説明

固形状発泡性入浴剤組成物

【課題】 泡量が十分で、耐硬水性、起泡性、泡持続性の良好な固形状発泡性入浴剤組成物の提供。
【解決手段】 下記(a)成分を含有する固形状発泡性入浴剤組成物。
(a):アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0.05〜2であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩からなるアニオン性界面活性剤の粉体であり、且つアルキレンオキサイドを4モル以上付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が粉体全量中30質量%以下である粉体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形状発泡性入浴剤組成物に関し、詳しくは、水の硬度が高い場合にも起泡性、泡持続性を有し、浴湯に溶解して用いる固形状発泡性入浴剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴剤は、浴湯に香りや色調を与えて精神状態を安らかにすること(特許文献1)を目的とするものや、湯中で炭酸ガスを発生させて保温効果を高めたり、各種保湿剤、植物エキス等によるスキンケア効果を与えたり、揮発性薬剤成分による薬効を与えること等を目的としたものが知られており、その多くが粉体、液体、打錠成形体等の形態である。
【0003】
また、近年では、入浴中の遊戯性を付与することも目的に加えられるようになり、このような目的をも兼ねた入浴剤として、例えば、軽石、発泡スチロールのような水に浮く担体に入浴剤を含浸させたものや、バインダーを用いて入浴剤原料を、木の葉や花びら、動物等の任意の形状に成形したもの等が提案されている。
【0004】
一方、硫酸基を有するアニオン性界面活性剤は、その乳化、分散能のゆえ、洗浄剤や各種化学品の添加剤、例えば衣料用洗剤、歯磨き用発泡剤、粉末シャンプー、乳化重合用乳化剤、セメント発泡剤、医薬/化粧品乳化剤等として、家庭用から工業用まで幅広く用いられている。
【0005】
高級アルコールを硫酸化/中和して得られるアルキル硫酸塩に代表されるアニオン性界面活性剤は、その水溶液を乾燥させることにより粉末状の製品が商品化されているが、アルキル硫酸塩は耐硬水性に問題があり、起泡性及び泡持続性が、液状のものと比較して固形状にすると十分満足できるものではない。
【0006】
一方、高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加した後、硫酸化/中和して得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、同じ炭素数のアルキル基を有するアルキル硫酸塩に対して、抜群に耐硬水性に優れる特徴をもつ。そのことから、バブルバス用の液体状発泡性入浴剤等の主基剤として用いられ、アルキル硫酸塩のみの発泡性入浴剤とは異なった嗜好性や香りを持つ等の液体状発泡性入浴剤組成物も出現し、普及が進んできたが、プラスチック容器の廃棄等に伴う環境側面で問題があることなどから、固形状の発泡性入浴剤の方が利便性がでてきた。
【0007】
特許文献2には、固形化したアルキル硫酸塩を含む固形状バブルバス組成物が開示されているが、耐硬水性、泡安定性をより一層向上させることに課題があった。そこで、高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加した後、硫酸化/中和して得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を含むアニオン性界面活性剤を粉末化又は顆粒化させることによって、水の硬度が高くても耐硬水性、起泡性、泡持続性が良好な固形状発泡性入浴剤組成物が求められていた。
【0008】
更に、特許文献3及び特許文献4には、泡安定性を持続させる為にポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含む発泡性入浴剤あるいは泡形成性組成物が開示されているが、これらの形態は粘度の高い液状のものであり、かつ有効成分が低いのが現状である。又、有効成分をアップさせることによって、計量時の定量性や液だれを生じる等といった課題がある。
【特許文献1】特開2002−370967号公報
【特許文献2】特開平9−12443号公報
【特許文献3】特開平11−292754号公報
【特許文献4】特開2003−55192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、泡量が十分で、耐硬水性、起泡性、泡持続性の良好な固形状発泡性入浴剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記(a)成分を含有する固形状発泡性入浴剤組成物を提供する。
(a):アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0.05〜2であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩からなるアニオン性界面活性剤の粉体であり、且つアルキレンオキサイドを4モル以上付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が粉体全量中30質量%以下である粉体。
【0011】
本発明は、更に、(b)成分として、生薬、ハーブ、これらの抽出物及びエッセンシャルオイルから選ばれる少なくとも1種を含有する固形状発泡性入浴剤組成物、並びに更に、(c)成分として、炭酸ガスを発生する成分を含有する固形状発泡性入浴剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の固形状発泡性入浴剤組成物は、特定のアルキレンオキサイド平均付加モル数及び付加モル分布の領域を示すポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩からなるアニオン性界面活性剤の粉体を含有することにより、硫酸エステル塩にくらべ優れた泡持続力を示す。これは、アルキレンオキサイドを付加させたことにより、耐硬水性に優れたものとなったことによる。特に、水の硬度が高いほどその効果の違いを発揮するので、硬度の高い水(例えば16°DH硬水)を用いた場合に非常に有効である。
【0013】
即ち、本発明の固形状発泡性入浴剤組成物は、水の硬度が高くても耐硬水性、起泡性、泡持続性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[(a)成分]
本発明の(a)成分であるアニオン性界面活性剤の粉体中に含有されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が重要な因子となり、優れた粉体特性を得、また粉末化した際の耐ケーキング性を向上させる観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は0.05〜2、好ましくは0.1〜1、更に好ましくは0.2〜0.8である。ここで、平均付加モル数とは、HPLC−MS(高速液体クロマトグラフィー−質量分析計)により測定されたモル数である。
【0015】
また、アルキレンオキサイドを4モル以上付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量は、十分な粉末体を得る観点から、アニオン性界面活性剤の粉体全量中30質量%以下であることが必要であり、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0016】
本発明においては、アルキレンオキサイドが付加されていることで、粉末化が非常に困難になるところ、上記のような特定の平均付加モル数及び付加モル分布の領域を示すポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を用いることで、粉末化が可能となった。
【0017】
本発明に係わるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0018】
[R1−O(AO)n−SO3]pM (I)
[式中、R1は炭素数8〜20の直鎖アルキル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.05〜2の数、Mは陽イオン、pはMの価数を示し、n個のAOは同一でも異なっていても良い。]
一般式(I)において、R1は、製造時の取り扱いのし易さ、粉末化した際の耐ケーキング性、粉末の溶解性等の観点から8〜20が好ましく、更に10〜18が好ましい。AOは、炭素数2〜3、特に2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)が好ましい。nは0.1〜1、特に0.2〜0.8の数が好ましい。Mは、Na、K等のアルカリ金属原子、Ca、Mg等のアルカリ土類金属原子、又はアルカノール置換もしくは無置換のアンモニウム基が好ましく、更にアルカリ金属原子、特にNaが好ましい。pは1又は2が好ましく、1が更に好ましい。
【0019】
本発明に係わるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、また、アルキレンオキサイドの付加分布に特に制限はなく、ブロード及びナロー分布等の既知の方法で得られる付加分布で良い。しかし、耐ケーキング性等の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩とアルキレンオキサイドが付加していないアルキル硫酸塩とを一定比率で含有する混合物であることが好ましい。アルキル硫酸塩の含有量は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数0.05〜2のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩中、30〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜90質量%が更に好ましい。
【0020】
本発明の(a)成分は、更に、水溶性無機塩を含有することが好ましい。水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、芒硝、炭酸ナトリウム等が挙げられる。本発明中の(a)成分粉体中の、水溶性無機塩の含有量は、本発明の目的が阻害されない範囲内であればよく、特に限定されないが、通常、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩100重量部に対して10重量部以下、好ましくは2重量部以下であることが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量を高く保つ点で望ましい。
【0021】
また、本発明の(a)成分は、必要により、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、ケーキング防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。かかるその他の添加剤は、本発明の目的が阻害されない範囲で用いることができる。
【0022】
本発明の(a)成分は、水や未反応アルコール等を含有しても良い。本発明の(a)成分の好ましい組成としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量がアニオン性界面活性剤全体に対し、18〜28質量%である。
【0023】
本発明の(a)成分は、以下の工程1に示す方法により得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを、工程2に示すような既知の方法で乾燥及び造粒を行うことによって得ることができる。
【0024】
工程1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストの調製工程
本発明に用いられるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを調製するには、例えば、下記に示す(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)炭素数8〜20のアルコール(以下高級アルコールという)にアルキレンオキサイドを平均付加モル数が0.05〜2になるように付加した高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、硫酸化し、中和する方法。
(2)高級アルコールと高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、混合物のアルキレンオキサイド平均付加モル数が0.05〜2になるように混合した後、硫酸化し、中和する方法。
(3)高級アルコール及び高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を予め別々に硫酸化し、中和したものを、混合物のアルキレンオキサイド平均付加モル数が0.05〜2になるように混合する方法。
【0025】
硫酸化及び中和は、既知の方法で行うことができる。硫酸化に用いる硫酸化剤としては、三酸化硫黄又はクロルスルホン酸が好ましい。三酸化硫黄ガスを使用する際は、通常、不活性ガス、好ましくは乾燥空気又は窒素で希釈して、三酸化硫黄ガス濃度として1〜8体積%、好ましくは1.5〜5体積%の気体混合物として使用する。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
尚、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストに含有される未反応分及び副生成物は、純度の低下、粉粒体の耐ケーキング性を悪化させる要因となる為、好ましくないが、5質量%以下なら許容でき、より好ましくは2質量%以下である。ここで、未反応分とは、硫酸化されなかったアルコール、アルコキシレートを含み、副生成物は微量のハイドロカーボン、ワックスを含む。
【0027】
上記の方法で得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液の有効成分含量は、良好な粘性及びハンドリング性を得る観点から、30質量%以下が好ましい。また、有効成分含量が60〜80質量%においてはペースト状となり、流動性を示すことから、この比較的高濃度のペーストを中和時に調製することは、乾燥時のエネルギー負荷を減らすものであり、より好ましい。
【0028】
また、本発明において、中和物中には水溶性無機塩が存在していても良い。水溶性無機塩の代表例としては、例えば、塩化ナトリウム、芒硝、炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの水溶性無機塩は、そのままの状態で添加してもよいが、反応によって副生させても良い。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストに色相改善の目的でNaClO(次亜塩素酸ナトリウム)を添加した場合には、NaCl(塩化ナトリウム)が副生する。用途が限定されるが、このように次亜塩素酸ナトリウムを添加し、塩化ナトリウムを無機塩として副生させることもできる。
【0029】
得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストは、次の工程2に供される。
【0030】
工程2:乾燥・造粒工程
工程2は、工程1で調製されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを種々の条件下において乾燥・造粒する工程であり、乾燥と造粒が同時におこる場合もある。
【0031】
乾燥手段としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストの加熱による加水分解等の品質低下を抑制するため、真空下での乾燥が好ましい。更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩特有の発泡性及び乾燥末期の粉砕を鑑み、攪拌翼及び解砕機を有する連続式又はバッチ式の真空乾燥機又はそれと同等の効果が得られる乾燥プロセスが好ましい。連続式の乾燥機としては、例えば、コントロ、セブコン[以上、(株)日立製作所製、商品名]、スミス薄膜蒸発機[神鋼パンテック(株)製]等の回転薄膜蒸発機等が挙げられる。これら連続式乾燥機の場合には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを、減圧下で、回転薄膜蒸発機内に連続的に投入し、乾燥物を得ることができる。また、バッチ式の乾燥機としては、例えば、神鋼パンテック(株)製のミキサー真空乾燥機(SVミキサー)、深江パウテック(株)製のマイクロ波造粒乾燥機、タナベウィルテック(株)製の混合乾燥機等が挙げられる。これらのうち、特にバッチ式で、同一槽内で工程1を行うことが容易であり、工程2の乾燥と造粒も可能なマイクロ波造粒乾燥機が設備上の負荷も小さいため好ましい。
【0032】
この際の乾燥条件としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストの温度が80℃以下になる真空度で乾燥させることが、熱履歴を低減させ、分解等の品質低下を抑制する点から好ましい。
【0033】
より具体的な乾燥方法としては、工程1で得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを、下記(4)〜(6)のいずれかの方法により乾燥する方法が挙げられる。
【0034】
(4)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペースト、あるいはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストとアルキル硫酸塩含有水溶液、ペースト又は粉体との混合物を、攪拌翼及び/又は解砕機を有するバッチ式真空乾燥機内に一括して投入し、減圧下で乾燥を行う方法。
【0035】
(5)攪拌翼及び/又は解砕機を有するバッチ式真空乾燥機内に、予めアニオン性界面活性剤粉体を攪拌及び解砕効果が得られる程度に仕込んだ後、減圧下で機内中の粉体が粉体の状態を維持するような供給速度でポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを供給して乾燥を行う方法。この際の予め仕込まれるアニオン性界面活性剤粉体としては、本発明に係わるアニオン性界面活性剤粉体やアルキル硫酸塩粉体との併用、アルキル硫酸塩粉体のみを用いてもよい。
【0036】
(6)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液又はペーストを、減圧下で、回転薄膜蒸発機内に連続的に投入し、乾燥を行う方法。
【0037】
一方、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含量が30質量%以下の水溶液では、比較的低粘度で流動性があり、噴霧乾燥機等を用いた乾燥機も使用可能である。但し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含量30質量%以上60質量%以下のものでは著しく増粘し、噴霧装置の閉塞等の原因となるため、好ましくない。
【0038】
本発明における(a)成分は必要に応じて造粒して使用できるが、その際使用できる造粒機としては、特に制限はなく、例えば攪拌転動造粒機(深江パウテック(株)、タナベウィルテック(株)製など)等が使用でき、水、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩含有水溶液等をバインダーとして添加することにより造粒でき、篩い分けによって適当な粒度の造粒物を得ることができる。
【0039】
また、流動性及び耐ケーキング性の観点から、(a)成分の表面改質を行っても良い。表面改質剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、脂肪酸が挙げられる。より好ましくはアルミノ珪酸塩、結晶性シリケートであり、更に好ましくはアルミノ珪酸塩である。表面改質剤の含量は保存安定性の点で、本発明の発泡性入浴剤組成物中の20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、表面改質の点で、本発明の発泡性入浴剤組成物中の1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。
【0040】
また、押出造粒を行うこともできる。この際使用できるニードル機としては、特に制限はなく、押出造粒機((株)ダルトン製など)等が使用でき、上記と同じようなバインダーを用いて造粒することができる。押出造粒物の大きさに制限はないが、ハンドリングの観点から、直径0.5〜1.0mm、且つ長さ1〜2mmの円柱状の形態が好ましい。
【0041】
更にこの押出造粒と破砕造粒或いは押出造粒と破砕造粒と攪拌転動造粒を組み合わせた造粒を行うこともできる。即ち押出造粒機により得られた円柱状の造粒物を、破砕造粒機により破砕した後に篩い分けによって所定の粒径を有する造粒物を得る方法や、押出造粒機を用いて得られた円柱状の造粒物を、破砕造粒機により破砕した後に撹拌転動造粒機内に仕込んだ後、所定量の水を添加して更に造粒を行い、篩い分けによって所定の粒径を有する造粒物を得る方法等により(a)成分の造粒物を得ることができる。
【0042】
このようにして得られた(a)成分のアニオン性界面活性剤の粉体は、溶解性の観点からJIS 3362:1998記載方法によって測定される見かけ密度は300〜1100g/Lが好ましく、500〜1000g/Lがより好ましく、600〜800g/Lが更に好ましい。又、JIS K 3362:1998記載のふるい分け機械によるふるい分け方法によって測定される粒度から求められる平均粒径は、50〜3000μmが好ましく、より好ましくは300〜1500μm、更に好ましくは300〜1200μmである。又、安定性の観点からJIS K 3362:1998記載の20℃で測定する5質量%のpHは、5〜7が好ましく、5.5〜6.5がより好ましい。
【0043】
本発明の固形状発泡性入浴剤組成物中の(a)成分の含有量は、耐硬水性、起泡性、泡持続性の観点から、5〜60質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0044】
[(b)成分]
本発明の発泡性入浴剤組成物は、更に、(b)成分として、生薬、ハーブ、これらの抽出物及びエッセンシャルオイルから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0045】
本発明に用いられる生薬としては、例えば、アキョウ、ウイキョウ、ウバイ、オウギ、オウゴン、オウバク、オウフルギョウ、オウレン、カイクジン、カイバ、カッセキ、カンキョウ、キクカ、ギジツ、キバン、キョウニン、クコシ、ケイヒ、ケツメイシ、ケンジツ、コウカ、コウジン、ゴオウ、ゴシュユ、ゴボウシ、ゴミシ、コムギ、サイコ、サイシン、サフラン、サンザシ、サンシシ、サンシュユ、サンソウニン、サンヤク、シカシャ、シツリツ、シテイ、シャクセキシ、ジャコウ、シャゼンシ、シャチュウ、シュクシャ、ショウコウ、ショウマ、ショクショウ、ジリュウ、スイテツ、セキシャク、セッコク、ゼンカツ、センキュウ、センソ、センタイ、ソウジュツ、ソウズク、ソボク、ダイオウ、タイシャセキ、タクシャ、タンジン、チクセツニンジン、チョウトウコウ、デンシチ、トウキ、トウチュウカソウ、トウニン、トシシ、ニュウコウ、ニンジン、ハクガクシ、ハクヘンズ、ハッカ、バクモンドウ、バンコウカ、ビャクキョウサン、ビャクジュツ、ブクリョウ、ボウイ、ボタンピ、ユーカリエキス、マオウ、マシニン、マンケイシ、モッコウ、モツヤク、ヨクイニン、リョウコツ、レイシ、レイヨウカイ、レンニク、ロクジョウ等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられるハーブとしては、新陳代謝機能の促進、利尿作用があるセリ科のアシタバ、肌の老化防止や皮膚の興奮を落ち着かせ、リラックス、殺菌効果があるセリ科のウイキョウ、血行を良くし痩身作用、たるみやしわの防止、殺菌作用のあるシソ科の薬用サルビア、加齢皮膚の活性・再生があるセリ科のパセリ、殺菌作用、しわとり、余分な脂肪のひきしめ作用があるシソ科のマンネンロウ、炎症その他をやわらげ、消毒作用、細胞の賦活作用、ひきしめ作用があるシソ科のタチジャコウソウ、脂肪の乳剤化、利尿作用、保湿効果があるバラ科のリンゴ、血液の浄化、保湿効果があるキク科のゴボウ、毛穴をひらかせる補助、及び血流の活性化、殺菌作用があるショウガ科のショウガ、余分な脂肪の除去、温浴作用、抗菌作用があるシソ科のセイヨウハッカ、タン白質分解酵素を持つパパイヤ科のパパイヤ、皮膚の滋養、及び内臓器官の調整があるキク科のノコギリソウ、浸透力、細胞成長の刺激、新陳代謝の正常化、保湿作用、抗炎症作用があるユリ科のアロエ、抗菌・殺菌作用があるフウロソウ科のゲンノショウコウ、血行促進、刺激によって毛穴をひらかせ、他の成分が浸透しやすくなるナス科のトウガラシ等が挙げられ、これらのハーブよりエキスを抽出し、ブレンドして使用することができる。又、本発明においては、以下のハーブから抽出したエキスを取り入れブレンドさせることによって、より効果的なハーブエキスを発泡性入浴剤組成物中に含有させることができる。
【0047】
即ち、動脈硬化防止のポリフェノールを多く含有する、アルファルファ・カミツレ・カンゾウ・ビーポレン、血管強化薬フラボノイドを含むアルファルファ・オオギ根・ジャコウソウ(タイム)・セロリ・チャボトケイソウ・カミツレ(カモミール)・カンゾウ根・コロハ・ビーポレン・ビャクシン・ローズヒップ、抗酸化性の強いプロアントシアニンを含有するジャコウソウ(タイム)・ビャクシン、ガンを抑える多糖類を含むアロエ・シベリア人参、強い抗酸化作用カロチノイドが含まれるセイヨウタンポポ等である。又、この他、上述したハーブ以外でも皮膚治療効果に優れたハーブから抽出したエキスを使用することも可能であり、他の素材と混合配合させても良い。
【0048】
本発明に用いられるエッセンシャルオイルとしては、例えばイランイラン、シソ、オレンジ・スイート、カモミール・ジャーマンカモミール・ローマン、クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、ジャスミンアブソリュート、ジュニパー、スイートマージョラム、ゼラニウム、ティートリー、ネロリ、パチュリ、ブラックペッパー、フランキンセンス、ベジバー、ペパーミント、ベルガモット、ベンゾイン、ミルラ、メリッサ、ユーカリ、ラベンダー、レモン、レモングラス、ローズアブソリュート、ローズオットー、ローズマリー等が挙げられる。
【0049】
また、ハーブの特徴である香りはエッセンシャルオイルによるものが多数であり、エッセンシャルオイルを含む主なハーブはセリ科(フェンネル等)、クスノキ科(シナモン等)、シソ科(ローズマリー等)などが代表的なもので、セリ科等のエッセンシャルオイルは、組織内の細胞の隙間にあり、クスノキ科のエッセンシャルオイルは、組織の中の細胞内にあり、シソ科のエッセンシャルオイルは、葉や茎の表面の細胞に分布し、蓄えられている。このような揮発性のあるハーブは、細胞が破壊されると空気にふれ、香りが広がるのが特徴で、これらを蒸留又は圧搾法で抽出してハーブエキスを得ることができる。ハーブエキスは、芳香植物の花、葉、根、果皮、樹脂より抽出した芳香成分である100%天然の揮発性エッセンシャルオイルで、本発明においては上記のようなハーブのエキスをブレンドさせたものを用いることでより効果的作用がある。
【0050】
これらのエッセンシャルオイルの製造方法としては、水蒸気蒸留法、圧搾法、油脂吸着法、有機溶剤抽出法等が挙げられる。水蒸気蒸留法は、原料を蒸留釜に入れ、直接蒸気を吹き込んだり、釜に入っている水を沸騰させたりして、その水蒸気で芳香成分を蒸発させる方法である。圧搾法は、ほとんどが柑橘系の果皮から得るときに使用する方法であり、ローラーや遠心法による機械で圧搾し、低温で得られることが特徴である。油脂吸着法は、牛脂や豚脂に芳香成分を吸着させる方法である。溶剤抽出法は、芳香成分を溶剤により溶かし出して抽出を行う方法である。用いる溶剤としては、石油エーテル、ヘキサン等が用いられる。
【0051】
これらの(b)成分は、発泡性入浴剤組成中に1種又は2種以上配合することができる。また、これらの(b)成分は、その成分単独で配合しても良いし、あるいは押出造粒法、乳化乾燥法等により粒子化しても良い。本発明においては、ハンドリング性の観点から押出造粒法、乳化乾燥法等により粒子化したものを、(b)成分として用いることが望ましい。
【0052】
本発明の発泡性入浴剤組成物中の(b)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
【0053】
[(c)成分]
本発明の固形状発泡性入浴剤組成物は、(c)成分として、炭酸ガスを発生する成分を含有することが好ましい。炭酸ガスを発生する成分としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム等が挙げられ、浴湯中で有機酸と反応して炭酸ガスが発生するものであればよく、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
本発明の(c)成分の好ましい粒径としては、粒径150μm以上の粒子が50質量%以上、好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上のものである。粒径150μm以上の粒子が50質量%以上あれば、粒径が大きい粒子が多い為、浴湯に添加したときに溶解に時間を要し、粒子が浴槽の下方まで沈降してすでに溶解した成分と除々にかつ浴湯の全領域で反応するので、浴湯中に炭酸ガスが十分に溶解する。
【0055】
本発明の発泡性入浴剤組成物中の(c)成分の含有量は30〜85質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。
【0056】
[固形状発泡性入浴剤組成物]
本発明の発泡性入浴剤組成物には、上記(a)〜(c)成分に加え、更に(a)成分以外のアニオン性界面活性、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種又は2種以上を含有しても良い。
【0057】
(a)成分以外のアニオン性界面活性としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14、好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0058】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを平均で4〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。非イオン性界面活性剤は、HLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0、更に11.0〜14.5のものが好ましい。
【0059】
本発明の発泡性入浴剤組成物は、上記成分以外に、入浴剤の分野で公知の無機粉、高分子物質、有機酸及びその塩類、保湿剤、美白剤、香料、着色剤等を含有することができる。
【0060】
本発明に用いられる無機粉としては、例えば、酸化チタン、タルク、べんがら、黄酸化鉄、ケイ酸マグネシウム、マイカ、雲母、チタン、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、無水ケイ酸、メタケイ酸、中性白土等が挙げられる。油成分としては、例えば、ヌカ油、オリーブ油、大豆油、流動パラフィン、白色ワセリン、ステアリルアルコール、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、モノグリセライド、トリグリセライド、米ぬかエキス、スクワラン、スクワレンなどが挙げられる。
【0061】
本発明に用いられる高分子物質としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、カゼイン、卵黄末、脱脂粉乳、いりぬか等が挙げられる。
【0062】
本発明に用いられる有機酸及びその塩類としては、アジピン酸、安息香酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、フマール酸等が挙げられる。
【0063】
本発明に用いられる保湿剤としては、例えば、モモ、ヘチマ、アロエなどの植物エキス、トマト等の野菜エキス、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、尿素、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、キシロース等や、トリプシン、α−キモトリプシン、プロメライン、パパイン、プロテアーゼ、プロクターゼ、セラチオペプチダーゼ、リボチーム等の酵素類、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、トレハロース、エリスリトール等の糖アルコール、ニコチン酸誘導体、グリチルリチン酸塩およびその誘導体、グリチルレチン酸塩およびその誘導体、ビタミン類(A、B、C、D、Eなど)、パラオキシ安息香酸エステル、シルク末、イソプロピルメチルフェノール、コラーゲン、ミルク末、プロテイン、加水分解カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0064】
本発明に用いられる美白剤としては、例えば、ビタミンEフェニル酸エステル、ビタミンCおよびその誘導体、エラグ酸、α−ヒドロキシ酸等が挙げられる。さらにこれらの成分は、ゼラチンや高分子物質など公知の物質から形成されるマイクロカプセルに保持(収容)させて用いることもできる。
【0065】
マイクロカプセルの製造法としては、例えばロータリーダイヒートシール法、スプレードライング法、液中硬化皮膜法、コアセルベーション法、液中乾燥法等などが挙げられる。
【0066】
本発明に用いられる着色剤としては、例えば、青色1号、青色2号、赤106号、赤2号、黄色202号の(1)、黄色4号、黄色5号、緑3号、緑201号、緑204号、などの色素やクロロフィル、リボフラビン、クロシン、アントラキノン、コチニール、カンタキサンチン、紅花、アンナットなどの天然色素等が挙げられる。
【0067】
[固形状発泡性入浴剤組成物の製法]
本発明の固形状発泡性入浴剤組成物は、上記(a)成分、更には(b)成分、(c)成分、及び必要によりその他の成分を加え、常法により混合、攪拌し、打錠することにより製造することができる。混合、攪拌する装置の例としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、リボン型混合機((株)特寿工作所製)、V型ブレンダ((株)ダルトン製)、ベンチニーダ(入江商会(株)製)等が挙げられる。これらの装置により均一に混合攪拌し、得られた混合物を既知の打錠機(打錠(ゲージ)圧力は例えば200kg/cm2)にて打錠を行うことにより、1個あたり約50gの固形状発泡性入浴剤(錠剤)が得られる。
【0068】
ここで用いられる打錠機には特に制限はないが、例として、RIKEN MD2-100型や(株)畑鉄工所製の打錠機(型式HT-P22A)、(株)エステックのGRC ロータリー打錠機や市橋精機(株)のHNDTAB-200、油圧式打錠機(島津製作所製)等が挙げられる。
【0069】
本発明の錠剤の形状は特に限定されるものではなく、円柱状、角柱状等種々の錠剤とすることができる。また、錠剤の表面に凹部を設けても良い。特に錠剤の凹部の深さを錠剤の厚さの50〜80%とし、凹部の容積を錠剤の体積の1〜3%とすると、溶解性が向上し、壊れにくくかつ製造が容易となるので好ましい。このような形状のものを得る具体的な手段としては、上記成分を加え、攪拌混合し、賦形物を得た後、油圧式手動打錠機(例えば錠径:50mmφ)を用い、打錠圧力200kg/cm2で打錠する方法がある。
【実施例】
【0070】
例中の%は、特記しない限り質量%である。
【0071】
製造例1:アニオン性界面活性剤粉体の調製法
ジャケット温度85℃、圧力4.0kPa、操作品温が70±1℃になるような乾燥条件に調整しながら、アルキル(炭素数12〜16)硫酸ナトリウム塩(AS)含有ペースト(有効成分73%)とポリオキシエチレン(EO平均付加モル数1)アルキル(炭素数12〜16)エーテル硫酸ナトリウム塩(ES)含有水溶液(有効成分25%)とを、有効成分の質量比が、AS:ES=85:15となるように混合したペーストを乾燥機内容積2500Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、FDM−1200JE型]に平均150kg/Hrの添加速度で滴下し、アジテーターの回転数:55r/min、チョッパーの回転数:2000r/min、攪拌翼と壁面との平均クリアランス:5.5mmの造粒条件によって、乾燥と同時に造粒を行ない、600kgの造粒物を得た。更にその一部の造粒物を10%のゼオライトとともにアトマイザー(不二パウダル(株))で粉砕し、平均粒径120μmの粉体原料を得た。
【0072】
容積2500Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、FDM−1200JE型]に、上記粉体原料200kgを入れ、ジャケット温度85℃、圧力:4.0kPa、品温が70±1℃になるような乾燥条件に調整しながら、アルキル(炭素数12〜16)硫酸ナトリウム塩(AS)含有ペースト(有効成分73%)とポリオキシエチレン(EO平均付加モル数1)アルキル(炭素数12〜16)エーテル硫酸ナトリウム塩(ES)含有水溶液(有効成分25%)とを、有効成分の質量比が、AS:ES=85:15となるように混合したペーストを乾燥機内に平均150kg/Hrの添加速度で滴下し、アジテーターの回転数:55r/min、チョッパーの回転数:2000r/minの条件で乾燥と同時に造粒を行ない、エチレンオキサイド平均付加モル数が0.25であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩の造粒物を得た。水分は1%であった。エチレンオキサイドを4モル以上付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量は、3%であった。また、硫酸ナトリウムは1%であった。振動ふるいにより平均粒径950μm、見かけ密度650g/Lのアニオン性界面活性剤粉体(以下(a−1)という)を得た。
【0073】
製造例2:(b)成分を含む粒子の調製法
水蒸気蒸留法により抽出したイランイラン、ローズマリー又はシソ葉抽出物:30g、硫酸マグネシウム:1.5g、ホワイトカーボン:75g、デキストリン:30g、芒硝:103.5g、ポリエチレングリコール(分子量6000):66gをヘンシェルミキサー(MITSUI MIIKE ENGINEERING CORPORATION 製 UM2E型)に入れて、70℃に加熱しながら、5分間攪拌し、その後、その混合物をドームグランにて押し出し、(b)成分含有粒子を得た。以下、イランイラン含有粒子を(b−1)、ローズマリー含有粒子を(b−2)、シソ葉抽出物含有粒子を(b−3)という。
【0074】
製造例3:打錠型の固形状発泡性入浴剤組成物の製造法
製造例1で得られたアニオン性界面活性剤粉体(a−1)を120g(12%(組成物中の含有量、以下同じ))、炭酸水素ナトリウム200g(20%)、炭酸ナトリウム200g(20%)、フマール酸420g(42%)、製造例2で得られたイランイラン含有粒子(b−1)20g(2%)、ポリエチレングリコール(分子量6000)40g(4%)を70℃に加熱しながら、ニーダで均一に攪拌、混合した後、RIKEN MD2-100の打錠機(打錠圧力200kg/cm2)で打錠を行うことにより、錠剤の中心高さ約16mmの固形状発泡性入浴剤組成物を得た。
【0075】
実施例1〜3
製造例1で得られたアニオン性界面活性剤粉体(a−1)、製造例2で得られた(b)成分含有粒子(b−1)、(b−2)又は(b−3)、(c)成分として炭酸水素ナトリウム((c−1)という)、炭酸マグネシウム((c−2)という)又は炭酸ナトリウム((c−3)という)、及びその他の成分を、表1に示す割合で配合した組成物をナウターミキサーにて、70℃に加熱しながら、攪拌混合し、RIKEN MD2-100の打錠機(打錠圧力200kg/cm2)で打錠を行うことにより、固形状発泡性入浴剤組成物を得た。ここで得られた固形状発泡性入浴剤組成物(錠剤)は、比重:約2.0、錠径:50mmφ、錠高:約17mmの板状であった。その発泡性入浴剤組成物を40℃、水の硬度が16°DH、150リットルの湯で満たした浴槽に投入し、起泡性、泡持続性及び香りを以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0076】
<起泡性、泡持続性及び香りの評価基準>
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
比較例1
粒状アニオン性界面活性剤(a−1)の代わりにアルキル(炭素数12〜16)硫酸ナトリウム塩((a’−1)という)を用いる以外は実施例3と同様にして固形状発泡性入浴剤組成物を得、同様に起泡性、泡持続性及び香りを評価した。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分を含有する固形状発泡性入浴剤組成物。
(a):アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0.05〜2であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩からなるアニオン性界面活性剤の粉体であり、且つアルキレンオキサイドを4モル以上付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が粉体全量中30質量%以下である粉体。
【請求項2】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が、一般式(I)で表される、請求項1記載の固形状発泡性入浴剤組成物。
[R1−O(AO)n−SO3]pM (I)
[式中、R1は炭素数8〜20の直鎖アルキル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.05〜2の数、Mは陽イオン、pはMの価数を示し、n個のAOは同一でも異なっていても良い。]
【請求項3】
アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0.05〜2であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が、アルキル硫酸塩を30〜95質量%含有するものである請求項1又は2記載の固形状発泡性入浴剤組成物。
【請求項4】
(a)成分の含有量が、組成物全量を基準として、5〜60質量%である請求項1〜3いずれかに記載の固形状発泡性入浴剤組成物。
【請求項5】
更に、(b)成分として、生薬、ハーブ、これらの抽出物及びエッセンシャルオイルから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜4いずれかに記載の固形状発泡性入浴剤組成物。
【請求項6】
更に、(c)成分として、炭酸ガスを発生する成分を含有する請求項1〜5いずれかに記載の固形状発泡性入浴剤組成物。

【公開番号】特開2006−219417(P2006−219417A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34154(P2005−34154)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】