説明

固形物食品の袋詰め包装体

【課題】単身者等のような一度における消費量が少ない消費者向けの包装形態として有用な固形物食品の袋詰め包装体を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム製の包装袋4内に所定量の固形物食品6が収容され、該包装袋4の開封後にその開口部を再封するための再封用クリップ20が付帯されている固形物食品の包装体2であって、該包装袋4は帯状の熱シールによって複数の収容区画8に分割されて密封形成され、該各収容区画8毎に食品が小分けされて収容されており、該帯状の熱シール部10bには、これに沿って該各収容区画8を小袋16として切断分離させるためのミシン目12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形物食品の袋詰め包装体に係わり、より具体的には、パン類等のような固形物食品を小分けして切断分離可能な小袋内に複数個ずつ収容して密封包装するようにした固形物食品の袋詰め包装体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、固形物食品を包装袋内に収容した食品の袋詰め包装体において、その製品流通過程等における包装袋内への異物混入の防止が図れ、かつ開封後に再封し得る包装体として、例えば、特許第3882105号公報に示されているものが知られている。
【0003】
すなわち、上記公報の包装体は、包装袋の物品収容縁部から開口部側に向けて延在する袋延在部の対向する一対の側面にガセット折込部が夫々形成され、少なくとも前記袋延在部内の空気が略脱気された状態で、袋延在部に、包装袋を密封する開封容易な帯状の熱シール部が形成され、前記袋延在部における帯状の熱シール部の形成位置を除く位置に、開封後の開口部を再封するためのクリップが着脱可能に装着されて結束してある。
【0004】
そして、包装袋内には固形物食品として所定数にスライスした食パンが物品収容部内に密封収容されるようになっており、包装袋の開封後に食パンが余った場合には、その開封した開口部をクリップで再び結束して再封し得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3882105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のような食品の袋詰め包装体であると、固形物食品を包装袋に密封形成した単一の物品収容部内に収容するようにしているので、所望量の固形物食品を取り出した後には、開口部をクリップで結束して再封し、その残余の固形物食品を包装袋内にて保存することになる。
【0007】
しかしながら、その開封された物品収容部の開口はクリップで括られて再封されているに過ぎないので、残余の固形物食品を密封状態と同等の品質を長時間に亘って維持して保存することはできない。このため、包装袋を一度開封した後には、残余の固形物食品はなるべく迅速に消費することが要求されることになる。
【0008】
即ち、上記従来のような食品の袋詰め包装体では、単身者等のように内容物の固形物食品を少量ずつ消費するような場合の包装形態として、必ずしも適したものではなかった。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、単身者等のような一度における消費量が少ない消費者向けの包装形態として有用な固形物食品の袋詰め包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る固形物食品の袋詰め包装体は、樹脂フィルム製の包装袋内に所定量の固形物食品が収容され、該包装袋の開封後にその開口部を再封するための再封用クリップが付帯されている固形物食品の袋詰め包装体であって、該包装袋は熱シールによって複数の収容区画に分割されて密封形成されて、該収容区画毎に固形物食品が小分けされて収容されており、該熱シール部には、これに沿って該各収容区画を小袋として切断分離させるためのミシン目が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記収容区画の各小袋には、複数の固形物食品が収容されている構成となし得る。
【0012】
また、前記収容区画の小袋には、その長手方向の一端側の縁部に沿って該小袋の切断開封を容易ならしめる易開封手段が形成されている構成となし得る。
【0013】
また、前記易開封手段は前記ミシン目部分に切り欠き形成されたノッチとなし得る。
【発明の効果】
【0014】
上記構成に係る本発明の固形物食品の袋詰め包装体によれば、包装袋に分割形成された収容区画の各小袋毎に所定量の固形物食品が収容され、該小袋はこれを区画形成する熱シール部に設けられたミシン目によって容易に切断分離することができるので、所望する消費量に応じた数の小袋を適宜に切断分離して開封することで、当該所望の消費量に可及的に近似した量の固形物食品を小分けにして取り出して消費することができ、しかも、未開封の小袋内に収容されている固形物食品は密封状態を維持したまま長期に亘って継続して保存することができる。また、再封用のクリップが付帯されているので、開封した小袋内に少量の固形物食品が残った場合には、当該クリップでその小袋の開口を括って再封することができ、その残余の少量の固形物食品の短期の保存もなし得る。このため、単身者等のような一度における消費量が少ない消費者向けの包装形態として非常に有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る固形物食品の袋詰め包装体を示す正面図で、包装体の包装袋がピロー包装により製袋されている例を示したものである。
【図2】(a)は図1に示す包装体に付帯されている再封用クリップを取り外して、包装袋を広げた状態を示した正面図であり、(b)は(a)中のb−b線矢視断面図である。
【図3】包装体の下端に形成されている収容区画の小袋を切断分離した状態を示す図である。
【図4】切断分離された小袋の開封後に、その開口部を再封用クリップで再封した状態を示す図である。
【図5】包装袋を四方シール包装にて製袋した変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る固形物食品の袋詰め包装体に付いて、その好ましい実施の形態を添付図面を参照して詳述する。
【0017】
図1と図2とに示すように、この包装体2は包装袋4内に所定量の固形物食品を収容するものであり、当該図示例では固形物食品としてロールパン6が総数で6個収容されている。ここで、当該包装袋4にあっては、熱溶着性の樹脂フィルムを用いてピロー包装機で製袋されるが、その製袋時には密封された複数の収容区画8が形成されて、その各収容区画8毎にロールパン6が所定数ずつ収容されるようになっており、この図示例では3つの収容区画8が形成されて、その各収容区画8毎に2つのロールパン6が収容されている。
【0018】
即ち、図示していないが、この包装袋4を製袋するピロー包装機においては、原反ロールから繰り出される長尺な樹脂フィルムは、その幅方向の両側縁が折り返されつつ重ね合わされてセンターシーラーによって熱溶着されることで筒状に形成されていく。そして、この筒状に形成された樹脂フィルムの内部には、2列に並走設置された搬送路からロールパン6が2つずつ横向きに並べられて所定間隔を空けつつ順次に挿入収容されていく。爾後、この筒状の樹脂フィルムにはその幅方向の全副に亘ってシーラーバーにより帯状の熱シールが当該樹脂フイルムの長手方向に所定間隔を空けて施されていく。このとき、その帯状の熱シールの間隔は上記ロールパン6の挿入間隔に相応されて、そのロールパン6の挿入位置間に施されていく。つまり、この帯状の熱シールによって、筒状の樹脂フィルムには、ロールパン6を2つずつ収容した3つの収容区画8が小袋16として分割されて密封形成されていくことになる。
【0019】
ここで、筒状に形成された樹脂フィルム内にロールパン6を挿入する際には、その挿入作動が3回続いた後に1回休止される。また、これに対応してシーラーバーによる帯状の熱シール動作も3回続いた後に1回休止され、かつ当該シーラーバーによる帯状の熱シールは2つずつ挿入されたロールパン6に近接してその後方部に施されるようになっている。そして、その間欠休止される直前の熱シール動作によって筒状の樹脂フィルムに形成された帯状シール部10aが、そのシール幅(フィルムの走行方向)の中央部から半幅に切断分離されることにより、図2に示すような個々の包装袋4に製袋されていく。
【0020】
また、切断分離されない帯状シール部10bには、各収容区画8の小袋16を適宜に手作業で切断分離するのを容易にするためのミシン目12が形成される。このミシン目12は、その帯状シール部10bの全長に亘ってそのシール幅の中央部に形成され、さらにその帯状シール部10bにおける長手方向の一端側(小袋16の長手方向の一端側)にはその縁部に近接して、各収容区画8の開封を容易にする易開封手段としてのノッチ14がミシン目12に跨って打ち抜き形成される。
【0021】
即ち、以上のようにして製袋される包装袋4は、図2に示すように、ロールパン6を2つずつ小分けにして密封収容した3つの収容区画8(8a,8b)を小袋16(16a,16b)として有するとともに、その各収容区画8(8a,8b)を分割して小袋16(16a,16b)に区画形成する帯状シール部10bには、各収容区画8(8a,8b)の小袋16(16a,16b)毎にこれらを容易に切断分離可能とするためのミシン目12と、当該小袋16(16a,16b)を切断分離した後にその小袋16(16a,16b)の開封を容易にするためのノッチ14とが形成されている包装形態を呈したものとなっている。また、この包装袋4は、その長手方向の一端側の収容区画8aが他の2つの収容区画8bよりも2倍の大きさを有した包装形態を呈したものとなっている。つまり、収容区画8aが形成する小袋16aにあっては、包装袋4の製袋時における樹脂フィルムの送り方向の寸法と幅方向の寸法とは近似したものになっているが、収容区画8bが形成する小袋16bにあっては、樹脂フィルムの送り方向の寸法よりも幅方向寸法の方が大きく、この幅方向が小袋16bの長手方向になっている。
【0022】
なお、図中において、18はセンターシーラーによって形成されたセンターシール部である。また、上記ミシン目12の形成並びに切断は、帯状シール部10を形成するシールバーにミシン目の形成と切断とを行う山刃状の切断刃を組み込んでおくことで、その熱シール時に同時にそのミシン目の形成或いは切断を行い得る。即ち、ミシン目12を形成する場合には、切断刃のストロークを小さくしてその山刃状の先端部のみを使用して帯状シール部10にミシン目12を形成する一方、切断する場合には、切断刃のストロークを大きくして、山刃状の切断刃の谷部まで使用することによって帯状シール部10を完全に切断するようになし得る。また、ノッチ14を形成するにあたっても、そのノッチ形成刃はミシン目12を形成する山刃の一部を菱形状等に突出させて形成しておくことで当該切断刃と一体化させ得、よってミシン目12の形成時に、若しくは切断時に同時に打ち抜き形成することができる。
【0023】
また、図1に示すように、この包装袋4には、その大きな収容区画8aが形成された一端側の袋端に近接して、再封用のクリップ20が付帯されて固形物食品の袋詰め包装体2とされる。ここで、図示しないが、当該再封用クリップ20はプラスチック板からなり、その中央部には袋端を括って係止するための係止孔が開けられているとともに、その括った袋端を当該係止孔に挿抜してその着脱を容易にするための割溝がその係止孔に連通して形成されている。ここで、包装袋4の一端側に大きな収容区画8aを形成するようにしているのは、当該収容区画8aをなす部分の袋体を括って再封用クリップ18を係止させ易くするためである。
【0024】
そして、以上のように構成された固形物食品の袋詰め包装体2にあっては、収容したロールパン6を消費する場合には、図3に示すように、収容区画8を分割形成する帯状シール部10bに形成されたミシン目12に添ってこれを切断して小袋16bを分離する。爾後、ミシン目12に跨って形成しておいたノッチ14を開封用の案内にして、当該ノッチ14の部分から小袋16bの長手方向の一端側の袋端を切り裂いて開封し、その開口からロールパン6を取り出して消費することになる。つまりは、所望の消費量に応じた適宜数の小袋16(16a,16b)を開封して必要数のロールパン6を取り出せば良い。
【0025】
即ち、包装袋4に分割形成された収容区画8(8a,8b)の各小袋16(16a,16b)毎に2つずつのロールパン6が収容され、各小袋16(16a,16b)はこれらを区画形成する帯状シール部10bに設けられたミシン目12によって容易に切断分離することができるので、所望するロールパン6の消費数に応じた数の小袋16(16a,16b)を適宜に切断分離して開封することで、その所望の消費数に可及的に近似した数のロールパン6を小分けにして取り出して消費することができる。
【0026】
しかも、未開封の小袋16(16a,16b)内に収容されているロールパン6は、密封包装状態を維持されたままとなっているので、それらの長期に亘る保存が可能になる。また、包装体2には再封用クリップ20が付帯されているので、開封した小袋16(16a,16b)内にロールパン6が1つ残った場合には、当該再封用クリップ20でその小袋16の開口を括って結束状態に再封することができ、もって密封状態にはなし得ないものの、短期であればその残余のロールパン6の保存もなし得る。また、再封用クリップ18は小袋16内からロールパン6の1つを取り出した状態で、その開口部の近傍を括って係止することにより当該小袋16の開口を再封するので、その再封に際しては寸法的に十分な余裕をもってその小袋16の開口近傍を括って係止することができる。このため、当該包装体2は、一度における消費量が少ない単身者等のような消費者向けの固形物食品の包装形態として非常に有用なものとなる。
【0027】
なお、樹脂フィルムの素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンの単体フィルムまたはこれらの複合フィルムやその他各種の熱溶着性のあるプラスチックフィルムが、その熱溶着面を内側にされて使用される。
【0028】
また、樹脂フィルムの素材として複合フィルムを用いた場合には、各小袋16に形成する易開封手段として、上記ノッチ14に代えて、或いは当該ノッチ14に更に加えて、その長手方向の一端側の縁部の開封ラインに沿わせてハーフカットと呼ばれるミシン目状の切目列(図示せず)を一方のフィルム側に形成しておき、その切断開封を容易ならしめるようにしても良い。
【0029】
また、包装袋4に収容する固形物食品としては、上記のロールパン6に限定されることはなく、例えばスライスしたハムやソーセージ等の魚肉の加工商品や、米菓等であっても良く、液体状の流動物食品でなければ適用し得る。
【0030】
さらに、包装袋4の製袋方法としては、上記のピロー包装に限らず、例えば図5に示すように、2枚の樹脂フィルムの幅方向両側縁をそれぞれ重ね合わせてその重合部をサイドシーラーで熱シールするとともに、シールバーで樹脂フィルムの幅方向の全幅に帯状の熱シールを施す所謂4方シール包装による製袋方法、或いは、図示しないが、1枚の樹脂フィルムを2つに折り返してその幅方向の両側縁を重ね合わせて、その重合部をサイドシーラーで熱シールするとともに、シールバーで樹脂フィルムの幅方向の全幅に帯状の熱シールを施す所謂3方シール包装による製袋方法であっても、上述のピロー包装の場合と同様にして、単一の包装袋4に複数の収容区画8を分割して密封形成し、その各収容区画8を切断分離可能な小袋16とするようになすこともできる。
【符号の説明】
【0031】
2 固形物食品の袋詰め包装体
4 包装袋
6 ロールパン(固形物食品)
8,8a,8b 収容区画
10,10a,10b 帯状シール部
12 ミシン目
14 ノッチ(易開封手段)
16,16a,16b 小袋
18 センターシール部
20 再封用クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム製の包装袋内に所定量の固形物食品が収容され、該包装袋の開封後にその開口部を再封するための再封用クリップが付帯されている固形物食品の袋詰め包装体であって、
該包装袋は熱シールによって複数の収容区画に分割されて密封形成され、該収容区画毎に固形物食品が小分けされて収容されており、
該熱シール部には、これに沿って該各収容区画を小袋として切断分離させるためのミシン目が設けられている、
ことを特徴とする固形物食品の袋詰め包装袋体。
【請求項2】
前記収容区画の各小袋には複数の固形物食品が収容されている、ことを特徴とする請求項1に記載の固形物食品の袋詰め包装体。
【請求項3】
前記収容区画の小袋には、その長手方向の一端側の縁部に沿って該小袋の切断開封を容易ならしめる易開封手段が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の固形物食品の袋詰め包装体。
【請求項4】
前記易開封手段が前記ミシン目部分に切り欠き形成されたノッチである、ことを特徴とする請求項3に記載の固形物食品の袋詰め包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−6629(P2012−6629A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144016(P2010−144016)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】