説明

固形石けん

【課題】マッサージ効果をもたらす固形石けんを提供する。
【解決手段】棒状をなし、かつ、その軸線xに直交する向きの断面外郭形状をこの軸線x方向のどの位置においても所定の多角形状とし、しかも、この多角形の各辺1をそれぞれ前記軸線を巡って螺旋状に連続する面2によって形成させている固形石けんSである。長さを15cm〜25cmの範囲とし、前記多角形の内接する仮想の円の直径を30mm〜45mmの範囲とし、さらに、前記所定の多角形状を、五角形、六角形又は七角形とした構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、皮膚に押しつけたり、その状態で移動させることで、マッサージ効果をもたらす固形石けんの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に押しつけたり、その状態で移動させることで、マッサージ効果をもたらす石けんとして、特許文献1〜3に示されるものがある。
【0003】
これらのものはいずれも、基本的には方形の盤状をなし、その幅広の一面部に複数の凸部を備えており、この一面部を皮膚に押しつけさせることでマッサージ効果をもたらすものとなっている。
【特許文献1】登録実用新案第3024183号公報
【特許文献2】特表2008−523932号公報
【特許文献3】特表2008−524270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のマッサージ効果をもたらす固形石けんを、より使いやすく、また、製造しやすくする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、固形石けんを、棒状をなし、かつ、その軸線に直交する向きの断面外郭形状をこの軸線方向のどの位置においても所定の多角形状とし、しかも、この多角形の各辺をそれぞれ前記軸線を巡って螺旋状に連続する面によって形成させていると共に、
長さを15cm〜25cmの範囲とし、
前記多角形の内接する仮想の円の直径を30mm〜45mmの範囲とし、
さらに、前記所定の多角形状を、五角形、六角形又は七角形としたものとした。
【0006】
かかる固形石けんにあっては、前記多角形の内接する仮想の円の直径、つまり太さを前記のようにすることから握りやすく、また、その一端側を握ると握った手とその他端側との間に皮膚に押しつけるに都合の良い寸法の長さが残され、このように握った手から突き出された箇所を皮膚に押しつけたり、その状態で皮膚にこすりつけるように移動させたり、転がすように移動させることで、石けん成分を皮膚にこすりつけながら主として前記多角形の角によりマッサージ効果を生じさせることができる。さらに、前記所定の多角形状は、五角形、六角形又は七角形であることから、かかる多角形の角は鋭すぎず且つ鈍すぎず適切なマッサージ効果をもたらすと共に、固形石けんは都合良く握ることができる。また、かかる多角形の各辺はそれぞれ前記軸線を巡って螺旋状に連続する面によって形成されていることから、固形石けんを握った状態において、例えば、固形石けんの軸線方向に指の長さ方向を沿わせるようにして固形石けんに添装される親指の指先の前方に、隣り合う螺旋状に連続する面間に形成される稜部を位置させることができ、把持状態において固形石けんの軸線方向に手を滑らせてしまう事態をこの稜部で止めることができる。また、かかる固形石けんは、それを構成させる石けん生地を押出成形した後、これを前記長さを持つように切断することで、容易に製造させることができる。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる固形石けんは、滑りを生じないように握りやすく、皮膚に押しつけたとき適切なマッサージ効果をもたらし、また、転がすように使うこともでき、使いやすい。また、石けん生地の押出成形後の切断により得ることができ、製造しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜図4に基づいて、この発明にかかる固形石けんの典型的な実施の形態について説明する。
【0009】
なお、ここで図1及び図2は実施の形態にかかる固形石けんSをそれぞれ示しており、また、図3はかかる固形石けんSを把持した様子を示している。また、図4はかかる固形石けんSの押出成形に用いる装置Mの要部を示している。
【0010】
この実施の形態にかかる固形石けんSは、皮膚に押しつけたり、その状態で移動させることで、石けん成分を皮膚に付着させると同時にマッサージ効果をもたらすものである。
【0011】
かかる固形石けんSは、棒状をなし、かつ、その軸線xに直交する向きの断面外郭形状をこの軸線x方向のどの位置においても所定の多角形状とし、しかも、この多角形の各辺1をそれぞれ前記軸線xを巡って螺旋状に連続する面2によって形成させてなる。
【0012】
また、かかる固形石けんSは、長さを15cm〜25cmの範囲とし、前記多角形の内接する仮想の円rの直径を30mm〜45mmの範囲とし、さらに、前記所定の多角形状を、五角形、六角形又は七角形としてなる。
【0013】
図示の例では、かかる固形石けんSの太さはその軸線x方向のどの位置でも等しくなっており、また、前記所定の多角形状を、正六角形としている。すなわち、図示の例では、かかる固形石けんSは、角柱状を呈するように構成されている。また、かかる固形石けんSは、その軸線x方向に前記螺旋状を呈して長く続く六つの帯状の面2、2…を有しており、この六つの面2、2…によってその軸線x方向のどの位置においても前記断面外郭形状が正六角形となるようにしている。したがってまた、かかる固形石けんSは、隣り合う二つの面2、2間に形成される稜部3を、その軸線xを巡って螺旋状に連続させている。また、かかる固形石けんSの端面4は、前記軸線xに直交する向きの面となっており、前記正六角形状をなす面となっている。
【0014】
かかる固形石けんSの長さが短すぎると、その一端部側をその軸線x方向に対する側方から握ってこれ持ったときに手から先に突き出される箇所が短くなって皮膚に押しつけさせる箇所が少なくなる。また、かかる固形石けんSの長さが長すぎると、扱い難くなる。これらのことから、かかる固形石けんSの長さは、18cm〜23cmの範囲とするのが最適である。また、かかる固形石けんSの太さ(前記多角形の内接する仮想の円rの直径)は、握りやすさや、剛性などを考慮すると、35mm〜40mmの範囲とするのが最適である。
【0015】
かかる固形石けんSにあっては、前記のように設定される太さから握りやすく、また、その一端側を握ると握った手とその他端側との間に皮膚に押しつけるに都合の良い寸法の長さが残され、このように握った手から突き出された箇所を皮膚に押しつけたり、その状態で皮膚にこすりつけるように移動させたり、転がすように移動させることで、石けん成分を皮膚にこすりつけながら主として前記多角形の角、つまり前記稜部3によりマッサージ効果を生じさせる。(図3)さらに、前記所定の多角形状は、五角形、六角形又は七角形であることから、かかる多角形の角は鋭すぎず且つ鈍すぎず適切なマッサージ効果をもたらすと共に、固形石けんSは都合良く握ることができる。また、かかる多角形の各辺1はそれぞれ前記軸線xを巡って螺旋状に連続する面2によって形成されていることから、固形石けんSを握った状態において、例えば、固形石けんSの軸線x方向に指の長さ方向を沿わせるようにして固形石けんSに添装される親指fの指先の前方に、隣り合う螺旋状に連続する面2間に形成される稜部3を位置させることができ、把持状態において固形石けんSの軸線x方向に手を滑らせてしまう事態をこの稜部3で止めることができる。(図3)
【0016】
また、かかる固形石けんSは、それを構成させる石けん生地を押出成形した後、これを前記長さを持つように切断することで、容易に製造させることができる。
図4にかかる押出成形をなす装置Mの一例の要部構成を示す。図中符号100は内部を石けん生地の圧送室とするハウジングであり、同図の左側から右側に向けて図示しないスクリューにより石けん生地が圧送される。符号101はこのハウジング100の出口端を塞ぐ蓋盤であり、符号102はこの蓋盤101の中央に設けられた貫通孔101aにハウジングの内側から通されてハウジング100の外側に突き出す筒状の成形型(口金)である。成形型102は、その筒一端に蓋盤101の貫通孔101aよりも大径のフランジ102aを有しており、このフランジ102aをもって蓋盤101に固定されるようになっている。また、この成形型102は、その筒軸yに直交する向きの断面内郭形状をこの筒軸y方向のどの位置においても前記所定の多角形状とし、しかも、この多角形の各辺をそれぞれ前記筒軸を巡って螺旋状に連続する面102bによって形成させている。これにより、ハウジング100内を圧送される石けん生地は成形型から棒状に連続して押し出されると共に、その外形を前記のような複数の螺旋状を呈する面を備えた角柱状とする。このように押し出されて成形された石けん生地をコンベヤで搬送しながら所定の長さに切断し、これを冷ますことで前記固形石けんSが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】固形石けんSの斜視図
【図2】同側面図(a図)、A−A線断面図(b図)、及びB−B線断面図(c図)
【図3】固形石けんSの把持状態を示した斜視図
【図4】固形石けんSの押出成形装置Mの要部断面構成図(a図)及びC−C線断面図
【符号の説明】
【0018】
S 固形石けん
1 辺
2 面
x 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状をなし、かつ、その軸線に直交する向きの断面外郭形状をこの軸線方向のどの位置においても所定の多角形状とし、しかも、この多角形の各辺をそれぞれ前記軸線を巡って螺旋状に連続する面によって形成させていると共に、
長さを15cm〜25cmの範囲とし、
前記多角形の内接する仮想の円の直径を30mm〜45mmの範囲とし、
さらに、前記所定の多角形状を、五角形、六角形又は七角形としたことを特徴とする固形石けん。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138284(P2010−138284A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315912(P2008−315912)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(501303378)株式会社ペリカン石鹸 (1)
【Fターム(参考)】