固形燃料
【課題】保管に要するスペースが少なくて済み、輸送効率に優れた固形燃料を提供すること。
【解決手段】
アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、上記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、上記外装材は1枚の外装用シートからなり、上記外装材は上面に上記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする固形燃料。
【解決手段】
アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、上記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、上記外装材は1枚の外装用シートからなり、上記外装材は上面に上記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする固形燃料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
調理済み料理等の加熱用燃料として、円柱状の燃料固形物が樹脂フィルムで密封された固形燃料本体が外装材で包装された固形燃料が知られている。このような固形燃料の1つに、特許文献1に記載された、調理済み料理の保温、加温用に適した態様の固形燃料が知られている。
【0003】
図19は、特許文献1に記載された固形燃料を模式的に示した斜視図である。
図19に示す固形燃料110は、アルコールを主成分とした固形物を含む固形燃料本体120が、アルミ箔からなる外装材111によって包装されてなる。
外装材111としては、2枚の円形の金属箔が用いられている。
具体的には、穴を形成した円形の金属箔と、穴を形成していない円形の金属箔を用意し、それぞれの金属箔に絞り成形を行うことによって、固形燃料本体120が包装されて固形燃料110となっている。
外装材111の上面113の一部には穴112が形成されており、固形燃料本体120が露出している。固形燃料120においては、固形燃料本体120が露出した部分が穴112のみであるため、使用時の燃焼面積が小さく、燃焼を長時間維持しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3827899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の固形燃料は、円柱状であるため、複数個の固形燃料を箱等の容器に梱包する際に、固形燃料を並べると固形燃料の間には必然的に隙間が生じる。
そのため、特許文献1に記載されたような従来の固形燃料は、固形燃料の体積の割に保管スペースを要するという問題があった。
また、輸送効率も悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来の固形燃料が有する問題点を解決するためにされたものであり、保管に要するスペースが少なくて済み、輸送効率に優れた固形燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固形燃料本体を平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体とすることで、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することが可能となり、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の固形燃料は、アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、上記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、上記外装材は1枚の外装用シートからなり、上記外装材は上面に上記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の固形燃料では、固形燃料本体の形状が平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができる。そのため、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができる。
また、本発明の固形燃料を構成する外装材の上面には、固形燃料本体の露出部が設けられており、露出部の面積を調整することによって、固形燃料を使用する際の火力、燃焼時間を容易に調整することができる。
【0010】
ここで、上記「平面充填可能な図形」とは、平面内を特定の図形で敷き詰めた際に、当該平面内を隙間なく敷き詰めることのできる図形を指す。
【0011】
上記平面充填可能な図形としては、例えば、三角形、四角形、平行六辺形などが挙げられ、これらの中でも、正三角形、直角二等辺三角形、四角形、正六角形が好ましく、長方形又は正方形がより好ましい。
ここで、例えば、上記平面充填可能な図形が三角形であると、固形燃料本体は三角柱となり、長方形であると、固形燃料本体は直方体となり、正方形であると、固形燃料本体は直方体又は立方体となる。
【0012】
本明細書において、「上面」とは、本発明の固形燃料の使用時において、着火する面を指す。また、本明細書において、「底面」とは、本発明の固形燃料の使用時において、接地する面を指す。
【0013】
また、固形燃料本体は1枚の外装用シートで包装されている。外装用シートが1枚しか用いられていないと、外装材として使用する部材の点数を少なくすることができるため、固形燃料の生産効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の固形燃料において、上記外装材は金属箔であることが望ましい。
【0015】
金属箔は、耐火性に優れるので、固形燃料の燃焼により生じる炎に直接触れる外装材として好適である。
【0016】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は、上記固形物と上記固形物を密封する樹脂フィルムとからなることが望ましい。
【0017】
固形燃料本体が樹脂フィルムによって密封されたものであると、固形燃料本体から燃料成分が蒸発することを防ぐことができる。
【0018】
本発明の固形燃料において、上記露出部は上記外装材の上面に形成された穴であることが望ましい。
【0019】
露出部が、外装材の上面に成形された穴であると、外装材に形成する穴の大きさを変えることによって固形燃料本体が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0020】
本発明の固形燃料において、上記外装材は上記外装用シートを折ることによって上記固形燃料本体を包装していることが望ましい。
【0021】
本発明の固形燃料において、上記外装材の側面は連続面であることが望ましい。
【0022】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は四角柱であることが望ましい。
【0023】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は直方体であることが望ましい。
【0024】
本発明の固形燃料において、上記外装用シートは長方形であることが望ましい。
【0025】
外装用シートが長方形であると、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートから外装用シートを作製する際に、端材を生じさせることがないので、難燃性シートの利用効率に優れる。
この点について以下に説明する。
特許文献1に記載の固形燃料では、外装材として用いられる金属箔の形状は円形である。
通常、円形の金属箔は、ロールから供給される金属シートから円形を打ち抜き加工することによって作製される。この工程では、金属シートから円形を打ち抜く際、多くの端材が出てしまう。
これに対し、難燃性シートから作製する外装用シートの形状が長方形であると、打ち抜き加工、カッターによる切断加工等の過程で端材を生じさせることがない。そのため、難燃性シートの利用効率に優れる。
【0026】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体が直方体であるとき、上記外装用シートの各辺の長さは、以下のいずれかの関係をみたすことが望ましい。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
ここで、A、Bはそれぞれ、上記外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、上記固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺、長辺、高さである。
【0027】
外装用シートのサイズが上記の条件を満たすものであると、直方体の固形燃料本体を、上記露出部以外、外装材によって完全に密閉されたものとすることができる。このような密閉された態様の固形燃料では、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0028】
本発明の固形燃料において、上記外装用シートは、上記固形燃料本体を包装した外装材の状態から平面に展開した時に、上記固形燃料本体の4つの底辺とそれぞれ接する4つの折り目、及び、上記4つの折り目からなる長方形の1つの頂点と外装用シートの外周とを結ぶ、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である折り目を4つ有していることが望ましい。
【0029】
外装材が、外装用シートを上記のような折り目に沿って折ったものであると、固形燃料本体を容易に包装できる。また、外装材の側面を連続面とすることができ、外装材の周端部を外装材の底面に局在したものとすることができる。
【0030】
本発明の固形燃料において、上記外装材の周端部は、上記外装材の底面に局在していることが望ましい。
【0031】
外装材の周端部が外装材の底面に局在していると、外装材の側面は全て連続面となり、固形燃料本体の側面全体が外装材で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料の使用時に、固形燃料本体が軟化又は液化しても外装材の側面から漏出することを防ぐことができる。
【0032】
本発明の固形燃料において、上記外装材は、上記外装用シートを折ることによって上記固形燃料本体を包装しており、上記露出部は上記外装用シートを折ることによって形成された隙間であることが望ましい。
【0033】
露出部が、外装用シートを折ることによって形成された隙間であると、外装材に穴を形成することなく固形燃料に着火部を設けることができる。従って、固形燃料を、外装材に穴を形成する従来の固形燃料に比べて、より簡略な工程で製造することができる。さらに、穴の形成に伴う端材が生じないため、外装材に利用する難燃性シートの使用効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の固形燃料では、固形燃料本体の形状が平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができる。そのため、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができる。
また、固形燃料本体は1枚の外装用シートで包装されている。外装用シートが1枚しか用いられていないと、外装材として使用する部材の点数を少なくすることができるため、固形燃料の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図1(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図7】図7は、実施例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、比較例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
【図9】図9は、実施例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
【図10】図10は、比較例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
【図11】図11(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図11(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
【図12】図12は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図14】図14は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図である。
【図15】図15は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図16】図16(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図17】図17は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図18】図18は、露出型固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図19】図19は、従来の固形燃料を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の固形燃料について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0037】
なお、以下の各実施形態の中では、外装材として利用する難燃性材は、その形態により、「難燃性シート」、「外装用シート」、「外装材」として区別する。それぞれ、難燃性シートは難燃性材をシート状に加工したもの、外装用シートは上記難燃性シートを固形燃料本体を包装するのに適した形状に加工したもの、外装材は上記外装用シートで固形燃料本体を包装した状態のものである。
【0038】
なお、「外装材」というときは、本発明の固形燃料を構成している状態の外装用シートのみを指す。従って、以下の各実施形態中では、固形燃料本体と接していても、固形燃料本体の包装を完了していない状態の外装用シートは、「外装用シート」と表記する。
【0039】
(第一実施形態)
図1(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図1(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
図1(a)に示す固形燃料10は、直方体の固形燃料本体20が外装材11によって包装されてなる。
外装材11は、後述する1枚の長方形(正方形を含む)の外装用シート(図3参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0040】
外装材11の上面13には穴12が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
穴12は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材11の側面16は全て連続面となっており、外装材11の側面16に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
ここで、「連続面」とは、外装材において、外装材の周端部が存在していない面を指す。
【0041】
図1(b)に示すように、固形燃料10は、その底面側で外装材11によって密閉されている。
本明細書において、固形燃料の特定の面が「密閉」されている状態とは、当該面をいかなる角度から見ても、固形燃料本体を視認できない状態を指す。
【0042】
また、外装材11はその底面14において外装材の周端部15を有している。
すなわち、外装材の周端部15が外装材11の底面14に局在しているといえる。
外装材の周端部15が外装材11の底面14に局在しているため、外装材11の側面16は全て連続面となり、固形燃料本体20の側面全体が外装材11の側面16で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料10の使用時に、固形燃料本体20が軟化又は液化しても外装材11の側面16から漏出することを防ぐことができる。
【0043】
なお、本実施形態の固形燃料10では、穴12は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料10は、調理済み食品の保温、加熱用途に好適に用いることができる。
上記調理済み食品とは、食べる際に温かいことが望ましい食品であり、例えば、一人用の釜飯、鍋物等が挙げられる。
【0044】
本実施形態の固形燃料は、外装材11の上面13に形成された穴12を着火口として用いるものであるので、外装材11に形成する穴12の大きさを変えることによって固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0045】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0046】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体について説明する。
図2は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図2に示す、固形燃料本体20は、底面(及び上面)が正方形である直方体の燃料固形物21が、樹脂フィルム22によって密封されてなる。
図2中の符号aは固形燃料本体の底面(及び上面)の一辺の長さを表し、符合cは高さを表す。ここで、a≧cである。
【0047】
燃料固形物21が樹脂フィルム22で密封されていると、燃料固形物21の燃料成分の蒸発を防ぐことができる。
【0048】
燃料固形物21の重量は、特に限定されるものではなく、使用目的にあわせて適宜設定すればよい。特に上記調理済み食品の保温、加温用途に用いるのであれば、通常5〜100g、好ましくは10〜50gとすることができる。
【0049】
燃料固形物21は、アルコールを主成分として含む固形物である。しかし、燃料固形物21の成分構成は特に限定されるものではなく、アルコール以外の任意成分を含んでもよい。上記任意成分は、例えば、各種添加剤に由来する成分であってもよい。
【0050】
樹脂フィルム22の種類は、可燃性で通気性の無い素材からなるフィルムであれば、特に限定されない。ただし、燃焼後に燃焼残渣が残らない素材であることが好ましい。上記フィルムの素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0051】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図3は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図3に示すように、外装用シート300は、長方形のシート材料であり、長方形の中央部に穴306が形成されたものである。
外装用シート300は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材11(図1(a)及び(b)参照)となるシート材料である。
ここで、図3中の点線と一点鎖線は、外装材を形成する際の折り目を表し、それぞれ谷折り線、山折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線301a、bは外装用シートの両長辺を結ぶ折り目、点線302a、bは外装用シートの両短辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線301a、b及び302a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の上面を形成することになる部分である。
また、各一点鎖線303a〜dは、上記正方形部分の1つの頂点と外装用シートの外周(長辺又は短辺)とを結ぶ線であり、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である。
なお、図3では、外装用シート300上に折り目を示しているが、外装用シート300を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0052】
図3中、外装用シート300の短辺の長さを符号A、外装用シート300の長辺の長さを符号Bで示している。また、図3中、符号aで示す長さは上述した正方形部分の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0053】
外装用シート300の各辺の長さと、固形燃料本体20の底面(及び上面)の寸法とは、以下の関係を満たすものであることが好ましい。
A>a+2c
B>2a+2c
(A、Bはそれぞれ、外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、cはそれぞれ、固形燃料本体の底面(及び上面)の一辺の長さ、固形燃料本体の高さである。)
【0054】
外装用シート300と固形燃料本体20とが、上記関係を満たすものであると、外装用シート300を折ることによって、穴306の部分以外、固形燃料本体20を外装材11で完全に密閉することができる。このように、外装材によって完全に密閉された態様の固形燃料は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0055】
なお、図3には、長方形の外装用シート300を例示しているが、本実施形態に係る外装用シートの形状は正方形であってもよい。
【0056】
外装用シート300は、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートを加工してなることが好ましい。
難燃性材としては、耐火性、加工性、形状保持性等の観点から、銅、ステンレス等の金属箔であることが好ましく、アルミ箔であることがより好ましい。また、難燃性材として、難燃性の樹脂フィルムや難燃紙を用いてもよい。
【0057】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート300を用いて、最終的に図1(a)、(b)に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0058】
まず、固形燃料本体20の製造方法を説明する。
固形燃料本体20は、直方体の燃料固形物21を樹脂フィルム22で密封することで得られる。
【0059】
燃料固形物21は、液状の固形燃料を箱に流し込み、冷却して固めて塊状の燃料固形物を作製し、塊状の燃料固形物を直方体の形状に成形することによって作製する。
塊状の燃料固形物を直方体の形状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、カッターで切断する方法などが挙げられる。
【0060】
次に、燃料固形物21を、樹脂フィルム22で密封する。燃料固形物21を樹脂フィルム22で密封する方法は特に限定されないが、例えば、燃料固形物21を樹脂フィルム22で包装したあと、樹脂フィルム22の周端部を隙間ができないように熱融着することで、密封することができる。このようにして、固形燃料本体20が得られる。
【0061】
続いて、外装用シート300を作製する。
外装用シート300は、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートを長方形に切り出して、さらに、難燃性シートに穴を形成することで作成する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート300の短辺の長さ及び長辺の長さを決定することが望ましい。
【0062】
上記穴を形成する方法は、特に限定されないが、例えば打ち抜き加工を用いることができる。なお、上記長方形に切り出す工程と穴を形成する工程の順序は特に限定されず、いずれの工程から行ってもよい。
【0063】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート300で包装する方法について説明する。
図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0064】
図4(a)に示すように、まず、固形燃料本体20を外装用シート300上に配置する。この状態において、固形燃料本体20の底面の中心部に外装用シート300の穴306(図3参照)が配置されている。
【0065】
次に、点線301aに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。
この工程を完了した状態を、図4(b)に示す。図4(b)に示すように、この状態では、外装用シート300の、点線301aに沿った辺を含む面401は、固形燃料本体20の側面に接している。
【0066】
次に、図4(b)に示す折り目303aに沿って、外装用シートを折る。具体的には、図4(c)に示すように、点線302aに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。このとき、点線301aと点線302aによって囲まれた面307aを、固形燃料本体20の側面に接するように、一点鎖線303aに沿って折り込む。
【0067】
この工程を完了した状態を、図5(a)に示す。図5(a)に示すように、この状態では、一点鎖線303aに沿った折り目を斜辺とする台形面410、及び、点線302aに沿った辺を含む面415は、固形燃料本体20の側面に接している。
【0068】
次に、図5(a)に示す折り目に沿って、外装用シートを折る。具体的には、図5(b)に示すように、点線301bに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。このとき、点線301bと点線302aによって囲まれた面307bを一点鎖線303bに沿って折り込む。
【0069】
この工程を完了した状態を、図5(c)に示す。図5(c)に示すように、この状態では、一点鎖線303bに沿った折り目を斜辺とする台形面420、及び、点線301bに沿った辺を含む面403は、固形燃料本体20の側面に接している。この状態において、固形燃料本体20の側面と略等幅である、外装用シート300の3つの面(面415、台形面410、台形面420)が重なって形成された面を、面402と称する。
【0070】
以下、外装用シートの面402の対面側についても、面402と同様に3つの面(点線302bに沿った辺を含む面435、台形面430、台形面440)が重なった状態となるように、外装用シートを折る。
この工程を完了した状態を、図6(a)に示す。この状態において、固形燃料本体20の側面と略等幅である、外装用シート300の3つの面(面435、台形面430、台形面440)が重なって形成された面を、面404と称する。
【0071】
図6(a)に示すように、この状態では、固形燃料本体20の側面が、外装用シート300を折ることによって形成された面401、面402、面403及び面404で囲まれている。
上記4つの面は、全て固形燃料本体20の側面と略等幅である。
【0072】
次に、図6(b)、(c)に示すように、固形燃料本体20の側面を囲む外装用シート300の4つの側面を、固形燃料本体20の上面に接するように折り下げる。ここでは、図6(b)に示すように、まず面404と面402を折り下げる。続けて、図6(c)に示すように、面403と面401を折り下げる。
【0073】
以上の手順に従って外装用シートを折ることにより、図1(a)、(b)に示す固形燃料10が得られる。
【0074】
なお、ここでは説明のため、単純な手順を代表例として示している。外装用シートを折るにあたっては、図3に示した外装用シート300の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0075】
例えば、図4(a)に示した状態から、外装用シート300の点線301a、301b、302a及び302bに沿って、4つの面を同時に折り上げて、直接図6(a)に示す状態としてもよい。
【実施例】
【0076】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
図7は、実施例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
図7に示す、実施例1で用いた外装用シート210は、短辺88mm、長辺106mmの長方形のアルミ箔211(難燃性シート)から、円形のハッチングで示した部分(円形部212)を打ち抜き加工することによって作製したものである。
図7においてハッチングで示した部分が、端材となる部分であり、円形部212のみが端材となる。
【0078】
本実例では、図2に示す直方体の固形燃料本体20を用いた。上記直方体の固形燃料本体20は、アルコールを主成分とした直方体の燃料固形物を、シュリンクフィルムで包装し、密封して得た。上記直方体の燃料固形物は、アルコールを主成分とした液状の燃料を、直方体の容器に流し込み、冷却固化した後、カッターで切断して得た。
【0079】
続いて、図4〜図6で説明した手順に従って、図2に示す直方体の固形燃料本体20を図7に示す外装用シート210で包装して固形燃料10を作製した。
作製した固形燃料の寸法は、幅33.7mm、奥行き33.7mm、高さ17mmであった。
【0080】
(比較例1)
図8は、比較例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
図8に示す、比較例1で用いた外装用シート200は、外装用シート200Aと外装用シート200Bの2枚の円形のアルミ箔からなる。外装用シート200Aには、穴202が打ち抜き加工によって形成されている。
外装用シート200Aと外装用シート200Bは、短辺70mm、長辺140mmの長方形のアルミ箔201(難燃性シート)から、ハッチングで示した部分を打ち抜き加工することによって作製したものである。
図8においてハッチングで示した部分が、端材となる部分である。
【0081】
本比較例では、円柱形の固形燃料本体を用いた。上記円柱形の固形燃料本体は、アルコールを主成分とした固形物の棒状成形体を、等間隔で輪切りすることで得た。
【0082】
続いて、円柱形の固形燃料本体に対して、図8に示す外装用シート200A及び外装用シート200Bを用いて絞り成形を行うことによって、円柱形の固形燃料本体を包装して固形燃料110(図19参照)を作製した。
作製した固形燃料の寸法は、直径38mm、高さ17mmであった。
【0083】
なお、上記実施例1の直方体の固形燃料本体と上記比較例1の円柱形の固形燃料本体とは、ほぼ同一の体積を有するものである。即ち、使用時に同一の燃焼効果が得られるものである。
【0084】
(梱包試験)
図9は、実施例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。また、図10は、比較例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
実施例1、比較例1でそれぞれ固形燃料を40個作製するために必要なアルミ箔の面積、及び、図9及び図10に示す状態に箱詰めするために必要な箱の面積を表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すとおり、実施例1では、固形燃料本体の形状が直方体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができ、箱詰めするために必要な箱の面積(体積)が小さいことがわかる。
これに対し、比較例1では、固形燃料を箱等の容器に梱包する際に固形燃料の間に隙間が生じるので、同程度の体積の固形燃料を梱包するために必要な箱の面積(体積)が大きくなる。
【0087】
また、実施例1では外装用シートとして1枚の長方形からなるシートを使用しているため、外装用シートを作製する際に発生する端材の量が少ないことがわかる。
【0088】
(第二実施形態)
本実施形態の固形燃料は、露出部の形態が第一実施形態の固形燃料と異なり、露出部は外装用シートを折ることによって形成された隙間である。
図11(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図11(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
図11(a)に示す固形燃料30は、直方体の固形燃料本体20が外装材31によって包装されてなる。
外装材31は、後述する1枚の正方形の外装用シート(図12参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0089】
外装材31の上面33には隙間32が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
隙間32は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材31の側面36は全て連続面となっており、外装材31の側面36に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
【0090】
図11(b)に示すように、固形燃料30は、その底面側も連続面となっており、外装材31の底面34に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
【0091】
また、外装材31はその上面33において外装材の周端部35を有している。
すなわち、外装材の周端部35が外装材31の上面33に局在しているといえる。
外装材の周端部35が外装材31の上面33に局在しているため、外装材31の側面36及び底面34は全て連続面となり、固形燃料本体20の側面の全体が外装材31の側面36で隙間なく覆われ、かつ、固形燃料本体20の底面が外装材31の底面34で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料30の使用時に、固形燃料本体20が軟化又は液化しても外装材31の側面36又は底面34から漏出することを防ぐことができる。
【0092】
なお、本実施形態の固形燃料30では、隙間32は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料は、外装材31の上面33に形成された隙間32を着火口として用いるものであるので、外装材31に別途穴を形成する必要がない。また、隙間32の大きさを変えることによって、固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0093】
本実施形態の固形燃料30は、上記隙間を着火口として使用する以外は、第一実施形態の固形燃料と同様の用途に使用することができる。
【0094】
隙間32の大きさを変える方法としては、外装用シートのサイズを調整するか、折り方を調整することが挙げられる。折り方を調整する方法としては、例えば、後述する製造方法によって固形燃料を得た後、外装材の上面に存在する外装材の周端部を折り返す方法などが挙げられる。
【0095】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0096】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体については、第一実施形態に係る固形燃料本体と略同一のものを用いることができる。
【0097】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図12は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図12に示すように、外装用シート310は、正方形のシート材料である。
外装用シート310は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材31(図11参照)となるシート材料である。
ここで、図12中の点線と一点鎖線は、外装材を形成する際の折り目を表し、それぞれ谷折り線、山折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線311a、bは外装用シートの平行な一対の辺を結ぶ折り目、点線312a、bは外装用シートの別の平行な一対の辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線311a、b及び312a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の底面を形成することになる部分である。
また、各一点鎖線313a〜dは、上記正方形部分の1つの頂点と上記外装用シートの外周(4つの辺)とを結ぶ線であり、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である。
なお、図12では、外装用シート310上に折り目を示しているが、外装用シート310を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0098】
図12中、外装用シート310の一辺の長さを符号Aで示している。また、図12中、符号aで示す長さは上述した正方形部分の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0099】
外装用シート310の一辺の長さAは、包装する固形燃料本体20のサイズにあわせて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。しかし、上記一辺の長さAは、後述する製造方法によって外装材310で固形燃料本体20を包装した際に、外装材310の周端部が固形燃料20の上面にまで達するように設定することが望ましい。
【0100】
なお、図12には、正方形の外装用シート310を例示しているが、本実施形態に係る外装用シートの形状は長方形であってもよい。
【0101】
本実施形態に係る外装用シート310では、第一実施形態に係る外装用シート300と異なり、穴が形成されていない。従って、当該外装用シート310は、より簡便に作製することができる。
【0102】
本実施形態の固形燃料30は、外装用シート310を折ることによって、隙間32以外、固形燃料本体20が外装材31で完全に密閉されてなる。従って、本実施形態の固形燃料30は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0103】
外装用シート310は、第一実施形態に係る外装用シート300と同一の材質のものを用いることができる。
【0104】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート310を用いて、最終的に図11(a)、(b)に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0105】
まず、固形燃料本体20については、第一実施形態に示した製造方法と同一の方法で製造することができる。
【0106】
続いて、外装用シート310を作製する。
外装用シート310は、難燃性シートを正方形に切り出して作製する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート310の一辺の長さを決定することが望ましい。
【0107】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート310で包装する方法について説明する。
図13(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0108】
まず、外装用シート310の中心部に固形燃料本体20を配置し(図示せず)、以下、第一実施形態に示した、固形燃料本体20を外装用シート300で包装する方法に従って、外装用シート310を折る。そして、第一実施形態における図6(a)に示す工程まで完了すると、外装用シート310は、図13(a)に示す状態となる。なお、第一実施形態に示した方法に従って外装用シートを折るにあたって、「301a、b」は「311a、b」と、「302a、b」は「312a、b」と、「303a〜d」は「313a〜d」と読み替えることとする。
【0109】
図13(a)の状態では、固形燃料本体20の側面が、外装用シート310を折ることによって形成された面411、面412、面413及び面414で囲まれた状態となる。
上記各4つの面は、固形燃料本体20の側面と略等幅である。
【0110】
次に、図13(b)、(c)に示すように、固形燃料本体20の側面を囲む外装用シート310の4つの側面を、固形燃料本体20の上面に接するように折り下げる。ここでは、図13(b)に示すように、まず面414と面412を折り下げる。続けて、図13(c)に示すように、面413と面411を折り下げる。
【0111】
以上の手順に従って外装用シートを折ることにより、図11(a)、(b)に示す固形燃料30が得られる。
【0112】
なお、外装用シートを折るにあたっては、図12に示した外装用シート310の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0113】
(第三実施形態)
本実施形態の固形燃料では、外装材の周端部が外装材の側面に位置している。
図14は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図である。
図14に示す固形燃料40は、直方体の固形燃料本体20が外装材41によって包装されてなる。
外装材41は、後述する1枚の長方形の外装用シート(図15参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0114】
外装材41の上面43には穴42が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
穴42は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材41の側面は、連続面である面46が2つと、外装材の周端部45が存在する面47が2つとで構成されている。
【0115】
なお、本実施形態の固形燃料40では、穴42は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料は、外装材41の上面43に形成された穴42を着火口として用いるものであるので、外装材41に形成する穴42の大きさを変えることによって固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0116】
本実施形態の固形燃料40は、第一実施形態の固形燃料と同様の用途に使用することができる。
【0117】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0118】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体については、第一実施形態に係る固形燃料本体と略同一のものを用いることができる。
【0119】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図15は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図15に示すように、外装用シート320は、長方形のシート材料であり、長方形の中央部に穴326が形成されたものである。
外装用シート320は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材41(図14参照)となるシート材料である。
ここで、図15中の点線は、外装材を形成する際の折り目であり、谷折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線321a、bは外装用シートの両長辺を結ぶ折り目、点線322a、bは外装用シートの両短辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線321a、b及び322a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の上面を形成することになる部分である。
なお、図15では、外装用シート320上に折り目を示しているが、外装用シート320を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0120】
図15中、外装用シート320の短辺の長さを符号A、外装用シート320の長辺の長さを符号Cで示している。また、図15中、符号aで示す長さは上述した正方形の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0121】
外装用シート320の短辺の長さAと長辺の長さCは、包装する固形燃料本体20のサイズにあわせて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。しかし上記各辺の長さは、後述する製造方法によって外装用シート320で固形燃料本体20を包装した際に、固形燃料本体20を密閉できるように設定することが望ましい。
【0122】
本実施形態の固形燃料40は、外装用シート320を折ることによって、穴326の部分以外、固形燃料本体20が外装材41で完全に密閉されてなる。従って、本実施形態の固形燃料40は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0123】
外装用シート320は、第一実施形態に係る外装用シート300と同一の材質のものを用いることができる。
【0124】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート320を用いて、最終的に図14に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0125】
まず、固形燃料本体20については、第一実施形態に示した製造方法と同一の方法で製造することができる。
【0126】
続いて、外装用シート320を作製する。
外装用シート320は、難燃性シートを長方形に切り出して、さらに、難燃性シートに穴を形成することで作成する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート320の短辺の長さ及び長辺の長さを決定することが望ましい。
【0127】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート320で包装する方法について説明する。
図16(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0128】
図16(a)に示すように、まず、固形燃料本体20を外装用シート320上に配置する。この状態において、固形燃料本体20の底面の中心部に外装用シート320の穴326(図15参照)が配置されている。
【0129】
次に、点線321aと321bに沿って、外装用シートの両面を折り上げる。そして、図16(b)に示すように、折り上げた両面で固形燃料本体20の上面を覆い、固形燃料本体20が外装用シートに巻かれた状態にする。
【0130】
次に、外装用シートの固形燃料本体と接していない4つの側面(323a、323b、323c、323d)を、それぞれ点線322a又は322bに沿って、固形燃料本体20側に折り込む。この工程を完了し、固形燃料本体を上下ひっくり返した状態を図16(c)に示す。
【0131】
次に、外装用シートの固形燃料本体と接していない残りの4つの面(324a、324b、324c、324d)を、点線322aと322bに沿って、固形燃料本体20側に折る。このとき、得られる外装材41の形状を整えるため、これらの面を適宜折り返してもよい。
【0132】
以上の手順に従って、外装用シートを折ることにより、図14に示す固形燃料40が得られる。
【0133】
なお、ここでは説明のため、単純な手順を代表例として示している。外装用シートを折るにあたっては、図15に示した外装用シート320の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0134】
(第四実施形態)
本実施形態の固形燃料は、固形燃料本体の底面(及び上面)が長方形である。
本実施形態の固形燃料は、用いる固形燃料本体の底面(及び上面)が長方形(正方形を除く)であることを除いて、上記第一〜第三実施形態の各固形燃料と同様である。本実施形態の固形燃料は、上記各実施形態の固形燃料と同様に使用することができる。
なお、本実施形態において、単に「長方形」というときは、正方形を含まない長方形を指す。
【0135】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0136】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体について説明する。
図17は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図17に示す、固形燃料本体50は、底面(及び上面)が長方形である直方体の燃料固形物51が、樹脂フィルム22によって密封されてなる。
図17中の符号aは固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺の長さを表し、符合bは固形燃料本体の底面(及び上面)の長辺の長さを表し、符合cは高さを表す。ここで、b>a≧cである。
【0137】
固形燃料50は、底面(又は上面)が長方形であることを除いて、図2に示す固形燃料本体20と同一である。
【0138】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
本実施形態においては、上記各第一〜第三実施形態で用いたものと、同様の外装用シートを用いることができる。
ただし、外装用シートの各辺の長さと、固形燃料本体50の底面(及び上面)の寸法とは、以下の関係を満たすものであることが好ましい。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
(A、Bはそれぞれ、外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺の長さ、長辺の長さ、固形燃料本体の高さである。)
【0139】
外装用シートと固形燃料本体50とが、上記関係を満たすものであると、上記第一〜第三実施形態に示したいずれの製造方法、即ち、いずれの外装用シートの折り方であっても、着火口として用いる露出部以外、固形燃料本体50を外装材で密閉したものとすることができる。このような密閉された態様の固形燃料では、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。また、このような密閉された態様の固形燃料では、その使用に際し、固形燃料本体が軟化又は液化して外装材から漏出することを防止しやすい。
【0140】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について説明する。
本実施形態の固形燃料は、固形燃料本体として、図2に示す固形燃料本体20に代えて、固形燃料本体50を用いる以外は、第一〜第三実施形態に示した、いずれかの固形燃料の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。
なお、上記固形燃料本体50は、上記固形燃料本体20と略同様な方法によって得ることができる。
【0141】
(その他の実施形態)
以上、4つの実施形態を示して本発明の固形燃料を説明したが、本発明の固形燃料はこれらのみに限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態において、以下のような変更を加えた態様も、本発明に含まれる。
【0142】
以上の各実施形態においては、固形燃料本体として、直方体の燃料固形物が樹脂フィルムで密封されたものを用いている。しかし、上記直方体の燃料固形物のみを固形燃料本体として用いてもよい。このような態様の固形燃料本体を、以下、露出型固形燃料本体と称する。
図18は、露出型固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
露出型固形燃料本体60は、燃料固形物21のみからなり、樹脂フィルムでは覆われていない。
【0143】
上記露出型固形燃料本体は、燃焼後に、樹脂フィルムに由来する燃焼残渣が発生しない。従って、上記露出型固形燃料本体は、上記各実施形態に係る固形燃料本体として用いた場合、固形燃料使用後の燃焼残渣の量が少なくなる。
【0144】
上記各実施形態において、固形燃料本体として露出型固形燃料本体を用いる場合、露出型固形燃料本体に着火する直前まで、上記露出型固形燃料本体は密封された状態であることが好ましい。このような状態としては、例えば、複数個の燃料固形物が、樹脂フィルム等で一体的に包装された状態であってもよい。
また、例えば図2に示した固形燃料本体20のような、樹脂フィルムで密封された固形燃料本体について、使用する直前に樹脂フィルムを剥ぎ取って、上記露出型固形燃料本体として使用してもよい。
【0145】
上記各実施形態の固形燃料は、あらかじめ固形燃料本体と外装用シートを作製しておき、上記固形燃料本体を上記外装用シートで包装して得たものである。しかし、本発明の固形燃料は、必ずしもこのような工程を経て製造されたものでなくともよい。例えば、あらかじめ外装用シートを固形燃料の外装材の形状に成形しておき、そして、上記外装材の着火口となる部分などの開口部から、液状燃料を流し込んだ後、上記液状燃料を固化することよって製造されたものであってもよい。
【0146】
上記各実施形態の固形燃料は、当該固形燃料の表面をさらに樹脂フィルムで外装して、固形燃料全体が樹脂フィルムで密封された態様としてもよい。ここで、このような固形燃料全体を外装する樹脂フィルムを外装樹脂フィルムと称する。上記各実施形態の固形燃料がこのような態様であると、外装材の折り目が開かないため、固形燃料を形状保持性に優れたものとできる。
【0147】
固形燃料全体が樹脂フィルムで密封された態様の固形燃料においては、固形燃料本体として、露出型固形燃料本体を用いることが好ましい。
【0148】
上記外装樹脂フィルムとしては、上記各実施形態の固形燃料における固形燃料本体において、直方体の燃料固形物を密封している樹脂フィルムと同一のものを用いてよい。
【0149】
上記各実施形態においては、直方体の固形燃料本体を用いている。しかし、固形燃料本体としては、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の形状のものを用いてもよい。上記平面充填可能な図形としては、例えば、三角形、四角形、平行六辺形などが挙げられ、これらの中でも、正三角形、直角二等辺三角形、四角形、正六角形が好ましく、長方形又は正方形がより好ましい。
【0150】
上記各実施形態においては、長方形の外装用シートを用いている。しかし、上記外装用シートとして、長方形以外の形状の外装用シートを用いてもよい。上記長方形以外の形状としては、難燃性シートから上記外装用シートを作製する際に端材を生じさせない観点から、平面充填可能な図形であることが好ましい。このような形状として、三角形、台形若しくは平行四辺形等の四角形又は平行六辺形などが挙げられる。
【符号の説明】
【0151】
10、30、40 固形燃料
11、31、41 外装材
12、32、42 露出部
20、50、60 固形燃料本体
21、51 燃料固形物
22 樹脂フィルム
300、310、320 外装用シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
調理済み料理等の加熱用燃料として、円柱状の燃料固形物が樹脂フィルムで密封された固形燃料本体が外装材で包装された固形燃料が知られている。このような固形燃料の1つに、特許文献1に記載された、調理済み料理の保温、加温用に適した態様の固形燃料が知られている。
【0003】
図19は、特許文献1に記載された固形燃料を模式的に示した斜視図である。
図19に示す固形燃料110は、アルコールを主成分とした固形物を含む固形燃料本体120が、アルミ箔からなる外装材111によって包装されてなる。
外装材111としては、2枚の円形の金属箔が用いられている。
具体的には、穴を形成した円形の金属箔と、穴を形成していない円形の金属箔を用意し、それぞれの金属箔に絞り成形を行うことによって、固形燃料本体120が包装されて固形燃料110となっている。
外装材111の上面113の一部には穴112が形成されており、固形燃料本体120が露出している。固形燃料120においては、固形燃料本体120が露出した部分が穴112のみであるため、使用時の燃焼面積が小さく、燃焼を長時間維持しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3827899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の固形燃料は、円柱状であるため、複数個の固形燃料を箱等の容器に梱包する際に、固形燃料を並べると固形燃料の間には必然的に隙間が生じる。
そのため、特許文献1に記載されたような従来の固形燃料は、固形燃料の体積の割に保管スペースを要するという問題があった。
また、輸送効率も悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来の固形燃料が有する問題点を解決するためにされたものであり、保管に要するスペースが少なくて済み、輸送効率に優れた固形燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固形燃料本体を平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体とすることで、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することが可能となり、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の固形燃料は、アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、上記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、上記外装材は1枚の外装用シートからなり、上記外装材は上面に上記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の固形燃料では、固形燃料本体の形状が平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができる。そのため、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができる。
また、本発明の固形燃料を構成する外装材の上面には、固形燃料本体の露出部が設けられており、露出部の面積を調整することによって、固形燃料を使用する際の火力、燃焼時間を容易に調整することができる。
【0010】
ここで、上記「平面充填可能な図形」とは、平面内を特定の図形で敷き詰めた際に、当該平面内を隙間なく敷き詰めることのできる図形を指す。
【0011】
上記平面充填可能な図形としては、例えば、三角形、四角形、平行六辺形などが挙げられ、これらの中でも、正三角形、直角二等辺三角形、四角形、正六角形が好ましく、長方形又は正方形がより好ましい。
ここで、例えば、上記平面充填可能な図形が三角形であると、固形燃料本体は三角柱となり、長方形であると、固形燃料本体は直方体となり、正方形であると、固形燃料本体は直方体又は立方体となる。
【0012】
本明細書において、「上面」とは、本発明の固形燃料の使用時において、着火する面を指す。また、本明細書において、「底面」とは、本発明の固形燃料の使用時において、接地する面を指す。
【0013】
また、固形燃料本体は1枚の外装用シートで包装されている。外装用シートが1枚しか用いられていないと、外装材として使用する部材の点数を少なくすることができるため、固形燃料の生産効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の固形燃料において、上記外装材は金属箔であることが望ましい。
【0015】
金属箔は、耐火性に優れるので、固形燃料の燃焼により生じる炎に直接触れる外装材として好適である。
【0016】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は、上記固形物と上記固形物を密封する樹脂フィルムとからなることが望ましい。
【0017】
固形燃料本体が樹脂フィルムによって密封されたものであると、固形燃料本体から燃料成分が蒸発することを防ぐことができる。
【0018】
本発明の固形燃料において、上記露出部は上記外装材の上面に形成された穴であることが望ましい。
【0019】
露出部が、外装材の上面に成形された穴であると、外装材に形成する穴の大きさを変えることによって固形燃料本体が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0020】
本発明の固形燃料において、上記外装材は上記外装用シートを折ることによって上記固形燃料本体を包装していることが望ましい。
【0021】
本発明の固形燃料において、上記外装材の側面は連続面であることが望ましい。
【0022】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は四角柱であることが望ましい。
【0023】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体は直方体であることが望ましい。
【0024】
本発明の固形燃料において、上記外装用シートは長方形であることが望ましい。
【0025】
外装用シートが長方形であると、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートから外装用シートを作製する際に、端材を生じさせることがないので、難燃性シートの利用効率に優れる。
この点について以下に説明する。
特許文献1に記載の固形燃料では、外装材として用いられる金属箔の形状は円形である。
通常、円形の金属箔は、ロールから供給される金属シートから円形を打ち抜き加工することによって作製される。この工程では、金属シートから円形を打ち抜く際、多くの端材が出てしまう。
これに対し、難燃性シートから作製する外装用シートの形状が長方形であると、打ち抜き加工、カッターによる切断加工等の過程で端材を生じさせることがない。そのため、難燃性シートの利用効率に優れる。
【0026】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料本体が直方体であるとき、上記外装用シートの各辺の長さは、以下のいずれかの関係をみたすことが望ましい。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
ここで、A、Bはそれぞれ、上記外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、上記固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺、長辺、高さである。
【0027】
外装用シートのサイズが上記の条件を満たすものであると、直方体の固形燃料本体を、上記露出部以外、外装材によって完全に密閉されたものとすることができる。このような密閉された態様の固形燃料では、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0028】
本発明の固形燃料において、上記外装用シートは、上記固形燃料本体を包装した外装材の状態から平面に展開した時に、上記固形燃料本体の4つの底辺とそれぞれ接する4つの折り目、及び、上記4つの折り目からなる長方形の1つの頂点と外装用シートの外周とを結ぶ、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である折り目を4つ有していることが望ましい。
【0029】
外装材が、外装用シートを上記のような折り目に沿って折ったものであると、固形燃料本体を容易に包装できる。また、外装材の側面を連続面とすることができ、外装材の周端部を外装材の底面に局在したものとすることができる。
【0030】
本発明の固形燃料において、上記外装材の周端部は、上記外装材の底面に局在していることが望ましい。
【0031】
外装材の周端部が外装材の底面に局在していると、外装材の側面は全て連続面となり、固形燃料本体の側面全体が外装材で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料の使用時に、固形燃料本体が軟化又は液化しても外装材の側面から漏出することを防ぐことができる。
【0032】
本発明の固形燃料において、上記外装材は、上記外装用シートを折ることによって上記固形燃料本体を包装しており、上記露出部は上記外装用シートを折ることによって形成された隙間であることが望ましい。
【0033】
露出部が、外装用シートを折ることによって形成された隙間であると、外装材に穴を形成することなく固形燃料に着火部を設けることができる。従って、固形燃料を、外装材に穴を形成する従来の固形燃料に比べて、より簡略な工程で製造することができる。さらに、穴の形成に伴う端材が生じないため、外装材に利用する難燃性シートの使用効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の固形燃料では、固形燃料本体の形状が平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができる。そのため、保管に要するスペースが少なく、輸送効率に優れた固形燃料とすることができる。
また、固形燃料本体は1枚の外装用シートで包装されている。外装用シートが1枚しか用いられていないと、外装材として使用する部材の点数を少なくすることができるため、固形燃料の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図1(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図7】図7は、実施例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、比較例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
【図9】図9は、実施例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
【図10】図10は、比較例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
【図11】図11(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図11(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
【図12】図12は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図14】図14は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図である。
【図15】図15は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
【図16】図16(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【図17】図17は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図18】図18は、露出型固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
【図19】図19は、従来の固形燃料を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の固形燃料について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0037】
なお、以下の各実施形態の中では、外装材として利用する難燃性材は、その形態により、「難燃性シート」、「外装用シート」、「外装材」として区別する。それぞれ、難燃性シートは難燃性材をシート状に加工したもの、外装用シートは上記難燃性シートを固形燃料本体を包装するのに適した形状に加工したもの、外装材は上記外装用シートで固形燃料本体を包装した状態のものである。
【0038】
なお、「外装材」というときは、本発明の固形燃料を構成している状態の外装用シートのみを指す。従って、以下の各実施形態中では、固形燃料本体と接していても、固形燃料本体の包装を完了していない状態の外装用シートは、「外装用シート」と表記する。
【0039】
(第一実施形態)
図1(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図1(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
図1(a)に示す固形燃料10は、直方体の固形燃料本体20が外装材11によって包装されてなる。
外装材11は、後述する1枚の長方形(正方形を含む)の外装用シート(図3参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0040】
外装材11の上面13には穴12が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
穴12は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材11の側面16は全て連続面となっており、外装材11の側面16に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
ここで、「連続面」とは、外装材において、外装材の周端部が存在していない面を指す。
【0041】
図1(b)に示すように、固形燃料10は、その底面側で外装材11によって密閉されている。
本明細書において、固形燃料の特定の面が「密閉」されている状態とは、当該面をいかなる角度から見ても、固形燃料本体を視認できない状態を指す。
【0042】
また、外装材11はその底面14において外装材の周端部15を有している。
すなわち、外装材の周端部15が外装材11の底面14に局在しているといえる。
外装材の周端部15が外装材11の底面14に局在しているため、外装材11の側面16は全て連続面となり、固形燃料本体20の側面全体が外装材11の側面16で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料10の使用時に、固形燃料本体20が軟化又は液化しても外装材11の側面16から漏出することを防ぐことができる。
【0043】
なお、本実施形態の固形燃料10では、穴12は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料10は、調理済み食品の保温、加熱用途に好適に用いることができる。
上記調理済み食品とは、食べる際に温かいことが望ましい食品であり、例えば、一人用の釜飯、鍋物等が挙げられる。
【0044】
本実施形態の固形燃料は、外装材11の上面13に形成された穴12を着火口として用いるものであるので、外装材11に形成する穴12の大きさを変えることによって固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0045】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0046】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体について説明する。
図2は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図2に示す、固形燃料本体20は、底面(及び上面)が正方形である直方体の燃料固形物21が、樹脂フィルム22によって密封されてなる。
図2中の符号aは固形燃料本体の底面(及び上面)の一辺の長さを表し、符合cは高さを表す。ここで、a≧cである。
【0047】
燃料固形物21が樹脂フィルム22で密封されていると、燃料固形物21の燃料成分の蒸発を防ぐことができる。
【0048】
燃料固形物21の重量は、特に限定されるものではなく、使用目的にあわせて適宜設定すればよい。特に上記調理済み食品の保温、加温用途に用いるのであれば、通常5〜100g、好ましくは10〜50gとすることができる。
【0049】
燃料固形物21は、アルコールを主成分として含む固形物である。しかし、燃料固形物21の成分構成は特に限定されるものではなく、アルコール以外の任意成分を含んでもよい。上記任意成分は、例えば、各種添加剤に由来する成分であってもよい。
【0050】
樹脂フィルム22の種類は、可燃性で通気性の無い素材からなるフィルムであれば、特に限定されない。ただし、燃焼後に燃焼残渣が残らない素材であることが好ましい。上記フィルムの素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0051】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図3は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図3に示すように、外装用シート300は、長方形のシート材料であり、長方形の中央部に穴306が形成されたものである。
外装用シート300は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材11(図1(a)及び(b)参照)となるシート材料である。
ここで、図3中の点線と一点鎖線は、外装材を形成する際の折り目を表し、それぞれ谷折り線、山折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線301a、bは外装用シートの両長辺を結ぶ折り目、点線302a、bは外装用シートの両短辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線301a、b及び302a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の上面を形成することになる部分である。
また、各一点鎖線303a〜dは、上記正方形部分の1つの頂点と外装用シートの外周(長辺又は短辺)とを結ぶ線であり、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である。
なお、図3では、外装用シート300上に折り目を示しているが、外装用シート300を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0052】
図3中、外装用シート300の短辺の長さを符号A、外装用シート300の長辺の長さを符号Bで示している。また、図3中、符号aで示す長さは上述した正方形部分の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0053】
外装用シート300の各辺の長さと、固形燃料本体20の底面(及び上面)の寸法とは、以下の関係を満たすものであることが好ましい。
A>a+2c
B>2a+2c
(A、Bはそれぞれ、外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、cはそれぞれ、固形燃料本体の底面(及び上面)の一辺の長さ、固形燃料本体の高さである。)
【0054】
外装用シート300と固形燃料本体20とが、上記関係を満たすものであると、外装用シート300を折ることによって、穴306の部分以外、固形燃料本体20を外装材11で完全に密閉することができる。このように、外装材によって完全に密閉された態様の固形燃料は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0055】
なお、図3には、長方形の外装用シート300を例示しているが、本実施形態に係る外装用シートの形状は正方形であってもよい。
【0056】
外装用シート300は、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートを加工してなることが好ましい。
難燃性材としては、耐火性、加工性、形状保持性等の観点から、銅、ステンレス等の金属箔であることが好ましく、アルミ箔であることがより好ましい。また、難燃性材として、難燃性の樹脂フィルムや難燃紙を用いてもよい。
【0057】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート300を用いて、最終的に図1(a)、(b)に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0058】
まず、固形燃料本体20の製造方法を説明する。
固形燃料本体20は、直方体の燃料固形物21を樹脂フィルム22で密封することで得られる。
【0059】
燃料固形物21は、液状の固形燃料を箱に流し込み、冷却して固めて塊状の燃料固形物を作製し、塊状の燃料固形物を直方体の形状に成形することによって作製する。
塊状の燃料固形物を直方体の形状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、カッターで切断する方法などが挙げられる。
【0060】
次に、燃料固形物21を、樹脂フィルム22で密封する。燃料固形物21を樹脂フィルム22で密封する方法は特に限定されないが、例えば、燃料固形物21を樹脂フィルム22で包装したあと、樹脂フィルム22の周端部を隙間ができないように熱融着することで、密封することができる。このようにして、固形燃料本体20が得られる。
【0061】
続いて、外装用シート300を作製する。
外装用シート300は、難燃性材からなるシート材料である難燃性シートを長方形に切り出して、さらに、難燃性シートに穴を形成することで作成する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート300の短辺の長さ及び長辺の長さを決定することが望ましい。
【0062】
上記穴を形成する方法は、特に限定されないが、例えば打ち抜き加工を用いることができる。なお、上記長方形に切り出す工程と穴を形成する工程の順序は特に限定されず、いずれの工程から行ってもよい。
【0063】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート300で包装する方法について説明する。
図4(a)〜(c)、図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0064】
図4(a)に示すように、まず、固形燃料本体20を外装用シート300上に配置する。この状態において、固形燃料本体20の底面の中心部に外装用シート300の穴306(図3参照)が配置されている。
【0065】
次に、点線301aに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。
この工程を完了した状態を、図4(b)に示す。図4(b)に示すように、この状態では、外装用シート300の、点線301aに沿った辺を含む面401は、固形燃料本体20の側面に接している。
【0066】
次に、図4(b)に示す折り目303aに沿って、外装用シートを折る。具体的には、図4(c)に示すように、点線302aに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。このとき、点線301aと点線302aによって囲まれた面307aを、固形燃料本体20の側面に接するように、一点鎖線303aに沿って折り込む。
【0067】
この工程を完了した状態を、図5(a)に示す。図5(a)に示すように、この状態では、一点鎖線303aに沿った折り目を斜辺とする台形面410、及び、点線302aに沿った辺を含む面415は、固形燃料本体20の側面に接している。
【0068】
次に、図5(a)に示す折り目に沿って、外装用シートを折る。具体的には、図5(b)に示すように、点線301bに沿って、外装用シートの一面を折り上げる。このとき、点線301bと点線302aによって囲まれた面307bを一点鎖線303bに沿って折り込む。
【0069】
この工程を完了した状態を、図5(c)に示す。図5(c)に示すように、この状態では、一点鎖線303bに沿った折り目を斜辺とする台形面420、及び、点線301bに沿った辺を含む面403は、固形燃料本体20の側面に接している。この状態において、固形燃料本体20の側面と略等幅である、外装用シート300の3つの面(面415、台形面410、台形面420)が重なって形成された面を、面402と称する。
【0070】
以下、外装用シートの面402の対面側についても、面402と同様に3つの面(点線302bに沿った辺を含む面435、台形面430、台形面440)が重なった状態となるように、外装用シートを折る。
この工程を完了した状態を、図6(a)に示す。この状態において、固形燃料本体20の側面と略等幅である、外装用シート300の3つの面(面435、台形面430、台形面440)が重なって形成された面を、面404と称する。
【0071】
図6(a)に示すように、この状態では、固形燃料本体20の側面が、外装用シート300を折ることによって形成された面401、面402、面403及び面404で囲まれている。
上記4つの面は、全て固形燃料本体20の側面と略等幅である。
【0072】
次に、図6(b)、(c)に示すように、固形燃料本体20の側面を囲む外装用シート300の4つの側面を、固形燃料本体20の上面に接するように折り下げる。ここでは、図6(b)に示すように、まず面404と面402を折り下げる。続けて、図6(c)に示すように、面403と面401を折り下げる。
【0073】
以上の手順に従って外装用シートを折ることにより、図1(a)、(b)に示す固形燃料10が得られる。
【0074】
なお、ここでは説明のため、単純な手順を代表例として示している。外装用シートを折るにあたっては、図3に示した外装用シート300の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0075】
例えば、図4(a)に示した状態から、外装用シート300の点線301a、301b、302a及び302bに沿って、4つの面を同時に折り上げて、直接図6(a)に示す状態としてもよい。
【実施例】
【0076】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
図7は、実施例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
図7に示す、実施例1で用いた外装用シート210は、短辺88mm、長辺106mmの長方形のアルミ箔211(難燃性シート)から、円形のハッチングで示した部分(円形部212)を打ち抜き加工することによって作製したものである。
図7においてハッチングで示した部分が、端材となる部分であり、円形部212のみが端材となる。
【0078】
本実例では、図2に示す直方体の固形燃料本体20を用いた。上記直方体の固形燃料本体20は、アルコールを主成分とした直方体の燃料固形物を、シュリンクフィルムで包装し、密封して得た。上記直方体の燃料固形物は、アルコールを主成分とした液状の燃料を、直方体の容器に流し込み、冷却固化した後、カッターで切断して得た。
【0079】
続いて、図4〜図6で説明した手順に従って、図2に示す直方体の固形燃料本体20を図7に示す外装用シート210で包装して固形燃料10を作製した。
作製した固形燃料の寸法は、幅33.7mm、奥行き33.7mm、高さ17mmであった。
【0080】
(比較例1)
図8は、比較例1で用いた外装用シートを模式的に示す平面図である。
図8に示す、比較例1で用いた外装用シート200は、外装用シート200Aと外装用シート200Bの2枚の円形のアルミ箔からなる。外装用シート200Aには、穴202が打ち抜き加工によって形成されている。
外装用シート200Aと外装用シート200Bは、短辺70mm、長辺140mmの長方形のアルミ箔201(難燃性シート)から、ハッチングで示した部分を打ち抜き加工することによって作製したものである。
図8においてハッチングで示した部分が、端材となる部分である。
【0081】
本比較例では、円柱形の固形燃料本体を用いた。上記円柱形の固形燃料本体は、アルコールを主成分とした固形物の棒状成形体を、等間隔で輪切りすることで得た。
【0082】
続いて、円柱形の固形燃料本体に対して、図8に示す外装用シート200A及び外装用シート200Bを用いて絞り成形を行うことによって、円柱形の固形燃料本体を包装して固形燃料110(図19参照)を作製した。
作製した固形燃料の寸法は、直径38mm、高さ17mmであった。
【0083】
なお、上記実施例1の直方体の固形燃料本体と上記比較例1の円柱形の固形燃料本体とは、ほぼ同一の体積を有するものである。即ち、使用時に同一の燃焼効果が得られるものである。
【0084】
(梱包試験)
図9は、実施例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。また、図10は、比較例1で作製した固形燃料40個を、5×8列で箱に敷き詰めた状態を模式的に示した平面図である。
実施例1、比較例1でそれぞれ固形燃料を40個作製するために必要なアルミ箔の面積、及び、図9及び図10に示す状態に箱詰めするために必要な箱の面積を表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すとおり、実施例1では、固形燃料本体の形状が直方体であるため、固形燃料を箱等の容器に隙間なく梱包することができ、箱詰めするために必要な箱の面積(体積)が小さいことがわかる。
これに対し、比較例1では、固形燃料を箱等の容器に梱包する際に固形燃料の間に隙間が生じるので、同程度の体積の固形燃料を梱包するために必要な箱の面積(体積)が大きくなる。
【0087】
また、実施例1では外装用シートとして1枚の長方形からなるシートを使用しているため、外装用シートを作製する際に発生する端材の量が少ないことがわかる。
【0088】
(第二実施形態)
本実施形態の固形燃料は、露出部の形態が第一実施形態の固形燃料と異なり、露出部は外装用シートを折ることによって形成された隙間である。
図11(a)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図であり、図11(b)は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、底面側からの斜視図である。
図11(a)に示す固形燃料30は、直方体の固形燃料本体20が外装材31によって包装されてなる。
外装材31は、後述する1枚の正方形の外装用シート(図12参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0089】
外装材31の上面33には隙間32が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
隙間32は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材31の側面36は全て連続面となっており、外装材31の側面36に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
【0090】
図11(b)に示すように、固形燃料30は、その底面側も連続面となっており、外装材31の底面34に外装材の折り目又は周端部は存在していない。
【0091】
また、外装材31はその上面33において外装材の周端部35を有している。
すなわち、外装材の周端部35が外装材31の上面33に局在しているといえる。
外装材の周端部35が外装材31の上面33に局在しているため、外装材31の側面36及び底面34は全て連続面となり、固形燃料本体20の側面の全体が外装材31の側面36で隙間なく覆われ、かつ、固形燃料本体20の底面が外装材31の底面34で隙間なく覆われた態様となる。このような態様であると、固形燃料30の使用時に、固形燃料本体20が軟化又は液化しても外装材31の側面36又は底面34から漏出することを防ぐことができる。
【0092】
なお、本実施形態の固形燃料30では、隙間32は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料は、外装材31の上面33に形成された隙間32を着火口として用いるものであるので、外装材31に別途穴を形成する必要がない。また、隙間32の大きさを変えることによって、固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0093】
本実施形態の固形燃料30は、上記隙間を着火口として使用する以外は、第一実施形態の固形燃料と同様の用途に使用することができる。
【0094】
隙間32の大きさを変える方法としては、外装用シートのサイズを調整するか、折り方を調整することが挙げられる。折り方を調整する方法としては、例えば、後述する製造方法によって固形燃料を得た後、外装材の上面に存在する外装材の周端部を折り返す方法などが挙げられる。
【0095】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0096】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体については、第一実施形態に係る固形燃料本体と略同一のものを用いることができる。
【0097】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図12は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図12に示すように、外装用シート310は、正方形のシート材料である。
外装用シート310は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材31(図11参照)となるシート材料である。
ここで、図12中の点線と一点鎖線は、外装材を形成する際の折り目を表し、それぞれ谷折り線、山折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線311a、bは外装用シートの平行な一対の辺を結ぶ折り目、点線312a、bは外装用シートの別の平行な一対の辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線311a、b及び312a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の底面を形成することになる部分である。
また、各一点鎖線313a〜dは、上記正方形部分の1つの頂点と上記外装用シートの外周(4つの辺)とを結ぶ線であり、上記1つの頂点の角の二等分線の延長線である。
なお、図12では、外装用シート310上に折り目を示しているが、外装用シート310を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0098】
図12中、外装用シート310の一辺の長さを符号Aで示している。また、図12中、符号aで示す長さは上述した正方形部分の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0099】
外装用シート310の一辺の長さAは、包装する固形燃料本体20のサイズにあわせて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。しかし、上記一辺の長さAは、後述する製造方法によって外装材310で固形燃料本体20を包装した際に、外装材310の周端部が固形燃料20の上面にまで達するように設定することが望ましい。
【0100】
なお、図12には、正方形の外装用シート310を例示しているが、本実施形態に係る外装用シートの形状は長方形であってもよい。
【0101】
本実施形態に係る外装用シート310では、第一実施形態に係る外装用シート300と異なり、穴が形成されていない。従って、当該外装用シート310は、より簡便に作製することができる。
【0102】
本実施形態の固形燃料30は、外装用シート310を折ることによって、隙間32以外、固形燃料本体20が外装材31で完全に密閉されてなる。従って、本実施形態の固形燃料30は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0103】
外装用シート310は、第一実施形態に係る外装用シート300と同一の材質のものを用いることができる。
【0104】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート310を用いて、最終的に図11(a)、(b)に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0105】
まず、固形燃料本体20については、第一実施形態に示した製造方法と同一の方法で製造することができる。
【0106】
続いて、外装用シート310を作製する。
外装用シート310は、難燃性シートを正方形に切り出して作製する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート310の一辺の長さを決定することが望ましい。
【0107】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート310で包装する方法について説明する。
図13(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0108】
まず、外装用シート310の中心部に固形燃料本体20を配置し(図示せず)、以下、第一実施形態に示した、固形燃料本体20を外装用シート300で包装する方法に従って、外装用シート310を折る。そして、第一実施形態における図6(a)に示す工程まで完了すると、外装用シート310は、図13(a)に示す状態となる。なお、第一実施形態に示した方法に従って外装用シートを折るにあたって、「301a、b」は「311a、b」と、「302a、b」は「312a、b」と、「303a〜d」は「313a〜d」と読み替えることとする。
【0109】
図13(a)の状態では、固形燃料本体20の側面が、外装用シート310を折ることによって形成された面411、面412、面413及び面414で囲まれた状態となる。
上記各4つの面は、固形燃料本体20の側面と略等幅である。
【0110】
次に、図13(b)、(c)に示すように、固形燃料本体20の側面を囲む外装用シート310の4つの側面を、固形燃料本体20の上面に接するように折り下げる。ここでは、図13(b)に示すように、まず面414と面412を折り下げる。続けて、図13(c)に示すように、面413と面411を折り下げる。
【0111】
以上の手順に従って外装用シートを折ることにより、図11(a)、(b)に示す固形燃料30が得られる。
【0112】
なお、外装用シートを折るにあたっては、図12に示した外装用シート310の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0113】
(第三実施形態)
本実施形態の固形燃料では、外装材の周端部が外装材の側面に位置している。
図14は、本実施形態の固形燃料の一例を模式的に示した、上面側からの斜視図である。
図14に示す固形燃料40は、直方体の固形燃料本体20が外装材41によって包装されてなる。
外装材41は、後述する1枚の長方形の外装用シート(図15参照)を折ることによって固形燃料本体20を包装している。
【0114】
外装材41の上面43には穴42が形成されており、固形燃料本体20が一部露出している。
穴42は、固形燃料本体20が露出している部分であり、露出部である。
外装材41の側面は、連続面である面46が2つと、外装材の周端部45が存在する面47が2つとで構成されている。
【0115】
なお、本実施形態の固形燃料40では、穴42は着火口として使用できる。本実施形態の固形燃料は、外装材41の上面43に形成された穴42を着火口として用いるものであるので、外装材41に形成する穴42の大きさを変えることによって固形燃料本体20が露出する面積を容易に調整することができる。そのため、本実施形態の固形燃料によれば、固形燃料を使用する際の火力や燃焼時間を任意の程度に調整した固形燃料を設計することができる。
【0116】
本実施形態の固形燃料40は、第一実施形態の固形燃料と同様の用途に使用することができる。
【0117】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0118】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体については、第一実施形態に係る固形燃料本体と略同一のものを用いることができる。
【0119】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
図15は、本実施形態で用いる外装用シートの一例を模式的に示した平面図である。
図15に示すように、外装用シート320は、長方形のシート材料であり、長方形の中央部に穴326が形成されたものである。
外装用シート320は、折って固形燃料本体を包装することによって、外装材41(図14参照)となるシート材料である。
ここで、図15中の点線は、外装材を形成する際の折り目であり、谷折り線を表す。ここで、各点線のうち、点線321a、bは外装用シートの両長辺を結ぶ折り目、点線322a、bは外装用シートの両短辺を結ぶ折り目である。これら4つの点線321a、b及び322a、bで囲まれた領域は、固形燃料本体20の底面(及び上面)と等しいサイズの正方形となっている。
外装用シート中の上記正方形部分は、外装材の上面を形成することになる部分である。
なお、図15では、外装用シート320上に折り目を示しているが、外装用シート320を折る際には必ずしも折り目をつけてから折る必要はない。
【0120】
図15中、外装用シート320の短辺の長さを符号A、外装用シート320の長辺の長さを符号Cで示している。また、図15中、符号aで示す長さは上述した正方形の1辺の長さであり、図2に示した固形燃料本体20の底面(及び上面)の一辺の長さaと同一である。
【0121】
外装用シート320の短辺の長さAと長辺の長さCは、包装する固形燃料本体20のサイズにあわせて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。しかし上記各辺の長さは、後述する製造方法によって外装用シート320で固形燃料本体20を包装した際に、固形燃料本体20を密閉できるように設定することが望ましい。
【0122】
本実施形態の固形燃料40は、外装用シート320を折ることによって、穴326の部分以外、固形燃料本体20が外装材41で完全に密閉されてなる。従って、本実施形態の固形燃料40は、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。
【0123】
外装用シート320は、第一実施形態に係る外装用シート300と同一の材質のものを用いることができる。
【0124】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本製造方法は代表例であり、上述の固形燃料本体20と外装用シート320を用いて、最終的に図14に示す態様の固形燃料が得られるのであれば、他の製造方法を用いてもよい。
【0125】
まず、固形燃料本体20については、第一実施形態に示した製造方法と同一の方法で製造することができる。
【0126】
続いて、外装用シート320を作製する。
外装用シート320は、難燃性シートを長方形に切り出して、さらに、難燃性シートに穴を形成することで作成する。難燃性シートを切り出す際、固形燃料本体20のサイズを基準にして、外装用シート320の短辺の長さ及び長辺の長さを決定することが望ましい。
【0127】
続いて、固形燃料本体20を外装用シート320で包装する方法について説明する。
図16(a)〜(c)は、外装用シートを折って固形燃料本体を包装する一連の工程を示した工程図である。
【0128】
図16(a)に示すように、まず、固形燃料本体20を外装用シート320上に配置する。この状態において、固形燃料本体20の底面の中心部に外装用シート320の穴326(図15参照)が配置されている。
【0129】
次に、点線321aと321bに沿って、外装用シートの両面を折り上げる。そして、図16(b)に示すように、折り上げた両面で固形燃料本体20の上面を覆い、固形燃料本体20が外装用シートに巻かれた状態にする。
【0130】
次に、外装用シートの固形燃料本体と接していない4つの側面(323a、323b、323c、323d)を、それぞれ点線322a又は322bに沿って、固形燃料本体20側に折り込む。この工程を完了し、固形燃料本体を上下ひっくり返した状態を図16(c)に示す。
【0131】
次に、外装用シートの固形燃料本体と接していない残りの4つの面(324a、324b、324c、324d)を、点線322aと322bに沿って、固形燃料本体20側に折る。このとき、得られる外装材41の形状を整えるため、これらの面を適宜折り返してもよい。
【0132】
以上の手順に従って、外装用シートを折ることにより、図14に示す固形燃料40が得られる。
【0133】
なお、ここでは説明のため、単純な手順を代表例として示している。外装用シートを折るにあたっては、図15に示した外装用シート320の折り目に沿って折るのであれば、必ずしも上述の手順どおりに折る必要はない。
【0134】
(第四実施形態)
本実施形態の固形燃料は、固形燃料本体の底面(及び上面)が長方形である。
本実施形態の固形燃料は、用いる固形燃料本体の底面(及び上面)が長方形(正方形を除く)であることを除いて、上記第一〜第三実施形態の各固形燃料と同様である。本実施形態の固形燃料は、上記各実施形態の固形燃料と同様に使用することができる。
なお、本実施形態において、単に「長方形」というときは、正方形を含まない長方形を指す。
【0135】
以下、本実施形態の固形燃料を構成する部材について説明する。
【0136】
まず、本実施形態に係る固形燃料本体について説明する。
図17は、本実施形態で用いる固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図17に示す、固形燃料本体50は、底面(及び上面)が長方形である直方体の燃料固形物51が、樹脂フィルム22によって密封されてなる。
図17中の符号aは固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺の長さを表し、符合bは固形燃料本体の底面(及び上面)の長辺の長さを表し、符合cは高さを表す。ここで、b>a≧cである。
【0137】
固形燃料50は、底面(又は上面)が長方形であることを除いて、図2に示す固形燃料本体20と同一である。
【0138】
次に、本実施形態に係る外装用シートについて説明する。
本実施形態においては、上記各第一〜第三実施形態で用いたものと、同様の外装用シートを用いることができる。
ただし、外装用シートの各辺の長さと、固形燃料本体50の底面(及び上面)の寸法とは、以下の関係を満たすものであることが好ましい。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
(A、Bはそれぞれ、外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、固形燃料本体の底面(及び上面)の短辺の長さ、長辺の長さ、固形燃料本体の高さである。)
【0139】
外装用シートと固形燃料本体50とが、上記関係を満たすものであると、上記第一〜第三実施形態に示したいずれの製造方法、即ち、いずれの外装用シートの折り方であっても、着火口として用いる露出部以外、固形燃料本体50を外装材で密閉したものとすることができる。このような密閉された態様の固形燃料では、使用後の固形燃料本体に由来する燃焼残渣を外装材中に保持することができ、燃焼残渣を容易に廃棄することができる。また、このような密閉された態様の固形燃料では、その使用に際し、固形燃料本体が軟化又は液化して外装材から漏出することを防止しやすい。
【0140】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について説明する。
本実施形態の固形燃料は、固形燃料本体として、図2に示す固形燃料本体20に代えて、固形燃料本体50を用いる以外は、第一〜第三実施形態に示した、いずれかの固形燃料の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。
なお、上記固形燃料本体50は、上記固形燃料本体20と略同様な方法によって得ることができる。
【0141】
(その他の実施形態)
以上、4つの実施形態を示して本発明の固形燃料を説明したが、本発明の固形燃料はこれらのみに限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態において、以下のような変更を加えた態様も、本発明に含まれる。
【0142】
以上の各実施形態においては、固形燃料本体として、直方体の燃料固形物が樹脂フィルムで密封されたものを用いている。しかし、上記直方体の燃料固形物のみを固形燃料本体として用いてもよい。このような態様の固形燃料本体を、以下、露出型固形燃料本体と称する。
図18は、露出型固形燃料本体の一例を模式的に示した斜視図である。
露出型固形燃料本体60は、燃料固形物21のみからなり、樹脂フィルムでは覆われていない。
【0143】
上記露出型固形燃料本体は、燃焼後に、樹脂フィルムに由来する燃焼残渣が発生しない。従って、上記露出型固形燃料本体は、上記各実施形態に係る固形燃料本体として用いた場合、固形燃料使用後の燃焼残渣の量が少なくなる。
【0144】
上記各実施形態において、固形燃料本体として露出型固形燃料本体を用いる場合、露出型固形燃料本体に着火する直前まで、上記露出型固形燃料本体は密封された状態であることが好ましい。このような状態としては、例えば、複数個の燃料固形物が、樹脂フィルム等で一体的に包装された状態であってもよい。
また、例えば図2に示した固形燃料本体20のような、樹脂フィルムで密封された固形燃料本体について、使用する直前に樹脂フィルムを剥ぎ取って、上記露出型固形燃料本体として使用してもよい。
【0145】
上記各実施形態の固形燃料は、あらかじめ固形燃料本体と外装用シートを作製しておき、上記固形燃料本体を上記外装用シートで包装して得たものである。しかし、本発明の固形燃料は、必ずしもこのような工程を経て製造されたものでなくともよい。例えば、あらかじめ外装用シートを固形燃料の外装材の形状に成形しておき、そして、上記外装材の着火口となる部分などの開口部から、液状燃料を流し込んだ後、上記液状燃料を固化することよって製造されたものであってもよい。
【0146】
上記各実施形態の固形燃料は、当該固形燃料の表面をさらに樹脂フィルムで外装して、固形燃料全体が樹脂フィルムで密封された態様としてもよい。ここで、このような固形燃料全体を外装する樹脂フィルムを外装樹脂フィルムと称する。上記各実施形態の固形燃料がこのような態様であると、外装材の折り目が開かないため、固形燃料を形状保持性に優れたものとできる。
【0147】
固形燃料全体が樹脂フィルムで密封された態様の固形燃料においては、固形燃料本体として、露出型固形燃料本体を用いることが好ましい。
【0148】
上記外装樹脂フィルムとしては、上記各実施形態の固形燃料における固形燃料本体において、直方体の燃料固形物を密封している樹脂フィルムと同一のものを用いてよい。
【0149】
上記各実施形態においては、直方体の固形燃料本体を用いている。しかし、固形燃料本体としては、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の形状のものを用いてもよい。上記平面充填可能な図形としては、例えば、三角形、四角形、平行六辺形などが挙げられ、これらの中でも、正三角形、直角二等辺三角形、四角形、正六角形が好ましく、長方形又は正方形がより好ましい。
【0150】
上記各実施形態においては、長方形の外装用シートを用いている。しかし、上記外装用シートとして、長方形以外の形状の外装用シートを用いてもよい。上記長方形以外の形状としては、難燃性シートから上記外装用シートを作製する際に端材を生じさせない観点から、平面充填可能な図形であることが好ましい。このような形状として、三角形、台形若しくは平行四辺形等の四角形又は平行六辺形などが挙げられる。
【符号の説明】
【0151】
10、30、40 固形燃料
11、31、41 外装材
12、32、42 露出部
20、50、60 固形燃料本体
21、51 燃料固形物
22 樹脂フィルム
300、310、320 外装用シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、
前記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、
前記外装材は1枚の外装用シートからなり、前記外装材は上面に前記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする固形燃料。
【請求項2】
前記外装材は金属箔である請求項1に記載の固形燃料。
【請求項3】
前記固形燃料本体は、前記固形物と前記固形物を密封する樹脂フィルムとからなる請求項1又は2に記載の固形燃料。
【請求項4】
前記露出部は前記外装材の上面に形成された穴である請求項1〜3のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項5】
前記外装材は前記外装用シートを折ることによって前記固形燃料本体を包装している請求項1〜4のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項6】
前記外装材の側面は連続面である請求項1〜5のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項7】
前記固形燃料本体は、四角柱である請求項1〜6のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項8】
前記固形燃料本体は、直方体である請求項1〜7のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項9】
前記外装用シートは長方形である請求項8に記載の固形燃料。
【請求項10】
前記外装用シートの各辺の長さが以下のいずれかの関係をみたす請求項9に記載の固形燃料。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
ここで、A、Bはそれぞれ、前記外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、前記固形燃料本体の底面の短辺の長さ、長辺の長さ、高さである。
【請求項11】
前記外装用シートは、前記固形燃料本体を包装した外装材の状態から平面に展開した時に、
前記固形燃料本体の4つの底辺とそれぞれ接する4つの折り目、及び、前記4つの折り目からなる長方形の1つの頂点と外装用シートの外周とを結ぶ、前記1つの頂点の角の二等分線の延長線である折り目を4つ有している請求項9又は10に記載の固形燃料。
【請求項12】
前記外装材の周端部は、前記外装材の底面に局在している請求項1〜11のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項13】
前記外装材は前記外装用シートを折ることによって前記固形燃料本体を包装しており、前記露出部は前記外装用シートを折ることによって形成された隙間である請求項1〜3のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項14】
前記固形燃料本体は、四角柱である請求項13に記載の固形燃料。
【請求項15】
前記固形燃料本体は、直方体である請求項13又は14に記載の固形燃料。
【請求項1】
アルコールを主成分とした固形物を含む、平面充填可能な図形からなる底面を有する柱体の固形燃料本体と、
前記固形燃料本体を包装した、難燃性材の外装材とを備えており、
前記外装材は1枚の外装用シートからなり、前記外装材は上面に前記固形燃料本体の露出部を備えることを特徴とする固形燃料。
【請求項2】
前記外装材は金属箔である請求項1に記載の固形燃料。
【請求項3】
前記固形燃料本体は、前記固形物と前記固形物を密封する樹脂フィルムとからなる請求項1又は2に記載の固形燃料。
【請求項4】
前記露出部は前記外装材の上面に形成された穴である請求項1〜3のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項5】
前記外装材は前記外装用シートを折ることによって前記固形燃料本体を包装している請求項1〜4のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項6】
前記外装材の側面は連続面である請求項1〜5のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項7】
前記固形燃料本体は、四角柱である請求項1〜6のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項8】
前記固形燃料本体は、直方体である請求項1〜7のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項9】
前記外装用シートは長方形である請求項8に記載の固形燃料。
【請求項10】
前記外装用シートの各辺の長さが以下のいずれかの関係をみたす請求項9に記載の固形燃料。
A>2a+2c
B>b+2c
または、
A>a+2c
B>2b+2c
ここで、A、Bはそれぞれ、前記外装用シートの短辺、長辺の長さであり、a、b、cはそれぞれ、前記固形燃料本体の底面の短辺の長さ、長辺の長さ、高さである。
【請求項11】
前記外装用シートは、前記固形燃料本体を包装した外装材の状態から平面に展開した時に、
前記固形燃料本体の4つの底辺とそれぞれ接する4つの折り目、及び、前記4つの折り目からなる長方形の1つの頂点と外装用シートの外周とを結ぶ、前記1つの頂点の角の二等分線の延長線である折り目を4つ有している請求項9又は10に記載の固形燃料。
【請求項12】
前記外装材の周端部は、前記外装材の底面に局在している請求項1〜11のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項13】
前記外装材は前記外装用シートを折ることによって前記固形燃料本体を包装しており、前記露出部は前記外装用シートを折ることによって形成された隙間である請求項1〜3のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項14】
前記固形燃料本体は、四角柱である請求項13に記載の固形燃料。
【請求項15】
前記固形燃料本体は、直方体である請求項13又は14に記載の固形燃料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−236872(P2012−236872A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105090(P2011−105090)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000190736)株式会社ニイタカ (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]