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固形製剤の製造方法
説明

固形製剤の製造方法

【課題】服用後薬物が胃で分解を受けることがなく、かつ腸壁に付着することにより、該薬物が持続的に吸収される性質を有する微小な固形製剤を、外観が良好で成分の変質もなく、効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)(a’)シート状基材上に、場合により設けられる腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を順に形成して積層体を作製する工程、(b)前記積層体の薬物層側から、シート状基材表面に達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程、(c)前記切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び切り溝部分にバリア層を形成する工程、(d)前記バリア層側から、前記切り溝と同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び(e)前記分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程、を有する固形製剤の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形製剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、服用後薬物が胃で分解を受けることがなく、かつ腸壁に付着することにより、該薬物が持続的に吸収される性質を有する、上下面の面積がそれぞれ7〜200,000μm2の微小固形製剤を、外観が良好で成分の変質もなく、効率よく製造する方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
薬効成分の放出制御性(controlled release)製剤、特に持続性製剤は、薬効成分の効力を持続させて投与回数を少なくできるとともに、血中の薬効成分濃度の急激な立ち上がりを抑制して副作用を軽減でき、血中濃度を長時間一定に保つなどの利点がある。そこで、放出制御性製剤について、薬効成分、製剤化、製剤の形態などの面から種々の検討がなされている。
一方近年、高い薬理活性を有する薬剤が数多く開発されているが、バンコマイシンに代表されるペブチド系抗生物質やペニシリン系抗生物質などは、通常の投与法では吸収部位である腸に到達するまでの途上で分解され、あるいはバイオアベイラビリティが低下するため、大部分が利用されずに体内から排出される。
【0003】
従来から、経口投与によるバイオアベイラビリティや薬効成分の持続的吸収を向上するため、薬物含有層と難水溶性の層を積層した2層構造の製剤、あるいはさらに消化管壁への付着を図るための生体接着性物質の層を積層した製剤などが開発されている。そして、このような固形製剤の製造方法として、難水溶性ポリマーのフィルムに作製した窪みに、薬液、薬物粉末などを充填した後、腸溶性ポリマーのフィルムを貼り合わせてシールし、それを種々の口径(例えば約3mm)のパンチャーなどで打ち抜くことにより、微小な固形製剤を得る方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、300μm以下程度の微小な径を有する製剤を製造しようとした場合、端面を精度良く加工することが難しく、外観が良好な製剤を得ることができないという問題があった。
また、微小な径を有する製剤を精度良く加工するには、レーザなどを照射して切断するなどの物理的手法やダイシングなどの機械的手法が考えられるが、光や熱の発生に伴って化学反応が生起する可能性があり、切断端面において各層を構成する成分が変質するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−338456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下で、服用後薬物が胃で分解を受けることがなく、かつ腸壁に付着することにより、該薬物が持続的に吸収される性質を有する、上下面の面積がそれぞれ7〜200,000μm2の微小固形製剤を、外観が良好で成分の変質もなく、効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、シート状基材上に、薬物層を含む特定の構成の2層積層体又は3層積層体を形成したのち、該積層体のみに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れ、次いで、この切り溝部分を拡げ、その状態にて該積層体の最上層部及び前記切り溝部分にバリア剤ペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成し、さらにこのバリア層側から、前記切り溝と同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割したのち、分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)(a)シート状基材上に、直接又は離型層を介して、粘着剤層及び薬物層を順次形成して2層積層体を作製する工程、
(b)前記積層体の薬物層側から、シート状基材表面に実質上達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程、
(c)前記切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び該切り溝部分にバリア剤の溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する工程、
(d)前記バリア層側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び
(e)前記分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程、
を有することを特徴とする固形製剤の製造方法、
(2)(a)工程における粘着剤層及び薬物層の形成を、それぞれ粘着剤溶液又はペースト及び薬物溶液又はペーストを用いて行う上記(I)項に記載の固形製
剤の製造方法、
【0008】
(3)(a’)シート状基材上に、直接又は離型層を介して、腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を順次形成して3層積層体を作製する工程、
(b)前記積層体の薬物層側から、シート状基材表面に実質上達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程、
(c)前記切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び該切り溝部分にバリア剤溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する工程、
(d)前記バリア層側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び
(e)前記分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程、
を有することを特徴とする固形製剤の製造方法、
(4)(a’)工程における腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を、それぞれ腸溶性溶液又はペースト、粘着剤溶液又はペースト及び薬物溶液又はペーストを用いて行う上記(3)項に記載の固形製剤の製造方法、及び
(5)(c)工程における切り溝部分を拡げる操作を、連続走行するウエブに、(b)工程で得られた切り溝を有する積層体が接着されてなるシート状基材を載せてローラ上で屈曲させることにより行う上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の固形製剤の製造方法、
(6)前記ローラが紡錘状である上記(5)に記載の固形製剤の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、服用後薬物が胃で分解を受けることがなく、かつ腸壁に付着することにより、該薬物が持続的に吸収される性質を有する、上下面の面積がそれぞれ7〜200,000μm2の微小固形製剤を、外観が良好で成分の変質もなく、効率よく製造する方法を提供することができる。
また、本発明の方法によれば、屈曲可能なシート状基材を用いることにより、切断装置の刃部における刃厚及びピッチを可変することなく、切り幅(サイズ)を種々設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の固形製剤の製造方法は、(a)又は(a’)シート状基材上に薬物層を含む2層又は3層積層体を形成させる工程、(b)前記積層体のみに切り溝を入れる工程、(c)バリア層を形成する工程、(d)バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び(e)分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程を有している。
次に、各工程について説明する。
[(a)又は(a’)工程]
(a)工程は、シート状基材上に、直接又は離型層を介して、粘着剤層及び薬物層を順次形成して2層積層体を作製する工程であり、(a’)工程は、シート状基材上に、直接又は離型層を介して、腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を順次形成して3層積層体を作製する工程である。
この(a)、(a’)工程におけるシート状基材については、屈曲性を有し、基材としての適度の機械的強度を有するものであればよく、特に制限されず様々な素材からなるものを用いることができる。
【0011】
前記シート状基材としては、例えば各種のプラスチック製やエラストマー製の基材、あるいは紙基材を挙げることができる。プラスチック製基材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂等からなるフィルムやシートが好ましく挙げられ、エラストマー製基材としては、例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマーからなるフィルムやシート、天然ゴムや合成ゴムからなる加硫フィルムやシート等が挙げられる。紙基材としては、例えば上質紙、グラシン紙、コート紙、あるいはこれらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
シート状基材がプラスチック製やエラストマー製である場合、その厚さは特に制限はないが、通常20〜300μm、好ましくは30〜200μmである。また、紙基材である場合、その坪量は、通常40〜120g/m2程度である。
これらのシート状基材には、該基材の種類やその上に設けられる層の種類などに応じて、適宣シリコーン樹脂などからなる離型層を設けることができる。
【0012】
(a)工程においては、前記シート状基材上に、直接又は離型層を介して、まず粘着剤層を形成し、次いでその上に薬物層を形成する。
前記粘着剤層は、粘着剤の溶液又はペーストを、スピンコーター、バーコーター、ダイコーターなどの塗布装置を用いて塗布、乾燥することにより、形成することができる。塗布方法としては、薄層の形成が可能であることから、スピンコーターによる塗布が好ましく、また、乾燥方法としては、室温乾燥、加熱乾燥のいずれであってもよい。室温乾燥の場合は、室温で30分ないし24時間程度放置することが好ましく、加熱乾燥の場合は、40〜80℃程度の温度で、5〜10分間程度加熱することが好ましい。粘着剤層の厚さは薬物層と合わせて、通常 10〜100μm程度、好ましくは30〜70μmである。
前記粘着剤としては、生体接着性物質を用いることができる。
【0013】
この生体接着性物質が、小腸粘膜に存在する消化酵素の活性を失活させるとともに、消化管(この場合は小腸)壁の吸収細胞に接着して、粘膜−細胞間における薬物分子の濃度勾配を長時間にわたって高く維持することにより、高吸収効率化を図ることができる。
生体接着性物質としては、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ペクチン、トラガント、アラビアゴム、酸性多糖類又はその塩、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸共重合体又はその塩、カルボキシメチルセルロース及びナトリウム塩などのセルロース誘導体などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、薬物の吸収効果をさらに高めるために、粘着剤層に吸収促進剤を含有させることも可能である。吸収促進剤を併用する場合には、薬物と吸収促進剤が常に限られた閉鎖空間内に共存するので、効果を最大限に引き出すことができる。吸収促進剤としては、ラブラゾールTMやカプリン酸ナトリウムなどが挙げられる。この吸収促進剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
このようにして形成された粘着剤層の上に設けられる薬物層は、水溶性高分子化合物を主な基剤成分とし、薬物を含有する層である。水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
薬物としては、水溶性の難・低吸収性薬物(アミノグリコシド系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、ペプチド系抗生物質、アシクロビルなどの抗ウイルス薬、エピルビシンなどの制癌剤など)、インスリン、カルシトニン、各種のインターフェロン、成長ホルモン、バソプレシン及びその誘導体など、各種の蛋白・ペプチド薬をはじめとして、様々な薬物が挙げられる。
【0015】
この薬物層には、薬剤の吸収効果を高めるために、吸収促進剤を含有させることができる。該吸収促進剤については、前記粘着剤層において、説明したとおりである。
また、薬物を担持させる場合、薬物で含浸した多孔質シート状基材、または薬物を含有するゲルもしくはワックスのシートもしくはフィルムを用いることができる。
当該薬物層は、前記の水溶性高分子化合物、薬物及び所望により吸収促進剤などを含む溶液又はペーストを、粘着剤層上に塗布、乾燥することにより、形成することができる。
塗布方法及び乾燥方法については、前記粘着剤層において説明したとおりである。当該薬物層の厚さは粘着剤層と合わせて、通常10〜100μm程度、好ましくは30〜70μmである。
このようにして、シート状基材上に接着された2層積層体を作製することができる。この2層積層体の厚さは、通常10〜100μm程度、好ましくは30〜70μmである。
【0016】
一方、(a’)工程においては、前記シート状基材上に、直接又は離型層を介して、まず腸溶性層を形成したのち、その上に前述の(a)工程と同様にして粘着剤層、次いで薬物層を形成する。
前記腸溶性層としては、通常アルカリ可溶性層が設けられる。このアルカリ可溶性層は、薬物の吸収にとって最も有利なpH(小腸内のpHであるアルカリ性)部位に到達してはじめて溶解し、それまでは胃酸などによる薬物の分解を防止する。アルカリ可溶性層は、胃酸に対して安定なアルカリ可溶性のポリマーにより構成されている。
アルカリ可溶性のポリマーとしては、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチルエステル共重合体などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
当該腸溶性層は、前記アルカリ可溶性ポリマーを含む溶液又はペーストを、シート状基材上に直接又は離型層を介して塗布、乾燥することにより形成することができる。
塗布方法及び乾燥方法については、前述の(a)工程における粘着剤層において説明したとおりである。当該腸溶性層の厚さは、通常10〜100μm程度、好ましくは30〜70μmである。
このようにして形成された腸溶性層の上に、前述の(a)工程と同様にして、粘着剤層、次いで薬物層を形成することにより、シート状基材上に接着された3層積層体を作製することができる。この3層積層体の厚さは、通常20〜200μm程度、好ましくは60〜140μmである。
【0018】
[(b)工程]
(b)工程は、前述の(a)工程及び(a’)工程においてそれぞれ得られた2層積層体及び3層積層体の薬物層側から、シート状基材表面に実質上達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程である。すなわち、積層体部のみに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状の切り溝を入れる工程である。
この工程において、切り溝を入れるための工具としては、少なくとも表面がセラミックからなる刃部を備えた切断工具が好ましく用いられる。
該切り溝の形状としては、ループを形成する形状であればよく特に制限されず、例えば円形状、楕円形状、小判型形状、正方形状、長方形状、五角形以上の各種多角形状、星型形状などを挙げることができる。
前記切り溝で囲まれた領域の面積は7〜200,000μm2、好ましくは 12〜120,000μm2、より好ましくは20〜70,000μm2である。また、切り溝自体の溝の幅は、通常1〜100μm程度、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。
【0019】
[(c)工程]
(c)工程は、前記(b)工程で形成した切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び該切り溝部分にバリア剤の溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する工程である。
切り溝部分を拡げる方法としては、例えば連続走行するウエブに、前記(b)工程で得られた切り溝を有する積層体が接着されてなるシート状基材を載せてローラ上で屈曲させる方法などを用いることができる。図3は、好ましく用いられる紡錘状のローラ7を長軸方向から見た図である。
このようにして、切り溝を拡げた状態にて、積層体の薬物層上及び切り溝部分にバリア剤の溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する。
このバリヤ層は、胃酸やその他の消化液にも安定な難水溶性ポリマーにより構成されている。難水溶性ポリマーとしては、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの難水溶性セルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、セラック、パルミチン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記難水溶性ポリマーを含むバリア剤の溶液又はペーストを、積層体の薬物層及び切り溝に塗布する方法としては、例えばスピンコーター、バーコーター、ダイコーターなどの塗布装置を用いる方法等を挙げることができる。また、乾燥方法としては、室温乾燥、加熱乾燥のいずれであってもよい。室温乾燥の場合は、室温で30分ないし24時間程度放置することが好ましく、加熱乾燥の場合は、40〜80℃程度の温度で、5〜10分間程度加熱することが好ましい。
このようにして形成されたバリア層の厚さは、薬物層上で、通常10〜100μm程度、好ましくは30〜70μm、より好ましくは40〜50μmである。
【0021】
[(d)工程及び(e)工程]
(d)工程は、前記(c)工程で形成されたバリア層側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程であり、(e)工程は、上記(d)工程で分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程である。
(d)工程において切り溝を入れるのに使用する工具としては、前述の(b)工程で切り溝を入れるために使用する切断工具と同様のものを用いることができる。
最後の(e)工程において、前記(d)工程で分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離することにより、粘着剤層及び薬物層が積層され、さらにこの積層体の薬物層上面及び側面がバリア層で被覆された固形製剤、あるいは腸溶性層、粘着剤層及び薬物層が順に積層され、さらにこの積層体の薬物層上面及び側面がバリア層で被覆された固形製剤が得られる。
【0022】
図1は、本発明の固形製剤の製造方法における(b)工程を説明するための一例の断面図であり、図2は、本発明の固形製剤の製造方法における(c)〜(e)工程を説明するための一例の断面図である。
図1では、(a’)工程で得られた3層積層体に、(b)工程にて所定形状の切り溝を入れた状態が示されている。すなわち、(a’)工程において、シート状基材1上に、腸溶性層2、粘着剤層3及び薬物層4を順に形成して作製された3層積層体10の薬物層4側から、シート状基材1表面に実質上達する深さに切り溝5が入れられた状態が示されている。
図2では、前記図1で示されるように、切り溝5を有する積層体10が接着されてなるシート状基材1を、連続走行するウエブ(図示せず)に載せて、ローラ7上で屈曲させて、切り溝5を拡げ、この状態で、該積層体の薬物層4及び切り溝5部分に、塗布装置8を用いてバリア剤の溶液又はペーストを塗布し、乾燥してバリア層6が形成された状態が示されている。
そして、該バリア層6側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに、切断工具9で切り溝を入れて複数の微小積層体に分割したのち、この分割された複数の微小積層体をシート状基材1から剥離することにより、目的の固形製剤11が得られる。
このようにして得られた固形製剤は微小であって、外観が良好であり、また製造過程で構成成分が変質することもないため、高い品質を有している。
この固形製剤を経口授与した場合、腸に達して初めて腸溶性層が溶解し、粘着剤層が露出して腸壁に接着し、その結果高い投薬効果を得ることができる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
シート状基材として厚さ600μmのゴムシート上に、アルカリ可溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース濃度が22質量%のトルエン/エタノール(質量比80/20)混合溶液をバーコーターを用いて塗布し、室温(25℃)で30分間乾燥させて、腸溶性層である厚さ20μmのアルカリ可溶性層を形成した。
次いで、このアルカリ可溶性層上に、アルギン酸ナトリウム濃度3質量%の水溶液をスピンコーターを用いて塗布したのち、1晩室温下で乾燥することにより、粘着剤層である厚さ18μmの生体接着層を形成した。さらに、この生体接着層上に、吸収促進剤としてカプリン酸ナトリウムを配合したインスリンのポリビニルアルコール液(固形分濃度10質量%)をスピンコーターを用いて塗布し、冷凍庫内で1時間放置してインスリン液を凍らせ、厚さ2μmの薬物層を形成することにより、ゴムシート上に接着された厚さ約10μmの3層積層膜を作製した。
次に、この3層積層膜に、切断工具を用いて、複数の直径30μmの円形状(面積約700μm2)切り溝(溝自体の幅10μm)をゴムシート表面に達する深さに入れた。次いで、この切り溝を有する積層膜が接着されてなるゴムシートを連続走行するウエブに載せ、ローラ上で屈曲させて切り溝を拡げたのち、この状態で該積層膜の薬物層及び切り溝に、難溶性ポリマーであるエチルセルロースの濃度20質量%酢酸エチル/エタノール(質量比90/10)混合溶液を塗布し、室温(25℃)で30分間乾燥させてバリア層を形成した。バリア層形成後の膜厚は60μmであった。
続いて、このバリア層の上から、先の切り溝と同じ位置及び同じ深さに切断工具を用いて切り溝を入れると同時に、積層膜をゴムシートから剥離することにより、上下面形状が直径30μmの円形状である厚さ16μmの固形製剤が得られた。この固形製剤は、端面精度が高く、良好な外観を有していた。
【0024】
実施例2
シート状基材として厚さ600μmのゴムシート上に、アルギン酸ナトリウム濃度3質量%の水溶液をバーコーターを用いて塗布したのち、1晩室温下で乾燥することにより、粘着剤層である厚さ18μmの生体接着層を形成した。さらに、この生体接着層上に、吸収促進剤としてカプリン酸ナトリウムを配合したインスリンのポリビニルアルコール液(固形分濃度10質量%)をバーコーターを用いて塗布し、冷凍庫内で1時間放置してインスリン液を凍らせ、厚さ2μmの薬剤層を形成することにより、ゴムシート上に接着された厚さ約20μmの2層積層膜を作製した。
次に、この2層積層膜に、切断工具を用いて、複数の直径30μmの円形状(面積約700μm2)切り溝(溝自体の幅10μm)をゴムシート表面に達する深さに入れた。次いで、この切り溝を有する積層膜が接着されてなるゴムシートを連続走行するウエブに載せ、ローラ上で屈曲させて切り溝を拡げたのち、この状態で該積層膜の薬物層及び切り溝に、難溶性ポリマーであるエチルセルロースの濃度20質量%酢酸エチル/エタノール(質量比90/10)混合溶液を塗布し、室温(25℃)で30分間乾燥させてバリア層を形成した。バリア層形成後の膜厚は40μmであった。
続いて、このバリア層の上から、先の切り溝と同じ位置及び同じ深さに切断工具を用いて切り溝を入れると同時に、積層膜をゴムシートから剥離することにより、上下面形状が直径30μmの円形状である、厚さ40μmの固形製剤が得られた。この固形製剤は、端面精度が高く、良好な外観を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の方法で得られた固形製剤は、外観が良好で成分の変質もなく、服用後薬物が胃で分解を受けずに、腸壁に付着することにより、該薬物が持続的に吸収される性質を有している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の固形製剤の製造方法における(b)工程を説明するための一例の断面図である。
【図2】本発明の固形製剤の製造方法における(c)〜(e)工程を説明するための一例の断面図である。
【図3】本発明の固形製剤の製造方法における(c)工程で用いる紡錘状ローラの一例を長軸方向から見た図である。
【符号の説明】
【0027】
1 シート状基材
2 腸溶性層
3 粘着剤層
4 薬物層
5 切り溝
6 バリア層
7 ローラ
8 塗布装置
9 切断工具
10 積層体
11 固形製剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シート状基材上に、直接又は離型層を介して、粘着剤層及び薬物層を順次形成して2層積層体を作製する工程、
(b)前記積層体の薬物層側から、シート状基材表面に実質上達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程、
(c)前記切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び該切り溝部分にバリア剤の溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する工程、
(d)前記バリア層側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び
(e)前記分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程、
を有することを特徴とする固形製剤の製造方法。
【請求項2】
(a)工程における粘着剤層及び薬物層の形成を、それぞれ粘着剤の溶液又はペースト及び薬物の溶液又はペーストを用いて行う請求項1に記載の固形製剤の製造方法。
【請求項3】
(a’)シート状基材上に、直接又は離型層を介して、腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を順次形成して3層積層体を作製する工程、
(b)前記積層体の薬物層側から、シート状基材表面に実質上達する深さに、7〜200,000μm2の面積を有する所定形状に切り溝を入れる工程、
(c)前記切り溝部分を拡げ、その状態にて薬物層上及び該切り溝部分にバリア剤の溶液又はペーストを塗布、乾燥してバリア層を形成する工程、
(d)前記バリア層側から、前記切り溝と実質上同じ位置及び同じ深さに切り溝を入れ、バリア層で被覆された複数の微小積層体に分割する工程、及び
(e)前記分割された複数の微小積層体をシート状基材から剥離する工程、
を有することを特徴とする固形製剤の製造方法。
【請求項4】
(a’)工程における腸溶性層、粘着剤層及び薬物層を、それぞれ腸溶性溶液又はペースト、粘着剤の溶液又はペースト及び薬物の溶液又はペーストを用いて行う請求項3に記載の固形製剤の製造方法。
【請求項5】
(c)工程における切り溝部分を拡げる操作を、連続走行するウエブに、(b)工程で得られた切り溝を有する積層体が接着されてなるシート状基材を載せてローラ上で屈曲させることにより行う請求項1〜4のいずれかに記載の固形製剤の製造方法。
【請求項6】
前記ローラが紡錘状である請求項5に記載の固形製剤の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−193458(P2006−193458A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5733(P2005−5733)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】