説明

固定梯子製造用モジュール要素

固定梯子製造用のモジュール要素(10)であって、金属またはその他の好適な材料で作られ、面(12)及び2つの対向する成形支持部(14、16)を含み、内面に沿って展開し、さらなる面(12)を支持するための棚(36)を形成する少なくとも1つのリブを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定梯子を製造するためのモジュール要素に関連する。
【0002】
さらに具体的には、本発明は、互いに同一の複数の組立ユニットにおいて使用され、産業利用及び一般利用の両者に好適な、直線的階段を備える固定梯子となる金属製のモジュール要素に関連する。
【背景技術】
【0003】
固定された金属製の梯子は、例えば建物で火災が発生した場合における安全及び緊急目的等、種々の領域で使用されることは知られているが、このような梯子は、すべて金属で作られ、主に建物の外側に設置される。その他の固定された金属製梯子は、中二階または天井へアクセスのため、および、店舗、職場及び公共の場におけるサービスアクセスとして、建物自体の内部にも用途が見出される。
【0004】
この種の既知の梯子は、典型的にはステップを形成する複数の歩行面を支持する耐力構造またはフレームを含み、これらは、溶接及び/またはボルトによって耐力構造に固定される。
【0005】
これら既知の梯子が、構造的観点及び組立または設置工程の観点の両者から、重大な欠点を示していることは明らかである。
【0006】
構造的観点に関して、この梯子は複数の構成品の組み立てを含み、この構成品は耐力構造を設けるためしばしば相当な大きさとなるが、この構造を組み立てるために要する複数の溶接作業は困難であり、専門的人材の作業のみならず好適な耐久性と保持力に関する綿密な検査をも要する。
【0007】
さらに、この溶接において、その劣化を防ぐのに好適なコーティングを施し保護操作を実行する必要があることは留意すべきである。さらに、構成品は数メートルの長さにも及び得るサイズであることを考慮すると、耐力構造を設置場所へ移動するには特定の手段を要するため困難である。これはまた、全体として相当な額になることを示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は上記欠点を取り除くことである。
【0009】
さらに具体的には、本発明の目的はステップ用の耐力構造を組み立てる必要性を避ける、固定梯子製造用のモジュール要素を得ることである。
【0010】
さらなる本発明の目的は、互いに同一の、種々のモジュール要素を使用して、溶接を行う必要なく固定梯子をその場で組み立て設置するのを可能とするモジュール要素を得ることである。
【0011】
最後に重要なこととして、その他の本発明の目的は、非常に制限された大きさで、その他のモジュール要素と共に容易に移動できる固定梯子を製造するためのモジュール要素を得ることである。
【0012】
さらなる本発明の目的は、使用者に、長期間にわたって高レベルの耐久性と信頼性を確保するのに好適で、容易にかつ安価に製造できる固定梯子製造用のモジュール要素を提供することである。
【0013】
これら及びその他の目的は本発明にかかる固定梯子を製造するためのモジュール要素によって達成され、モジュール要素は金属またはその他の好適な材料で作られ、本質的に面及び2つの対向する成形支持部を含むことを特徴とし、内面に沿って展開し、さらなる面を支えるための棚を形成する、少なくとも1つのリブを備える。
【0014】
本発明にかかる固定梯子を作るためのモジュール要素の構造及び基本的特徴は、好適な非限定的実施形態及びその変形例を示す添付の図表を参照に、以下の詳細な説明からより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示的及び決定的ではない実施形態による、種々の構成品で組み立てられる、本発明にかかる固定梯子を製造するためのモジュール要素の斜視図を概略的に示す。
【図2】同一のモジュール要素の部分斜視分解図を概略的に示す。
【図3】本発明による、異なるモジュール要素を組み立てることで得られる梯子の斜視図を概略的に示す。
【図4】本発明にかかるモジュール要素の構成品の1つの側面図を概略的に示す。
【図5】本発明にかかる別の好適な実施形態による、固定梯子用モジュール要素にかかる部分斜視図を概略的に示す。
【図6】本発明の前記好適な実施形態による、追加の同一モジュール要素と連結されるモジュール要素の部分斜視図を概略的に示す。
【図7】本発明の前記好適な実施形態による、互いに連結された2つのモジュール要素の部分斜視図を概略的に示す。
【図8】モジュール要素そのものの前記好適な実施形態による、梯子を得るための相互連結工程における3つのモジュール要素の分解斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず図1を参照に、本発明にかかる固定梯子を作るためのモジュール要素は、全体として10と示され、面12及び2つの対向する支持部14、16を含み、支持部のそれぞれは面12の一辺に固定される。この梯子は、適切な厚さ、例えば、2.0〜5.0ミリメートルの薄鋼板を成形し、かつ折曲げることによって有利に製造される。面12は、足を支持するステップを構成し、長方形の平面を有する典型的な形状を備え、2つの対向する長辺及び短辺で画定される全周囲に沿って90度下方に折曲げられる。
【0017】
かかる折曲げは、25.0〜80.0ミリメートルの高さを有し、長辺の1つに関しては図1、図2及び図3において18と示され、短辺の1つに関しては図2において20と示される。面12の対向する両短辺の折曲部20は、2またはそれ以上の貫通孔22を備え、それぞれの成形支持部14及び16を、ねじ32および対応するナット34または同等の保持手段によって固定する。
【0018】
成形支持部14及び16は、同様に好適には金属で作られ、多数の肩部または面12の辺として画定され、面と同様に、それらはその若干部分を成形及び屈曲をすることによって有利に得られる。これらの成形支持部は、上方区域24から始まる、面12の対向する折曲部20に固定され、支持部そのものが基本的に長方形状をし、かつ開口または孔26が折曲部20の孔22と相互補完的である。成形支持部14及び16の上方区域24は、折曲部20と同じ長さを有し、かつその高さよりも高いため、組み立てが完了すると完全に覆われる。
【0019】
区域24の下方で、成形支持部14及び16は面12の前方及びその下で突き出る一体部において展開し、上方区域24の孔26と類似する2またはそれ以上の貫通孔30を備える多角形帯28を形成する。
【0020】
多角形帯28の下方で、成形支持部14及び16はリブを形成し、このリブはその後の薄板の90度折曲げにより設けられる一体的な棚36を画定する。実施形態例によると、第1折曲部は支持部14及び16の内側、すなわち、面12方向へ向き、20.0〜60.0ミリメートルの深さにまで延在する。第2折曲部は、第1折曲部に関して直交し、下方すなわち面12と反対方向に向かい、好ましくは第1折曲部と同じレベルの高さにまで延在する。第3折曲部は外側に向かって展開し、第1折曲部と平行であり、第1折曲部と反対方向に向かい、かつ同一寸法を備える。この第3折曲部から始まり、支持部14及び16は下方に一体的最終折曲端部38を画定し、折曲端部38はある程度まで内部に向き、棚36に平行である任意選択的終端40を備える。
【0021】
かかる最終折曲部は、図1及び図4で特に図示されるように、長手方向に、好ましくは多角形帯28の全体幅分延在する。
【0022】
棚36は、両成形支持部14及び16の内面に沿って得られ、そのため対向面を形成し、面12に平行であり、さらなる面12は折曲部20及び折曲部18によって画定される下端に置かれる。貫通孔30は、成形支持部14及び16の多角形帯28に沿って設けられ、貫通孔30はさらなる面12の孔22と一致させるのに適しており、ねじ32及び対応するナット34によってそれらは固定される。孔30はかかる位置に設けられ、互いに既定の距離をおいて第1面に対応する第2面12を固定し、続く面についても同様であり、かつ、画定法定の規則にしたがって、ステップを形成する面12の間で既定の高さまたは立上りをも保つ。面12は、図3に示されるように、棚36上に設置するため適切に安定化され、かつねじ32及びナット34によって成形支持部14及び16に固定される。そのため、設けられた梯子は不定数の面12、したがってステップを含むことができ、第1面及び最終面は地面に固定され、構造の頂部において梯子は既知の方法、例えば金属製の床面及び金属製の作業用厚板の場合はボルト及びナットによって、または鉄筋コンクリートの床面及び厚板の場合はねじ固定によって結合される。
【0023】
図5から図8は、本発明にかかる固定梯子を製造するためのモジュール要素にかかる別の、かつ好適な解決手段を示す。これらの図において、上記解決方法と同一参照符号を共通部品または構成品に使用しており、モジュール要素は全体として10と示される。
【0024】
このような別の、かつ好適な解決手段によると、例えば図6に示されるように、面12及び対向する成形支持部14及び16は、単一体において、成形及び続く基本薄板の折曲げによって得られる。このため形成された各モジュール要素10は、徐々に梯子を製造するためにそれらが互いに組み立てられる際に、部分的に下部に貫通するのに好適である。
【0025】
このような相互貫通は、結合区域または屈曲線におけるモジュール要素10の対向する辺で得られるスリット42で発生し、44と示され、面12と成形支持部14、16の間に存在する。
【0026】
スリット42は成形またはせん断によって得られ、かつ、面12を備える単一体としてこの成形支持部形成用の開始薄板の90度の下方折曲部に続く上記位置にある。このような屈曲を画定する結合区域44または折曲線は、有利にはわずかの丸みを有する。
【0027】
スリット42の長手方向への延在は、その幅はモジュール要素10を形成する薄板の厚さとほぼ一致し、面12の長さのおよそ半分と等しい。このスリットは、面12の折曲部18のうちの一つの間に含まれる部分において、垂直にも延在し、かつ、追加の、重なるモジュール要素10の多角形帯28を導入するための台座を形成する。この構成は図5、図6及び図7に示される。この組み立てステップにおいて、多角形帯28の孔30はスリット42中に横方向に挿入され、かつモジュール要素10の成形支持部14、16に属し、重なるモジュール要素10に属する成形支持部14、16の区域24に沿って設けられた孔26に一致するように設けられる。
【0028】
ねじ32は、このようにして並べられた孔の中に配置され、ナットで締められ、素早くかつ容易にロックし、かつ2つの重なるモジュール要素10を互いに強固にする。上記例示解決手段におけるように、さらにこの好適な実施形態において、モジュール要素10の面12は、重なるモジュール要素10の成形支持部14及び16に沿って設けられた対向棚36上に横方向に設置される。これは、特に図6、図7及び図8において示される。
【0029】
上記から理解されるように、本発明により達成される利点は明らかである。
【0030】
本発明にかかるモジュール要素は、面12を設置するための棚36を備える成形支持部14、16の組み立てのおかげで、建物の外でも中でも、金属製の梯子を製造し素早く設置することを可能とする。有利には、各モジュール要素10の組み立てはわずか4本のねじ及び対応するナットで連結することができ、ステップに固定するための溶接や分厚い耐力構造を必要としない。これらは、面12に対応し、歩行面については、例えば穿孔加工、江戸切り、滑り止め、遮蔽等、異なる仕上がりを有することができる。
【0031】
上記好適な解決手段によると、さらに、かつ特に有利なことには、成形、折曲げ及び/またはスリット42を得るためのせん断といった単純作業によって薄板から始まる単一体中でモジュール要素10を製造する。このため、かかるモジュール要素が得られ、かつ互いに組み合わされ、結果として非常に小型で頑丈な梯子をもたらし、加えて現場で取り付けるのが容易となる。
【0032】
本発明が、非限定的実施例による実施形態に関する特定の参照と共に記載されてきたとしても、上記観点より、複数の修正及び変形は当業者には明らかである。そのため、本発明はあらゆる修正及び変更が含まれることも意図されており、それは、以下の特許請求の範囲の精神と保護範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定梯子を製造するためのモジュール要素(10)であって、金属またはその他の好適な材料で作られ、面(12)及び2つの対向する成形支持部(14、16)を含み、前記対向する成形支持部(14、16)は前記面(12)に隣接する上方区域(24)及び下位の対向端部(38)を含み、前記各支持部は反対側の支持部及び前記面(12)に向かって展開するC字状折曲を含み、前記上方区域(24)と前記下位対向端部(38)の間で前記支持部は形成され、上層面が下層面(12)を支える棚(36)を実現することを特徴とする、前記モジュール要素(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール要素であって、前記対向する成形支持部(14、16)が前記面(12)を備える単一体で形成され、前記面(12)は折曲線(44)にしたがって90度下方に折曲がる場所に関連し、スリット(42)は前記折曲線に沿って得られることを特徴とする、前記モジュール要素(10)。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか一項に記載のモジュール要素であって、前記成形支持部(14、16)が、前記面(12)の対向する短辺から折曲げを始め、かつ基本的に長方形の前記上方区域(24)を含み、2またはそれ以上の貫通孔(26)を備え、前記面(12)の前で延在し、その下方に配置され2つ貫通孔(30)を有する一体的な多角形帯(28)の底部で延在し、前記多角形帯(28)は、下部の前記モジュール要素(10)に部分的に貫通して前記スリット(42)の中に挿入され、かつ前記孔(26)及び(30)を互いに整列するのに好適であることを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項4】
請求項3に記載のモジュール要素であって、2つの前記モジュール要素(10)が、それらの一つの有する前記スリット(42)から始まり部分的に相互貫通し、前記上方区域(24)及び前記成形支持部(14、16)の前記多角形帯(28)の整列された前記孔(26)及び(30)中に挿入されるねじ(32)及び対応するナット(34)によって固定されることを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項5】
請求項1に記載のモジュール要素であって、前記面(12)が長方形であり、かつ対向する長辺に沿って90度下方の折曲部(18)を形成し、25.0〜80.0ミリメートルの高さにわたり延在することを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項6】
請求項2及び5に記載のモジュール要素であって、前記スリット(42)は前記面(12)のおよそ半分の長さにまで延在し、かつ前記成形支持部(14)または(16)と前記面(12)の長辺における前記折曲部(18)の1つの間で構成される部分中にも垂直に延在することを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項7】
請求項1及び3に記載のモジュール要素であって、前記多角形帯(28)の下方で、前記成形支持部(14、16)が、前記C字状折曲を形成し、前記折曲は前記棚自体の長辺の前記各折曲部(18)の対向端部に沿って下部の前記モジュール要素(10)の前記面(12)を設置するための前記棚を画定することを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項8】
請求項7に記載のモジュール要素であって、前記棚(36)は前記成形支持部(14、16)の前記多角形帯(28)の全長にわたり延在することを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のモジュール要素であって、前記棚(36)を形成する前記成形支持部(14、16)の各前記C字状折曲が、薄板の複数の90度折曲げによって得られることを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項10】
請求項8に記載のモジュール要素であって、前記棚(36)を形成する折曲げの下で、前記成形支持部(14、16)が下方に延在する一体的端部(38)において展開し、内側に指向し、前記棚(36)に平行な任意選択的終端を備えることを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のモジュール要素であって、前記上方区域(24)、前記多角形区域(28)及び前記棚(36)を形成する前記C字状折曲を含む前記成形支持部(14、16)が、別々に前記面(12)から設けられ、それらは90度下方に向き、前記折曲部(18)の高さと同じ高さを有するそれぞれの前記折曲部(20)を備える短辺によって画定される対向する辺において固定されることを特徴とする、前記モジュール要素。
【請求項12】
請求項11に記載のモジュール要素であって、前記成形支持部(14、16)の前記上方区域(24)の前記孔(26)と整列させるのに好適な孔(22)を備え、前記孔(22、26)には、前記面(12)に前記成形支持部(14、16)を固定するための対応するナット(34)を備えるねじ(32)が挿入されていることを特徴とする、前記モジュール要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−540807(P2010−540807A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527354(P2010−527354)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008048
【国際公開番号】WO2009/043509
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510091538)
【Fターム(参考)】