説明

固定床吸熱反応用の内部燃焼交換反応器

本発明は、熱交換反応器(1)であって、容器(2)と、固定床触媒帯域(10)を通じて供給材料を分配する手段と、触媒帯域(10)からの流出物を収集する手段(6)と、触媒帯域(10)を加熱する手段とを含み、前記収集手段(6)は、触媒帯域(10)を貫通する導管を含み、該導管は、触媒帯域内に分配され、かつ、加熱手段の間に置かれ、触媒帯域を加熱する手段は、鞘体(8)内に収容され、鞘体(8)は、一部が触媒帯域(10)内に埋められ、鞘体(8)は、一端において開口し、他端において閉塞し、開口端は、上部管板(21)に固定され、上部管板は、触媒帯域(10)の上方に位置する収集チャンバ(19)を画定し、前記加熱手段は、触媒帯域に近接して位置する少なくとも1つの燃焼帯域(13)と、燃焼帯域(13)に酸化ガス混合物を供給する手段(15)と、燃焼帯域(13)にガス燃料を供給する手段(17)と、燃焼に由来するガス状流出物を排出する手段(14)とを含む、ものに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ガスと称される水素および一酸化炭素の混合物を製造することを目的として炭化水素供給材料から始める水蒸気改質反応を行うための反応器の分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、吸熱反応、より特定的には水蒸気改質反応のための熱交換を制御するための最適化された手段を用いる反応器の技術に関連する。
【0003】
水蒸気改質は、炭化水素供給材料および水蒸気から始めて水素、または水素および一酸化炭素によって構成される合成ガスを製造するための主要な方法である。
【0004】
炭化水素供給材料は、軽質炭化水素、例えば、天然ガス、製油所ガス、LPG、軽質ナフサ等、より特定的にはメタンからなり、水蒸気と混合される。メタンの場合、以下の水蒸気改質反応が起こる:
【0005】
【化1】

【0006】
水蒸気改質反応は、大きな吸熱化学反応(ΔH298=206kJ/mol)であり、それ故に、これは、大量の外熱が供給されることを必要とする。
【背景技術】
【0007】
炭化水素供給材料から水素を製造するために吸熱接触反応を行うのに用いられる反応器は、当該技術において周知である。
【0008】
特許文献1には、縮小寸法の環状触媒帯域の中央に位置する加熱手段を有する水蒸気改質熱交換反応器が記載されている。このような反応器が小サイズの装置を対象とすることは明らかである。当該熱交換反応器の技術は、それ故に、大容量の工業適用については除外される。
【0009】
特許文献2には、燃焼が行われる床に埋められた二重管によって加熱される固定床水蒸気改質熱交換反応器が記載されている。供給材料は、反応器の外側の先端から触媒床に浸透し、触媒床の所で輻射によって反応媒体に移された燃焼熱によって水蒸気改質反応が起こる。
【0010】
この反応器は、本発明において可能にされるようには、種々の流体間の熱交換が最適化されることを可能にしない。
【0011】
特許文献3には、水蒸気改質反応が行われる反応器であって、反応は、燃料および水素を供給されるバーナによって供給され、および、触媒床を含む反応器の区画を取り囲む燃焼炉において生じた熱風の流れの通過を可能にするノズルによって提供される熱の供給によって可能にされるものが記載されている。特許文献3の反応器は、燃焼炉において熱を生じさせ、触媒床を含む反応器の区画の周りにそれを分配することができる。この構成は、触媒帯域内に均一な熱の分配を可能にしない。
【0012】
特許文献4には、水素が製造される反応器が記載されている。その反応器は、円筒状触媒帯域中に埋められた単一のバーナを含み、燃焼ガスは、環状のスペース4A−4Bに排出される。バーナによって加熱された円筒状触媒帯域における反応の後に、反応からのガス状流出物が収集され、触媒帯域に対して外部にある環状スペースに排出される。
【0013】
特許文献5には、反応器であって、反応器の容器に浸透する燃料および空気の燃焼によって放出された熱によって供給材料が気化させられ、燃焼帯域は、触媒床に対して外部にある反応器が記載されている。燃焼ガスはまた、触媒床を加熱するために用いられる。
【0014】
特許文献6には、差込式の管の内側に位置する触媒帯域に対して外部にあるバーナを備えた改質反応器であって、該バーナは、燃焼ガスが、触媒帯域を取り囲む導管内を移動するように置かれているものが記載されている。当該構成は、触媒帯域内の均一な熱の分配を可能にしない。
【特許文献1】米国特許第4692306号明細書
【特許文献2】米国特許第5565009号明細書
【特許文献3】米国特許第3909299号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1505036号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1516663号明細書
【特許文献6】米国特許第4504447号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来技術の不利益点を克服することおよび新規な反応器の技術、より特定的には、反応器内に、輻射および/または対流の熱交換の列によって吸熱反応器に必要な熱が供給される特定の内部構造を有する反応器を提供することである。
【0016】
大きな吸熱性水蒸気改質反応に関連して、当該反応に必要な熱エネルギーを供給材料(炭化水素および水蒸気)および触媒帯域を含む反応帯域に移すことが必要である。
【0017】
それ故に、触媒と接触する十分な熱交換表面が提供されなければならない:従来技術に記載された有用な解決策は、触媒帯域を小さい触媒容積および大きい熱交換表面によって特徴付けられる狭いスペースに分割することからなる。典型的には、触媒は、管状構造物(単一管または二重同心管(差込管と称される))内または密接して間隔が空けられたプレートの間(触媒帯域の特徴的な間隔空けは、10センチメートルのスケールである)に配置される。
【0018】
このような構成において、このようなスペースにおける可能な転化容量は制限される。装置のスケールを変更することによって反応器を製造することを試みることは愚劣であるだろう。それ故に、このような装置の容量は、等しくはあるが別々の触媒帯域であって、単一の容器に集められるものの数を増やすことによって大きくさせられ得るのみである。この場合、これらの反応器は、通常、外部から加熱される基本反応器の集合体であることが留意されることになる。
【0019】
対照的に、本発明者らの検討によって、単一の連続触媒帯域、すなわち、全て一度に装填および排出され得る帯域を維持し得る、種々の装置に対する代替が見出された。
【0020】
本発明の熱交換反応器は、単一の連続触媒帯域であって、異なっておりかつ前記触媒帯域内に分配された、加熱手段と流出物を収集する手段とによって、触媒帯域、好ましくはたった一つの帯域において熱が生じかつ分配されるものを有する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(実施の説明)
本発明は、熱交換反応器(1)であって、
・ 容器(2);
・ 固定床触媒帯域(10)を通じて供給材料を分配する手段;
・ 触媒帯域(10)からの流出物を収集する手段(6);および
・ 触媒帯域(10)を加熱する手段
を含み、前記収集手段(6)は、触媒帯域(10)を貫通する導管を含み、該導管は、触媒帯域に分配され、かつ、加熱手段の間に置かれ、触媒帯域の加熱手段は、鞘体(8)に収容され、該鞘体(8)は、一部が触媒帯域(10)内に埋められ、該鞘体(8)は、それらの端部の一方において開口し、かつ、他方において閉塞し、開口端は、収集チャンバ(19)を画定する上部管板(21)に固定され、該収集チャンバ(19)は、触媒帯域(10)の上方に位置し、前記加熱手段は、触媒帯域に近接して位置する少なくとも1つの燃焼帯域(13)と、前記燃焼帯域(13)に酸化ガス混合物(15)およびガス状燃料(17)を供給する手段と、燃焼に由来するガス状流出物を燃焼部から排出する手段(14)とを含む、熱交換反応器(1)に関する。
【0022】
少なくとも2つの収集手段(6)がただ一つの固定床触媒帯域に分配され、かつ、少なくとも2つの加熱手段の間に置かれ得る。
【0023】
供給材料を分配する手段は、穿孔下部管板を含み得、その穿孔は、供給材料管と称される管状素子によって延長される。
【0024】
固定床触媒帯域(10)を通じて供給材料を分配する手段は、切頂水平穿孔板および非切頂上部穿孔板によって構成され得、穿孔は、流出物収集手段(6)の通過を可能にする。
【0025】
切頂水平穿孔板および非切頂上部穿孔板は、不活性下部帯域(10c)内に配置されて、邪魔板のシステムを形成し得る。
【0026】
穿孔下部管板は、不活性な小球の床によって支持され得る。
【0027】
触媒帯域は、前記下部管板上に位置する少なくとも1つの下部不活性帯域を含み得る。
【0028】
下部不活性帯域は、実質的に前記供給材料管の長さに対応する厚さを有し得る。
【0029】
触媒帯域からの流出物を収集するための導管は、触媒帯域の下流に位置する収集チャンバと前記流出物を排出する手段との間に位置し得る。
【0030】
触媒帯域からの流出物を収集する導管は、供給材料管の内部スペースにおいて前記下部管板を横断し得る。
【0031】
触媒帯域からの流出物を収集する導管は、触媒帯域と接触する表面積を増加させるためにそれらの外側壁上にリブを含み得る。
【0032】
鞘体は、触媒帯域と接触する表面積を増加させるためにそれらの外側壁上にリブを含み得る。
【0033】
加熱手段は、下記の同軸部材:
・ 実質的に触媒帯域の上方の高さにおいて鞘体内で開口する、酸化ガス混合物供給管;および
・ 一端において燃料供給手段に接続され、酸化ガス混合物供給管の内側に位置し、同管と実質的に同一の高さにおいて開口する、燃料管と称される燃料分配手段
によって構成され得る。
【0034】
燃焼帯域は、鞘体(8)内において触媒帯域(10)の上端の高さで位置し得る。
【0035】
この場合、加熱手段は、両端部で開口し、鞘体内において燃焼帯域の下流に位置する、燃焼からのガス状流出物を再循環させるための管を含み得る。
【0036】
加熱手段はまた、下記の同軸部材:
・ 実質的に前記鞘体の底部において鞘体内で開口する酸化ガス混合物供給管;および
・ 一端において燃料供給手段に接続され、酸化ガス混合物供給管の内側に位置し、実質的に鞘体の底部に延び、少なくとも1つの多孔質壁部を含む、燃料管と称される燃料分配手段
によって構成され得る。
【0037】
燃料管(112)の壁内に生じさせられた穿孔は、触媒帯域(110)内に埋められた燃料管(112)の壁に沿って分配される複数の燃焼帯域(113)を画定し得る。
【0038】
酸化ガス混合物供給管は、それらの全高に、および触媒帯域の上端まで酸化触媒により満たされ得る。
【0039】
加熱手段はまた、以下によって構成され得る:
・ 実質的に前記鞘部の底部において鞘体内で開口する酸化ガス混合物供給管;および
・ 燃料分配管の下流に配置され、触媒帯域に対して直角に酸化ガス混合物を供給する管の内側および高さの少なくとも一部より上に位置する酸化触媒。
【0040】
触媒帯域からの流出物を収集するチャンバに冷却流体が注入され得る。
【0041】
上部穿孔管板は、二重壁によって構成され、該二重壁はその内部スペース内を冷却流体が移動することを可能にし得る。
【0042】
燃焼帯域(13)は、触媒帯域(10)の内側に位置し得る。
【0043】
熱交換反応器は、水蒸気改質反応のために用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(図面の説明)
図1は、図2において説明される本発明の反応器の軸BB’に沿う断面図を示す。生じた合成ガスを収集する手段(406)は、触媒帯域(410)内に分配され、かつ、加熱手段の間に置かれ、その結果、供給材料と生じた合成ガスとの間の熱交換が均一である。それ故に、本発明の反応器のこの構成は、触媒帯域内の均一な熱の分配を可能にする。鞘体(408)は、燃焼に由来するガス流出物を再循環させる管(409)を収容する。
【0045】
熱交換反応器(1)は、図2に概略的に示される。それは、円筒容器(2)を含み、この円筒容器(2)は、軸AA’を有し、その内表面が耐火断熱材(図に示されない)によって完全に覆われている。
【0046】
その容器(2)内に、熱交換反応器(1)は、触媒帯域(10)を含み、この触媒帯域(10)は、熱交換型反応器の下部の穿孔下部管板(4)上に位置する。この穿孔下部管板(4)は、反応器の容器に固定されシールされる。
【0047】
この触媒帯域(10)は、上下に配置された3層に分けられる:
・ 上部触媒帯域(10a);
・ 中間触媒帯域(10b);
・ 下部不活性帯域(10c)。
【0048】
この容器は、
・ 炭化水素供給材料を供給する手段(3);
・ 穿孔下部管板(4);該板(4)は、管状素子において触媒帯域を通じた炭化水素供給材料の通過を可能にする;該管状素子は、穿孔の延長線上にあり、該板に接続される;供給材料管(5)と称される管状素子は、下部不活性帯域の厚さに実質的に等しい長さを有する;穿孔下部管板(4)および管状素子は、触媒帯域を通じて供給材料を分配する手段を構成する:
・ 触媒帯域の上方に位置し、触媒帯域からの流出物を収集するチャンバ(19);前記収集チャンバ(19)は、上部管板(21)によって遮断される;この上部管板(21)は、反応器の容器に固定されシールされる;
・ 触媒帯域(10)を貫通する、触媒帯域からの流出物を収集する手段(6);前記収集手段(6)は、導管によって構成され、この導管は、収集チャンバ(19)と触媒帯域からの流出物を排出するための手段(18)とを連通するように置かれる;
を含み、
・ 触媒帯域に由来する流出物を収集するチャンバ(19)を遮断する上部管板(21)は、鞘体(8)が固定およびシールされるオリフィスを有する;鞘体(8)は、触媒帯域(10)、より特定的には、上部活性触媒帯域(10a)に埋められる;鞘体(8)は、一方の端部において開口し、他端において閉塞し、開口端は、管板(21)に固定され、管板(21)と管板(20)との間に位置するスペースの方に開口し、閉塞端は、活性触媒帯域に埋められる;管板(21)と管板(20)との間に位置するスペースは燃焼に由来するガス状流出物が収集されることを可能にし、排出手段(14)を用いて前記流出物を排出すること可能にする;
・ 鞘体(8)内側には、触媒帯域を加熱する手段の変形があり、前記加熱手段には、酸化ガス混合物を供給する手段(15)およびガス状燃料を供給する手段(17)を介してこれらが供給される。
【0049】
図2で説明される第一の実施形態において、触媒帯域(10)を加熱する手段は、
・ 酸化ガス混合物を供給する管(11);該管は、両端において開口しており、一方の開口端は、管板(20)に固定され、酸化ガス混合物収集スペース(22)の方に開口しており、他方の開口端は、鞘体(8)内に触媒帯域(10)の上端の高さまで差し込まれている;
・ 燃料管と称される管によって構成される燃料分配手段(12);該手段は、その一方の端部において燃料を供給する手段(17)に接続され、実質的に同寸法の酸化ガス混合物を供給する管(11)の内側に位置する;酸化ガス混合物を供給する管(11)の下端および燃料管(12)の下端は、燃焼帯域(13)上に、すなわち、燃焼反応が起こる帯域上に開口する;燃焼帯域(13)は、鞘体(8)内にて触媒帯域(10)の上端の高さに位置する;
・ 燃焼からのガス状流出物を再循環させる管(9);これは、その両端において開口しており、鞘体(8)内の燃焼帯域(13)の下流に位置する;
の同軸部によって構成される:
図3は、加熱手段の別の変形例であって、同一寸法の下端において閉塞している燃料管(112)を含む、酸化ガス混合物を供給する管(111)が鞘体(108)の底部にまで延びているものを示す。
【0050】
燃料管(112)は、触媒帯域(110)に埋められていない上部部分に密閉壁を有し、触媒帯域(110)に埋められた下部部分に多孔性壁を有する。多孔性は、燃料管(112)の壁に突き通された穴か、または焼結型、金属発泡型またはセラミック発泡型の多孔質材料を直接的に用いて管を製造するかのいずれかによって得られる。燃料管(112)の壁に生じた穿孔は、触媒帯域(110)に埋められた燃料管(112)の壁に沿って分配された複数の燃焼帯域(113)を画定する。
【0051】
燃焼帯域が多数であることは、より良好な局所的な希釈、その結果として、より低い燃焼温度を引き出す。
【0052】
図4は、加熱手段の変形例であって、加熱手段が前述の変形例と同一であるが、触媒燃焼がこれらの加熱手段において行われるものを示す。
【0053】
図4の(223c)で示される特定の実施形態において、無炎触媒燃焼は、触媒帯域(210)に埋められた、酸化ガス混合物を供給する管(211)の内側および高さ全体にわたって酸化触媒を配置することによって生じさせられる。
【0054】
(223b)で示される特定の実施形態によると、酸化ガス混合物を供給する管(211)は、鞘体(208)の底部にまで延び、(223c)で示される変形例より短い燃料管(212)を含み、その開口下端は、酸化触媒(223)の床の上端において開口する。この変形例において、酸化触媒の床は、酸化ガス混合物を供給する管(211)の内側に触媒帯域(210)の上端高さで置かれ、それは、断面全体を占める。
【0055】
(223a)で示される特定の実施形態は、(223b)で示される実施形態と同一であるが、酸化触媒(223)の床が酸化ガス混合物を供給する管(211)の埋められた高さの全体にわたって分配され、その断面の全体を占める。
【0056】
図5は、熱交換反応器(301)の上部への冷却流体の注入を示す。前記注入の目的は、原則的に、燃焼管(311)の壁に沿う、燃焼からのガス状流出物と酸化ガス混合物との間の熱交換が燃焼に由来するガス状流出物の温度を管板(321)が持ちこたえ得る温度に低下させるために不十分である場合に、触媒帯域からの流出物を収集するチャンバ(319)を遮断している管板(321)を冷却することである。
【0057】
図5aは、冷却流体を直接的に注入することが管板(321)の下で行われる変形例を示す。冷却流体は、触媒帯域(310)からの流出物と混合され、触媒帯域からの流出物を収集する手段(306)を構成する管を介して熱交換反応器の容器から排出される。
【0058】
図5bは、鞘体(308)が貫通する二重壁(321)、(326)によって穿孔管板(321)が構成される別の変形例を示す。下部二重壁穿孔管板(321)および(326)は、冷却流体を注入する手段(324)および熱交換後の同流体を排出する手段(325)を含む閉塞スペースを形成する。
【0059】
収集チャンバ(19)における高温から上部管板(21)を保護するために、触媒帯域からの流出物と接触する前記上部管板(21)の表面を図2に示される熱遮蔽物(27)で覆うことも可能である。熱遮蔽物は、絶縁材料、例えば、耐火コンクリート、セラミック等から製造される。この熱遮蔽物(27)は、図2のみに示されるが、図面の全部において存在してもよい。
【0060】
燃料の分配は、燃料を供給する単一の手段(17)(図2〜5の燃料管(12)の全部に共通である)によって確実に行われるが、本発明は、この特定の供給態様に制限されることはない;別々の供給手段を用いて各燃料管(12)に供給することも可能である。
【0061】
この特定の実施形態(図面に示されない)は、各加熱手段における燃焼が別々に制御されることも可能にする。
【0062】
上記の変形例では、それは垂直に向けられているが、本発明は、特定の方向の態様に制限されない。
【0063】
熱交換反応器の容器は、上記の変形例では円筒状の形状であるが、本発明は、この形状の反応器に制限されない。熱交換反応器の容器は、種々の断面を有し得る。
【0064】
管板(4)、(20)および(21)は、チャンバの内壁に密閉固定される。それらは、好ましくは、チャンバに溶接されるか、または、シール材を用いてボルトで締められる。
【0065】
穿孔下部管板(4)は、チャンバの内壁に密閉固定され、好ましくは、チャンバに溶接されるか、または、シール材によりボルトで締められる。
【0066】
供給材料管(5)は、穿孔の延長線上で穿孔下部管板(4)に溶接され得る。
【0067】
穿孔下部管板(4)はまた、チャンバの内壁に固定された支持リングに締め付けられ得る。
【0068】
供給材料管(5)はまた、穿孔下部管板(4)に強固に取り付けられ得る。
【0069】
穿孔下部管板(4)はまた、単純に、収集スペース(23)を満たす不活性な小球物および上方から充填された固定床触媒帯域(10)によって定位置に保持され得る。
【0070】
上記の熱交換反応器の技術は、あらゆるタイプの吸熱反応に適合させられる。本発明の関連で、それは、水蒸気改質反応に特に適している。
【0071】
(水蒸気改質反応への装置の適用)
水蒸気改質反応を行うために熱交換反応器が用いられる場合、炭化水素供給材料は、軽質炭化水素、例えば、天然ガス、製油所ガス、LPG、軽質ナフサ、バイオガス(廃棄物、バイオマスの発酵に由来するもの等)(単独または混合物として利用される)の水蒸気との混合物、好ましくは、吸熱反応が水蒸気メタン改質反応である場合にはメタンと水蒸気の混合物を含む。
【0072】
この場合、少なくとも部分的に熱交換反応器の容器を充填する固定床触媒帯域は、上下に配置される3つの触媒帯域に分けられる:
・ 管板と接触する、不活性粒子の床からなる下部不活性帯域;
・ 活性水蒸気改質触媒帯域において用いられるものと同一であっても異なってもよい触媒からなる中間予備改質触媒帯域;
・ 従来の水蒸気改質触媒からなる上部水蒸気改質触媒帯域。
【0073】
上部水蒸気改質触媒帯域および中間の予備改質触媒帯域が同一の触媒からなる場合、それは、従来の水蒸気改質触媒であって、8〜25重量%の第VIII族元素、好ましくはニッケルと、1〜4重量%のカリウムとをアルミナ上に担持されて含むものである。
【0074】
上部水蒸気改質触媒帯域および中間予備改質触媒帯域が異なる触媒からなる場合、上部水蒸気改質触媒帯域において用いられる触媒は、上記のものであり、中間予備改質触媒帯域において用いられる触媒は、特定の予備改質触媒であって、1〜20重量%の第VIII族元素、好ましくはニッケルと、0.4〜5重量%のカリウムとをアルミナまたはアルミン酸カルシウム上に担持されて含むものである。
【0075】
不活性触媒帯域を構成する不活性粒子は、一般的に、小球状形態のアルミナによって構成される。
【0076】
熱交換反応器の上部部分において、炭化水素供給材料と水蒸気の混合物は、供給手段(3)を介して容器に入り、下部管板(4)を通過し、下部不活性帯域に入り、前記帯域を横断する供給材料管(5)に移行する。混合物は、生じた合成ガスを収集する手段(6)の周りに配置された供給材料管中を移動することによって、収集手段の内側を移動する合成ガスとの熱交換により加熱される。
【0077】
加熱手段によって加熱されないこの下部不活性帯域は、第一の熱交換帯域を構成する。それは、向流として移動する、炭化水素供給材料の流れと生じた合成ガスの流れとの間での対流的熱交換を可能にする。
【0078】
予備加熱された混合物は、次いで、不活性帯域の上端と鞘体の閉塞端によって画定された中間予備改質触媒帯域に入る。この予備改質帯域は、反応帯域への炭化水素供給材料の通過前に、少なくとも部分的に炭化水素供給材料を合成ガスに転化するための炭化水素供給材料の予備処理のための帯域である。この反応に必要なエネルギーは、下部不活性帯域において供給材料管中で予備加熱される供給材料によって供給されるが、中間予備改質触媒帯域において合成ガス管の内側を移動する合成ガスとの熱交換によっても供給される。
【0079】
加熱手段によって加熱されないこの予備改質帯域は、第二の熱交換帯域を構成する。この第二の熱交換帯域は、中間触媒予備改質帯域中を移動する炭化水素供給材料の流れが予備加熱されること可能にし、予備改質反応に必要なエネルギーを供給する一方で、触媒帯域を横断する合成ガスを収集する手段中を向流として移動する合成ガスの流れを冷却する。
【0080】
予備改質反応を行うことは、本発明との関連において確かに興味深い:
・ 熱交換は供給材料を予備加熱するだけではなくそれを転化もするので、生じた合成ガスに含まれる熱は最も有利に用いられる;これは、主要な改質装置の負担を制限し、同等のコークス形成の危険に対して主要な改質装置のより高い温度の攻撃を提供する;
・ 予備改質はまた、供給材料の最も重質の成分を転化し得、これは、主要な改質装置の触媒を維持し、処理されるべき供給材料の性質に関して設備に、より高い柔軟性を与える。
【0081】
中間予備改質帯域において生じた流出物は、次いで、水蒸気改質触媒によって構成される上部触媒帯域に入り、この帯域に沿って上昇し、合成ガスを生じさせる。この反応に必要なエネルギーは、加熱手段との輻射対流熱交換によって主に供給されるが、触媒帯域を通過する合成ガスを収集する手段の内側を通過する合成ガスとの対流熱交換によっても供給される。
【0082】
それ故に、この水蒸気改質帯域は、上部触媒帯域の高さに位置する、すなわち、水蒸気改質反応が起こる、鞘体の下部閉塞端と触媒帯域の上端との間に位置するスペースによって画定される帯域における第三の熱交換帯域を構成する。この第三の帯域は、輻射および対流の両方の熱交換を可能にする。
【0083】
上部触媒水蒸気改質帯域において生じた合成ガスは触媒帯域を離れ、触媒帯域の上方に位置する収集チャンバ(19)において収集される(収集チャンバは、上部管板(21)によって塞がれている)。
【0084】
生じた合成ガスを収集する手段(6)は、触媒帯域内に分配され、かつ、加熱手段の間に置かれ、供給材料と生じた合成ガスとの間の熱交換が均一になっている。
【0085】
触媒帯域を貫通する、生じた合成ガスを収集する手段(6)の存在は、それ故に、供給材料と生じた合成ガスとの間の触媒帯域の高さ全体にわたる対流熱交換を、これらの2つの流れの向流移動によって可能にする:上部触媒水蒸気改質帯域を離れる際に、生じた合成ガスは、触媒帯域を貫通する、合成ガスを収集する手段(6)に入り、熱交換反応器の下部に降下し、上部触媒帯域、次いで中間予備改質触媒帯域中を移動する流出物との、次いで、下部不活性帯域の供給材料管中を移動する供給材料との熱交換によって触媒帯域の長さ全体にわたって冷める。生じた合成ガスは、次いで、排出手段(18)によって熱交換反応器から排出される。
【0086】
熱交換反応器の上部部分では、酸化ガス混合物が、供給手段(15)を介して容器に入り、管板(20)を通過し、酸化ガス混合物を供給する手段(11)を介して加熱手段に入る。
【0087】
ガス状燃料も、対応する供給手段(17)を介して容器に、次いで、酸化ガス混合物を供給する管(11)の内側に位置する燃料管(12)に入る。
【0088】
酸化ガス混合物は、0.1〜21%の酸素を含有する、好ましくは空気、酸素および一酸化炭素の混合物を含むガス、非常に好ましくは発電のためのガスタービンからの煙霧(fume)である。この場合、酸化ガス混合物は、タービンに由来する酸化煙霧によって構成される。
【0089】
ガス状燃料は、天然ガスまたは精油所ガスタイプのガス状形態またはガソリン、軽油または重質燃料タイプの液体形態(反応器に入る前に予備的に揮発させられる)で炭化水素を含み、好ましくは、反応器自体によって生じた水素が用いられ、分離処理の後に精製される。
【0090】
図2において示される加熱手段の第一の変形例では、燃料管(12)からの出口において、ガス状燃料は、燃料帯域において酸化ガス混合物と混ざり、燃焼反応によって反応し、この燃焼反応によって触媒帯域の上端において高温煙霧が生じる。
【0091】
これらの煙霧は、再循環管に入り、鞘体(8)の底部に導かれ、再循環管(9)と鞘体(8)との間に形成された環状スペース内を上昇する。
【0092】
再循環管(9)の高さ全体にわたって、再循環管中を降下する煙霧は、熱交換によって、再循環管と鞘体の内壁との間に形成された環状スペース中を上昇する煙霧を加熱する。これらの煙霧は、上部触媒帯域において鞘体(8)の壁を通じた熱交換によって反応流出物を加熱する。
【0093】
これらの向流熱交換は、鞘体の高さにわたる熱勾配を可及的に低減させることを目的としている。この方法で、燃焼に由来する煙霧によって触媒帯域に移された熱は、触媒帯域中に埋められた鞘体の高さ全体にわたって比較的均一である。
【0094】
再循環管(9)の上部部分において、再循環管と鞘体との間に形成された環状スペース内を上昇する煙霧の一部は、燃焼帯域(13)において生じた煙霧によって同伴され、再度再循環管内を再循環する。この構成は、燃焼試薬を希釈し、局所的に攪拌し、それ故に、燃焼によって生じた煙霧の温度を低下させ得、このことは、余りに高い温度から材料を保護し、環境に損害を与える窒素酸化物の形成を低減させる。
【0095】
再循環管中を再循環しない燃焼からの熱い煙霧は、酸化ガス混合物を供給する管(11)と鞘体(8)との間に形成された環状スペース中を上昇し、酸化ガス混合物(酸化ガス混合物を供給する管(11)中を降下する時にそれ自体再加熱される)との熱交換によって冷める。
【0096】
触媒帯域の端部と管板(20)との間に位置するこの帯域は、第四の熱交換帯域を構成する。この第四の帯域は、容器からの排出前の燃焼からの煙霧の流れと加熱手段に浸透する酸化ガス混合物の流れとの間の対流熱交換を可能にする。
【0097】
この第四の熱交換帯域は非常に重要である。従来の溶接管板タイプの技術を使用すること、すなわち、板を製造するための従来の金属アロイを使用することを十分に可能にするように燃焼からの煙霧の温度を低下させることができるからである。前記管板を通過した後、燃焼に由来する煙霧は、排出手段(14)を介して熱交換反応器の容器から排出される。
【0098】
図3では、加熱手段は、酸化ガス混合物の流れへの燃料の注入を分配し、それ故に、より広範囲に及ぶ燃焼帯域(113)を生じさせ得る。ガス状燃料は、燃料管(112)中を、管壁を貫通するそれらの多孔性部分まで移動し、酸化ガス混合物を供給する管(111)中を移動する酸化ガス混合物と接触して燃える。燃焼からの煙霧は、次いで、鞘体(108)の底部に移動し、酸化ガス混合物を供給する管(111)と鞘体(108)との間に形成された環状スペース中を上昇し、それにより、反応帯域および酸化ガス混合物を供給する管に含まれる燃焼からの煙霧と熱を交換する。
【0099】
この方法で、燃焼は、選択された多孔度に応じて燃料管の多孔性高さ全体にわたって分配される。それ故に、多孔度を調節することによって、管の高さ全体にわたって均一にまたは熱プロファイル(熱分布)が課されるべきであるならば不均一に熱を分配することが可能である。例えば、管の下部部分で多孔度を目立たせることが可能であり、このことにより、この帯域における燃料の流量が増加し、その結果として、燃焼温度が上がる。この場合、燃焼煙霧の温度は、鞘体の下部部分において上部部分より高い。
【0100】
図4において、加熱手段は、酸化ガス混合物を供給する管(211)内に分配された酸化触媒(223)によって、該管(211)の内側の無煙燃焼を利用する。酸化ガス混合物は、熱交換反応器に入り、管板(220)を通過し、酸化ガス混合物を供給する管(211)内を酸化触媒(223)まで移動する。酸化ガス混合物および燃料は、酸化触媒の近くで混合し、その上で無煙燃焼によって反応して、熱い煙霧を生じさせる。これらの燃焼煙霧は、下部部分から酸化ガス混合物を供給する管を離れ、鞘体(208)内を上昇し、容器からの排出の前に熱交換によって触媒帯域にエネルギーを供給する。
【0101】
酸化触媒を用いる無煙燃焼は、材料に損傷を与え得るホットスポットの存在を回避し、燃焼を改善させ、煙霧中の未燃焼成分の存在を低減させるという利点を有する。
【0102】
酸化触媒は、1〜10%の元素周期律表第VIII族からの貴金属元素、好ましくはパラジウムおよび/または白金をアルミナまたはジルコニアタイプの担体上に含む。酸化触媒は、高温耐熱合金型の金属材料またはセラミック材料(例えばコーディエライト)から製造されたモノリスまたは発泡体上に担持させられた表面担持または薄め塗膜(wash coat)の形態で用いられる。
【0103】
図5aおよび5bに示される特定の実施形態において、冷却流体を、上部管板(321)の直下の、触媒帯域からの流出物を収集するチャンバに注入して(図5a参照)該板を冷却することおよび従来の溶接管板の使用(すなわち、板を製造するための従来の金属合金を使用すること)を許容することが可能である。冷却流体は、生じた合成ガスと混ざり、排出手段と連絡する合成ガス収集手段を介してそれと共に反応器容器から排出される。
【0104】
冷却流体を、上部管板(321)(326)(該プレートは、図5bに示されるように孔が空けられ、鞘体の通過が可能である)の二重壁の間に位置するスペースに注入することも可能である。
【0105】
二重壁(321)、(326)として構成される前記穿孔板は、熱交換反応器容器に固定されシールされる。鞘体は、例えば溶接または機械的な集合物によって作製されたシール具を介して板を貫通する。機械的な集合物は、パッキン箱によって圧縮されたシールまたは金属ベローズであり得、接続の原理は、熱い時に、シールを保持しながら穿孔板を通じた鞘体の移動を可能にすることである。
【0106】
冷却流体を注入すると、二重壁(321)、(326)として構成された前記上部管板および鞘体を熱交換によって冷却することができ、次いで、冷却流体は、排出手段(これも上部管板の二重壁の間に位置する)によって熱交換反応器の容器から排出される。
【0107】
冷却流体は、蒸気形態にあるあらゆる性質のものであってもよく、好ましくは水蒸気である。供給材料も冷却流体として用いられ得る;それは、それ故に、熱交換反応器に導入される前に予備加熱されることになる。酸化ガス混合物も任意の他の熱交換流体と共に用いられ得る。
【0108】
熱交換反応器の一点において冷却流体を注入することは限定的ではない。導入は、管板の表面全体をカバーするために、熱交換反応器の容器の外周上に配置された複数の注入点を介して実施され得る。
【0109】
熱交換反応器の別の実施形態では、燃料/酸化ガス混合物の混合物の化学量論が、燃料の一部のみの酸化を行い、それ故に合成ガスを生じさせるために改変され得る。例えば、燃料がメタンであるならば、不十分な酸素は、以下の反応をもたらす:
CH + 1/2O → CO + 2H
この反応(高い発熱性)は、1200〜1500℃の範囲の高温で起こる:生じた熱は、先行の基本的な事例のように、水蒸気改質反応のために用いられ得る。
【0110】
この実施は、熱交換反応器の収率を増加させ得る。この場合、燃焼煙霧が合成ガスからなるからである。
【0111】
熱交換反応器の使用のこの他の態様の変形例では、燃料/酸化ガス混合物の混合物の化学量論を改変することによって部分酸化触媒が用いられて、触媒的部分酸化によって合成ガスを製造し得る。この反応は、高い発熱性であり、生じた熱は、先行する基本的な事例のように水蒸気改質反応のために用いられ得る。
【0112】
この場合、酸化触媒は、5〜30%の元素周期律表第VIII族からの貴金属、好ましくはパラジウム、白金、より好ましくはロジウムをセラミック性のアルミナ、コーディエライトまたはジルコニアタイプの担体、好ましくは多孔質アルファアルミナの担体上に担持されて含む。
【0113】
(操作条件)
水蒸気改質反応は、有利には高温で操作するが、この高温は、触媒帯域の入口と出口の間で変動する:
・ 触媒帯域への入口では、温度は500〜750℃である;
・ 触媒帯域からの出口では、温度は750〜950℃、好ましくは850〜900℃である。
【0114】
水蒸気改質反応は、有利には0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPa、より好ましくは2〜2.5MPaの圧力で操作する。
【0115】
熱交換反応器への入口では、炭化水素供給材料は、炭化水素と水蒸気との混合物からなり、その比率は、水蒸気/炭素のモル比が、有利には2〜5、好ましくは2.3〜2.7であるようにされる。
【0116】
熱交換反応器への入口では、炭化水素供給材料の温度は、有利には350〜750℃であり、好ましくは550〜650℃であり、炭化水素供給材料は、実質的に上記反応圧力に等しい圧力で熱交換反応器の容器に入る。
【0117】
水蒸気改質反応の後、生じた合成ガスは、触媒帯域を離れ、有利には750〜950℃、好ましくは850〜900℃の温度で合成ガス収集手段に浸透する。
【0118】
熱交換反応器容器からの出口では、生じた合成ガスの温度は、有利には300〜500℃、好ましくは350〜450℃であり、生じた合成ガスは、実質的に上記反応圧力に等しい圧力で熱交換反応器容器を離れる。
【0119】
熱交換反応器への入口では、酸化ガス混合物の温度は、有利には300〜800℃であり、酸化ガス混合物がタービンの出口から除去された煙霧によって構成される場合には好ましくは650〜750℃であり、酸化ガス混合物がコンプレッサの出口から除去された煙霧によって構成される場合には好ましくは350〜450℃である。
【0120】
酸化ガス混合物は、有利には0.05〜4MPaであり、好ましくは0.3〜0.5MPaである圧力で熱交換反応器容器に浸透する。
【0121】
燃焼に続いて、燃焼からのガス混合物の温度は、有利には900〜1500℃、より好ましくは900〜1000℃である。
【0122】
熱交換反応器容器からの出口では、酸化ガス混合物との熱交換によって冷めた後に、燃焼からのガス混合物の温度は、700〜900℃、好ましくは700〜750℃の温度に低下させられる。
【0123】
有利には、燃料は、室温から400℃の範囲、好ましくは室温から150℃の範囲の温度、0.05〜4MPa、好ましくは0.3〜0.5MPaの圧力で熱交換反応器の容器に導入される。
【0124】
有利には、冷却流体は、100〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度で熱交換反応器容器の内部に導入される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、図2に説明される熱交換反応器の軸BB’に沿う断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の基本バージョンの熱交換反応器の軸AA’に沿う縦断面図を示す。
【図3】図3は、燃料注入が鞘体の高さ全体にわたって分配される変形例の本発明の熱交換反応器の縦断面図を示す。
【図4】図4は、鞘体内の燃焼が酸化触媒上で行われる変形例の本発明の熱交換反応器の縦断面図を示す。
【図5】図5aおよび5bは、冷却システムが用いられる変形例の熱交換反応器の上部の縦断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換反応器(1)であって、
・ 容器(2)と、
・ 固定床触媒帯域(10)を通じて供給材料を分配する手段と、
・ 触媒帯域(10)に由来する流出物を収集する手段(6)と、
・ 触媒帯域(10)を加熱する手段と
を含み、前記収集手段(6)は、触媒帯域(10)を貫通する導管を含み、該導管は、触媒帯域内に分配され、かつ、加熱手段の間に置かれ、触媒帯域の加熱手段は、鞘体(8)内に収容され、該鞘体(8)は、一部が触媒帯域(10)内に埋められ、鞘体(8)は、一端において開口し、他端において閉塞し、開口端は、上部管板(21)に固定され、該上部管板(21)は、触媒帯域(10)の上方に位置する収集チャンバ(19)を画定し、該加熱手段は、触媒帯域に近接して位置する少なくとも1つの燃焼帯域(13)と、該燃焼帯域(13)に酸化ガス混合物を供給する手段(15)と、該燃焼帯域(13)にガス状燃料を供給する手段(17)と、燃焼に由来するガス状流出物を排出する手段(14)とを含む、熱交換反応器。
【請求項2】
少なくとも2つの収集手段(6)が、ただ一つの固定床触媒帯域に分配され、かつ、少なくとも2つの加熱手段の間に置かれる、請求項1に記載の熱交換反応器(1)。
【請求項3】
供給材料を分配する手段は、穿孔下部管板(4)を含み、該板の穿孔は、供給材料管(5)と称される管状素子によって延長される、請求項1または2に記載の熱交換反応器(1)。
【請求項4】
固定床触媒帯域(10)を通じて供給材料を分配する手段は、切頂水平穿孔板および非切頂上部穿孔板によって構成され、穿孔は、流出物収集手段(6)の通過を可能にする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項5】
切頂水平穿孔板および非切頂上部穿孔板は、不活性下部帯域(10c)内に配置されて、邪魔板を形成する、請求項4に記載の熱交換反応器(1)。
【請求項6】
穿孔下部管板(4)は、不活性小球の床によって支持される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項7】
触媒帯域(10)は、前記下部管板(4)上に位置する少なくとも1つの下部不活性帯域(10c)を含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項8】
下部不活性帯域(10c)の厚さは、実質的に前記供給材料管(5)の長さに対応する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項9】
触媒帯域(10)に由来する流出物を収集する導管(6)は、触媒帯域(10)の下流に位置する収集チャンバ(19)と前記流出物を排出する手段(18)との間に位置する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項10】
触媒帯域(10)に由来する流出物を収集する導管(6)は、供給材料管(5)の内部スペースにおいて前記下部管板(4)を横断する、請求項1〜9のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項11】
触媒帯域(10)からの流出物を収集する導管(6)は、触媒帯域(10)と接触する表面積を増加させるために外壁上にリブを有する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項12】
鞘体(8)は、触媒帯域(10)と接触する表面積を増加させるために外壁上にリブを有する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項13】
加熱手段は、下記の同軸部材:
・ 実質的に触媒帯域(10)の上方の高さにおいて鞘体(8)内で開口する酸化ガス混合物供給管(11);および
・ 燃料管(12)と称される燃料分配手段であって、一端において燃料供給手段(17)に接続され、酸化ガス混合物供給管(11)の内側に位置し、かつ、同管(11)と実質的に同一高さにおいて開口する、燃料分配手段;
によって構成される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の熱交換反応器(1)。
【請求項14】
燃焼帯域は、鞘体(8)内に触媒帯域(10)の上端高さで位置する、請求項13に記載の熱交換反応器(1)。
【請求項15】
加熱手段は、燃焼帯域に由来するガス状流出物を再循環させる管(9)を含み、該管は、両端において開口し、鞘体(8)内にて燃焼帯域(13)の下流に位置する、請求項13に記載の熱交換反応器(1)。
【請求項16】
加熱手段は、下記の同軸部材:
・ 鞘体(108)内で、実質的に前記鞘体の底部において開口する酸化ガス混合物供給管(111);および
・ 燃料管(112)と称される燃料を分配する手段であって、一端において燃料を供給する手段(117)に接続され、酸化ガス混合物供給管(111)の内側に位置し、実質的に鞘体(108)の底部に延び、少なくとも1つの多孔質壁部を含む手段
によって構成される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の熱交換反応器(101)。
【請求項17】
燃料管(112)の壁に作られた穿孔は、触媒帯域(110)内に埋められた燃料管(112)の壁に沿って分配された複数の燃焼帯域(113)を画定する、請求項16に記載の熱交換反応器(101)。
【請求項18】
酸化ガス混合物供給管(211)は、その全高および触媒帯域の上端まで酸化触媒(223)で満たされる、請求項16に記載の熱交換反応器(201)。
【請求項19】
加熱手段は、
・ 鞘体(208)内で、実質的に該鞘体の底部において開口する酸化ガス混合物供給管(211);および
・ 酸化ガス混合物供給管(211)の内側および高さの少なくとも一部より上に触媒帯域(210)に対して直角に、および燃料分配管(212)の下流に配置される酸化触媒(223)
によって構成される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の熱交換反応器(201)。
【請求項20】
触媒帯域(310)に由来する流出物を収集するチャンバ(319)に冷却流体が注入される、請求項1〜19のいずれか1つに記載の熱交換反応器(301)。
【請求項21】
上部穿孔管板(321)は、二重壁(321)、(326)によって構成され、該二重壁(321)、(326)は、その内部スペース内を冷却流体が移動することを可能にする、請求項1〜20のいずれか1つに記載の熱交換反応器(301)。
【請求項22】
燃焼帯域(13)は、触媒帯域(10)の内側に位置する、請求項1〜21のいずれか1つに記載の熱交換反応器(301)。
【請求項23】
水蒸気改質反応における請求項1〜22のいずれか1つに記載の熱交換反応器の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2009−530219(P2009−530219A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500889(P2009−500889)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000466
【国際公開番号】WO2007/118950
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】