説明

固形物の再懸濁を行うフィルタ

本発明は、連続的またはほぼ連続的に動作するフィルタ装置(10;110)であって、一方の側すなわち高圧側が他方の側すなわち低圧側(42;142)よりも高圧であると共に前記フィルタ装置(10;110)における複数の作業領域を仕事方向(U)において連続的に通過する濾過材(26;126)を用いたフィルタ装置(10;110)により、固形物(23;123)および懸濁液(32;132)を含む懸濁物(22;122)から固形物(23;123)を抽出する方法において、第1の作業領域で前記懸濁物(22;122)は前記濾過材(26;126)の高圧側に供給されて濾過され、前記懸濁液(32;132)は前記高圧側と前記低圧側との間の圧力差により濾過材(26;126)を貫流(通液)し、前記固形物(23;123)の少なくとも一部は濾過材(26;126)に堆積し、前記濾過材(26;126)に堆積した固形物(23;123)は、洗浄液(50;150)で再懸濁され、こうして生成された新しい懸濁物(再懸濁物)(53;153)がフィルタ装置(10;110)の前記仕事方向(U)における前記第1の作業領域の下流部に位置する領域である第2の作業領域で再び濾過される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的またはほぼ連続的に動作するフィルタ装置であって、一方の側すなわち高圧側が他方の側すなわち低圧側よりも高圧であると共に前記フィルタ装置における複数の作業領域を仕事方向(U)において連続的に通過する濾過材(26;126)を用いたフィルタ装置により、固形物(23;123)および懸濁液(32;132)を含む懸濁物(22;122)から固形物(23;123)を抽出する方法において、第1の作業領域で前記懸濁物は前記濾過材の高圧側に供給されて濾過され、前記懸濁液は前記高圧側と前記低圧側との間の圧力差により濾過材を貫流(通液)し、前記固形物の少なくとも一部は濾過材に堆積することを特徴とする方法に関する。さらに、本発明は、上述の方法を実行するように設計された連続的にまたはほぼ連続的に動作するフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の装置および公知の方法の欠点は、固形物および懸濁液を有した懸濁物を濾過した後、懸濁液が固形物の表面、または堆積した固形物により形成された濾過ケークの小孔に取り囲まれて残留する点にある。この懸濁液は、しばしば、それから濾過された固形物を処理する際に、好ましくない化学的および/または物理的性質、特に、それを有する固形物から懸濁液を可能な限り完全に分離することが望まれる程の毒性を有することがある。
【0003】
このため、従来技術として、洗浄液を濾過材に形成された濾過ケークに供給し、圧力差により、高圧側から濾過材の方向へ濾過ケークを貫流させ、濾過材を貫流した後、最後に低圧側で除去するものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この洗浄により、濾過ケークの固形物それぞれの表面の一部から懸濁液を除去することが可能になるが、固形物はしばしば濾過ケーク内に堅固に堆積し合い、懸濁液がその小孔または毛細間隙に粘り強く残留することがある。したがって、これらの懸濁液の場所には洗浄液が届かず、または少なくとも完全に洗浄されることはないため、今日まで、濾過後に所定の量の懸濁液が残留することは、好ましくはないが認めざるを得なかった。
【0005】
上述の従来技術の欠点の克服を始めとし、本発明は、懸濁液の残留物を残さず固形物および懸濁液を含む懸濁物から可能な限り固形物を取得することを可能とする技術を教示することを目的とする。従来技術と比較して、少なくとも固形物に依然として付着している可能性のある懸濁液に対する固形物の純度を高めることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明の一般的な種類の方法による第1の態様により達成され、この方法において、濾過材に堆積した固形物は洗浄液で再懸濁され、こうして生成された新しい懸濁物は、前記第1の作業領域の仕事方向における下流にあるフィルタ装置の第2の作業領域で再び濾過される。
【0007】
本発明の第2の態様によると、上述の目的は同様に、連続的またはほぼ連続的に動作するフィルタ装置であり、一方の側すなわち高圧側が他方の側すなわち低圧側よりも高圧であると共に前記フィルタ装置における複数の作業領域を仕事方向において連続的に通過する濾過材を用いたフィルタ装置であって、前記フィルタ装置は、前記懸濁物が前記濾過材のその高圧側に供給されて濾過され、懸濁液が前記高圧側と前記低圧側との間の圧力差により濾過材を貫流し、前記固形物の少なくとも一部は濾過材に堆積する第1の作業領域を有するフィルタ装置によって達成される。本発明の目的を達成するため、前記フィルタ装置は、前記濾過材に堆積した固形物を洗浄液で再懸濁するための懸濁器を有し、前記フィルタ装置はさらに、前記仕事方向(U)の前記第1の作業領域の下流部に位置する第2の作業領域を有し、こうして生成された新しい懸濁物が再び濾過されるようになっている。
【0008】
従来技術から知られる洗浄とは反対に、本発明が教示するものは、濾過材に堆積した固形物を洗浄液で再懸濁し、すなわち、少なくとも短時間に濾過材から遊離させ、洗浄液に懸濁させる。この結果、固形物が堆積する際に形成された固形物粒子間の小孔および毛細間隙が壊されて、そこに含まれていた懸濁液もまた固形物から除去することができる。
【0009】
洗浄液内の固形物の新しい懸濁物(再懸濁物)は、それらを相互に移動させ、少なくとも短期間の間に高い可能性で洗浄液によりあらゆる面を洗い流す。この再懸濁物の動作に続いて、前記第1の作業領域に対して下流であるフィルタ装置の第2の作業領域で洗浄液は濾過される。
【0010】
ここで、第1の作業領域は必ずしもフィルタ装置の第1の作業領域である必要はないことを明確にする。本願請求項のさらなる方法ステップは、この第1の作業領域の上流に、例えば濾過する懸濁物を加熱または冷却するステップを連結することができる。
【0011】
上述の第2の作業領域は同様に、前記第1の作業領域に直ちに続く必要はない。反対に、前記第1の作業領域および前記第2の作業領域の間に別の方法ステップを実行する作業領域を連結することもできる。唯一重要なことは、前記第2の作業領域は前記第1の作業領域に対してフィルタ装置の仕事方向から見て後にあることである。
【0012】
区別を明確にするため、もともと濾過されるべき懸濁物を懸濁物と呼び、再懸濁により生じた新たな懸濁物を再懸濁物と呼ぶものとする。
【0013】
フィルタ装置の外側(外部)に洗浄器を配設して固形物が再懸濁すると、固形物が洗浄液に懸濁している接触時間を自由に選択することが可能となる。
【0014】
この種の外部洗浄器を用いると、再懸濁のために既存の作業領域の区分を変更する必要がなく、さらに、本願請求項に記載の方法を実行するために、既存のフィルタ装置を改良することができるという長所が得られる。
【0015】
最後に、上記の外部洗浄器が再懸濁液のための混合チャンバとして用いられる場合、チャンバのサイズは必要条件に従うその能力で規制なしで自由に必要な大きさにされることができる。
【0016】
固形物の洗浄液内の再懸濁を補助するため、洗浄液が渦流の状態で流れるようにした場合、本発明の発展例はさらなる長所がある。これは、少なくとも一つの静的混合部および/または少なくとも一つの動的混合部および/または少なくとも一つのポンプおよび/または少なくとも一つの混合容量部を有する搬送部を備えた洗浄器により実現される。
【0017】
静的混合部は、例えば、流れの方向に対して順に続く複数の流れ障害物を含み、この流れ障害物を流れの方向に対して相互に垂直に配設して、固形物と洗浄液の再懸濁物がその周りを流れるようにしても良い。静的混合部としてコイル状の、特に蛇行した形状の搬送部を用いることも同様に本発明の範囲内である。
【0018】
動的混合部として、例えば、撹拌器および/または混合ロール器を使用しても良い。固形物が微小な粒子を有する場合、洗浄液との完全な混合は上述のポンプにより実行、または少なくとも補助することができる。
【0019】
少なくとも一つの混合容量部を設けることにより、さらに、洗浄液と固形物の完全な混合が促進され、さらに固形物の再懸濁が促進される。混合容量部は、搬送部の流れ方向の部位に対してより容積の大きい、例えば、搬送部の断面を拡大した部位により、または搬送部に配設された容器により実現することができる。
【0020】
代替実施の形態として、或いは追加的に、固形物をフィルタ装置自体で再懸濁しても良い。これは構造上、外部洗浄器を設けるためのスペースが十分にない場合、特に有利である。このため、固形物は、自身が堆積した濾過材から簡単に浮遊することができる。簡単な例では、これは、洗浄液を噴出により勢い良く流すことで実現することができる。しかしながら、固形物がフィルタ装置内で再懸濁すると、再懸濁物内の固形物は基本的に濾過材により常に仕事方向に運ばれる。
【0021】
供給される高い流速の洗浄液による固形物の再懸濁に加えて、或いは固形物の再懸濁物の代替として、効果的にするため、洗浄液が仕事方向と反対方向の流体成分を有するようにして、固形物を撹拌器により再懸濁しても良い。この種の撹拌器は、固形物が洗浄液と完全に混合することを確実にする。この完全な混合により、固形物は相互に、および洗浄液に対して移動し、個別の固形物の粒子が十分に洗浄液により洗浄される。
【0022】
本発明のある実施の形態では、短い搬送部でのみ再懸濁を発生させることができため、濾過材を流れる再懸濁流の深さが浅い場合でも再懸濁物に完全に浸すことができる平形撹拌器の使用が有利であり、これにより、撹拌器の効率性が低下することを回避して、撹拌の度合いを高め、渦流を発生させることができる。
【0023】
固形物を濾過材から分離するため、フィルタ装置は掻き取り器を備えても良い。この場合、固形物は機械的に濾過材から分離することができる。この方法は、掻き取り器の物理的障壁効果により、極めて安全で信頼性も高い。
【0024】
さらに加えて、或いは代替として、固形物の濾過材からの分離は、洗浄液を濾過ケーク自体に適切な噴射、例えば、上述のように、洗浄液を高い流速で仕事方向と反対の方向に噴射することにより実現できる。
【0025】
さらに、固形物の濾過材からの分離は、低圧側からのガスによるカウンターブローイングおよび/または液体によるカウンターフラッシングにより実行、または少なくとも補助することができる。
【0026】
ガスと混合したカウンターフラッシング液の使用も、これにより、カウンターフラッシングに必要な液体の量を大幅に削減しながら、同様の分離効果を得ることができるため、ここでは特に効果的と考えられる。
【0027】
いくつかの実施の形態のフィルタ装置は、濾過材とともに移動して、濾過する懸濁物がそれぞれの場合で注がれるチャンバを備える。この場合、それぞれのチャンバに、懸濁液を除去する少なくとも一つの排出管を低圧側に割り当てることができる。この排出管はチャンバとともに移動する。
【0028】
これらの実施の形態では、必要な部材の数を削減するため、低圧側からの上述のカウンターフラッシングの排出管を、固形物を濾過材から分離するために使用することができる。この目的のため、濾過材の方向に流れるように液体は排出管に導入される。この場合、すでに排出された懸濁液が、既に濾過された固形物に戻るという好ましくない現象を回避するため、濾過材に堆積した固形物は、濾過された後、例えば、第1の作業領域からの懸濁液がまだ満ちている少なくとも一つの排出管から、少なくとも懸濁液の一部、好ましくは懸濁液の全てが排出されるまで、高圧側から低圧側へガス処理液とともに吹き抜けるようにしても良い。
【0029】
この堆積した固形物を吹き抜けるようにすることはパルス方式で行っても良い。この目的のため、フィルタ装置のチャンバが、第2の作業領域の前、好ましくは第1の作業領域に隣接し、第2の作業領域と先行する作業領域、特に第1の作業領域から分離したシーリング部の動作部位に完全に位置するまで待機することが好ましい。次に、このチャンバがシーリング部の動作部位に完全に位置している間、チャンバにガスを吹き抜けさせる。シーリング部は、チャンバがシーリング部の動作部位に完全に位置している間、低圧側に配置される排出管がチャンバと周囲への唯一の接続部となるように、高圧側からチャンバを封止する。
【0030】
重力効果は濾過動作でしばしば用いられる。このため、濾過する物質、この場合、懸濁物は、重力の効果の方向に関して、所定の方位を有する特定の方法のフィルタ濾過材によって運搬される。
【0031】
この種の効果を有利に利用して、さらに、第1の作業領域で固形物を除湿することができるように、前記仕事方向下流にある前記第1の作業領域の端部が重力と反対方向に上昇する前記フィルタ装置の部分に位置するごとに、ガス処理液が第1作業領域下流の末端部位の濾過材に堆積した固形物に供給される。
【0032】
特に、固形物から懸濁液の完全な洗浄は、固形物を、少なくとも一回の更なる再懸濁物洗浄、すなわち固形物を前記濾過材から除去し、洗浄液で再懸濁し、最後に再び濾過材に送り濾過する、および/または少なくとも一度の従来の貫流洗浄、すなわち固形物を前記濾過材の前記高圧側からその低圧側へ流れる洗浄液により洗浄することにより行うことができる。
【0033】
これに関連して、複数の再懸濁物の洗浄を連続して実行しても良い。代替として、或いはさらに加えて、従来技術から公知の貫流洗浄を用いた少なくとも一つの作業ステップを、再懸濁物の洗浄の間および/またはその上流および/または下流の間に実行しても良い。再懸濁と貫流洗浄の順序は、所望の洗浄結果、費用要件、および利用可能な構造上のスペースに基づいて専門家が選択する。
【0034】
少なくとも2回の洗浄動作が連続して行われる都度、本発明の有利な展開では、それらを逆流洗浄で行うことができる。こにより、洗浄液を大幅に節約することができ、しかも洗浄結果が著しく劣化することもない。これは、再懸濁物の洗浄および貫流洗浄の両方に適用可能である。
【0035】
逆流洗浄の場合、新しい方の洗浄液は、2回目の洗浄位置の固形物、すなわち、フィルタ装置の仕事方向下流に供給され、濾過される。濾過された新しくない方の洗浄液は、フィルタ装置の仕事方向さらに上流に位置する1回目の洗浄位置に運ばれ、「予備動作」として固形物に供給され、再び固形物から濾過される。このステップバイステップの洗浄工程は、当然、2回以上の洗浄動作で実行しても良い。この逆流洗浄では、フィルタ装置の洗浄液を僅かに用いるだけで極めて長い洗浄部を得ることができるため、洗浄液を、洗浄のためにとても効果的に使用することができる。
【0036】
可能な限り優れた洗浄結果を得ることができるように、本発明の有利な展開では、少なくとも1つの再懸濁動作で、固形物と初めて接触する場合の洗浄液として新しい洗浄液を用いても良い。
【0037】
同様に、上述のように、本発明の有利な展開では、固形物の洗浄のため、仕事方向下流で少なくとも一度既に使用した洗浄液を、少なくとも一つの再懸濁動作で使用しても良い。この場合、「洗浄」とは本願発明の貫流洗浄と再懸濁物の洗浄と両方に適用する。このように、洗浄液を複数回使用することにより、比較的少量の洗浄液を用いて極めて優れた洗浄結果を得ることを可能にする。
【0038】
本発明の有利な実施の形態では、フィルタ装置は、堆積した固形物を乾燥させるための作業領域を有しても良い。この乾燥は、ガス状の乾燥媒体を導いて堆積した固形物を貫流させることでなされる。高温の乾燥媒体がこの場合特に有効であることが証明されている。堆積した固形物を短期間に乾燥させるために必要な熱と、乾燥時にさらなる洗浄効果を得ることができる十分な湿度の両方を有していることから、特に好ましくは、蒸気、特に水蒸気を用いることが好ましい。
【0039】
最後に、フィルタ装置は、濾過材に堆積した固形物を洗浄し、好ましくは、乾燥した状態でフィルタ装置から除去し、続く処理ステップに送る作業領域を有しても良い。
【0040】
ベルトフィルタ、ドラムフィルタ、またはディスクフィルタがフィルタ装置に適している。
【0041】
フィルタ装置はさらに、高圧側から低圧側へ勾配を持った圧力を生成するため、「真空フィルタ装置」或いは「加圧フィルタ装置」として設計されても良い。
【0042】
真空フィルタ装置の場合、濾過材の高圧側には通常大気圧がかかっており、低圧側には負圧が生成される。反対に加圧フィルタ装置の場合、高圧側には大気圧を超える圧力がかかっており、低圧側には通常大気圧がかかっている。しかしながら、高圧側と低圧側の間に圧力差がある種類のものであれば十分である。このため、高圧側と低圧側の間に圧力差さえ生じるのであれば、大気圧を超える圧力レベル、または理論的には大気圧を下回る圧力レベルでも、高圧側および低圧側の両方にかけることができる。
【0043】
フィルタ部の短いものしか利用できない特定の場合では、高圧側に大気圧に対して正圧をかけ、低圧側に大気圧に対して負圧をかけて動作することを想定しても良い。これにより、濾過材の2つの圧力側の間に特に大きな圧力勾配を実現する。
【0044】
真空フィルタ装置は、例えば、真空ベルトフィルタ、真空回転フィルタ、真空ドラムフィルタの方式が知られている。圧力回転フィルタも同様に公知で、圧力ドラムフィルタとも呼ばれている。これらは本願請求項に記載のフィルタ装置として、または本願請求項に記載の方法を実行するものとして使用可能である。さらに、原理上、圧力ベルトフィルタとしてフィルタ装置を設計することも想定可能である。
【0045】
本発明は添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に明らかなように、本願請求項に言及されるフィルタ装置は、参照番号10を付して示されている。フィルタ装置10は圧力ドラムフィルタ12を備え、そのフィルタドラム14は、回転軸Aの周りを矢印U(仕事方向U)に沿って時計回りの方向に回転するようになっている。この空間におけるフィルタドラム14の方向は、図1において重力の作用する方向を示す矢印Gにより示す。
【0047】
フィルタドラム14は、その外周に沿って、フィルタドラム14の外周を周方向に分割する複数のチャンバ16を有している。少なくとも懸濁物流出端において重力の作用する方向と平行する注入管18により通常の大気圧と比較して正圧で、懸濁物22は、矢印20の方向にチャンバ16に圧力ドラムフィルタ12の第1作業部位Iに注入される。
【0048】
作業部位IからVは円周方向にそれぞれシーリング部材24により分離されている。シーリング部材24は、シーリング部材24が配設されているフィルタ12の円周部位を介して、外部周囲方向に放射状に貫通するチャンバ16を、封止する。シーリング部材24はさらに、ある特定の作業領域のチャンバ16への影響が直前および直後の作業領域のチャンバ16に影響することのないように、円周方向へも封止する。
【0049】
懸濁物22は、円で示されている固形物23と点で示される懸濁液32とを含む。
【0050】
チャンバ16の底部を構成する濾過材26は、フィルタドラム14上に載設されている。濾過材26は、布地または繊維の絡み合ったものなどで構成されても良い。濾過する懸濁物の状態に応じて、濾過材26は金属および/または合成繊維および/または天然繊維を有しても良い。
【0051】
チャンバ16はそれぞれ、軸Aの周りを時計回りの方向に自身が割り当てられたチャンバ16とともに回転する排出管28を有している。説明を簡単にするため、図1において排出管28は、5つのチャンバ16にしか示していない。
【0052】
移動する排出管28はさらに下流で、所定の継手により硬質の排出管(図示されていない)に連結されており、作業領域ごとに専用の硬質排出管が割り当てられることが好ましい。
【0053】
作業領域Iでは、放射状外側の高圧側30の正圧が、懸濁液32を濾過材26を介して放射状内側に除去する。この場合、作業領域Iの下流の末端部位34の管36を介して、ガスが懸濁物22へ泡立ち、このガスは、作業領域I内の圧力の平衡のため、懸濁物22自体と同様の圧力を有する。この泡立ったガスはさらに、固形物から懸濁液32を取り除き、排出管28を介して除去する。さらに、作業領域Iの下流末端部位34の泡立ったガスは、懸濁液32を、少なくともチャンバ近傍の部位で排出管28から押し出す。
【0054】
作業領域Iの末端で、懸濁液32のほとんどは濾過される。小孔と毛細間隙に囲まれて含まれた、特定の残留湿気と懸濁液の残留物を有した固形物が残る。
【0055】
作業領域I直後のシーリング部材24は、このチャンバが完全にシーリング部材24の下に配置され、シーリング部材24により封止されている限り、フィルタの排出側に対して正圧でガスをチャンバ16に噴射するガス噴射ノズル(図示されていない)を有している。
【0056】
続く作業領域IIでは、作業領域IIの上流の末端部位38で最初に、例えば、ガスと混合した水などのカウンターフラッシング液が、放射状外側へ矢印40の方向に、低圧側42から濾過材26へ導かれ、濾過材26に堆積した固形物が濾過材26からチャンバ16へ分離される。
【0057】
その後、固形物はチャンバ16から移動されて、洗浄器44に供給される。
【0058】
洗浄器44は、洗浄液、例えば水をチャンバ16から移動された固形物に送る管48が導かれる混合容器からなる混合容量部46を備えている。
【0059】
さらに、混合容量部46は、注入された洗浄液50を固形物23と混合する撹拌器52を備えている。これにより、固形物23は洗浄液50によりすすがれて、毛細間隙および小孔は壊され、そこに残っていた可能性のある懸濁液32は洗い流される。
【0060】
洗浄液50で混合容量部46内に再び懸濁した固形物は再懸濁物53として、洗浄液50と固形物23をさらに渦流を用いて完全に混合するポンプ54により、作業領域IIIの配管系56を介してフィルタドラム14のチャンバ16に再び送られる。この場合、再懸濁物53には、ポンプ54の働きで、大気圧に対して正圧がかかっている。作業領域IIIでは、高圧側30と低圧側42の間の圧力差により、洗浄液50は放射状内側に押入され、濾過材26を介して排出管28に入り、除去される。この工程で、固形物23から分離された懸濁液の残留物はともに運ばれる。時計回りの方向に観測すると、作業領域IIIの端部に、浄化されたがまだ洗浄液50のために湿気を含んだ固形物23がチャンバ16に存在している。
【0061】
作業領域IIIに隣接する作業領域IVでは、フィルタドラム14が時計回りの方向に移動する場合、チャンバ16の固形物23には、管接合部58に接続された複数の管(図示されていない)を介して熱蒸気が加えられ、この結果、固形物23はさらに浄化され、乾燥される。水蒸気は排出管28を介して除去され、これにより排出管28も部分的に洗浄される。
【0062】
最後に、仕事方向Uに対して作業領域IVに直ちに隣接する作業領域Vの排出器60を用いて、乾燥された固形物質23は圧力ドラムフィルタ12から除去され、さらなる処理工程に送られる。
【0063】
仕事方向Uで排出器60に続く濾過材26に洗浄液62が加えられ、新たな懸濁物22を濾過する前に洗浄が行われる。洗浄液62は同様に、排出管28を介して除去され、排出管28の洗浄も行われる。
【0064】
図2は、本発明の第2の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。図1と同様の構成には同様の参照番号に100を加算した番号を付している。その説明のため、図1の記載も明示的に参照する。
【0065】
図2は、真空ベルトフィルタ装置112を示す図である。ベルト型の濾過材126は、回転軸に対して平行で、矢印U(仕事方向U)に沿って時計回りと同じ方向に回転する2個のローラ164と166の周りを回転する。懸濁液122は濾過材126に供給管118を介して送られる。真空箱128aは、第1の作業領域Iに負圧を生成し、懸濁液132を除去する。
【0066】
図2の続く二つの作業領域IIとIIIでは、濾過材126に堆積した固形物123に、それぞれ管148および148を介して洗浄液150および150が送られる。洗浄液が加えられた後、続いて撹拌器152と152により固形物123と洗浄液の再懸濁物が生成される。真空吸引箱128および128は濾過材126の下、すなわち懸濁物122が加えられていない低圧側142に負圧を生成し、これにより、個別の再懸濁物153から洗浄液150が除去される。
【0067】
洗浄液150が流体成分とともに濾過材126へ仕事方向Uと反対の方向に排出されるように、管148は出口側で仕事方向Uと反対の方向に屈曲している。これを用いて固形物123を濾過材126から除去し、さらにそれらを完全混合する。
【0068】
完全混合の結果は、洗浄液150を管148から高圧で鋭く噴出した場合、すなわち高い流速で小さな流体面で噴出すると、さらなる向上が可能となる。
【0069】
洗浄液タンク168に連結した管148の個別の機能を使用して新しい洗浄液150を固形物123に供給する、即ち、固形物123と初めて接触する洗浄液150を供給することに留意されたい。真空吸引箱から吸引された僅かに不純物の混在した洗浄液150は、一点鎖線170により示されるように、管148の上流、すなわち仕事方向Uと反対方向の濾過材126の固形物123に再び送られる。こうして、作業領域IIでは僅かに不純物の混在した洗浄液150を用いた「逆流洗浄」、すなわち固形物の予備洗浄が行われ、作業領域IIIでは新しい洗浄液150を用いた濾過材126に堆積した固形物の最終洗浄が行われる。この結果、洗浄液150を効果的に使用して極めて純度の高い固形物123を得ることが可能となる。
【0070】
仕事方向Uの作業領域IIIの端部では、ノズル158を介して固形物123に再び熱蒸気が吹き付けられ、固形物123を乾燥する。
【0071】
作業領域IIIに直ちに隣接する作業領域IVでは、乾燥され、洗浄された固形物質123が濾過材126から機械的回収器172で回収され、さらなる処理部(図示されていない)に送られる。最後に、仕事方向Uに、低圧側142の真空吸引箱128により除去された洗浄液162が濾過材126に送られる。
【0072】
図1の加圧フィルタドラム14と図2のフィルタベルト126の両方ともパルス式または連続的に仕事方向Uで除去することが可能であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の方法を実行する、本発明のドラム型加圧フィルタ装置の概略断面図である。
【図2】図2は、同様に本発明の方法を実行する、真空ベルトフィルタ装置として構成される本発明の第2の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的またはほぼ連続的に動作するフィルタ装置(10;110)であって、一方の側すなわち高圧側(30;130)が他方の側すなわち低圧側(42;142)よりも高圧であると共に前記フィルタ装置(10;110)における複数の作業領域(I−V;I−IV)を仕事方向(U)において連続的に通過する濾過材(26;126)を用いたフィルタ装置により、固形物(23;123)および懸濁液(32;132)を含む懸濁物(22;122)から固形物(23;123)を抽出する方法において、
前記懸濁物(22;122)は、第1の作業領域(I)において前記濾過材(26;126)の高圧側(30;130)に供給されて濾過され、前記懸濁液(32;132)は前記高圧側(30;130)と前記低圧側(42;142)との間の圧力差により濾過材(26;126)を貫流し、前記固形物(23;132)の少なくとも一部は濾過材(26;126)に堆積し、
前記濾過材(26;126)に堆積した固形物(23;132)は、洗浄液(50;50)で再懸濁され、
こうして生成された新しい懸濁物(22;122)(再懸濁物)がフィルタ装置(10;110)の前記仕事方向における前記第1の作業領(I)域の下流部に位置する領域である第2の作業領域(II)で再び濾過されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記固形物(23)は、前記フィルタ装置(10)の外部に配設された洗浄器(44)で再懸濁されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄器(44)は、少なくとも一つの静的混合部(56)および/または少なくとも一つの動的混合部(52)および/または少なくとも一つのポンプ(54)および/または少なくとも一つの混合容量部(46)を有する搬送部(56)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固形物(23;123)は、フィルタ装置(10;110)で再懸濁されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記固形物(23;123)は、供給された洗浄液(50;150)と共に、好ましくは平形の撹拌器(50;150)および/または高い流速で送られる洗浄液(50;150)により再懸濁されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記固形物(23;123)は、濾過材(26;126)から、例えば掻き取り器により、機械的に分離されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記固形物(23;123)は、前記濾過材(26;126)からカウンターフラッシングおよび/またはカウンターブローイングにより分離されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
ガスと混合されたカウンターフラッシング液を用いることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記濾過材(26)に堆積した前記固形物(23)は、濾過された後、前記第1の作業領域(I)からの懸濁液(22)がまだ満ちている少なくとも一つの排出管(28)から、例えば前記懸濁液(22)の一部、好ましくは前記懸濁液(22)の全てが排出されるまでガス処理液によりブローされることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記仕事方向(U)下流にある前記第1の作業領域(I)の端部(34)は、重力(g)と反対方向に上昇する前記フィルタ装置(10)の部分に位置するごとに、ガス処理液がこの端部(34)近傍の前記濾過材(26)に堆積した前記固形物(23)に供給されることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記固形物(123)は、
少なくとも一回の更なる再懸濁物洗浄、すなわち前記濾過材(126)から除去され、洗浄液(150)に再懸濁され、最後に再び濾過材(126)に送られて濾過され、
および/または、
少なくとも一度の貫流洗浄、すなわち前記濾過材(126)の前記高圧側(130)からその低圧側(142)へ流れる洗浄液(150)により洗浄されることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
連続的またはほぼ連続的に動作するフィルタ装置(10;110)であり、一方の側すなわち高圧側(30;130)が他方の側すなわち低圧側(42;142)よりも高圧であると共に前記フィルタ装置(10;110)における複数の作業領域(I−V:I−IV)を仕事方向において連続的に通過する濾過材(26;126)を用いたフィルタ装置(10;110)であって、
前記フィルタ装置(10;110)は、前記懸濁物(22;122)が前記濾過材(26;126)のその高圧側(30;130)に供給されて濾過され、懸濁液(32;132)が前記高圧側(30;130)と前記低圧側(42;142)との間の圧力差により濾過材を貫流し、前記固形物(23;123)の少なくとも一部は濾過材(26;126)に堆積する第1の作業領域(I)と、
前記濾過材に堆積した固形物(23;123)を洗浄液(50;150)で再懸濁するための再懸濁器と(44;148;152)、
前記仕事方向(U)の前記第1の作業領域(I)の下流部に位置すると共に、こうして生成された新しい懸濁物(53;153)(再懸濁物)が再び濾過される第2の作業領域(II)と、を有することを特徴とするフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−504958(P2008−504958A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519718(P2007−519718)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007313
【国際公開番号】WO2006/005499
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(502261912)ベーハーエス−ゾントホーフェン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】BHS−Sonthofen GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Str. 7, D−87527 Sonthofen, Germany
【Fターム(参考)】