となって、装置の製造および組み立ては複雑化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題を生じない固定リングを提供することを目的とする。
そこで、本発明は、投与される流体が貯蔵された貯蔵器に投与部材を固定するための固定リングであって、密封ガスケットを必要としない、という固定リングを提供する。
また、本発明のもう1つの目的は、組み立てがより単純、低コスト、そして容易である、という固定リングを有する投与装置を提供することである。
【0004】
また、本発明のさらに別の目的は、固定リングが貯蔵器のネックにしっかりとスナップ留めされ、前記リングが外される可能性はない、という投与装置を提供することである。
さらに、本発明は、投与される流体が貯蔵された貯蔵器に投与部材を固定するための固定リングであって、貯蔵器のネックにおいて起こり得るいかなる寸法および/あるいは形状の偏差または誤差をも補償および/あるいは調和することが可能である、という固定リングを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、ポンプまたは弁などの投与部材を、投与される流体が格納された貯蔵器のネックに固定するための固定リングであって、前記貯蔵器の前記ネックと協働し、前記投与部材を前記貯蔵器に耐漏洩様態で固定する変形可能な密封手段を有する、という前記固定リングを提供する。
【発明の効果】
【0006】
効果的な構成として、前記密封手段は、弾性的に変形可能なリップを少なくとも1つ有することとする。
また、効果的な構成として、前記密封手段は、2つの変形可能なリップを有することとする。
また、効果的な構成として、前記密封手段は前記固定リングと一体化された形で作られていることとする。
また、効果的な構成として、前記密封手段は、前記固定リングに射出成形されていることとする。
また、効果的な構成として、リングは接触面を有するスナップ留め手段を有し、前記接触面は、前記貯蔵器の前記ネックのショルダー面と協働することで投与部材を前記貯蔵器に固定するよう作られており、前記接触面とショルダー面とはほぼ径方向であることとする。
また、効果的な構成として、リングはタレットおよび/あるいはフェルールと一体化された形で作られ、前記タレットは投与部材に固定され、前記フェルールは投与部材の休止位置を規定することとする。
また、本発明はさらに、貯蔵器と、ポンプまたは弁などの投与部材とを有する流体投与装置であって、上記の固定リングをさらに有する、という装置を提供する。
また、効果的な構成として、リングの前記密封手段により、投与部材は貯蔵器に耐漏洩様態で固定されることとする。
また、効果的な構成として、貯蔵器の前記ネックは軸方向に突き出した部分を有し、前記軸方向に突き出した部分は、固定リングの前記弾性変形可能な密封手段との協働に適していることとする。
また、効果的な構成として、固定リングの前記変形可能な密封手段は貯蔵器の前記ネックと協働し、密封状態が実現された耐漏洩接触ゾーンを形作り、前記耐漏洩接触ゾーンは少なくとも部分的に傾いていることとする。
また、効果的な構成として、前記固定リングにより、製造誤差に関連する寸法および/あるいは形状の偏差全てを補うことができることとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関する他の特徴および効果については、本発明の固定リングの2つの実施の形態を非限定的な例として示す添付の図面を参照しながら、以下、さらに詳細に説明する。
図1を参照する。図示された流体ディスペンサは、貯蔵器3と、投与部材2(その先は延びて投与ヘッド4となっている)と、そして固定リング1とを有する。
貯蔵器3には、投与される流体成分が貯蔵されている。貯蔵器3にはネック30が見られ、前記ネック30は上側エッジを形作っている。ネック30の構造および機能については、後で説明する。
【0008】
投与部材2はどんな種類であってもよいが、特に図1に示されているようなポンプ、あるいは弁にすることができる。ポンプ2は、貯蔵器のネック30に固定された環状の固定リング1により、貯蔵器3にしっかりと保持されている。具体的に言えば、ポンプ2はタレット20の中に固定することができ、前記タレット20そのものは、固定リング1により貯蔵器3に固定されている。効果的な構成として、前記タレット20は前記リング1と一体化された形で作られている。さらに、フェルール11はポンプ2の本体の中まで延び、前記ポンプの休止位置を規定している、としてもよい。また、効果的な構成として、フェルール11も前記固定リング1と一体化された形で作られている。
【0009】
投与ヘッド4には投与開口部41が見られ、流体は受けゾーン40に加えられた手動の駆動力を受け、前記投与開口部41から流出できるようになっている。投与ヘッド4の位置に置かれた内部ショルダー42は、効果的な構成として、タレット20(したがって効果的な構成として固定リング1)に形成された外部突出部12を受け止める形で設けられている。図1に示された例において、ポンプ2は駆動位置にあり、そのため、内部ショルダー42は外部突出部12に接していない。実際には、内部ショルダー42と外部突出部12との協働により、投与ヘッド4が外れる可能性は完全に回避され、この協働は、ポンプが休止位置にある場合に必ず起こるものではないが、ヘッドを外そうという試みがなされた場合には起こる。変形例において、ヘッドとリングとの協働を、ポンプの休止位置の規定のために用いることも考え得る。
【0010】
効果的な構成として、固定リング1は貯蔵器3のネック30にスナップ留めにより固定されている。固定は、前記貯蔵器3のネック30に形作られた幅広の上側エッジ(リムとも呼ばれる)の下に置かれた固定リング1のスナップ留め手段15により実現される。図2および3において、このスナップ留めにより、前記固定リング1に形成された接触面115とこれに対応する前記ネック30に形成されたショルダー面130との間の協働が実現される。好ましい実施の形態において、接触面115はほぼ径方向となる形で内向きに突き出し、ショルダー面130にはそれに対応する外側フックが形成され、この外側フックもまたほぼ径方向となっている。したがって、接触面115とショルダー面130との協働は、結果として殆ど傾斜していないか、さらには完全に径方向のプレートの上でなされる、とすることができる。このように、本実施の形態であれば、固定リング1が貯蔵器のネック30の上に永続的かつ確実に固定されることを保証し、また、組み立て品の密封性に有利な軸方向のスナップ留めの力を生み出すことができる。
【0011】
本発明において、固定リング1は変形可能な密封手段10を有し、前記変形可能な密封手段10はネック30の上側エッジと協働する。この形により、貯蔵器のネック30と固定リングとの間に挿入される密封ガスケットの使用を回避することができ、これについては、本発明の2つの好ましい実施の形態を詳細に表す図2および3を参照しながら、以下に説明する。さらに、前記形により、貯蔵器のネックの寸法および/あるいは形状に関するいかなる誤差(特にこうした貯蔵器の製造における工業的な制約に伴うもの)も補うことができる。
【0012】
図2および3を参照する。リング1の密封手段10は変形可能なリップを1つまたは2つ有し、前記変形可能なリップは、好ましい構成として前記リング1の径方向フランジ13に形成されている。そうして、リップの厚みが薄いことは、貯蔵器のネックの完全な密封と貯蔵器のネックにおける寸法および/あるいは形状のあらゆる誤差の補償との両方に役立つ。リップの厚みが薄いことにより、リップは特に満足のいく変形能を有することとなり、本発明が解決しようとする問題に十分に対処することができる。
【0013】
図2では、効果的な構成として、2つのリップは前記ネック30に形成された突出部31の両側に置かれている。
たとえば、突出部31は環状ビードを形成し、前記環状ビードは前記密封手段10と係合する、という形にすることもできる。
特に突出部の両側に2つの密封リップが存在することで、密封性とあらゆる誤差の補償との両方が向上する。具体的に言えば、こうした形での実装では、特に薄くて変形可能なリップを作ることが可能となり、それにより密封性が保証されるだけでなく、ネック、特に突出部に完全に適合することができる。
【0014】
一般的な形では、密封手段10には、ネック30と耐漏洩様態で協働するのに適した環状リングが1つまたは複数形成されている。さらに、留意すべき点として、密封手段10は、効果的な構成として前記ネック30の傾斜部32に押し付けられる形で成形されており、そのため、リング1の径方向フランジ13に対して少なくとも部分的に傾いた耐漏洩接触ゾーンが形成されている。この配置により、前記リング1の径方向フランジ13と貯蔵器3の前記ネック30との間に耐漏洩様態のクランプ接触を実現することができる。密封手段10は前記リング1に射出成形することができ、この場合、手段10をより可撓性の大きい素材で作ること、あるいは前記リング1と一体化された形で形成することができる。
【0015】
図3において、径方向フランジ13にはハウジング14が設けられている。この実装の形は、固定リング1とネック30との間の協働により生じる耐漏洩接触エリアの拡大を可能にするが、さらに、上記の誤差を補うことに関しても有利に働く。さらに、ハウジング14が変形することは、リングの易解体性に関しても有利に働く。
さまざまな変形例を考えることもできる。具体的に言えば、密封手段10の数や形状はいかなるものであってもよいし、また、貯蔵器3のネックの上側エッジ30はいかなる形状としてもよい。スナップ留め手段15は全周にわたって切れ目がない形にすることも、あるいは可撓性タブまたは変形可能なタブで形成することもできる。
【0016】
加えて、図3は、ポンプ2の本体の一部と一体化された形で作られた固定リング1を極めて概略的に示している(本発明は、固定リングが必ずしも別個の部品でない場合であっても適用され得る)。当然のことながら、貯蔵器3と、投与部材2と、そしてヘッド4とはいかなる方法で作ってもよい。当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱しない形で他の変形を考えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を構成する固定リングを有する投与装置の概略縦断面図である。
【図2】図1に示された固定リングの詳細図である。
【図3】第2の実施の形態を構成する固定リングの詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプまたは弁などの投与部材(2)を、投与される流体が格納された貯蔵器(3)のネック(30)に固定するための固定リング(1)であって、
特徴となるのは、
前記貯蔵器(3)の前記ネック(30)と協働し、前記投与部材(2)を前記貯蔵器(3)に耐漏洩様態で固定する変形可能な密封手段(10)を有することである、
という前記固定リング(1)。
【請求項2】
前記密封手段(10)は、弾性的に変形可能なリップを少なくとも1つ有すること、
を特徴とする請求項1に記載の固定リング。
【請求項3】
前記密封手段(10)は、2つの変形可能なリップを有すること、
を特徴とする請求項2に記載の固定リング。
【請求項4】
前記密封手段(10)は前記固定リング(1)と一体化された形で作られていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定リング。
【請求項5】
前記密封手段(10)は、前記固定リング(1)に射出成形されていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定リング。
【請求項6】
リング(1)は接触面(115)を有するスナップ留め手段(15)を有し、前記接触面(115)は、前記貯蔵器(3)の前記ネック(30)のショルダー面(130)と協働することで投与部材(2)を前記貯蔵器(3)に固定するよう作られており、前記接触面(115)とショルダー面(130)とはほぼ径方向であること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固定リング。
【請求項7】
リング(1)はタレット(20)および/あるいはフェルール(11)と一体化された形で作られ、前記タレット(20)は投与部材(2)に固定され、前記フェルール(11)は投与部材(2)の休止位置を規定すること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の固定リング。
【請求項8】
貯蔵器(3)と、ポンプまたは弁などの投与部材(2)とを有する流体投与装置であって、
特徴となるのは、
請求項1乃至7のいずれかに記載の固定リング(1)をさらに有することである、
という装置。
【請求項9】
リング(1)の前記密封手段(10)により、投与部材(2)は貯蔵器(3)に耐漏洩様態で固定されること、
を特徴とする請求項8に記載の投与装置。
【請求項10】
貯蔵器(3)の前記ネック(30)は軸方向に突き出した部分(31)を有し、前記軸方向に突き出した部分(31)は、固定リング(1)の前記弾性変形可能な密封手段(10)との協働に適していること、
を特徴とする請求項8または9に記載の投与装置。
【請求項11】
固定リング(1)の前記変形可能な密封手段(10)は貯蔵器(3)の前記ネック(30)と協働し、密封状態が実現された耐漏洩接触ゾーンを形作り、前記耐漏洩接触ゾーンは少なくとも部分的に傾いていること、
を特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の投与装置。
【請求項12】
前記固定リング(1)により、製造誤差に関連する寸法および/あるいは形状の偏差全てを補うことができること、
を特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の投与装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−526182(P2007−526182A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501331(P2007−501331)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050145
【国際公開番号】WO2005/085094
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】