固液分離装置
【課題】使用する薬品量を低減し、発生する汚泥量も低減する。
【解決手段】凝集沈澱を行なう前の原水に原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置10,11と、活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロン20,21と、活性炭を含む凝集沈澱の前の原水を入力すると、液体サイクロン内部で旋回するように液体サイクロンに接続される流入管20a,21aと、液体サイクロン内で沈降した原水に含まれる活性炭を排出する活性炭排出管20a,21bと、原水から活性炭が排出された後の処理水を排出する処理水排出管20c,21cとを備える。
【解決手段】凝集沈澱を行なう前の原水に原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置10,11と、活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロン20,21と、活性炭を含む凝集沈澱の前の原水を入力すると、液体サイクロン内部で旋回するように液体サイクロンに接続される流入管20a,21aと、液体サイクロン内で沈降した原水に含まれる活性炭を排出する活性炭排出管20a,21bと、原水から活性炭が排出された後の処理水を排出する処理水排出管20c,21cとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場における水処理プロセスにおいて、活性炭を用いて原水中の懸濁物質を分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場では処理対象となる原水に合わせた様々な方法で水処理が行なわれる。例えば、異臭味(2−MIBやジェオスミン等)、陰イオン界面活性剤、フェノール類、トリハロメタン及びその前駆物質、低沸点有機塩素化合物(トリクロロエチレン等)又は微量有害物質(農薬等)等を含む水の水処理では、これらの物質等を吸着する目的で活性炭が利用されることがある。
【0003】
図14を用いて活性炭を利用した浄水場の水処理システム100の一例について説明する。河川等の水源から取水された原水は、まず水源の近郊にある取水井1に集められる。その後、原水は着水井2に一時的に貯水された後、急速攪拌池3へ送水される。
【0004】
第1活性炭添加装置10は、取水井1へ活性炭Aを添加する。また、第2活性炭添加装置11は、着水井2へ活性炭Aを添加する。取水井1又は着水井2に添加された活性炭Aは、原水に含まれる懸濁物質を吸着する。なお、図14に示す水処理システム100では、取水井1へ活性炭Aを添加する第1活性炭添加装置10と、着水井2へ活性炭Aを添加する第2活性炭添加装置11との2台の活性炭添加装置を備えているが、いずれかの活性炭添加装置のみを備える構成であってもよい。
【0005】
第1薬品添加装置12は、急速攪拌池3へ薬品(凝集剤)を添加する。急速攪拌池3では、第1攪拌機3aで攪拌し、凝集剤及び活性炭Aを含む原水を凝集剤の効果によってフロックBが形成される。急速攪拌池3で攪拌された原水は、フロック形成池4に送水される。
【0006】
第2薬品添加装置13は、フロック形成池4へ薬品(凝集補助剤)を添加する。フロック形成池4では、第2攪拌機4aによって原水を第1攪拌機3aより緩速に攪拌すると、凝集剤の効果によってフロックBが大きく成長する。フロック形成池4で攪拌されたフロックBを含む原水は、凝集沈澱池5へ送水される。また、凝集沈澱池5で沈降分離された汚泥は、汚泥濃縮装置6で濃縮脱水された後、産業廃棄物として処理される。
【0007】
凝集沈澱池5では、フロックBが沈降分離する。このフロックBが除かれた後の原水は、砂ろ過装置7における砂ろ過、塩素消毒装置8における塩素消毒のプロセスの後、配水池9へ送水され、各給水所へ配水される。
【0008】
図14に示す例では、活性炭を取水井1及び着水井2に添加するものとして示しているが、浄水場で利用する活性炭には、粒径が約150μm以上の「粒状活性炭」と粒径が約150μm未満の「粉末活性炭」の2種類があり、それぞれ粒径や用途が異なっている。
【0009】
「粒状活性炭」は、浄水処理プロセスにおいて、砂ろ過の後段で利用されるのが一般的であり、凝集沈澱では除去できなかった分子量約1500以下の低分子量の着色成分、その他の有機化合物の回収に利用される。
【0010】
粒状活性炭は、有機化合物の吸着とともに破過(吸着速度と脱着速度がつりあって平衡となり、吸着能力を示さなくなる状態)が進むが、有機塩素系化合物を吸着した場合、特に破過が進む速度が大きくなる。このようにして吸着能力が低下した粒状活性炭は、再生処理によって、吸着力を再生することができる。吸着力の再生処理には専用の接触池が必要であるが、長期間、活性炭処理を必要とする場合には、水処理プロセスにおいて再生処理を組み込むと、活性炭を有効に利用することができる。
【0011】
活性炭の吸着能力の再生方法には、900℃前後の高温で水蒸気を用いて活性化する「水蒸気賦活法」と、木質材料を塩化亜鉛、硫酸等の薬品に浸漬した後に炭化させる「薬品賦活法」がある。薬品賦活法は、処理水中に亜鉛等の重金属や薬品が溶出することがあるため、浄水処理用の活性炭には薬品賦活法は用いられず、水蒸気賦活法を用いるのが一般的である。
【0012】
また、「粉末活性炭」は、図14で示したように、取水や着水等の凝集沈澱より前のプロセスにおいて添加され、渇水時や夏季起こる臭気の発生、水の華と呼ばれる植物プランクトンの増殖等、取水水質の一時的な悪化に対して、懸濁物質を吸着除去に利用されるのが一般的である。これは、藻類等の懸濁物質の混入したフロックは比重が小さく壊れやすく、沈降性が悪いため、多量の凝集剤を投入する必要があり、薬剤に必要なコストが高くなるため、取水水質が悪化した場合には、粉末活性炭を利用して懸濁物質を凝集沈澱より前のプロセスで予め除去しておくことで、処理性能を向上し、凝集剤に掛かるランニングコストを低減するためである。
【0013】
一方、粉末活性炭を投入した場合、凝集剤及び凝集補助剤の添加量が多くなるため、薬剤のコストが増加し、汚泥の発生量も増加して回収処理作業が困難となる。また、粉末活性炭は、粒径が小さいため、吸着能力の再生処理が困難である。したがって、粉末活性炭は、通常、常用ではなく、非常時の一時的な対策として用いられている。
【0014】
重力沈降を利用した凝集沈澱方法の他、水処理で利用される固液分離装置として、遠心力を利用する液体サイクロンがある。液体サイクロンは、流入する液体の旋回力によって生じる遠心力を利用して固体と液体の比重差から固液分離することができる。したがって、液体サイクロンには稼動部分がなく、簡単な構成で実現できるとともに、床占有面積あたりの処理能力が大きいという特徴がある。
【0015】
浄水処理において活性炭と液体サイクロンを併用する技術として、使用済みの粒状活性炭を再生処理し、急速攪拌槽や混和槽に再投入する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載される技術では、再生処理した粒状活性炭は、懸濁物質を吸着するとともに、フロックの沈降促進剤として作用し、フロックの沈降速度を増加させる。活性炭は再生利用することから、活性炭の廃棄量を削減している。
【特許文献1】特開2005−13892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、凝集沈澱よりも前の処理プロセスで粒状活性炭を投入するため、粒状活性炭を含む原水に凝集剤を添加することとなり、凝集沈澱に必要な凝集剤等の薬品の量が多量となる問題がある。また、特許文献1に記載の技術では、沈澱池で沈降したフロック中に含まれる粒状活性炭と他のフロック分とを廃棄することになり、発生する汚泥量も多量となり、廃棄が困難な問題がある。
【0017】
上記課題に鑑み、本発明は、使用する薬品量が少なく、発生する汚泥量も少ない固液分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の特徴に係る固液分離装置は、凝集沈澱前の原水に対して原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置と、前記活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロンと、前記活性炭を含む凝集沈澱の前の原水が流入する際、前記液体サイクロン内部で旋回するように前記液体サイクロンに接続される流入管と、前記液体サイクロン内で沈降した前記原水に含まれる活性炭を、前記液体サイクロンから排出する活性炭排出管と、前記原水から活性炭が排出された後の処理水を、前記液体サイクロンから排出する処理水排出管とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用する薬品量を低減し、発生する汚泥量も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を用いて、各実施形態に係る水処理システムについて説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図14を用いて上述した構成と同一の構成についても、同一の符号を付している。
【0021】
〈第1の実施形態〉
図1を用いて、第1の実施形態に係る固液分離装置51を備える水処理システム101について説明する。第1の実施形態に係る固液分離装置51は、処理対象の原水に活性炭Aを添加する活性炭添加装置10と、原水から原水中の懸濁物質を吸着した活性炭Aを分離する液体サイクロン20とを備えている。
【0022】
図1に示すように、水処理システム101は、活性炭添加装置10と、液体サイクロン20を備える固液分離装置51の他、河川等の水源から取水された原水を貯水し、活性炭Aが添加される取水井1と、液体サイクロン20から活性炭Aが分離された原水が供給される着水井2と、着水井2から原水が供給される急速攪拌池3と、急速攪拌池3に凝集剤を添加する第1薬品添加装置12と、急速攪拌池3内の原水を攪拌してフロックBを生成する第1攪拌機3aと、急速攪拌池3から原水が供給されるフロック形成池4と、フロック形成池4に凝集補助剤を添加する第2薬品添加装置13と、フロック形成池4内の原水を攪拌してフロックBを成長させる第2攪拌機4aと、フロック形成池4から原水が供給され、凝集沈澱処理を行なう凝集沈澱池5と、凝集沈澱池5で沈降したフロックBを回収する汚泥濃縮装置6とを備えている。また、第1の実施形態に係る水処理システム101は、凝集沈澱池5でフロックBが回収された後の処理水が供給されて、砂ろ過処理する砂ろ過装置5と、砂ろ過された後の処理水を塩素消毒する塩素消毒装置8と、塩素消毒された後の処理水を一時貯水した後、各給水所へ配水する配水池9とを備えている。
【0023】
活性炭添加装置10は、水源から取水した原水を一時的に貯水している取水井1に活性炭Aを添加する。取水井1内では、添加された活性炭Aによって、原水中に含まれる異臭味成分や微量有害物質等が吸着される。取水井1は、活性炭Aを含む原水を液体サイクロン20に送水する。
【0024】
活性炭には、例えば、椰子殻、木材またはおがくずなどの木質活性炭や、泥炭などの石炭活性炭等を利用することができる。また、活性炭に用いるのは、粒状活性炭が望ましいが、液体サイクロン20によって原水から分離することのできる粒径のサイズであればよく、粒径が比較的大きければ粉末活性炭であってもよい。活性炭の選別には、ふるい振とう、水簸を利用することができる。
【0025】
液体サイクロン20は、図2に示すように、流入する液体が内部で旋回するような一般的なサイクロン形状に形成されている。したがって、液体サイクロン20内では、取水井1から流入した原水に生じる旋回流で遠心力を受け、水と活性炭の比重差によって活性炭Aを沈降させることで、原水と活性炭Aとを分離する。液体サイクロン20は、沈降した活性炭Aを下方に設けられる活性炭排出管20bから排出し、活性炭Aが除去された原水を上方に配置される処理水排出管20cを介して着水井2に送水する。このとき、液体サイクロン20において全ての活性炭Aが分離されなかった場合、着水井2に送水される原水に活性炭Aが含まれることもある。なお、活性炭排出管20bから排出された活性炭Aは、廃棄処分されるか、再生処理の後、再利用される。
【0026】
着水井2は、液体サイクロン20から供給された原水を一時貯水した後、急速攪拌池に送水する。
【0027】
急速攪拌池3では、着水井2から供給された原水と、第1薬品添加装置12によって添加された凝集剤とが、第1攪拌機3aによって攪拌されることにより、原水に含まれた懸濁物質と液体サイクロン20において分離されなかった活性炭Aとが凝集し、フロック化する。急速攪拌池3は、フロックBを含む原水をフロック形成池4に送水する。取水水質の変動により、凝集剤の凝集pH範囲から外れている場合は、第1薬品添加装置12によって添加された酸、アルカリなどの薬剤によりpHを調整する必要がある。
【0028】
フロック形成池4では、急速攪拌池3から供給されたフロックBを含む原水と、第2薬品添加装置13によって添加された凝集補助剤とが、第2攪拌機4aによって攪拌されることにより、原水に含まれるフロックBが大きく成長する。
【0029】
フロック形成池4で原水を攪拌する第2攪拌機4aは、第1攪拌機3aよりも小さな攪拌強度で攪拌することが望ましい。その後、フロック形成池4は、大きく成長したフロックBを含む原水を凝集沈澱池5に送水する。
【0030】
なお、上述した例では、急速攪拌池3に第1薬品添加装置12によって凝集剤を添加し、フロック形成池4に第2薬品添加装置13によって凝集補助剤を添加する例を説明したが、凝集補助剤を添加しない場合でもフロックBは形成されるため、第2薬品添加装置13は必須の構成ではない。すなわち、凝集補助剤は、高分子の架橋作用により、フロック同士を結合させ、より大きく壊れにくいフロックBを形成するものであるから、凝集剤のみによって大きなフロックBを形成することができれば、原水には凝集剤のみ添加すれば足りる。冬季の低水温時には凝集効果が低下するため、凝集補助剤を使用する例がある。ここで凝集剤及び凝集補助剤には、例えば、無機凝集剤、無機高分子凝集剤、有機高分子凝集剤を利用することができる。
【0031】
凝集沈澱池5では、重力を受けてフロックBが沈降する。凝集沈澱池5は、沈降したフロックBを汚泥濃縮装置6に排出し、フロックBが除去された原水を砂ろ過装置7に送水する。この凝集沈澱池5で傾斜板を備えていれば、フロックBの沈降速度を速めることができる。
【0032】
汚泥濃縮装置6は、凝集沈澱池5で沈降したフロックBを汚泥として回収すると、脱水濃縮される。濃縮された汚泥は、産業廃棄物として処理される。
【0033】
凝集沈澱池から排出された原水は、砂ろ過装置7で砂ろ過され、塩素消毒装置8で塩素消毒され、配水池9で貯水された後に配水される。
【0034】
上述した第1の実施形態に係る固液分離装置51では、取水井1で活性炭Aを添加して原水中の対象物質を吸着した後に液体サイクロン20で回収することにより、着水井2に流出する活性炭Aの量を大幅に低減することができる。すなわち、活性炭Aを他の懸濁物質とともに凝集剤で凝集沈澱させる従来の場合と比較して、凝集対象となる物質の量を低減することができる。
【0035】
したがって、凝集沈澱で使用する凝集剤の量を低減することができる。また、凝集のための反応時間を短くすることができるとともに、急速攪拌池3、フロック形成池4および凝集沈澱池5に必要な容積を低減し、小型化することができる。さらに、小さな攪拌強度でもフロックBを生成することが可能となり、攪拌機3a,4aの動力を低減し、省電力を実現することができる。加えて、凝集対象となる物質の量を低減したことにより、廃棄対象となる汚泥量も低減することができる。
【0036】
また、第1の実施形態に係る固液分離装置51では、液体サイクロン20は、固液分離に重力よりも大きな遠心力を利用しているため、従来の重力沈降方式を利用するシックナーよりも短時間で原水から活性炭を分離させることができる。したがって、装置を小型化することが可能となり、中小規模の浄水場にも適用することが可能になる。
【0037】
〈第2の実施形態〉
図3を用いて、第2の実施形態に係る固液分離装置52を備える水処理システム102について説明する。図3に示す第2の実施形態に係る固液分離装置52を、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、第2の実施形態に係る固液分離装置52は、2台の活性炭添加装置10,11を備え、2台の液体サイクロン20,21を備えている点で異なる。ここで、取水井1に活性炭を添加する装置を第1活性炭添加装置10とし、着水井2に活性炭Aを添加する装置を第2活性炭添加装置11とする。また、取水井1の後段に備えられる液体サイクロンを第1液体サイクロン20とし、着水井2の後段に備えられる液体サイクロンを第2液体サイクロン21とする。
【0038】
具体的には、第2の実施形態に係る固液分離装置52は、上述した第1の実施形態に係る固液分離装置51と比較して、第2活性炭添加装置11と、第2液体サイクロン21とを備えている点で異なる。なお、水処理システム102においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0039】
着水井2では、第1液体サイクロン20から流入する原水を一時的に貯水する。第2活性炭添加装置11は、この着水井2で貯水する原水に活性炭Aを添加する。着水井2内では、添加された活性炭Aによって、第1活性炭添加装置10で添加した活性炭Aによって取り除くことの出来なかった原水中に含まれる異臭味成分や微量有害物質等が吸着される。この活性炭Aには、第1活性炭添加装置10が添加したような木製活性炭や石炭活性炭等を用いることが可能であり、液体サイクロン21で原水から分離することのできる活性炭Aであればよい。
【0040】
上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52によれば、着水井2で活性炭Aを添加して、第1液体サイクロン20から排出することのできなかった原水中の対象物を吸着除去した後に第2液体サイクロン21で回収して、急速攪拌池3に流出する原水を処理している。これにより、凝集沈澱において凝集対象となる物質の量を低減することができる。したがって、凝集沈澱で使用する凝集剤の量を低減することができ、凝集のための反応時間を短くすることが可能となり、攪拌機3a,4aの動力を低減することもできる。
【0041】
〈第1変形例〉
図4を用いて、第2の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置53を備える水処理システム103について説明する。図4に示す第1変形例に係る固液分離装置53を、図3を用いて上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、取水井1の後段には液体サイクロンを有さず、着水井2の後段にのみ液体サイクロン21を有している点で異なる。
【0042】
したがって、第1活性炭添加装置10で取水井1の原水に添加した活性炭Aと、第2活性炭添加装置11で着水井2の原水に添加した活性炭Aの両方の活性炭が、着水井2の後段の液体サイクロン21で回収される。
【0043】
上述した第2の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置53によれば、第1活性炭添加装置10で取水井1に添加した活性炭を着水井2の後段の液体サイクロン21で回収することになるから、吸着のための反応時間が長くなる。さらに、粒径の小さい活性炭同士が合一し、粒径の大きな塊になるため、作用する遠心力が大きくなり、液体サイクロン21における回収率が向上する。
【0044】
〈第2変形例〉
図5を用いて、第2の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置54を備える水処理システム104について説明する。図5に示す第2変形例に係る固液分離装置54を、図3を用いて上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、着水井2に活性炭を供給する活性炭添加装置11を有さず、取水井1に活性炭Aを供給する活性炭添加装置10のみを有している点で異なる。
【0045】
したがって、第1活性炭添加装置10で取水井1の原水に添加した活性炭Aは、取水井の後段の第1液体サイクロン20で回収され、回収しきれなかった活性炭は着水井2の後段の液体サイクロン21で回収される。
【0046】
上述した第2の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置54によれば、第1活性炭添加装置10で取水井1に添加した活性炭を取水井1の後段の第1液体サイクロン20と着水井2の後段の液体サイクロン21で回収することになるから、吸着のための反応時間が長くなる。したがって、粒径の小さい活性炭同士が合一し、粒径の大きな塊になるため、遠心力が大きくなり、液体サイクロン20,21における回収率が向上する。
【0047】
〈第3の実施形態〉
図6を用いて、第3の実施形態に係る固液分離装置55を備える水処理システム105について説明する。図6に示す第3の実施形態に係る固液分離装置55を、図3を用いて上述した第2の実施形態52に係る水処理システム102と比較すると、第3の実施形態に係る固液分離装置55は、第1液体サイクロン20から活性炭Aが排出される活性炭排出管20bが循環ラインとなって第1活性炭添加装置10に接続されており、第2液体サイクロン21から活性炭Aが排出される活性炭排出管21bが循環ラインとなって第2活性炭添加装置11に接続されている点で異なる。なお、水処理システム105においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0048】
原水に添加された活性炭は、原水中の異臭味成分や微量有害物質を吸着するが、吸着能力を失った破過状態になるまで繰り返して使用することができる。したがって、液体サイクロン20,21から排出される活性炭を活性炭排出管20b,21bを介して、活性炭添加装置10,11に循環させる。
【0049】
第1活性炭添加装置10は、第1活性炭排出管20bから供給された活性炭Aを再び取水井1に添加する。また、第2活性炭添加装置11は、第2活性炭排出管21bから供給された活性炭Aを再び着水井2に添加する。ここで、活性炭添加装置10,11は、再利用する活性炭Aに加えて、新たな活性炭Aも取水井1または着水井2に添加してもよい。
【0050】
上述した第3の実施形態に固液分離装置55では、活性炭添加装置10,11は、液体サイクロン20,21から排出された活性炭Aを取水井1または着水井2に添加して再利用する。したがって、活性炭Aを無駄なく使用することが可能であり、ランニングコストも低減することができる。
【0051】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。
【0052】
〈第4の実施形態〉
図7を用いて、第4の実施形態に係る固液分離装置56を備える水処理システム106について説明する。図7に示す第4の実施形態に係る固液分離装置56を、図6を用いて上述した第3の実施形態に係る固液分離装置55と比較すると、第1液体サイクロン20から活性炭排出管20bを介して排出される活性炭Aの一部を第1活性炭添加装置10に循環させる第1循環ライン22と、第2液体サイクロン21から活性炭排出管21bを介して排出される活性炭Aの一部を第2活性炭添加装置11に循環させる第2循環ライン23を備えている点で異なる。なお、水処理システム106においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0053】
例えば、第1液体サイクロン20から排出される活性炭Aは、バルブ24の開閉により、再利用が可能である場合には第1循環ライン22を介して第1活性炭添加装置10に供給し、複数回使用したことによって再利用が不可能である場合には第1活性炭添加装置10に循環されずに、活性炭排出管20bから排出される。また、第2液体サイクロン21から排出される活性炭Aは、バルブ25の開閉により、再利用が可能である場合には第2循環ライン23を介して第2活性炭添加装置11に供給し、複数回使用したことによって再利用が不可能である場合には第2活性炭添加装置11に循環されずに、活性炭排出管21bから排出される。
【0054】
なお、活性炭Aが再利用可能であるか否かの判断としては、取水井1や着水井2の被吸着物質の濃度と破過点との差から判断したり、液体サイクロン20,21や活性炭排出管20b,21bにセンサ等を設けて活性炭Aの吸着能力に応じて判断したり、活性炭Aを循環させた回数をカウントするカウンタを設けて循環した回数に応じて判断することができる。
【0055】
活性炭の吸着特性は、原料や製造方法、被吸着物質の種類や濃度によって異なるため、吸着試験を実施し、破過点と破過点に至る条件の目安をつけておく必要がある。
【0056】
例えば、活性炭の適正注入率と破過時間を予測するための因子である単位活性炭あたりの吸着量qeは、下記の式(1)によって求めることができる。
【0057】
qe=aCe1/n ・・・(1)
この式(1)において、Ceは一定温度、平衡時の被吸着質の濃度である。また、aは実験等によって定められる吸着係数であり、nは実験等によって決定される吸着指数である。この式(1)を利用して、被吸着質濃度Ceが一定になった時点のqeを活性炭が破過に達する吸着量として判断することができる。
【0058】
上述した第4の実施形態に係る固液分離装置56では、活性炭添加装置10,11は、再利用が可能な状態の活性炭のみ再利用するため、活性炭Aを無駄なく使用することができるとともに、活性炭Aによる異臭味成分や微量有害物質等の吸着能力を向上することができる。したがって、凝集沈澱に使用する凝集剤の量も低減することができる。
【0059】
また、第4の実施形態に係る固液分離装置56では、新しい活性炭Aと再利用する活性炭Aとを併用するため、活性炭添加装置10,11に新しい活性炭Aを投入する際に液体サイクロン20,21を停止する必要がなくなり、水処理システム106を連続して運転することができる。
【0060】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。
【0061】
〈第5の実施形態〉
図8を用いて、第5の実施形態に係る固液分離装置57を備える水処理システム107について説明する。図8に示す第5の実施形態に係る固液分離装置57を、図7を用いて上述した第4の実施形態に係る固液分離装置56と比較すると、第1循環ライン22に第1再生装置26を備え、第2循環ライン23に第2再生装置27を備えている点で異なる。なお、水処理システム107においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0062】
第1再生装置26は、第1液体サイクロン20から排出された活性炭Aの吸着能力を再生し、第1循環ライン22を介して第1活性炭添加装置10に供給する。また、第2再生装置27は、第2液体サイクロン21から排出された活性炭Aの吸着能力を再生し、第2循環ライン23を介して第2活性炭添加装置11に供給する。このとき、再生しても吸着能力が回復できない活性炭Aは、活性炭排出管20b,21bから排出される。これらの再生装置26,27は、例えば水蒸気賦活法によって活性炭Aの吸着力を再生することが考えられる。
【0063】
上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57では、活性炭添加装置10,11は、再生装置26,27で吸着能力を回復した活性炭Aを再利用するため、活性炭Aを無駄なく使用することができるとともに、活性炭Aによる異臭味成分や微量有害物質等の吸着能力を向上することができる。したがって、凝集沈澱に使用する凝集剤の量も低減することができる。
【0064】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。また、再生装置26,27は、液体サイクロン20,21から供給される活性炭Aの吸着能力が低下していない場合には再生処理を実行せず、活性炭の吸着能力が低下した場合にのみ再生処理を実行して活性炭添加装置10,11に供給するようにしてもよい。
【0065】
〈第1変形例〉
図9を用いて、第5の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置58を備える水処理システム108について説明する。図9に示す第1変形例に係る固液分離装置58を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第1液体サイクロン20に第1スラッジセンサ28が設けられ、第2液体サイクロン21に第2スラッジセンサ29が設けられる点で異なる。
【0066】
第1スラッジセンサ28は、第1液体サイクロン20中の原水に含まれる活性炭Aの量を検知する。バルブ24は、第1スラッジセンサ28の測定結果に応じて第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。また、第2スラッジセンサ29は、第2液体サイクロン21中の原水に含まれる活性炭Aの量を測定する。バルブ25は、第2スラッジセンサ29の測定結果に応じて第2液体サイクロン21からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。
【0067】
ここで、スラッジセンサ28,29には、例えば、濁度計、蛍光センサ、電気伝導光を測定する電極等を利用することができる。
【0068】
上述した第5の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置58によれば、液体サイクロン20,21内の水質に応じて活性炭Aの引抜量を調整している。したがって、急速攪拌池3に排出される活性炭Aを低減することができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤を低減することができる。
【0069】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロン内の水質に応じて活性炭Aの引抜量を決定することができる。
【0070】
〈第2変形例〉
図10を用いて、第5の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置59を備える水処理システム109について説明する。図10に示す第2変形例に係る固液分離装置59を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第1再生装置26から排出される活性炭Aが第1活性炭添加装置10ではなく、第2活性炭添加装置11に供給される点で異なる。したがって、第1活性炭添加装置10が添加する活性炭Aは、常に新しい活性炭Aとなる。
【0071】
上述した第5の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置59によれば、吸着する必要のある異臭味成分や微量有害物質等の多く含まれる取水井1の原水には新しい活性炭Aを添加し、第1液体サイクロン20で一度、異臭味成分や有害物質等が回収された後の着水井2の原水には再利用の活性炭Aを添加する。したがって、活性炭Aを効率良く利用することができる。
【0072】
〈第6の実施形態〉
図11を用いて、第6の実施形態に係る固液分離装置60を備える水処理システム110について説明する。図13に示す第6の実施形態に係る固液分離装置60を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第6の実施形態に係る水処理システム110は、第2液体サイクロン21から排出される原水の水質を測定する水質センサ30を備える点で異なる。なお、水処理システム110においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0073】
水質センサ30で測定される水質は、第1活性炭添加装置10に入力される。第1活性炭添加装置10は、水質センサ30で測定された水質に応じて、取水井1に添加する活性炭Aの量を調節する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、水質センサ30の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0074】
ここで、水質センサ30には、例えば、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用してもよい。
【0075】
上述した第6の実施形態に係る固液分離装置60では、水質センサ30によって測定される第2液体サイクロンから排出される処理水の水質に応じて活性炭Aの添加量を調節する。したがって、過剰な量の活性炭を添加することがないため、最適な量の活性炭Aを使用することができる。
【0076】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定し、活性炭Aの添加量を決定することができる。
【0077】
〈第7の実施形態〉
図12を用いて、第7の実施形態に係る固液分離装置61を備える水処理システム111について説明する。図12に示す第7の実施形態に係る固液分離装置61を、図11を用いて上述した第6の実施形態に係る固液分離装置60と比較すると、第1流入管20aの水質を測定する水質センサ31を備える点で異なる。ここで、第1流入管20aの原水の水質を測定する水質センサ31を第1水質センサとし、第2処理水排出管21cの処理水の水質を測定する水質センサ30を第2水質センサとする。なお、水処理システム111においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0078】
第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質は、ともに第1活性炭添加装置10に入力される。第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質の差に応じて、取水井1に添加する活性炭Aの量を調整する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31と第2水質センサ30で測定される水質の差が小さいとき、被吸着物質の濃度に対して活性炭量が不足しているとみなし、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0079】
また、バルブ24は、第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質の差に応じて、第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31と第2水質センサ30で測定される水質の差が小さいとき、活性炭Aの添加量を増加するため、引抜量も増加する。
【0080】
ここで、第1水質センサ31にも、第2水質センサ30と同様に、例えば、水質センサ30には、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用することができる。
【0081】
上述した第7の実施形態に係る固液分離装置61によれば、取水井1から排出される原水の水質と、第2液体サイクロン21から排出される原水の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量と、第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を調整している。したがって、急速攪拌池3に供給する原水の水質を理想の値にすることができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤の量を低減することができる。
【0082】
〈第8の実施形態〉
図13を用いて、第8の実施形態に係る固液分離装置62を備える水処理システム112について説明する。図13に示す第8の実施形態に係る固液分離装置62を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、流入管20a,21aの水質を測定する水質センサ30,32を備えている点で異なる。ここで、第1流入管20aの原水の水質を測定する水質センサ31を第1水質センサとし、第2流入管21aの原水の水質を測定する水質センサ32を第3水質センサとする。なお、水処理システム111においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0083】
第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量を調整する。具体的には、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0084】
また、第2活性炭添加装置11は、第3水質センサ32の水質に応じて着水井2に添加する活性炭Aの量を調整する。具体的には、第2活性炭添加装置11は、第3水質センサ32の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0085】
ここで、水質センサ31,32には、例えば、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用してもよい。
【0086】
上述した第8の実施形態に係る固液分離装置62によれば、取水井1から排出される原水の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量を調整し、着水井2から排出される原水の水質に応じて着水井2に添加する活性炭Aの量を調整している。したがって、急速攪拌池3に供給する原水の水質を理想の値にすることができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤の量を低減することができる。
【0087】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが一台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に、活性炭Aを添加した後の原水の水質を測定して、活性炭Aの添加量をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図2】水処理システムで利用される液体サイクロンの構成について説明する図である。
【図3】第2の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図4】第2の実施形態の第1変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図5】第2の実施形態の第2変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図6】第3の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図7】第4の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図8】第5の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図9】第5の実施形態の第1変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図10】第5の実施形態の第2変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図11】第6の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図12】第7の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図13】第8の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図14】従来の水処理システムについて説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
100〜112…水処理システム
1…取水井
2…着水井
3…急速攪拌池
4…フロック形成池
3a,4a…攪拌機
5…凝集沈澱池
6…汚泥濃縮装置
7…ろ過装置
8…塩素消毒装置
9…配水池
10,11…活性炭添加装置
12,13…薬品添加装置
20,21…液体サイクロン
20a,21a…流入管
20b,21b…活性炭排出管
20c,21c…処理水排出管
22,23…第2循環ライン
24,25…バルブ
26,27…再生装置
29,29…スラッジセンサ
31,32,32…水質センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場における水処理プロセスにおいて、活性炭を用いて原水中の懸濁物質を分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場では処理対象となる原水に合わせた様々な方法で水処理が行なわれる。例えば、異臭味(2−MIBやジェオスミン等)、陰イオン界面活性剤、フェノール類、トリハロメタン及びその前駆物質、低沸点有機塩素化合物(トリクロロエチレン等)又は微量有害物質(農薬等)等を含む水の水処理では、これらの物質等を吸着する目的で活性炭が利用されることがある。
【0003】
図14を用いて活性炭を利用した浄水場の水処理システム100の一例について説明する。河川等の水源から取水された原水は、まず水源の近郊にある取水井1に集められる。その後、原水は着水井2に一時的に貯水された後、急速攪拌池3へ送水される。
【0004】
第1活性炭添加装置10は、取水井1へ活性炭Aを添加する。また、第2活性炭添加装置11は、着水井2へ活性炭Aを添加する。取水井1又は着水井2に添加された活性炭Aは、原水に含まれる懸濁物質を吸着する。なお、図14に示す水処理システム100では、取水井1へ活性炭Aを添加する第1活性炭添加装置10と、着水井2へ活性炭Aを添加する第2活性炭添加装置11との2台の活性炭添加装置を備えているが、いずれかの活性炭添加装置のみを備える構成であってもよい。
【0005】
第1薬品添加装置12は、急速攪拌池3へ薬品(凝集剤)を添加する。急速攪拌池3では、第1攪拌機3aで攪拌し、凝集剤及び活性炭Aを含む原水を凝集剤の効果によってフロックBが形成される。急速攪拌池3で攪拌された原水は、フロック形成池4に送水される。
【0006】
第2薬品添加装置13は、フロック形成池4へ薬品(凝集補助剤)を添加する。フロック形成池4では、第2攪拌機4aによって原水を第1攪拌機3aより緩速に攪拌すると、凝集剤の効果によってフロックBが大きく成長する。フロック形成池4で攪拌されたフロックBを含む原水は、凝集沈澱池5へ送水される。また、凝集沈澱池5で沈降分離された汚泥は、汚泥濃縮装置6で濃縮脱水された後、産業廃棄物として処理される。
【0007】
凝集沈澱池5では、フロックBが沈降分離する。このフロックBが除かれた後の原水は、砂ろ過装置7における砂ろ過、塩素消毒装置8における塩素消毒のプロセスの後、配水池9へ送水され、各給水所へ配水される。
【0008】
図14に示す例では、活性炭を取水井1及び着水井2に添加するものとして示しているが、浄水場で利用する活性炭には、粒径が約150μm以上の「粒状活性炭」と粒径が約150μm未満の「粉末活性炭」の2種類があり、それぞれ粒径や用途が異なっている。
【0009】
「粒状活性炭」は、浄水処理プロセスにおいて、砂ろ過の後段で利用されるのが一般的であり、凝集沈澱では除去できなかった分子量約1500以下の低分子量の着色成分、その他の有機化合物の回収に利用される。
【0010】
粒状活性炭は、有機化合物の吸着とともに破過(吸着速度と脱着速度がつりあって平衡となり、吸着能力を示さなくなる状態)が進むが、有機塩素系化合物を吸着した場合、特に破過が進む速度が大きくなる。このようにして吸着能力が低下した粒状活性炭は、再生処理によって、吸着力を再生することができる。吸着力の再生処理には専用の接触池が必要であるが、長期間、活性炭処理を必要とする場合には、水処理プロセスにおいて再生処理を組み込むと、活性炭を有効に利用することができる。
【0011】
活性炭の吸着能力の再生方法には、900℃前後の高温で水蒸気を用いて活性化する「水蒸気賦活法」と、木質材料を塩化亜鉛、硫酸等の薬品に浸漬した後に炭化させる「薬品賦活法」がある。薬品賦活法は、処理水中に亜鉛等の重金属や薬品が溶出することがあるため、浄水処理用の活性炭には薬品賦活法は用いられず、水蒸気賦活法を用いるのが一般的である。
【0012】
また、「粉末活性炭」は、図14で示したように、取水や着水等の凝集沈澱より前のプロセスにおいて添加され、渇水時や夏季起こる臭気の発生、水の華と呼ばれる植物プランクトンの増殖等、取水水質の一時的な悪化に対して、懸濁物質を吸着除去に利用されるのが一般的である。これは、藻類等の懸濁物質の混入したフロックは比重が小さく壊れやすく、沈降性が悪いため、多量の凝集剤を投入する必要があり、薬剤に必要なコストが高くなるため、取水水質が悪化した場合には、粉末活性炭を利用して懸濁物質を凝集沈澱より前のプロセスで予め除去しておくことで、処理性能を向上し、凝集剤に掛かるランニングコストを低減するためである。
【0013】
一方、粉末活性炭を投入した場合、凝集剤及び凝集補助剤の添加量が多くなるため、薬剤のコストが増加し、汚泥の発生量も増加して回収処理作業が困難となる。また、粉末活性炭は、粒径が小さいため、吸着能力の再生処理が困難である。したがって、粉末活性炭は、通常、常用ではなく、非常時の一時的な対策として用いられている。
【0014】
重力沈降を利用した凝集沈澱方法の他、水処理で利用される固液分離装置として、遠心力を利用する液体サイクロンがある。液体サイクロンは、流入する液体の旋回力によって生じる遠心力を利用して固体と液体の比重差から固液分離することができる。したがって、液体サイクロンには稼動部分がなく、簡単な構成で実現できるとともに、床占有面積あたりの処理能力が大きいという特徴がある。
【0015】
浄水処理において活性炭と液体サイクロンを併用する技術として、使用済みの粒状活性炭を再生処理し、急速攪拌槽や混和槽に再投入する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載される技術では、再生処理した粒状活性炭は、懸濁物質を吸着するとともに、フロックの沈降促進剤として作用し、フロックの沈降速度を増加させる。活性炭は再生利用することから、活性炭の廃棄量を削減している。
【特許文献1】特開2005−13892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、凝集沈澱よりも前の処理プロセスで粒状活性炭を投入するため、粒状活性炭を含む原水に凝集剤を添加することとなり、凝集沈澱に必要な凝集剤等の薬品の量が多量となる問題がある。また、特許文献1に記載の技術では、沈澱池で沈降したフロック中に含まれる粒状活性炭と他のフロック分とを廃棄することになり、発生する汚泥量も多量となり、廃棄が困難な問題がある。
【0017】
上記課題に鑑み、本発明は、使用する薬品量が少なく、発生する汚泥量も少ない固液分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の特徴に係る固液分離装置は、凝集沈澱前の原水に対して原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置と、前記活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロンと、前記活性炭を含む凝集沈澱の前の原水が流入する際、前記液体サイクロン内部で旋回するように前記液体サイクロンに接続される流入管と、前記液体サイクロン内で沈降した前記原水に含まれる活性炭を、前記液体サイクロンから排出する活性炭排出管と、前記原水から活性炭が排出された後の処理水を、前記液体サイクロンから排出する処理水排出管とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用する薬品量を低減し、発生する汚泥量も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を用いて、各実施形態に係る水処理システムについて説明する。以下の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図14を用いて上述した構成と同一の構成についても、同一の符号を付している。
【0021】
〈第1の実施形態〉
図1を用いて、第1の実施形態に係る固液分離装置51を備える水処理システム101について説明する。第1の実施形態に係る固液分離装置51は、処理対象の原水に活性炭Aを添加する活性炭添加装置10と、原水から原水中の懸濁物質を吸着した活性炭Aを分離する液体サイクロン20とを備えている。
【0022】
図1に示すように、水処理システム101は、活性炭添加装置10と、液体サイクロン20を備える固液分離装置51の他、河川等の水源から取水された原水を貯水し、活性炭Aが添加される取水井1と、液体サイクロン20から活性炭Aが分離された原水が供給される着水井2と、着水井2から原水が供給される急速攪拌池3と、急速攪拌池3に凝集剤を添加する第1薬品添加装置12と、急速攪拌池3内の原水を攪拌してフロックBを生成する第1攪拌機3aと、急速攪拌池3から原水が供給されるフロック形成池4と、フロック形成池4に凝集補助剤を添加する第2薬品添加装置13と、フロック形成池4内の原水を攪拌してフロックBを成長させる第2攪拌機4aと、フロック形成池4から原水が供給され、凝集沈澱処理を行なう凝集沈澱池5と、凝集沈澱池5で沈降したフロックBを回収する汚泥濃縮装置6とを備えている。また、第1の実施形態に係る水処理システム101は、凝集沈澱池5でフロックBが回収された後の処理水が供給されて、砂ろ過処理する砂ろ過装置5と、砂ろ過された後の処理水を塩素消毒する塩素消毒装置8と、塩素消毒された後の処理水を一時貯水した後、各給水所へ配水する配水池9とを備えている。
【0023】
活性炭添加装置10は、水源から取水した原水を一時的に貯水している取水井1に活性炭Aを添加する。取水井1内では、添加された活性炭Aによって、原水中に含まれる異臭味成分や微量有害物質等が吸着される。取水井1は、活性炭Aを含む原水を液体サイクロン20に送水する。
【0024】
活性炭には、例えば、椰子殻、木材またはおがくずなどの木質活性炭や、泥炭などの石炭活性炭等を利用することができる。また、活性炭に用いるのは、粒状活性炭が望ましいが、液体サイクロン20によって原水から分離することのできる粒径のサイズであればよく、粒径が比較的大きければ粉末活性炭であってもよい。活性炭の選別には、ふるい振とう、水簸を利用することができる。
【0025】
液体サイクロン20は、図2に示すように、流入する液体が内部で旋回するような一般的なサイクロン形状に形成されている。したがって、液体サイクロン20内では、取水井1から流入した原水に生じる旋回流で遠心力を受け、水と活性炭の比重差によって活性炭Aを沈降させることで、原水と活性炭Aとを分離する。液体サイクロン20は、沈降した活性炭Aを下方に設けられる活性炭排出管20bから排出し、活性炭Aが除去された原水を上方に配置される処理水排出管20cを介して着水井2に送水する。このとき、液体サイクロン20において全ての活性炭Aが分離されなかった場合、着水井2に送水される原水に活性炭Aが含まれることもある。なお、活性炭排出管20bから排出された活性炭Aは、廃棄処分されるか、再生処理の後、再利用される。
【0026】
着水井2は、液体サイクロン20から供給された原水を一時貯水した後、急速攪拌池に送水する。
【0027】
急速攪拌池3では、着水井2から供給された原水と、第1薬品添加装置12によって添加された凝集剤とが、第1攪拌機3aによって攪拌されることにより、原水に含まれた懸濁物質と液体サイクロン20において分離されなかった活性炭Aとが凝集し、フロック化する。急速攪拌池3は、フロックBを含む原水をフロック形成池4に送水する。取水水質の変動により、凝集剤の凝集pH範囲から外れている場合は、第1薬品添加装置12によって添加された酸、アルカリなどの薬剤によりpHを調整する必要がある。
【0028】
フロック形成池4では、急速攪拌池3から供給されたフロックBを含む原水と、第2薬品添加装置13によって添加された凝集補助剤とが、第2攪拌機4aによって攪拌されることにより、原水に含まれるフロックBが大きく成長する。
【0029】
フロック形成池4で原水を攪拌する第2攪拌機4aは、第1攪拌機3aよりも小さな攪拌強度で攪拌することが望ましい。その後、フロック形成池4は、大きく成長したフロックBを含む原水を凝集沈澱池5に送水する。
【0030】
なお、上述した例では、急速攪拌池3に第1薬品添加装置12によって凝集剤を添加し、フロック形成池4に第2薬品添加装置13によって凝集補助剤を添加する例を説明したが、凝集補助剤を添加しない場合でもフロックBは形成されるため、第2薬品添加装置13は必須の構成ではない。すなわち、凝集補助剤は、高分子の架橋作用により、フロック同士を結合させ、より大きく壊れにくいフロックBを形成するものであるから、凝集剤のみによって大きなフロックBを形成することができれば、原水には凝集剤のみ添加すれば足りる。冬季の低水温時には凝集効果が低下するため、凝集補助剤を使用する例がある。ここで凝集剤及び凝集補助剤には、例えば、無機凝集剤、無機高分子凝集剤、有機高分子凝集剤を利用することができる。
【0031】
凝集沈澱池5では、重力を受けてフロックBが沈降する。凝集沈澱池5は、沈降したフロックBを汚泥濃縮装置6に排出し、フロックBが除去された原水を砂ろ過装置7に送水する。この凝集沈澱池5で傾斜板を備えていれば、フロックBの沈降速度を速めることができる。
【0032】
汚泥濃縮装置6は、凝集沈澱池5で沈降したフロックBを汚泥として回収すると、脱水濃縮される。濃縮された汚泥は、産業廃棄物として処理される。
【0033】
凝集沈澱池から排出された原水は、砂ろ過装置7で砂ろ過され、塩素消毒装置8で塩素消毒され、配水池9で貯水された後に配水される。
【0034】
上述した第1の実施形態に係る固液分離装置51では、取水井1で活性炭Aを添加して原水中の対象物質を吸着した後に液体サイクロン20で回収することにより、着水井2に流出する活性炭Aの量を大幅に低減することができる。すなわち、活性炭Aを他の懸濁物質とともに凝集剤で凝集沈澱させる従来の場合と比較して、凝集対象となる物質の量を低減することができる。
【0035】
したがって、凝集沈澱で使用する凝集剤の量を低減することができる。また、凝集のための反応時間を短くすることができるとともに、急速攪拌池3、フロック形成池4および凝集沈澱池5に必要な容積を低減し、小型化することができる。さらに、小さな攪拌強度でもフロックBを生成することが可能となり、攪拌機3a,4aの動力を低減し、省電力を実現することができる。加えて、凝集対象となる物質の量を低減したことにより、廃棄対象となる汚泥量も低減することができる。
【0036】
また、第1の実施形態に係る固液分離装置51では、液体サイクロン20は、固液分離に重力よりも大きな遠心力を利用しているため、従来の重力沈降方式を利用するシックナーよりも短時間で原水から活性炭を分離させることができる。したがって、装置を小型化することが可能となり、中小規模の浄水場にも適用することが可能になる。
【0037】
〈第2の実施形態〉
図3を用いて、第2の実施形態に係る固液分離装置52を備える水処理システム102について説明する。図3に示す第2の実施形態に係る固液分離装置52を、図1を用いて上述した第1の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、第2の実施形態に係る固液分離装置52は、2台の活性炭添加装置10,11を備え、2台の液体サイクロン20,21を備えている点で異なる。ここで、取水井1に活性炭を添加する装置を第1活性炭添加装置10とし、着水井2に活性炭Aを添加する装置を第2活性炭添加装置11とする。また、取水井1の後段に備えられる液体サイクロンを第1液体サイクロン20とし、着水井2の後段に備えられる液体サイクロンを第2液体サイクロン21とする。
【0038】
具体的には、第2の実施形態に係る固液分離装置52は、上述した第1の実施形態に係る固液分離装置51と比較して、第2活性炭添加装置11と、第2液体サイクロン21とを備えている点で異なる。なお、水処理システム102においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0039】
着水井2では、第1液体サイクロン20から流入する原水を一時的に貯水する。第2活性炭添加装置11は、この着水井2で貯水する原水に活性炭Aを添加する。着水井2内では、添加された活性炭Aによって、第1活性炭添加装置10で添加した活性炭Aによって取り除くことの出来なかった原水中に含まれる異臭味成分や微量有害物質等が吸着される。この活性炭Aには、第1活性炭添加装置10が添加したような木製活性炭や石炭活性炭等を用いることが可能であり、液体サイクロン21で原水から分離することのできる活性炭Aであればよい。
【0040】
上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52によれば、着水井2で活性炭Aを添加して、第1液体サイクロン20から排出することのできなかった原水中の対象物を吸着除去した後に第2液体サイクロン21で回収して、急速攪拌池3に流出する原水を処理している。これにより、凝集沈澱において凝集対象となる物質の量を低減することができる。したがって、凝集沈澱で使用する凝集剤の量を低減することができ、凝集のための反応時間を短くすることが可能となり、攪拌機3a,4aの動力を低減することもできる。
【0041】
〈第1変形例〉
図4を用いて、第2の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置53を備える水処理システム103について説明する。図4に示す第1変形例に係る固液分離装置53を、図3を用いて上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、取水井1の後段には液体サイクロンを有さず、着水井2の後段にのみ液体サイクロン21を有している点で異なる。
【0042】
したがって、第1活性炭添加装置10で取水井1の原水に添加した活性炭Aと、第2活性炭添加装置11で着水井2の原水に添加した活性炭Aの両方の活性炭が、着水井2の後段の液体サイクロン21で回収される。
【0043】
上述した第2の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置53によれば、第1活性炭添加装置10で取水井1に添加した活性炭を着水井2の後段の液体サイクロン21で回収することになるから、吸着のための反応時間が長くなる。さらに、粒径の小さい活性炭同士が合一し、粒径の大きな塊になるため、作用する遠心力が大きくなり、液体サイクロン21における回収率が向上する。
【0044】
〈第2変形例〉
図5を用いて、第2の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置54を備える水処理システム104について説明する。図5に示す第2変形例に係る固液分離装置54を、図3を用いて上述した第2の実施形態に係る固液分離装置52と比較すると、着水井2に活性炭を供給する活性炭添加装置11を有さず、取水井1に活性炭Aを供給する活性炭添加装置10のみを有している点で異なる。
【0045】
したがって、第1活性炭添加装置10で取水井1の原水に添加した活性炭Aは、取水井の後段の第1液体サイクロン20で回収され、回収しきれなかった活性炭は着水井2の後段の液体サイクロン21で回収される。
【0046】
上述した第2の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置54によれば、第1活性炭添加装置10で取水井1に添加した活性炭を取水井1の後段の第1液体サイクロン20と着水井2の後段の液体サイクロン21で回収することになるから、吸着のための反応時間が長くなる。したがって、粒径の小さい活性炭同士が合一し、粒径の大きな塊になるため、遠心力が大きくなり、液体サイクロン20,21における回収率が向上する。
【0047】
〈第3の実施形態〉
図6を用いて、第3の実施形態に係る固液分離装置55を備える水処理システム105について説明する。図6に示す第3の実施形態に係る固液分離装置55を、図3を用いて上述した第2の実施形態52に係る水処理システム102と比較すると、第3の実施形態に係る固液分離装置55は、第1液体サイクロン20から活性炭Aが排出される活性炭排出管20bが循環ラインとなって第1活性炭添加装置10に接続されており、第2液体サイクロン21から活性炭Aが排出される活性炭排出管21bが循環ラインとなって第2活性炭添加装置11に接続されている点で異なる。なお、水処理システム105においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0048】
原水に添加された活性炭は、原水中の異臭味成分や微量有害物質を吸着するが、吸着能力を失った破過状態になるまで繰り返して使用することができる。したがって、液体サイクロン20,21から排出される活性炭を活性炭排出管20b,21bを介して、活性炭添加装置10,11に循環させる。
【0049】
第1活性炭添加装置10は、第1活性炭排出管20bから供給された活性炭Aを再び取水井1に添加する。また、第2活性炭添加装置11は、第2活性炭排出管21bから供給された活性炭Aを再び着水井2に添加する。ここで、活性炭添加装置10,11は、再利用する活性炭Aに加えて、新たな活性炭Aも取水井1または着水井2に添加してもよい。
【0050】
上述した第3の実施形態に固液分離装置55では、活性炭添加装置10,11は、液体サイクロン20,21から排出された活性炭Aを取水井1または着水井2に添加して再利用する。したがって、活性炭Aを無駄なく使用することが可能であり、ランニングコストも低減することができる。
【0051】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。
【0052】
〈第4の実施形態〉
図7を用いて、第4の実施形態に係る固液分離装置56を備える水処理システム106について説明する。図7に示す第4の実施形態に係る固液分離装置56を、図6を用いて上述した第3の実施形態に係る固液分離装置55と比較すると、第1液体サイクロン20から活性炭排出管20bを介して排出される活性炭Aの一部を第1活性炭添加装置10に循環させる第1循環ライン22と、第2液体サイクロン21から活性炭排出管21bを介して排出される活性炭Aの一部を第2活性炭添加装置11に循環させる第2循環ライン23を備えている点で異なる。なお、水処理システム106においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0053】
例えば、第1液体サイクロン20から排出される活性炭Aは、バルブ24の開閉により、再利用が可能である場合には第1循環ライン22を介して第1活性炭添加装置10に供給し、複数回使用したことによって再利用が不可能である場合には第1活性炭添加装置10に循環されずに、活性炭排出管20bから排出される。また、第2液体サイクロン21から排出される活性炭Aは、バルブ25の開閉により、再利用が可能である場合には第2循環ライン23を介して第2活性炭添加装置11に供給し、複数回使用したことによって再利用が不可能である場合には第2活性炭添加装置11に循環されずに、活性炭排出管21bから排出される。
【0054】
なお、活性炭Aが再利用可能であるか否かの判断としては、取水井1や着水井2の被吸着物質の濃度と破過点との差から判断したり、液体サイクロン20,21や活性炭排出管20b,21bにセンサ等を設けて活性炭Aの吸着能力に応じて判断したり、活性炭Aを循環させた回数をカウントするカウンタを設けて循環した回数に応じて判断することができる。
【0055】
活性炭の吸着特性は、原料や製造方法、被吸着物質の種類や濃度によって異なるため、吸着試験を実施し、破過点と破過点に至る条件の目安をつけておく必要がある。
【0056】
例えば、活性炭の適正注入率と破過時間を予測するための因子である単位活性炭あたりの吸着量qeは、下記の式(1)によって求めることができる。
【0057】
qe=aCe1/n ・・・(1)
この式(1)において、Ceは一定温度、平衡時の被吸着質の濃度である。また、aは実験等によって定められる吸着係数であり、nは実験等によって決定される吸着指数である。この式(1)を利用して、被吸着質濃度Ceが一定になった時点のqeを活性炭が破過に達する吸着量として判断することができる。
【0058】
上述した第4の実施形態に係る固液分離装置56では、活性炭添加装置10,11は、再利用が可能な状態の活性炭のみ再利用するため、活性炭Aを無駄なく使用することができるとともに、活性炭Aによる異臭味成分や微量有害物質等の吸着能力を向上することができる。したがって、凝集沈澱に使用する凝集剤の量も低減することができる。
【0059】
また、第4の実施形態に係る固液分離装置56では、新しい活性炭Aと再利用する活性炭Aとを併用するため、活性炭添加装置10,11に新しい活性炭Aを投入する際に液体サイクロン20,21を停止する必要がなくなり、水処理システム106を連続して運転することができる。
【0060】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。
【0061】
〈第5の実施形態〉
図8を用いて、第5の実施形態に係る固液分離装置57を備える水処理システム107について説明する。図8に示す第5の実施形態に係る固液分離装置57を、図7を用いて上述した第4の実施形態に係る固液分離装置56と比較すると、第1循環ライン22に第1再生装置26を備え、第2循環ライン23に第2再生装置27を備えている点で異なる。なお、水処理システム107においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0062】
第1再生装置26は、第1液体サイクロン20から排出された活性炭Aの吸着能力を再生し、第1循環ライン22を介して第1活性炭添加装置10に供給する。また、第2再生装置27は、第2液体サイクロン21から排出された活性炭Aの吸着能力を再生し、第2循環ライン23を介して第2活性炭添加装置11に供給する。このとき、再生しても吸着能力が回復できない活性炭Aは、活性炭排出管20b,21bから排出される。これらの再生装置26,27は、例えば水蒸気賦活法によって活性炭Aの吸着力を再生することが考えられる。
【0063】
上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57では、活性炭添加装置10,11は、再生装置26,27で吸着能力を回復した活性炭Aを再利用するため、活性炭Aを無駄なく使用することができるとともに、活性炭Aによる異臭味成分や微量有害物質等の吸着能力を向上することができる。したがって、凝集沈澱に使用する凝集剤の量も低減することができる。
【0064】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される活性炭Aを活性炭添加装置10,11に循環し、再利用することができる。また、再生装置26,27は、液体サイクロン20,21から供給される活性炭Aの吸着能力が低下していない場合には再生処理を実行せず、活性炭の吸着能力が低下した場合にのみ再生処理を実行して活性炭添加装置10,11に供給するようにしてもよい。
【0065】
〈第1変形例〉
図9を用いて、第5の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置58を備える水処理システム108について説明する。図9に示す第1変形例に係る固液分離装置58を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第1液体サイクロン20に第1スラッジセンサ28が設けられ、第2液体サイクロン21に第2スラッジセンサ29が設けられる点で異なる。
【0066】
第1スラッジセンサ28は、第1液体サイクロン20中の原水に含まれる活性炭Aの量を検知する。バルブ24は、第1スラッジセンサ28の測定結果に応じて第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。また、第2スラッジセンサ29は、第2液体サイクロン21中の原水に含まれる活性炭Aの量を測定する。バルブ25は、第2スラッジセンサ29の測定結果に応じて第2液体サイクロン21からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。
【0067】
ここで、スラッジセンサ28,29には、例えば、濁度計、蛍光センサ、電気伝導光を測定する電極等を利用することができる。
【0068】
上述した第5の実施形態の第1変形例に係る固液分離装置58によれば、液体サイクロン20,21内の水質に応じて活性炭Aの引抜量を調整している。したがって、急速攪拌池3に排出される活性炭Aを低減することができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤を低減することができる。
【0069】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロン内の水質に応じて活性炭Aの引抜量を決定することができる。
【0070】
〈第2変形例〉
図10を用いて、第5の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置59を備える水処理システム109について説明する。図10に示す第2変形例に係る固液分離装置59を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第1再生装置26から排出される活性炭Aが第1活性炭添加装置10ではなく、第2活性炭添加装置11に供給される点で異なる。したがって、第1活性炭添加装置10が添加する活性炭Aは、常に新しい活性炭Aとなる。
【0071】
上述した第5の実施形態の第2変形例に係る固液分離装置59によれば、吸着する必要のある異臭味成分や微量有害物質等の多く含まれる取水井1の原水には新しい活性炭Aを添加し、第1液体サイクロン20で一度、異臭味成分や有害物質等が回収された後の着水井2の原水には再利用の活性炭Aを添加する。したがって、活性炭Aを効率良く利用することができる。
【0072】
〈第6の実施形態〉
図11を用いて、第6の実施形態に係る固液分離装置60を備える水処理システム110について説明する。図13に示す第6の実施形態に係る固液分離装置60を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、第6の実施形態に係る水処理システム110は、第2液体サイクロン21から排出される原水の水質を測定する水質センサ30を備える点で異なる。なお、水処理システム110においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0073】
水質センサ30で測定される水質は、第1活性炭添加装置10に入力される。第1活性炭添加装置10は、水質センサ30で測定された水質に応じて、取水井1に添加する活性炭Aの量を調節する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、水質センサ30の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0074】
ここで、水質センサ30には、例えば、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用してもよい。
【0075】
上述した第6の実施形態に係る固液分離装置60では、水質センサ30によって測定される第2液体サイクロンから排出される処理水の水質に応じて活性炭Aの添加量を調節する。したがって、過剰な量の活性炭を添加することがないため、最適な量の活性炭Aを使用することができる。
【0076】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが1台しかない場合であっても、同様に液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定し、活性炭Aの添加量を決定することができる。
【0077】
〈第7の実施形態〉
図12を用いて、第7の実施形態に係る固液分離装置61を備える水処理システム111について説明する。図12に示す第7の実施形態に係る固液分離装置61を、図11を用いて上述した第6の実施形態に係る固液分離装置60と比較すると、第1流入管20aの水質を測定する水質センサ31を備える点で異なる。ここで、第1流入管20aの原水の水質を測定する水質センサ31を第1水質センサとし、第2処理水排出管21cの処理水の水質を測定する水質センサ30を第2水質センサとする。なお、水処理システム111においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0078】
第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質は、ともに第1活性炭添加装置10に入力される。第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質の差に応じて、取水井1に添加する活性炭Aの量を調整する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31と第2水質センサ30で測定される水質の差が小さいとき、被吸着物質の濃度に対して活性炭量が不足しているとみなし、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0079】
また、バルブ24は、第1水質センサ31で測定された水質と、第2水質センサ30で測定された水質の差に応じて、第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を決定し、開閉を調整する。すなわち、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31と第2水質センサ30で測定される水質の差が小さいとき、活性炭Aの添加量を増加するため、引抜量も増加する。
【0080】
ここで、第1水質センサ31にも、第2水質センサ30と同様に、例えば、水質センサ30には、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用することができる。
【0081】
上述した第7の実施形態に係る固液分離装置61によれば、取水井1から排出される原水の水質と、第2液体サイクロン21から排出される原水の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量と、第1液体サイクロン20からの活性炭Aの引抜量を調整している。したがって、急速攪拌池3に供給する原水の水質を理想の値にすることができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤の量を低減することができる。
【0082】
〈第8の実施形態〉
図13を用いて、第8の実施形態に係る固液分離装置62を備える水処理システム112について説明する。図13に示す第8の実施形態に係る固液分離装置62を、図8を用いて上述した第5の実施形態に係る固液分離装置57と比較すると、流入管20a,21aの水質を測定する水質センサ30,32を備えている点で異なる。ここで、第1流入管20aの原水の水質を測定する水質センサ31を第1水質センサとし、第2流入管21aの原水の水質を測定する水質センサ32を第3水質センサとする。なお、水処理システム111においても、凝集沈澱池5における凝集沈澱の後には、砂ろ過装置7、塩素消毒装置8及び配水池9が続くが、図示を省略している。
【0083】
第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量を調整する。具体的には、第1活性炭添加装置10は、第1水質センサ31の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0084】
また、第2活性炭添加装置11は、第3水質センサ32の水質に応じて着水井2に添加する活性炭Aの量を調整する。具体的には、第2活性炭添加装置11は、第3水質センサ32の測定結果によって、多量の懸濁物質を含んでいると判定されると、現在の活性炭Aの添加量よりも添加量を増加する。
【0085】
ここで、水質センサ31,32には、例えば、濁度や電気伝導光等の原水の水質を把握するセンサを利用してもよく、また、蛍光強度や紫外線吸光度(E260)等の特定の物質を測定するセンサを利用してもよい。
【0086】
上述した第8の実施形態に係る固液分離装置62によれば、取水井1から排出される原水の水質に応じて取水井1に添加する活性炭Aの量を調整し、着水井2から排出される原水の水質に応じて着水井2に添加する活性炭Aの量を調整している。したがって、急速攪拌池3に供給する原水の水質を理想の値にすることができるため、凝集沈澱に使用する凝集剤の量を低減することができる。
【0087】
なお、図1や図4に示したように、液体サイクロンが一台しかない場合や、図1や図5に示したように、活性炭添加装置が1台しかない場合であっても、同様に、活性炭Aを添加した後の原水の水質を測定して、活性炭Aの添加量をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図2】水処理システムで利用される液体サイクロンの構成について説明する図である。
【図3】第2の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図4】第2の実施形態の第1変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図5】第2の実施形態の第2変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図6】第3の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図7】第4の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図8】第5の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図9】第5の実施形態の第1変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図10】第5の実施形態の第2変形例に係る水処理システムについて説明する図である。
【図11】第6の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図12】第7の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図13】第8の実施形態に係る水処理システムについて説明する図である。
【図14】従来の水処理システムについて説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
100〜112…水処理システム
1…取水井
2…着水井
3…急速攪拌池
4…フロック形成池
3a,4a…攪拌機
5…凝集沈澱池
6…汚泥濃縮装置
7…ろ過装置
8…塩素消毒装置
9…配水池
10,11…活性炭添加装置
12,13…薬品添加装置
20,21…液体サイクロン
20a,21a…流入管
20b,21b…活性炭排出管
20c,21c…処理水排出管
22,23…第2循環ライン
24,25…バルブ
26,27…再生装置
29,29…スラッジセンサ
31,32,32…水質センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集沈澱前の原水に対して原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置と、
活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロンと、
活性炭を含む凝集沈澱の前の原水が流入する際、前記液体サイクロン内部で旋回するように前記液体サイクロンに接続される流入管と、
前記液体サイクロン内で沈降した原水に含まれる活性炭を、前記液体サイクロンから排出する活性炭排出管と、
原水から活性炭が排出された後の処理水を、前記液体サイクロンから排出する処理水排出管と、
を備えることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記活性炭添加装置は、水源から取水された原水を貯水する取水井に活性炭を添加し、
前記流入管は、活性炭を含む原水を、前記取水井から前記液体サイクロンに供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記活性炭添加装置は、水源から取水された原水を貯水する取水井または凝集沈澱の前に原水を貯水する着水井の少なくともいずれか一方に活性炭を添加し、
前記流入管は、活性炭を含む原水を、前記着水井から前記液体サイクロンに供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記活性炭添加装置は、前記活性炭排出管に接続され、前記液体サイクロンから排出された活性炭が供給され、供給された活性炭を再利用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記活性炭排出管に接続され、前記液体サイクロンから排出された活性炭の吸着能力を再生し、吸着能力が再生された活性炭を前記活性炭添加装置に供給する活性炭再生装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記液体サイクロンに供給する原水の水質または前記液体サイクロンから排出される処理水の水質の少なくともいずれか一方を測定するセンサを備え、
前記活性炭添加装置は、前記センサの測定結果に応じて添加する活性炭量を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記液体サイクロンに流入する原水の水質を測定する第1センサと、
前記液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定する第2センサとを備え、
前記活性炭添加装置は、前記第1センサの測定結果と前記第2センサの測定結果との差に応じて、添加する活性炭量を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記液体サイクロン内の原水の水質を測定するセンサと、
前記活性炭排出管に設けられ、前記センサの測定結果に応じて、前記活性炭排出管からの活性炭の排出量を調整するバルブを調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記液体サイクロンに流入する原水の水質を測定する第1センサと、
前記液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定する第2センサと、
前記活性炭排出管に設けられ、前記第1センサの測定結果と前記第2センサの測定結果との差に応じて、前記活性炭排出管からの活性炭の排出量を調整するバルブと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項1】
凝集沈澱前の原水に対して原水に含まれる懸濁物質を吸着する活性炭を添加する活性炭添加装置と、
活性炭を含む原水から、懸濁物質を吸着した活性炭を分離する液体サイクロンと、
活性炭を含む凝集沈澱の前の原水が流入する際、前記液体サイクロン内部で旋回するように前記液体サイクロンに接続される流入管と、
前記液体サイクロン内で沈降した原水に含まれる活性炭を、前記液体サイクロンから排出する活性炭排出管と、
原水から活性炭が排出された後の処理水を、前記液体サイクロンから排出する処理水排出管と、
を備えることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記活性炭添加装置は、水源から取水された原水を貯水する取水井に活性炭を添加し、
前記流入管は、活性炭を含む原水を、前記取水井から前記液体サイクロンに供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記活性炭添加装置は、水源から取水された原水を貯水する取水井または凝集沈澱の前に原水を貯水する着水井の少なくともいずれか一方に活性炭を添加し、
前記流入管は、活性炭を含む原水を、前記着水井から前記液体サイクロンに供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記活性炭添加装置は、前記活性炭排出管に接続され、前記液体サイクロンから排出された活性炭が供給され、供給された活性炭を再利用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記活性炭排出管に接続され、前記液体サイクロンから排出された活性炭の吸着能力を再生し、吸着能力が再生された活性炭を前記活性炭添加装置に供給する活性炭再生装置を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記液体サイクロンに供給する原水の水質または前記液体サイクロンから排出される処理水の水質の少なくともいずれか一方を測定するセンサを備え、
前記活性炭添加装置は、前記センサの測定結果に応じて添加する活性炭量を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記液体サイクロンに流入する原水の水質を測定する第1センサと、
前記液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定する第2センサとを備え、
前記活性炭添加装置は、前記第1センサの測定結果と前記第2センサの測定結果との差に応じて、添加する活性炭量を調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記液体サイクロン内の原水の水質を測定するセンサと、
前記活性炭排出管に設けられ、前記センサの測定結果に応じて、前記活性炭排出管からの活性炭の排出量を調整するバルブを調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記液体サイクロンに流入する原水の水質を測定する第1センサと、
前記液体サイクロンから排出される処理水の水質を測定する第2センサと、
前記活性炭排出管に設けられ、前記第1センサの測定結果と前記第2センサの測定結果との差に応じて、前記活性炭排出管からの活性炭の排出量を調整するバルブと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の固液分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−46626(P2010−46626A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214267(P2008−214267)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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