固液分離装置
【課題】 スペーサによって、軸線方向に間隔をあけて配置された複数の固定リングと、各固定リングの間に配置された可動リングと、複数の固定リングを固定連結する複数のステーボルトと、固定リングと可動リングの内部を延びるスクリューと、そのスクリューを回転駆動する駆動装置とを有し、可動リングの内径がスクリューの外径よりも小さく設定された固液分離装置において、可動リングを簡単に交換できるようにする。
【解決手段】 スクリュー21を駆動装置に着脱可能に連結し、ステーボルト35を、固定リング28に形成した長孔33に摺動可能に嵌合し、通常、ステーボルト35を、可動リング29が隣り合う固定リング28の間から離脱しない第1の位置に固定しておき、可動リング29の交換時に、ステーボルト35を、可動リング29が隣り合う固定リング28の間から取り出せる第2の位置に移動させる。
【解決手段】 スクリュー21を駆動装置に着脱可能に連結し、ステーボルト35を、固定リング28に形成した長孔33に摺動可能に嵌合し、通常、ステーボルト35を、可動リング29が隣り合う固定リング28の間から離脱しない第1の位置に固定しておき、可動リング29の交換時に、ステーボルト35を、可動リング29が隣り合う固定リング28の間から取り出せる第2の位置に移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサによって互いに間隔をあけて配置された複数の固定リングと、隣り合う固定リングの間に配置された可動リングと、前記複数の固定リングを連結する複数の連結部材と、前記複数の固定リング及び可動リングの内部を延びるスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動装置とを具備し、前記可動リングの内径が前記スクリューの外径よりも小さく設定されている固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む処理対象物、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、切削屑を含む切削油、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、食品残渣、おからなどの処理対象物から液体を分離するために、上記形式の固液分離装置を用いることは従来より周知である(例えば、特許文献1参照)。この形式の固液分離装置によれば、複数の固定リングと複数の可動リングによって形成された筒状体の軸線方向一端側の入口開口から流入した処理対象物を、回転するスクリューによって、筒状体の軸線方向他端側の出口開口へ向けて移動させ、筒状体内を移動する処理対象物から分離された液体を、固定リングと可動リングの間の微小ギャップを通して筒状体外へ排出させ、液体分の減少した処理対象物を筒状体の軸線方向他端側の出口開口から排出させることができる。
【0003】
その際、可動リングの内径がスクリューの外径よりも小さく設定されているので、スクリューは、その回転によって、可動リングを半径方向に押動させ、該可動リングを固定リングに対して積極的に運動させることができる。このため、可動リングを駆動する専用の駆動装置を設けずとも、固定リングと可動リングの間の微小ギャップに入り込んだ固形物を効率よく排出させることができ、微小ギャップの目詰まりを防止することができる。
【0004】
ところで、この種の固液分離装置においては、経時的に可動リングの内周面が削られるので、必要に応じて、その可動リングを新たなものと交換する必要がある。従来の可動リングの交換作業の一例を示すと次のとおりである。
【0005】
先ず、駆動装置をスクリューの軸部から分離し、その駆動装置を床面上に置く。次いでスクリューを筒状体から抜き出し、そのスクリューを床面上に置く。引き続き、筒状体を支持フレームから外し、その筒状体を持ち上げて床面上に置く。さらに、連結部材をその軸線方向に引き抜いて、当該連結部材を固定リングから外す。このようにすれば、可動リングを拘束するものが無くなるので、各可動リングを固定リングの間から取り出すことができる。上述したところと逆の操作によって新たな可動リングを組み付け、固液分離装置を組み立てることができる。
【0006】
スクリューを筒状体から抜き出した後、その筒状体を支持フレームから外し、これを床面に置いてから、連結部材を引き抜くようにしたのは、支持フレームに組み付けられた筒状体の下方には、例えば、濾液受け部材や、処理対象物の入ったサービスタンクなどが配置されているので、支持フレームに組み付いたままの筒状体から連結部材を引き抜いたとき、スペーサが濾液受け部材やサービスタンクに落下してしまうからである。筒状体を床面に載置してから連結部材を抜けば、スペーサは床面上に落下するので、これを容易に拾い上げることができる。
【0007】
ところが、多数の可動リングと固定リングを有する筒状体は非常に重いため、筒状体を支持フレームから外して床面上に運び、逆にこれを床面から支持フレームに運んで組み付ける作業には多大な労力が必要とされる。筒状体が大型化すれば、これを人力だけで運ぶことは困難となり、ホイストなどの起重機を用いなければならない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−228695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来よりも楽に可動リングの交換作業を行うことのできる冒頭に記載した形式の固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の固液分離装置において、前記スクリューが前記駆動装置に対して着脱可能に連結されていると共に、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、前記スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、当該連結部材を案内するガイドを設けたことを特徴とする固液分離装置を提案する(請求項1)。
【0011】
また、上記請求項1に記載の固液分離装置において、少なくとも1つの連結部材が、該連結部材に取り付けられたスペーサと共に、前記第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるように構成することができる(請求項2)。
【0012】
さらに、上記請求項2に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が前記ガイドに案内されながら、前記第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されていると有利である(請求項3)。
【0013】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記ガイドは、少なくとも1つの固定リングに設けられていると有利である(請求項4)。
【0014】
また、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されていると有利である(請求項5)。
【0015】
さらに、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成されていると有利である(請求項6)。
【0016】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記連結部材を支持する支持部材を具備し、少なくとも1つの支持部材に前記ガイドが設けられていると有利である(請求項7)。
【0017】
さらに、上記請求項7に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されていると有利である(請求項8)。
【0018】
また、上記請求項7に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の支持部材外周部によって形成されていると有利である(請求項9)。
【0019】
さらに、上記請求項1乃至9のいずれかに記載の固液分離装置において、前記連結部材はステーボルトにより構成され、該ステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトが前記ガイドに沿って移動することを許容するように構成されていると有利である(請求項10)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、連結部材を第2の位置に移動させることにより、可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことができるので、従来よりも楽に可動リングを交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0022】
図1は固液分離装置の一例を示す部分断面正面図である。この固液分離装置によって、各種の処理対象物を固液分離することが可能であるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0023】
ここに示した固液分離装置は、入口部材1と出口部材2と、これらの間に配置された筒状体3とを有し、入口部材1は、上部が開口した矩形の箱状に形成され、その上部開口によって、汚泥が流入する流入口4が構成されている。符号7は入口部材1の底壁を示す。また筒状体3を向いた側の入口部材1の側壁5には開口6が形成され、さらに入口部材1の側壁5に対向したもう一つの側壁8には、横断面が矩形状に形成されたモータ支持部材9の一方の側壁10がボルトとナットによって固定され、モータ支持部材9の他方の側壁11に、減速機付きのモータ12が固定されている。
【0024】
入口部材1の両側壁5,8は下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー13,14にそれぞれ着脱可能に固定され、モータ支持部材9の両側壁10,11も下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー14に着脱可能に固定されている。
【0025】
出口部材2は、その上部と下部が開口し、水平断面が矩形状に形成されていて、筒状体3を向いた側の出口部材2の側壁19と、これに対向する出口部材2の側壁20には、後述するスクリュー21の外径よりも大きな径を有する開口22,23がそれぞれ形成されている。側壁19,20は、下方に延び、その下端部が支持フレームのステー52,53に図示していないボルトとナットによって着脱可能に固定されている。また、側壁20に形成された開口23には、軸受板18が配置され、その軸受板18は、ボルト24とナット25によって側壁20に着脱可能に固定されている。出口部材2の下部開口は、脱水処理された汚泥が排出される排出口26を構成している。
【0026】
一方、筒状体3は、小リング状のスペーサ38,39によって軸線方向に互いに間隔をあけて配置された複数の固定リング28と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置された可動リング29とによって構成されている。図2は1つの固定リング28と、1つの可動リング29と、スペーサ38,39の外観を示す斜視図である。複数の固定リング28は、図1、図3及び図4に示すように同心状に配列され、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に上述のスペーサ38,39がそれぞれ配置されている。図1に示すように、筒状体3は出口部材2の側が高くなるように傾斜して配置されている。
【0027】
図示した固液分離装置においては、図2乃至図4に示すように、各固定リング28に、その周方向に所定の間隔をあけて配置された3つの取付孔32が形成されていると共に、固定リング28の周方向に長く延びた長孔33が形成されている。複数の固定リング28に形成された3つの取付孔32は、それぞれ同心状に位置し、複数の固定リング28に形成された長孔33も、筒状体3の軸線方向に一直線状に整列した状態で位置している。
【0028】
各固定リング28に形成された各取付孔32と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置されたスペーサ39の中心孔には、図1、図3及び図4に示すように、連結部材の一例であるステーボルト34がそれぞれ貫通して延び、さらに、その各ステーボルト34は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19にそれぞれ形成された取付孔56,57を貫通し、その各端部に形成された雄ねじにナット36,36Aがそれぞれ螺着されて締め付けられている。
【0029】
一方、各固定リング28に形成された長孔33と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置されたスペーサ38の中心孔にも、図1及び図3に示すように、連結部材の一例であるステーボルト35が貫通して延びている。そのステーボルト35は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と出口部材2の側壁19にそれぞれ形成された取付孔54,55を貫通し、そのステーボルト35の各端部に形成された雄ねじに、ナット37,37Aがそれぞれ螺着されて締め付けられている。本例の固液分離装置においては、複数のステーボルト34,35が、固定リング28の軸線方向に延び、互いにほぼ平行に位置している。なお、図1においては、図を判りやすくするため、一部のステーボルトとスペーサなどの図示を省略してある。
【0030】
上述のようにして、複数の固定リング28は、ステーボルト34,35とナット36,36A,37,37Aによって一体的に固定連結され、入口部材1と出口部材2に対して固定されている。スペーサによって互いに間隙をあけて配置された各固定リングをわずかに遊動できるように組み付けることもできる。いずれの場合も、連結部材の一例であるステーボルト34,35は、複数の固定リング28を貫通して延びていて、その複数の固定リング28を連結する用をなす。ステーボルト以外の細長部材、例えば連結棒などから成る連結部材を用いることもできる。かかる連結部材が複数設けられているのである。
【0031】
また、入口部材1と出口部材2は、連結部材の一例であるステーボルト34,35を支持する支持部材の一例を構成するものである。入口部材1と出口部材2は、ステーボルト34,35の長手方向各端部を支持するが、ステーボルト34,35の長手方向中間部を支持する支持部材を設けることもできる。入口部材1と出口部材2以外の各種形態の支持部材を採用することもできる。
【0032】
図4に示すように、各固定リング28の間にそれぞれ配置された各可動リング29の厚さTは、各固定リング間の間隙幅Gより小さく設定され、各固定リング28の端面と、これに対向する可動リング29の端面の間には、例えば0.1乃至1mm程の微小なギャップgが形成される。かかる微小ギャップgは、後述するように汚泥から分離された水分、すなわち濾液を通過させるものである。可動リング29の厚さTは、例えば、1.0mm乃至2mm程に設定され、間隙幅Gは、例えば2mm乃至3mm程に設定される。また固定リング28の厚さtは、例えば1.5mm乃至3mm程に設定される。
【0033】
一方、各可動リング29の外径D1は、そのまわりに位置する4個のスペーサ38,39の内側面により形成される円CC(図2)の径D2よりも小さく、しかも各固定リング28の内径D3よりも大きく設定されている。この構成により、各可動リング29は、各固定リング28の間から離脱することなく、その半径方向に可動となる。このように、各ステーボルト34,35に嵌合したスペーサ39,38の内側に位置する可動リング29が下方に落下しないように、複数のステーボルト34,35が設けられており、好ましくは3本以上のステーボルトが設けられる。本例の固液分離装置においては、4本のステーボルト34,35が使用され、図3から判るように、これらのステーボルト34,35は、固定リング28の周方向に等間隔に配置されている。このように、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することを阻止するように、複数の連結部材を配置するのである。
【0034】
また、複数の固定リング28と複数の可動リング29の内部には、これらのリング28,29の軸線方向に延びるスクリュー21が配置され、このスクリュー21は、軸部41と、これに一体のらせん状の羽根部42を有している。かかるスクリュー21は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19,20に形成された開口6,22,23を貫通して延びている。
【0035】
図1に示すように、軸受板18は、内部に軸受43が収容された軸受カップ44を有し、上述のスクリュー21の軸部41の一方の端部が、軸受カップ44に挿入され、軸受43を介して、軸受板18に回転自在に支持されている。
【0036】
一方、図1に示したモータ12の出力軸45は、モータ支持部材9の側壁11,10と、入口部材1の側壁8を貫通して延び、側壁10に軸受を介して回転自在に支持されている。かかる出力軸45の先端部は、図5に示すように、内部が中空に形成され、その中空部49の中央部に係合片50が固定配置されている。また、スクリュー21の軸部41の他方の端部には、係合溝51が形成され、軸部41の端部が図1に示すように出力軸45の中空部49に挿入され、軸部41に形成された係合溝51が出力軸45に設けられた係合片51に着脱可能に係合している。
【0037】
モータ12が作動して出力軸45が回転すると、その回転が、互いに係合した係合片50と係合溝51を介してスクリュー21に伝えられ、該スクリュー21がその中心軸線のまわりに回転する。このように、本例の固液分離装置においては、減速機付きのモータ12と、その出力軸45によって、スクリュー21を回転駆動する駆動装置が構成され、前述の係合片50と係合溝51とによって、スクリュー21が駆動装置に対して着脱可能に連結されている。係合片50と係合溝51が、スクリュー21を駆動装置に着脱可能に連結する連結手段を構成しているのであるが、他の適宜な形態の連結手段を用いることもできる。同様にモータ12と出力軸45により構成される駆動装置以外の適宜な駆動装置を採用することもできる。
【0038】
次に、本例の固液分離装置の動作を説明する。
【0039】
筒状体3の下方に位置する図示していないサービスタンク内の汚泥が、同じく図示していないフロック化装置に供給され、そのフロック化装置において、多量の水分を含む汚泥に凝集剤が混合撹拌され、これによって汚泥がフロック化される。フロック化された汚泥(図には示さず)は、図1に矢印Aで示すように、固液分離装置の入口部材1内に流入する。かかる汚泥の含水率は、例えば99重量%程度である。このとき、スクリュー21はモータ12によって回転駆動されているので、入口部材1に流入した汚泥は、矢印Bで示すように、入口部材1の側壁5に形成された開口6を通って、固定リング28と可動リング29の内部空間、すなわち筒状体3の内部空間に、その軸線方向一端側の入口開口3Aから流入する。
【0040】
上述のようにして筒状体3の内部に流入した汚泥は、駆動装置により回転駆動されたスクリュー21によって、筒状体3の軸線方向他端側の出口開口3Bへ向けて搬送される。このとき、汚泥から分離された水分、すなわち濾液が、各固定リング28と可動リング29との間の微小ギャップg(図4)を通して筒状体外に排出される。排出された濾液は、ステー13,52に固定された濾液受け部材40に受け止められ、次いで濾液排出管46を通って流下する。この濾液には未だ多少の固形分が含まれているので、当該濾液は他の汚泥と共に再度水処理され、次いで固液分離装置に供給されて脱水処理される。
【0041】
ここで、図4に示す如く、スクリュー21の外径D4は、その回転が阻害されないように、固定リング28の内径D3よりもわずかに小なる大きさに設定されているが、可動リング29の内径D5よりも大きく設定されている。可動リング29の内径D5がスクリュー21の外径D4よりも小さく設定されているのである。このため、スクリュー21の回転によって、各可動リング29は、スクリュー21から外力を受けて押動され、固定リング28に対して積極的に相対運動する。このようにして、可動リング29を駆動する専用の駆動手段を設けることなく、微小ギャップgに入り込んだ固形物を積極的に排出させることができ、そのギャップgに対するクリーニング効率を高めることができる。
【0042】
上述のように筒状体3内の汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少した汚泥が筒状体3の軸線方向他端側の出口開口3Bから排出される。筒状体3から排出された汚泥は、図1に矢印Dで示すように、出口部材2の開口22を介して出口部材2内に移動し、その下方の排出口26を通して下方に落下する。
【0043】
上述のようにして脱水処理された後の汚泥の含水率は、例えば80乃至85重量%程度である。図1に示すように、出口部材2の一方の側壁に形成された開口22に対向して、軸部41に背圧板47が固定されており、これによって筒状体3内の汚泥に加えられる圧力を高めることができる。
【0044】
上述の固液分離動作を繰り返し行う間に、可動板29の内周面が摩耗するので、適当な時期に、摩耗した可動板を新たな可動板と交換する必要がある。この交換作業は次に例示するように極く簡単に行うことができる。
【0045】
先ず、モータ12の作動を停止させた状態で、図1に示したボルト24とナット25を外し、軸受板48を矢印E方向に引いて、軸受カップ44をスクリュー21の軸部41の一方の端部から離脱する。これにより、スクリュー21の一方の端部側を拘束するものがなくなるので、スクリュー21を図1に矢印Eで示す方向に引くと、図5に示すように、スクリュー21の軸部41の他方の端部が、出力軸45の中空部49から外れる。そこで、そのままスクリュー21を矢印E方向に引けば、そのスクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出すことができる。
【0046】
上述のように、スクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出した後、4本のステーボルト34,35のうち、長孔33に嵌合しているステーボルト35に螺着されたナット37,37Aを緩め、そのステーボルト35を、各固定リング28に形成された長孔33に沿って、図3に矢印Fで示すように移動させる。固液分離装置を通常に使用しているとき、ステーボルト35は、図3から判るように、長孔33の一方の端部60に当接した第1の位置を占めているが、このステーボルト35を、各長孔33により案内しながら、その長孔33の他方の端部61に当接した第2の位置に移動させるのである。
【0047】
前述のように、ステーボルト35は、図1に示した入口部材1に形成された取付孔54と、出口部材2に形成された取付孔55にも嵌合しているが、これらの取付孔54,55は、ステーボルト35を上述のように移動させるとき、その動きを阻害しない形態、例えば長孔状に形成されている。
【0048】
図6はステーボルト35が第1の位置を占めたときの様子を示し、図7はステーボルト35が第2の位置を占めたときの様子を示している。このように、ステーボルト35を長孔33によって案内しながら移動させるとき、小さな力でスムーズにそのステーボルト35を移動させることができるように、他のステーボルト34に螺着したナット36,36Aも少し緩めておくことが好ましい。
【0049】
ここで、ステーボルト35を、その第1の位置から第2の位置に移動させると、ステーボルト35に嵌合しているスペーサ38も、ステーボルト35と共に移動する。しかも、ステーボルト35が、第1及び第2の位置にあるときはもとより、そのステーボルト35が長孔33に案内されながら、第1の位置から第2の位置に移動しているときも、スペーサ38は、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から外れることはない。
【0050】
ステーボルト35が図6に示した第1の位置にあるとき、固定リング28の周方向において互いに隣り合う各ステーボルト34,35に嵌合している各スペーサ38,39の間の距離L1,L2,L3,L4は、全て、可動リング29の外径D1より小さい。このため、前述のように、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することが阻止される。
【0051】
図6及び図7においては、ステーボルト35の左側に位置するステーボルトに、特に符号34Aを付してあるが、ステーボルト35が図7に示した第2の位置に移動すると、そのステーボルト35に嵌合したスペーサ38と、その左側に位置するステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1(図6)よりも大きくなる。このとき、前述のように、スクリュー21は固定リング28と可動リング29の内部から抜き出されているので、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に位置する可動リング29を、第2の位置を占めたステーボルト35に嵌合したスペーサ38と、その左隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の間隙を通して、図7に矢印Gで示すように取り出すことができる。このとき、各スペーサ38,39はステーボルト35,34に嵌合したままであるため、そのスペーサ38,39が下方に落下することはない。
【0052】
隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出した後、新たな可動リング29を図7に矢印Hで示すように、ステーボルト35,34Aにそれぞれ嵌合したスペーサ38,39の間の間隙を通して、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する。次いで、ステーボルト35を、長孔33により案内しながら、図7に矢印Iで示した方向に移動させ、図6に示した第1の位置にもたらす。このときも、スペーサ38がステーボルト35と一緒に移動する。次いでステーボルト35に螺着したナット37,37Aを締め付ける。ステーボルト35を第1の位置から第2の位置に移動させるのに先立って、ナット36,36Aを緩めたときは、ステーボルト35を第1の位置にもたらした後、そのナット36,36Aも締め付ける。これにより、各固定リング28が互いに固定され、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入された可動リング29がその両固定リング28の間から離脱することが阻止される。長孔33は、連結部材の一例であるステーボルト35が第1の位置と第2の位置の間を移動するとき、このステーボルトを案内するガイドとしての用をなす。
【0053】
引き続き、スクリュー21を筒状体3に挿入して、図5に示すように、係合片50と係合溝51を係合させることにより、スクリュー21と出力軸45を連結する。さらに、図1に示した軸受板18を出口部材2にボルト24とナット25によって固定し、スクリュー21の一方の端部を軸受43に回転自在に支持する。このようにして、可動リング29の交換作業を完了する。
【0054】
上述のように、本例の固液分離装置においては、連結部材の一例であるステーボルト35が、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することを阻止できる第1の位置と、スクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出した状態で、各可動リング29を隣り合う固定リング28の間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、そのステーボルト35が第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、そのステーボルト35を案内するガイドが設けられており、図示した例では、そのガイドが複数の固定リング28に形成された長孔33によって構成されている。かかる構成により、可動リング29を交換する際、筒状体3と、モータ12を含む駆動装置を支持フレームから外す必要はなく、重量の大なる筒状体3と駆動装置を床面などに運ぶ必要はない。このため、従来に比べて極めて楽に可動リング29の交換作業を行うことができる。
【0055】
しかも、本例の固液分離装置においては、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材に、スペーサ38が嵌合することにより取り付けられ、該ステーボルト35は、そのステーボルト35に取り付けられたスペーサ38と共に、第1の位置と第2の位置の間を移動するように構成されている。さらに、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材に取り付けられたスペーサ38は、その連結部材が、第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が長孔33より成るガイドに案内されながら、第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リング28の間から外れない状態を維持できるように形成されている。ステーボルト35を、第1の位置と第2の位置の間で移動させるとき、スペーサ38が、互いに隣り合う固定リング28の間から外れることがないのである。これにより、新たな可動リング29を固定リング間に挿入した後、ステーボルト35に取り付けられたスペーサ38を、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する作業は不要であり、容易に可動リング29の交換作業を行うことができる。
【0056】
以上説明した固液分離装置においては、1つのステーボルト35だけが第1の位置と第2の位置の間を移動できるように、その1つのステーボルト35を固定リング28に形成された長孔33に嵌合したが、複数のステーボルトを、第1及び第2の位置の間で移動できるように構成することもできる。
【0057】
図8及び図9に示した固液分離装置においては、複数の固定リング28を固定連結する連結部材として、6本のステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dが使用され、その各ステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dにそれぞれスペーサ38A,38B,39A,39B,39C,39Dが嵌合し、これらのスペーサによって、軸線方向に隣り合う固定リング28が互いに間隔をあけて配置されている。しかも、複数のステーボルトのうちの2本のステーボルト35A,35Bが、各固定リング28に形成された長孔33A,33Bと、図8には示していない入口部材と出口部材に形成された取付孔に摺動可能に嵌合している。
【0058】
通常は、2本のステーボルト35A,35Bは、図8に示した第1の位置を占め、これらのステーボルト35A,35Bに螺着したナット(図示せず)と、他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナット(図示せず)を締め付けることによって、各固定リング28が固定連結される。このとき、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置された可動リング29の外径D1が、固定リング28の周方向において隣り合うステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dに嵌合した各スペーサ38A,38B,39A,39B,39C,39Dの間の各距離L1,L2,L3,L4,L5,L6よりも大きいため、その可動リング29が、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から離脱することはない。
【0059】
可動リング29を交換するには、前述したところと同様にして、図8及び図9には示していないスクリューを固定リング28と可動リング29より成る筒状体3の内部から抜き出した後、各ステーボルト35A,35Bに螺着したナットを緩め、必要に応じて他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナットも緩める。次いで、ステーボルト35A,35Bを、長孔33A,33Bによって案内しながら、矢印F方向に移動させて、図9に示した第2の位置にもたらす。これにより、両ステーボルト35A,35Bに嵌合したスペーサ38A,38Bの間の距離L1が可動リング29の外径D1(図8)よりも大きくなるので、その可動リング29を図9に矢印Gで示すように隣り合う固定リング28の間から取り出すことができる。
【0060】
隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出した後、新たな可動リング29を、図9に矢印Hで示すように、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する。次いで、図9に矢印Iで示すように、ステーボルト35A,35Bを図8に示した第1の位置に戻し、そのステーボルト35A,35Bに螺着したナットと、他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナットを締め付けて、各固定リング28を固定する。引き続き、図1乃至図7に示した固液分離装置の場合と同じく、スクリューを筒状体3内に挿入し、そのスクリューの他方の端部を駆動装置に連結し、次いでスクリューの一方の端部を軸受板の軸受に回転自在に支持する。図8及び図9に示した固液分離装置の他の構成と作用は、図1乃至図7に示した固液分離装置と実質的に変りはない。
【0061】
図8及び図9に示した固液分離装置においても、ステーボルト35A,35Bを、第1の位置と第2の位置の間で移動させるとき、これらのステーボルト35A,35Bに取り付けられたスペーサ38A,38Bが、ステーボルト35A,35Bと一緒に移動し、しかもこれらのスペーサ38A,38Bは、常に、軸線方向に隣り合う固定リングの間から外れることがないので、容易に可動リングの交換作業を行うことができる。
【0062】
上述のように、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトは複数であってもよく、要は、少なくとも1つの連結部材を第1の位置と第2の位置で移動できるように構成すればよいのである。但し、ステーボルトを第1の位置から第2の位置に移動させたとき、該ステーボルトと、その隣りのステーボルトとの間の間隙を通して、可動リングが下方に落下しないように構成することが望ましい。可動リングが下方に落下することがないように、少なくとも1つの連結部材を、第1及び第2の位置の間を移動させるのである。
【0063】
以上、説明した具体例においては、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35,35A,35Bより成る連結部材が、固定リング28に形成された長孔33,33A,33Bに移動可能に嵌合し、その長孔33,33A,33Bによってガイドが形成されている。第1及び第2の位置の間を移動するステーボルト35,35A,35Bを、長孔33,33A,33Bより成るガイドによって案内するのであるが、かかる長孔以外のガイドを採用することもできる。
【0064】
例えば、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材が、図10に示すように、第1の位置を占めたとき、そのステーボルト35が、固定リング28に形成された第1の凹部160に嵌合し、図11に示すように、そのステーボルト35が第2の位置を占めたとき、当該ステーボルト35が、固定リング28に形成された第2の凹部161に嵌合するように構成すると共に、第1の凹部160と第2の凹部161の間の固定リング28の外周部133によって、ステーボルト35を案内するガイドを構成することもできる。この構成を採用すると共に、図1に示した入口部材1と出口部材2に形成された取付孔54,55も、図10及び図11に示したガイドのように構成した場合には、ステーボルト35を、これに取り付けられたスペーサ38と共に、固定リング28からその半径方向に離脱させることができるが、ステーボルト35を第1の位置と第2の位置の間で移動させるときに、そのステーボルト35を固定リング28の外周部133に当接させたままにすることによって、スペーサ38が、隣り合う固定リング28の間から外れることを阻止できる。図10及び図11に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図7に示した固液分離装置と変りはなく、図10及び図11には、図6及び図7に示した部分と同一ないしは対応する部分に、図6及び図7に付した符号と同一の符号を付してある。
【0065】
上述した構成によると、長孔によってガイドを構成するよりも、固定リング28を製作する際の材料費を軽減できる利点が得られる。その半面、ガイドを長孔によって構成すると、ステーボルトが第1の位置と第2の位置を移動するときに、そのステーボルトが長孔より成るガイドから離脱することを阻止できる利点が得られる。
【0066】
以上説明した具体例においては、第1の位置と第2の位置の間を移動する少なくとも1つの連結部材を案内するガイドが、複数の固定リング28に設けられているが、当該ガイドを1つの固定リング28に設けるだけであっても、第1の位置の位置と第2の位置を移動する連結部材を、そのガイドによって案内することができる。ガイドを、少なくとも1つの固定リング28に設けるのである。第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドを形成するか、第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合させ、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合させると共に、ガイドを、第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成するのである。
【0067】
また、第1の位置と第2の位置の間を移動する連結部材を案内するガイドを固定リング以外の部材に設けることもできる。例えば、図1に示した入口部材1と出口部材2は、ステーボルトより成る連結部材を支持する支持部材の一例を構成しているが、固液分離装置が、かかる支持部材を有している場合には、その少なくとも1つの支持部材に前述のガイドを設けることができる。
【0068】
図12乃至図17は、図1に示した入口部材1を図1における右側から見たときの部分断面図に相当する図である。先ず、図12及び図13に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に形成された取付孔54を、図6及び図7に示した長孔33と同様な長孔として形成し、その取付孔54に嵌合したステーボルト35より成る連結部材を、図12に示した第1の位置と図13に示した第2の位置の間を移動可能に支持する。第1の位置と第2の位置の間を移動可能ではないステーボルト34は、側壁5に形成された取付孔56を貫通している。ステーボルト35,34に螺着したナット37,36を締め付けることにより、複数の固定リングを図1に示したように固定することは前述のとおりである。
【0069】
一方、図14及び図15に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に、図8及び図9に示した長孔33A,33Bと同様な長孔より成る取付孔54A,54Bをそれぞれ形成し、その各取付孔54A,54Bにステーボルト35A,35Bをそれぞれ嵌合する。この例の場合、第1の位置と第2の位置を移動可能でない4本のステーボルト34A,34B,34C,34Dは、側壁5に形成された取付孔56をそれぞれ貫通している。各ステーボルト35A,35B,34A乃至34Dには、ナット37,36が螺着されて締め付けられ、これにより固定リングが図1に示したように固定される。
【0070】
図12乃至図15に示した固液分離装置においては、通常、ステーボルト35;35A,35Bは、図12及び図14に示した第1の位置を占めている。可動リングを交換するには図6乃至図9に示した例と同じく、図12乃至図15には示していないスクリューを、側壁5に形成された開口6と筒状体とから抜き出した後、各ステーボルトに螺着したナットを緩め、次いでステーボルト35;35A,35Bを図13及び図15に示した第2の位置にもたらす。これにより、隣り合う固定リングの間から可動リングを取り出すことができる。引き続き、新しい可動リングを、隣り合う固定リングの間に挿入し、次いでステーボルト35;35A,35Bを図12及び図14に示した第1の位置に戻し、ナットを締め付ける。このように、ステーボルト35;35A,35Bが第1の位置と第2の位置の間を移動するとき、そのステーボルトは、長孔より成る取付孔54,54A,54Bによって案内される。
【0071】
上述した各構成は、連結部材を支持する支持部材である出口部材2にも適用できるものである。図12乃至図15には、これらの図に示した各構成を出口部材2に適用した場合の符号をかっこ内に付してある。ステーボルト35を案内するガイドは、入口部材1と出口部材2の両方に設けてもよいし、1つの支持部材にだけ設けてもよく、ガイドを、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に設ければよい。第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によってガイドが形成されるのである。
【0072】
また、図16及び図17に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に、図10及び図11に示した第1の凹部160と第2の凹部161と同じく形成された第1及び第2の凹部54A,54Bを形成すると共に、これらの凹部の間の側壁5の外周部233によって、第1の凹部154Aと第2の凹部154Bの間を移動するステーボルト35を案内するガイドを構成することもできる。他の構成は、図12及び図13に示した固液分離装置と変りはない。また、図16及び図17には、ここに示した構成を出口部材2に適用した場合の符号をかっこ内に付してある。図16及び図17に示したガイドも少なくとも1つの支持部材に形成すればよい。
【0073】
上記構成によれば、第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、その連結部材は、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部154A(155A)に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部154B(155B)に嵌合する。しかもガイドは、第1の凹部154A(155A)と第2の凹部154B(155B)の間の支持部材外周部233によって形成されている。
【0074】
図12乃至図17に示した固液分離装置の他の構成は、先に説明した固液分離装置の構成と変りはない。また図12乃至図17に示した各例では、入口部材1と出口部材2より成る支持部材にガイドを設けたが、他の形態の支持部材にガイドを設けることもできる。
【0075】
上述のように、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動できるように、該連結部材を案内するガイドを、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に設けることもできるのである。この構成を採用した場合も、少なくとも1つの連結部材が、その連結部材に取り付けられたスペーサと共に、第1の位置と第2の位置の間を移動するように構成し、しかも第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材がガイドに案内されながら、第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されていることが好ましい。
【0076】
また、連結部材を支持する支持部材にガイドを設けた場合も、図1乃至図11に示したガイドを固定リング28に形成し、第1の位置と第2の位置を移動するステーボルトを、固定リング28の側に設けたガイドによっても案内するように構成してもよい。或いは、ガイドを支持部材に設けた場合には、図18及び図19に示すように、ステーボルト35が第1の位置にあるときに、そのステーボルト35が嵌合する凹部160だけを各固定リング28に形成してもよい。複数のステーボルトを第1の位置と第2の位置の間を移動できるように構成したときも、同様にその各ステーボルトが第1の位置にあるときに嵌合する凹部を固定リング28に形成することができる。また、図18及び図19に示した固液分離装置の筒状部3の他の構成は、図10及び図11に示したところと変りはないので、図10及び図11の各部に対応する部分に、図10及び図11と同じ符号を付してある。
【0077】
さらに、図20及び図21に示すように、いずれのステーボルト34,35も、固定リング28を貫通させず、各ステーボルト34,35に取り付けられたスペーサ39,38の一部が、隣り合う固定リング28の間に挟まれた状態で位置するように構成し、その各ステーボルト34,35にナットを螺着して、これを締め付けることによって、各固定リング28を固定することもできる。この場合も、ナットを緩めることにより、ステーボルト35を図20に示した第1の位置と、図21に示した第2の位置との間を移動させることができ、ステーボルト35を第2の位置にもたらすことによって、隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出し、次いで、新しい可動リングを挿入することができる。この構成は、ステーボルト35を案内するガイドを支持部材に設けた場合のほか、ステーボルト35を固定リング28の外周部133によって案内するように構成した場合にも適用できる。
【0078】
以上説明した具体例においては、固定リング28を連結する連結部材としてステーボルトを用い、そのステーボルトの各端部に形成された雄ねじにナットを螺着したが、一方の端部に頭部を有し、他方の端部に雄ねじが形成されたステーボルトを用い、その雄ねじにナットを螺着して、複数の固定リング28を固定連結するように構成することもできる。このように、連結部材をステーボルトにより構成した場合には、そのステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトがガイドに沿って移動することを許容するように構成される。かかる構成によれば、簡単な操作で、固定リングを連結し、或いはステーボルトを第1及び第2の位置の間で移動させることができる。
【0079】
また、上述した各具体例では、各ステーボルトにスペーサを嵌合させて、そのスペーサをステーボルトに対して、その軸線方向に移動可能に取り付けたが、図10及び図11に示したように、ステーボルト35を固定リング28からその半径方向に着脱できるように構成した場合には、第1及び第2の位置の間を移動可能なステーボルト35に対して、スペーサ38を、例えば接着剤又は溶接などによって一体に固着し、或いは、素材を切削加工するか、又は鋳造によって、一体となったステーボルト35とスペーサ38を構成することもできる。さらに、ステーボルト35とスペーサ38を樹脂により構成するときは、これらを成形型によって一体の成形品として製造することもできる。ステーボルト35と全てのスペーサ38を一体に形成した場合には、ステーボルト35とスペーサ38は1つの部品として構成される。このように各種の態様でスペーサ38をステーボルト35に取り付けることができる。しかも、スペーサ38,39をリング状以外の各種の形態に構成することもできる。
【0080】
また、第1の位置と第2の位置との間を移動可能ではないステーボルトに嵌合したスペーサは、ステーボルトと共に移動する必要はないので、図22に示すように、そのスペーサ39を、当該スペーサ39に隣接する2つの固定リングのうちの一方の固定リング28に一体に形成し、固定リング28とスペーサ39を1つの部品として構成することもできる。
【0081】
固定リングとスペーサを一体に構成するには、例えば、固定リング28とスペーサが共に金属より成るときは、これらを溶接によって一体化し、或いは鋳造によって、これらを一体に成形することができる。或いは、素材を切削加工して、一体となった固定リング28とスペーサを製造することもできる。また固定リング28とスペーサを共に樹脂により構成するときは、これらを成形型によって一体の成形品として製造することもできる。
【0082】
また、図23及び図24に示すように、第1の位置と第2の位置を移動可能なステーボルト35にスペーサを取り付けずに、ステーボルト35が図23に示した第1の位置と、図24に示した第2の位置を移動するとき、スペーサがステーボルト35と共に移動しないように構成することもできる。他のステーボルト34も、スペーサ39に貫通させずに、そのスペーサ39を、隣り合った固定リングのうちの一方の固定リングに固定することもできる。
【0083】
なお、図23及び図24に示した固液分離装置においては、ステーボルト35が図23に示した第1の位置を占めたとき、そのステーボルト35と、隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1よりも小さく設定される。これにより、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することはない。また、ステーボルト35が図24に示した第2の位置を占めたときは、そのステーボルト35と、隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1(図23)よりも大きくなり、これによって、隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出すことができる。
【0084】
図23及び図24に示した固液分離装置の他の構成は、図6及び図7に示したところと変りはなく、よって図6及び図7に示した各部に対応する部分には、図6及び図7に付した符号と同一の符号を付してある。
【0085】
また、前述の各具体例においては、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に1つの可動リング29が配置されているが、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に複数の可動リング29を配置してもよいことは当然である。隣り合う2つの固定リングの間に少なくとも1つの可動リングが配置されるのである。同様に、図示した固液分離装置のスクリュー21は、らせん状に延びる1つの羽根部42を有しているが、らせん状に延びる複数の羽根部を有するスクリューを用いてもよいことは当然である。スクリューは少なくとも1つの羽根部を有しているのである。
【0086】
さらに、固定リング28、可動リング29及びスクリュー21は、ステンレス鋼などの金属により構成することもできるが、これらのうちの少なくとも一部を樹脂により構成すると、そのコストを低減できる共に、その各構成要素の重量を低減することができる。特にスクリュー21を樹脂化して、軽量化すれば、そのスクリュー21を筒状体3から抜き出し、又は差し込むときの作業が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】固液分離装置の部分断面正面図である。
【図2】1つの固定リングと、1つの可動リングと、スペーサとを示す斜視図である。
【図3】筒状体とスクリューの分解斜視図である。
【図4】筒状体の縦断面図である。
【図5】出力軸とスクリューの軸部の連結に関する構成を示す斜視図である。
【図6】移動可能なステーボルトが第1の位置を占めたときの筒状体を示す部分断面図である。
【図7】図6に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの筒状体を示す部分断面図である。
【図8】複数のステーボルトを、第1の位置と第2の位置との間で移動させることができるように構成した固液分離装置の部分断面図である。
【図9】図8に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図10】ガイドの他の例を示す、図6と同様な部分断面図である。
【図11】図10に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図12】長孔より成るガイドをステーボルト用の支持部材に形成した例を示す部分断面図である。
【図13】図12に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図14】長孔より成る2つのガイドをステーボルト用の支持部材に形成した例を示す部分断面図である。
【図15】図14に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図16】ステーボルト用の支持部材に形成したガイドの他の例を示す部分断面図である。
【図17】図16に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図18】支持部材にガイドを設けたときの筒状部の構成の一例を示す図10と同様な図である。
【図19】図18に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図20】ステーボルトが固定リングを貫通していない例を示す部分断面図である。
【図21】図20に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図22】固定リングと、その固定リングに一体化されたスペーサを示す図である。
【図23】第1の位置と第2の位置を移動可能なステーボルトにスペーサが取り付けられていない例を示す部分断面図である。
【図24】図23に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0088】
21 スクリュー
28 固定リング
29 可動リング
33,33A,33B 長孔
34,34A,34B,34C,34D,35,35A,35B ステーボルト
36,36A,37,37A ナット
38,38A,38B,39,39A,39B,39C,39D スペーサ
154A,154B,155A,155B,160,161 凹部
133,233 外周部
D4 外径
D5 内径
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサによって互いに間隔をあけて配置された複数の固定リングと、隣り合う固定リングの間に配置された可動リングと、前記複数の固定リングを連結する複数の連結部材と、前記複数の固定リング及び可動リングの内部を延びるスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動装置とを具備し、前記可動リングの内径が前記スクリューの外径よりも小さく設定されている固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む処理対象物、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、切削屑を含む切削油、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、食品残渣、おからなどの処理対象物から液体を分離するために、上記形式の固液分離装置を用いることは従来より周知である(例えば、特許文献1参照)。この形式の固液分離装置によれば、複数の固定リングと複数の可動リングによって形成された筒状体の軸線方向一端側の入口開口から流入した処理対象物を、回転するスクリューによって、筒状体の軸線方向他端側の出口開口へ向けて移動させ、筒状体内を移動する処理対象物から分離された液体を、固定リングと可動リングの間の微小ギャップを通して筒状体外へ排出させ、液体分の減少した処理対象物を筒状体の軸線方向他端側の出口開口から排出させることができる。
【0003】
その際、可動リングの内径がスクリューの外径よりも小さく設定されているので、スクリューは、その回転によって、可動リングを半径方向に押動させ、該可動リングを固定リングに対して積極的に運動させることができる。このため、可動リングを駆動する専用の駆動装置を設けずとも、固定リングと可動リングの間の微小ギャップに入り込んだ固形物を効率よく排出させることができ、微小ギャップの目詰まりを防止することができる。
【0004】
ところで、この種の固液分離装置においては、経時的に可動リングの内周面が削られるので、必要に応じて、その可動リングを新たなものと交換する必要がある。従来の可動リングの交換作業の一例を示すと次のとおりである。
【0005】
先ず、駆動装置をスクリューの軸部から分離し、その駆動装置を床面上に置く。次いでスクリューを筒状体から抜き出し、そのスクリューを床面上に置く。引き続き、筒状体を支持フレームから外し、その筒状体を持ち上げて床面上に置く。さらに、連結部材をその軸線方向に引き抜いて、当該連結部材を固定リングから外す。このようにすれば、可動リングを拘束するものが無くなるので、各可動リングを固定リングの間から取り出すことができる。上述したところと逆の操作によって新たな可動リングを組み付け、固液分離装置を組み立てることができる。
【0006】
スクリューを筒状体から抜き出した後、その筒状体を支持フレームから外し、これを床面に置いてから、連結部材を引き抜くようにしたのは、支持フレームに組み付けられた筒状体の下方には、例えば、濾液受け部材や、処理対象物の入ったサービスタンクなどが配置されているので、支持フレームに組み付いたままの筒状体から連結部材を引き抜いたとき、スペーサが濾液受け部材やサービスタンクに落下してしまうからである。筒状体を床面に載置してから連結部材を抜けば、スペーサは床面上に落下するので、これを容易に拾い上げることができる。
【0007】
ところが、多数の可動リングと固定リングを有する筒状体は非常に重いため、筒状体を支持フレームから外して床面上に運び、逆にこれを床面から支持フレームに運んで組み付ける作業には多大な労力が必要とされる。筒状体が大型化すれば、これを人力だけで運ぶことは困難となり、ホイストなどの起重機を用いなければならない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−228695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来よりも楽に可動リングの交換作業を行うことのできる冒頭に記載した形式の固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の固液分離装置において、前記スクリューが前記駆動装置に対して着脱可能に連結されていると共に、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、前記スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、当該連結部材を案内するガイドを設けたことを特徴とする固液分離装置を提案する(請求項1)。
【0011】
また、上記請求項1に記載の固液分離装置において、少なくとも1つの連結部材が、該連結部材に取り付けられたスペーサと共に、前記第1の位置と第2の位置との間を移動可能であるように構成することができる(請求項2)。
【0012】
さらに、上記請求項2に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が前記ガイドに案内されながら、前記第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されていると有利である(請求項3)。
【0013】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記ガイドは、少なくとも1つの固定リングに設けられていると有利である(請求項4)。
【0014】
また、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されていると有利である(請求項5)。
【0015】
さらに、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成されていると有利である(請求項6)。
【0016】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記連結部材を支持する支持部材を具備し、少なくとも1つの支持部材に前記ガイドが設けられていると有利である(請求項7)。
【0017】
さらに、上記請求項7に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されていると有利である(請求項8)。
【0018】
また、上記請求項7に記載の固液分離装置において、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の支持部材外周部によって形成されていると有利である(請求項9)。
【0019】
さらに、上記請求項1乃至9のいずれかに記載の固液分離装置において、前記連結部材はステーボルトにより構成され、該ステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトが前記ガイドに沿って移動することを許容するように構成されていると有利である(請求項10)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、連結部材を第2の位置に移動させることにより、可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことができるので、従来よりも楽に可動リングを交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0022】
図1は固液分離装置の一例を示す部分断面正面図である。この固液分離装置によって、各種の処理対象物を固液分離することが可能であるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0023】
ここに示した固液分離装置は、入口部材1と出口部材2と、これらの間に配置された筒状体3とを有し、入口部材1は、上部が開口した矩形の箱状に形成され、その上部開口によって、汚泥が流入する流入口4が構成されている。符号7は入口部材1の底壁を示す。また筒状体3を向いた側の入口部材1の側壁5には開口6が形成され、さらに入口部材1の側壁5に対向したもう一つの側壁8には、横断面が矩形状に形成されたモータ支持部材9の一方の側壁10がボルトとナットによって固定され、モータ支持部材9の他方の側壁11に、減速機付きのモータ12が固定されている。
【0024】
入口部材1の両側壁5,8は下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー13,14にそれぞれ着脱可能に固定され、モータ支持部材9の両側壁10,11も下方に延び、その下端部が図示していないボルトとナットによって支持フレームのステー14に着脱可能に固定されている。
【0025】
出口部材2は、その上部と下部が開口し、水平断面が矩形状に形成されていて、筒状体3を向いた側の出口部材2の側壁19と、これに対向する出口部材2の側壁20には、後述するスクリュー21の外径よりも大きな径を有する開口22,23がそれぞれ形成されている。側壁19,20は、下方に延び、その下端部が支持フレームのステー52,53に図示していないボルトとナットによって着脱可能に固定されている。また、側壁20に形成された開口23には、軸受板18が配置され、その軸受板18は、ボルト24とナット25によって側壁20に着脱可能に固定されている。出口部材2の下部開口は、脱水処理された汚泥が排出される排出口26を構成している。
【0026】
一方、筒状体3は、小リング状のスペーサ38,39によって軸線方向に互いに間隔をあけて配置された複数の固定リング28と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置された可動リング29とによって構成されている。図2は1つの固定リング28と、1つの可動リング29と、スペーサ38,39の外観を示す斜視図である。複数の固定リング28は、図1、図3及び図4に示すように同心状に配列され、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に上述のスペーサ38,39がそれぞれ配置されている。図1に示すように、筒状体3は出口部材2の側が高くなるように傾斜して配置されている。
【0027】
図示した固液分離装置においては、図2乃至図4に示すように、各固定リング28に、その周方向に所定の間隔をあけて配置された3つの取付孔32が形成されていると共に、固定リング28の周方向に長く延びた長孔33が形成されている。複数の固定リング28に形成された3つの取付孔32は、それぞれ同心状に位置し、複数の固定リング28に形成された長孔33も、筒状体3の軸線方向に一直線状に整列した状態で位置している。
【0028】
各固定リング28に形成された各取付孔32と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置されたスペーサ39の中心孔には、図1、図3及び図4に示すように、連結部材の一例であるステーボルト34がそれぞれ貫通して延び、さらに、その各ステーボルト34は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19にそれぞれ形成された取付孔56,57を貫通し、その各端部に形成された雄ねじにナット36,36Aがそれぞれ螺着されて締め付けられている。
【0029】
一方、各固定リング28に形成された長孔33と、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置されたスペーサ38の中心孔にも、図1及び図3に示すように、連結部材の一例であるステーボルト35が貫通して延びている。そのステーボルト35は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と出口部材2の側壁19にそれぞれ形成された取付孔54,55を貫通し、そのステーボルト35の各端部に形成された雄ねじに、ナット37,37Aがそれぞれ螺着されて締め付けられている。本例の固液分離装置においては、複数のステーボルト34,35が、固定リング28の軸線方向に延び、互いにほぼ平行に位置している。なお、図1においては、図を判りやすくするため、一部のステーボルトとスペーサなどの図示を省略してある。
【0030】
上述のようにして、複数の固定リング28は、ステーボルト34,35とナット36,36A,37,37Aによって一体的に固定連結され、入口部材1と出口部材2に対して固定されている。スペーサによって互いに間隙をあけて配置された各固定リングをわずかに遊動できるように組み付けることもできる。いずれの場合も、連結部材の一例であるステーボルト34,35は、複数の固定リング28を貫通して延びていて、その複数の固定リング28を連結する用をなす。ステーボルト以外の細長部材、例えば連結棒などから成る連結部材を用いることもできる。かかる連結部材が複数設けられているのである。
【0031】
また、入口部材1と出口部材2は、連結部材の一例であるステーボルト34,35を支持する支持部材の一例を構成するものである。入口部材1と出口部材2は、ステーボルト34,35の長手方向各端部を支持するが、ステーボルト34,35の長手方向中間部を支持する支持部材を設けることもできる。入口部材1と出口部材2以外の各種形態の支持部材を採用することもできる。
【0032】
図4に示すように、各固定リング28の間にそれぞれ配置された各可動リング29の厚さTは、各固定リング間の間隙幅Gより小さく設定され、各固定リング28の端面と、これに対向する可動リング29の端面の間には、例えば0.1乃至1mm程の微小なギャップgが形成される。かかる微小ギャップgは、後述するように汚泥から分離された水分、すなわち濾液を通過させるものである。可動リング29の厚さTは、例えば、1.0mm乃至2mm程に設定され、間隙幅Gは、例えば2mm乃至3mm程に設定される。また固定リング28の厚さtは、例えば1.5mm乃至3mm程に設定される。
【0033】
一方、各可動リング29の外径D1は、そのまわりに位置する4個のスペーサ38,39の内側面により形成される円CC(図2)の径D2よりも小さく、しかも各固定リング28の内径D3よりも大きく設定されている。この構成により、各可動リング29は、各固定リング28の間から離脱することなく、その半径方向に可動となる。このように、各ステーボルト34,35に嵌合したスペーサ39,38の内側に位置する可動リング29が下方に落下しないように、複数のステーボルト34,35が設けられており、好ましくは3本以上のステーボルトが設けられる。本例の固液分離装置においては、4本のステーボルト34,35が使用され、図3から判るように、これらのステーボルト34,35は、固定リング28の周方向に等間隔に配置されている。このように、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することを阻止するように、複数の連結部材を配置するのである。
【0034】
また、複数の固定リング28と複数の可動リング29の内部には、これらのリング28,29の軸線方向に延びるスクリュー21が配置され、このスクリュー21は、軸部41と、これに一体のらせん状の羽根部42を有している。かかるスクリュー21は、図1に示すように、入口部材1の側壁5と、出口部材2の側壁19,20に形成された開口6,22,23を貫通して延びている。
【0035】
図1に示すように、軸受板18は、内部に軸受43が収容された軸受カップ44を有し、上述のスクリュー21の軸部41の一方の端部が、軸受カップ44に挿入され、軸受43を介して、軸受板18に回転自在に支持されている。
【0036】
一方、図1に示したモータ12の出力軸45は、モータ支持部材9の側壁11,10と、入口部材1の側壁8を貫通して延び、側壁10に軸受を介して回転自在に支持されている。かかる出力軸45の先端部は、図5に示すように、内部が中空に形成され、その中空部49の中央部に係合片50が固定配置されている。また、スクリュー21の軸部41の他方の端部には、係合溝51が形成され、軸部41の端部が図1に示すように出力軸45の中空部49に挿入され、軸部41に形成された係合溝51が出力軸45に設けられた係合片51に着脱可能に係合している。
【0037】
モータ12が作動して出力軸45が回転すると、その回転が、互いに係合した係合片50と係合溝51を介してスクリュー21に伝えられ、該スクリュー21がその中心軸線のまわりに回転する。このように、本例の固液分離装置においては、減速機付きのモータ12と、その出力軸45によって、スクリュー21を回転駆動する駆動装置が構成され、前述の係合片50と係合溝51とによって、スクリュー21が駆動装置に対して着脱可能に連結されている。係合片50と係合溝51が、スクリュー21を駆動装置に着脱可能に連結する連結手段を構成しているのであるが、他の適宜な形態の連結手段を用いることもできる。同様にモータ12と出力軸45により構成される駆動装置以外の適宜な駆動装置を採用することもできる。
【0038】
次に、本例の固液分離装置の動作を説明する。
【0039】
筒状体3の下方に位置する図示していないサービスタンク内の汚泥が、同じく図示していないフロック化装置に供給され、そのフロック化装置において、多量の水分を含む汚泥に凝集剤が混合撹拌され、これによって汚泥がフロック化される。フロック化された汚泥(図には示さず)は、図1に矢印Aで示すように、固液分離装置の入口部材1内に流入する。かかる汚泥の含水率は、例えば99重量%程度である。このとき、スクリュー21はモータ12によって回転駆動されているので、入口部材1に流入した汚泥は、矢印Bで示すように、入口部材1の側壁5に形成された開口6を通って、固定リング28と可動リング29の内部空間、すなわち筒状体3の内部空間に、その軸線方向一端側の入口開口3Aから流入する。
【0040】
上述のようにして筒状体3の内部に流入した汚泥は、駆動装置により回転駆動されたスクリュー21によって、筒状体3の軸線方向他端側の出口開口3Bへ向けて搬送される。このとき、汚泥から分離された水分、すなわち濾液が、各固定リング28と可動リング29との間の微小ギャップg(図4)を通して筒状体外に排出される。排出された濾液は、ステー13,52に固定された濾液受け部材40に受け止められ、次いで濾液排出管46を通って流下する。この濾液には未だ多少の固形分が含まれているので、当該濾液は他の汚泥と共に再度水処理され、次いで固液分離装置に供給されて脱水処理される。
【0041】
ここで、図4に示す如く、スクリュー21の外径D4は、その回転が阻害されないように、固定リング28の内径D3よりもわずかに小なる大きさに設定されているが、可動リング29の内径D5よりも大きく設定されている。可動リング29の内径D5がスクリュー21の外径D4よりも小さく設定されているのである。このため、スクリュー21の回転によって、各可動リング29は、スクリュー21から外力を受けて押動され、固定リング28に対して積極的に相対運動する。このようにして、可動リング29を駆動する専用の駆動手段を設けることなく、微小ギャップgに入り込んだ固形物を積極的に排出させることができ、そのギャップgに対するクリーニング効率を高めることができる。
【0042】
上述のように筒状体3内の汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少した汚泥が筒状体3の軸線方向他端側の出口開口3Bから排出される。筒状体3から排出された汚泥は、図1に矢印Dで示すように、出口部材2の開口22を介して出口部材2内に移動し、その下方の排出口26を通して下方に落下する。
【0043】
上述のようにして脱水処理された後の汚泥の含水率は、例えば80乃至85重量%程度である。図1に示すように、出口部材2の一方の側壁に形成された開口22に対向して、軸部41に背圧板47が固定されており、これによって筒状体3内の汚泥に加えられる圧力を高めることができる。
【0044】
上述の固液分離動作を繰り返し行う間に、可動板29の内周面が摩耗するので、適当な時期に、摩耗した可動板を新たな可動板と交換する必要がある。この交換作業は次に例示するように極く簡単に行うことができる。
【0045】
先ず、モータ12の作動を停止させた状態で、図1に示したボルト24とナット25を外し、軸受板48を矢印E方向に引いて、軸受カップ44をスクリュー21の軸部41の一方の端部から離脱する。これにより、スクリュー21の一方の端部側を拘束するものがなくなるので、スクリュー21を図1に矢印Eで示す方向に引くと、図5に示すように、スクリュー21の軸部41の他方の端部が、出力軸45の中空部49から外れる。そこで、そのままスクリュー21を矢印E方向に引けば、そのスクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出すことができる。
【0046】
上述のように、スクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出した後、4本のステーボルト34,35のうち、長孔33に嵌合しているステーボルト35に螺着されたナット37,37Aを緩め、そのステーボルト35を、各固定リング28に形成された長孔33に沿って、図3に矢印Fで示すように移動させる。固液分離装置を通常に使用しているとき、ステーボルト35は、図3から判るように、長孔33の一方の端部60に当接した第1の位置を占めているが、このステーボルト35を、各長孔33により案内しながら、その長孔33の他方の端部61に当接した第2の位置に移動させるのである。
【0047】
前述のように、ステーボルト35は、図1に示した入口部材1に形成された取付孔54と、出口部材2に形成された取付孔55にも嵌合しているが、これらの取付孔54,55は、ステーボルト35を上述のように移動させるとき、その動きを阻害しない形態、例えば長孔状に形成されている。
【0048】
図6はステーボルト35が第1の位置を占めたときの様子を示し、図7はステーボルト35が第2の位置を占めたときの様子を示している。このように、ステーボルト35を長孔33によって案内しながら移動させるとき、小さな力でスムーズにそのステーボルト35を移動させることができるように、他のステーボルト34に螺着したナット36,36Aも少し緩めておくことが好ましい。
【0049】
ここで、ステーボルト35を、その第1の位置から第2の位置に移動させると、ステーボルト35に嵌合しているスペーサ38も、ステーボルト35と共に移動する。しかも、ステーボルト35が、第1及び第2の位置にあるときはもとより、そのステーボルト35が長孔33に案内されながら、第1の位置から第2の位置に移動しているときも、スペーサ38は、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から外れることはない。
【0050】
ステーボルト35が図6に示した第1の位置にあるとき、固定リング28の周方向において互いに隣り合う各ステーボルト34,35に嵌合している各スペーサ38,39の間の距離L1,L2,L3,L4は、全て、可動リング29の外径D1より小さい。このため、前述のように、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することが阻止される。
【0051】
図6及び図7においては、ステーボルト35の左側に位置するステーボルトに、特に符号34Aを付してあるが、ステーボルト35が図7に示した第2の位置に移動すると、そのステーボルト35に嵌合したスペーサ38と、その左側に位置するステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1(図6)よりも大きくなる。このとき、前述のように、スクリュー21は固定リング28と可動リング29の内部から抜き出されているので、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に位置する可動リング29を、第2の位置を占めたステーボルト35に嵌合したスペーサ38と、その左隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の間隙を通して、図7に矢印Gで示すように取り出すことができる。このとき、各スペーサ38,39はステーボルト35,34に嵌合したままであるため、そのスペーサ38,39が下方に落下することはない。
【0052】
隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出した後、新たな可動リング29を図7に矢印Hで示すように、ステーボルト35,34Aにそれぞれ嵌合したスペーサ38,39の間の間隙を通して、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する。次いで、ステーボルト35を、長孔33により案内しながら、図7に矢印Iで示した方向に移動させ、図6に示した第1の位置にもたらす。このときも、スペーサ38がステーボルト35と一緒に移動する。次いでステーボルト35に螺着したナット37,37Aを締め付ける。ステーボルト35を第1の位置から第2の位置に移動させるのに先立って、ナット36,36Aを緩めたときは、ステーボルト35を第1の位置にもたらした後、そのナット36,36Aも締め付ける。これにより、各固定リング28が互いに固定され、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入された可動リング29がその両固定リング28の間から離脱することが阻止される。長孔33は、連結部材の一例であるステーボルト35が第1の位置と第2の位置の間を移動するとき、このステーボルトを案内するガイドとしての用をなす。
【0053】
引き続き、スクリュー21を筒状体3に挿入して、図5に示すように、係合片50と係合溝51を係合させることにより、スクリュー21と出力軸45を連結する。さらに、図1に示した軸受板18を出口部材2にボルト24とナット25によって固定し、スクリュー21の一方の端部を軸受43に回転自在に支持する。このようにして、可動リング29の交換作業を完了する。
【0054】
上述のように、本例の固液分離装置においては、連結部材の一例であるステーボルト35が、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することを阻止できる第1の位置と、スクリュー21を固定リング28と可動リング29の内部から抜き出した状態で、各可動リング29を隣り合う固定リング28の間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、そのステーボルト35が第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、そのステーボルト35を案内するガイドが設けられており、図示した例では、そのガイドが複数の固定リング28に形成された長孔33によって構成されている。かかる構成により、可動リング29を交換する際、筒状体3と、モータ12を含む駆動装置を支持フレームから外す必要はなく、重量の大なる筒状体3と駆動装置を床面などに運ぶ必要はない。このため、従来に比べて極めて楽に可動リング29の交換作業を行うことができる。
【0055】
しかも、本例の固液分離装置においては、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材に、スペーサ38が嵌合することにより取り付けられ、該ステーボルト35は、そのステーボルト35に取り付けられたスペーサ38と共に、第1の位置と第2の位置の間を移動するように構成されている。さらに、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材に取り付けられたスペーサ38は、その連結部材が、第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が長孔33より成るガイドに案内されながら、第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リング28の間から外れない状態を維持できるように形成されている。ステーボルト35を、第1の位置と第2の位置の間で移動させるとき、スペーサ38が、互いに隣り合う固定リング28の間から外れることがないのである。これにより、新たな可動リング29を固定リング間に挿入した後、ステーボルト35に取り付けられたスペーサ38を、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する作業は不要であり、容易に可動リング29の交換作業を行うことができる。
【0056】
以上説明した固液分離装置においては、1つのステーボルト35だけが第1の位置と第2の位置の間を移動できるように、その1つのステーボルト35を固定リング28に形成された長孔33に嵌合したが、複数のステーボルトを、第1及び第2の位置の間で移動できるように構成することもできる。
【0057】
図8及び図9に示した固液分離装置においては、複数の固定リング28を固定連結する連結部材として、6本のステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dが使用され、その各ステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dにそれぞれスペーサ38A,38B,39A,39B,39C,39Dが嵌合し、これらのスペーサによって、軸線方向に隣り合う固定リング28が互いに間隔をあけて配置されている。しかも、複数のステーボルトのうちの2本のステーボルト35A,35Bが、各固定リング28に形成された長孔33A,33Bと、図8には示していない入口部材と出口部材に形成された取付孔に摺動可能に嵌合している。
【0058】
通常は、2本のステーボルト35A,35Bは、図8に示した第1の位置を占め、これらのステーボルト35A,35Bに螺着したナット(図示せず)と、他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナット(図示せず)を締め付けることによって、各固定リング28が固定連結される。このとき、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に配置された可動リング29の外径D1が、固定リング28の周方向において隣り合うステーボルト35A,35B,34A,34B,34C,34Dに嵌合した各スペーサ38A,38B,39A,39B,39C,39Dの間の各距離L1,L2,L3,L4,L5,L6よりも大きいため、その可動リング29が、軸線方向に隣り合う固定リング28の間から離脱することはない。
【0059】
可動リング29を交換するには、前述したところと同様にして、図8及び図9には示していないスクリューを固定リング28と可動リング29より成る筒状体3の内部から抜き出した後、各ステーボルト35A,35Bに螺着したナットを緩め、必要に応じて他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナットも緩める。次いで、ステーボルト35A,35Bを、長孔33A,33Bによって案内しながら、矢印F方向に移動させて、図9に示した第2の位置にもたらす。これにより、両ステーボルト35A,35Bに嵌合したスペーサ38A,38Bの間の距離L1が可動リング29の外径D1(図8)よりも大きくなるので、その可動リング29を図9に矢印Gで示すように隣り合う固定リング28の間から取り出すことができる。
【0060】
隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出した後、新たな可動リング29を、図9に矢印Hで示すように、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に挿入する。次いで、図9に矢印Iで示すように、ステーボルト35A,35Bを図8に示した第1の位置に戻し、そのステーボルト35A,35Bに螺着したナットと、他のステーボルト34A乃至34Dに螺着したナットを締め付けて、各固定リング28を固定する。引き続き、図1乃至図7に示した固液分離装置の場合と同じく、スクリューを筒状体3内に挿入し、そのスクリューの他方の端部を駆動装置に連結し、次いでスクリューの一方の端部を軸受板の軸受に回転自在に支持する。図8及び図9に示した固液分離装置の他の構成と作用は、図1乃至図7に示した固液分離装置と実質的に変りはない。
【0061】
図8及び図9に示した固液分離装置においても、ステーボルト35A,35Bを、第1の位置と第2の位置の間で移動させるとき、これらのステーボルト35A,35Bに取り付けられたスペーサ38A,38Bが、ステーボルト35A,35Bと一緒に移動し、しかもこれらのスペーサ38A,38Bは、常に、軸線方向に隣り合う固定リングの間から外れることがないので、容易に可動リングの交換作業を行うことができる。
【0062】
上述のように、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトは複数であってもよく、要は、少なくとも1つの連結部材を第1の位置と第2の位置で移動できるように構成すればよいのである。但し、ステーボルトを第1の位置から第2の位置に移動させたとき、該ステーボルトと、その隣りのステーボルトとの間の間隙を通して、可動リングが下方に落下しないように構成することが望ましい。可動リングが下方に落下することがないように、少なくとも1つの連結部材を、第1及び第2の位置の間を移動させるのである。
【0063】
以上、説明した具体例においては、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35,35A,35Bより成る連結部材が、固定リング28に形成された長孔33,33A,33Bに移動可能に嵌合し、その長孔33,33A,33Bによってガイドが形成されている。第1及び第2の位置の間を移動するステーボルト35,35A,35Bを、長孔33,33A,33Bより成るガイドによって案内するのであるが、かかる長孔以外のガイドを採用することもできる。
【0064】
例えば、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルト35より成る連結部材が、図10に示すように、第1の位置を占めたとき、そのステーボルト35が、固定リング28に形成された第1の凹部160に嵌合し、図11に示すように、そのステーボルト35が第2の位置を占めたとき、当該ステーボルト35が、固定リング28に形成された第2の凹部161に嵌合するように構成すると共に、第1の凹部160と第2の凹部161の間の固定リング28の外周部133によって、ステーボルト35を案内するガイドを構成することもできる。この構成を採用すると共に、図1に示した入口部材1と出口部材2に形成された取付孔54,55も、図10及び図11に示したガイドのように構成した場合には、ステーボルト35を、これに取り付けられたスペーサ38と共に、固定リング28からその半径方向に離脱させることができるが、ステーボルト35を第1の位置と第2の位置の間で移動させるときに、そのステーボルト35を固定リング28の外周部133に当接させたままにすることによって、スペーサ38が、隣り合う固定リング28の間から外れることを阻止できる。図10及び図11に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図7に示した固液分離装置と変りはなく、図10及び図11には、図6及び図7に示した部分と同一ないしは対応する部分に、図6及び図7に付した符号と同一の符号を付してある。
【0065】
上述した構成によると、長孔によってガイドを構成するよりも、固定リング28を製作する際の材料費を軽減できる利点が得られる。その半面、ガイドを長孔によって構成すると、ステーボルトが第1の位置と第2の位置を移動するときに、そのステーボルトが長孔より成るガイドから離脱することを阻止できる利点が得られる。
【0066】
以上説明した具体例においては、第1の位置と第2の位置の間を移動する少なくとも1つの連結部材を案内するガイドが、複数の固定リング28に設けられているが、当該ガイドを1つの固定リング28に設けるだけであっても、第1の位置の位置と第2の位置を移動する連結部材を、そのガイドによって案内することができる。ガイドを、少なくとも1つの固定リング28に設けるのである。第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドを形成するか、第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合させ、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材を、少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合させると共に、ガイドを、第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成するのである。
【0067】
また、第1の位置と第2の位置の間を移動する連結部材を案内するガイドを固定リング以外の部材に設けることもできる。例えば、図1に示した入口部材1と出口部材2は、ステーボルトより成る連結部材を支持する支持部材の一例を構成しているが、固液分離装置が、かかる支持部材を有している場合には、その少なくとも1つの支持部材に前述のガイドを設けることができる。
【0068】
図12乃至図17は、図1に示した入口部材1を図1における右側から見たときの部分断面図に相当する図である。先ず、図12及び図13に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に形成された取付孔54を、図6及び図7に示した長孔33と同様な長孔として形成し、その取付孔54に嵌合したステーボルト35より成る連結部材を、図12に示した第1の位置と図13に示した第2の位置の間を移動可能に支持する。第1の位置と第2の位置の間を移動可能ではないステーボルト34は、側壁5に形成された取付孔56を貫通している。ステーボルト35,34に螺着したナット37,36を締め付けることにより、複数の固定リングを図1に示したように固定することは前述のとおりである。
【0069】
一方、図14及び図15に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に、図8及び図9に示した長孔33A,33Bと同様な長孔より成る取付孔54A,54Bをそれぞれ形成し、その各取付孔54A,54Bにステーボルト35A,35Bをそれぞれ嵌合する。この例の場合、第1の位置と第2の位置を移動可能でない4本のステーボルト34A,34B,34C,34Dは、側壁5に形成された取付孔56をそれぞれ貫通している。各ステーボルト35A,35B,34A乃至34Dには、ナット37,36が螺着されて締め付けられ、これにより固定リングが図1に示したように固定される。
【0070】
図12乃至図15に示した固液分離装置においては、通常、ステーボルト35;35A,35Bは、図12及び図14に示した第1の位置を占めている。可動リングを交換するには図6乃至図9に示した例と同じく、図12乃至図15には示していないスクリューを、側壁5に形成された開口6と筒状体とから抜き出した後、各ステーボルトに螺着したナットを緩め、次いでステーボルト35;35A,35Bを図13及び図15に示した第2の位置にもたらす。これにより、隣り合う固定リングの間から可動リングを取り出すことができる。引き続き、新しい可動リングを、隣り合う固定リングの間に挿入し、次いでステーボルト35;35A,35Bを図12及び図14に示した第1の位置に戻し、ナットを締め付ける。このように、ステーボルト35;35A,35Bが第1の位置と第2の位置の間を移動するとき、そのステーボルトは、長孔より成る取付孔54,54A,54Bによって案内される。
【0071】
上述した各構成は、連結部材を支持する支持部材である出口部材2にも適用できるものである。図12乃至図15には、これらの図に示した各構成を出口部材2に適用した場合の符号をかっこ内に付してある。ステーボルト35を案内するガイドは、入口部材1と出口部材2の両方に設けてもよいし、1つの支持部材にだけ設けてもよく、ガイドを、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に設ければよい。第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によってガイドが形成されるのである。
【0072】
また、図16及び図17に示すように、連結部材を支持する支持部材の一例である入口部材1の側壁5に、図10及び図11に示した第1の凹部160と第2の凹部161と同じく形成された第1及び第2の凹部54A,54Bを形成すると共に、これらの凹部の間の側壁5の外周部233によって、第1の凹部154Aと第2の凹部154Bの間を移動するステーボルト35を案内するガイドを構成することもできる。他の構成は、図12及び図13に示した固液分離装置と変りはない。また、図16及び図17には、ここに示した構成を出口部材2に適用した場合の符号をかっこ内に付してある。図16及び図17に示したガイドも少なくとも1つの支持部材に形成すればよい。
【0073】
上記構成によれば、第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、その連結部材は、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部154A(155A)に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部154B(155B)に嵌合する。しかもガイドは、第1の凹部154A(155A)と第2の凹部154B(155B)の間の支持部材外周部233によって形成されている。
【0074】
図12乃至図17に示した固液分離装置の他の構成は、先に説明した固液分離装置の構成と変りはない。また図12乃至図17に示した各例では、入口部材1と出口部材2より成る支持部材にガイドを設けたが、他の形態の支持部材にガイドを設けることもできる。
【0075】
上述のように、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動できるように、該連結部材を案内するガイドを、連結部材を支持する少なくとも1つの支持部材に設けることもできるのである。この構成を採用した場合も、少なくとも1つの連結部材が、その連結部材に取り付けられたスペーサと共に、第1の位置と第2の位置の間を移動するように構成し、しかも第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材がガイドに案内されながら、第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されていることが好ましい。
【0076】
また、連結部材を支持する支持部材にガイドを設けた場合も、図1乃至図11に示したガイドを固定リング28に形成し、第1の位置と第2の位置を移動するステーボルトを、固定リング28の側に設けたガイドによっても案内するように構成してもよい。或いは、ガイドを支持部材に設けた場合には、図18及び図19に示すように、ステーボルト35が第1の位置にあるときに、そのステーボルト35が嵌合する凹部160だけを各固定リング28に形成してもよい。複数のステーボルトを第1の位置と第2の位置の間を移動できるように構成したときも、同様にその各ステーボルトが第1の位置にあるときに嵌合する凹部を固定リング28に形成することができる。また、図18及び図19に示した固液分離装置の筒状部3の他の構成は、図10及び図11に示したところと変りはないので、図10及び図11の各部に対応する部分に、図10及び図11と同じ符号を付してある。
【0077】
さらに、図20及び図21に示すように、いずれのステーボルト34,35も、固定リング28を貫通させず、各ステーボルト34,35に取り付けられたスペーサ39,38の一部が、隣り合う固定リング28の間に挟まれた状態で位置するように構成し、その各ステーボルト34,35にナットを螺着して、これを締め付けることによって、各固定リング28を固定することもできる。この場合も、ナットを緩めることにより、ステーボルト35を図20に示した第1の位置と、図21に示した第2の位置との間を移動させることができ、ステーボルト35を第2の位置にもたらすことによって、隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出し、次いで、新しい可動リングを挿入することができる。この構成は、ステーボルト35を案内するガイドを支持部材に設けた場合のほか、ステーボルト35を固定リング28の外周部133によって案内するように構成した場合にも適用できる。
【0078】
以上説明した具体例においては、固定リング28を連結する連結部材としてステーボルトを用い、そのステーボルトの各端部に形成された雄ねじにナットを螺着したが、一方の端部に頭部を有し、他方の端部に雄ねじが形成されたステーボルトを用い、その雄ねじにナットを螺着して、複数の固定リング28を固定連結するように構成することもできる。このように、連結部材をステーボルトにより構成した場合には、そのステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトがガイドに沿って移動することを許容するように構成される。かかる構成によれば、簡単な操作で、固定リングを連結し、或いはステーボルトを第1及び第2の位置の間で移動させることができる。
【0079】
また、上述した各具体例では、各ステーボルトにスペーサを嵌合させて、そのスペーサをステーボルトに対して、その軸線方向に移動可能に取り付けたが、図10及び図11に示したように、ステーボルト35を固定リング28からその半径方向に着脱できるように構成した場合には、第1及び第2の位置の間を移動可能なステーボルト35に対して、スペーサ38を、例えば接着剤又は溶接などによって一体に固着し、或いは、素材を切削加工するか、又は鋳造によって、一体となったステーボルト35とスペーサ38を構成することもできる。さらに、ステーボルト35とスペーサ38を樹脂により構成するときは、これらを成形型によって一体の成形品として製造することもできる。ステーボルト35と全てのスペーサ38を一体に形成した場合には、ステーボルト35とスペーサ38は1つの部品として構成される。このように各種の態様でスペーサ38をステーボルト35に取り付けることができる。しかも、スペーサ38,39をリング状以外の各種の形態に構成することもできる。
【0080】
また、第1の位置と第2の位置との間を移動可能ではないステーボルトに嵌合したスペーサは、ステーボルトと共に移動する必要はないので、図22に示すように、そのスペーサ39を、当該スペーサ39に隣接する2つの固定リングのうちの一方の固定リング28に一体に形成し、固定リング28とスペーサ39を1つの部品として構成することもできる。
【0081】
固定リングとスペーサを一体に構成するには、例えば、固定リング28とスペーサが共に金属より成るときは、これらを溶接によって一体化し、或いは鋳造によって、これらを一体に成形することができる。或いは、素材を切削加工して、一体となった固定リング28とスペーサを製造することもできる。また固定リング28とスペーサを共に樹脂により構成するときは、これらを成形型によって一体の成形品として製造することもできる。
【0082】
また、図23及び図24に示すように、第1の位置と第2の位置を移動可能なステーボルト35にスペーサを取り付けずに、ステーボルト35が図23に示した第1の位置と、図24に示した第2の位置を移動するとき、スペーサがステーボルト35と共に移動しないように構成することもできる。他のステーボルト34も、スペーサ39に貫通させずに、そのスペーサ39を、隣り合った固定リングのうちの一方の固定リングに固定することもできる。
【0083】
なお、図23及び図24に示した固液分離装置においては、ステーボルト35が図23に示した第1の位置を占めたとき、そのステーボルト35と、隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1よりも小さく設定される。これにより、隣り合う固定リング28の間から可動リング29が離脱することはない。また、ステーボルト35が図24に示した第2の位置を占めたときは、そのステーボルト35と、隣りのステーボルト34Aに嵌合したスペーサ39との間の距離L1が、可動リング29の外径D1(図23)よりも大きくなり、これによって、隣り合う固定リング28の間から可動リング29を取り出すことができる。
【0084】
図23及び図24に示した固液分離装置の他の構成は、図6及び図7に示したところと変りはなく、よって図6及び図7に示した各部に対応する部分には、図6及び図7に付した符号と同一の符号を付してある。
【0085】
また、前述の各具体例においては、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に1つの可動リング29が配置されているが、軸線方向に隣り合う固定リング28の間に複数の可動リング29を配置してもよいことは当然である。隣り合う2つの固定リングの間に少なくとも1つの可動リングが配置されるのである。同様に、図示した固液分離装置のスクリュー21は、らせん状に延びる1つの羽根部42を有しているが、らせん状に延びる複数の羽根部を有するスクリューを用いてもよいことは当然である。スクリューは少なくとも1つの羽根部を有しているのである。
【0086】
さらに、固定リング28、可動リング29及びスクリュー21は、ステンレス鋼などの金属により構成することもできるが、これらのうちの少なくとも一部を樹脂により構成すると、そのコストを低減できる共に、その各構成要素の重量を低減することができる。特にスクリュー21を樹脂化して、軽量化すれば、そのスクリュー21を筒状体3から抜き出し、又は差し込むときの作業が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】固液分離装置の部分断面正面図である。
【図2】1つの固定リングと、1つの可動リングと、スペーサとを示す斜視図である。
【図3】筒状体とスクリューの分解斜視図である。
【図4】筒状体の縦断面図である。
【図5】出力軸とスクリューの軸部の連結に関する構成を示す斜視図である。
【図6】移動可能なステーボルトが第1の位置を占めたときの筒状体を示す部分断面図である。
【図7】図6に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの筒状体を示す部分断面図である。
【図8】複数のステーボルトを、第1の位置と第2の位置との間で移動させることができるように構成した固液分離装置の部分断面図である。
【図9】図8に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図10】ガイドの他の例を示す、図6と同様な部分断面図である。
【図11】図10に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図12】長孔より成るガイドをステーボルト用の支持部材に形成した例を示す部分断面図である。
【図13】図12に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図14】長孔より成る2つのガイドをステーボルト用の支持部材に形成した例を示す部分断面図である。
【図15】図14に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図16】ステーボルト用の支持部材に形成したガイドの他の例を示す部分断面図である。
【図17】図16に示した移動可能なステーボルトが第2の位置に移動したときの様子を示す部分断面図である。
【図18】支持部材にガイドを設けたときの筒状部の構成の一例を示す図10と同様な図である。
【図19】図18に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図20】ステーボルトが固定リングを貫通していない例を示す部分断面図である。
【図21】図20に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【図22】固定リングと、その固定リングに一体化されたスペーサを示す図である。
【図23】第1の位置と第2の位置を移動可能なステーボルトにスペーサが取り付けられていない例を示す部分断面図である。
【図24】図23に示した移動可能なステーボルトが第2の位置を占めたときの様子を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0088】
21 スクリュー
28 固定リング
29 可動リング
33,33A,33B 長孔
34,34A,34B,34C,34D,35,35A,35B ステーボルト
36,36A,37,37A ナット
38,38A,38B,39,39A,39B,39C,39D スペーサ
154A,154B,155A,155B,160,161 凹部
133,233 外周部
D4 外径
D5 内径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサによって互いに間隔をあけて配置された複数の固定リングと、隣り合う固定リングの間に配置された可動リングと、前記複数の固定リングを連結する複数の連結部材と、前記複数の固定リング及び可動リングの内部を延びるスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動装置とを具備し、前記可動リングの内径が前記スクリューの外径よりも小さく設定されている固液分離装置において、
前記スクリューが前記駆動装置に対して着脱可能に連結されていると共に、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、前記スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、当該連結部材を案内するガイドを設けたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
少なくとも1つの連結部材が、該連結部材に取り付けられたスペーサと共に、前記第1の位置と第2の位置との間を移動可能である請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が前記ガイドに案内されながら、前記第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されている請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記ガイドは、少なくとも1つの固定リングに設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されている請求項4に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成されている請求項4に記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記連結部材を支持する支持部材を具備し、少なくとも1つの支持部材に前記ガイドが設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されている請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の支持部材外周部によって形成されている請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項10】
前記連結部材はステーボルトにより構成され、該ステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトが前記ガイドに沿って移動することを許容するように構成されている請求項1乃至9のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項1】
スペーサによって互いに間隔をあけて配置された複数の固定リングと、隣り合う固定リングの間に配置された可動リングと、前記複数の固定リングを連結する複数の連結部材と、前記複数の固定リング及び可動リングの内部を延びるスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動装置とを具備し、前記可動リングの内径が前記スクリューの外径よりも小さく設定されている固液分離装置において、
前記スクリューが前記駆動装置に対して着脱可能に連結されていると共に、少なくとも1つの連結部材が、隣り合う固定リングの間から可動リングが離脱することを阻止できる第1の位置と、前記スクリューを固定リングと可動リングの内部から抜き出した状態で、各可動リングを隣り合う固定リングの間から取り出すことのできる第2の位置との間を移動可能に構成され、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置との間を移動するとき、当該連結部材を案内するガイドを設けたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
少なくとも1つの連結部材が、該連結部材に取り付けられたスペーサと共に、前記第1の位置と第2の位置との間を移動可能である請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材に取り付けられたスペーサは、該連結部材が前記第1の位置と第2の位置にあるときのほかに、当該連結部材が前記ガイドに案内されながら、前記第1の位置と第2の位置の間を移動するときも、隣り合う固定リングの間から外れない状態を維持できるように形成されている請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記ガイドは、少なくとも1つの固定リングに設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されている請求項4に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの固定リングに形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の固定リングの外周部によって形成されている請求項4に記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記連結部材を支持する支持部材を具備し、少なくとも1つの支持部材に前記ガイドが設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された長孔に移動可能に嵌合し、該長孔によって前記ガイドが形成されている請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能な連結部材が第1の位置を占めたとき、該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第1の凹部に嵌合し、該連結部材が第2の位置を占めたとき、当該連結部材は、前記少なくとも1つの支持部材に形成された第2の凹部に嵌合し、前記ガイドは、前記第1の凹部と第2の凹部の間の支持部材外周部によって形成されている請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項10】
前記連結部材はステーボルトにより構成され、該ステーボルトに形成された雄ねじにナットを螺着して該ナットを締め付けることにより複数の固定リングを固定し、前記第1の位置と第2の位置の間を移動可能なステーボルトに螺着したナットを緩めることにより、該ステーボルトが前記ガイドに沿って移動することを許容するように構成されている請求項1乃至9のいずれかに記載の固液分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−21462(P2007−21462A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217999(P2005−217999)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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