説明

固形状香料組成物

【目的】
使用時の伸展性、付着性良好であり、かつ経時安定性に優れた固形状香料組成物を提供する。
【構成】香料、油剤およびポリメチルシルセスキオキサンを含有することを特徴とする固形状香料組成物。
香料の好ましい配合量は0.5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%でポリメチルシルセスキオキサンの好ましい配合量は5〜50重量%である。ポリメチルシルセスキオキサンの好ましい平均粒子径は2μm〜10μm、より好ましくは4μm〜8μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時の伸展性、付着性良好であり、かつ経時安定性に優れた固形状香料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体に塗布する香料組成物としては、香料とアルコール、水などを主成分とする香水、オーデトワレなどの液体状組成物、香料と粉体を主成分とするフレグランスパウダーなどの粉状組成物、香料と油剤(固形、液状)を主成分とする練香水、スティックフレグランスなどの固形状香料組成物が知られている。固形状香料組成物は性状から皿状の容器に型流しされたり、リップスティックやペンシルの芯状に成型されそれぞれ容器に装填されて使用されることが多く、そのため携帯性、装飾性に富み、人気がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、固形状香料組成物においては、用いる香料と基材となる油剤との組み合わせによっては相溶性が悪く、特に香料の含有量が多くなると発汗など、経時的安定性に問題を生じる場合が多い。また経時的安定性を重視し、用いる香料にあわせて油剤を選択すると、伸展性、付着性などの使用性、特に塗布時のベタツキに関して満足できるものを調製することが困難である。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−294889
【発明の効果】
【0004】
上記実情より、鋭意研究の結果、香料、油剤と共に、特定の粉体を組み合わせることにより、経時安定性に優れ、伸展性、付着性などの使用性が良好な固形状香料組成物が得られることを見出した。
【0005】
本発明は、香料、油剤およびポリメチルシルセスキオキサンを含有することを特徴とする固形状香料組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に用いられる成分である香料としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、天然香料、合成香料、香料溶剤またはこれらを組み合わせた調合香料などが挙げられる。配合量としては0.5〜30重量%で、より好ましくは5〜20重量%である。0.5重量%未満では香りの演出として満足するものが得られず、30重量%を超える配合量では塗布時の使用感や経時安定性に問題を生じる場合がある。
【0007】
本発明で用いられるポリメチルシルセスキオキサンは粉末状で、シロキサン結合が三次元的にのびた網状構造で、ケイ素原子に1個のメチル基が結合した無機と有機の中間的構造を有するものである。ポリメチルシルセスキオキサンの粒子の形は真球状であり、平均粒子径は特に限定されないが好ましくは2μm〜10μm、さらに好ましくは4μm〜8μmである。ポリメチルシルセスキオキサン粉末は、平均粒子径6μmの真球状粒子から成り、真比重約1.3の白色微粉末である「トスパール2000B」、平均粒子径2μmの真球状粒子から成り真比重約1.3の白色微粉末である「トスパール120」として、東芝シリコーン株式会社より発売されているが、これらに限定されるものではない。配合量としては5〜50重量%で、より好ましくは10〜30重量%である。5重量%未満では効果が得られず、50重量%を超える配合量では塗布時の使用感や経時安定性に問題を生じる場合がある。
【0008】
固形状香料組成物を構成する油剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、固形油剤であればパラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素、ビーズワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのロウワックスが挙げられる。ペースト状油剤であればワセリンなどの炭化水素、ジペンタエリトリット脂肪酸エステルなどのエステル類が挙げられる。液体油剤であれば流動パラフィンなどの炭化水素、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油、アボガド油などの植物油、メチルポリシロキサンなどのシリコーン油、オレイルアルコールなどの高級アルコール、オレイン酸などの脂肪酸が挙げられる。これらは適宜1種もしくは2種以上組み合わされて使用することができる。
【0009】
本発明の固形状香料組成物は上記に成分のほかに、通常化粧料に用いられる成分として例えば、粉体、界面活性剤、ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線防止剤、色材、美容剤などを配合することができる。
【実施例】
【0010】
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0011】
下記の表1、表2にあげる組成によって固形状香料組成物を調製し、経時安定性および使用感に関して下記のように評価した。
【表1】

【表2】

【0012】
経時安定性に関して、得られた組成物を加熱し、直径2cm、厚さ5mmのアルミ製皿に流し充填し、放冷後、−5〜40℃で温度変化(変温速度45℃/6時間)する保管庫(以後サイクル庫と呼ぶ)にセットし、1週間後、2週間後、1ヵ月後の状態を肉眼で観察した。発汗(表面の油浮き)などの調製時との変化の有無を判定した。
判定:評価
◎:変化なし
○:ほぼ変化なし
△:やや変化あり
×:著しく変化あり
【0013】
使用感に関して、パネラー10名に対して、肌への付着性、伸展性、ベタツキのなさを下記の評価基準にて5段階評価させ、平均値を算出した。
評点:評価
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや不良
1:不良
【0014】
下記の表3、表4に、表1、表2に挙げた実施例および比較例に対して経時安定性、使用感の評価を示した。
【表3】

【表4】

【0015】
表3,4の結果より明らかなように、本発明に関わる実施例は経時安定性に優れ、伸展性、付着性などの使用性が良好な固形状香料組成物であった。
【0016】
実施例10
練香水(皿型容器充填タイプ)
(成分) (処方量:%)
セレシン 10
マイクロクリスタリンワックス 15
サラシミツロウ 2
カルナウバロウ 3
ワセリン 20
ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 5
エチルヘキサン酸セチル 15
ポリメチルシルセスキオキサン 10
香料1(フローラル・ブーケタイプ) 20
【0017】
実施例11
練香水(皿型容器充填タイプ)
(成分) (処方量:%)
マイクロクリスタリンワックス 10
ワセリン 20
カルナウバロウ 3
ヒマシ油 15
トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン 10
ショ糖脂肪酸エステル 2
ポリメチルシルセスキオキサン 30
香料2(オリエンタルタイプ) 10
【0018】
実施例12
ソリッドパフューム(スティックタイプ)
(成分) (処方量:%)
パラフィンワックス 5
マイクロクリスタリンワックス 12
ポリエチレンワックス 2
流動パラフィン 35.8
セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
ポリメタクリル酸メチル 10
ポリメチルシルセスキオキサン 20
香料3(フローラル・グリーンタイプ) 15
【0019】
本発明に係る実施例10〜12は、経時安定性に優れ、使用時の肌への付着性、伸展性が良好で、ベタツキの少ない良好なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料、油剤およびポリメチルシルセスキオキサンを含有することを特徴とする固形状香料組成物。
【請求項2】
香料が、0.5〜30重量%およびポリメチルシルセスキオキサンが5〜50重量%である請求項1の固形状香料組成物
【請求項3】
香料が、5〜20重量%およびポリメチルシルセスキオキサンが5〜50重量%である請求項1の固形状香料組成物
【請求項4】
ポリメチルシルセスキオキサンの平均粒径が2μm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の固形状香料組成物
【請求項5】
ポリメチルシルセスキオキサンの平均粒径が4μm〜8μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の固形状香料組成物