説明

固着具の引張荷重検査装置

【課題】 アンカーボルト等の引張荷重を容易に検査できる検査装置の提供。
【解決手段】 検査治具本体3にレンチ嵌着部2を設け、そこにトルクレンチ本体1の先端部を着脱自在に嵌着する。あるいは検査治具本体3にアーム部22を突設する。そして、検査治具本体3の外周に支点部4を突出させ、その支点部4側外面に軸体挿通孔5を設け、その軸体挿通孔5に被検査用固着具8の軸体6を挿通して、その先端部を検査治具本体3に保持させる。次いで、トルクレンチまたはアーム部22にモーメントを加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディタイプ(携帯用)の市販のトルクレンチまたは荷重検出器を用いて、コンクリートに取り付けたアンカー等の引張荷重(取り付け強度)を簡易に検査することができる引張荷重検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート基面等に埋設されたアンカーボルトやアンカーナット或いは母材表面に溶接固定されたスタッド等(以下、これらを総称して固着具という)の取付け強度を検査するには次のようにして行っていた。
【0003】
図9に示す様に、ロードセル31、油圧ジャッキ30、計測表示器37からなる計測機器と計測機器を載置すると共に手動油圧ポンプ36等で発生させる加力を受ける反力台32や加力を固着具に伝えるテンションバー33やカップリング34からなる検査治具により構成されている。
これら計測機器と検査治具により引張荷重検査装置とするのが一般的である。
これらを固着具にセットして手動油圧ポンプ36により加力すると測定装置のロードセル31を押圧し、その押圧力を持って固着具8の引張り強度とするものである。
【0004】
この他の方法として、固着具を計測機器のボルト挿通孔に挿入し、固着具の上端にナット29を締結してレンチでそのナット29を締め付ける。それにより、計測機器内のロードセル31を押圧し、その押圧力を持ってボルトの引張り強度(軸カ)を測定することが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1) 従来の引張荷重検査装置は、複数の計測機器および検査治具を必要とし、しかも計測機器としては特殊もしくは専用のものを使用しなければならず、検査装置として専用とならざるを得なく、汎用性に欠けるという欠点があった。
また、計測機器を直接螺着締結するタイプにおいては、取扱いは簡便であるが、ねじを有する固着具しか使用できないという欠点を有していた。
本発明は、検査治具の部品点数が少なく、ねじの有無に関係なく固着具の引張荷重 検査ができ、更に計測機器として市販のトルクレンチ等を利用するため、安価でしか も計測機器は他の用途にも使用できるという検査装置を提供することを課題とする。
【0006】
(2) 従来の固着具の引張荷重検査装置は、そのセッティングが面倒であり、一つの固着具の測定に長時間を要する欠点があった。また装置が大型化し、他の固着具が近接する場合、壁ぎわや狭小な場所での測定が困難である。更に取付け物を取付けて数年を経年した後の固着状態を検査する場合にも取付け物が邪魔になり、測定が困難である等の欠点がある。
本発明は、迅速に取り付けることができると共に、コンパクトで狭小な場所でも簡易に引張荷重を検査することができる検査装置を提供することを課題とする。
【0007】
(3) 従来の引張荷重検査装置は、固着具が天井面に取り付けられた場合、検査装置を固着具にセットするまでの間、作業者が装置を保持しておかなければならず、落下の危険があり、その作業手順や対応措置を考えながら作業しなければならなかった。
また、検査装置をセットした時には計測機器と検査治具の重量が固着具に作用する結果となる。
本発明は、天井下面に取り付けられた固着具であっても、固着具に簡便に検査治具をセットでき、しかも固着具には軽量の検査治具の重量しか作用しない検査装置を提供することを課題とする。
【0008】
(4)従来の検査装置は、複数の固着具を検査する場合、計測機器が高価であり、また検査治具の部品点数も多く大がかりであることから、固着具1個毎に検査装置を固着具にセットし、続いて検査を行い、検査終了後に検査装置を取り外して1つの固着具の検査が終了する。次に他の固着具の場所に移動してという具合に1セットの検査装置を持ち回りで検査していたので、検査にかなりの時間を要していた。
本発明は、簡単な構造で安価で有り、しかも持ち運びが容易な検査治具であるため、固着具1個毎にセットしても検査時間を短縮できる。また、事前に複数の検査治具を準備して、検査前に予め複数の固着具に検査治具をセットしておくことができて検査時間を大幅に短縮できる検査装置を提供することを課題とする。
【0009】
(5)従来の検査装置は固着具の強度(検査荷重)に応じて、検査機器の一つである高価なロードセルや検査治具の一つである反力台を必要としている剛性を有するものに交換する必要がある。すなわち、ロードセルには荷重計測の範囲があり、強度の高い固着具にはその強度を計測するのに相応しいロードセルが必要であり、またそれに合わせて、検査機器を保持するための剛性を有する反力台が必要となる。
本発明は、固着具と検査機器の取付け距離を変えることにより、または必要とする測定容量を有する機種に検査機器のみを変えるだけで測定範囲を種々の強度に対応できる検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明は、棒状体の先端部が着脱自在に嵌着されるレンチ嵌着部(2) を有しまたは、棒状のアーム部(22)が突出した検査治具本体(3) と、
その検査治具本体(3)の外周に突設固定される支点部(4) と、
その検査治具本体(3)の前記支点部(4)からその軸線が離間して設けられ、軸体(6) が挿通される軸体挿通孔(5) と、
を具備し、
前記軸体(6) が、被検査用固着具(8)またはそれに連結したものであり、
その軸体(6) を前記軸体挿通孔(5)に保持させると共に、先端部が検査治具本体(3) のレンチ嵌着部(2) に嵌着された棒状体に、または前記アーム部(22)に、荷重を加えて前記支点部(4) の回りに作用させて、そのモーメントが検査または測定され、
そのモーメントの検査または測定は、前記棒状体がモーメントを直接検知できる検出部を有し、あるいはアーム部22に圧縮または引張の荷重測定器を連結して行われ、
前記支点部(4) と前記軸体(6)との距離aで、前記モーメントを除算した値を基準として固着具の引張荷重を検知または測定する固着具の引張荷重検査装置である。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、棒状のトルクレンチ本体(1) の先端部が着脱自在に嵌着される嵌着部(2) を有する検査治具本体(3)と、
その検査治具本体(3)の外周に突設固定される支点部(4) と、
その検査治具本体(3)の前記支点部(4)からその軸線が離間して設けられ、軸体(6) が挿通される軸体挿通孔(5) と、
を具備し、
前記軸体(6) が、被検査用固着具(8)またはそれに連結したものであり、
その軸体(6) を前記軸体挿通孔(5)に保持すると共に、前記トルクレンチ本体(1) の先端部が検査治具本体(3) のレンチ嵌着部(2) に嵌着されて、そのトルクレンチ本体(1)が前記支点部(4) の回りに回動されるように構成され、
前記支点部(4) と前記軸体(6)との距離aで、前記トルクレンチ本体(1) の表示または設定値を除算した値を基準として固着具の引張荷重を検知または測定するトルクレンチを用いた固着具の引張荷重検査装置である。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、
レンチ嵌着部(2) の軸線上に前記支点部(4)の先端が位置し、前記軸体挿通孔(5) の軸線が前記レンチ嵌着部(2) の軸線に平行に形成されるトルクレンチを用いた固着具の引張荷重検査装置である。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項3において、
前記軸体挿通孔(5) の孔縁部で、その軸体挿通孔(5) の軸線とレンチ嵌着部(2) の軸線との両軸線を通る仮想平面に平行な断面が、円弧状に湾曲された曲面座部(9)をなし、その曲面座部(9) の各断面の曲率の中心は、その軸体挿通孔(5) の軸線を通り前記仮想平面に直交する面上に位置し、
その曲面座部(9) の曲面に整合する整合曲面(10)を有する座板(11)が、その曲面座部(9) に摺接自在に着座され、その座板(11)に前記軸体(6) が着脱自在に接続されるトルクレン
チを用いた固着具の引張荷重検査装置である。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項2において、
前記トルクレンチ本体(1) のと前記検査治具本体(3) の嵌着部(2) との間に、棒状の延長部材を着脱自在に介装し、
トルクレンチ本体(1) の長さに対して、延長部材とトルクレンチ本体(1) の長さの和の割合分だけ、トルクレンチ本体(1)の前記設定値または表示値を増大したトルク値を、被除算値とする固着具の引張荷重検査装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の引張荷重検査装置は、検査治具本体3に取り付けた棒状体または、本体3のアーム部22に加えたモーメントを直接または間接に市販の携帯型測定器で測定または検査し、それを支点部4と軸体6との距離aで除算することにより、簡易に求めることができる。そして、本発明の前述の課題を全て解決することができる。
【0016】
請求項2に記載の本発明の引張荷重検査装置は、そのトルクレンチ本体1の先端部を検査治具本体3のレンチ嵌着部2に嵌着して、それをトルクレンチ本体1の周りに回動できるように構成したから、被検査用固着具8の引張荷重を既存のトルクレンチを利用して直接且つ容易に検査することができる。即ち、所定モーメント(トルクと同一の意味、以下同じ)を予め設定できるトルクレンチ又は、モーメントを直接測定できる市販のトルクレンチの機能を利用し、簡単な構成で引張荷重を検査することができる。
【0017】
上記構成において、レンチ嵌着部2の軸線上に支点部4の先端を位置し、軸体挿通孔5の軸線をレンチ嵌着部2の軸線に平行にした場合には、コンパクトで、作業性のよい検査装置となりうる。それと共に、引張荷重をより正確に検査しうる。
【0018】
上記構成において、曲面座部9に座板11を着座させ、座板11に軸体6を着脱自在に接続した場合には、軸体6を検査治具本体3に容易に保持することができる。それと共に、引張荷重をより正確に検査しうる。
請求項5に記載の発明によれば、より大きな引張荷重の検査が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。図1(A)は本発明の引張荷重検査装置の一部縦断面説明図であり、(B)はそのトルクレンチ本体1の一例の後端部の斜視略図である。また図2は、本発明の引張荷重検査装置の要部拡大縦断面図であり、図3は図2の分解斜視図である。
【0020】
この引張荷重検査装置は、各種市販されているトルクレンチを用いるものであり、そのトルクレンチ本体に、交換ヘッドを取り付ける代わりに、検査治具本体3を着脱自在に取り付けるものである。この検査治具本体3は、全体がL字状に形成され、L字状の一方の端面(図において上面)にレンチ嵌着部2が形成されている。このレンチ嵌着部2はトルクレンチ本体1の先端部が着脱自在に嵌着されるものであり、そのトルクレンチ本体1の先端部に整合する。そして、検査治具本体3の嵌着部2の軸線上で、嵌着部2側と反対側の面(下面)に支点部4が突出されている。この支点部4の先端は一例として球状に形成されている。
【0021】
検査治具本体3の下端面の一部(図2の右側)には平坦欠切部19が形成されると共に、その隅部にコーナ欠切部19aが形成され、その平坦欠切部19の右端部に支点部4が突設されている。また同図において、検査治具本体3の母材接触面は支点部4の先端と一致する高さの平坦面に形成されている。そして、支点部4の軸線から距離aだけ離間し、検査治具本体3に軸体挿通孔5が貫通されている。図において、軸体挿通孔5の上端縁部は図2及び図3に示す如く、横断面円弧状の曲面座部9が形成されている。この曲面座部9の曲率の中心は、紙面に直交し軸体挿通孔5の軸線を通る面上にある。言い換えると、軸体挿通孔5の軸線と支点部4の軸線を通る平面に直交し且つ、軸体挿通孔5の軸線を通る面上に曲面座部9の各断面の曲率の中心が存在する。そして曲面座部9に座板11が着座する。図において、座板11の下面は曲面座部9に整合する縦断面円弧状に形成されている。また、座板11の中心にボルト挿通孔が穿設されている。なお、曲面座部9と座板11は、被検査用固着具8を母材に対して正確に垂直に引っ張るためである。この曲面座部9を無くし、軸体挿通孔5の周縁部をフラットなものとし、前記座板11を使用しなくても本発明の目的をある程度以上達することは勿論である。
【0022】
なお、この例で検査治具本体3は、図3に示す如く、第1部材3aと第2部材3bとからなり、第1部材3aの右端部に形成された段付孔に支点部4のフランジ部が着座し、その先端が下面に突出した状態で、第1部材3a上に第2部材3bがビス18を介して固定されるものである。なお、本発明は第1部材3a、第2部材3b及び支点部4を一体化することもできる。
【0023】
(作用)
次に、本発明の引張荷重検査装置の使用方法につき述べる。先ず図1及び図2に示す如く、一例として、被検査用固着具8がコンクリート基部よりなる母材12に埋設固定されたアンカーナットの場合には、検査治具本体3の軸体挿通孔5の軸線と被検査用固着具8の軸線とを整合させる。次いで、検査治具本体3の曲面座部9に座板11を図のように着座させ、座板11のボルト挿通孔にボルトからなる軸体6を挿通し、その先端部を被検査用固着具8に螺着する。このとき、座板11の上面とボルト頭部との間に隙間が生じないようにする。次いで、検査治具本体3のレンチ嵌着部2にトルクレンチ本体1先端を嵌着する。
【0024】
このような状態で、被検査用固着具8の引張荷重が目標値以上であることを検査するには、トルクレンチ本体1の目盛ダイヤル14を回転して、その目標値の換算トルク(換算モーメント以下トルクとモーメントは同じ意味として扱う)に設定する。換算トルクは、被検査用固着具8の引張荷重の設定値をNとすると、その被検査用固着具8の軸線と支点部4との距離aとNの積として求められる。
【0025】
この例のトルクレンチ本体1は、図1(B)の如くトルクレンチ本体1の上部の窓に主目盛13aが表示され、目盛ダイヤル14の下面に副目盛14aが表示され、両者の和として設定トルク(上記換算トルク)が表示される。そこで、トルクレンチ本体1の把持部15を支点部4の回りに図1の状態から右回転する方向に力を加える。すると、設定トルクに達したとき到達音(例えば、カチャッという音)が発せられる。それにより、被検査用固着具8の固着力(引張荷重)が目標値以上であることがわかる。仮に被検査用固着具8の取り付けが不良である場合は、設定トルクに達する前に被検査用固着具8が母材12から抜け出すことになる。
【0026】
また、被検査用固着具8の最大引張荷重を測定するには、トルクレンチ本体1として、そのトルクがディジタルで表示されるタイプのものを用いればよい。そして、その測定トルクを距離aで除算すればよい。
【0027】
図6は、図1〜図3における実施例の検査装置を用いた時の引張荷重とトルクレンチの設定トルクとの関係を直線で示すと共に、現実の測定トルクと引張荷重との関係をプロットしたものである。この図では、図2において支点部4と被検査用固着具8の軸線との距離aを5cmとした場合である。従って設定トルクは、N×5/100(m)である。
【0028】
図6から明らかなように、実際の実測トルクの引張荷重は換算(設定)トルクの引張荷重に近接している。このように設定引張荷重と実際の測定引張荷重との間に僅かのずれが生じる原因は、母材12表面の硬さや座板11と曲面座部9との摩擦力、その他に基づくものであると思われる。しかしながら、実用上は測定トルクを距離aで除算した値を引張荷重としても差し支えない。より正確には、予め実験により設定トルクに基づく実際の測定引張荷重と、換算引張荷重との誤差を求めておき、測定値に補正を加えてもよい。
【0029】
なお、支点部4の先端は、各トルクレンチ本体1における交換ヘッドの中心位置になるように位置される。何故ならば、市販のトルクレンチは、そのトルクレンチ本体の先端に交換ヘッドを取付け、その交換ヘッドをボルト頭部に嵌着して、ボルト頭部(交換ヘッドの嵌着部の中心)の回りに回転したとき、所定のトルクで作動または所定トルクを表示するように構成されているからである。
【0030】
また、トルクレンチ本体1と検査治具本体3 のレンチ嵌着部2 との間に、棒状の延長部材を着脱自在に介装し、トルクレンチの腕部分を長くすることができる。この場合には、トルクレンチ本体1の長さに対して、延長部材とトルクレンチ本体1 の長さの和の長さの割合分だけ、トルクレンチ本体1の設定値または表示値を増大したトルク値を、前記距離aの被除算値とすることができる。それにより大きな引張荷重を測定できる。
【0031】
次に、図4は被検査用固着具8として溶接型のスタッドを検査する場合である。この場合、直接被検査用固着具8を軸体挿通孔5及び座板11のボルト挿通孔に挿通し、その端部にナットを螺回して、それにより座板11を保持すればよい。そして、トルクレンチ本体1を図において右回転する方向に力を加えればよい。
【0032】
次に図5は、樹脂材等からなる母材12に後付け式のプラスチック用インサート21が埋設されたものであり、その固着力を検査するため、プラスチック用インサート21にボルトからなる軸体6を螺着し図1同様に検査するものである。
【0033】
次に図7は、本発明の検査治具本体3の他の実施の形態を示し、圧縮荷重を測定する荷重測定器を用いて異形鉄筋の取り付け強度を測定する説明図である。この例の検査治具本体3は、全体がカギ形に形成され、その一端に軸体挿通孔5が形成され、その孔縁部で他端側(右縁)にのみ支点部4が突設されている。検査治具本体3の支点部4の右側は、その支点部4より上方に位置し、アーム部22がカギ状に延在する。
【0034】
また、座板11には、U字座金40が載置され、その上に(B)に示す筒状体39が載置される。筒状体39は内面が先細りのテーパに形成されている。そして、U字座金40及び筒状体39を披検査用固着具8に挿通し、次いで、二つ割りした楔38をその外周に被嵌し、それを筒状体39の内部に嵌着する。これにより、披検査用固着具8を検査治具本体3に保持させることができる。このようにセットされた検査治具本体3のアーム部22の右端にハンディータイプの圧縮力測定器23の圧接部25を上面側から下面側にむけて押圧する。このときの押圧力がディジタル表示部27に表示される。
【0035】
このときの披検査用固着具8の引張りの反力Nは略次の通りになる。N=F・b/a(ここにFは圧縮力測定器23のディジタル表示部27に表れた押圧力であり、bはその力点である圧接部25と支点部4との距離である。またaは披検査用固着具8の軸線と支点部4との距離である。
【0036】
次に図8は、本発明の引張荷重検査器の検査治具本体の他の例を示し、この例が図7のそれと異なる点は、アーム部22がL字状に形成されている点である。そして、アーム部22の端部に複数の係止金具41が予め設けられ、その係止金具41に引張力及び圧縮力測定器24の引張部26を係合させ、その測定器を図において右方に引っ張ることにより、その引張力Fをアナログ表示部28に表示させることができるものである。
【0037】
この例において、披検査用固着具8の引張力Nは略次の式になる。N=F・b1/a (ここにbは母材表面から係止金具41までの高さである。なお、高さbにある係止金具41を引っ張る場合には、上式bの代わりにbを入れ替えればよい。)
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の引張荷重検査装置の使用状態を示す一部縦断面説明図及びその後端部拡大斜視図。
【図2】同検査装置の要部拡大縦断面図。
【図3】同検査装置の分解斜視図。
【0039】
【図4】同検査装置により被検査用固着具8としてスタッドボルトを用いた場合の要部拡大図。
【図5】同検査装置で被検査用固着具8としてプラスチック用インサート21を対象とした場合の使用状態を示す要部拡大図。
【図6】本発明の検査装置の実際のトルク(モーメント)と引張荷重との関係を示すグラフ。
【0040】
【図7】本発明の引張荷重検査器の検査治具本体の他の例を示す説明図。
【図8】本発明の引張荷重検査装置の更に他の検査治具本体の説明図。
【図9】従来型引張荷重検査装置の説明図。
【符号の説明】
【0041】
1 トルクレンチ本体
2 レンチ嵌着部
3 検査治具本体
3a 第1部材
3b 第2部材
【0042】
4 支点部
5 軸体挿通孔
6 軸体
7 保持手段
8 被検査用固着具
【0043】
9 曲面座部
10 整合曲面
11 座板
12 母材
13 主目盛ダイヤル
13a 主目盛
【0044】
14 目盛ダイヤル
14a 副目盛
15 把持部
16 ロック
17 ストッパ
【0045】
18 ビス
19 平坦欠切部
19a コーナ欠切部
20 基点
21 プラスチック用インサート
【0046】
22 アーム部
23 圧縮力測定器
24 引張力および圧縮力測定器
25 圧接部
26 引張部
【0047】
27 ディジタル表示部
28 アナログ表示部
29 ナット
30 油圧ジャッキ
31 ロードセル
【0048】
32 反力台
33 テンションバー
34 カップリング
35 圧力計
36 手動油圧ポンプ
37 荷重指示計
【0049】
38 楔
39 筒状体
40 U字座金
41 係止金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体の先端部が着脱自在に嵌着されるレンチ嵌着部(2) を有しまたは、棒状のアーム部(22)が突出した検査治具本体(3) と、
その検査治具本体(3)の外周に突設固定される支点部(4) と、
その検査治具本体(3)の前記支点部(4) からその軸線が離間して設けられ、軸体(6) が挿通される軸体挿通孔(5)を具備し、
前記軸体(6) が、被検査用固着具(8)またはそれに連結したものであり、
その軸体(6) が前記軸体挿通孔(5)に保持されると共に、先端部が検査治具本体(3) のレンチ嵌着部(2) に嵌着された棒状体に、または前記アーム部(22)に、荷重を加えて前記支点部(4) の回りに作用させて、そのモーメントが検査または測定され、
そのモーメントの検査または測定は、前記棒状体がモーメントを直接検知できる検出部を有し、あるいはアーム部(22)に圧縮または引張の荷重測定器を連結して行われ、
前記支点部(4) と前記軸体(6)との距離aで、前記モーメントを除算した値を基準として固着具の引張荷重を検知または測定する固着具の引張荷重検査装置。
【請求項2】
棒状のトルクレンチ本体(1) の先端部が着脱自在に嵌着されるレンチ嵌着部(2) を有する検査治具本体(3)と、
その検査治具本体(3)の外周に突設固定される支点部(4) と、
その検査治具本体(3)の前記支点部(4) からその軸線が離間して設けられ、軸体(6) が挿通される軸体挿通孔(5)を具備し、
前記軸体(6) が、被検査用固着具(8)またはそれに連結したものであり、
その軸体(6) を前記軸体挿通孔(5)に保持すると共に、前記トルクレンチ本体(1) の先端部が検査治具本体(3) のレンチ嵌着部(2) に嵌着されて、そのトルクレンチ本体(1) が前記支点部(4) の回りに回動可能に構成され、
前記支点部(4) と前記軸体(6)との距離aで、前記トルクレンチ本体(1) の表示または設定値を除算した値を基準として固着具の引張荷重を検知または測定するトルクレンチを用いた固着具の引張荷重検査装置。
【請求項3】
請求項2において、
レンチ嵌着部(2) の軸線上に前記支点部(4)の先端が位置し、前記軸体挿通孔(5) の軸線が前記レンチ嵌着部(2) の軸線に平行に形成されるトルクレンチを用いた固着具の引張荷重検査装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記軸体挿通孔(5) の孔縁部で、その軸体挿通孔(5) の軸線とレンチ嵌着部(2) の軸線との両軸線を通る仮想平面に平行な断面が、円弧状に湾曲された曲面座部(9) をなし、その曲面座部(9) の各断面の曲率の中心は、その軸体挿通孔(5) の軸線を通り前記仮想平面に直交する面上に位置し、
その曲面座部(9) の曲面に整合する整合曲面(10)を有する座板(11)が、その曲面座部(9) に摺接自在に着座され、その座板(11)に前記軸体(6) が着脱自在に接続されるトルクレンチを用いた固着具の引張荷重検査装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記トルクレンチ本体(1) のと前記検査治具本体(3) のレンチ嵌着部(2) との間に、棒状の延長部材を着脱自在に介装し、
トルクレンチ本体(1) の長さに対して、延長部材とトルクレンチ本体(2) の長さの和の割合分だけ、トルクレンチ本体(1)の前記設定値または表示値を増大したトルク値を、被除算値とする固着具の引張荷重検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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